服を選ぶ、夕飯のメニューを選ぶ、課題をどれから始めるかを決める。そんな小さな選択に長い時間がかかり、進路の話になると黙ってしまう。わが子のそんな様子に「決める力を育てられなかったのは、私の育て方のせいでは」と自分を責めている保護者の方は少なくありません。
先に結論を書くと、発達特性のある高校生の「決められない」は、親のせいでも、本人の性格の弱さでもありません。決めるまでには「選択肢を知る・比べる・選ぶ・伝える・決めた後に切り替える」といういくつもの工程があり、そのどこかで止まりやすい特性があるだけです。止まっている工程が分かれば、選択肢を絞る、目に見える形にする、期限を先に伝えるといった手立てで、本人の負担はかなり軽くできます。
この記事では、発達障害ナビポータル・国立特別支援教育総合研究所・発達障害者支援法(e-Gov)・文部科学省の対応指針・厚生労働省の意思決定支援ガイドライン(2026年9月の第2版)・大学入試センターの資料を実際に開いて確かめた内容をもとに、日常の場面別の手立てと、高校選び・転校・大学進学のときの決め方の支えを整理します。診断や治療の判断は主治医や専門機関にゆだね、この記事では断定しません。
今の高校に通い続けるのが難しい場合や、もっと自分に合う学び方を探している場合は、オンラインという選択肢もあります。NIJIN高等学院(ニジ高)は「オンラインで最高の青春を」を掲げる通信制高校サポート校で、全国の仲間とオンラインでつながり、企業や地域と関わるプロジェクトや、生徒が自分たちで企画する行事に挑戦できます。カメラやマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、全国にNIJINアカデミー(ニジ高はその高等部)のリアルの教室があり、リアルでの通学もご検討いただけます。ニジ高は高校ではないため、卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングには参加が必要です。どんな学校なのかは、校長・星野達郎のYouTubeでも見られます。
結論:発達障害の高校生が「決められない」ときの支え方の早見
- 決められないのは育て方の結果ではありません。計画を立てる・優先順位を決めるといった働き(実行機能)や、見通しの持ちにくさ、こだわり、不安などが重なって起きることがあります。
- 「ADHDだから」「ASDだから」と決めつけず、どの工程で止まっているかを見ます。診断が必要かどうかは、医師に相談して判断します。
- 日常の場面では「選択肢を2〜3個に絞る」「目に見える形にする」「いつまでに決めるかを先に伝える」の3つが使いやすい手立てです。厚生労働省のガイドラインも、選択肢を絞った中から選べるようにする工夫を挙げています。
- 「どっちでもいいよ」「好きにしていいよ」は、優しさのつもりでも一番答えにくい問いになりがちです。「保留にする」も正式な選び方の1つとして認めます。
- 進路は一度で決めず、体験してから比べ、仮に決める順で進めます。高校入試・共通テスト・大学には、障害のある人のための配慮の申請の仕組みがあります。
- 親が代わりに決めるのは悪いことではありません。ただし理由を伝え、次は本人に戻すことを決めておきます。
- 通う環境そのものを変える方法として、オンライン中心の通信制サポート校(NIJIN高等学院など)を選ぶ家庭もあります。高校ではないため、卒業資格は提携する通信制高校で取ります。
「決められない」のは育て方のせいではなく、決めるまでの工程が多いからです
「決断力がない」「優柔不断」と一言で片づけられがちですが、家庭でよく見られるのは、次のような場面です。
- レストランでメニューを選ぶだけで、長い時間迷ってしまう
- 「どちらでもいい」と言われると、かえって強いストレスを感じる
- 決めたあとも、選ばなかったほうが気になって落ち着かない
- 進路希望調査の紙を前に、何も書けないまま提出の期限が近づく
これらは、本人が怠けているのでも、親が甘やかしたからでもありません。決めるという作業は、頭の中でいくつもの工程を同時に回す、実はかなり負荷の高い作業です。その負荷に弱い部分があると、他の人より多くのエネルギーを使い、途中で止まってしまいます。
国の法律も、この「決める」ことへの支えを前提にしています。発達障害者支援法の第2条の2第3項は、発達障害のある人への支援は「その意思決定の支援に配慮しつつ」切れ目なく行われなければならない、と定めています。また第2条第2項は、発達障害のある人が生活の中で受ける制限は、発達障害だけでなく「社会的障壁」によっても生じる、という考え方をとっています。この考え方に立てば、決められない状態も本人の中だけの問題ではなく、選び方の環境を変えることで軽くできるものと捉えることができます。
