「高校生 うつ病 親のせい」。この言葉で検索して、ここにたどり着く方が毎月たくさんいます。お子さんの様子が変わってしまった理由を、自分の中に探している方だと思います。
休み明けに子どもに何が起きやすいのかは、9月1日問題の記事で数字とサインの出る時期を整理しています。
先にお伝えします。こころの不調の原因を、ひとつに決めることはできません。体質、睡眠、学校での出来事、家庭のこと、進路の不安。いくつもの要因が重なって起きるものだと、公的な資料でも説明されています。「親のせいかどうか」を確定させる作業に、いま使える時間はありません。
この記事では、医学的な診断ではなく、いま動かせるものを整理します。受診までの順番、学校をどう扱うか、そして2024年4月から使えるようになった「自宅で授業を受けて出席扱いにする」制度について、文部科学省の通知から確認した内容をお伝えします。
※この記事は医療行為ではありません。診断と治療の判断は必ず医師にご相談ください。
診断書と欠席日数の関係については、高校生 うつ病 親もあわせてご覧ください。
本人が学校に配慮を頼むときの伝え方は、うつ病 学校もあわせてご覧ください。
回復にどのくらいかかるのか、治療の考え方は、公的資料をもとに別の記事でまとめています。高校生 鬱もあわせてご覧ください。
結論:高校生 うつ病で、いま整理しておきたいこと
- 原因の特定は、回復に必要ではありません。いま必要なのは、休める環境と、専門家につながることです。
- 受診の前に、まず学校の養護教諭(保健室)かスクールカウンセラーに相談する道があります。無料で、予約も取りやすいことが多いです。
- 2024年4月から、病気療養中の生徒は自宅などで遠隔授業や通信教育を受けて単位を修得できます。不登校生徒の36単位という上限は、病気療養中等の生徒にはかかりません。
- そのとき「出欠の記録については、各学校長の判断により出席扱いとすることができる」と文部科学省の通知に書かれています。
- 退学を決めるのは、いちばん最後で構いません。休む・休学する・転入するの順に、籍を失わない選択肢から検討してください。
- 相談先は無料で複数あります。24時間子供SOSダイヤル 0120-0-78310(文部科学省・24時間・年中無休・通話料無料)。
- 令和6年度の調査では、高等学校の不登校生徒は約6万8千人。珍しいことではありません。

「親のせい」と検索したあなたへ
この検索をする方は、たいてい2種類に分かれます。自分を責めている保護者と、親との関係にしんどさを感じている本人です。どちらの方にも書きます。
運営は株式会社NIJINです。小中学生の場合は、同じグループが運営するNIJINアカデミー(不登校の小中学生のためのオンラインオルタナティブスクール。1,000名以上が在籍)という選択肢もあります。中学卒業後にニジ高へ進む生徒もいます。
保護者の方へ。原因をさかのぼって「あのとき、ああ言ったから」と考え始めると、答えは出ないのに時間だけが過ぎます。いま最も効果があるのは、原因の解明ではなく、環境を1つ変えることです。睡眠、学校の負荷、通院の予約。どれか1つで構いません。
本人の方へ。しんどさの理由を説明できなくても大丈夫です。「理由が言えないから相談できない」と思わないでください。「朝起きられない」「何もやる気が出ない」だけで、相談は成立します。
そして、これは大事なことです。あなたが弱いからではありません。令和6年度の文部科学省の調査では、高等学校の不登校生徒は約6万8千人にのぼり、把握された事実として「不安・抑うつの相談があった」「生活リズムの不調に関する相談があった」ことが挙げられています(文部科学省 令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果/令和7年10月29日)。

「うつ病の人がとる行動」を探している方へ
この検索も多く見かけます。行動のリストで診断はできません。ただ、家庭で気づける「変化」はあります。診断名ではなく、変化として見てください。
厚生労働省の若者向けサイトこころもメンテしようは、こころの健康が気になるときの入口として「体がだるい、眠れない、朝起きられない」といった状態を挙げています。高校生の場合、次のような形で表に出ることが多いです。
| 領域 | 気づきやすい変化 |
|---|---|
| 睡眠 | 寝つけない/何時間寝ても足りない/昼夜が入れ替わる |
| 食事 | 食べられない/逆に止まらない/体重が短期間で変わる |
| 行動 | 好きだったことをしなくなる/連絡を返さなくなる/身なりを整えなくなる |
| 学校 | 朝になると体調を崩す/教室に入れない/提出物が出せなくなる |
| 言葉 | 「疲れた」「意味がない」が増える/自分を責める言い方が増える |
大事なのは、リストにいくつ当てはまるかではありません。「以前と比べて変わったこと」が2週間以上続いているかどうかです。そして、その判断も専門家に渡して構いません。
「死にたい」という言葉が出たときは、様子を見ないでください。その日のうちに、下に挙げた相談窓口か医療機関につないでください。

