「通信制高校の闇」と言われる背景には、2015年に発覚した就学支援金の不正受給事件や、国の点検で見つかった「スクーリングの回数不足」「教員免許のない人による指導」などの実際の問題があります。ただし、国はその後ガイドラインや点検調査、2026年の法改正で対策を進めており、見分け方を知っておけば問題のある学校は避けられます。
通信制高校について調べると、「闇」「やばい」「やめとけ」といった強い言葉が目に入り、不安になる人も多いと思います。この記事では、うわさや個人の体験談ではなく、文部科学省や国会答弁など公的な資料で確認できる事実だけをもとに、通信制高校で実際に起きた問題、サポート校の費用が二重になる仕組み、卒業できない人がいる現実、そして問題のある学校を避けるためのチェックポイントを正直にまとめました。
結論:「通信制高校の闇」の早見
- 実際に不正事件があった。2015年、広域通信制のウィッツ青山学園高等学校で就学支援金の不正受給事案が発覚し、違法・不適切な学校運営が明らかになりました。
- 国の点検でも不適切な例が見つかっている。2017年からの点検調査(2025年度末までに延べ78校)で、面接指導の回数不足や、サポート施設を高校と誤認させる表示などが指摘されました。
- サポート校を使うと費用は二重になる。高校の授業料とは別にサポート校の費用がかかり、その分に就学支援金は使えません。
- 卒業できない・進路が決まらない人もいる。単位を修得できた生徒の割合は公立で約5割(2020年度)、卒業生の26.1%は進学も就職もしていません。
- 対策は進んでいる。2016年のガイドライン、2023年の改訂と認可基準の標準例、2026年7月公布の法改正で、国の関与が強まっています。
「通信制高校の闇」と言われる5つのこと
ネットでよく見かける「闇」の内容を、公的資料で確認できる事実と、見分け方に分けて整理しました。
| 言われること | 公的資料で確認できる事実 | 見分け方 |
|---|---|---|
| お金の不正がある | 2015年に就学支援金の不正受給事案が発覚 | 授業料と就学支援金の説明が書面で明確か |
| ちゃんと授業をしていない | 点検で面接指導の回数不足などが指摘された | スクーリングの日数・時間・場所を具体的に聞く |
| 費用が高い・わかりにくい | サポート校の費用は高校の授業料とは別 | 高校分とサポート校分を分けた見積もりをもらう |
| 卒業できない人が多い | 公立では単位修得者が在籍者の約5割(2020年度) | 卒業率と、レポートが止まったときの支援を聞く |
| 生徒が放置される | 国は「非活動生徒」への個別対応を求めている | 担任の連絡頻度と、相談窓口の有無を聞く |
ここからは、1つずつくわしく見ていきます。
闇1:就学支援金の不正受給事件(2015年)
「通信制高校の闇」という言葉が広がるきっかけの1つになったのが、2015年(平成27年)に発覚したウィッツ青山学園高等学校の就学支援金不正受給事案です。この学校は、構造改革特別区域の制度を使って株式会社が設置した広域通信制高校で、三重県伊賀市長の認可を受けていました。
2016年3月の政府答弁書によると、2015年12月に就学支援金の不正受給に関する捜査が報道されたことを受けて、授業に不適法な実態がある疑いが強まり、政府は伊賀市に実態の把握と報告を求めました。文部科学省の資料では、この事案で違法・不適切な学校運営が明らかになったとされています。
緊急点検でほかの学校にも見つかった問題
この事案を受けて、文部科学省は広域通信制高校の緊急点検を行いました。2016年3月の通知では、次のような問題が見られたとしています。
- 就学支援金の受給要件や罰則が、生徒・保護者などに十分知らされていない
- 提携する民間教育施設(サポート校など)の費用が、授業料に含めて表示されている
- 就学支援金で特に有利な扱いを受けられるかのように誤認させる表示がある
- 授業料を先に集めて後から返す方式で、返金が遅れている例がある
国はこれを受けて申請書の様式を改め、都道府県に対して広域通信制高校への定期的な実地検査や、学校のWebサイトの説明の確認を求めました。

闇2:国の点検で見つかった不適切な教育
文部科学省は2017年(平成29年)から、所轄庁(学校を認可した都道府県など)と共同で広域通信制高校の点検調査を行っています。文部科学省の資料によると、2025年度末までに延べ78校で実施され、次のような不適切な例が指摘されました。
| 指摘された例 | なぜ問題か |
|---|---|
| 面接指導(スクーリング)の回数不足 | 法令で定められた学習の量が確保されていない |
| 教員免許のない人による指導 | 高校の授業は免許を持つ教員が行う必要がある |
| 収容定員を超えた在籍 | 認可された規模を超えて生徒を受け入れている |
| 出欠を確認しないままの単位認定 | 学習の成果を確かめずに単位を出している |
| オンラインのみの面接指導 | 面接指導は対面が基本で、メディアで減らせる範囲には上限がある |
| 認められた施設以外での面接指導・試験 | 学則に定めた場所以外で行っている |
| サポート施設を高校と誤認させる表示 | どこが高校なのか、生徒・保護者がわからなくなる |
※文部科学省「高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律の背景及び概要について」(2026年8月)。点検で指摘された例であり、すべての学校にあてはまるものではありません。
注意したいのは、こうした問題はパンフレットやWebサイトだけでは見えにくいということです。たとえば「オンラインで完結」とうたっていても、制度上はスクーリングを完全になくすことはできません。説明と制度が合っているかを確かめることが、問題のある学校を避ける第一歩です。
闇3:サポート校の費用が「二重」になる
通信制高校を調べていると、「〇〇高等学院」「〇〇学習センター」といった名前をよく見かけます。これらの多くはサポート校(民間の教育施設)で、高校そのものではありません。卒業資格は提携する通信制高校から出ます。

