高校生の昼夜逆転やゲームばかりの生活は、手遅れではありません。ゲームを取り上げる前に、まず「起きる時間」を少しずつ戻し、昼夜逆転の背景にある学校のしんどさや体調に目を向けることが、立て直しの近道です。
夜中までゲームをして、昼過ぎに起きる。学校にも行かず、部屋から出てこない。そんな子どもの姿に、「このままで大丈夫なのか」と不安になる保護者の方は多いと思います。この記事では、厚生労働省の睡眠ガイドやゲーム障害の解説、内閣府のひきこもりに関する調査をもとに、昼夜逆転とゲームばかりになる背景、家庭でできる戻し方、受診や相談の目安、そして学校の選び直しまでを整理しました。
結論:高校生の昼夜逆転・ゲームばかりの早見
- 手遅れではない。生活リズムは戻せます。ただし一気に戻そうとすると失敗しやすいので、少しずつが基本です。
- 中学・高校生に必要な睡眠は8〜10時間が目安。厚生労働省の睡眠ガイドにもとづく数字です。
- ゲームは「原因」より「逃げ場」になっていることが多い。取り上げる前に、学校や人間関係のしんどさがないかを見ます。
- ゲームが生活に深刻な支障を与えているときは相談を。WHOは2019年に「ゲーム障害」を国際疾病分類に加えました。相談先は精神保健福祉センターなどです。
- 学校が合わないなら、学び方を選び直せる。通信制高校は、自分のペースで生活リズムを整えながら卒業を目指せる選択肢の一つです。
高校生の昼夜逆転・ゲームばかりは手遅れではない
高校生の昼夜逆転は、珍しいことではありません。思春期は体内時計が夜型にずれやすい時期で、夜にスマホやゲームの光を浴びると、さらに眠くなりにくくなります。そこに「学校に行きたくない」という気持ちが重なると、朝起きる理由がなくなり、昼夜が逆転しやすくなります。
大切なのは、昼夜逆転やゲームばかりの状態を「怠け」と決めつけないことです。夜中にゲームをしているのは、昼間の時間がつらいから、ゲームの中だけが安心できる場所だから、ということも少なくありません。生活の乱れは結果であって、その奥に本人なりの理由があることが多いのです。
そして、生活リズムは何歳からでも整え直せます。いま昼夜逆転していても、本人が「戻したい」と思えたときに、戻す方法を一緒に考えられれば十分です。

なぜ昼夜逆転・ゲームばかりになるのか|よくある背景
| 背景 | よくある様子 | まず見たいこと |
|---|---|---|
| 学校や人間関係のしんどさ | 朝になると腹痛や頭痛、日曜の夜に落ちこむ | 学校で何かつらいことがないか |
| ゲームやネットが唯一の居場所 | オンラインの友だちとだけ話す | ゲーム以外につながりがあるか |
| 体内時計のずれ | 夜は目がさえ、朝はどうしても起きられない | 起きる時間が毎日ばらばらになっていないか |
| 体や心の不調 | だるさ、気分の落ちこみ、立ちくらみ | 医療機関に相談したほうがよい症状がないか |
| 目標や予定がない | 起きてもやることがない | 朝起きる「理由」が一つでもあるか |
いくつかの背景が重なっていることも多いので、「原因はこれ」と一つに決めつけないことが大切です。本人に聞くときも、問いつめるのではなく、「最近、夜眠れてる?」「朝つらい?」と体調の話から入ると答えやすくなります。
高校生に必要な睡眠は8〜10時間
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、こどもの睡眠時間の目安として、小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間をあげています。そのうえで、朝は太陽の光を浴び、朝食をしっかりとり、日中は体を動かし、夜更かしはほどほどに、と呼びかけています。
昼夜逆転していると、睡眠時間そのものは足りていても、朝の光を浴びる・朝食をとる・日中に動くといった、体内時計を整えるきっかけがなくなってしまいます。「何時間寝たか」より「何時に起きて、朝の光を浴びたか」を意識すると、リズムを戻しやすくなります。
※睡眠時間の目安は、厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」の一般向けの資料によります(2026年10月確認)。
昼夜逆転を戻す5つのステップ
一気に朝型に戻そうとすると、反動でまた崩れやすくなります。次のステップを、本人と相談しながら少しずつ進めてみてください。

- 起きる時間を決める:いきなり朝7時ではなく、いまより30分〜1時間早い時間から始め、数日ごとに少しずつ前にずらします。
- 起きたらカーテンを開けて光を浴びる:朝の光は体内時計を整える大きなきっかけです。ベランダや玄関先に出るだけでもかまいません。
- 朝か昼に1食をとる:食事の時間が決まると、体のリズムも整いやすくなります。
- 日中に予定を1つ入れる:散歩、買い物、オンライン授業、通院など、小さくても「起きる理由」をつくります。
- 寝る前の画面の時間を本人と決める:親が一方的に決めるのではなく、「何時からは画面を見ない」を本人と話し合って決めます。
うまくいかない日があっても大丈夫です。崩れても、次の日にまた起きる時間を守れば戻せます。できた日を一緒に喜ぶことのほうが、できなかった日を責めるより効果があります。休日も起きる時間を平日と大きく変えないようにすると、週明けに崩れにくくなります。

