高等学校等就学支援金とは?|通信制は年33万7,200円・最長48か月【2026】

入学や転校の書類の中に「高等学校等就学支援金」という長い名前を見つけて、これは何なのか、うちは対象なのか、通信制高校でも使えるのかと手が止まってしまった。そんな保護者の方や生徒さんは少なくありません。制度の名前が硬いうえに、2026年度から仕組みが大きく変わったので、数年前の説明と今の説明が食い違って見えることもあります。

先に結論を書きます。高等学校等就学支援金は、高校の授業料に充てるための国の支援金で、返す必要はありません。2026年度(令和8年度)から所得制限がなくなり、通信制高校も対象です。私立の通信制は年33万7,200円まで(授業料を1単位ごとに決めている学校では1単位13,668円まで)、支給の期間は通信制なら最長48か月です。ただし、申請しないと受け取れないこと、使えるのは授業料だけでサポート校の費用には使えないこと、転校すると前の学校の在学月数が差し引かれることの3つは、あとから困りやすいところです。

この記事は、e-Gov法令検索の「高等学校等就学支援金の支給に関する法律」「同 施行令」「同 施行規則」と、文部科学省の「高校生等への修学支援」のページ、就学支援金Q&A、新制度の概要(支給限度額の表)、リーフレット、e-Shienの記入上の注意を、2026年9月30日に実際に開いて確かめた内容で書いています。公式の資料で確かめられなかったことは、確かめられなかったと書いています。

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目次

結論:高等学校等就学支援金(通信制高校の場合)の早見

  • 高等学校等就学支援金は、授業料に充てるための国の支援金です。返済は不要で、学校が生徒に代わって受け取り、授業料から差し引きます。
  • 2026年度から所得制限はありません。代わりに、日本国内に住所があることと、国籍・在留資格の要件が確かめられます。
  • 支給の上限は、課程と設置者で違います。私立の通信制は年33万7,200円(月2万8,100円)、授業料を1単位ごとに決めている学校は1単位13,668円までで、年30単位・通算74単位までです。
  • 公立の通信制の「1単位336円」は国の支給の上限です。授業料の額そのものは都道府県の条例で決まり、県によって違います。
  • 通信制は在学した月を4分の3として数えるので、支給期間は最長48か月です。全日制から転校すると、全日制に在学した月数の分だけ残りが減ります。
  • 申請が必要で、原則として申請した月から支給されます。新入生は原則4月中、転校したときは原則その月のうちに、転校先の学校で申請します。
  • 対象は授業料だけです。サポート校の費用には使えません。ニジ高のようなサポート校を併用する場合、その分は就学支援金の外で考えます。
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就学支援金は「授業料に充てるため」の国の制度で、返す必要はありません。お金は学校が代わりに受け取ります

高等学校等就学支援金の根拠は、「高等学校等就学支援金の支給に関する法律」(e-Gov法令検索)です。第1条には、生徒が家庭の経済的な状況にかかわらず、高校の授業料に充てるために就学支援金を受けられるようにすることで、教育の機会均等を図る、という目的が書かれています。文部科学省の高校生等への修学支援のページでも、いわゆる「高校無償化」と呼ばれることが多いものの、的確な表現としては授業料を支援する「高等学校等就学支援金」だと説明されています。

お金の流れは少し独特です。法律の第7条で、学校の設置者(都道府県や学校法人など)が生徒に代わって就学支援金を受け取り、授業料に充てると決められています。文部科学省の就学支援金Q&A(Q11)でも、生徒や保護者が直接受け取るものではなく、授業料と就学支援金の差額は生徒側が払う、と説明されています。つまり、家の口座に振り込まれるお金ではなく、学費の請求額が小さくなる形で届きます。

学校によっては、支給が決まるまで授業料をいったん全額払い、あとで就学支援金の分を返す(還付する)方法をとることもあります(Q12)。文部科学省の新制度のリーフレット(日本国籍の方用)には、経済的に難しい家庭は授業料の徴収の猶予などを使える場合がある、とも書かれています。いったん払う必要があるかどうか、返ってくるのはいつかは、学校に聞くと分かります。

