不登校で制服を着たがらないのはなぜ?|4つの背景と学校に頼めること【2026】

朝、制服を用意すると部屋に戻ってしまう。着替えようとして途中で固まってしまう。制服の話になると、それまで話せていたことまで話さなくなる。そういう日が続くと、どう声をかけたらいいのか分からなくなると思います。

先に結論を書きます。制服を着たがらないことには、たいてい理由があります。大きく分けると、①服そのものがつらい(感覚の過敏)/②学校に行くこと自体への不安/③人からどう見られるかの不安/④性別との違和感の4つです。どれなのかは、外から見ただけでは分かりません。決めつけずに、本人に聞くところから始めるのが、いちばん近道です。

そしてもう1つ。制服は学校に相談できる余地があるものです。体操服やジャージでの登校、更衣する場所、代わりの服装。国の通知や自治体の公表資料を見ると、服装の決まりを見直した学校は実際に多くあります。ただし、何がどこまで認められるかは学校の判断で変わります。この記事では「決まっていること」ではなく「頼んでみる価値があること」として書きます。

この記事は、2026年9月30日に、国立障害者リハビリテーションセンターの調査資料、発達障害ナビポータル、文部科学省の通知と調査、内閣府の障害者差別解消法のページ、e-Govの法令、東京都教育庁の公表資料を実際に開いて確認した内容で書いています。確かめられなかったことは、確かめられなかったと書いています。

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目次

結論:不登校の高校生が制服を着たがらないときの早見

  • 理由は4つの方向に分かれます。感覚の過敏(服そのものがつらい)/学校へ行くこと自体への不安/人からどう見られるかの不安/性別との違和感。重なっていることもあります。
  • 感覚の過敏は、公的な研究機関の調査で中身が分かっています。国立障害者リハビリテーションセンターの調査では、触覚の困りごととして最も多く挙がったのがタグや縫い目が皮膚にあたると苦痛であるなど、服に関する問題でした。
  • 「なんで着ないの」より「どこがいや?」のほうが答えやすい。理由を聞くと本人も説明できないことが多く、場所・場面・感覚を聞くと言葉になりやすくなります。
  • 学校に頼めることはあります。体操服やジャージでの登校、更衣する場所、夏服や冬服の扱い、私服でよい日。ただし認められるかは学校の判断で、校長が定める校則の範囲で決まります。
  • 服装の決まりは、実際に見直されています。文部科学省の調査では、校則を制定・変更した学校のうち、変更内容で最も多かったのが服装(制服や体操服、靴等)に関することで646件でした。
  • 性別との違和感には、国の通知があります。文部科学省は2015年の通知で、支援の事例として自認する性別の制服・衣服や体操着の着用を認めることを挙げています。
  • 障害に関わる困りごとなら、合理的配慮を求められます。公立学校は2016年4月から、私立学校は2024年4月から、法律上の義務です。
  • 制服のない学び方(通信制高校・サポート校)もあります。オンライン中心のサポート校であるニジ高も、その1つです。
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着たがらない理由は4つの方向に分かれます。どれなのかで、次の一手が変わります

同じ「制服を着たがらない」でも、中で起きていることはかなり違います。そして、親から見えるふるまいは、どの理由でもよく似ています。だから外から当てるのは難しく、外すと本人を追い込んでしまいます。

まず、4つの方向を並べて見てみます。表の右側は「もしそれなら、次に何をするか」です。

方向 そのときに起きていること 次にすること
感覚の過敏 生地・タグ・縫い目・締めつけ・靴下のゴムなどが、痛みや不快として届いている どの部分かを一緒に特定し、代わりの服や着方を試す
登校そのものへの不安 制服が「学校に行くこと」の合図になっていて、着ると体が動かなくなる 制服ではなく、登校の形(時間・場所・人)を相談する
人からどう見られるかの不安 体型・身長・肌・髪型など、見られることそのものがつらい サイズや組み合わせの見直し、人の少ない時間帯を検討する
性別との違和感 指定された制服が、自分の感じている性別と合わない 本人の同意の範囲で学校と共有し、服装の扱いを相談する

この4つは、きれいに分かれるものではありません。感覚の過敏があって疲れがたまり、学校に行くこと自体がつらくなるという重なり方は、よくあります。だから「どれか1つに決める」のではなく、今いちばん手をつけやすいのはどれかを探す、という見方のほうが動きやすいです。

