通信制高校は発達障害に向いている?|配慮の実際と学校選び6つの質問【2026】

発達の特性があって、今の高校に通い続けるのがつらい。あるいは中学校のときから教室に入れないまま、高校をどうするか決めきれない。そういう状況でこのページを開いていると思います。

先に結論を書きます。通信制高校は「発達障害だから向いている」のではなく、「特性と今の学校の作りが噛み合っていないとき、噛み合わない部分を減らせる」から向いていることがある、という関係です。ですから決め方は、診断名で決めるのではなく、いまいちばん消耗している場面が、通信制なら減るのかどうかで決めます。減らない困りごともはっきりありますので、その両方をこの記事に書きます。

この記事は、文部科学省の通信制高等学校実態調査(令和7年度)、通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査(令和4年)、通級による指導実施状況調査(令和5年度)、公立高等学校入学者選抜に係る改善状況調査(令和4年度)、発達障害者支援法と障害者差別解消法の条文、大学入試センターの受験上の配慮案内を実際に開いて確かめた内容でできています。確かめられなかったことは、確かめられなかったと書いています。

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目次

結論:発達特性のある高校生が通信制高校を選ぶときの早見

  • 通信制が合うかどうかは、診断名ではなく「消耗している場面」で決まります。集団・時間割・音や光・提出物の管理のうち、どれが今いちばん重いのかを先に書き出すと、判断が速くなります。
  • 通信制高校に入る人の57.0%は、中学3年生のとき不登校でした。令和7年度の入学者77,998人のうち44,461人です(文部科学省の実態調査)。学校に行けなくなってから入る人のほうが多い場所です。
  • 高校に上がると、教室の中の配慮は自動では続きません。授業中に個別の配慮を受けている割合は、小中学校で54.9%、高校で18.2%という推計があります。申し出ないと止まることがあります。
  • 診断が出ていなくても、配慮は頼めます。障害者差別解消法第8条は、私立を含む事業者に、申し出があり過重な負担でなければ合理的配慮をしなければならないと定めています(2024年4月から義務)。
  • 高校にも通級による指導があります。ただし令和5年度に利用していたのは公立高校で2,327人、公立高校生の0.1%で、通える高校は限られます。
  • 通信制で軽くなるのは時間割・対人・感覚の負荷、重くなるのは「自分で決める量」とスクーリングの日です。ここを先に知っておくと、入ったあとのつまずきが減ります。
  • 一人で進めるのが難しいときは、オンライン中心のサポート校(NIJIN高等学院など)を併せて使い、生活のリズムごと支えてもらう形もあります。
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高校に上がると、教室の中の配慮は自動では続きません

中学校までは席の位置を変えてもらえた、テストで時間を延ばしてもらえた、先生が提出物を一緒に確認してくれた。それが高校に入った途端に無くなった――という話を、保護者の方からよく聞きます。これは学校が冷たくなったからではなく、高校段階では配慮の仕組みそのものが薄いからです。

文部科学省が令和4年に行った調査では、学習面または行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒が、実際にどんな支援を受けているかも調べています。結果は次のとおりです。

受けている支援 小学校・中学校 高等学校
授業時間内に教室内で個別の配慮・支援を受けている 54.9% 18.2%
通級による指導を受けている 10.6% 5.6%
個別の教育支援計画を作成している 18.1% 10.5%
個別の指導計画を作成している 21.4% 10.8%

出典:文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について」(令和4年12月13日)(2026年9月23日確認)

数字の読み方に、2つ注意があります。

1つ目。この調査は診断の調査ではありません。回答したのは学級担任などで、専門家チームの判断や医師の診断によるものではない、と文部科学省自身が注記しています。ですから「発達障害のある子が何%いるか」を示した数字ではなく、「特別な教育的支援を必要としている子が何%いるか」を示した数字です。

2つ目。高等学校の数字は、公立の全日制と定時制の1〜3年次だけが対象で、通信制は含まれていません。私立も入っていません。高校段階の母集団は、国公私立を合わせた高校生の66.1%にあたる人数とされています。つまりこの表の「高等学校」は、通信制を抜いた世界の話です。有識者会議も報告書の中で、高校は入学者選抜があり課程や学科が多様なので、小中学校と高等学校は切り分けて考える必要がある、と述べています。