「怠けかどうか」を見分けようとしないでください
いちばんよくある失敗が、これです。「本当につらいのか、ただ休みたいだけなのか」を家庭で判定しようとすること。
この判定は、家族にはできません。医師にとっても、一度の面談で決められるものではありません。にもかかわらず判定を試みると、次のことが起きます。
- 本人が「信じてもらえない」と感じて、話さなくなる。
- 保護者が「甘やかしているのでは」と自分を責める。
- 受診が遅れる。
判定をやめて、記録に切り替えてください。「何時に寝て何時に起きたか」「食事が取れたか」「学校に行けた日と行けなかった日」。これをカレンダーに書いておくだけで、受診したときの情報がまったく変わります。判断は専門家に渡してしまって大丈夫です。

受診までの順番。いきなり病院でなくていい
「精神科に連れて行くのはハードルが高い」と感じる方が多いので、順番を整理します。
| 順番 | 相談先 | 特徴 |
|---|---|---|
| 1 | 養護教諭(保健室) | 在校生なら無料。学校の中の様子も分かっている |
| 2 | スクールカウンセラー | 無料。保護者だけの相談も受け付ける学校が多い |
| 3 | かかりつけの小児科・内科 | 体の不調として相談できる。必要に応じて紹介してもらえる |
| 4 | 精神科・心療内科 | 診断と治療。初診は予約が必要なことが多い |
1と2は本人が行かなくても、保護者だけで相談できます。ここを知らずに止まっている家庭がとても多いです。「本人が行きたがらないので何もできない」ではなく、大人が先に動いて構いません。
無料の電話相談もあります。
- 24時間子供SOSダイヤル 0120-0-78310(文部科学省。24時間・年中無休・通話料無料。かけた地域の教育委員会の相談機関につながります)
- 厚生労働省のまもろうよ こころには、電話・SNSの相談窓口がまとめられています。
- 若者向けの情報は厚生労働省のこころもメンテしようにあります。

学校をどうするか。順番を間違えないでください
体調がしんどいとき、いちばん危ないのはいきなり退学を決めてしまうことです。籍を失うと、選べる制度が減ります。
| 順番 | 選択肢 | 籍 | 単位 |
|---|---|---|---|
| 1 | 欠席しながら在籍を続ける | 残る | 科目ごとの欠課時数に注意 |
| 2 | 自宅で遠隔授業・通信教育を受ける | 残る | 修得できる(後述) |
| 3 | 休学する | 残る | 止まるが失わない |
| 4 | 転入学(在学中に移る) | 移る | 引き継げる |
| 5 | 編入学(退学してから入り直す) | 一度切れる | 引き継げるが手続きが増える |
上から順に検討してください。2番目の選択肢は、2024年4月にできたばかりの新しい道です。知らずに3〜5へ飛んでいる家庭が多いので、次の節で詳しく書きます。

