ADHDで順番を待てない高校生|責めずに減らす3つの工夫と合理的配慮【2026】

授業中に人の発言が終わる前に答えてしまう。列に並ぶとイライラが止まらない。LINEの返信が来ないと、何度もスマホを見てしまう。ADHD(注意欠如・多動症)の傾向がある高校生にとって、「順番を待つ」ことは、周りが思うよりずっと大きな負担になることがあります。

先に結論を書きます。順番を待てないのは、国の発達障害の情報サイトにも「待つことが苦手」と書かれている特性の1つで、やる気や育て方の問題ではありません。そして、特性そのものを無理に変えようとするより、「待ち時間を見えるようにする」「待つ間の手と頭の置き場所をつくる」「学校に配慮を頼む」という、環境の側の工夫のほうが続けやすい、というのがこの記事の答えです。

この記事は、発達障害ナビポータル(国立障害者リハビリテーションセンター発達障害情報・支援センターと国立特別支援教育総合研究所が共同で運用)、国立精神・神経医療研究センターの「こころの情報サイト」、文部科学省の令和4年の調査、障害者差別解消法と文部科学省の対応指針、大学入試センターの受験上の配慮案内を、2026年9月27日に実際に開いて確認した内容で書いています。診断や治療の判断をする記事ではありません。医療のことは主治医や専門の相談窓口に確かめてください。

待つ場面の多い教室で毎日過ごすのがしんどい場合や、もっと自分らしい高校生活を探している場合は、オンラインという選択肢もあります。NIJIN高等学院(ニジ高)は「オンラインで最高の青春を」を掲げる通信制高校サポート校で、全国の仲間とオンラインでつながり、企業や地域と関わるプロジェクトや、生徒が自分たちで企画する行事に挑戦できます。カメラやマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、全国にNIJINアカデミー(ニジ高はその高等部)のリアルの教室があり、リアルでの通学もご検討いただけます。ニジ高は高校ではないため、卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングには参加が必要です。どんな学校なのかは、校長・星野達郎のYouTubeでも見られます。

目次

結論:ADHDで順番を待てない高校生の早見

  • 「待つことが苦手」はADHDの説明そのものに入っています。発達障害ナビポータルは、ADHDを「落ち着きがない、待つことが苦手、行動の抑制が難しい」といった特性で生活に困難が生じている状態と説明しています。
  • 文部科学省の調査で使われた行動面のチェック項目にも、「順番を待つことが難しい」「質問が終わる前に出し抜けに答え始めてしまう」がそのまま並んでいます。
  • 公立高校の通常の学級で、「不注意」または「多動性‐衝動性」の問題を著しく示すと担任などが回答した生徒は推定1.0%(令和4年調査。医師の診断ではありません)。
  • 高校では、こうした困難のある生徒に教室内で個別の配慮をしている割合が推定18.2%で、小・中学校の54.9%より大きく下がります。だからこそ、本人や家族から伝えることにも意味があります。
  • 本人の工夫は「待ち時間の見える化」「手と頭の置き場所」「順番を外に預ける」の3つが軸です。割り込んだ後は、責めるより短く振り返るほうが次につながります。
  • 学校には合理的配慮として頼めます。公立は2016年4月から、私立は2024年4月から法的な義務で、障害者手帳が無くても対象になり得ます。
  • 教室の「待つ時間」そのものを減らしたいなら、オンライン中心の学び方(ニジ高のような通信制高校サポート校など)も選択肢の1つです。
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「待てない」は国の資料にも書かれている特性で、努力が足りないせいではありません

「順番くらい守りなさい」「なんで少し待てないの」。ADHDの傾向がある高校生は、小さいころからこの言葉を何度も聞いてきたかもしれません。けれど、国の資料を読むと、待つことの難しさはADHDの説明の中心に書かれています。

発達障害ナビポータルの「注意欠如多動症」のページでは、ADHDを次のように説明しています。

  • 発達の水準から見て不相応に、注意を持続させることが困難、順序立てて行動することが苦手、落ち着きがない、待つことが苦手、行動の抑制が難しいといった特性が、12歳以前から持続的に認められ、学校・家庭・職場などで困難が生じている状態
  • 学童期には3〜7%に認められ、成人期の有病率はおよそ2.5%程度
  • 「思いつくと直ぐに行動に移してしまったり、気持ちをコントロールすることが苦手だったり」する一方で、興味のあることに強い集中力を示すこともある