それでも、この表から言えることが1つあります。高校では、黙っていて配慮が続く確率が下がる。だから高校の進路を考えるときは、「どの学校なら配慮を頼めるか」を、学校選びの条件として最初から入れておいたほうが安全です。中学生の段階で見学しながら確かめたい場合は、ADHD ASD 中学生 高校選びの記事に、見学で聞く項目を20個まとめています。

明るいダイニングテーブルで、母親と高校生くらいの息子が並んで座り、スタンドに立てたタブレットの画面を一緒にのぞき込んでいる様子
どの困りごとが減るのかを、親子で一緒に整理してみるところから始まります。

「発達障害だから通信制」ではなく、「どの困りごとが減るか」で決めます

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。通信制高校は、特性そのものを軽くする場所ではありません。環境のほうを変えて、特性と環境がぶつかる場面を減らす場所です。ですから、いま何とぶつかっているかを先に特定しないと、選んでも楽になりません。

発達障害者支援法第2条第1項は、発達障害を「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義しています。そして同じ条文の第3項で、社会的障壁を「発達障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの」と定めています。法律は最初から、困りごとを「本人の側」だけでなく「環境の側」にも置いているわけです。

出典:e-Gov法令検索 発達障害者支援法 第2条(2026年9月23日確認)

この考え方で、よくある困りごとを場面ごとに並べます。通信制で減りやすいものと、減りにくいものを分けました。

いま消耗している場面 関わりやすい特性 通信制での変化
休み時間や班活動の雑談が続かない ASD(対人・こだわり) 減りやすい。関わる時間と人数を選べる
教室の音・においや蛍光灯で夕方までもたない 感覚の過敏さ 減りやすい。自宅の環境を自分で整えられる
朝に起きられない・午前中は頭が働かない 睡眠リズムの乱れ、二次的な不調 減りやすい。学習の時間帯を動かせる
提出物の期限を落とす・持ち物が揃わない ADHD(不注意) 形が変わるだけ。レポートの期限管理が残る
長い文章を読む・書き写すのに時間がかかる LD(読み書き) 形が変わるだけ。レポートは文章中心のことが多い
初めての場所・初めての人が極端に怖い ASD、不安の強さ 残る。スクーリングと試験で場所が変わる

※この表は、上に挙げた制度資料と各特性の一般的な現れ方から整理した見取り図です。個々の学校の運用や、その人の状態を診断するものではありません。

表を見ていただくと分かるように、「人と場所」の負荷は通信制で大きく下がり、「段取りと文字」の負荷はあまり下がりません。むしろ後者は、担任が毎日声をかけてくれる全日制のほうが支えられていた、ということが起こります。ここを見ないまま転校すると、「通信制にしたのに続かない」という一番つらい結果になりがちです。

診断名ごとの細かい現れ方は、それぞれの記事にまとめています。読み書きのつまずきが中心なら学習障害 高校、診断がついていない段階なら発達障害グレーゾーン 高校生が近いはずです。

通信制高校に入る人の半数以上は、中学3年生のとき学校に行けなかった人です

「うちの子だけが特別な道に行くことになるのではないか」。保護者の方からいちばん多い不安が、これです。数字を見ると、そうではありません。

文部科学省が2026年8月31日に公表した通信制高等学校実態調査(調査時点は2025年5月1日、対象は通信制課程を置く323校)によると、令和7年度の通信制高校の入学者は77,998人で、そのうち中学3年生のときに不登校だった生徒は44,461人、57.0%でした。設置者別では公立53.5%、私立56.6%、株式会社立65.4%です。

在籍している生徒は全体で306,711人(2025年3月31日時点)。高校段階での不登校も、けっして珍しいことではありません。令和6年度の調査では、高等学校の不登校生徒数は67,782人、生徒1,000人あたり23.3人でした。

出典:文部科学省「令和7年度 通信制高等学校実態調査」/文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」(いずれも2026年9月23日確認)

大事なのは、通信制高校の教室(オンラインを含む)は、学校に行けなくなった経験のある人が多数派の場所だということです。全日制の教室で浮いてしまった話し方やこだわりが、ここでは浮きにくい。これは制度の話ではなく、集まっている人の構成から来る、実際に効く違いです。