学校の案内には、ふだん使わない言葉が並びます。意味を先に押さえておくと、書類が読みやすくなります。

案内に出てくる言葉 意味 根拠
受給資格認定(の申請) 就学支援金を受ける資格があると、都道府県に認めてもらう手続き。学校を通じて申請する 法律 第4条
代理受領 学校が生徒の代わりに支援金を受け取り、授業料に充てること 法律 第7条
支給停止の申出 休学するときに支給を止めてもらう届け出。止めた月は支給期間に数えない 法律 第8条
在校生の受給資格確認 すでに受給している在校生が行う確認の手続き(2026年度は4月から) 文部科学省 e-Shien のマニュアル
e-Shien(イーシエン) 文部科学省のオンライン申請の仕組み。学校から配られるIDとパスワードで入る 文部科学省 e-Shien のページ

もう1つ知っておくと安心なのが、就学支援金を受ける権利は、人に譲ったり差し押さえたりできず(第12条)、受け取った就学支援金には税金がかからない(第13条)、という決まりです。一方で、偽りの申請で受け取ると、返すよう求められるうえに罰則もあります(第11条・第21条)。書類の中身は、分からないところを学校に聞きながら正確に書いてください。

2026年度から所得制限がなくなり、代わりに「国籍・在留資格」の要件が加わりました

2026年3月31日に改正法が成立し、4月1日から新しい制度が始まりました(文部科学省「高校生等への修学支援」のお知らせ)。文部科学省の高等学校等就学支援金・新制度の概要(PDF)によると、変わった点は大きく3つです。年収による差(所得制限)がなくなったこと、私立の上限が引き上げられたこと、そして対象になる生徒の国籍・在留資格の要件がはっきり決められたことです。

比べるところ 2025年度まで(旧制度) 2026年度から(新制度)
所得による制限 年収約910万円以上の世帯は対象外(年収は目安) なし
私立の通信制の上限(年額) 年収約590万円未満 297,000円/590万〜910万円未満 118,800円 337,200円
私立の全日制の上限(年額) 年収約590万円未満 396,000円/590万〜910万円未満 118,800円 457,200円
公立の通信制の上限(年額) 6,240円 6,240円
申請で出す書類 保護者等の住民税の額をもとに所得を判定 日本国籍の生徒は収入の要件なし。国籍を確かめる書類も令和8年度は原則提出不要

出典は、新制度の概要(PDF)の支給限度額の表(新制度と「令和2〜7年度」の表)と、文部科学省の令和8年度における申請・認定手続き(イメージ)、生徒の提出書類(例)です。以前の記事でよく見かけた、市町村民税の課税標準額から計算して支給額を決める説明は、旧制度のものです。2026年度からの日本国籍の生徒には当てはまりません。

新しく加わった要件は、日本国内に住所があり、次のどれかに当たることです(就学支援金Q&AのQ3・Q4)。日本国籍の人、特別永住者、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者のうち将来永住する意思があると認められた人、家族滞在のうち日本の小学校と中学校を卒業し、高校などを出たあと日本で働いて定着する意思があると認められた人、です。

この要件に当たらない場合も、支援が何もなくなるわけではありません。文部科学省の新制度の対象外となる生徒への支援リーフレットによると、2026年3月31日以前から在学している生徒は、年収約910万円未満の世帯なら経過措置で旧制度の就学支援金を、約910万円以上の世帯なら「高校生等・新修学支援金」(年11万8,800円まで)を受けられます。2026年4月以降の新入生(在留資格「留学」の人を除く)も、年収約910万円未満の世帯なら「高校生等・新修学支援金」の対象です。どちらも旧制度と同じ水準の支援で、リーフレットには年39万6,000円(年収約590万円未満の世帯、私立高校の例)と年11万8,800円の上限が示されています。旧制度での私立の通信制の上限は、上の表のとおり29万7,000円と11万8,800円でした。こちらは課税証明書などが要る場合があるので、学校に相談してください。