ここで大事なのは、どの方向であっても本人が困らせようとしているわけではないということです。制服を着ないことで得をする子はいません。着られない理由があるから、着られていないだけです。

台所のテーブルで、母親と高校生の息子がマグカップを前に静かに話している様子
制服の話は、朝の支度の時間を外して切り出すほうが落ち着いて話せます。

本人に聞くときは、理由ではなく「どこが」を聞くと答えやすくなります

「なんで着ないの」と聞くと、多くの場合、答えが返ってきません。本人にも言葉になっていないことが多いからです。そのうえ、「なんで」は責める言い方にも聞こえます。聞き方を少し変えるだけで、出てくる言葉が変わります。

コツは3つです。①理由ではなく場所と場面を聞く。②はい・いいえで答えられる形にする。③その場で答えなくてもいいと伝える。

ありがちな聞き方 言い換えの例
なんで制服を着ないの? 制服の中で、いちばんいやなのはどこ? 上? 下? 足元?
みんな着てるよ 着ていて、体がつらくなる感じはある? かゆい、痛い、苦しい、どれか近い?
そんなことで休むの? 制服じゃなかったら行けそう? それとも、制服とは別の話?
行かないと単位が危ないよ 単位のことは私が学校に聞いておく。あなたは、今どうしたいか教えて
いつになったら着られるの? 今日答えなくていい。思いついたら、メモでもLINEでもいいから教えて

それでも言葉が出てこないときは、選択肢を出して指さしてもらう方法があります。「首まわり・そで口・ウエスト・靴下・靴・ネクタイやリボン・全部」と紙に書いて、丸をつけてもらうだけでも、次にできることが見えてきます。

そして、聞いたあとに「わがままじゃないよ」と言葉にして返すことが、思っている以上に効きます。本人は、自分でも自分を責めていることが多いからです。

感覚の過敏は気のせいではありません。国の研究機関の調査で中身が分かっています

感覚の過敏(感覚過敏)は、音や光、肌ざわりなどの刺激を人より強く感じ、日常生活に苦痛や疲れが生じる状態を指します。国立障害者リハビリテーションセンターは2023年2月21日に、発達障害のある人の感覚の困りごとを調べた結果を公表しました。

この調査は、2018年8月から2019年1月までの間に、発達障害情報・支援センターのWEBサイトで回答を募って集めたものです(無作為に選んだ調査ではありません)。未就学児から60歳代までの431件の回答が集まり、感覚の問題が書かれていた415件が分析されています。分かったことは次のとおりです。

  • 最もつらい感覚の問題は、聴覚が415件の半数以上(約55%)。視覚・触覚・嗅覚は、それぞれ10%程度でした。
  • 2番目・3番目につらい問題になると、視覚・触覚・嗅覚がいずれも15〜20%に増えます。つまり、聴覚だけの話ではありません。
  • 自閉スペクトラム症(ASD)の診断を受けた人では、触覚の問題を最もつらいと答えた割合が、そうでない人より相対的に多い。
  • 学習障害(LD)の診断を受けた人では、視覚の問題が相対的に多くなっていました。
  • 未成年の層では、味覚(食感や苦手な食べ物を含む)の問題を挙げた割合が、他の年代に比べて相対的に多い結果でした。

そして、制服の話にそのままつながるのがここです。同じ調査で、触覚の困りごととして最も多く挙がったのが「タグや縫い目が皮膚にあたると苦痛であるなど服に関する問題」でした。次いで「水や粘土など特定の苦手なものがある」「人と接触するのが苦痛」と続きます。

感覚 挙がっていた困りごとの例 制服での表れ方
触覚 タグや縫い目が皮膚にあたると苦痛/人と接触するのが苦痛 えりもと、そで口、ウエスト、靴下のゴムがつらい
聴覚 周囲の雑音が大きく聞こえる/複数の人が話すと聞き取れない 教室に入ること自体が消耗し、着替えまで力が残らない
視覚 強い光やチカチカした光が苦手/同時に来る刺激がつらい 白いシャツの照り返し、蛍光灯の下がつらい
嗅覚 特定のにおいが苦手/複数のにおいが同時に来るとつらい クリーニングや防虫剤のにおいで着られない

