通信制高校から国公立大学は目指せます。国公立の一般選抜は、出身の課程で出願できないという決まりが無く、通信制課程の生徒も全日制の生徒と同じ土俵で受けられます。違うのは「試験の中身」ではなく、共通テストで求められる科目の数と、その準備を学校がどこまで肩代わりしてくれるかです。
お子さんが学校に行けなかった時期があると、保護者の方ほど「国公立なんて、もう無理なのでは」と感じがちです。けれど実際に必要なのは、気合いではなく、いつ何の期限が来るのかという日程と、どの科目を履修しておく必要があるのかという情報です。この記事では、文部科学省・大学入試センター・国立大学協会・各大学の募集要項を実際に開いて、通信制から国公立をめざすときに効く論点だけを並べました。
読み終えたときに、お子さんと一緒に「まず何を調べればいいか」が決まる状態を目指しています。急いで進路を決める必要はありません。
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結論:通信制高校から国公立大学をめざすときの早見
- 出願資格は同じ。共通テストに出願できるのは「高等学校を令和9年3月に卒業見込みの者」などで、通信制課程を除くという条件はありません(大学入試センター 令和9年度受験案内)。
- 国立大学の一般選抜は、共通テストで原則6教科8科目。2024年度に実施する入試から、全ての国立大学が「情報」を加えた6教科8科目を課すのが原則です(国立大学協会の基本方針)。公立大学には同じ内容の全国共通の方針が見当たらず、教科・科目は各大学が定めます。
- 通信制の受験生は、試験場が「学校の場所」ではなく「現住所」で決まります。広域の通信制で本校が遠くても、原則として自宅の都道府県内で受けられます。
- 一般選抜で出願できるのは、国立大学が前期日程と後期日程の2つまで。公立大学には「公立大学中期日程」もあるため、国公立をあわせると前期・中期・後期から一つずつ、合計3つまでです。出願期間はいずれも2027年1月25日から2月3日です(国立大学協会・公立大学協会の2027年度実施要領)。
- 学校推薦型選抜は、学校長が推薦し、評定の要件が付くことがあります。名古屋大学は文学部が学習成績概評A段階、農学部がB以上、法学部は数値の要件なしと、同じ大学でも学部で違います。
- 総合型選抜でも、共通テストや指定科目の履修を求められることがあります。「総合型なら科目を絞れる」とは限りません。
- ニジ高はオンライン中心の通信制高校サポート校で、小論文・面接・自己PRの講座に力を入れています。ただし学院は高校ではなく、卒業資格は提携する通信制高校で取ります。
入り口は同じです。変わるのは「何科目を、いつまでに」だけです
まず、いちばん不安に思われやすいところから片づけます。大学入学共通テストの受験案内には、出願できる人が11通り並んでいます。その1番目が「高等学校(特別支援学校の高等部を含む。)又は中等教育学校を令和9年3月に卒業見込みの者」で、ここに通信制課程を除くという断り書きはありません(大学入試センター 令和9年度試験の受験案内)。高等学校卒業程度認定試験の合格者や合格見込みの者も、別の番号で出願できる人として挙げられています。
各大学の側も同じです。文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項は、出願資格を「学校教育法第90条並びに同法施行規則第150条及び第154条の規定により大学の入学資格を有する者」と定めているだけで、課程の別には触れていません。通信制高校を卒業(見込み)なら、この入学資格を持ちます。
では何が違うのか。違うのは、全日制なら時間割として自動的に組まれる「受験に要る科目の履修」と「演習量」を、通信制では自分で設計しなければならない点です。ここから先は、その設計に必要な数字を順番に見ていきます。
国立大学の一般選抜は、共通テストで原則6教科8科目。ここが私立との最大の違いです