サポート校を利用すると、費用は次の2つに分かれます。
- 通信制高校の費用:授業料、入学金、施設費、スクーリングの費用など。授業料には国の就学支援金(2026年度から所得制限なし、私立通信制は年33万7,200円が上限)が使えます。
- サポート校の費用:学習支援や通学、カウンセリングなどの費用。高校の授業料ではないので、就学支援金は使えません。
「就学支援金で無償」と聞いて入学したら、サポート校の費用が別にかかった、という行き違いが起きやすいのはこのためです。2016年の緊急点検でも、サポート施設の費用を授業料に含めて表示する例が問題とされました。見積もりは必ず「高校分」と「サポート校分」に分けてもらい、3年間(卒業まで)の総額で比べましょう。サポート校の仕組みは高等学院とは?サポート校との違いでくわしく解説しています。
なお、サポート校そのものが悪いわけではありません。学習や生活の支えが必要な生徒にとっては、高校だけでは足りない部分を補う役割があります。大切なのは、何にいくら払い、何をしてもらえるのかを理解したうえで選ぶことです。
闇4:入学しても卒業できない人がいる
通信制高校は「入りやすい」学校ですが、「卒業しやすい」とは限りません。文部科学省の資料によると、2020年度に単位を修得できた生徒の割合(在籍者に対する割合)は、公立52.7%、私立86.3%でした。特に公立では、在籍していても学習が止まっている生徒が少なくないことがわかります。
また、2024年度の通信制卒業生のうち、26.1%は進学も就職もしていません。卒業はできても、その先の進路まで手が回らなかった人が一定数いるということです。
卒業できない理由として考えられるのは、次のようなことです。
- レポートがたまってしまう。毎日の登校がないぶん、計画を立てられないと提出が遅れ、単位を落とします。
- スクーリングに行けない。遠方での宿泊型だったり、体調の波があったりして参加できないと、単位が取れません。
- 相談できる人がいない。止まってしまったときに声をかけてくれる人がいないと、そのまま学習が止まります。
文部科学省は、こうした学習が止まっている「非活動生徒」に対して、画一的な対応ではなく個々の課題に応じた対応をするよう学校に求めています。入学前に、レポートが遅れたときに学校がどう動いてくれるのかを具体的に聞いておきましょう。

闇5:孤立しやすく、放置されたと感じることがある
通信制高校は、自分のペースで学べる反面、先生や同級生と顔を合わせる機会が少なくなります。文部科学省の資料(令和7年度通信制高等学校実態調査)では、2025年度の入学者の57%が中学3年生のときに不登校でした。もともと人と関わることに疲れていたり、学習に遅れがあったりする生徒が多いぶん、支えがないと孤立しやすいのは事実です。
2026年9月の国の検討会議でも、不登校経験者を多く受け入れる学校では個別の支援計画を含む支援体制があるかが大切だという提言が出されています。担任が何人の生徒を担当しているのか、連絡はどのくらいの頻度か、カウンセラーなどの相談窓口はあるのかを確かめましょう。
保護者の方は、入学後もときどき「最近レポートはどう?」「先生から連絡はある?」と聞いてみてください。学校からの連絡が途絶えている、本人が誰とも話していない様子があるといったサインに早めに気づければ、学校に相談したり、学び方を見直したりすることができます。孤立は、気づいた時点で手を打てば取り戻せることが多い問題です。
国はどう対策している?これまでの流れ
「闇」と呼ばれる問題に対して、国はこの10年ほどで段階的に対策を強めてきました。
| 時期 | 主な出来事・対策 |
|---|---|
| 2015年 | ウィッツ青山学園高校の就学支援金不正受給事案が発覚 |
| 2016年 | 広域通信制高校の緊急点検。「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」を策定 |
| 2017年 | 国と所轄庁による広域通信制高校の点検調査を開始 |
| 2018年 | 面接指導等実施施設を学則に記載する事項とするなど、制度を改正 |
| 2023年 | ガイドラインを改訂。私立通信制高校の認可基準の標準例を策定 |
| 2026年 | 通信教育振興法の改正法を7月に公布(2027年1月施行予定)。国が基本指針を定めることに |
2026年の法改正では、法律の名前が「高等学校の定時制教育及び通信教育の振興等に関する法律」に改められ、文部科学大臣が通信教育の適正な実施・運営のための基本指針を定めることや、広域通信制について都道府県どうしが連携することなどが盛り込まれました。学校を設置する側にも、施設や管理運営体制の整備、教員研修、連携する施設での適正な教育の確保に努めることが求められています。
問題のある学校を避けるチェックリスト
ここまでの内容をふまえて、見学や個別相談で確かめたいことをチェックリストにしました。答えがあいまいだったり、書面で出してもらえなかったりする場合は、慎重に考えてください。

