「通信制高校 安い」で検索すると、年間1万円台という数字と、年間50万円という数字が並んで出てきます。どちらも実在する金額です。ただし、同じものを数えていません。
この記事では、6つの都県の公式資料と、学校が自分で公開している学費表を実際に開いて、通信制高校の「安い」が何で決まるのかを分解します。結論から言うと、いちばん安いのはお住まいの都道府県の公立通信制です。ただし公立どうしでも年間の総額は2倍以上違いましたし、その差は授業料ではないところで付いていました。
急いで決める必要はありません。まず、比べるための物差しだけ持ち帰ってください。
結論:通信制高校の「安い」の早見
- いちばん安いのは公立の通信制。受講料は1単位330〜336円が多く、年25単位なら8,000円台です。
- ただし公立でも一律ではありません。神奈川県立横浜修悠館は平日講座が1単位700円で、日曜講座(350円)のちょうど2倍でした。
- 公立どうしの差は「授業料の外側」で付きます。諸会費・教科書代・学校徴収金を足すと、年間の実額は約2万円〜約4万7千円に広がりました。
- 私立が高く見えるのは、授業料以外(施設設備費・補習費など)を買っているからです。就学支援金はそこには1円も届きません。
- 2026年度から就学支援金の所得制限は撤廃されました。ただし私立通信制の上限は年337,200円で、私立全日制より120,000円低い設定です。
- サポート校の費用は就学支援金の対象外です。NIJIN高等学院(ニジ高)もサポート校なので、ここは正直にお伝えします。
「安い」と書かれた金額は、そのままでは比べられません
学費を並べた記事やパンフレットを見比べると、金額の桁が揃わないことに気づきます。理由は単純で、どこまでを「学費」と呼ぶかが書き手によって違うからです。
実際に使われている数え方は、だいたい次の3通りです。
- 授業料(単位履修料)だけを書いたもの。就学支援金で消える部分なので、いちばん安く見えます。
- 就学支援金を引いたあとの自己負担額を書いたもの。私立の学費ページはこの形が多いです。
- 入学料・施設設備費・教科書代まで含めた年間総額を書いたもの。実際に家計から出ていく額に近いのはこれです。
同じ学校でも、1で書けばほぼ0円、3で書けば40万円台になります。比べるときは、必ず3の形に揃えてください。以下の数字は、すべて3の形に揃えたうえで出典を付けています。

公立の受講料は1単位330〜336円。ただし神奈川だけ倍でした
公立通信制の受講料を、6つの都県の公式資料で確認しました。結果はほぼ横並びです。多くが1単位330円台で、入学料は500円。年25単位を登録した場合の受講料は8,000円台に収まります。
例外がひとつありました。神奈川県立横浜修悠館高等学校は、同じ学校の中で講座の種類によって単価が2倍違います。
| 都県(学校) | 入学料 | 受講料(1単位) | 出典・時点 |
|---|---|---|---|
| 東京(都立) | 500円 | 336円 | 東京都教育委員会(2026年4月21日更新) |
| 群馬(県立) | 500円 | 336円 | 群馬県教育委員会管理課(2025年4月4日更新) |
| 愛知(県立) | 500円 | 336円 | 愛知県教育委員会 |
| 広島(県立) | — | 330円 | 広島県教育委員会 |
| 広島(市立みらい創生) | 1,100円 | 330円 | 広島市立広島みらい創生高等学校「入学情報」 |
| 神奈川(横浜修悠館) | 記載なし | 平日700円/日曜350円 | 同校公式「よくある質問」 |
平日に通う講座を30単位取ると、受講料だけで21,000円。同じ学校の日曜講座なら10,500円です。「公立だから安い」の中にも、2倍の幅があります。
お住まいの地域の学校を具体的に見るなら、神奈川 通信制高校、埼玉 通信制高校、広島 通信制高校、愛知 通信制高校、群馬 通信制高校の各記事で、公立・私立の校数と条件を整理しています。
※2026年9月時点の各自治体・学校の公開情報です。最新は公式でご確認ください。
公立どうしで年1万円以上の差が付くのは「授業料の外側」です
受講料がほぼ同じなら総額も同じかというと、そうはなりませんでした。差を作っているのは、諸会費・教科書代・学校徴収金です。
| 都県 | 受講料 | 授業料以外の費目 | 年間の目安 |
|---|---|---|---|
| 埼玉(県立) | 8,250円 | 入学料500円/生徒会費1,300円/振興会費1,300円/教科書等 約9,200円 | 約20,550円 |