ゲームばかりのとき、取り上げる前に考えたいこと
ゲームばかりの姿を見ると、「ゲームを取り上げれば解決する」と考えたくなるかもしれません。けれど、本人にとってゲームが唯一の居場所や友だちとのつながりになっている場合、突然取り上げると、強い反発や親子関係の悪化につながることがあります。
- ルールは本人と一緒に決める:時間、場所、終わる時刻など。守れたかどうかを本人が確認できる形にします。
- ゲームの話を聞いてみる:どんなゲームが好きか、誰と遊んでいるか。関心を持つことが、会話のきっかけになります。
- ゲーム以外の時間を少しずつ増やす:削るより、ほかの楽しいことを足す発想のほうが続きやすくなります。
「ゲーム障害」とは
厚生労働省によると、WHOは2019年5月の総会で、国際疾病分類(ICD-11)に「ゲーム障害」を新たに加えました。特徴として、ゲームをする時間や頻度、やめるタイミングなどを自分でコントロールできない、ほかの関心ごとや日常の活動よりゲームを優先する、問題が起きてもゲームを続ける・増やす、そして家庭・学校・人間関係などに重大な支障が出ている、といった点があげられています。こうした状態は通常12か月ほど続いて判断されます。
「ゲームばかり」がすべてゲーム障害というわけではありません。ただ、家族だけではどうにもならないと感じたら、早めに専門の窓口に相談してかまいません。
引きこもりの高校生は少なくない|内閣府の調査から
内閣府の「こども・若者の意識と生活に関する調査」(令和4年度)では、ふだん自宅にいて、趣味の用事やコンビニなどにしか出かけない状態が6か月以上続いている人などを「広義のひきこもり」としています。その割合は、15〜39歳で2.05%、40〜64歳で2.02%でした。15〜64歳全体では、全国で約146万人(およそ50人に1人)と推計されています。

およそ50人に1人という数字は、ひきこもりが一部の特別な人の問題ではないことを示しています。家から出られない時期があっても、それは本人の人格の問題ではありません。三重県の案内でも、ひきこもっている人は「たまたま困難な状況にある人」であり、ひきこもりという病気があるわけではない、と説明されています。
※出典:内閣府「こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)」、三重県「ひきこもりとは」(2026年10月確認)。
相談・受診の目安と窓口
次のようなときは、家族だけで抱えずに相談してください。本人が行けなくても、家族だけで相談できる窓口がほとんどです。
| こんなとき | 相談先の例 |
|---|---|
| 朝のだるさ、頭痛、立ちくらみなど体の不調が続く | かかりつけの小児科・内科 |
| 気分の落ちこみ、眠れない、食欲の変化が2週間以上続く | 精神科・心療内科、スクールカウンセラー |
| ゲームをやめられず、生活に大きな支障が出ている | 都道府県・指定都市の精神保健福祉センター、依存症対策全国センター(久里浜医療センター)の情報 |
| 家から出られない状態が長く続いている | ひきこもり地域支援センター(すべての都道府県・指定都市に設置) |
| 「死にたい」と口にする、命の危険を感じる | 24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)、119番 |
※厚生労働省「ゲーム依存症対策」、厚生労働省「ひきこもりVOICE STATION」、同「まもろうよ こころ」をもとに作成(2026年10月確認)。ひきこもり地域支援センターは本人・家族・きょうだい誰からでも相談できると案内されています。
学校に行けない日が続くときの単位と選択肢
昼夜逆転で学校に行けない日が続くと、心配になるのが単位と進級です。高校は科目ごとに単位を修得するしくみで、欠課時数が一定を超えると単位が認められないことがあります。上限は学校ごとに決められているので、まずは担任に科目ごとの欠課時数を確認しましょう。詳しくは高校は何日休んだら留年?で解説しています。
いまの学校に戻るのが難しいときは、学び方を選び直すこともできます。
| 選択肢 | 特徴 | 生活リズムとの関係 |
|---|---|---|
| いまの学校に戻る | 別室登校や短い時間の登校から始められる場合も | 毎朝決まった時間に起きる必要がある |
| 休学 | 在籍を残したまま休む | まずは体調と生活を整える期間にできる |
| 通信制高校へ転校 | 修得単位や在籍期間を引き継げることが多い | 登校日数が少なく、自分のペースでリズムを整えやすい |
通信制高校は登校日数が少ない分、自分で生活を組み立てる力も必要です。昼夜逆転したままだと、レポートやスクーリングが続かないこともあります。担任やサポート校の伴走を受けながら、少しずつリズムを整えていく形が向いている人も多いです。通信制高校での1日の過ごし方は通信制高校の1日の過ごし方で紹介しています。
高校生本人へ:昼夜逆転から抜け出したいとき
この記事を読んでいる高校生のあなたへ。昼夜逆転していると、「このままじゃだめだ」と自分を責める気持ちと、「でも朝起きられない」という体の重さの間で、しんどくなることがあると思います。夜にゲームをしているのは、昼間の時間がつらいからかもしれません。それは自分を守るための行動でもあります。
抜け出したいと思えたら、まずは「明日はいつもより30分だけ早く起きる」ことから始めてみてください。起きたらカーテンを開けて、5分だけ窓の外を見る。それだけでも体内時計にとっては大きな一歩です。ゲームをやめる必要はありません。「この時間になったらセーブする」と自分で決めて、守れた日は自分をほめてあげましょう。
ひとりで戻すのが難しいときは、家族や先生、相談窓口を頼ってかまいません。学校のことが原因なら、学校を変えるという選択肢もあります。
保護者の方へ:焦りすぎないために
毎晩遅くまで聞こえるゲームの音、昼過ぎまで閉まったままの部屋のドア。毎日見ていると、保護者の方も疲れてしまいます。それでも、強く叱る・無理に起こす・ゲームを取り上げるといった対応は、一時的に生活が変わっても、親子の信頼が崩れて長続きしないことがあります。
- 朝は声をかけるだけにし、起きてこなくても責めない
- 食事の時間は家族で決めておき、一緒にとれたらそれでよしとする
- ゲームや動画の話を否定せずに聞く
- 保護者自身も、ひきこもり地域支援センターや家族会などで相談する
家族が相談先を持つことは、子どもに「困ったときは相談していい」と見せることにもなります。
生活リズムを整えながら学び直す選択肢として|NIJIN高等学院
私たちNIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制サポート校です。自宅から授業に参加でき、担任が学習の進み具合や生活のリズムを見ながら、一緒に計画を立てます。カメラやマイクをオフにして、チャットだけで参加するところから始められます。ゲームや動画、プログラミングなど、好きなことをきっかけにしたプロジェクトに取り組める機会もあります。
正直な注意点も書いておきます。ニジ高そのものは高校ではありません。高校卒業の資格は提携する通信制高校で取り、提携校のスクーリング(面接指導)への参加が必要です。費用は提携校の分とニジ高の分がかかり、ニジ高の分には高等学校等就学支援金は使えません。金額は学費のご案内で公開しています。オンライン中心でも、朝起きて授業に参加する、レポートを期限までに出すといった生活の土台は、少しずつつくっていく必要があります。