2024年4月から、病気療養中は「単位数の制限なく」自宅で受けられる
文部科学省は令和6年2月13日付の通知「高等学校等における多様な学習ニーズに対応した柔軟で質の高い学びの実現について」(5文科初第2030号)で、学校教育法施行規則の第88条の4、第96条、第113条第3項を改正しました(文部科学省 5文科初第2030号)。
全日制・定時制に在籍する生徒について、自宅その他の場所で遠隔授業を受けたり、学校が授業に代えて通信教育を行ったりして、単位を修得できるようになりました。
ここに、見落とされやすい重要な区別があります。
| 対象 | 修得できる単位数 |
|---|---|
| 不登校生徒 | 遠隔授業と通信教育の合計で36単位まで |
| 病気療養中等の生徒 | 単位数の制限なし |
通知には「病気療養中等の生徒に対する遠隔授業及び通信教育については、現行の遠隔授業と同様、単位数の制限無く行うこと」と書かれています。
医師の診断を受けて療養している状態であれば、上限を気にせず自宅から単位を積めるということです。「学校に行けない=単位が積めない」ではなくなりました。
※令和6年2月13日付通知に基づく記載です。実際に運用しているかどうかは学校ごとに異なります。
「出席扱いにできる」と通知に書かれている
同じ通知には、出欠の記録についてこう書かれています。
「出欠の記録については、各学校長の判断により出席扱いとすることができること」
関連資料では、自宅で遠隔授業を受けた場合について「画面やチャットツール等を通じて生徒の学習状況を把握することにより、出席扱いと認めることが考えられる」とも示されています。カメラをオンにして顔を出す必要は、必ずしもありません。
さらに文部科学省は、学校側にこう求めています。
「教務規程等において、慣例として、授業への出席の回数を履修や単位認定の要件として課しているところ、遠隔授業や通信教育の実施、補講その他適切な指導の実施等により、生徒一人一人の実情に応じて柔軟に履修・単位修得を認めることが望まれる」
つまり、「出席日数が足りないから留年です」で話を終わらせないでほしい、と国が学校に言っている状態です。数え方そのものは高校 出席日数にまとめました。
学校に伝えるときの言い方
制度があっても、学校から提案されるとは限りません。こちらから聞く必要があります。伝え方の例です。
- 「体調のため通学が難しい期間があります。自宅から遠隔で授業を受けて単位にできる制度はありますか」
- 「令和6年2月の文部科学省の通知にある、病気療養中の生徒への遠隔授業や通信教育は、この学校では実施していますか」
- 「その場合、出欠の記録はどう扱われますか」
診断書や意見書を求められることがあります。受診しているなら、その時点で医師に相談しておくとスムーズです。まだ受診していない場合は、この会話が受診の理由になります。
保護者ができること、できないこと
| できること | できないこと |
|---|---|
| 睡眠と食事の記録をつける | 本人の代わりに回復させる |
| 学校に制度を確認する | 怠けかどうかを判定する |
| 受診の予約を取る | 受診を無理やり実行させる |
| 相談窓口に自分がかける | 原因を特定して取り除く |
左の列だけで十分です。右の列をやろうとすると、家庭が消耗します。保護者が倒れると、家全体が止まります。ご自身の相談先も持っておいてください。
保護者自身の相談先も、先に決めておいてください
見落とされがちですが、回復までの長い期間を支えるのは保護者です。ここが折れると、家庭全体が止まります。
保護者が使える窓口も用意されています。学校のスクールカウンセラーは、多くの学校で保護者面談を受け付けています。地域の保健所・精神保健福祉センターにも家族相談の窓口があります。厚生労働省のまもろうよ こころには、電話とSNSの相談先がまとめられています。
それから、職場に事情を伝えておくかどうかも、早めに決めておくと楽になります。通院の付き添いや学校との面談は平日の日中に入ります。あとから急に休みを取るより、先に見通しを共有しておくほうが負担が小さくなることが多いです。
きょうだいがいる家庭では、その子にも説明が要ります。「お兄ちゃんは今、体調が悪い期間なんだ」と、病気の名前ではなく状態として伝えるだけで、家の中の緊張が下がることがあります。
進級や卒業は、いま考えなくて大丈夫です
「このままだと卒業できないのでは」という不安は当然ですが、順番としては後回しで構いません。理由は3つあります。
- 高校卒業に必要なのは「3年以上の在学」と「74単位以上の修得」で、いつ取るかは決まっていません。
- 転入学なら、修得済みの単位を引き継げます。通信制高校 転入で条文まで整理しました。
- 通信制高校は、毎日通えることを前提にしていません。
体調が戻ってから決めても、進路は残っています。いま決めなければならないのは、今日どう休むかだけです。
戻るときは、いきなり毎日にしない
調子が戻ってきたときにつまずきやすいのが、「もう大丈夫そうだから明日から毎日」という戻り方です。ここで無理をすると、また止まります。
段階を分けておくと、本人も学校も動きやすくなります。
| 段階 | やること | 学校に伝えること |
|---|---|---|
| 1 | 生活リズムを戻す | 「まだ登校はしません」 |
| 2 | 自宅で課題や遠隔授業 | 「単位の扱いを確認したい」 |
| 3 | 週1〜2日、時間を区切って登校 | 「保健室登校は可能ですか」 |
| 4 | 通常の時間割に戻す | 「元に戻す時期を相談したい」 |
2の段階で単位が積めるようになったのが、2024年の制度改正の大きな意味です。以前は「休んでいる間は何も進まない」でしたが、いまは進められます。
それでも今の学校の枠組みに戻すのが難しいと感じたら、そのときに転入や通信制を考えれば十分です。順番を先取りしないでください。
「学校を休むこと」への罪悪感について
本人からも保護者からも、いちばんよく出てくるのがこの言葉です。「休むと、みんなに置いていかれる」。
置いていかれるという感覚は、全日制の時間割を基準にしているから生まれます。高校卒業の要件は「3年以上の在学」と「74単位以上の修得」で、そこに「同級生と同じ速度で」という条件はありません。
実際、通信制高校は年齢も学年もばらばらの人が同じ場で学びます。速度がそろっていないことが前提の場所が、制度としてちゃんと用意されています。
休むことは、進路をあきらめることではありません。うつ病 高校生 学校に行けない状態が続いているなら、まず休養を確保してください。
よくある誤解
誤解1:「診断がつかないと学校に相談できない」
そんなことはありません。保健室やスクールカウンセラーは診断書なしで相談できます。ただし遠隔授業の適用など制度の話になると、医師の意見を求められることがあります。
誤解2:「休ませると、そのまま行けなくなる」
休養は治療の一部です。無理に登校を続けて悪化させるほうが、結果として学校から遠ざかることがあります。判断は医師に委ねてください。
誤解3:「本人が動かないと何も始まらない」
保護者だけで動ける相談先が複数あります。むしろ最初の一歩は大人が踏むほうが自然です。
誤解4:「通信制は逃げ道」
通信制高校は学校教育法に基づく正規の課程で、卒業資格は全日制と同じです。不登校 高校生の状況から通信制に移って進学する人は毎年たくさんいます。
選択肢の1つとしての通信制・サポート校
体調に波がある状態で、毎日決まった時間に登校し続けるのは負担が大きい選び方です。通信制高校は、レポート・スクーリング(面接指導)・試験で単位を積む仕組みなので、「毎日通えること」が前提になっていません。
私たちNIJIN高等学院(ニジ高)は、提携する通信制高校と連携して高卒資格を目指すオンライン中心のサポート校です。担任がつき、カメラとマイクをオフにして、チャットだけの参加から始められます。調子の悪い日があることを前提に設計しています。
正直な注意点も書きます。学院内にスクーリングはありません。提携する通信制高校のスクーリングには参加が必要で、私たちはその準備と同行を支えます。また、サポート校の費用は高校本体の学費とは別にかかります。金額は学費のご案内をご覧ください。
そして、治療の代わりにはなりません。受診と学校選びは別の話です。順番としては、まず休むこと、次に専門家につながること。学校のことはそのあとで構いません。