国立大学協会は2022年1月に公表した基本方針で、次のように書いています。2024年度に実施する入学者選抜から、全ての国立大学は一般選抜において第一次試験として、原則としてこれまでの5教科7科目に「情報」を加えた6教科8科目を課す(2024年度以降の国立大学の入学者選抜制度 国立大学協会の基本方針)。私立大学の一般方式が3科目前後で受けられることを考えると、ここが最大の差です。なお、この基本方針は国立大学についてのものです。公立大学に同じ内容の全国共通の方針は見当たらなかったので、公立大学をめざす場合は志望校の募集要項で教科・科目を確かめてください。
令和9年度の共通テストは7教科21科目の枠組みで行われます。国立大学をめざす場合に標準的にそろえることになる形は、次の表のとおりです。
| 教科 | 受ける科目の目安 | 試験時間 | 配点 |
|---|---|---|---|
| 国語 | 「国語」1科目 | 90分 | 200点 |
| 地理歴史・公民 | 1科目(文系は2科目のことも) | 60分(2科目は130分) | 100点(2科目は200点) |
| 数学 | 数学Ⅰ・数学Aと、数学Ⅱ・数学B・数学Cの2科目 | 各70分 | 各100点 |
| 理科 | 1科目(理系は2科目) | 60分(2科目は130分) | 100点(2科目は200点) |
| 外国語 | 「英語」など1科目 | リーディング80分・リスニング60分 | 計200点 |
| 情報 | 「情報Ⅰ」 | 60分 | 100点 |
出典:令和9年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト 出題教科・科目の出題方法等(大学入試センター)。地理歴史・公民と理科で2科目を選ぶときの130分には、解答時間120分(各60分)と、第1解答科目と第2解答科目の間に答案回収等を行うために必要な時間が含まれます。
教科の数で圧倒されそうになりますが、逆に言えば配点の重い教科がはっきりしているということでもあります。国語200点、外国語200点、数学2科目で200点。理科と地理歴史・公民をそれぞれ1科目にした900点満点なら、この3教科で600点です。6割から3分の2ほどがここで決まります。ブランクがある場合、中学内容までさかのぼって国語・数学・英語から積み直す進め方は、遠回りに見えて配点の上では最短です。

共通テストの出願は9月15日から10月2日。通信制の受験生は、試験場が現住所で決まります
令和9年度共通テストの出願は、Web出願です。登録期間は2026年9月15日10時から10月2日17時まで、検定料などの支払期間は9月15日10時から10月2日23時59分まで。この支払いを済ませないと出願は完了しません。出願内容の確認・訂正期間は10月9日10時から10月16日17時まで、受験票は12月4日10時からマイページで取得します。本試験は2027年1月16日・17日、追試験は1月23日・24日です。
検定料は、受験する教科数と成績の閲覧を希望するかどうかで4通りに分かれます。
| 受験する教科数 | 成績の閲覧 | 検定料 |
|---|---|---|
| 3教科以上 | 希望する | 18,300円 |
| 3教科以上 | 希望しない | 18,000円 |
| 2教科以下 | 希望する | 12,300円 |
| 2教科以下 | 希望しない | 12,000円 |
このほかに、支払方法を問わず一律188円の手数料がかかります。成績閲覧手数料は300円です。教科数の数え方には注意が必要で、受験案内では地理歴史と公民を合わせて1教科として数えます。それでも国公立をめざすなら、受験教科数は「3教科以上」になります。
もう1つ、体力の面で先に知っておいていただきたいことがあります。受験案内の試験時間割では、1日目は地理歴史・公民の2科目登録で9時30分開始、英語のリスニングが17時20分から18時20分。2日目は理科の2科目登録で9時30分開始、情報Ⅰが17時から18時です。2日続けて、朝から夜までの長い試験になります。体調に波がある場合は、直前に無理をするより、その時間帯に起きて集中する練習を前の年から少しずつ入れておくほうが効きます。病気や障害などで配慮が要る場合は、受験上の配慮の申請という仕組みがあり、文部科学省の実施要項も各大学に合理的配慮を求めています。
