「中学はほとんど教室に行けていないのに、高校生になったら急に毎日通えるようになるのだろうか」。進路を考えるご家庭から、こうした声をよく耳にします。高校には進学してほしい。でも今の様子を見ていると、通う姿が想像できない。そんな気持ちになるのは、とても自然なことです。
この記事は、高校入学を控えた中学生の保護者の方と、本人に向けて書いています。先に、いちばん大事なことを書きます。高校選びで本当に大切なのは、「毎日通えるか」よりも「3年間続けられるか」です。そして、続けられるかどうかは、入学前の準備と、入学してから最初の1か月の過ごし方で大きく変わります。
中学で不登校だった子が、高校に進んだあとどうなっているのか。続けやすい高校にはどんな条件があるのか。入学前に何を準備すればいいのか。入学後の最初の1か月をどう乗り切るのか。国の追跡調査をもとに整理しました。
高校の種類ごとの違いや、「高校で変わる子・変わらない子」については、中学で不登校でも、高校には通える?|「変わる子・変わらない子」の違いと高校の選び方で詳しく整理しています。
結論:「続けられる高校生活」の早見
- 中3で不登校だった人の高校進学率は85.1%。国の追跡調査で、前回調査の65.3%から大きく上がりました。
- 高校中退率は14.0%に下がっています。前回調査の37.9%から大きく改善しました。「入れるか」だけでなく「続けられるか」も変わってきています。
- 「毎日通えるか」より「続けられるか」で選ぶ。休む日があっても戻れる仕組みがある学校は、長く続けやすくなります。
- 入学前の準備は、中3の秋から少しずつ。生活リズム、学校への相談、入学前の見学を段階的に進めます。
- 最初の1か月は「全部出る」より「つながりを切らない」。休む日のルールを家族で決めておくと、つまずいても戻りやすくなります。
- 学校には、入学前に相談していい。不登校だったことを伝えるかどうか、どう伝えるかも含めて、相談できる窓口があります。
数字で見ると、「高校を続けられる人」は大きく増えています
文部科学省は、中学3年生のときに不登校だった人が、5年後にどうなっているかを調べています。
| 項目 | 前回調査 | 今回調査 |
|---|---|---|
| 高校進学率 | 65.3% | 85.1% |
| 高校中退率 | 37.9% | 14.0% |
| 20歳時点で大学・短大・高専に在学 | 8.5% | 22.8% |
| 20歳時点で就学も就業もしていない | 22.8% | 18.1% |
※出典=文部科学省「不登校に関する実態調査 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~」(平成26年公表)。前回調査は平成5年度に中学3年生だった人が対象です。調査対象の時期が古いため、現在の状況とは異なる可能性があります。