ただし、注意も1つ。この57.0%という数字は「不登校の経験がある人の割合」であって、「発達障害の診断がある人の割合」ではありません。通信制高校の生徒のうち何%に発達障害の診断があるかを示す全国の統計は、文部科学省の公表資料では確認できませんでした。

令和7年度に通信制高校へ入学した77,998人のうち44,461人・57.0%が中学3年生のときに不登校だったことを示す図。設置者別では公立53.5%、私立56.6%、株式会社立65.4%
出典:文部科学省「令和7年度 通信制高等学校実態調査」(2026年8月31日公表)

通信制が楽になるのは、時間割・対人・感覚の3つの負荷が下がるからです

なぜ楽になるのかを、制度のどこから来ているのかまで分解します。通信制高校の単位は、添削指導(レポート)・面接指導(スクーリング)・試験の3つで取ります。卒業の条件は、3年以上の在籍・74単位以上の修得・特別活動30単位時間以上です。ここに「毎日通う」は入っていません。

実際、通学の頻度は学校とコースによって大きく違います。実態調査でコース別の生徒数を数えると、次のようになっていました。

通学頻度のコース 生徒数 全体に占める割合
集中スクーリングを前提としたコース 86,961人 28.9%
週1日通学 36,929人 12.3%
週5日通学 37,505人 12.5%
週2〜4日通学 39,289人 13.1%
その他(月1〜2回・自由登校など) 99,722人 33.2%

出典:文部科学省「令和7年度 通信制高等学校実態調査」(合計300,406人。正規の教育課程ではないコースを含みます。2026年9月23日確認)

つまり、同じ「通信制高校」という言葉の中に、週5日通う生活と、年に数回だけ集まる生活が同居しています。パンフレットの表紙だけでは区別がつきません。ここは学校ごとに確かめる必要があります。

そのうえで、発達特性のある高校生にとって効きやすい変化は、次の3つです。

下がる負荷 何が変わるか 効きやすい人
時間割の負荷 学習の時間帯を自分で選べる。体調の波に合わせて詰めたり休んだりできる 朝がつらい人、疲れやすい人
対人の負荷 毎日同じ集団に所属し続けなくてよい。関わる相手と量を選べる 雑談や班活動で消耗する人
感覚の負荷 音・におい・照明・人の密度を自分の部屋の条件にできる 感覚が過敏な人

もう1つ、見落とされやすい利点があります。進度のやり直しがしやすいことです。通信制は単位制なので、取れなかった科目だけをやり直す形になり、学年ごと留年するという組み方をしない学校が多くあります。実際、2024年度に通信制高校を卒業した90,872人の在籍期間は、3年間が42,667人(47.0%)、1〜3年未満が38,209人(42.0%)、1年未満が5,853人(6.4%)、3年より長い人が4,143人(4.6%)でした(2022年度以降に開校した73校を除く集計)。学年に縛られず、人によって期間の幅が大きいのが通信制です。

ADHDの特性を中心に、通信制で具体的に何が楽になるのかはADHD 通信制高校に、ASDの場合はASD 通信制高校にまとめています。

逆に重くなるのは「自分で決める量」と、スクーリングの日です

デメリットを先に書きます。ここを飛ばした記事を信じて決めると、入学後の3か月でつまずきます。

1つ目は、段取りが全部こちらに来ることです。全日制なら、時間割とチャイムと担任の声かけが、外側から生活を組み立ててくれていました。通信制では、いつレポートを書くか、いつ出すか、どの科目が残っているかを、自分か家族が管理することになります。不注意の特性がある人にとっては、これは「楽になった」のではなく「難しさが別の形になった」だけです。

2つ目は、スクーリングです。面接指導は法令上の単位の要件なので、完全に無くすことはできません。学校によって、地元の会場で分散して受けられる形もあれば、数日間まとめて泊まりがけで行う形もあります。初めての場所と初めての人が極端に苦手な場合、ここが一年でいちばん高い壁になります。

3つ目は、人とのつながりが自然には生まれないことです。教室に毎日いれば、黙っていても誰かと関わりが生まれました。通信制では、関わらないという選択がそのまま通ってしまいます。それが救いになる人と、孤立に向かってしまう人がいます。