出典:発達障害ナビポータル「注意欠如多動症」(2026年9月27日確認)

国立精神・神経医療研究センターの「こころの情報サイト」(厚生労働省の「みんなのメンタルヘルス総合サイト」の情報を2023年4月から引き継いだサイト)も、子どもの多動性‐衝動性の例として「順番を待つのが難しい、他人の会話やゲームに割り込む」を挙げています。

出典:国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト「発達障害(神経発達症)」(2026年9月27日確認)

さらに、文部科学省が全国の学校で行った調査の「多動性‐衝動性」のチェック項目には、次のような項目が並んでいます。

  • しゃべりすぎる
  • 質問が終わる前に出し抜けに答え始めてしまう
  • 順番を待つことが難しい
  • 他人を妨害したり、邪魔をする

出典:文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について」(令和4年12月13日公表。質問項目の別添。2026年9月27日確認)

つまり、「待てない」「割り込んでしまう」は、ADHDの特性として国の資料に名指しで書かれている行動です。ナビポータルは、特性の背景には脳の働き方の違いがあると言われていること、そして同じ診断でも特性の強さや現れ方は人によって違い、毎日を過ごす環境によっても困難の現れ方が変わることも書いています。

ここで大事なのは、「特性だから仕方ない」で終わらせないことです。特性があることと、困りごとを減らす工夫ができることは両立します。環境をどう整えるかで、同じ特性でも困り方は変わる。この記事は、その「環境の側」に焦点を当てます。

なお、診断を受けていない人でも、待つのが苦手で困っていることはあります。この記事の工夫は診断の有無にかかわらず使えますが、ADHDかどうかの診断は医師が行います。ADHDの特徴全体や勉強・人間関係の困りごとは、ADHD 高校生 特徴の記事で広くまとめています。この記事は「待つ場面」に絞って書きます。

台所のテーブルでノートを見ながら落ち着いて話す高校生と保護者
待てなかった場面は、責めずに一緒にふり返ると次の工夫が見つかりやすくなります

高校生になると、「待つ場面」は列より「言葉」と「連絡」と「結果」に移ります

小学生のころの「待てない」は、給食の列や遊具の順番のように目に見える場面が中心です。高校生になると、見えにくい「待つ」が増えます。人の話が終わるのを待つ、返信を待つ、成績や合否を待つ、といった場面です。まず、どこで困っているかを場面ごとに分けてみます。

場面 待つもの 起きやすいこと 工夫の方向
授業・ホームルーム 先生の質問が終わる、指名される 質問の途中で答える、指名前に話し出す 言いたいことを先にメモに書く
グループワーク 他の人が話し終える 話をさえぎる、結論を急ぐ 話す順番と時間を最初に決めてもらう
列・窓口・食堂 自分の番が来る イライラする、列を離れる 残りの人数や時間を目で追えるようにする
LINE・SNS 返信や既読 連投する、何度も画面を見る 見る時間を決め、通知を切る時間をつくる
成績・合否・面接 結果や自分の番 落ち着かず眠れない、衝動的に決める 待つ間にやることを先に決めておく

※表は、国の資料にある特性の説明と、学校生活でよくある場面を組み合わせた整理です。すべての人に当てはまるわけではありません。

この表で気づいてほしいのは、高校生の「待てない」は、周りから「空気が読めない」「せっかち」「失礼」と性格の問題に見られてしまうことがあることです。小学生の割り込みは「まだ小さいから」と流されても、高校生になると人間関係のトラブルや、先生からの評価に響くこともあります。

逆に言えば、困っている場面が1つか2つにしぼれれば、手の打ちようがあります。ノートの端に、この1週間で「待てなくて困った場面」を3つ書き出してみてください。授業中なのか、列なのか、スマホなのか。それだけで、次の節のどの工夫から試すかが決まります。