あわせて、次の点も意識しておくと安心です。
- その場で契約を急がせない学校か。「今日決めれば割引」などと決断を急がせる場合は、いったん持ち帰りましょう。
- 学校の情報が公開されているか。国のガイドラインでは、生徒数、教職員の配置、学費などの情報公開が望まれるとしています。
- 複数の学校を比べたか。1校だけで決めると、その学校の説明が当たり前に見えてしまいます。
学校の比べ方全体は通信制高校の選び方にまとめています。
それでも通信制高校が合う人はいる
ここまで問題点を中心に書いてきましたが、通信制高校そのものが悪いわけではありません。2026年度には約31万人が通信制高校で学んでおり、全日制が合わなかった人、体調に波がある人、学びたいことに時間を使いたい人にとって、大切な選択肢になっています。
大事なのは、「通信制高校」というひとくくりで良い・悪いを判断するのではなく、1校ずつ、制度に沿った運営をしているか、自分に合った支えがあるかを確かめることです。不安な点を質問したときに、誠実に、具体的に答えてくれる学校を選びましょう。


NIJIN高等学院(ニジ高)について、正直にお伝えすること
私たちNIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制サポート校です。担任がつき、レポートの進め方や生活のペース、進路の相談を一緒に進めます。全国の仲間とのプロジェクトや行事もあり、カメラとマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められます。
この記事のテーマに沿って、はっきり書いておきます。ニジ高そのものは高校ではありません。卒業資格は提携する通信制高校で取り、提携校のスクーリングへの参加が必要です。費用は提携校の分とニジ高の分の両方がかかり、ニジ高の分には就学支援金は使えません。金額は学費のご案内で公開しています。上のチェックリストの質問には、個別相談でお答えします。

チェックリストの質問、そのままぶつけてください
個別相談では、卒業資格を出す提携校、スクーリングの場所と日数、提携校分とニジ高分の費用の内訳を、書面でお伝えします。ほかの学校と比べている段階でも、保護者の方だけの参加でも大丈夫です。
よくある質問
主に、2015年に発覚した就学支援金の不正受給事件や、国の点検で見つかった面接指導の回数不足、教員免許のない人による指導、サポート施設を高校と誤認させる表示などの問題を指して使われることが多い言葉です。すべての通信制高校にあてはまるわけではありません。
2015年に発覚した、広域通信制のウィッツ青山学園高等学校での就学支援金の不正受給事案です。文部科学省の資料では、違法・不適切な学校運営が明らかになったとされ、その後のガイドライン策定や点検調査のきっかけになりました。
使えません。就学支援金は高校の授業料に充てるものです。サポート校を利用すると、高校の費用とは別にサポート校の費用がかかるので、両方を合わせた総額で考える必要があります。
必ずではありません。文部科学省の資料では、2020年度に単位を修得できた生徒の割合は公立52.7%、私立86.3%でした。レポートやスクーリングが止まったときの学校の支援を、入学前に確かめておくことが大切です。
卒業資格を出す高校名、スクーリングの場所と日数、高校分とサポート校分の費用、レポートが遅れたときの対応、解約や返金の条件などを質問し、書面で確認しましょう。答えがあいまいな学校や、契約を急がせる学校は慎重に考えてください。
まとめ:「闇」を知ったうえで、確かめて選べば大丈夫
「通信制高校の闇」と言われる問題には、実際に起きた不正事件や、国の点検で見つかった不適切な運営など、根拠のあるものが含まれています。一方で、国はガイドライン、点検調査、法改正と対策を重ねてきており、確かめるべきポイントもはっきりしてきました。
卒業資格を出す高校はどこか、スクーリングはどこで何日あるのか、費用は何にいくらかかるのか、止まったときに誰が支えてくれるのか。この4つを書面で確かめれば、多くの問題は避けられます。不安な気持ちは、学校を選ぶ目を養う力にもなります。焦らず、納得できるまで質問してください。

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参考:文部科学省「高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律の背景及び概要について」(2026年8月)/文部科学省「高等学校等就学支援金事務の適正な実施について(通知)」(2016年3月)/衆議院 答弁書第169号(2016年3月)/文部科学省「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」関連通知(2018年3月)/文部科学省「通信制高校の質の確保・向上」/文部科学省 高等学校教育の在り方ワーキンググループ資料(2022年11月)/文部科学省「高等学校等就学支援金等」(2026年6月)/通信教育の適正な実施・運営の確保のための基本的な指針等に関する検討会議 資料(2026年9月)(いずれも2026年10月確認)