感覚の受け取り方には個人差があります。発達障害のある人がみな感覚の過敏をもつわけではなく、感覚の過敏がある人がみな発達障害というわけでもありません。診断や治療の判断は、主治医や専門の機関が行うものです。この記事は、診断の代わりにはなりません。気になるときは、かかりつけ医やスクールカウンセラー、自治体の相談窓口へ相談してください。

出典:国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害のある人の感覚の問題の実態が明らかに」(2023年2月21日)、同センター研究所「発達障害のある人の感覚の問題」(2026年9月30日確認)

発達障害のある人からの415件の回答のうち、最もつらい感覚の問題を聴覚と答えた人が約55%、視覚・触覚・嗅覚はそれぞれ10%程度で、触覚の困りごとで最も多かったのはタグや縫い目など服に関する問題だったことを示す図
出典:国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害のある人の感覚の問題の実態が明らかに」(2023年2月21日)

制服のどこがつらいかを分ければ、頼めることも具体的になります

「制服がつらい」は大きすぎて、学校に相談してもかみ合いません。部位まで下りると、家でできることと学校に頼むことが分かれます。

発達障害ナビポータル(国立障害者リハビリテーションセンターと国立特別支援教育総合研究所が運営)に掲載された解説では、服に関する触覚の困りごとについて、タグを取り除く、苦手な触感の服は着ないといった対策が紹介されています。最近は、子ども服でタグを付けず、表示を印刷にした商品も出てきているとされています。

つらい場所 家で試せること 学校に相談できること
えりもと・ネクタイ・リボン 第一ボタンを開ける、肌に触れない下着を挟む ネクタイやリボンを外してよいか、夏服の扱い
タグ・縫い目 タグを外す、縫い目の当たらない下着を下に着る 下に着るものの色や形の扱い
ウエスト・締めつけ サイズを上げる、ゴムやアジャスターに替える スラックスとスカートの選択、体操服やジャージでの登校
靴下・靴 縫い目の少ない靴下、はき慣れた靴 色や形の指定が動かせるか

ここで1つだけ気をつけたいのは、サイズの確認です。高校生の3年間で体は変わります。入学時に合わせた制服が今は合っていない、というだけのことも実際にあります。買い直しの費用の心配はありますが、まずは今のサイズを測って、合っているかを確かめるのは、費用をかけずにできることです。

出典:発達障害ナビポータル「発達障害のある人のつらい感覚の問題とそのセルフケア」(国立障害者リハビリテーションセンター研究所・2023年10月19日掲載)(2026年9月30日確認)

窓辺の低い机でノートに書く高校生と、同じ部屋のソファで本を読む家族
着るか着ないかの前に、何がつらいのかを一つずつ分けていきます。

学校に相談できることはあります。認められるかは学校の判断です

制服の扱いは、校則(生徒が守るべき学習上・生活上の規律)の一部で、校長が定めるものです。だから「国の決まりでこうなっている」というものではなく、学校ごとに違い、相談する余地があります。

実際に相談されることが多いのは、次のようなことです。どれも認められるとは限りません。学校の実情や他の生徒との関係で、できることは変わります。それでも、聞いてみる価値はあります。

相談の内容 聞き方の例
体操服やジャージでの登校 制服だと来られない日があります。体操服での登校を認めていただくことはできますか
代わりの服装(私服など) 感覚の面で着られない部分があります。近い色・形の私服なら可能でしょうか
更衣の場所 教室での着替えがつらいようです。保健室など、別の場所を使わせていただけますか
私服でよい日の扱い 行事や試験の日など、服装がゆるやかな日はありますか。その日から始められますか
登校する時間帯 人の少ない時間なら来られそうです。時間をずらした登校はできますか

相談するときは、「認めてほしい」ではなく「こうすれば来られそうなので、一緒に考えてほしい」という形にすると、話が進みやすくなります。学校側も、来られる形を探している場合が多いからです。

また、制服だけの問題ではなく登校そのものが難しいときは、保健室や別室を使う形もあります。ただし、高校では「出席」の扱いと「単位」の扱いは別です。出席として数えられても、その教科の単位が自動的に出るわけではありません。詳しくは保健室登校と高校 欠席日数の記事にまとめています。

