学習障害(LD)の高校生の進路は?|読み書き計算のつまずきと入試の配慮【2026】

教科書を読むのに、周りの何倍も時間がかかる。板書を写し終わる前に消されてしまう。計算の手順が、何度練習しても頭に残らない。学習障害(LD)のある高校生や保護者の方が「この先の進路はどうなるのか」と調べても、多くの情報は「特性に合った学校を選びましょう」で終わってしまい、何から手をつければいいのか分からないままになりがちです。

先に結論を書きます。学習障害のある高校生の進路は、「読む・書く・計算する」のどこで、どれくらい困っているかを分けて書き出し、それぞれに「代わりの手段」と「配慮を受けた記録」を用意しながら学校を選ぶのが近道です。高校入試でも大学入学共通テストでも、配慮を決めるときには、それまでの学校で受けてきた配慮が土台になるからです。

この記事は、文部科学省の学習障害の定義(平成11年の報告)、発達障害ナビポータル、文部科学省の令和4年の調査、障害者差別解消法と文部科学省の対応指針、高校の通級による指導の資料、高校入試の配慮の参考資料、大学入試センターの令和9年度の受験上の配慮案内を、2026年9月27日に実際に開いて確認した内容で書いています。診断や治療の判断をする記事ではありません。医療のことは主治医や専門の相談窓口に確かめてください。

読み書きや計算の負担が大きい教室に毎日通うのが難しい場合や、もっと自分らしい高校生活を探している場合は、オンラインという選択肢もあります。NIJIN高等学院(ニジ高)は「オンラインで最高の青春を」を掲げる通信制高校サポート校で、全国の仲間とオンラインでつながり、企業や地域と関わるプロジェクトや、生徒が自分たちで企画する行事に挑戦できます。カメラやマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、全国にNIJINアカデミー(ニジ高はその高等部)のリアルの教室があり、リアルでの通学もご検討いただけます。ニジ高は高校ではないため、卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングには参加が必要です。どんな学校なのかは、校長・星野達郎のYouTubeでも見られます。

目次

結論:学習障害(LD)の高校生の進路と学校選びの早見

  • 学習障害は努力不足ではありません。文部科学省の定義では、全般的な知的発達に遅れはないのに、聞く・話す・読む・書く・計算する・推論する力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難がある状態です。医学では「限局性学習症」と呼ばれます。
  • 公立高校(全日制・定時制)の調査では、担任などから見て「学習面で著しい困難を示す」とされた生徒は1.3%。学習面か行動面で困難を示すとされた生徒のうち、校内委員会で支援が必要と判断されていたのは20.3%でした(令和4年)。
  • 読み書きに困難のある生徒への読みやすい資料・タブレット等のICT機器・筆記に代えた口頭試問は、文部科学省の対応指針に合理的配慮の例として書かれています。私立高校も2024年4月から提供が法的義務です。
  • 高校の通級による指導は2018年度から。学習障害も対象で、年間7単位まで卒業の単位に入ります。ただし学習障害で通級を受けている高校生は、全国で259人(令和5年度)です。
  • 学校選びで比べるのは「入試の方法」「授業とレポートの形」「書く量」「配慮の頼み方」の4つ。通信制高校323校のうち、入試に学力検査を使うと答えたのは91校でした。
  • 大学を考えるなら、共通テストの配慮の申請には高校での配慮の「状況報告書」が要ります。高1・高2のうちから、受けた配慮を記録しておくと後で役立ちます。
  • 一人で続けにくいときは、オンライン中心のサポート校(NIJIN高等学院など)で、授業のアーカイブを見返しながら通信制高校の卒業をめざす方法もあります。
オンラインで学ぶNIJIN高等学院の生徒

NIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制サポート校です。全国どこからでも。カメラ・マイクはオフのままで大丈夫です。