「思ったことをそのまま口にしてしまう」ことで悩んでいる場合は、衝動的な発言の記事もあわせて読んでみてください。

数字で見ると、高校では「困難に気づかれても、配慮が届きにくい」状態があります

文部科学省は令和4年に、全国の公立小・中・高等学校の通常の学級を対象に、担任などが回答する形で調査を行いました。高校は全日制と定時制の1〜3年次が対象で、標本の生徒は34,565人です。

項目(推定値) 小学校・中学校 高等学校
学習面または行動面で著しい困難を示す 8.8% 2.2%
「不注意」または「多動性‐衝動性」の問題を著しく示す 4.0% 1.0%
(困難を示す生徒のうち)校内委員会で支援が必要と判断されている 28.7% 20.3%
(同)授業中に教室内で個別の配慮・支援を受けている 54.9% 18.2%
(同)個別の教育支援計画が作成されている 18.1% 10.5%
(同)通級による指導を受けている 10.6% 5.6%

出典:文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(令和4年)について」(表1・表2・表7・表8・表10・表15。2026年9月27日確認)

この調査には大事な注意書きがあります。結果は学級担任などの回答にもとづくもので、専門家チームの判断や医師の診断ではなく、発達障害のある生徒の割合を示すものではない、と文部科学省自身が書いています。また、高校は公立の全日制・定時制だけが対象で、通信制や私立の高校は含まれていません。

それでも、読み取れることがあります。困難を示すとされた高校生のうち、授業中に教室内で個別の配慮を受けているのは推定18.2%でした。報告書も、高校の通級による指導(推定5.6%)について「充実を図る必要がある」と書いています。高校では通級による指導が平成30年(2018年)に制度化されましたが、まだ広がりきっていないことがうかがえます。

ここから言えるのは、高校では、困っていることに先生が気づいていても、具体的な配慮まで届かないことがあるということです。だからこそ、本人や家族から「この場面で困っている」「こうしてもらえると助かる」と伝えることに意味があります。伝え方は後の節で具体的に書きます。

文部科学省の令和4年調査で、学習面または行動面で著しい困難を示すとされた生徒のうち、授業中に教室内で個別の配慮を受けている割合が小・中学校54.9%に対し高校18.2%と約3分の1で、校内委員会での判断・個別の教育支援計画・通級による指導も高校のほうが低いことを示す比較表
出典:文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」(令和4年)

本人ができる工夫は「見える化」「置き場所」「外に預ける」の3つが軸です

ここからは、高校生本人に向けて書きます。発達障害ナビポータルは、日常の工夫として「指示は分かりやすく伝える」「気が散りにくいように環境を整える」「学習の課題を小分けにして休憩を挟む」を挙げています。こころの情報サイトも、集中する時間を短めにし、休憩のタイミングをあらかじめ決めておく、やることをToDoリストに書く、といった方法を紹介しています。これを「待つ場面」に当てはめると、次の3つになります。

1. 待ち時間を「見える化」する

待つのがつらい理由の1つは、「あとどれくらいか」が分からないことです。終わりが見えると、同じ5分でも感じ方が変わります。

  • 列では、前に何人いるかを数える。窓口の番号札や、1人にかかる時間を見て、自分の番までの目安を出す
  • 面談や面接の待ち時間は、呼ばれる順番と予定時刻を先に聞いておく
  • 返信を待つときは、「次にスマホを見るのは20分後」とタイマーで決める

2. 待つ間の「手と頭の置き場所」をつくる

何もせずに待つのは、いちばん負担が大きい待ち方です。待つ間にやることを、あらかじめ決めておきます。

  • 授業で言いたいことが浮かんだら、すぐ口にする代わりにノートの端に書く。書いたら手を挙げて、指名を待つ
  • 列では、覚えたい単語を1つ見返す、今日の予定を頭の中で並べる、など小さな作業を用意する
  • 合否や成績の発表を待つ期間は、その間にやる別の予定(課題、運動、好きなこと)を先にカレンダーに入れる

3. 順番を「外に預ける」

自分の記憶や我慢だけで順番を管理しようとすると、疲れます。順番は、紙や人やルールに預けてしまいましょう。

  • グループワークでは、最初に「話す順番」と「1人何分」を決めてもらうよう提案する
  • 話したいことが多い日は、「あとで話したいことがある」と先生や友達に先に伝えておき、自分で予約する
  • LINEでは、送る前に下書きに書いて、一度だけ読み返してから送る