対象になる学校には通信制高校が入り、サポート校は入りません

就学支援金の対象になるのは、国公私立の高校(全日制・定時制・通信制)、中等教育学校の後期課程、特別支援学校の高等部、高等専門学校の1〜3年生、専修学校の高等課程などです(Q3、法律 第2条)。住んでいる都道府県とは別の県の学校に通う場合でも、国の制度なので対象になります(Q6)。全国から生徒を受け入れる広域の通信制高校に、県外から入学する場合も同じです。

一方で、次の人は対象になりません。表にまとめます。

ケース 就学支援金 根拠
通信制高校の授業料 対象 Q&A Q7
サポート校(サポート施設)の費用 対象外 Q&A Q7
すでに高校などを卒業した人(修業年限3年未満の学校を除く) 対象外 法律 第3条第2項第1号
在学した期間が通算36か月(通信制・定時制は4分の3で数える)を超えた人 対象外(中退して入り直した人には学び直しの支援がある) 法律 第3条第2項第2号・Q3・Q16
専攻科・別科の生徒、科目履修生、聴講生 対象外(専攻科は別の支援あり) Q&A Q3

とくに誤解が多いのが、サポート校の扱いです。Q&AのQ7は、サポート校は就学支援金の対象ではなく、通信制高校の授業料は対象になる、とはっきり書いています。サポート校は学校教育法の高校ではないため、サポート校に払う費用に就学支援金は届きません。サポート校 学費の記事で、費用が二段になる仕組みを詳しく書いています。

2つ以上の課程に同時に在学している場合は、どれか1つの課程を選んで申請します(法律 第3条第1項・第4条)。通信制高校とほかの学校に同時に籍がある、という特殊な形のときは、どちらで申請するかを学校と相談してください。

ダイニングテーブルで、母親と高校生の娘がノートに書き込みながら確かめている
支援金が充てられるのは在籍する高校の授業料です。どの費用が対象かを家で整理しておくと安心です。

支給の上限は課程と設置者で違い、私立の通信制は年33万7,200円・1単位13,668円までです

就学支援金の額は、授業料の額までで、課程と設置者(国立・公立・私立)ごとに決まった上限を超えない額です(法律 第5条)。上限の具体的な数字は、施行令と施行規則に書かれています。文部科学省の新制度の概要(PDF)の支給限度額の表から、授業料を年額や月額で決めている学校(定額授業料)の高校の分を抜き出すと次のとおりです。

課程 公立(年額・月額) 私立(年額・月額) 支給期間
全日制 118,800円(月9,900円) 457,200円(月38,100円) 36か月
定時制 32,400円(月2,700円) 457,200円(月38,100円) 48か月
通信制 6,240円(月520円) 337,200円(月28,100円) 48か月

私立では、全日制と定時制が同じ年45万7,200円なのに対し、通信制は年33万7,200円です。年額で比べると、全日制から私立の通信制に移った場合、上限の額そのものが12万円低くなります。実際の負担は、上限ではなく、移る先の学校の授業料と比べて決まります。

通信制高校の多くは、授業料を「1単位いくら」で決めています。その場合の上限は、月額ではなく1単位あたりで決まっています(施行令 第2条第4号、施行規則 第7条)。

課程 公立(1単位あたり) 私立(1単位あたり)
全日制 4,812円 18,528円
定時制 1,740円 18,528円
通信制 336円 13,668円

1単位ごとの場合は、1年間に30単位まで、在学中の通算で74単位までが支給の対象です(新制度の概要の表の注、施行規則 第7条第5項・第6項)。通算の74単位は、通信制高校の卒業に必要な単位数(74単位以上)と同じ数です。また、1単位の授業料が上限より安い学校では、上限ではなく授業料の額までが支給されます(施行規則 第7条第4項)。私立で授業料が1単位13,668円より高い学校は、差額が毎年残ります。

1単位ごとに授業料を決めている学校には、上の表の月額(私立の通信制なら月2万8,100円・年33万7,200円)の上限は当てはまらず、1単位の上限×その年に履修する単位数で計算します(施行令 第2条は、単位数に応じて授業料を決める学校を月額の号とは別の第4号で定めています)。そのため、1年に多くの単位を取る年は、その年の支給額が33万7,200円を超えることもあります(例:1単位の授業料が13,668円以上の学校で30単位を取る年は、13,668円×30単位=410,040円)。ただし通算は74単位までなので、在学中の合計の上限は13,668円×74単位=1,011,432円で、年337,200円の3年分(1,011,600円)とほぼ同じになります。実際にいくら支給されるかは、学校の授業料の決め方と履修の計画によるので、学校に確かめてください。