服装の決まりは実際に見直されています。校則を変えた学校で最も多い内容が服装でした

「そんな相談をしていいのだろうか」と迷うと思います。ここは、数字で見たほうが気持ちが楽になります。

文部科学省は2025年7月2日に、公立中学校・高等学校の「校則等の見直し状況調査」の結果を通知として出しました。公立中学校400校・公立高等学校400校を無作為に抽出した調査(回答は中学校399校・高等学校400校、調査期間は2025年2月25日〜3月28日)です。

  • 調査対象校の約91%が、2019年度以降に校則等の制定または変更をしていました。
  • 変更した内容で最も多かったのは「服装(制服や体操服、靴等)に関すること」で646件(中学校345件・高等学校301件、回答720校の複数回答)。次が頭髪や化粧に関することで450件でした。
  • 校則を制定・変更した学校の約85%が、生徒または保護者から意見を聴く機会を設けていました。
  • 調査対象校の約57%が、校則等を学校のホームページに掲載していました。

その他の変更内容として、「中学生らしい」など曖昧な表現をなくし、個人の主観が入る内容を削除した例や、夏服と冬服の移行期間をなくした例も挙がっています。

2022年12月に改訂された生徒指導提要にも、意義を適切に説明できないような内容の校則は、絶えず見直すことの重要性が書かれています。制服や服装の決まりは、動かないものではありません。まずは、通っている学校の校則がどこに書かれているかを確かめてみてください。ホームページに載っている学校も増えています。

出典:文部科学省「校則等の見直し状況調査結果及びこれを踏まえた対応について(通知)」(7初児生第18号・2025年7月2日)と別添1、文部科学省 生徒指導提要(改訂版)(2026年9月30日確認)

文部科学省の校則等の見直し状況調査で、校則を変更した内容のうち服装(制服・体操服・靴等)に関することが中学校345件・高等学校301件の計646件で最も多く、頭髪や化粧が計450件、持ち物が計260件だったことを示す比較表
出典:文部科学省「校則等の見直し状況調査結果及びこれを踏まえた対応について(通知)」別添1(2025年7月2日)

性別への違和感がある場合の配慮は、2015年の文部科学省の通知に書かれています

制服を着たがらない背景に、性別との違和感があることもあります。これは、本人から言い出すのがとても難しいことです。親のほうから決めつけて言葉にするのも、本人を追い込むことがあります。

制度の面では、文部科学省が2015年4月30日に「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」という通知を出しています。学校における支援の事例として、次のようなものが挙げられています。

  • 服装:自認する性別の制服・衣服や、体操着の着用を認める
  • 更衣室:保健室・多目的トイレ等の利用を認める
  • トイレ:職員トイレ・多目的トイレの利用を認める
  • 髪型:標準より長い髪型を一定の範囲で認める
  • 修学旅行等:1人部屋の使用を認める。入浴時間をずらす

この通知では、支援を組織的に進めること、そして情報を共有するときは、本人や保護者に意図を十分に説明・相談し、理解を得ながら進めることが求められています。本人が知られたくない場合があることに留意する、とも書かれています。親が先回りして学校に伝えるのではなく、本人と一緒に決めるほうが、この通知の考え方に沿っています。

自治体の公表資料でも、服装の選択肢は広がっています。東京都教育庁が運営するサイトでは、都立高校の服装を「制服」「標準服・推奨服」「制服なし(学校生活にふさわしい私服を着用)」の3つに分けて一覧にしており、制服の学校でもいくつかのタイプやデザインの中から自由に選択できる学校があると説明されています。スラックスとスカートを選べる、ネクタイとリボンを選べる、といった記載も多く見られます。

※2026年9月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。

出典:文部科学省「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」(2015年4月30日)、東京都教育庁 だから都立高「制服一覧(全日制)」(2024年11月15日掲載)(2026年9月30日確認)