どの工夫も、一度で身につくものではありません。全部を試す必要はなく、表で書き出した困る場面に合うものを1つ選ぶところから始めてください。うまくいかなかった日は、その工夫が合わなかっただけで、あなたがだめだったわけではありません。

勉強の進め方や忘れ物など、待つこと以外の困りごとへの工夫は、ADHD 高校生 特徴の記事の「勉強法・具体的な対策」の節も参考になります。

割り込んでしまった後は、叱るより「短く振り返る」ほうが次につながります

ここは保護者の方に向けて書きます。お子さんが人の話に割り込んだり、並んでいる途中で列を離れたりしたとき、つい強い言葉が出てしまうのは自然なことです。こころの情報サイトも、ADHDの子どもは行動の切り替えが苦手だったり、かんしゃくを起こしたりすることも多いため、養育者も「ダメでしょ」「どうして…なの」と否定的な言葉で感情的に反応してしまいがちだ、と書いています。

そのうえで、発達障害ナビポータルは次のような関わり方を勧めています。

  • ADHDの子どもは学校や家庭での失敗や友達とのトラブルが多く、失敗や叱責に傷つきやすいとも言われている
  • 好ましくない行動の前後を分析し、感情的な叱り方をせず、好ましい行動を見つけながら褒め方を工夫する
  • よりよい関わり方を学ぶ方法として、ペアレント・トレーニングがある

出典:発達障害ナビポータル「注意欠如多動症」/こころの情報サイト「発達障害(神経発達症)」(2026年9月27日確認)

「前後を分析する」を家庭で使える形にすると、次のような言い換えになります。下の表は言葉の例で、正解の台本ではありません。

つい言いがちな言葉 置き換えの例 ねらい
なんで待てないの どのあたりで待つのがきつくなった? 困った瞬間を一緒に特定する
また割り込んだでしょ 言いたいことがあったんだね。次はメモに書いてみる? 行動の代わりを1つだけ示す
みんな我慢してるんだよ 今日は最後まで並べたね できた場面を見つけて伝える
もう高校生なんだから 何があれば待ちやすかった? 環境の工夫を本人と探す

振り返りは、落ち着いてから、短く、1つだけにします。長い説教は、本人にとって「待つ時間」がもう1つ増えるのと同じです。

もう1つ知っておいてほしいのは、ナビポータルが、ADHDのために日常生活で不適応感があったり自尊心が傷つけられたりすることで、精神的な不調を来す場合もあると書いていることです。「待てない自分はだめだ」という思いが続いているようなら、叱り方を変えることに加えて、主治医や相談機関に話してみてください。都道府県や政令指定都市には発達障害者支援センターが置かれています(こころの情報サイト)。

感情が爆発してしまう場面が多い場合は、発達障害 高校生 癇癪の記事で、起きる前・最中・後の対応を整理しています。

家でヘッドホンをつけてオンライン授業に参加し手を挙げる高校生
オンラインの授業でも、発言の順番を待つ場面はあります。合図の決め方を先生と相談できます

学校には「合理的配慮」として頼めます。公立は2016年から、私立は2024年4月から義務です

本人の工夫だけでは減らせない「待つ負担」は、学校に配慮を頼むことができます。根拠になるのが、障害者差別解消法の合理的配慮です。

項目 内容 根拠
誰に義務があるか 国・自治体など(公立学校を含む)は2016年4月から。私立学校などの事業者は2024年4月1日から義務(それまでは努力義務) 障害者差別解消法 第7条・第8条、附則/内閣府リーフレット
対象になる人 発達障害を含む障害があり、障害と社会的障壁で生活に相当な制限を受ける人。障害者手帳の所持者に限られない 文部科学省 対応指針
始まり方 本人からの意思の表明。本人が難しい場合は家族などが補佐して伝えることも含む 文部科学省 対応指針
決め方 負担が重すぎない範囲で、本人と学校が建設的対話で対応案を一緒に考える 障害者差別解消法 第8条/内閣府リーフレット

出典:障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(e-Gov)/内閣府「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されました」/文部科学省「文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」(令和6年4月1日施行の改定版。2026年9月27日確認)