公立の通信制の「1単位336円」は、国が決めた支給の上限です。公立高校の授業料そのものは都道府県の条例で決まり、県によって違います。たとえば茨城県立高校の通信制は、受講料が1単位年額180円(県教育委員会の県立高校の授業料について)で、就学支援金も1単位年額180円・年間履修登録30単位までと、県教育委員会の高等学校等就学支援金制度のページに書かれています。公立の通信制を考えている場合は、住んでいる県の教育委員会のページで、授業料と支援金の額を確かめてください。

※2026年9月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。

通信制は在学した月を「4分の3」で数えるので、支給期間は最長48か月です

就学支援金は、在学した期間が通算して36か月を超えると受けられなくなります(法律 第3条第2項第2号)。ただし、定時制や通信制だけに在学していた月は、1か月を「4分の3か月」として数えます(施行令 第1条第2項)。通信制だけなら、48か月で36か月分になるので、支給期間は最長48か月です(Q&A Q13)。Q&AのQ3でも、3年(定時制・通信制は4年)を超えて在学している生徒は対象外と説明されています。

数えるのは「就学支援金を受け取った月」ではなく、高校に在学した月です。旧制度で所得制限のために受け取っていなかった月も、在学していれば数に入ります。文部科学省のQ15は、全日制に20か月在学したあと通信制に移った場合、48か月から「20か月×4/3」(端数切捨て)を引いて、通信制では22か月分が支給されるという計算を示しています。同じ考え方で、よくある場合を並べると次のとおりです。

それまでの在学 計算 通信制で残る支給期間
高校に在学したことがない(新入生) 48か月 48か月
全日制に12か月(高1の1年間) 48−12×4/3=48−16 32か月
全日制に20か月(Q15の例) 48−20×4/3(端数切捨て) 22か月
全日制に24か月(高2の終わりまで) 48−24×4/3=48−32 16か月
通信制に24か月在学して、別の通信制へ 48−24 24か月

高校を中途退学してから入り直した人が、支給期間を使い切っても卒業まで届かない場合は、都道府県が行う「学び直し」の支援で、就学支援金の期間のあとも授業料の支援を続けて受けられることがあります。文部科学省の高校等で学び直す者に対する修学支援(PDF)では、卒業までの最長12か月、定時制・通信制は最長24か月です(Q&A Q16)。一度高校をやめてから入り直す場合は、学び直し支援金の記事で対象と手続きを確かめてください。

通信制高校では在学した月を4分の3として数えるため就学支援金の支給期間が最長48か月になり、全日制に20か月在学したあと通信制に移ると残りは22か月分になることを示す図
出典:高等学校等就学支援金の支給に関する法律 第3条、同 施行令 第1条、文部科学省 就学支援金Q&A Q13・Q15

就学支援金は申請しないと受け取れません。原則として、申請した月から支給されます

就学支援金は、自動では届きません。受ける資格があることを、学校を通じて都道府県に認めてもらう「受給資格認定」の申請が必要です(法律 第4条)。支給は、申請が学校に届いた日の属する月から始まります(第6条第2項)。その月の初日にまだ在学していなかった場合などは、翌月からです。Q&AのQ9も、原則として申し込みが行われた月からの開始になるので、提出期日に遅れないように、と注意しています。

病気などやむを得ない理由で申請できなかったときは、その理由がなくなってから15日以内に申請すれば、申請できなくなった日に申請したものとして扱われます(第6条第3項)。遅れそうなとき、遅れてしまったときは、まず学校に相談してください(Q9)。

なお、2026年度は、4月にe-Shienの緊急メンテナンスでサービスが一時停止したため、申請が5月以降になった場合でも4月分から受け取れるよう、弾力的に扱うと文部科学省が案内しています(高校生等への修学支援のページのお知らせ)。これは2026年度の事情による扱いなので、2027年度以降も同じとは考えず、原則どおり早めに申請するのが安全です。