体験説明会を見てみる →

学習障害は「努力が足りない」状態ではありません。国の定義は「知的発達の遅れはないが、特定の力に著しい困難」です

進路の話に入る前に、言葉の意味をそろえておきます。学習障害という言葉は、学校(教育)の場と、病院(医療)の場とで、少しずつ違う意味で使われているからです。

文部科学省が平成11年7月2日にまとめた報告「学習障害児に対する指導について」では、学習障害を「基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態」と定めています。原因は中枢神経系に何らかの機能障害があると推定され、視覚障害・聴覚障害・知的障害・情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない、とも書かれています。

出典:文部科学省「学習障害児に対する指導について(報告)」(2026年9月27日確認)

一方、国立障害者リハビリテーションセンターと国立特別支援教育総合研究所が運営する発達障害ナビポータル「限局性学習症」(2026年9月27日確認)では、医学の立場から「限局性学習症(SLD)」として説明しています。主なものとして読字不全(読み障害。発達性ディスレクシア)、書字障害、算数障害の3つが挙げられています。算数の障害は、数処理・数概念・計算・数的推論の4つの領域に分けて説明されています。

観点 教育の場(文部科学省の定義) 医療の場(限局性学習症)
呼び方 学習障害(LD) 限局性学習症(SLD)
困難の範囲 聞く・話す・読む・書く・計算する・推論する 読字不全(読み障害)・書字障害・算数障害(数処理、数概念、計算、数的推論)
判断のしかた 学校の校内委員会が困難の実態を確かめ、専門家チームが検査などをもとに判断する 医師などが知的能力の評価や読み書きの検査などを行って診断する
主に使われる場面 学校での支援、通級による指導 診断書、医療機関での相談

出典:文部科学省「学習障害児に対する指導について(報告)」/発達障害ナビポータル「限局性学習症」「学習障害(LD)」(2026年9月27日確認)

どのくらいの人に見られるかについて、同じページでは、日本語を話す人の読字の障害(ディスレクシア)は「少なくとも2〜3%」と考えられているとしています。算数の障害は、欧米では5〜7%とされる一方、日本国内での実態は明らかになっていないとされています。

進路を考えるときに役に立つのは、診断名そのものよりも、「どの場面で、何に、どれくらい時間がかかるか」という具体的な情報です。診断を受けているかどうかにかかわらず、まずはここを書き出すところから始めましょう。読み書きの困難に絞った詳しい話は、ディスレクシア 高校の記事にまとめています。この記事では、計算の困難も含めた「進路と学校選び」に絞ります。

タブレットの読み上げを聞きながら教科書を読む高校生と保護者
読むことが苦手なら、音声教材などの代わりの手段を使える場合があります

困りごとは「読む・書く・計算する」で場面が違います。場面ごとに「代わりの手段」を先に考えます

高校では科目が細かく分かれ、教科ごとに先生が替わります。困りごとを「勉強が苦手」とひとまとめにせず、場面ごとに分けると、学校に何を頼めばいいかが見えてきます。

困難 高校で困りやすい場面 代わりの手段の例
読む 教科書、試験の問題文、英語の長文、配られるプリント 音声教材、問題文へのルビ振り、読み上げ、文字の拡大、読む部分だけが見える自助具(スリット)
書く 板書を写す、ノートやレポート、記述式の答案、漢字の書き取り 板書の撮影、プリントの配布、タブレット端末のワープロ機能で答える、筆記に代えて口頭で答える
計算する 数学、理科の計算、時間内に解き終える試験 つまずいた段階からの学び直し、試験時間の延長、別室での受験

出典:発達障害ナビポータル「限局性学習症」(板書撮影の許可、プリント配布、漢字のルビ振り、ICTの活用、試験時間の延長)/文部科学省 対応指針(令和6年1月17日)/文部科学省「高等学校入学者選抜における受検上の配慮に関する参考資料」(令和4年12月)(いずれも2026年9月27日確認)

発達障害ナビポータルは、学習の技能を伸ばすための指導と、こうした合理的配慮はバランスよく行う必要があるとしたうえで、配慮は本人の負担を軽くし、学ぶ意欲を保つことにもつながると書いています。「配慮に頼ると力がつかない」か「配慮さえあればいい」かの二択ではなく、両方を組み合わせるという考え方です。