実際、添削課題は出しているのに面接指導に1日も来ていない生徒が8,097人(在籍者の2.6%)いて、学校がその理由として最も多く挙げたのは「心身に関すること」でした。通信制に移れば全部が解決する、という話ではないことが、国の調査にも表れています。

数字で見ると、この2.6%の内訳は、集中スクーリングを前提としたコースが3,923人と最も多く、次いでその他のコースが1,972人、週1日通学が1,556人でした。まとめて泊まりがけで受ける形は、行けなくなったときに取り返しがつきにくいということです。ここは学校を選ぶ前に確かめたほうがよい点です。

もう1つ正直に書くと、通信制高校の側の相談体制も、学校によってかなり違います。実態調査では、スクールカウンセラーに相談できる体制を整えている学校は323校中273校(84.5%)でしたが、スクールソーシャルワーカーは124校(38.4%)にとどまりました。私立に限るとスクールソーシャルワーカーは227校中44校です。「通信制だから支援が手厚い」とは言えません。

窓ぎわの机でヘッドホンをつけて手書きのノートに向かう高校生と、奥の戸口で棚にカップを置く家族の姿
環境の側を変えると、同じ本人でも続けられる量が変わります。

診断が出ていなくても、配慮は頼めます。根拠は障害者差別解消法第8条です

「診断がないから、学校に相談しても仕方がない」と考えて、相談を止めてしまう方が多くいます。法律の側から見ると、それは必要のない我慢です。

障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)の第8条第2項は、事業者について次のように定めています。

事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。

ここでいう事業者には私立学校が含まれ、この「しなければならない」という義務の形になったのは2024年4月からです(それ以前は努力義務でした)。国公立の学校は第7条で、以前から同じ内容が義務になっています。同法第2条では、障害者を「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」と定義しており、障害者手帳を持っていることは条件になっていません。

出典:e-Gov法令検索 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 第2条・第7条・第8条(2026年9月23日確認)

実務として大事なのは、「意思の表明」が出発点になっていることです。学校の側が気づいて動いてくれるのを待つ仕組みにはなっていません。逆にいえば、こちらから「この場面で、こう困っているので、こうしてほしい」と具体的に伝えれば、検討の対象になります。曖昧に「配慮をお願いします」と言うより、次のように場面と手段をセットにしたほうが通りやすくなります。

  • レポートの提出期限がまとめて来ると管理できないので、科目ごとに分けた予定表をいただきたい
  • 長文の読み取りに時間がかかるので、試験で時間を延長するか、読み上げを使わせてほしい
  • スクーリングの会場と当日の流れを、写真か図で事前に見せてほしい
  • 体調の波があるので、欠席の連絡をチャットでできるようにしてほしい

なお、発達障害者支援法第8条は、高等学校に在学する18歳以上の人も含めて、国と地方公共団体が個別の教育支援計画・個別の指導に関する計画の作成の推進や支援体制の整備を行うものとする、と定めています。制度は高校生を置き去りにしていません。使われていないだけです。

ここでは通信制高校を選ぶときの前提として短く書きました。診断がついていない段階で学校にどう切り出すかは発達障害グレーゾーン 高校生に、全日制・定時制・特別支援学校も含めた進学先ごとの配慮の違いは発達障害 高校進学に、それぞれ詳しく書いています。

※2026年9月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。

高校にも通級による指導があります。ただし公立高校生の0.1%しか届いていません

もう1つ、知られていない制度があります。高等学校の通級による指導です。授業の一部を、障害に応じた特別の指導に置き換えたり、追加したりできる仕組みで、平成30年度(2018年度)から高校でも始まりました。

根拠は学校教育法施行規則第140条です。条文は、対象を「言語障害者」「自閉症者」「情緒障害者」「弱視者」「難聴者」「学習障害者」「注意欠陥多動性障害者」「その他障害のある者」と列挙しています。ASD・LD・ADHDは、条文にそのまま書かれています。そして文部科学省の告示により、この指導で修得した単位は、年間7単位を超えない範囲で卒業に必要な単位数に加えることができます。

出典:e-Gov法令検索 学校教育法施行規則 第140条・第141条/文部科学省「学校教育法施行規則の一部を改正する省令等の公布について(通知)」(平成28年文部科学省告示第176号。2026年9月23日確認)