生活リズムと学び方を、一緒に整理しませんか
個別相談では、いまの在籍状況や単位、生活の様子をうかがいながら、いまの学校を続ける場合と転校する場合の見通しを、事実にもとづいてお伝えします。保護者の方だけの参加もできます。
よくある質問
寝る時間より先に「起きる時間」を決め、いまより30分〜1時間早い時間から少しずつ前にずらします。起きたらカーテンを開けて光を浴び、朝か昼に1食とり、日中に1つ予定を入れると戻りやすくなります。体の不調が続くときは医療機関に相談してください。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、中学・高校生の睡眠時間の目安を8〜10時間としています。あわせて、朝の光を浴びる、朝食をとる、日中に体を動かすことがすすめられています。
いきなり取り上げると、強い反発や親子関係の悪化につながることがあります。時間や終わる時刻などのルールを本人と一緒に決め、ゲーム以外の時間を少しずつ増やす方法がおすすめです。生活に深刻な支障がある場合は、精神保健福祉センターなどに相談できます。
手遅れではありません。内閣府の調査では15〜39歳の2.05%が広義のひきこもりの状態にあり、決して特別なことではありません。ひきこもり地域支援センターは本人や家族が相談でき、学び方を選び直すこともできます。
通信制高校は登校日数が少なく、自分のペースで学べる学校が多くあります。ただし、レポートの提出やスクーリングへの参加は必要です。担任やサポートを受けながら、少しずつ生活リズムを整えていくことが大切です。
まとめ:昼夜逆転は「起きる時間」から、少しずつ戻せる
高校生の昼夜逆転やゲームばかりの生活は、手遅れではありません。大切なのは、ゲームを取り上げる前に背景に目を向けること、起きる時間から少しずつ戻すこと、家族だけで抱えずに相談することの3つです。
そして、いまの学校に戻ることだけがゴールではありません。休学や通信制高校など、生活リズムを整えながら学び直せる道もあります。焦らず、本人と一緒に一歩ずつ進んでいきましょう。
学び方を誰かと一緒に考えたくなったときのために、相談の入口を置いておきます。

あわせて読みたい
参考文献・出典
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」一般向け資料(https://www.mhlw.go.jp/content/001298243.pdf)
- 厚生労働省「ゲーム依存症対策」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000176279_00001.html)
- 内閣府「こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)」(三重県の資料による年齢別の出現率)
- 三重県「ひきこもりとは」(https://www.pref.mie.lg.jp/HIKIKOMORI-INFO/hikikomoritoha.html)
- 厚生労働省「ひきこもりVOICE STATION」相談窓口(https://hikikomori-voice-station.mhlw.go.jp/support)
- 厚生労働省「まもろうよ こころ」(https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/)
※いずれも2026年10月確認。この記事は医療上の診断を行うものではありません。