もう1つ、計算が苦手な人が知っておきたい事実があります。高校の学習指導要領では、数学Ⅰ・英語コミュニケーションⅠ・現代の国語・情報Ⅰなどは、どの生徒も履修する「必履修科目」です(数学Ⅰと英語コミュニケーションⅠは、標準の3単位を2単位まで減らせる)。全日制でも定時制でも通信制でも、数学をまったく取らずに卒業することはできません。だからこそ「数学を避けられる学校」を探すより、「数学をどう学べるか・どう試験を受けられるか」を聞ける学校を探すほうが現実的です。

出典:文部科学省「平成30年改訂 高等学校学習指導要領 各学科に共通する教科・科目等及び標準単位数」(2026年9月27日確認)

文部科学省の令和4年の調査で、公立高校の全日制・定時制の生徒のうち学習面で著しい困難を示すとされたのは1.3%で、学習面か行動面で困難を示すとされた生徒のうち校内委員会で支援が必要と判断されていたのは20.3%だったことを示す図
出典:文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(概要)」令和4年12月

公立高校の調査では「学習面で著しい困難」とされた生徒は1.3%。支援につながっているのは一部です

文部科学省は令和4年1〜2月に、公立の小学校・中学校・高校の通常の学級で、特別な教育的支援を必要とする子どもの割合を調べました。高校が対象に入ったのは、この調査が初めてです。

困難の内容 小学校・中学校 高校
学習面または行動面で著しい困難 8.8% 2.2%
学習面で著しい困難 6.5% 1.3%
「読む」または「書く」 3.5% 0.6%
「計算する」または「推論する」 3.4% 0.6%
「聞く」または「話す」 2.5% 0.5%

出典:文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(概要)」令和4年12月(2026年9月27日確認)

読むときに注意したい点が3つあります。

  • 医師の診断にもとづく数字ではありません。学級担任などが質問項目に答えた内容から、知的発達に遅れはないものの著しい困難を示すとされた生徒の割合です。「学習障害のある高校生の割合」ではありません。
  • 高校は公立の全日制・定時制の1〜3年生だけが対象です。通信制高校や私立高校の生徒は入っていません。
  • 調査の有識者会議は、高校については入学者選抜があることや、課程・学科が多様であることが結果と関係しているのではないかとし、小学校・中学校と高校は切り分けて考える必要があるとしています。

同じ調査で、高校で「学習面または行動面で著しい困難を示す」とされた生徒(2.2%)が受けている支援も調べています。校内委員会で特別な支援が必要と判断されていたのは20.3%、通級による指導を受けていたのは5.6%、授業中に教室で個別の配慮を受けていたのは18.2%、個別の教育支援計画が作られていたのは10.5%でした。

つまり、高校では困っていても、学校の支援の仕組みに乗っていない生徒が多いというのが国の調査の姿です。高校は教科ごとに先生が替わるため、本人や家庭から伝えないと、困りごとが先生の間で共有されにくい場面もあります。「気づいてもらうのを待つ」より「こちらから伝える」ほうが、話が早く進みやすいと考えておきましょう。

配慮は法律にもとづく仕組みです。私立高校も2024年4月から義務になり、障害者手帳がなくても対象になり得ます

学校に配慮をお願いすることを、「特別扱いを頼むこと」と感じて遠慮してしまう人は少なくありません。けれども、合理的配慮は障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)にもとづく仕組みです。

  • 法律は2016年(平成28年)4月1日に施行され、国公立の学校などには、このときから合理的配慮の提供が義務づけられています。
  • 2021年(令和3年)の法改正で、それまで努力義務だった事業者(私立学校を運営する学校法人などを含む)の合理的配慮の提供も法的義務になり、改正法は2024年(令和6年)4月1日に施行されました。
  • 文部科学省の対応指針は、法律が対象とする障害者に当たるかどうかは個別に判断され、いわゆる障害者手帳を持っている人に限られないとしています。