だれが いつ すること
4月に入学した新入生 原則4月中 学校から配られるIDでe-Shienにログインし、受給資格認定を申請(紙で申請する学校もある)
転校した生徒 原則、転校した月のうち 転校先の学校で発行されたIDで、あらためて申請する
受給中の在校生 2026年度は4月から(学校の案内どおり) 在校生の受給資格確認の手続き
都道府県 5〜6月ごろ(2026年度のイメージ) 審査して認定通知を出す。支給決定の期間は4月〜翌年3月

表の時期は、文部科学省の令和8年度の申請・認定手続き(イメージ)と、e-Shienの記入上の注意によります。e-Shienのページによると、令和8年度に限っては日本国籍の生徒がオンラインで申請できる仕組みで、学校によっては紙の申請だけを受け付けています。実際の提出期日や方法は学校と都道府県ごとに違うので、学校の案内がいちばん確かな情報です。

転校したときは、転校先の学校で申請し直し、前の学校の在学月数が差し引かれます

全日制から通信制へ、あるいは通信制から別の通信制へ移ったとき、就学支援金は自動では引き継がれません。e-Shienの記入上の注意には、転校の場合も原則として転校した月のうちに申請を行う必要がある、と書かれています。e-ShienのFAQでは、転校した場合は転校先の学校で発行されたログイン用のIDとパスワードを使う、と案内されています。

申請書には、今の学校の在学期間だけでなく、過去に在学したすべての学校の在学期間を書きます。これまでに就学支援金を受給した期間がある場合は、受給の事由が消滅したことの通知か、受給の実績を証明する書類も出します(記入上の注意)。前の学校を離れるときに、こうした書類をもらえるか確かめておくと、転校先での手続きが進めやすくなります。

転校の時期によっては、前の学校の授業料をすでに1年分払っていて戻らない、転校先の入学金が別にかかる、といったお金の問題も重なります。転校にかかるお金の全体は、通信制高校 転校 費用の記事で5つに分けて整理しています。

休学するときは「支給停止」を申し出ると、休んだ月を支給期間から外せます

体調や家庭の事情で休学する場合、就学支援金の扱いは手続きで変わります。Q&AのQ14と法律 第8条、施行令 第3条によると、休学中に授業料がかからない場合に、学校を通じて「支給停止の申出」をすると、申し出た月の翌月から、復学して再開を申し出た月まで支給が止まり、その間は支給期間の計算も止まります。

申出をしないまま休学すると、その期間の支給額は0円として計算されたうえで、休学した期間も支給期間から差し引かれます(Q14)。通信制の48か月は、休学の月をそのまま使ってしまうと、復学したあとに足りなくなることがあります。休学を考え始めたら、授業料の扱いと一緒に、支給停止の申出が必要かを学校に聞いてください。

休学中の学費や、復学・転校の選び方は、高校 休学の記事でまとめています。

明るい部屋で高校生がノートパソコンに向かい、奥のソファで母親が本を読んでいる
休学などで学び方が変わるときは、支援金の手続きも学校に早めに相談します。

支援金が届くのは授業料だけです。授業料との差額と、授業料以外の費用は残ります

就学支援金の額は、授業料の月額に相当する額(上限つき)です(法律 第5条)。入学金、施設設備費、教材費、スクーリングの交通費や宿泊費など、授業料ではない費用には充てられません。また、授業料が上限を超える学校では、その差額も家庭の負担になります(Q11)。「無償化」という言葉から全部が0円になると考えていると、ここで想定と違ってきます。