相談は担任からで大丈夫です。通らなかったときの次の窓口まで決めておきます

相談の順番に決まりはありませんが、担任の先生から始めて、必要に応じて広げるのが現実的です。最初から校長に行くと、担任との関係がぎくしゃくすることがあります。

相手 頼めること 使いどき
担任 日々の扱い、教室での配慮、欠席の連絡の仕方 最初の1回。まずはここへ
学年主任・生徒指導担当 服装の決まりの運用、学年として揃える扱い 担任だけでは決められないと言われたとき
養護教諭(保健室の先生) 体調としての困りごと、更衣の場所、休む場所 感覚のつらさ・体調が関わるとき
スクールカウンセラー 本人の気持ちの整理、家庭での関わり方の相談 本人が話しにくいとき、親が迷うとき

学校の外の窓口もあります。文部科学省の24時間子供SOSダイヤルは0120-0-78310で、通話料は無料です(2016年4月1日から無料での運用)。ほかに、自治体の教育相談センターや、医療機関の相談窓口があります。

伝えるときは、事実を短く、希望を1つだけにすると通りやすくなります。「制服のウエストの締めつけがつらく、朝に着替えられない日があります。当面、ジャージでの登校を認めていただけないでしょうか」——このくらいの長さで十分です。

そして、やりとりは記録しておくことをおすすめします。いつ・誰に・何を頼み・どう答えがあったか。担任が替わったときや、進路を考えるときに役立ちます。

合理的配慮には法律の根拠があります。公立は2016年4月、私立は2024年4月から義務です

困りごとが障害(診断の有無にかかわらず、社会的障壁によって日常生活や社会生活に相当な制限を受ける状態)に関わるものであれば、合理的配慮を求めることができます。これは学校の好意ではなく、法律に書かれていることです。

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)は、次のように定めています。

  • 第7条第2項(行政機関等):障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、必要かつ合理的な配慮をしなければならない。
  • 第8条第2項(事業者):同じ内容を、事業者について定めています。

内閣府のページによると、行政機関等については2016年(平成28年)4月1日から、事業者については2024年(令和6年)4月1日から、合理的配慮の提供が義務になりました。学校でいえば、公立学校は行政機関等、私立学校は事業者にあたります。つまり、今はどちらの学校でも義務です。

項目 公立学校 私立学校
法律上の位置づけ 行政機関等(第7条第2項) 事業者(第8条第2項)
合理的配慮の提供 2016年4月1日から義務 2024年4月1日から義務
求めるときに要ること 本人や保護者からの意思の表明。学校側の負担が過重でないこと 同じ

ここで押さえておきたいのは、求めたことがそのまま通るとは限らないという点です。法律は「過重でないとき」と書いています。だから、断られたら終わりではなく、別のやり方を一緒に探す話し合いに進むのが本来の形です。「制服を全部やめてほしい」ではなく「ウエストのゴムを替えたい」「体操服で登校したい」と、小さく具体的に出したほうが通りやすいのはそのためです。

配慮の求め方をもう少し詳しく知りたい場合は、発達障害 高校 進学の記事も参考になります。

※2026年9月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。

出典:e-Gov 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 第7条・第8条、内閣府「障害者差別解消法」、文部科学省「文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針の策定について」(2026年9月30日確認)

よくある誤解と、しないほうがよい対応

制服の話は、親のほうが先に追い詰められます。そのときにやりがちで、結果的に遠回りになる対応をまとめました。

よくある考え 実際のところ
甘やかすと、ますます着なくなる 着られない理由がある場合、我慢を重ねると消耗が増え、登校そのものが遠のくことがあります
制服を着られれば、学校に行ける 制服は入口の1つです。登校そのものへの不安が背景なら、制服を解決しても動きません
学校に言っても、どうせ無理 服装は、校則の変更内容で最も多く挙がっている項目です。聞いてみる価値はあります
朝に着替えられないのは、生活リズムのせい リズムが関わることもありますが、感覚のつらさや不安が重なっている場合もあります
本人に理由を言わせないと進まない 言葉にできないことが多いです。場所や場面を選んでもらう形にすると進みます

もう1つ。制服を目の前に出したまま待つのは、本人にとってはずっと責められている状態に近いことがあります。いったん見えないところにしまい、話ができる日に出す、という順番でもかまいません。

登校そのものがつらいときは、制服のない学び方もあります

制服の相談をしても登校が難しい。あるいは、制服の前に学校そのものがつらい。そういうときは、学び方を変えるという選択肢があります。文部科学省が2019年10月25日に出した通知でも、支援は「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、自らの進路を主体的に捉えて社会的に自立することを目指すものだと書かれています。