出典:内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進」/文部科学省「文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針の策定について」(令和6年1月17日通知・4月1日施行。2026年9月27日確認)

この対応指針には、学習障害のある生徒に関係の深い例がはっきり書かれています。

  • 合理的配慮の例:読み・書き等に困難のある児童生徒等のために、授業や試験で読みやすい字体の資料を作る、タブレット端末等のICT機器の使用を許可する、筆記に代えて口頭試問で行う
  • 合理的配慮の例:入学試験で、本人・保護者の希望や障害の状況を踏まえ、別室での受験、試験時間の延長、音声読み上げ機能の使用などを許可する
  • 義務違反に当たると考えられる例:入学試験などで、筆記が難しいためにデジタル機器の使用を求められたのに、「認めた前例がない」という理由で、調整をせずに一律に断ること

ただし、配慮は自動的に始まるものではなく、本人や保護者の申し出から、学校との「建設的対話」を通じて決まります。希望した方法そのものが難しい場合でも、別の方法を一緒に探すのが対応指針の考え方です。申し出るときは「読むのが苦手です」ではなく、「長い問題文は、読み上げがあれば時間内に解けます」のように、場面と方法をセットで伝えると話が進みやすくなります。

教科書については、文部科学省の音声教材の仕組みもあります。発達障害などで紙の教科書を読むことが難しい児童生徒のための教材で、高校用も作られています。音声教材に関するQ&Aでは、原則として無償で提供を受けられること、医師の診断書は判断材料の1つだが申請に必須ではないこと、個人のほか学校や教育委員会から申請するケースもあることが説明されています(いずれも2026年9月27日確認)。自分が使う教科書の音声教材があるかは、提供団体の発行状況で確かめてください。

高校の通級は2018年度から。学習障害で通級を受けている高校生は、全国で259人です

「通級による指導」は、ふだんは通常の学級で授業を受けながら、障害に応じた特別の指導を別の時間に受ける仕組みです。小学校・中学校にはもともとありましたが、高校では2018年度に始まりました。

  • 平成28年12月9日に制度が公布され、平成30年(2018年)4月1日から高校でも実施されています。
  • 対象には、言語障害・自閉症・情緒障害・弱視・難聴・学習障害・注意欠陥多動性障害などのある生徒が含まれます。
  • 高校の通級で修得した単位は、年間7単位を超えない範囲で、卒業に必要な単位数に加えることができます。

出典:文部科学省「学校教育法施行規則の一部を改正する省令等の公布について(通知)」(2026年9月27日確認)

通級を受ける高校生は年々増えていますが、全体としてはまだ多くありません。

年度 高校で通級を受けた生徒(国公私立)
平成30年度(2018年度) 508人
令和2年度(2020年度) 1,300人
令和4年度(2022年度) 2,055人
令和5年度(2023年度) 2,371人(うち学習障害259人)

出典:文部科学省「令和5年度通級による指導実施状況調査」(令和7年7月)(2026年9月27日確認)

令和5年度の2,371人のうち、障害の種別で多いのは自閉症963人、注意欠陥多動性障害681人、情緒障害391人で、学習障害は259人でした。また、公立高校3,490校のうち、通級を受けている生徒が在籍していたのは423校(12.1%)です。私立高校で通級を受けていた生徒は、全国で44人でした。

高校の通級には、在籍する学校で受ける「自校通級」のほか、ほかの学校に通って受ける「他校通級」、担当の先生が学校を回る「巡回指導」の形があります。ただ、通級を受けている生徒がいる公立高校は1割ほどなので、通級を受けたい場合は「志望校で通級を受けられるか」を先に確かめておくことが大切です。志望校の説明会で「通級による指導を受けられるか(自校か他校か)」「学習障害の生徒も対象になるか」「単位として数えられるか」を聞いておきましょう。通級がない学校でも、授業や試験の中での合理的配慮は相談できます。