授業料以外の費用や、国の上限を超える部分を支える制度は、別にあります。どれも申し込み先と条件が違うので、就学支援金と一緒に確かめておくと漏れにくくなります。

制度 支えるもの ポイント
高校生等奨学給付金 教科書費・教材費など授業料以外 返還不要。就学支援金とは別に申し込む。対象は世帯の所得で決まり、通信制の額は全日制のおよそ3分の1
都道府県の上乗せの支援 国の上限を超える授業料など 県ごとに要件が違う。住んでいる県と学校のある県の、どちらの制度かも確かめる(Q6)
学び直しの支援 支給期間を使い切ったあとの授業料 中退して入り直した人が対象。通信制は最長24か月。都道府県が実施
授業料の減免・奨学金 学校や自治体の独自の支援 減免後の残りの授業料に就学支援金が充てられる。奨学金とは原則併用できる(Q17)

奨学給付金の申し込み方と額は高校生等奨学給付金の記事、都道府県ごとの上乗せは通信制高校 授業料補助 都道府県の記事で、県の公式ページを確かめながら整理しています。東京都に住んでいる場合は、東京都 授業料助成 通信制の記事もあわせてご覧ください。通信制高校で授業料を引いたあとに実際いくら残るかの計算例は、通信制高校 就学支援金の記事にあります。

2026年度の高等学校等就学支援金で、私立の通信制は年額337,200円・月額28,100円・1単位13,668円・最長48か月、私立の全日制は年額457,200円・月額38,100円・1単位18,528円・36か月であることを比べた表
出典:文部科学省「高等学校等就学支援金・新制度の概要」

よくある誤解:「無償化」と聞いても、申請なしで全部が0円になるわけではありません

就学支援金は、名前と仕組みが分かりにくいぶん、誤解も広がりやすい制度です。公式の資料と照らし合わせて、よく聞く思い込みを整理します。

  • 「無償化だから高校の費用は0円」:支援されるのは授業料だけで、上限もあります。授業料以外の費用や、上限を超える授業料は残ります。
  • 「手続きをしなくても自動でもらえる」:受給資格認定の申請が必要で、支給は原則として申請した月からです。
  • 「支援金は家の口座に振り込まれる」:学校が代わりに受け取り、授業料から差し引きます。後日の還付の形をとる学校はあります。
  • 「通信制高校と一緒にサポート校の費用にも使える」:サポート校は対象外です(Q7)。
  • 「公立の通信制の授業料は全国どこでも1単位336円」:336円は国の支給の上限です。授業料は都道府県の条例で決まり、県によって違います。
  • 「前の学校で受け取っていた月数だけが差し引かれる」:差し引かれるのは在学した月数です(Q15)。受け取っていなかった月も数に入ります。
  • 「年収が高いと対象外」:2025年度までの旧制度の話です。2026年度からは所得制限がありません(新制度の対象外になる生徒向けの経過措置や新修学支援金は、年収によって額や対象が分かれます)。

数年前に書かれた解説や、旧制度のころの学校の案内には、年収の判定や旧制度の金額が残っていることがあります。見ている情報が何年度のものかを、最初に確かめるのが近道です。

選択肢の1つとしてのニジ高(正直な注意点:ニジ高の費用に就学支援金は使えません)

ニジ高(NIJIN高等学院)は、オンライン中心の通信制高校サポート校で、運営は株式会社NIJIN、校長は星野達郎です。全国どこからでも、海外からも参加でき、担任がつきます。カメラやマイクをオフにして、チャットだけで参加するところから始められ、授業のアーカイブ視聴や中学の内容の学び直しにも対応しています。生活リズムに波があっても学べるように設計しています。

お金の話で、はっきりお伝えしておきたいことがあります。ニジ高は高校ではありません。卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングには参加が必要です(ニジ高の中でのスクーリングはありません)。そのため費用は、提携する通信制高校の分と、ニジ高の分の両方がかかります。提携する通信制高校の授業料は、受給資格の要件を満たせば就学支援金の対象ですが、ニジ高の分には就学支援金は使えません。この記事で見てきたQ7の「サポート校は対象外」が、そのまま当てはまります。

ニジ高の学費の額は、学費のご案内のページでご確認ください。途中からの入学(転入・編入)もでき、出願費用は無料です。個別相談会はオンライン(Zoom)で30分、参加は無料で、保護者の方だけでも参加できます。就学支援金を使った場合に提携校の分がどうなるか、ご家庭の状況に合わせて相談会でお聞きください。

迷ったときの進め方(3ステップ)