高校の不登校は、珍しいことではありません。文部科学省が2025年10月29日に公表した令和6年度の調査では、高等学校の不登校生徒数は67,782人、生徒1,000人あたり23.3人でした(小・中学校は353,970人、1,000人あたり38.6人)。

選択肢 制服の扱い 気をつけること
別室・保健室で過ごす 学校の判断による。ゆるやかな場合がある 出席の扱いと単位の扱いは別。担任に確認する
時間をずらして登校する 同上 授業の出席時数の数え方を確認する
今の学校に籍を置いたまま休む 登校しないので関係しない 単位・進級の期限があるので早めに相談する
通信制高校へ転入・編入する 任意の学校やない学校もある。学校ごとに違う スクーリングへの参加は必要。学校ごとに違う

通信制高校は、レポート(添削指導)・スクーリング(面接指導)・試験で単位を取る仕組みで、毎日通う形ではありません。仕組みそのものは通信制高校とはの記事にまとめています。制服が指定か任意かなしかは学校ごとに違うので、通信制高校 制服と通信制高校 服装の記事で確かめてください。感覚の特性がある場合の合い方はASD 通信制高校の記事で整理しています。

なお、小中学生の段階から学び方を考えたい場合は、姉妹事業のNIJINアカデミー(小中学生のオルタナティブスクール)もあります。

出典:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(2019年10月25日)、文部科学省 令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果(2025年10月29日公表)(2026年9月30日確認)

選択肢の1つとしてのニジ高(正直な注意点)

NIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制高校サポート校です。制服の指定はなく、服装も髪型も自由です(よくある質問)。自宅から参加できます。カメラとマイクをオフにして、チャットだけで参加するところから始められる設計なので、見られることがつらい時期でも、参加の形を選べます。

できることを並べると、担任制、毎週の8人のクラス会議、毎週火曜12:30の全校ホームルーム(YouTubeのLIVE配信を見るだけの参加もできます)、メタバースの校舎、授業のアーカイブ視聴、中学範囲の学び直し、企業や自治体と関わる探究のプロジェクト、総合型選抜に向けた小論文・面接・自己PRの講座(順次開講)。転入・編入による途中入学ができ、出願費用は無料です。希望する生徒には、スタッフが1対1で伴走します。また、希望する生徒には、企業インターンとして出社するプロジェクトもあります(東京の拠点・希望者向け)。

発達特性や障害については、本人を変えるのではなく、学びの構造や環境を変えることで支援するという考え方をとっています。いまできることの少し先に課題を置き、学び方の仕組みのほうを変えて、その子の得意が生きるようにする、という進め方です。診断や服薬など医療の判断は、主治医や専門の機関にご相談ください。

正直な注意点も書きます。

  • ニジ高は高校ではありません。卒業資格は、提携する通信制高校、または在籍中の通信制高校で取ります。
  • 提携する通信制高校のスクーリングには参加が必要です。宿泊を伴う場合があり、ニジ高のスタッフは付き添いません(日程の調整と準備は支援します)。スクーリングの形や日程は、個別相談会で詳しくご案内しています。
  • 費用は、在籍する高校の分とニジ高の分の両方がかかります。ニジ高の分に就学支援金は使えません。金額は学費のご案内をご覧ください。
  • オンライン中心なので、毎日通う場所がほしい人には合わないことがあります。全国にNIJINアカデミーのリアルの教室があり、相談のうえで通うこともできます。

N高等学校・ルネサンス高等学校・クラーク記念国際高等学校など、ほかの通信制高校に在籍したままニジ高を併用することもできます。その場合、卒業資格・単位・評定は在籍する高校のものになります。サポート校の選び方はサポート校 発達障害の記事にまとめています。

相談室の机で、保護者と高校生が先生の説明を聞いている様子
学校に相談するときは、困っている場面を具体的に伝えると話が進みます。

迷ったときの進め方(3ステップ)