| 神奈川(横浜修悠館) | 21,000円(平日30単位) | 諸会費 年6,000円(教育振興費・生徒会費4,900円+保護者コミュニティ会費1,100円)/教科書代 約10,000〜15,000円 | 約39,500円 |
| 愛知(県立) | 1単位336円 | 入学料500円/学校徴収金(諸経費・教材費等)年 約38,000円 | 約47,000円前後 |
埼玉と愛知を比べると、受講料の単価はほぼ同じなのに、年間の総額は2倍以上違います。差のほとんどは学校徴収金です。実習科目を取れば、さらに教材費が乗ります。
ですので、公立を検討するときに聞くべきなのは「1単位いくらですか」ではありません。「入学から卒業まで、受講料以外に毎年いくら要りますか」です。これは募集要項に書かれていないことも多く、その場合は事務室に電話で聞くのがいちばん早いです。
※2026年9月時点の各自治体・学校の公開情報です。最新は公式でご確認ください。

私立が高く見えるのは、授業料の外側を買っているからです
私立通信制の単位履修料は1単位10,000円前後の学校があり、公立の336円と比べると単価で約30倍です。ただし就学支援金が届くのは、この単位履修料の部分だけなので、そこは相殺されます。
学校が公開している数字を引き算すると、何が残るかがはっきりします。飛鳥未来高校グループが学費ページで公開している「ベーシックスタイル」は、支援金適用前が485,000円、適用後が225,000円です(同校公式/2026年9月確認)。差の260,000円は、同じページに載っている単位履修料1単位10,000円×26単位とぴったり一致します。
| 費目 | 金額 | 就学支援金 |
|---|---|---|
| 単位履修料(26単位) | 260,000円 | 対象=0円になる |
| 入学金 | 10,000円 | 対象外 |
| 施設設備費 | 60,000円 | 対象外 |
| 補習費 | 100,000円 | 対象外 |
| 諸経費 | 約55,000円 | 対象外 |
つまり「無償化」の話をしているときに家計から出ていくのは、残った225,000円のほうです。ルネサンス高等学校グループも同様に年130,000円〜と公開しており、内訳は入学金50,000円(初年度のみ)・施設設備費20,000円・教育関連諸費60,000円でした。
この構造をさらに詳しく分解した記事として、通信制高校 学費もあわせてどうぞ。
※2026年9月時点の各校の公開情報です。コースや在籍地によって変わります。最新は公式でご確認ください。
2026年度から所得制限は撤廃。ただし通信制の上限は全日制より12万円低い
2026年度(令和8年度)の制度改正で、高等学校等就学支援金の所得制限は撤廃されました。文部科学省も「所得制限が撤廃され、多くの生徒が授業料の支援を受けることができるようになりました」と書いています。
ただし、通信制を検討している方に効いてくるのは、所得制限より課程によって上限額が違うことのほうです。
| 区分 | 令和8年度の支給上限 |
|---|---|
| 私立 全日制 | 457,200円(年額) |
| 私立 通信制 | 337,200円(年額) |
| 私立 通信制(単位制) | 13,668円/単位 |
| 公立(全日制相当) | 118,800円(年額) |
差は120,000円です。「私立高校が実質無償になった」という話を通信制にそのまま当てはめると、この12万円ぶんの見込み違いが起きます。
また、単位制の13,668円/単位は上限であって、支給される額ではありません。支援金は授業料に充てるものなので、学校の実際の単価がそれより安ければ、支給されるのも実額までです。あわせて年間30単位・通算74単位という単位数の上限と、在籍月数の上限もあります。高3での転入では、ここが効いてくることがあります。
出典:東京都生活文化局「高等学校等就学支援金(私立高等学校等)について」(2026年5月12日更新)、文部科学省「高校生等への修学支援」。※2026年9月時点。最新は公式でご確認ください。
都道府県の上乗せ補助は、広域通信制だと対象外になることがあります
ここが、「安い」を調べるうえで見落とされやすい点です。国の就学支援金とは別に、都道府県が独自に上乗せする授業料の軽減補助があります。そして、その多くは本校がその県内にある学校しか対象になりません。
実際に2県の公表資料を開くと、どちらも同じ線引きでした。
- 埼玉県の父母負担軽減事業補助金は、県の学費軽減Q&Aで通信制高校も対象と明記されていますが、対象は埼玉県が認可した通信制です。県内に本校のある11校は対象になり、県外に本校がある広域通信制(大宮や所沢のキャンパスに通う形)は対象外でした。