※2026年9月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。

ノートパソコンでレポートを書く高校生
手書きの代わりにパソコンで書く配慮も、学校と話し合って決められます

学校の種類で比べると、違いが出るのは「入試」「授業の受け方」「書く量」「配慮の頼み方」です

高校卒業の資格が得られるのは、全日制・定時制・通信制の3つの課程です。学習障害のある人にとっての違いを、制度の骨組みから並べます。

観点 全日制 定時制 通信制
学び方 毎日の授業 夜間など特別の時間帯の授業 添削指導(レポート)・面接指導(スクーリング)・試験
卒業まで 3年 3年以上 3年以上・74単位以上
書く量 板書・ノート・定期試験が毎日続く 授業ごとに板書・ノート・試験がある レポートが中心。回答方法は学校による
入試 都道府県や学校の要項による 都道府県や学校の要項による 面接や書類で選ぶ学校が多い

出典:学校教育法 第4条・第56条/文部科学省「令和7年度 通信制高等学校実態調査」(2026年9月27日確認)

通信制高校について、文部科学省の令和7年度の実態調査(通信制課程を置く323校)には、学習障害のある人の学校選びに役立つ数字がいくつかあります。

  • 入学者選抜の方法(複数回答):面接296校、調査書などの書類230校、作文・小論文154校、学力検査91校。学力検査で選ぶ学校は3割ほどです。
  • レポート(添削課題)の回答方法(現代の国語の場合):紙での回答だけの学校が206校、オンラインでの回答だけが83校、紙とオンラインの併用が34校。手で書くのがつらい人にとっては、この違いが大きく効きます。
  • 学び直し:数学Ⅰの授業の中で、小中学校の段階の学習内容の確実な定着を図る指導をしている学校は130校(現代の国語では96校)。計算の基礎からやり直したい人は、候補校がこれに当たるかを聞いてみましょう。

通信制高校の仕組みそのものを一通り知りたい場合は、通信制高校とはの記事で、全日制との違いや卒業の条件をまとめています。

ここで大事なのは、どの課程が一番よいかは、困りごとの形で変わるという点です。読むのに時間がかかっても聞けば分かる人なら、映像授業を繰り返し見られる学び方が合うかもしれません。書くのがつらい人なら、レポートをオンラインで打ち込めるかが決め手になります。友達や先生と毎日顔を合わせることが支えになる人なら、全日制で配慮を受けながら通う道もあります。特別支援学校の高等部や高等専修学校も含めた進学先の全体像は、発達障害 高校進学の記事で整理しています。

高校入試の配慮は中学校を通して申請します。国の資料には「読み上げ」や「タブレットで解答」を認めた例があります

文部科学省の参考資料によると、令和4年度の公立高校の入学者選抜で、障害のある生徒として実際に配慮を受けたのは3,752人でした。行われた配慮(件数)のうち、学習障害と関係の深いものを抜き出すと、次のとおりです。

  • 別室の設定 1,683件、試験時間の延長(解答方法の変更なし)257件
  • 問題文等へのルビ振り 415件、問題文等の読み上げ(音声も含む)62件
  • ICT機器(パソコン・タブレット等)の使用 36件、注意事項等の文書による伝達 64件

同じ資料には、学習障害のある生徒の配慮の例が2つ載っています。

  • 読みの困難の例:漢字の読みと、文字を目で追うことに困難がある生徒。中学校では通級の担当の先生と一緒に拡大・読み上げ・ルビ振りを試し、本人が選んだ読み上げ(デイジー教科書)で学んできた。入試当日は、別室で受検校の先生による読み上げと、読む部分だけが見える自助具の使用が認められた。
  • 書きの困難の例:漢字を正確に書けず、授業時間内に板書を写せない生徒。中学校ではタブレットで板書を撮影し、ワープロ機能でノートや定期テストに答えてきた。入試当日は、別室でタブレットのワープロ機能を使って解答した(漢字の書き取りと作図の問題は紙で解答)。