ところが、実際に届いている人数は多くありません。令和5年度の通級による指導実施状況調査では、高等学校で通級による指導を受けていた生徒は国公私立あわせて2,371人でした。

学校種 通級を受けている児童生徒数(令和5年度)
小学校 166,556人
中学校 34,449人
高等学校 2,371人(うち公立2,327人)

公立高校に在籍する生徒全体に占める割合は0.1%です。通級を受けている生徒が在籍する公立高校は全国で423校、公立高校全体の12.1%にとどまります。障害種別の内訳(高校・国公私立計)は、自閉症963人、ADHD 681人、情緒障害391人、LD 259人などでした。

出典:文部科学省「令和5年度 通級による指導実施状況調査」(令和7年7月)(2026年9月23日確認)

ここから分かることは2つです。1つ、制度としては高校でも使える。2つ、近所の高校で使えるとは限らない。進学先・転校先を検討するときに、「この学校で通級はありますか」と聞いてみる価値はあります。答えが「ありません」でも、それは学校の怠慢ではなく、9割近い公立高校がまだ同じ状況だということです。そのうえで、別の形の配慮を相談することになります。

通信制課程でこの通級がどれくらい行われているかは、調査が課程別に分かれていないため確認できませんでした。通信制高校を検討している場合は、通級があるかどうかよりも、レポートの期限とスクーリングをどう支えてくれるかを聞いたほうが実際的です。その聞き方は、このあとの6つの質問にまとめました。

※2026年9月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。

学習面か行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒が受けている支援の割合を小中学校と高等学校で比べた表。授業中の個別の配慮は小中54.9%に対し高校18.2%、通級による指導は10.6%に対し5.6%、個別の教育支援計画は18.1%に対し10.5%
出典:文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果」(令和4年12月)。高等学校は公立の全日制・定時制の1〜3年次のみが対象で、通信制は含まれません

入試も大学入試も、申し出れば配慮が用意されることがあります

「受験でどうせ不利になる」と思って進路の幅を狭めてしまう前に、入試の配慮のことを知っておいてください。これは特別扱いではなく、同じ土俵に立つための調整です。

文部科学省が公立高校入試について行った令和4年度の調査では、障害のある生徒に対して実際に配慮を受けた生徒が3,752人いました。内容の件数は次のとおりです(一部を抜粋)。

実際に行われた配慮 件数(令和4年度・公立高校入試)
別室の設定 1,683件
座席の指定(窓側・出入口の近くなど) 973件
問題文等へのルビ振り 415件
面接での話し方の配慮 370件
面接方法の変更(集団から個人面接へ・筆談など) 293件
解答方法は変えずに試験時間だけ延長 257件

出典:文部科学省「高等学校入学者選抜における受検上の配慮に関する参考資料」(令和4年12月)(令和4年度公立高等学校入学者選抜に係る改善状況調査より。2026年9月23日確認)

手続きの流れは、都道府県教育委員会からの周知 → 生徒・保護者からの申出 → 関係者による調整と配慮事項の決定 → 提供、という順です。申出が起点になっているのは、さきほどの差別解消法と同じ構造です。中学校の担任や特別支援教育コーディネーターに、出願が始まる前の段階で相談してください。

通信制高校の入試そのものは、学力検査だけで決まる形は多くありません。実態調査で入学者選抜の方法を学校数で数えると、面接296校、調査書等の書類による選考230校、小論文または作文154校、学力検査91校でした(1校で複数を実施)。面接がいちばん多いので、人前で話すのが苦手な場合は、そこをどう乗り切るかを先に相談する価値があります。

大学入学共通テストにも、受験上の配慮の仕組みがあります。令和9年度試験(2027年1月)では、受験上の配慮申請書【A】・医師の診断書【B】・高校の先生などが記入する状況報告書【C】の3つを、どの区分でも提出します。発達障害の区分(⑤)で例示されている配慮は、試験時間延長(1.3倍・マークシート解答)、チェック解答、拡大文字問題冊子の配付、注意事項等の文書による伝達、別室の設定です。申請期間は第1期が7月1日〜8月28日、第2期が8月31日〜10月2日で、出願(9月15日〜10月2日)と重なります。出願より前に動く必要があるという点が大事です。