一度に全部を決めなくて大丈夫です。順番があります。

  1. 今週:本人に「どこが」を1回だけ聞く。理由ではなく、場所と場面を聞きます。答えが出なくても、それでかまいません。聞いたあとに「わがままじゃないよ」と伝えて終わります。無理に着せる日を作らないことのほうが大事です。
  2. 今月:担任に、希望を1つだけ伝える。「体操服での登校」「更衣の場所」「時間をずらした登校」のうち、いちばんハードルの低いものを1つ。あわせて、単位と出席の扱いがどうなるかを確かめます。学年主任や養護教諭、スクールカウンセラーにつないでもらえるかも聞いておきます。
  3. 3か月以内:進級と単位の見通しを確かめ、選択肢を並べる。今の学校で続けられそうか、別室や時間をずらす形で足りるか、通信制高校やサポート校のほうが合うか。転入は前の学校の単位と在籍期間を引き継げます。受け入れの時期は学校ごとに違い、年度の途中に受け入れている学校もあれば、4月と10月だけの学校もあります。資料を取り寄せるところまでで、この月は十分です。

それでも決まらないときは、決めないまま相談してかまいません。よくある質問にも、同じ段階の方からの質問が並んでいます。

オンラインで学ぶニジ高の生徒

制服のない学び方を、家から試してみることもできます

ニジ高はオンライン中心の通信制高校サポート校です。制服の指定はなく、カメラとマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められます。ただし学院は高校ではなく、卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングには参加が必要です。個別相談会はオンラインで30分、保護者の方だけでも参加できます。

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よくある質問

Q. 制服を着ないだけで、単位や進級に影響しますか?

A. 制服を着ていないこと自体で単位が決まるわけではありません。高校の単位は、その教科の出席時数と成績で判断されるのが一般的です。ただし、服装の決まりに従わないことが指導の対象になるかは学校ごとに違います。影響するかどうかは、担任に直接確かめるのが確実です。欠席日数の数え方は高校 欠席日数の記事にまとめています。

Q. 体操服での登校は、頼めば認めてもらえますか?

A. 認められている学校もありますが、学校の判断で変わります。制服の扱いは校長が定める校則の一部だからです。頼むときは「制服だと来られない日があるので、体操服なら来られそうです」と、目的(登校できること)から伝えると話が進みやすくなります。断られた場合も、更衣の場所や時間帯など、別のやり方を一緒に探してもらえないか聞いてみてください。

Q. 感覚の過敏かどうかは、どこで分かりますか?

A. この記事は診断の代わりにはなりません。気になるときは、かかりつけの医師、スクールカウンセラー、自治体の発達障害者支援センターや教育相談の窓口へご相談ください。判断は専門の機関が行います。家庭でできるのは、どの場面で、どの感覚が、どのくらいつらいのかを一緒に書き出しておくことです。相談の場で伝えやすくなります。

Q. 性別との違和感かもしれません。学校に伝えたほうがいいですか?

A. 文部科学省の通知では、情報を共有するときは本人や保護者に意図を十分に説明・相談し、理解を得ながら進めることが求められています。本人が知られたくない場合があることにも留意する、とされています。親が先に学校へ伝えるのではなく、本人と一緒に、誰にどこまで伝えるかを決めるほうが、この考え方に沿っています。迷うときは、スクールカウンセラーに親だけで相談することもできます。

Q. 通信制高校に移れば、制服の問題はなくなりますか?

A. 制服が任意の学校や、制服のない学校もあります。ただし全体の割合を示す公的な統計は確認できなかったので、学校ごとに募集要項や公式サイトで確かめてください。また、スクーリング(面接指導)への参加は必要で、その日の服装の決まりも学校ごとに違います。制服が入口の1つだっただけで、登校そのものへの不安が背景にある場合は、移っただけでは変わらないこともあります。通信制高校 服装の記事で、実際の運用を確かめてみてください。

制服を着られない日があっても、その子の高校生活は終わりません

制服は、その子が高校生であることの証明ではありません。着られない日があるのは、着られない理由があるからで、本人が怠けているからではありません。ここまで読んでくださったこと自体が、すでにその子にとっての支えになっています。

できることは、思っているより残っています。聞き方を変えてみる。学校に1つだけ頼んでみる。合わなければ、学び方そのものを変える。どれも、今日決めなくて大丈夫です。

朝に制服を見るのがつらい日が続いているなら、まずは制服をいったんしまって、本人が話せる日を待ってみてください。話せる日は、思っているより早く来ることがあります。

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