- 広島県も同じで、「令和8年度 私立高等学校等授業料等の負担軽減について」(2026年4月27日更新)の対象校一覧に載っているのは県内に本校がある私立5校。県外に本校がある学校は対象外です。
大手の広域通信制は、全国どこからでも入れるぶん有名で、パンフレットの金額も比較的安く見えます。ところが県の上乗せが乗らないため、最終的な自己負担では県内校のほうが安くなることがあります。パンフレットの数字だけでは、ここは絶対に見えません。
調べ方は簡単です。「(お住まいの都道府県名) 私立高等学校 授業料 軽減 補助」で検索し、県が出している対象校一覧に、その学校の名前があるかを見るだけです。名前が無ければ、その学校では県の上乗せは使えません。
なお、授業料以外の費用(教科書代・修学旅行費など)には高校生等奨学給付金という別の制度があります。こちらは生活保護受給世帯・非課税世帯などが対象で、申請は7月頃です。授業料の話とは別枠なので、あわせて確認してください。
※2026年9月時点の各自治体の公開情報です。制度は年度ごとに変わります。最新は必ず公式でご確認ください。
サポート校の費用は、就学支援金の対象外です
ここは当校にとって不利な話なので、先に書きます。サポート校の学費に就学支援金は使えません。サポート校は学校教育法第1条に定める高等学校ではないためです。
実際、おおぞら高等学院は生徒募集要項に「学費は高等学校等就学支援金の対象外となります」と明記しています。NIJIN高等学院(ニジ高)もサポート校ですので、提携する通信制高校の学費とは別に当学院の費用がかかる、二段構造になります。
NIJIN高等学院(ニジ高)は、株式会社NIJINが運営するオンライン中心の通信制サポート校です。提携する通信制高校と連携して高卒資格の取得を支援しています。姉妹事業に、小中学生向けのオルタナティブスクールNIJINアカデミーがあります。学院内でのスクーリングは無いため、提携校のスクーリングには参加が必要です。そのぶんの交通費や日程も、費用を見積もるときに一緒に数えておくと安心です。
この二段構造を詳しく書いた記事がサポート校 学費です。当校の費用は学費のご案内に掲載しています。

「安さ」で選んで後悔するのは、この3つを見落としたときです
安い学校を選ぶこと自体は、まったく悪いことではありません。問題は安さの理由を確かめずに決めたときに起きます。実際によく聞くのは、次の3つです。
- スクーリングの回数と場所。公立は面接指導(スクーリング)の日数が多めに設定されていることがあります。交通費と、そこに通える生活リズムがあるかを先に確かめてください。
- レポートが止まったときに誰が気づくか。私立の補習費や施設設備費は、この見守りの部分に当たっていることが多いです。ここを外せば安くなりますが、自力で進める前提になります。
- 途中で単位を落としたときの費用。再履修すれば、その単位ぶんの履修料がもう一度かかります。単価が高い学校ほど、ここの打撃が大きくなります。
つまり安さの差は、多くの場合サポートの差です。どちらが正しいという話ではなく、お子さんが今どちらを必要としているかで決まります。
迷ったときの進め方(3ステップ)
- お住まいの都道府県の公立通信制を1校、事務室に電話して総額を聞く。「受講料以外に毎年いくら要りますか」「スクーリングは年何日で、どこに行きますか」の2つで十分です。ここが金額の下限になります。
- 気になっている私立を1校選び、支援金適用後の額と内訳を出してもらう。施設設備費・補習費が何に当たるのかまで聞きます。1で聞いた下限との差が、買っているサポートの値段です。
- その差額を払う価値があるかを、お子さんの今の状態で判断する。ひとりで進められそうなら公立、見守りが要るなら私立やサポート校が向きます。
3で迷ったときは、次の2つを声に出して確かめてみてください。「レポートの締切を、本人が自分で管理できそうか」と、「週に1回、決まった時間に起きて出かけられそうか」です。どちらも「今はまだ難しい」なら、差額はサポートに使ったほうが結果的に安くつくことが多いです。逆にどちらも「できそう」なら、公立で十分に足ります。
この順番なら、パンフレットの金額に振り回されずに済みます。1と2は、どちらも今週中にできることです。
「うちの場合はいくらか」を、一緒に数えられます
お住まいの都道府県の公立の下限と、サポートを足したときの差額。個別相談会では、その2つを実際の数字で並べて確認できます。ニジ高がサポート校であることと、就学支援金の対象外であることも、その場で正直にご説明します。保護者の方だけでも構いません。