ですから、まず保護者の方にお伝えしたいのは、「決められないのは親のせいじゃない」ということです。そして同時に、家庭には選び方の環境を整えるという、親にしかできない役割があります。

背景は1つではありません。実行機能・見通し・こだわり・不安が重なることがあります
決められない背景として、公的機関の資料で確かめられるものを整理します。どれか1つに当てはまるとは限らず、いくつかが重なっていることもあります。また、ここに挙げたことに当てはまるからといって、発達障害があると決まるわけではありません。
| 背景 | 公的機関の資料での説明 | 決める場面でこう見えることがある |
|---|---|---|
| 実行機能 | 目標を立てる、計画を立てる、優先順位を決める、注意を切り替える、行動を振り返るなど、目標に向けて行動や思考をコントロールする働き(国立特別支援教育総合研究所) | 比べる観点が定まらない。どれから考えればいいか分からず、全部が同じ重さに見える |
| 順序立ての苦手さ(ADHDの特性として) | 日常の活動を順序立てて行うことが苦手、宿題を後回しにする(発達障害ナビポータル) | 「あとで決める」が続き、決めないまま期限が来る |
| 見通し・こだわり(ASDの特性として) | 自分のやり方へのこだわりが強い、初めてのことや予定の変更を好まない(発達障害ナビポータル) | 選んだ先がどうなるか想像できず、慣れた方しか選べない。初めての選択肢を避ける |
| 不安 | ASDやADHDには、不安症群などを伴う人もいる(発達障害ナビポータル) | 失敗したくない気持ちが強く、「間違えるくらいなら決めない」になる |
出典:国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育推進センター「自閉症スペクトラム児の実行機能の測定の試み」/発達障害ナビポータル「注意欠如多動症」/発達障害ナビポータル「自閉スペクトラム症」(いずれも2026年9月確認)
発達障害ナビポータルは、国立障害者リハビリテーションセンターと国立特別支援教育総合研究所が運営する、国の発達障害情報のサイトです。ADHDの説明では、学童期に3〜7%に見られること、根本的に治す方法はなく、環境を整えるなど一人ひとりに合わせた支援で困りごとを小さくしていくことが書かれています。
もう1つ大事なのは、発達障害情報・支援センターが説明しているように、発達障害の種類ごとの特徴は重なり合う部分が多く、年齢や環境によって現れ方が変わる、という点です。特性の詳しい説明はADHD 高校生・ASD 高校生の記事に、診断はないけれど困りごとがある場合は発達障害 グレーゾーン 高校生の記事にまとめています。
「ADHDだから」「ASDだから」と決めつけず、どの工程で止まっているかを見ます
診断名から手立てを選ぶより、「決める作業のどこで止まっているか」を見るほうが、家庭では役に立ちます。決める作業を分けると、だいたい次の5つになります。
- 選択肢を知る:何と何から選ぶのかが分かっている
- 比べる:値段・時間・好みなど、何で比べるかが決まっている
- 選ぶ:比べた結果から1つに絞る
- 伝える:選んだことを言葉やしぐさで人に伝える
- 切り替える:決めたあと、選ばなかったほうを手放して次に進む
たとえば、選択肢が多すぎて1の段階で固まっている子に「早く決めて」と急かしても、止まる場所は変わりません。反対に、心の中では決まっているのに4の「伝える」で止まっている子もいます。この場合は、指さしや「はい・いいえ」で答えられる聞き方にするだけで、話が進むことがあります。
観察のコツは、1週間ほど、決められなかった場面をメモしておくことです。「どんな場面で」「何分くらい」「何と言っていたか」を書いておくと、止まる工程の傾向が見えてきます。このメモは、学校の先生や医師に相談するときにも、そのまま使えます。
困りごとが生活や学校生活に大きく影響している場合は、医療機関の受診を検討してください。診断を受けるかどうかは本人と家族が決めることで、急ぐ必要はありません。診断がなくても、次の章で紹介する手立ては使えます。

日常の場面では「選択肢を絞る・見える化・期限を先に言う」の3つが効きやすい
決め方の支えについて、国の資料にははっきりした方向性が書かれています。