文部科学省の対応指針には、合理的配慮に当たり得る例が並んでいます。「待つ」に関係するものを抜き出すと、次のとおりです。

  • 障害者が立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の理解を得た上で、順番が来るまで別室や席を用意する(ルール・慣行の柔軟な変更の例)
  • 多人数の中にいることによる緊張がある場合に、施設の状況に応じて別室を用意する
  • 落ち着かない状況にある子どもに、保護者から特性を聞き取った上で、落ち着くことができるよう個室などを提供する
  • 入学試験や検定試験で、本人・保護者の希望や障害の状況を踏まえ、別室での受験や試験時間の延長などを許可する

対応指針は高校などの学校について、合理的配慮は学校と本人・保護者が合意を形成したうえで提供されることが望ましく、その内容を個別の教育支援計画に明記することが重要、進学や進級のときも引き継ぐことが必要だ、とも書いています。発達障害者支援法第8条も、国と自治体に、高校に在学する18歳以上の人を含めて、個別の教育支援計画の作成などを進めるよう求めています(発達障害者支援法、e-Gov)。

「待つ場面」に置きかえると、学校と話し合う配慮の例には、次のようなものが考えられます。どれが通るかは学校の状況と話し合いで決まります。

  • 授業で発言したいことを、口頭の代わりに付せんやチャットで先に出してよいことにしてもらう
  • グループワークで、話す順番と時間を最初に決めてもらう
  • 健康診断や行事などの長い待ち時間に、席や別の待つ場所を用意してもらう
  • 定期試験で、別室での受験を相談する

合理的配慮の一般的な申請の流れは、合理的配慮 申請の記事でもまとめています。

※2026年9月時点の情報です。最新は内閣府・文部科学省・e-Govの公式ページでご確認ください。

伝えるときは、診断名より「困る場面」と「効いた工夫」を1枚にまとめると話が進みます

合理的配慮は、本人か家族の「意思の表明」から始まります。とはいえ、先生に「ADHDなので配慮してください」とだけ伝えても、何をすればいいのかが伝わりにくいものです。対応指針も、本人が普段講じている対策や、学校ができる取組を対話の中で共有することが円滑な対応につながる、と書いています。

そこで、A4用紙1枚に次の4つをまとめて持っていく方法をおすすめします。

  1. 困る場面:「先生の質問が終わる前に答えてしまう」「健康診断の列で待てず、列を離れてしまう」など、具体的に1〜3つ
  2. そのときの本人の様子:「言わないと忘れてしまう不安がある」「待つ時間が分からないと落ち着かない」など、本人の言葉で
  3. これまでに効いた工夫:「メモに書くと待てた」「残り人数が分かると並べた」など、中学校や家庭でうまくいったこと
  4. 学校にお願いしたいこと:前の節の例のように、小さく具体的に1〜2つ

診断書があれば話が早い場面もありますが、法律上の対象は障害者手帳の所持者に限られません。まずは担任や、学校の特別支援教育コーディネーター、保健室の先生など、話しやすい人に相談の時間をもらうところから始められます。

ポイントは、「全部やってほしい」ではなく「この場面で、これを1つ」にすることです。学校にとっても負担が見えやすく、試して、合わなければ見直すことができます。対応指針も、合意した後も発達の程度や適応の状況に応じて柔軟に見直すことが重要だと書いています。

高校3年生で大学入試を控えている人は、ここで作った記録が次の節の入試の配慮申請にもつながります。

順番を待てないときの本人の工夫として、残りの人数や時間を見える化する、言いたいことをメモに書くなど待つ間の置き場所をつくる、話す順番を最初に決めてもらい順番を外に預ける、の3つを並べた図
参考:発達障害ナビポータル、国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト

大学入学共通テストでも配慮を申請でき、高校での配慮の記録が使われます

待つことや集中の難しさは、入試の場面でも問題になります。大学入試センターの「令和9年度 受験上の配慮案内」では、発達障害(学習障害、注意欠如・多動症、自閉スペクトラム症など)のために配慮を必要とする人の配慮事項として、次のものが挙げられています。

区分 配慮事項の例 必要な書類
発達障害 試験時間延長(マークシート解答)、チェック解答、拡大文字問題冊子、注意事項等の文書による伝達、別室の設定 受験上の配慮申請書、医師の診断書(発達障害関係)、状況報告書