出典:大学入試センター「令和9年度 受験上の配慮案内」(2026年9月23日確認)

※2026年9月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。

お金は、就学支援金の対象とそうでない部分を分けると整理できます

費用の話でつまずく方が多いのは、高校の授業料と、サポート校などの費用が、別の財布になっているからです。ここを最初に分けてしまいましょう。

かかる費用 就学支援金 2026年度の上限など
私立通信制高校の授業料 対象 1単位13,668円・年間337,200円まで。2026年度から所得制限なし
公立通信制高校の授業料 対象 1単位336円
サポート校・学習塾などの費用 対象外 各校の定めによる
教科書代・スクーリングの交通費など 対象外 学校と住んでいる場所による

出典:文部科学省「高等学校等就学支援金制度」(2026年9月23日確認)

支給の期間は在学月数で数えます。通信制は4分の3換算で実質48か月分です。転校した場合は転校先で申請をやり直す必要がありますので、手続きの引き継ぎを学校に確認してください。

発達障害に関わる手当や医療費の助成(特別児童扶養手当、自立支援医療など)は、就学支援金とはまったく別の制度です。対象や金額は発達障害 高校生 手当の記事に、制度ごとに整理しています。

ニジ高の学費については、記事に金額を書かず学費のご案内のページでご確認いただく形にしています。サポート校を併用する場合は、提携する通信制高校の分とサポート校の分の両方がかかり、サポート校の分に就学支援金は使えません。ここは見積もりの段階で、2つを分けて確認しておくと安心です。

学校選びは、パンフレットではなく6つの質問で確かめます

「発達障害への理解があります」と書いていない学校は、ほとんどありません。ですから、書いてあるかどうかでは差がつきません。同じ6つの質問を、候補の学校すべてに同じ言葉で聞いてください。返ってくる答えの具体性で、学校は驚くほどはっきり分かれます。

聞くこと 何が分かるか 答えの見方
スクーリングは何日で、どこで、泊まりがありますか 一年でいちばん高い壁の高さ 日数・会場・宿泊の有無を即答できるか
レポートが遅れたとき、誰がどう声をかけますか 不注意の特性を支える仕組みがあるか 担当者と頻度が具体的に出てくるか
配慮を頼むとき、窓口はどこで、記録は残りますか 担任が替わっても続くかどうか 個人名ではなく仕組みで答えるか
試験で時間延長や別室はできますか 差別解消法の運用が実際にあるか 過去の実例を挙げられるか
カメラやマイクをオフのまま参加できますか 最初の一歩の敷居の高さ 条件付きか、無条件か
通えなくなった生徒に、これまでどう対応してきましたか いちばん知りたい本音 具体的な場面で語れるか

答えを聞くときのコツを3つ。

1つ目、即答できるかを見ます。スクーリングの日数や会場は、その学校が毎年やっていることです。調べてから折り返します、という答えが続く場合は、運用が固まっていない可能性があります。

2つ目、個人ではなく仕組みで答えるかを見ます。「担任の○○がとても熱心で」という答えは嬉しいのですが、その先生が替わったら終わります。窓口・記録・引き継ぎという言葉が出てくる学校のほうが、3年間もちます。

3つ目、断った例を聞きます。合理的配慮は「過重な負担でないとき」という条件つきの義務です。つまり、断ることもあり得る制度です。できないことをできると言う学校より、「ここまではできますが、ここからは難しいです」と線を引ける学校のほうが、あとで揉めません。

見学や体験のときに見る項目を、もっと細かくチェックしたい場合はADHD ASD 中学生 高校選びの20項目をそのまま持っていってください。中学生でこれから進学先を選ぶ段階なら、全日制・定時制を含めた選択肢の並べ方を発達障害 高校進学にまとめています。

診断名ごとの細かい話は、それぞれの記事に分けて書いています

この記事は、通信制高校という進路そのものをどう考えるかを扱う柱の記事です。同じことを診断名ごとに書くと長くなりすぎるので、特性別の細かい話は分けてあります。今の状況にいちばん近いものから読んでみてください。

家庭での関わり方や声のかけ方については、同じ株式会社NIJINが運営する教育情報サイトにじいろの発達障害の子への接し方、居場所の作り方については発達障害の子の「居場所がない」を解くが参考になります。小中学生のお子さんの場合は、オルタナティブスクールのNIJINアカデミーという選択肢もあります。