厚生労働省の「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン(第2版)」(2026年9月)は、幅広い選択肢から選ぶことが難しい場合は、選択肢を絞った中から選べるようにしたり、絵カードや具体物を手がかりに選べるようにしたりする工夫を挙げています。また文部科学省の障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針は、合理的配慮の例として、写真カードやタブレット端末を使う、質問を「はい」か「いいえ」で答えられるようにするなどして、本人の自己選択・自己決定を支えることを挙げています。
どちらも福祉サービスや学校向けの資料ですが、考え方は家庭でもそのまま借りられます。場面ごとに整理すると、次のようになります。
| 場面 | 止まりやすいところ | 手立ての例 |
|---|---|---|
| 服 | 組み合わせが多く、比べる観点が決まらない | 前の晩に2セットだけ出しておく。平日用の組み合わせを写真に撮って並べておく |
| 食事・外食 | メニューが多い。周りを待たせる焦りで余計に決まらない | 店に入る前にメニューを見て2つに絞っておく。決まらなければ「いつもの」を決めておく |
| 買い物 | 値段・色・機能など観点が多い。買ったあとも迷いが続く | 先に「予算」と「一番大事な条件を1つ」だけ決める。返品できるかを確かめてから選ぶ |
| 課題の順番 | 全部が同じ重さに見え、どれから手をつけるか決まらない | 課題を付せんに1枚ずつ書き、提出の期限の近い順に並べる。最初の1つだけ親子で決める |
| 休日の予定 | 予定が決まらないまま1日が過ぎ、自分を責める | 「午前に1つだけやること」を前の晩に決める。何もしない日も予定の1つとして認める |
出典:厚生労働省「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン(第2版)」/文部科学省「文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」(令和6年4月1日施行。いずれも2026年9月確認)。表の手立ては、両資料の考え方を家庭の場面に当てはめた一例です。
3つの手立ての要点を補足します。
- 選択肢を絞る:2〜3個が目安です。絞る作業そのものが難しいときは、最初は親が絞り、慣れてきたら「3つから2つに減らす」ところを本人に任せます。
- 見える化する:頭の中だけで比べるのは、実行機能に大きな負荷がかかります。紙に書く、実物を並べる、写真を見比べるなど、目で見て比べられる形にします。
- 期限を先に言う:「早くして」ではなく、「5時までに決めてね。決まらなかったら今日はAにしよう」のように、いつまでに決めるかと、決まらなかったときにどうなるかを最初に伝えます。先が見えることで、不安が小さくなります。
「どっちでもいい」「好きにしていいよ」は、優しさのつもりでも一番難しい問いになりがちです
子どもの気持ちを尊重したくて「どっちでもいいよ」「あなたが決めていいよ」と言うのは、自然なことです。ただ、選択肢も基準も期限もない問いは、決めることが苦手な子にとって、最も工程の多い問いになります。
聞き方を少し変えるだけで、答えやすさは大きく変わります。
- 「何が食べたい?」 → 「カレーとうどん、どっちがいい?」
- 「どうする?」 → 「今日は行く? それとも来週にする?」
- 「好きにしていいよ」 → 「AとBならどっちも大丈夫。5分で決まらなかったら、お母さんがAにしておくね」
もう1つ大切なのは、「まだ決めない」を正式な選び方として認めることです。厚生労働省のガイドライン(第2版)は、意思決定支援の定義で、本人が決定を強いられず、決定しない、保留する、変更する、誰かと一緒に考えることも含めて自律性が確保されることが大切だとしています。また、迷いや修正を繰り返す過程そのものも、意思決定の一部として定義に含めています。
「保留にしてもいい。ただし、いつもう一度考えるかだけ決めよう」と伝えると、本人は逃げ道を持ったまま考えられます。決めたあとに「やっぱり変えたい」と言ってきたときも、変えられるものなら変えてよい、と受け止めてください。決め直しを許される経験が、次に決めるときの安心材料になります。

進路は「一度で決める」ではなく「体験→比較→仮決め」の順で進めます
服や食事と違い、高校選び・転校・大学進学は、選択肢が多く、先の見通しが立ちにくく、やり直しにくいと感じやすい選択です。決めることが苦手な子にとっては、特に負荷の高い場面になりやすいものです。
厚生労働省のガイドライン(第2版)は、何を食べるか・何を着るかといった日常の選択は本人ができる一方で、将来に関わる選択では、より丁寧な情報提供や段階的な経験の機会を通じた支援が必要になる場合がある、としています。また、初めての慣れない場所では緊張して普段どおりの意思表示ができないことや、体験利用を活用して経験に基づいて選べるようにする方法にも触れています。