そして、通信制の受験生にとっていちばん大事なのがここです。受験案内の「試験場の指定」には、次の書き分けがあります。高等学校または中等教育学校を令和9年3月に卒業見込みの者は、登録された学校が所在する試験地区内の試験場を指定される。ただし高等学校等の通信制課程を令和9年3月に卒業見込みの者は除く。そして通信制課程の卒業見込みの者は、それ以外の出願者と同じく登録された現住所の試験地区内の試験場を指定される、と書かれています。
つまり、本校が遠方にある広域通信制高校に在籍していても、共通テストは原則として自宅のある都道府県で受けられます(試験地区は原則として都道府県単位。北海道・岩手県・埼玉県・神奈川県・兵庫県・島根県・鹿児島県・沖縄県は受験案内の試験地区区分表によります)。スクーリングのために遠方へ通っている生徒さんほど、ここは安心材料になります。出願のときに登録する現住所が試験場の根拠になるので、住所の入力は丁寧に確認してください。手続きの細かい流れは共通テスト 出願 通信制の記事にまとめています。
出せるのは国立が2つ、公立の中期日程を入れて3つまで。国公立の一般選抜は分離分割方式です
国公立大学の一般選抜は、私立大学のように何校も併願する形になりません。国立大学協会の2027年度実施要領は、前期日程で試験を実施する大学・学部から一つ、後期日程で試験を実施する大学・学部から一つ、合計二つまでに出願し、受験することができると定めています。前期に合格して期日(2027年3月15日)までに入学手続を完了した場合、後期に出願して受験しても、後期の合格者にはなりません。
公立大学には、これに加えて「公立大学中期日程」という日程があり、これで試験を実施する大学・学部もあります。公立大学協会の2027年度実施要領は、国公立大学志願者は前期日程・公立大学中期日程・後期日程で試験を実施する大学・学部から一つずつ、合計三つまでに出願し、受験することができると定めています。中期日程の試験は3月8日以降に始まります。つまり出願できる数は、国立大学だけなら2つ、公立大学の中期日程を使えば最大3つです。
| できごと(2027年) | 国立大学 | 公立大学 |
|---|---|---|
| 共通テスト本試験 | 1月16日・17日 | 1月16日・17日 |
| 一般選抜の出願受付 | 1月25日から2月3日 | 1月25日から2月3日 |
| 前期日程の試験 | 2月25日から | 2月25日から |
| 前期日程の合格者発表 | 3月6日から3月10日 | 3月1日から3月10日 |
| 前期日程の入学手続の期日 | 3月15日 | 3月15日 |
| 公立大学中期日程の試験 | なし | 3月8日以降(実施する大学・学部のみ) |
| 後期日程の試験 | 3月12日以降 | 3月12日以降 |
| 中期・後期日程の合格者発表 | 3月20日から3月24日 | 3月20日から3月24日 |
| 追加合格の決定開始 | 3月28日 | 3月28日 |
出典:国立大学の2027年度入学者選抜についての実施要領(国立大学協会)、公立大学の2027年度入学者選抜についての実施要領(公立大学協会。いずれも2026年9月23日確認)。
出願できる数が限られるという制約は、裏を返せば志望校を早く絞る必要があるということです。そして志望校が決まると、必要な共通テストの科目と個別試験の科目も決まります。通信制で履修する科目を選ぶ時点で、ここまで見えているかどうかが、3年目の秋に効いてきます。

調査書の評定は5段階。「学習成績概評A」を出願要件にする学部があります
調査書は、在籍する高校が生徒指導要録に基づいて作成する書類です。文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項と、その「調査書記入上の注意事項等について」によると、評定は5、4、3、2、1の5段階で表示します。各教科の学習成績の状況は、教科ごとに各科目の評定の合計を評定数で割った数値(小数点以下第2位を四捨五入)。全体の学習成績の状況は、すべての教科・科目の評定の合計をすべての評定数で割った数値です。いわゆる評定平均値のことです。