出典:文部科学省「高等学校入学者選抜における受検上の配慮に関する参考資料」(令和4年12月)(2026年9月27日確認)

どちらの例にも共通するのは、中学校でふだん使っている方法が、そのまま入試の配慮になっていることです。申請は、本人・保護者と中学校で相談して合意したうえで、中学校を通して行われています。どちらの例でも、配慮の内容は中学校での配慮の状況を踏まえて決められています。入試の前に急に新しい方法を頼むより、日ごろの授業や定期テストで使い慣れておくほうが、必要性を伝えやすく、本人も当日に力を出しやすくなります。

申請の時期や様式は都道府県ごとに違います。4都府県の要綱を実際に比べた結果は、高校受験 合理的配慮の記事にまとめています。

高校入試の配慮は中学校を通して申請し中学校で使っている配慮が土台になること、共通テストの配慮は郵送で申請し高校での配慮の状況報告書が必須であること、読みと書きの困難で認められる配慮の例を比べた表
出典:文部科学省 高校入試の受検上の配慮に関する参考資料(令和4年12月)、大学入試センター 令和9年度 受験上の配慮案内

大学を考えるなら、共通テストの配慮は「高校での配慮の記録」が土台になります

高校卒業後に大学を考えている場合は、大学入学共通テストの「受験上の配慮」を知っておくと、高校での過ごし方が変わります。大学入試センターの令和9年度 受験上の配慮案内(2026年9月27日確認)の要点です。

  • 試験日は令和9年(2027年)1月16日・17日。配慮の申請は郵送だけで受け付けます。
  • 申請期間は第1期が令和8年7月1日〜8月28日(必着)、第2期が8月31日〜10月2日(必着。9月30日の消印有効)です。
  • 出す書類は3つ。受験上の配慮申請書、診断書(発達障害は所定の「発達障害関係」の様式)、そして状況報告書(必須)です。
  • 状況報告書は、高校などでのこれまでの配慮の実施状況を書く様式で、卒業見込みの人は高校の学校担当者が記入します。個別の指導計画や個別の教育支援計画の写しを付けることもできます。
  • 発達障害の区分で主な配慮として挙がっているのは、試験時間の延長(1.3倍)、チェック解答、拡大文字の問題冊子(14ポイント・22ポイント)、注意事項等の文書による伝達、別室の設定です。
  • 読み書きの困難さで試験時間の延長を希望する場合は、それを示す検査結果などがあれば診断書と一緒に出すよう案内されています。1.5倍の延長を希望する場合は、校長か専門家が作った資料も必要です。
  • 人による問題文の読み上げや、タブレット端末で問題を見ることなどは、事前相談が必要な配慮とされています。

見落とされやすいのは、配慮案内に「配慮事項は、高等学校等での配慮の実施状況、障害等の種類や程度にかかわらず、必要に応じて申請することができます」と書かれている点です。高校で配慮を受けていなかったからといって、申請できないわけではありません。ただ、審査では一人ひとりの状態を総合的に判断するとされているので、高校での実績が書けるほうが、状況を伝えやすくなります。

だから、大学を少しでも考えているなら、高1・高2のうちから「どの科目で、どんな配慮を受け、どう役立ったか」を記録しておくことをおすすめします。定期テストで時間延長を受けた、プリントを拡大してもらった、タブレットで答えた、といったことを、学期ごとにメモしておくだけでも十分です。申請の順番や、大学に入ってからの配慮については、発達障害 大学進学の記事で詳しく書いています。

大学以外の進路でも、考え方は同じです。専門学校や大学を運営する学校法人も、文部科学省の対応指針の対象です。就職を考える場合は、都道府県・指定都市ごとにある発達障害者支援センターが、発達障害のある本人と家族の相談に応じ、医療・福祉・教育・労働などの関係機関とつながっています(事業の内容は地域によって違います。2026年9月27日確認)。