注目したいのは、高校進学率が上がっただけでなく、高校中退率が37.9%から14.0%に大きく下がっていることです。報告書では、不登校経験に関わらず勉強を続けられるようになっている状況が見られると分析されています。スクールカウンセラーの配置や、通信制高校などの学びの場が広がったことも背景にあると考えられます。不登校を経験した人が卒業までに何をするのかは、通信制高校 不登校の記事で整理しています。
つまり、中学で不登校だったことは、高校を続けられないことを意味しません。大切なのは、続けられる環境と準備を整えておくことです。
「毎日通えるか」より「続けられるか」
中学で不登校だった子の保護者は、どうしても「高校では毎日通えるか」を心配します。けれども、毎日通えるかどうかは、入学してみないとわかりません。そして、一度休んだら終わりになる環境では、ちょっとしたつまずきが大きな挫折になってしまいます。
反対に、休む日があっても戻ってこられる環境なら、多少の波があっても3年間を続けられます。高校選びで見てほしいのは、「休まずに通えるか」ではなく、「休んだあとに戻りやすいか」です。
「高校生になったのだから、今度こそ毎日通わなければ」というプレッシャーは、本人にとっていちばん重い荷物になることがあります。入学前から「休む日があっても大丈夫」という前提を、家族で共有しておくことが大切です。
「続けられる」とは、休まないことではありません。休んでも、また戻ってこられること。自分に合わないと感じたら、別の道を選び直せること。その両方がそろっていれば、途中で形が変わっても、高校卒業というゴールにはたどり着けます。3年間を一本の線ではなく、何度でも引き直せる線として考えてみてください。
続けやすい高校に共通する5つの条件
全日制・定時制・通信制のどれを選ぶ場合でも、続けやすい学校には共通する条件があります。見学や説明会で、次の5つを確認してみてください。
| 条件 | 確認のしかた |
|---|---|
| 休んだあとに戻る仕組みがある | 欠席が続いたとき、補習やレポートで取り戻す方法はありますか |
| 相談できる大人がいる | 担任以外に、カウンセラーや相談できる先生はいますか |
| 通い方を調整できる | 別室登校、時差登校、オンライン参加などの方法はありますか |
| 人との関わり方を選べる | 少人数の授業や、行事に参加しない選択はできますか |
| 合わなかったときの道がある | 途中で転籍・転学した生徒は、どんな道に進んでいますか |
5つすべてがそろっている必要はありません。本人にとって、いちばん大事な条件がどれかを見極めることが大切です。人間関係が不安な子なら「関わり方を選べるか」、体調に波がある子なら「戻る仕組みがあるか」を優先して見てみてください。
学校の種類ごとに、「続けるための工夫」は違う
どの種類の高校を選ぶかによって、続けるために意識したいことは変わります。
全日制高校に挑戦する場合
人間関係のリセットや、新しい環境が追い風になる子もいます。ただし、科目ごとの出席時数が必要なので、休みが続いたときに早めに学校へ相談できる体制をつくっておくことが大切です。「欠席が何時間までなら大丈夫か」を入学直後に確認しておくと、不安が小さくなります。
定時制高校やチャレンジスクールの場合
1日の授業時間が短く、通う時間帯を選べる学校もあります。不登校を経験した生徒を想定した学校もあるので、通う時間帯を、本人の生活リズムに合わせて選ぶことがポイントです。東京都のチャレンジスクールは、学力検査も調査書も使わない入試を行っています。
通信制高校・サポート校の場合
毎日の登校を前提にしないので、体調に波がある子でも続けやすい仕組みです。そのかわり、自分でペースをつくる必要があります。学習の進み具合を一緒に見てくれる担任やサポート校があるかを確認しておくと、ひとりで止まってしまうことを防げます。

入学前の準備は、中3の秋から少しずつ
入学してから急に生活を変えるのは、誰にとっても大変です。入学までの時間を、段階的に使ってみてください。
| 時期 | やっておきたいこと |
|---|---|
| 中3の秋 | 学校の説明会や見学に参加する。保護者だけの参加でもいい |
| 中3の冬 | 志望校を決め、出願の準備をする。入学前に相談したいことをメモしておく |
| 合格後〜3月 | 入学する学校に、配慮してほしいことを相談する。制服や教材の準備を一緒にする |
| 春休み | 登校時間に合わせて、少しずつ起きる時間を整える。通学路を一度歩いてみる |
| 入学後1か月 | 全部に出ることより、学校とのつながりを切らないことを優先する |

とくに効果があるのが、春休みに通学路を一度歩いてみることです。駅までの道、電車の混み具合、校門までの距離。初めての場所は、それだけで疲れます。一度経験しておくだけで、入学初日の負担はずいぶん軽くなります。オンライン中心の学校なら、入学前に接続テストをしたり、チャットの使い方に慣れておいたりするのも同じ効果があります。
保護者だけが先に動くのではなく、本人が「自分で選んだ」と感じられるように進めることも大切です。見学する学校の候補を本人と一緒に並べる、制服や教材を一緒に選ぶ、通学のルートを本人に決めてもらう。小さなことでも、自分で決めた経験が、入学後の「続けよう」という気持ちを支えます。
ただし、準備はあくまで「できたらいい」くらいの温度で十分です。準備がうまく進まないことを、入学を諦める理由にしないでください。