これを進路に当てはめると、次の順番になります。
- 体験する:説明会・体験授業・見学に行く。行けない場合はオンラインの説明会から。1回で判断しない
- 比べる:通い方・学費・卒業までの支えなど、比べる観点を3つ程度に絞り、表にして並べる
- 仮に決める:「今の時点ではA」と仮に決め、もう一度体験してから本決めにする
学校を比べる観点の作り方は、通信制高校 選び方の記事で8つの項目に整理しています。すべてを比べる必要はなく、本人にとって大事な3つを選ぶところから始めてください。
進路の場面ごとに、使える公的な支えを整理します。
| 場面 | 使える支え | 確かめる先 |
|---|---|---|
| 高校受験 | 障害のある受検者への配慮の申請。東京都立高校の例では、検査時間の延長、問題用紙の拡大、記号選択式での受検、ICT機器の使用などが認められ、中学校で受けている配慮を参考に個別に決まる | 在籍する中学校(東京都の例では申請は中学校長を通す)。都道府県ごとの入学者選抜の実施要綱 |
| 高校在学中・転校 | 合理的配慮の提供。個別の教育支援計画(発達障害者支援法第8条)。高校での通級による指導(平成30年度から) | 在籍する高校の担任・特別支援教育コーディネーター。転校先の学校 |
| 大学入試(共通テスト) | 受験上の配慮。発達障害の場合、試験時間の延長(1.3倍・1.5倍)、別室受験、チェック解答などを申請できる | 大学入試センター(診断書と、高校などでの配慮の状況報告書が必要。1.5倍の延長を申請する場合は、校長や専門家が作成した資料も必要) |
| 大学在学中 | 合理的配慮の提供は、国公立は2016年4月から、私立も2024年4月から法律上の義務。発達障害者支援法第8条第2項にも大学の配慮が定められている | 各大学の障害学生支援の窓口 |
| 学校の外 | 発達障害者支援センター(本人と家族の相談、情報提供、関係機関との連絡調整) | 都道府県・指定都市ごとのセンター |
出典:東京都教育委員会「障害のある受検者に対する配慮」(令和8年度入学者選抜)/発達障害者支援法 第8条・第14条/学校教育法施行規則 第140条/文部科学省「通級による指導の概要について」/大学入試センター「令和9年度 大学入学共通テスト受験上の配慮Q&A」/発達障害情報・支援センター「発達障害者支援センター・一覧」(いずれも2026年9月確認)
いくつか補足します。
- 高校入試の配慮は都道府県ごとに要綱で決まります。東京都の例はあくまで一例で、申請の時期や様式は地域によって違います。高校進学の配慮と進学先の種類は発達障害 高校進学の記事にまとめています。
- 通級による指導は、学校教育法施行規則第140条で、自閉症・学習障害・注意欠陥多動性障害などのある生徒について、高校でも特別の教育課程を組めるとされているものです。在籍する学校で受けられるかは、学校に確かめます。
- 共通テストの受験上の配慮は、高校で受けていない配慮でも申請でき、個々の状態を総合的に見て審査されます。令和9年度の申請期間は、第1期が7月1日〜8月28日、第2期が8月31日〜10月2日(いずれも必着の場合)です。
- 大学で配慮を受ける学生は増えています。日本学生支援機構の調査では、大学・短大・高専で把握されている発達障害のある学生は、平成29年度の5,174人から令和5年度の11,706人へ約2倍になりました(日本学生支援機構 障害のある学生の修学支援に関する実態調査 第6章)。
今の高校から別の学校へ移るかどうかで迷っている場合は、高校 転入の記事で、公立・私立・通信制ごとの条件と手順を確かめられます。転校の話し合いも、上の「体験→比較→仮決め」の順で進めると、本人が置いていかれにくくなります。
※2026年9月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。
合理的配慮は本人が伝えるのが基本。うまく言えないときは、家族が補佐して伝えられます
学校で配慮を受けるときの根拠は、障害者差別解消法です。第7条第2項(国公立の学校など)と第8条第2項(私立学校などの事業者)は、障害のある人から社会的障壁を取り除いてほしいという意思の表明があり、負担が過重でないときは、必要かつ合理的な配慮をしなければならない、と定めています。私立学校などの事業者にもこの義務が課されたのは、2024年4月1日の改正法の施行からです。
ここで、決めることが苦手な子にとって難しいのが、「どんな配慮がほしいか」を自分で決めて伝えることです。文部科学省の対応指針は、この点について次の2つを示しています。