よくある誤解は3つ。「通信制なら書かなくていい」「診断がないと頼めない」「高校を出たら支援は終わり」

誤解1:通信制高校なら、書く勉強はほとんどない

通信制高校は毎日の板書こそありませんが、単位を取るにはレポート(添削課題)を出し、試験を受ける必要があります。上で見たとおり、現代の国語のレポートを紙だけで回答する学校は323校中206校でした。書くことがつらい人は、「通信制かどうか」より「レポートをパソコンやスマートフォンで出せるか」「試験でICT機器を使えるか」を学校ごとに確かめる必要があります。

誤解2:診断や障害者手帳がないと、配慮は頼めない

障害者差別解消法の対象は、文部科学省の対応指針で「いわゆる障害者手帳の所持者に限られない」とされています。音声教材も、医師の診断書は申請に必須ではありません。ただし、共通テストの配慮には診断書が必要です。大学受験を考えている場合は、どこかの段階で医療機関に相談することも視野に入れておくと、準備が慌ただしくなりません。

誤解3:高校を卒業したら、支援は終わる

障害者差別解消法は、大学や専門学校を含め、日常生活と社会生活の全般を広く対象にした法律です(働く場面での配慮は、障害者の雇用の促進に関する法律で別に定められています)。発達障害者支援センターも、発達障害のある子どもだけでなく、大人とその家族の相談を受けています。高校で身につけた「自分に合う手段」と「それを言葉で説明する力」は、卒業後の進路でもそのまま使えます。

選択肢の1つとしてのニジ高(正直な注意点)

NIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制高校サポート校です。全国どこからでも、海外からも学べ、担任制で、カメラ・マイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められます。生活リズムに波があっても学べる設計で、授業のアーカイブを見返したり、中学の内容から学び直したりすることもできます。読むのに時間がかかる人や、一度では頭に入りにくい人が、自分の速さで繰り返し確かめられる形です。音読という場面での見え方と、学校に頼める配慮は音読 苦手 高校生で整理しています。

ニジ高は、発達特性や障害を、本人を変えるのではなく学びの構造や環境を変えることで支援するという新しいアプローチを取っています。一方で、診断や服薬など医療の判断は、主治医や専門機関にご相談ください。途中からの入学(転入・編入)もでき、出願費用は無料です。不登校の生徒を650名以上サポートしてきました(グループ全体)。小学生・中学生のお子さんには、姉妹事業のNIJINアカデミーもあります。

そのうえで、先に知っておいてほしいことがあります。

  • ニジ高そのものは高校ではありません。高校卒業の資格は、提携する通信制高校に在籍して取ります。
  • ニジ高の中でのスクーリングはありませんが、提携する通信制高校のスクーリングには参加が必要です。スクーリングの形や日程は、個別相談会で詳しくご案内しています。
  • レポートの提出方法や試験での配慮、共通テストの状況報告書など、単位や試験に関わることは在籍する通信制高校の決まりにもとづきます。入学前に、必要な配慮が受けられるかを確かめておきましょう(個別相談会でご質問いただけます)。
  • 費用は、在籍する通信制高校の分とニジ高の分の両方がかかり、ニジ高の分には就学支援金を使えません。金額は学費のご案内に載せています。

迷ったときの進め方(3ステップ)

  1. 困りごとを「場面×時間」で書き出す。「教科書1ページを読むのに何分かかるか」「板書を写しきれるか」「計算問題で止まるのはどの段階か」を、1週間ほどメモします。あわせて、今の学校で受けている配慮(または、あれば助かる配慮)を一覧にします。この一覧が、入試・高校・共通テストのどの申請でも土台になります。
  2. 候補の学校に、同じ質問をする。①入試の方法と配慮の申請先、②授業やレポートでICT機器を使えるか(レポートはオンラインで出せるか)、③試験時間の延長や別室の実績があるか、④通級による指導があるか、⑤小中学校の内容の学び直しがあるか、⑥大学を受けるとき状況報告書を書いてもらえるか。答えを表にすると、学校ごとの違いがはっきりします。
  3. 相談先を分けて使う。学校のことは担任や特別支援教育コーディネーターへ、地域の支援や就労のことは発達障害者支援センターへ、診断や医療のことは主治医へ。一か所で全部を解決しようとしないほうが、話が進みます。