その数値は、学習成績概評というA〜Eの5段階にも置き換えられます。
| 学習成績概評 | 全体の学習成績の状況 |
|---|---|
| A | 5.0〜4.3 |
| B | 4.2〜3.5 |
| C | 3.4〜2.7 |
| D | 2.6〜1.9 |
| E | 1.8以下 |
大学の側は、同じ実施要項の第5で「大学が重要と判断する教科・科目を指定し、単位修得や一定水準以上の具体的な評定の獲得を出願要件等として求めることができる」とされています。つまり評定に下限を設けるかどうかは、大学・学部の判断です。
実例を見ると、同じ大学の中でも割れます。名古屋大学の令和9年度学校推薦型選抜学生募集要項では、文学部の出願要件に「調査書の学習成績概評がA段階である者」とあり、各高等学校等から推薦できる人数は2名以内。農学部は「調査書の学習成績概評がB以上に属し」と書かれ、推薦人数は制限なし。法学部は評定の数値要件が書かれておらず、推薦人数も制限なしです。
ここで、通信制に通う生徒さんと保護者の方に知っておいていただきたいことが2つあります。1つは、評定が要件になるのは主に学校推薦型選抜で、一般選抜では合否が学力検査と共通テストで決まるということ。もう1つは、実施要項が出欠についてはっきり配慮を求めていることです。第13には、出欠の状況を推薦要件や合否判定の材料の一つとして使うとき、志願者本人に帰責されない身体・健康上の理由によるやむを得ない欠席日数を把握した場合には、本人が不利益を被ることがないよう配慮すると書かれています。さらに令和9年度の調査書では、出席停止・忌引き等の日数は記載せず、そこから推測できてしまうため授業日数も記載しない扱いになっています(調査書作成のシステム改修に相当の負担が生じるなどで困難な場合は、従前の方法で作成できるという例外も置かれています)。
※2026年9月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。
総合型は9月、学校推薦型は11月に出願。推薦は学校長が出すので、まず在籍校に確かめます
一般選抜以外の2つの入試方法は、出願の時期が大きく前倒しになります。文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項では、総合型選抜は入学願書の受付が2026年9月1日以降、判定結果の発表が2026年11月1日以降。学校推薦型選抜は入学願書の受付が2026年11月1日以降、判定結果の発表が2026年12月1日以降です。
| 比べるところ | 総合型選抜 | 学校推薦型選抜 |
|---|---|---|
| 出願の時期 | 2026年9月1日以降 | 2026年11月1日以降 |
| 誰が出すか | 志願者が自分の意志で出願できる | 出身高等学校長の推薦が要る |
| 主な資料 | 詳細な書類審査と時間をかけた面接等 | 調査書を主な資料とする |
| 国公立での併願 | 実施要領に数の制限の定めはない。合格して手続を終えると前期・中期・後期の合格者になれない | 一年度につき一つの大学・学部に限る |
出典:文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」、国立大学協会「国立大学の2027年度入学者選抜についての実施要領」、公立大学協会「公立大学の2027年度入学者選抜についての実施要領」。
学校推薦型選抜でとくに気をつけたいのは、推薦を出すのは生徒本人ではなく出身高等学校長だという点です。国立大学協会の実施要領は、一人の志願者について一つの年度における推薦は一つの大学・学部に限る、と定めています。そのうえで名古屋大学の例のように、高校ごとに推薦できる人数の上限が学部単位で決まっていることがあります。在籍生徒数の多い広域通信制高校では、校内でどのように推薦者を決めているのかが分かれ目になります。通信制高校を選ぶ段階で、進路指導の担当者に「学校推薦型選抜の推薦は出してもらえるのか」「校内の選考はどうなっているのか」を聞いておくことをおすすめします。学校の見分け方は総合型選抜 通信制高校の記事でまとめています。