ステップ1:これまでの在学期間を書き出す。今の学校に入った月、過去に在学した学校とその期間、休学した期間を紙に書きます。全日制に在学していた月数が分かれば、この記事の表で、通信制で残る支給期間の目安が出せます。

ステップ2:候補の学校の授業料の決め方を確かめる。授業料が月額(年額)か1単位ごとか、1単位いくらか、年に何単位取る予定かを学校の募集要項で見ます。私立なら1単位13,668円、年30単位までという上限と比べると、授業料の差額が残るかどうかが分かります。サポート校を併用する場合は、その費用を別の行に書き出します。

ステップ3:申請の時期と方法を学校に聞く。入学や転校が決まったら、e-Shienか紙か、提出期日はいつか、授業料をいったん払う必要があるか、休学するときの支給停止の手続きはどうするかを学校に確かめます。奨学給付金や都道府県の上乗せも、同じタイミングで聞いておくと漏れにくくなります。学校選びの段階で迷っているなら、体験説明会・個別相談で、費用の考え方も含めて相談できます。

相談室の丸いテーブルで、保護者と生徒が職員の説明を聞いている
申請の時期や必要なものは、在籍する学校の案内で確かめられます。
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就学支援金のあとに残る費用は、個別相談でお聞きください

ニジ高は「オンラインで最高の青春を」を掲げる通信制高校サポート校です。カメラ・マイクをオフにしたチャット参加から始められます。高校ではないため、卒業資格は提携する通信制高校で取り、そのスクーリングへの参加が必要です。ニジ高の分に就学支援金は使えません。費用の考え方は相談会でご説明します。

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よくある質問

Q. 就学支援金は、あとで返さなければいけませんか?

A. 返す必要はありません。文部科学省のリーフレットにも、返済は不要と書かれています。ただし、偽りの申請で受け取った場合は、返すよう求められることがあり、罰則もあります(法律 第11条・第21条)。

Q. 一度高校を卒業した人が、通信制高校に入り直す場合も対象になりますか?

A. 高校など(修業年限が3年未満のものを除く)をすでに卒業した人は、就学支援金の対象になりません(法律 第3条第2項第1号、Q&A Q3)。卒業せずに中退していた場合は、在学した月数を差し引いた残りの期間が対象で、使い切ったあとは学び直しの支援を受けられることがあります。

Q. 住んでいる県と別の県にある通信制高校でも使えますか?

A. 使えます。国の制度なので、別の都道府県の学校に通う場合も対象です(Q6)。ただし、都道府県が独自に行う上乗せの支援は、県ごとに要件が違い、住所や学校の所在地で対象外になることがあります。

Q. 就学支援金は、いつ・どこに支払われますか?

A. 家庭に振り込まれるのではなく、学校が生徒に代わって受け取り、授業料に充てます(法律 第7条、Q11)。学校によっては授業料をいったん全額払い、あとで就学支援金の分を返す方法をとるので、返ってくる時期は学校に確かめてください(Q12)。

Q. 日本国籍ではない生徒も対象になりますか?

A. 特別永住者、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等のほか、条件つきで定住者と家族滞在の生徒も対象です(Q4)。対象にならない場合も、在校生には経過措置、新入生(留学生を除く)には年収の要件つきの支援があります(Q5)。必要な書類が違うので、学校の案内に従って申請してください。

制度の名前は硬くても、確かめることは「在学期間」「授業料」「申請の時期」の3つです

高等学校等就学支援金という名前を見ると、難しい手続きが待っているように感じるかもしれません。でも、ご家庭で確かめることは多くありません。これまでにどこに何か月在学したか、行きたい学校の授業料はどう決まっているか、申請はいつどうやって出すか。この3つが分かれば、就学支援金でどこまで支えられて、何が残るのかが見えてきます。

転校や入り直しを考えている時期は、お金のことまで考える余裕がないのが自然です。分からないところは学校や都道府県の窓口に聞いてかまいませんし、書き出した在学期間のメモがあれば、話はずっと早く進みます。制度を味方につけて、お子さんが続けられる学び方を、落ち着いて選んでください。

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