- 意思の表明には、本人からの表明だけでなく、障害の特性などで本人が表明するのが難しい場合に、家族などが本人を補佐して行う表明も含まれる
- 配慮の内容は、学校と本人側の建設的対話による相互理解を通じて、代わりの方法も含めて柔軟に決める
つまり、本人が一人で完璧な希望を言える必要はありません。家庭で「どの工程で止まるか」をメモしておき、「選択肢を絞って示してもらえると答えやすい」「進路の面談は事前に質問を紙で渡してほしい」のように、具体的な場面と手立てをセットにして学校に相談するのが現実的です。申請の一般的な流れは合理的配慮 申請の記事にまとめています。
ただし、配慮は教育の目的や評価の公平さを変えるところまでは及ばない、というのが対応指針の考え方です。「決められないから進路希望調査を出さなくてよい」ではなく、「出し方や期限の示し方を調整してもらう」という形で相談すると、話が進みやすくなります。

親が代わりに決めるのは悪いことではありません。ただ、理由を伝えて次は本人に戻します
決まらないまま時間が過ぎると、つい親が決めてしまうことがあります。そして「また私が決めてしまった。だからこの子は決められないままなのでは」と、ここでも自分を責めてしまう。けれども、手続きの期限が迫っているときや、安全にかかわるときに親が決めるのは、ごく当たり前のことです。
気をつけたいのは、代わりに決めることが続いて、本人の気持ちが見えなくなることです。厚生労働省のガイドライン(第2版)は、体験の機会を用意するのは本人の選択肢を広げるためで、支援者が望む方向へ本人を導くためのものであってはならないこと、本人の意思や好みが周りの判断や意見に置き換えられてしまわないようにすることを求めています。福祉サービス向けの資料ですが、家庭で進路を話し合うときにも大切な視点です。
| 決め方 | 向いている場面 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 親が決める | 手続きの期限が近い、安全にかかわる、本人が「決めて」と頼んだ | 理由を短く伝える。次の似た場面では本人に戻すと約束する |
| 親が絞り、本人が選ぶ | 日常の選択の多く。本人が疲れているとき | 絞った選択肢に、本人が本当は選びたくない物だけを並べない |
| 一緒に決める | 進路・転校・お金のかかること | 親の意見は最後に言う。本人が先に話せるように待つ |
| 本人が決める | 服・趣味・休日の過ごし方など、失敗しても取り返せること | 結果が思わしくなくても責めない。決めたこと自体を認める |
ガイドラインは、うまくいかなかった選択も、単に間違いだったと評価するのではなく、その人なりの試行錯誤や学びの過程として受け止める視点が大切だとしています。高校生の時期は、失敗しても取り返せる小さな選択を、本人が自分で決める経験を積み重ねる時期でもあります。
親が決めてきたことを後悔する必要はありません。今日から「親が決める」の一部を「親が絞り、本人が選ぶ」に移していけば十分です。
選択肢の1つとしてのオンラインの通信制サポート校(正直な注意点)
決めることの負担は、本人の特性だけでなく、毎日の環境からも生まれます。時間割どおりに動き、休み時間の過ごし方や人との距離を毎日その場で判断し続ける全日制の生活が、決めることの苦手な子にとって、大きな消耗になっていることもあります。
NIJIN高等学院(ニジ高)は、発達特性や障害を、本人を変えるのではなく学びの構造や環境を変えることで支援するという新しいアプローチを取っているオンライン中心の通信制高校サポート校です。カメラやマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、生活リズムに波があっても学べるよう、授業のアーカイブ視聴や中学内容の学び直しにも対応しています。担任制で、転入・編入もでき、出願費用は無料です。
そのうえで、正直な注意点も書いておきます。
- ニジ高は高校ではありません。卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングへの参加が必要です。ニジ高の中でのスクーリングはありません
- 提携する通信制高校のスクーリングに、ニジ高のスタッフは付き添いません。ニジ高がするのは日程の調整と準備の支援です。慣れない場所が苦手な場合は、事前に相談してください。スクーリングの形や日程は、個別相談会で詳しくご案内しています
- 費用は、提携する通信制高校の分とニジ高の分の両方がかかり、ニジ高の分に就学支援金は使えません。金額は学費のご案内で確かめてください。通信制高校全体の費用の目安は通信制高校 学費の記事にまとめています