なお国立大学では、総合型選抜・学校推薦型選抜の募集人員は、学部・学科等の募集単位ごとの入学定員に占める割合が、両方あわせて5割を超えない範囲と定められています。公立大学の実施要領では、学校推薦型選抜の募集人員が入学定員の5割を超えない範囲とされています。国公立では、一般選抜が主な入り口であることは変わりません。

総合型選抜でも、共通テストや指定科目の履修が要ることがあります
「総合型選抜なら科目を絞れる」と考えて出願準備を始めると、募集要項を読んだ段階でつまずくことがあります。国公立の総合型選抜には、共通テストを組み合わせている例があります。
お茶の水女子大学の令和9年度総合型選抜(新フンボルト入試)募集要項を開くと、出願資格は「高等学校又は中等教育学校を令和7年3月以降卒業した者及び令和9年3月卒業見込みの者」で、評定については「調査書の学習成績概評がA段階以上であることが望ましい」と書かれています。要件ではなく、望ましいという書き方です。一方で、学科ごとに指定された科目を履修して単位を得ているか、入学時までに単位を修得見込みであることが出願資格に含まれます。たとえば理学部物理学科は「物理基礎・物理及び数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・C」。ここは通信制で選択科目の開講状況によって差が出るところです。
さらに同要項は、合格者について「所属学科が指定する令和9年度大学入学共通テストの教科・科目を受験してください」としており、各学科の指定は6又は7教科8科目。ただし共通テストの成績は合否に影響しないとも明記されています。合否を決める材料ではないけれど、受験そのものは求められる。この形を知らずに共通テストの出願期間を逃すと、合格しても困ることになります。
| 大学・選抜 | 評定の扱い | 共通テストの扱い |
|---|---|---|
| お茶の水女子大学 総合型選抜 | 学習成績概評A段階以上が望ましい(要件ではない) | 合格者は指定の6又は7教科8科目を受験。成績は合否に影響しない |
| 名古屋大学 文学部 学校推薦型選抜 | 学習成績概評A段階が出願要件 | 共通テストを課さない |
| 名古屋大学 法学部 学校推薦型選抜 | 評定の数値要件なし | 指定の6教科8科目又は7教科8科目の受験が要る |
| 名古屋大学 農学部 学校推薦型選抜 | 学習成績概評B以上 | 指定の教科・科目の受験が要る |
出典:令和9年度 お茶の水女子大学 特別選抜学生募集要項 総合型選抜、令和9年度 名古屋大学 学校推薦型選抜学生募集要項(いずれも2026年9月23日確認)。他の大学も同じとは限りません。
読み取っていただきたいのは、個別の大学名ではなく「要件は募集要項を開かないと分からない」という構造のほうです。志望校が絞れたら、本人と保護者の方で募集要項のPDFを開いてみてください。
受験の土台は履修計画です。通信制はリポートの回数が科目数に比例して増えます
通信制の課程では、学習のまとまりが「単位」で、単位の取り方が添削指導(リポート)・面接指導(スクーリング)・試験の3つで決まります。高等学校学習指導要領は、通信制の課程について1単位あたりの添削指導の回数と面接指導の単位時間数の標準を、次のように定めています。
| 教科 | 添削指導(1単位あたり) | 面接指導(1単位あたり) |
|---|---|---|
| 国語・地理歴史・公民・数学 | 3回 | 1単位時間 |
| 理科 | 3回 | 4単位時間 |
| 外国語・芸術 | 3回 | 4単位時間 |
| 保健体育のうち体育 | 1回 | 5単位時間 |
出典:高等学校学習指導要領(平成30年文部科学省告示第68号)第1章総則 第2款5。1単位時間は50分として計算します。
この表と、各科目の標準単位数を掛け合わせると、受験のためにどれだけ課題が増えるのかが見えます。学習指導要領の標準単位数では、数学Ⅰが3単位、数学Ⅱが4単位、数学Ⅲが3単位、数学A・B・Cが各2単位。理科は物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎が各2単位で、物理・化学・生物・地学が各4単位。英語コミュニケーションⅠが3単位、Ⅱ・Ⅲが各4単位。情報Ⅰが2単位です。