出典:大学入試センター「令和9年度 受験上の配慮案内」(「2 申請方法等」「3 受験上の配慮事項」。2026年9月27日確認)

注目してほしいのは「状況報告書」です。卒業見込みの人の場合、高校で実施している配慮の内容などを、学校の担当者が記入する様式です。つまり、高校で配慮を受けてきた記録が、入試の配慮申請の材料になります。高1・高2のうちから学校と配慮を話し合っておくことは、目の前の教室のためだけでなく、進路のためにもなります。

令和9年度の申請期間は、第1期が2026年7月1日〜8月28日、第2期が8月31日〜10月2日(いずれも必着の場合)でした。申請は郵送のみで、申請書類の提出は一度だけです。受験する年度の配慮案内を公式サイトで確認し、早めに学校の担当の先生と準備してください。各大学の個別試験での配慮は、大学ごとに確認が必要です。

よくある誤解は「大人になれば治る」「厳しく言えば直る」「通信制なら待つ場面はない」の3つです

誤解1:大人になれば自然に治る

こころの情報サイトは、大人になると落ち着きのなさなどの多動性‐衝動性は軽減することが多いとされている一方で、感情のコントロールが難しいなど、現れ方が変わることを書いています。ナビポータルも、日常生活の困難は成人期にも続くことが少なくないとしています。「そのうち治るから放っておく」でも「一生このまま」でもなく、いまの困りごとに、いまの工夫で対応するのが現実的です。

誤解2:厳しく言えば直る

前の節のとおり、国の資料はむしろ、感情的に叱らず、好ましい行動を見つけて褒め方を工夫することを勧めています。ナビポータルは、ADHDを根治させる方法はなく、治療や取組を通して困難を最小化する、と書いています。薬物療法は、環境調整や行動療法など薬以外の取組を行っても十分な効果が見られない場合に使われるもので、薬を始めた後も薬以外の取組を続けることが大切だとされています。薬を使うかどうかは主治医と相談して決めることで、この記事では判断しません。

誤解3:通信制高校なら待つ場面はない

通信制高校は、毎日通う全日制に比べて教室で過ごす時間が短いコースが多く、教室で待つ場面も少なくなりやすいと考えられます。文部科学省の「令和7年度 通信制高等学校実態調査」では、通学頻度別に見た生徒の数で、週5日のコースは12.5%、集中スクーリング型が28.9%、月1〜2回や自由登校などの「その他」が33.2%でした(文部科学省 実態調査)。

ただし、通信制高校でもスクーリング(面接指導)や試験は、決まった日に集団で受けます。受付の列、試験の開始待ち、学校によっては宿泊を伴うスクーリングでの集団行動など、待つ場面は残ります。通信制高校の仕組みは通信制高校とはの記事で説明しています。ADHDの子と通信制高校の相性や、見学で聞きたい質問は、ADHD 通信制高校の記事で詳しく書いています。私立の通信制高校も合理的配慮の義務がある事業者なので、スクーリングでの配慮も相談できます。

選択肢の1つとしてのニジ高(正直な注意点)

ここまで、今の学校で待つ負担を減らす方法を書いてきました。それでも、1日の大半を教室で過ごし、発言や列の順番を待ち続ける生活そのものが合わない、と感じる人もいると思います。

NIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制高校サポート校です。全国どこからでも参加でき、カメラやマイクをオフにして、チャットだけで参加するところから始められます。授業はアーカイブでも見られ、生活リズムに波があっても学べる設計です。担任制で、1クラス8人です。ニジ高は、発達特性や障害を、本人を変えるのではなく学びの構造や環境を変えることで支援するという新しいアプローチを取っています。生徒会・サークル・学園祭・企業コラボなど、オンラインでも仲間と何かをつくる場があります。

そのうえで、正直にお伝えしておくことがあります。

  • ニジ高そのものは高校ではありません。高校卒業の資格は、提携する通信制高校に在籍して取ります。
  • 学院の中でのスクーリングはありませんが、提携する通信制高校のスクーリングには参加が必要です。スクーリングでは集団で過ごす時間があり、待つ場面もあります。スクーリングの形や日程は、個別相談会で詳しくご案内しています。
  • 診断や服薬など医療の判断は、主治医・専門機関にご相談ください。
  • 費用は、提携する通信制高校の分とニジ高の分の両方がかかり、ニジ高の分には就学支援金が使えません。金額は学費のご案内に載せています。