- 診断や服薬などの医療の判断は、主治医や専門機関にご相談ください
学校選びも、決めることが苦手な子にとっては大きな選択です。説明会を1回聞いただけで決める必要はありません。体験して、比べて、仮に決める。その順番で、ほかの学校と並べて検討してください。よくある疑問はよくある質問のページにもまとめています。
迷ったときの進め方(3ステップ)
- 1週間、止まる場面をメモする:どんな場面で、何分くらい、何と言っていたかを書きます。「選択肢を知る・比べる・選ぶ・伝える・切り替える」のどこで止まっているかの見当をつけます。
- 家の中の選択を1つだけ変える:服、夕飯、課題の順番など、毎日ある選択を1つ選び、「2つに絞る」「見える形にする」「期限を先に言う」を2週間続けます。うまくいったら、次の場面に広げます。
- 学校や相談先と共有する:メモと、家でうまくいった手立てを担任や特別支援教育コーディネーターに伝え、配慮を相談します。学校の外で相談したい場合は、お住まいの地域の発達障害者支援センターを利用できます。困りごとが大きいときは、医療機関の受診も検討してください。


決めることに疲れる毎日を、環境から変える選択肢もあります
ニジ高はオンライン中心の通信制高校サポート校です。カメラオフ・チャット参加から始められ、転入・編入もできます。ただし学院は高校ではなく、卒業資格は提携する通信制高校で取り、そのスクーリングへの参加が必要です。決めきれない段階の相談も、個別相談会でお受けしています。
よくある質問
Q. 決められないのは、発達障害があるからでしょうか。
A. 決められないことだけで、発達障害があるかどうかは分かりません。見通しの持ちにくさや不安の強さ、段取りの苦手さなどは、程度の差はあっても多くの人に見られるものです。生活や学校生活への影響が大きく、本人や家族が困っている場合は、医療機関に相談して判断してください。診断の有無にかかわらず、選択肢を絞る・見える化するといった手立ては使えます。
Q. 選択肢を絞ってあげると、いつまでも自分で決められなくなりませんか。
A. 全部を任せて決められない経験が続くより、絞った中で「自分で選べた」経験を重ねるほうが、次の選択につながりやすいと考えられます。厚生労働省のガイドラインも、選択肢を絞った中から選べるようにする工夫を挙げています。慣れてきたら、3つから2つに減らす作業を本人に任せるなど、少しずつ本人の担当を増やしていきます。
Q. 進路希望調査が出せず、提出の期限が近づいています。
A. 担任の先生に「今の時点で決めきれていない」ことをそのまま伝え、仮の希望として出せるか、期限を調整できるかを相談してください。進路希望調査の扱いは学校によって違うので、後から希望を変えられるかどうかも、あわせて担任に確かめておくと安心です。1つに絞れないなら、候補を複数書く出し方ができるかを聞いてみる方法もあります。
Q. 本人が「全部お母さんが決めて」と言います。
A. 疲れているとき、不安が強いときにそう言うのは自然なことです。その場は親が決めて構いません。そのうえで「今日はお母さんが決めたよ。理由はこう。次の週末の予定は、2つの中から選んでね」と、次の小さな選択を本人に戻しておくと、決める経験が途切れません。
Q. どこに相談すればよいか分かりません。
A. 学校の中なら、担任の先生、特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラーです。学校の外なら、都道府県や指定都市ごとにある発達障害者支援センターが、本人と家族の相談を受けています。センターの事業内容には地域差があるので、お住まいの地域のセンターに問い合わせてください。医療の判断が必要な場合は、かかりつけ医などに相談してください。
決められない時間も、本人がちゃんと考えている時間です
迷っている間、本人は何もしていないのではありません。選択肢を思い浮かべ、比べ、うまくいかなかったらどうしようと考え、そのたびに疲れています。外から見える「決められない」の内側には、たくさんの「考えている」が詰まっています。
決めることが苦手なのは、親のせいでも、本人のせいでもありません。選び方の環境を少し変えるだけで、決められる場面は少しずつ増えていきます。今日は、夕飯のメニューを2つに絞って聞いてみるところから始めてみてください。
まだ決められない段階でも、話を聞くところから始められます
全国どこからでもカメラ・マイクはオフでOK転入・編入は随時受付
通信制高校サポート校 NIJIN高等学院(ニジ高)/出願費用は無料です。無理に勧めることはありません。