よくある質問
Q. 通信制高校でいちばん安いのはどこですか?
A. お住まいの都道府県の公立通信制です。受講料は1単位330〜336円が多く、年25単位なら8,000円台です。ただし諸会費・教科書代を含めた年間総額は、確認した範囲で約20,000円〜約47,000円と幅がありました。
Q. 公立なら全国どこでも同じ金額ですか?
A. いいえ。受講料の単価はほぼ横並びですが、学校徴収金が自治体・学校で違います。今回確認した中では、埼玉が年約20,550円、愛知が年約47,000円前後でした。また神奈川県立横浜修悠館のように、同じ学校の中で平日講座700円・日曜講座350円と単価が違う例もあります。
Q. 他県の公立通信制に、安さ目当てで入れますか?
A. 公立には出願できる区域の条件があるのが一般的です。たとえば広島市立広島みらい創生高等学校の平日登校コースは、保護者も県内に住所があることを条件にしています。安さだけで県外を選ぶ前に、募集要項の出願資格を必ず確認してください。
Q. 就学支援金を使えば学費は0円になりますか?
A. 0円になるのは授業料(単位履修料)の部分だけです。入学金・施設設備費・補習費・諸経費・教科書代は対象外で、そのまま残ります。また私立通信制の上限は年337,200円で、私立全日制の457,200円より120,000円低く設定されています。
Q. 有名な広域通信制のほうが、パンフレットの金額は安く見えます。実際どうですか?
A. 最終的な自己負担では逆転することがあります。都道府県が独自に出している授業料の軽減補助は、本校が県内にある学校しか対象にしないことが多いためです。埼玉県の父母負担軽減事業補助金も、広島県の授業料等軽減補助も、県外に本校がある広域通信制は対象外でした。お住まいの県が出している対象校一覧に、その学校の名前があるかを確認してください。
Q. 授業料以外の費用に使える制度はありますか?
A. 高校生等奨学給付金があります。教科書代や修学旅行費など、授業料以外の教育費に充てるための給付で、返す必要はありません。生活保護受給世帯・住民税非課税世帯などが対象で、申請時期は7月頃が一般的です。就学支援金とは別の制度なので、両方を確認してください。
Q. サポート校にも支援金は使えますか?
A. 使えません。サポート校は学校教育法第1条の高等学校ではないためです。提携する通信制高校の授業料には支援金が使えますが、サポート校の費用は別立てで残ります。
いちばん安い学校より、続けられる学校を
学費を調べているとき、ご家庭はたいてい「いくらまでなら出せるか」を先に考えます。それはとても健全なことです。ただ、ここまで見てきたとおり、金額の差はサポートの差として現れます。
1年で辞めてしまえば、いちばん安い学校でもいちばん高い買い物になります。逆に、少し高くても3年で卒業できたなら、その差額は回収できています。比べるべきは年額ではなく、卒業までの総額と、卒業できる見込みのほうです。
今日決めなくて大丈夫です。まずは公立に1本電話を入れるところからで、十分に前に進んでいます。
学費の心配は、進路をあきらめる理由にしなくて大丈夫です。
全国どこからでもカメラ・マイクはオフでOK転入・編入は随時受付
通信制高校サポート校 NIJIN高等学院(ニジ高)/出願費用は無料です。無理に勧めることはありません。