診断や服薬など医療の判断は、主治医や専門の機関にご相談ください。どこに相談すればよいか分からない場合は、お住まいの都道府県・政令指定都市の発達障害者支援センターが最初の窓口になります。

選択肢の1つとしてのニジ高(正直な注意点)

ここまで制度の話をしてきましたので、最後に当校のことも、良いところと難しいところの両方を書きます。

NIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制高校サポート校です。ニジ高は、発達特性や障害を、本人を変えるのではなく学びの構造や環境を変えることで支援するという新しいアプローチを取っています。この記事でずっと書いてきた「環境の側を変える」という考え方を、学校の設計そのものに置いています。

具体的には、カメラとマイクをオフにして、チャットだけで参加するところから始められます。担任制で、生活のリズムに波があっても学べる設計になっており、中学内容の学び直しや、授業のアーカイブ視聴にも対応しています。メタバースの校舎で、担任や同級生と集まる時間もあります。全国にNIJINアカデミー(ニジ高はその高等部)のリアルの教室があり、相談のうえで通学に使うこともできます。

ここからが、正直な注意点です。

  • ニジ高は高校ではありません。卒業資格は、提携する通信制高校で取ります。
  • 提携する通信制高校のスクーリングには、参加が必要です。ニジ高の中でのスクーリングはありません。
  • 提携校の宿泊をともなうスクーリングに、ニジ高のスタッフは付き添いません。ニジ高が行うのは、日程の調整と、事前の準備の支援です。不安が強いお子さんの場合、ここは事前にご家庭と相談して決めていただく部分になります。スクーリングの形や日程は、体験説明会・個別相談会で詳しくご案内しています。
  • 費用は、提携する通信制高校の分とニジ高の分の両方がかかります。ニジ高の分に就学支援金は使えません。金額は学費のご案内でご確認ください。
  • 診断や服薬など医療の判断は、主治医や専門の機関にご相談ください。ニジ高が担うのは、学びの構造や環境の側を整えることです。主治医や専門の機関と並行してお使いいただけます。

途中入学(転入・編入)はできます。出願の費用はかかりません。グループ全体で、不登校の生徒を650名以上サポートしてきました。手続きや日々の過ごし方についてはよくある質問にまとめています。

合う・合わないは、はっきり分かれると思います。オンラインでも人と関わりたい、面白いことをやってみたいという気持ちがある場合には噛み合いますが、当面は誰とも関わらずに単位だけ取りたいという場合には、もっと通学の頻度が低い学校のほうが合うかもしれません。どちらであっても、それは正しい判断です。

明るい相談室の丸テーブルを囲んで、高校生と保護者、向かいのスタッフが手描きの図を見ながら話している様子
相談のときは、聞くことを3つに絞って持っていくと、話が具体的になります。

発達特性のある子の場合に、サポート校で何が足せるのか、合理的配慮をどちらに頼むのかは、サポート校 発達障害の記事で整理しています。

迷ったときの進め方(3ステップ)

情報が多すぎて動けなくなっているときは、この順番でやってみてください。1週間でここまで、と区切って構いません。

ステップ1:いま消耗している場面を、3つだけ書き出す。

「学校がつらい」では、どの学校なら楽になるかが決められません。「朝の教室のざわつき」「班で意見を言う時間」「まとめて出る提出物」のように、場面の単位まで下ろします。お子さん本人が言葉にしにくい場合は、保護者の方が見ていた場面を書き出して、あとで一緒に確かめる形でも大丈夫です。この3つが、学校選びのものさしになります。

ステップ2:その3つが減る学校の形を、2つまで絞る。

この記事の表を使って、通信制で減るもの・減らないものを当てはめます。減らないものが残った場合は、「減らないけれど、誰かが伴走してくれるか」に置き換えて考えます。サポート校を併用する意味は、ここにあります。候補は2つまでにしてください。3つ以上並べると、比べる作業自体が負担になります。

ステップ3:候補の学校に、同じ6つの質問を同じ言葉で聞く。

前の節の6つの質問をそのまま使ってください。オンラインの説明会でも、電話でも構いません。答えの内容より、答え方の具体性を見ます。比べる軸が同じなら、パンフレットの見栄えに引きずられずに済みます。