サポート校と通信制高校の違いは、通信制サポート校とはの記事で整理しています。

迷ったときの進め方(3ステップ)

  1. 困る「待つ場面」を3つ書き出す。授業、列、連絡、結果待ちのどれで困っているかが分かれば、試す工夫が決まります。本人が書きにくければ、保護者が聞き取って書いても大丈夫です。
  2. 工夫を1つだけ、2週間試す。「言いたいことはメモに書く」「返信を見るのは20分おき」など、1つにしぼります。うまくいった日を記録しておくと、学校に伝える材料になります。
  3. A4用紙1枚にまとめて、学校に相談する。困る場面・本人の様子・効いた工夫・お願いしたいことの4つを書いて、担任や特別支援教育コーディネーターに相談の時間をもらいます。今の学校の形そのものが合わないと感じたら、学び方を変える相談もできます。

学び方を変えることも含めて話を整理したい場合は、体験説明会・個別相談で状況を聞かせてください。

相談室で説明を聞く高校生と保護者
合理的配慮は、本人や家族から申し出て、学校と話し合って決めます
オンラインで学ぶニジ高の生徒

待つ時間の多い教室が合わないなら、学び方を変える相談も

ニジ高はオンライン中心の通信制高校サポート校です。カメラやマイクをオフにして、チャットだけで参加するところから始められます。ただし学院は高校ではなく、卒業資格は提携する通信制高校で取り、そのスクーリングには参加が必要です。体験説明会はオンラインで日程を選んで申し込めます。

体験説明会の日程を見る → LINEで気軽に相談する

よくある質問

Q. ADHDで順番を待てないのは、しつけが悪かったからですか?

A. 国の資料では、待つことの苦手さはADHDの特性として説明されており、しつけや本人のやる気の問題としては書かれていません。発達障害ナビポータルは、特性の背景には脳の働き方の違いがあると言われていること、環境によって困難の現れ方が変わることを説明しています。

Q. 診断がなくても、学校に配慮をお願いできますか?

A. 相談はできます。障害者差別解消法の対象は障害者手帳の所持者に限られないと、文部科学省の対応指針に書かれています。ただし、配慮の内容は学校と本人・保護者の話し合いで決まり、学校によっては診断書などの資料を求められることもあります。気になる場合は、医療機関への相談も検討してください。

Q. 高校生になっても、待てないのは直りますか?

A. こころの情報サイトでは、大人になると多動性‐衝動性は軽減することが多いとされていますが、困りごとが続く人もいます。「直す」ことだけを目標にするより、待ち時間の見える化や、待つ間にやることを決めるなど、困る場面を減らす工夫を積み重ねるほうが現実的です。

Q. 授業中に割り込んでしまい、友達に嫌われていないか心配です。

A. 心配になるのは自然なことです。落ち着いたときに「話をさえぎってしまうことがある。気づいたら教えてほしい」と、信頼できる友達に1人だけ伝えておく方法もあります。言いたいことをノートに書いてから手を挙げる工夫も、割り込みを減らす助けになります。

Q. 大学入試で、待つことや集中の難しさに配慮してもらえますか?

A. 大学入学共通テストでは、発達障害のある人が別室の設定や試験時間の延長などを申請できます。申請には医師の診断書と、高校での配慮の状況を書く状況報告書が必要です。各大学の個別試験の配慮は大学ごとに確認してください。

待つのが苦手なあなたは、「待たなくていい工夫」を増やしていけばいい

順番を待てないことで、何度も注意されてきた人ほど、「自分はだめだ」と思いこんでしまいがちです。でも、国の資料が書いているとおり、それは特性の1つで、環境によって困り方は変わります。

待ち時間を見えるようにする。待つ間の置き場所をつくる。学校に配慮を頼む。それでも合わなければ、学ぶ場所の形を変えることもできます。どれも、今日1つだけ試せば十分です。

一人で抱えずに、話しやすい人に「ここで困っている」と伝えるところから始めてみてください。

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