受診・学校・出席の順番を、一緒に並べられます
個別相談会では、いまの状態から何を先にやると楽になるかを整理します。保護者の方おひとりでのご参加でかまいませんし、進路を決めていない段階でも大丈夫です。
個別相談会を見てみる →よくある質問
A. 原因をひとつに決めることはできません。体質、睡眠、学校での出来事、進路の不安など複数の要因が重なって起きるものとされています。原因の特定より、休養と専門家への相談を優先してください。
A. 保護者だけで相談できる窓口があります。学校のスクールカウンセラー、24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)、かかりつけの小児科などです。まず大人が状況を整理するところから始めてください。
A. 令和6年2月の文部科学省通知により、自宅などで遠隔授業や通信教育を受けて単位を修得できるようになりました。病気療養中等の生徒には単位数の上限がありません。実施しているかは学校ごとに異なるため、担任に確認してください。
A. 相談するだけなら不要です。ただし出席の扱いや遠隔授業の適用など制度を使う場面では、医師の診断書や意見書を求められることがあります。受診時に相談しておくと手続きが早くなります。
A. 体調が落ち着いてからで構いません。在学中であれば転入学の対象になり、修得済みの単位を引き継げます。退学してからだと編入学になり、条件が変わります。辞める前にご相談ください。
いま決めなければいけないことは、ほとんどありません
ここまで読んでくださった方は、たぶん何日も調べ続けています。情報を集めるほど不安が増えるのは、選択肢が多いからではなく、どれも今日決められないからです。
今日できることは2つだけです。今夜きちんと眠ることと、明日どこかに1本電話をかけること。それ以外は、来週でも来月でも間に合います。
原因が誰にあるのかは、回復してからでも考えられます。順番を、逆にしなくて大丈夫です。
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