転校の時期や単位の引き継ぎに不安がある場合は、在籍している学校の担任か教務の先生に、今の修得単位数を確認するところから始めてください。年度の途中でも、修得済みの単位は引き継げることがあります。

オンラインで学ぶニジ高の生徒

通信制が合うか決まらない段階のまま、話だけ聞くこともできます

ニジ高はオンライン中心の通信制高校サポート校です。カメラとマイクをオフにして、チャットだけで参加するところから始められます。ニジ高は高校ではないため、卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングには参加が必要です。配慮の相談の仕方を含めて、決める前の段階からご相談いただけます。

体験説明会の日程を見る → LINEで気軽に相談する

よくある質問

Q. 診断がないと、通信制高校に入れませんか。

A. そういうことはありません。診断の有無は入学の条件ではありませんし、障害者差別解消法の障害者の定義にも、手帳や診断名は条件として入っていません。ただし、学校に配慮を頼むときには、状況を具体的に説明できたほうが話が早く進みます。診断がなくても、これまでの困りごとを場面ごとにメモにして持っていくと、同じ役割を果たします。

Q. 通信制高校を卒業すると、進学や就職で不利になりますか。

A. 通信制高校を卒業した場合の資格は、全日制を卒業した場合と同じ高等学校卒業です。課程の違いで卒業資格に差はつきません。一方で、大学の総合型選抜や就職の面接では、高校3年間に何をしてきたかを聞かれます。不利かどうかより、その3年間をどう使うかで差がつくと考えたほうが実際に近いと思います。

Q. スクーリングにどうしても行けそうにありません。

A. 面接指導は単位の要件なので、無くすことはできません。できるのは、負担の形を選ぶことです。年に数日まとめて泊まりがけで行う形と、地元の会場に分散して通う形では、しんどさの種類がまったく違います。学校を決める前に、日数・会場・宿泊の有無を具体的に聞いてください。実態調査では、添削課題は出しているのに面接指導に1日も来ていない生徒が8,097人いて、そのうち3,923人は集中スクーリングを前提としたコースの生徒でした。

Q. 高校の途中からでも転校できますか。

A. できます。在籍したまま移る場合は転入、退学してから入り直す場合は編入になります。転入なら、それまでに修得した単位と在籍期間を引き継げるのが一般的です。時期は学校によって違い、学期の切り替えに合わせる学校も、随時受け入れる学校もあります。まずは在籍校で修得単位数を確認し、そのうえで移り先の受け入れ時期を聞くのが順番です。

Q. 親として、本人にどう切り出せばよいか分かりません。

A. 「転校しよう」から入ると、本人には「今のあなたは駄目だ」と聞こえることがあります。おすすめは、選択肢を1つ増やすという形での切り出しです。「こういう学校の形もあるらしいから、話を聞くだけ聞いてみない」と、決定ではなく情報収集として置きます。そのうえで、決めるのは今日でなくていい、と付け加えてください。追い詰められている状態では、決断そのものが負担になります。

いま動けなくても、進路が閉じたわけではありません

学校に行けない日が続くと、時間だけが過ぎていくように感じます。けれど制度の側を見ると、高校を卒業する道も、そのあと進学する道も、思っているより幅があります。通信制高校に入る人の半数以上が、中学3年生のときに学校へ行けていなかったという事実は、その証拠の1つです。

そして、配慮を頼む権利は、診断書がなくても、手帳がなくても、こちらにあります。法律は「意思の表明があったとき」と書いています。つまり、伝えるところからしか始まりません。伝えるのは、今日でなくて大丈夫です。伝える言葉を用意するところからで十分です。

特性は、環境を選び直せば、そのまま強みの側に回ることがあります。どの環境なら本人が消耗せずにいられるのか――決めるのはそこだけです。急がずに、1つずつ確かめていきましょう。

オンラインで学ぶニジ高の生徒

オンラインで、青春する。

決めるのは今日でなくて大丈夫です。話を聞くところからどうぞ

全国どこからでもカメラ・マイクはオフでOK転入・編入は随時受付

通信制高校サポート校 NIJIN高等学院(ニジ高)/出願費用は無料です。無理に勧めることはありません。


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