学校選びの途中で、オンラインで学ぶ形も比べてみたくなったら、体験説明会・個別相談で、今の状況を聞かせてください。まだ何も決まっていない段階でもかまいません。

先生と面談する父親と高校生
入試や共通テストの配慮では、これまでの配慮の記録が大切になります
オンラインで学ぶニジ高の生徒

読み書きや計算に時間がかかっても、自分の速さで学べる形があります

ニジ高はオンライン中心の通信制高校サポート校です。授業のアーカイブを見返したり、中学の内容から学び直したりでき、カメラオフ・チャットだけの参加から始められます。体験説明会は日程を選んで申し込めます。ただし高校ではないため、卒業資格は提携する通信制高校で取り、そのスクーリングへの参加が必要です。

体験説明会の日程を見る → LINEで気軽に相談する

よくある質問

Q. 学習障害があっても、高校は卒業できますか?

A. 卒業の条件は、学習障害があってもなくても同じです。合理的配慮は、読み方・書き方・答え方などの方法を調整するもので、卒業に必要な単位の数そのものは変わりません。自分に合う方法で単位を取れる学校と課程を選ぶことが、卒業への近道になります。

Q. 診断を受けていなくても、学校に配慮を頼めますか?

A. 頼めます。障害者差別解消法の対象は障害者手帳を持つ人に限られず、個別に判断されます。まずは困っている場面と、あれば助かる方法を具体的に伝えてください。ただし、大学入学共通テストの配慮を申請するには診断書が必要です。

Q. 計算だけが極端に苦手です。数学を取らずに卒業できますか?

A. 数学Ⅰはどの生徒も履修する必履修科目なので、数学をまったく取らずに卒業することはできません(標準3単位を2単位まで減らすことはできます)。小中学校の内容からの学び直しをしている学校や、試験時間の延長などを相談できる学校を選ぶのが現実的です。

Q. 高校で配慮を受けていなくても、共通テストの配慮は申請できますか?

A. 申請できます。大学入試センターの配慮案内には、配慮事項は高校等での配慮の実施状況にかかわらず、必要に応じて申請できると書かれています。令和9年度の第2期の申請は10月2日(必着)までです。高校での記録があるほうが状況を伝えやすいので、今からでも受けている配慮をメモしておきましょう。

Q. ニジ高では、読み書きの配慮をしてもらえますか?

A. ニジ高は、本人を変えるのではなく、学びの構造や環境を変えることで支援する考え方を取っています。授業のアーカイブを見返したり、中学の内容から学び直したりできます。レポートや試験での配慮は、在籍する通信制高校の決まりにもとづくため、どんな方法が使えるかは個別相談会で一緒に確かめましょう。

読み書きや計算に時間がかかることと、進路を選べることは、別の話です

読むのが遅い、字がうまく書けない、計算で止まってしまう。その困りごとは、あなたの努力が足りないからではなく、情報の受け取り方と出し方に合う道具や方法が、まだ手元にないだけかもしれません。

進路は、今日すべてを決めなくて大丈夫です。まずは「どの場面で、何に困っているか」を書き出し、使えそうな手段を1つ試してみるところから始めてみてください。その記録が、高校選びにも、その先の入試にも、そのまま役に立ちます。

家から自分の速さで学ぶ形も、選択肢の1つです。学校を決める前の、迷っている段階の相談も受け付けています。

オンラインで学ぶニジ高の生徒

オンラインで、青春する。

学校を決める前の、迷っている段階の相談も受け付けています

全国どこからでもカメラ・マイクはオフでOK転入・編入は随時受付

通信制高校サポート校 NIJIN高等学院(ニジ高)/出願費用は無料です。無理に勧めることはありません。


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次