入学前に、高校に相談していい
「不登校だったことを、高校に伝えたほうがいいのか」。これは多くの保護者が迷うところです。伝えるかどうかは家庭の判断ですが、入学前に相談しておくと、学校側も準備ができることは知っておいてください。
| 相談しておくと安心なこと | 例 |
|---|---|
| 体調のこと | 朝起きにくい、頭痛が出やすいなど。遅刻や保健室の利用について |
| 人間関係のこと | 大人数が苦手、特定の場面で緊張しやすいなど。席やクラスの配慮について |
| 休んだときの連絡 | 欠席連絡の方法、休んだ日の課題の受け取り方 |
| 相談窓口 | スクールカウンセラーや養護教諭と話せる時間 |
すべてを細かく伝える必要はありません。「こういうときに、こうしてもらえると助かる」という形で、具体的に1つか2つ伝えるだけで十分です。本人が伝えてほしくないことは、無理に伝えなくて構いません。何を伝えるかを本人と一緒に決めておくと、本人も安心して入学を迎えられます。

入学後の最初の1か月は「つながりを切らない」
入学直後は、新しい環境への緊張で、帰宅後にぐったりすることが多くなります。この時期にいちばん大切なのは、全部の授業や行事に出ることより、学校とのつながりを切らないことです。
家族で、次のような「休む日のルール」を決めておくと、つまずいたときに戻りやすくなります。
- 休む日は、朝に本人が決めていい。理由を問い詰めない。
- 休んだ日も、学校からの連絡だけは確認する。課題や予定を知っておくと、翌日に戻りやすい。
- 休みが3日続いたら、学校に一度相談する。本人を責めるためではなく、戻り方を一緒に考えるため。
- 休日は予定を詰め込まない。平日の疲れを回復する時間にする。
「最初の1か月、よく頑張ったね」。連休の前に、この一言を伝えてあげてください。どんなペースで過ごした1か月でも、新しい場所で過ごしたこと自体が、大きな一歩です。
入学後につまずいたときの選択肢
どれだけ準備をしても、入学後につまずくことはあります。それは失敗ではなく、環境と本人の相性を確かめる途中で起きることです。つまずいたときの選択肢を、先に知っておきましょう。
- 通い方を調整する。別室登校、遅刻や早退の組み合わせ、保健室の利用など、今の学校のままでできることを探します。
- しばらく休む。休学という制度もあります。体調を整えてから、次の道を考えられます。
- 学校を変える。別の全日制高校への転校や、通信制高校への転入です。修得した単位は原則として引き継げます。
大切なのは、「合わなかったら変えていい」と、入学前に本人に伝えておくことです。逃げ道があると分かっているほうが、人は新しい場所に踏み出しやすくなります。
保護者が言い換えたい言葉
入学前後は、保護者の期待と不安がいちばん大きくなる時期です。最初のひと言を少し変えるだけで、本人の受け取り方は変わります。
| 言いがちな言葉 | 言い換えの候補 |
|---|---|
| 高校こそは、ちゃんと行こうね | 自分のペースで続けられたら十分だよ |
| もう高校生なんだから | 新しい場所は、誰でも疲れるよね |
| 休んだら、また前みたいになるよ | 休んでも、戻り方を一緒に考えればいいよ |
| せっかく入ったんだから | 合わないところがあったら、教えてね |
保護者が「今度こそ」と思うのは当然です。けれども、その期待は言葉にしなくても本人に伝わっています。言葉では「大丈夫」を、行動では「準備」を。それが、本人にとっていちばん心強い支えになります。
もし、いま読んでいるのが本人なら
ここまで保護者向けに書いてきましたが、自分でこの記事を読んでいる人もいると思います。その人に向けて、短く書きます。
中学に行けなかったことは、高校を続けられないという意味ではありません。中学で不登校だった人の8割以上が高校に進み、その多くが卒業しています。
- 「毎日行く」を目標にしなくていい。休んでも戻れること、のほうがずっと大事です。
- 通学路を一度だけ歩いてみる。入学前に場所を知っておくだけで、初日の疲れが減ります。
- 困ったときに話せる大人を、一人見つけておく。担任でも、保健室の先生でも、カウンセラーでも構いません。
新しい場所に行くのは、誰にとっても緊張することです。緊張するのは、あなたが弱いからではなく、新しいことに挑戦しようとしているからです。うまくいかない日があったら、それを話せる人に話して、また次の日に考えれば大丈夫です。
ニジ高という選択肢
私たちNIJIN高等学院(ニジ高)は、通信制高校と連携して学びを支える通信制サポート校です。「オンラインで青春」を合言葉に、全国どこからでも、海外からでも参加できます。自宅からのオンライン学習を軸に、自分のペースで高校生活を組み立てられるので、「学校へ行かなければ」という負担を大きく減らせます。
ニジ高には、元不登校や発達特性のある生徒も多く在籍しています。「行かなければならない」ではなく「これなら参加できそう」と思える環境を大切にし、マイプロジェクトという一人ひとりに合わせた学びを通して、小さな「できた」を積み重ねていきます。オンラインが中心でも、生徒同士のつながりやオンラインのイベント、リアルで集まる行事もあります。
入学前から担任とつながり、生活リズムや体調のことを相談しながら少しずつ慣れていくことができます。「最初はチャットだけ」「週に数回だけ」といった始め方もできるので、中学で長く休んでいた子でも、無理のないペースで高校生活をスタートできます。
ニジ高は、不登校の小中学生のためのオンラインオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」の高等部です。
正直な注意点も書いておきます。学院内でのスクーリングはありません。高卒資格を得るには、提携する通信制高校のスクーリングに参加する必要があり、私たちはその準備と当日を支える立場です。また、毎日登校する全日制と同じ体験になるわけではありません。学費は学費のご案内で公開しています。

「続けられるか」を一緒に考えませんか
個別相談会では、中学での様子や体調をうかがいながら、入学前にできる準備と、続けやすい学び方を一緒に整理します。保護者の方だけの参加もできます。
よくある質問
続けられる人は多くいます。国の追跡調査では、中3で不登校だった人の高校中退率は14.0%で、前回調査の37.9%から大きく下がっています。休んでも戻れる環境を選び、入学前から準備しておくことが大切です。
伝えるかどうかは家庭の判断です。ただ、入学前に具体的なことを1つか2つ相談しておくと、学校側も配慮の準備ができます。何を伝えるかは、本人と一緒に決めておくと安心です。
まずは休ませて、責めないでください。そのうえで、休みが数日続いたら、学校に戻り方を相談するのがおすすめです。別室登校や時差登校など、通い方を調整できる学校もあります。
無理のない範囲で構いません。好きな教科の動画授業を少し見る、中学の内容で気になるところを復習する、くらいで十分です。勉強より、生活リズムと体調を整えることを優先してください。
転校や、通信制高校への転入という道があります。修得した単位は原則として引き継げるので、学年を落とさずに卒業を目指せる場合もあります。入学前に「合わなかったときの道」を知っておくだけで、本人の安心感は変わります。
「通えるか」より「続けられるか」
中学で不登校だった子が高校に進むとき、保護者がいちばん気になるのは「通えるか」です。けれども、本当に大切なのは、休む日があっても戻ってこられる環境で、3年間を続けられるかどうかです。
やることは多くありません。続けやすい条件で学校を選ぶこと。中3の秋から少しずつ準備すること。入学前に学校に相談すること。そして、最初の1か月は「つながりを切らない」ことを優先すること。
続けやすい学び方を知りたくなったときのために、入口だけ置いておきます。今日でなくて大丈夫です。

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