たとえば理系で物理と化学を共通テストまで仕上げるなら、物理4単位・化学4単位で添削指導は合計24回、面接指導は32単位時間。科目を増やした分だけ、卒業のための作業量も増えます。卒業に必要なのは74単位以上ですが、受験に要る科目を積むと74単位では収まらないこともあります。理系の科目の確かめ方は通信制高校 理系の記事に詳しく書きました。
そしてもう1つ。学習指導要領は、ラジオ放送・テレビ放送その他の多様なメディアを利用した学習を計画的に取り入れた場合、面接指導等時間数のうち10分の6以内を免除でき、複数のメディアを使う場合は合わせて10分の8を超えない範囲で免除できると定めています。オンラインでの学習が多い学校でスクーリングが短く済むのは、この仕組みによるものです。

お金で国公立を選ぶなら、国立の授業料は年535,800円が標準。塾代は家庭ごとに大きく違います
国公立をめざす理由として「学費」を挙げるご家庭は多いと思います。国立大学の授業料は、国立大学等の授業料その他の費用に関する省令で標準額が決められています。
| 項目 | 国立大学の学部(標準額) | 東京都立大学の学部 |
|---|---|---|
| 授業料 | 年額535,800円 | 前期・後期それぞれ260,400円 |
| 入学料 | 282,000円 | 282,000円(東京都の住民は141,000円) |
| 検定料 | 17,000円 | 17,000円 |
出典:国立大学等の授業料その他の費用に関する省令 第2条第1項(e-Gov)、東京都立大学 学費・減免制度・奨学金制度等(2026年9月23日確認)。
2つ、読み落としやすい点があります。1つは、同じ省令の第10条に特別の事情があるときは、標準額に100分の120を乗じて得た額を超えない範囲内で定めることができるとあること。国立大学の授業料は一律ではなく、大学によって標準額より高いことがあります。もう1つは、公立大学の入学料に地域による差があることです。東京都立大学は入学料282,000円ですが、入学の日の1年前から引き続き東京都内に住所がある場合などは141,000円になります。
受験勉強の費用については、通信制課程を対象にした国の統計が見当たりませんでした。参考になるのは文部科学省の令和5年度子供の学習費調査ですが、この調査の高等学校は全日制が対象です。そこでは公立高校の学校外活動費が年245,431円、うち補助学習費(家庭内学習費・通信教育や家庭教師費・学習塾費など)が約20万1千円。私立高校は学校外活動費が年346,611円、うち補助学習費が約23万8千円でした(令和5年度子供の学習費調査結果のポイント)。
この数字は平均であって、必要額ではありません。独学で共通テストまで仕上げる人もいますし、映像授業だけの人もいます。大事なのは金額よりも「質問できる相手がいるか」です。通信制の学習はリポートが中心で、分からないところで止まったままになりやすい。ここを埋める手段が塾なのか、学校のサポートなのか、オンラインの個別指導なのかは、ご家庭の事情で選んでよい部分です。通信制高校とサポート校の費用の考え方は学費のご案内もあわせてご覧ください。
つまずきやすいのは、評定と履修と情報の3つです
ここまでの内容を、よくある誤解の形でもう一度整理します。
誤解1:通信制だと調査書で落とされる。一般選抜の合否は主に学力検査と共通テストで決まり、調査書はそれらと組み合わせて使う資料の一つです。文部科学省の実施要項は「調査書の各教科の学習成績の状況だけではなく、調査書の他の記載事項も有効に活用する」と大学に求めています。評定に下限が付くのは主に学校推薦型選抜です。
誤解2:不登校だった期間の欠席が響く。前の節で見たとおり、実施要項は大学に配慮を求めています。加えて令和9年度の調査書では、原則として授業日数そのものを記載しない扱いです(困難な場合は従前の方法も認められています)。
誤解3:総合型選抜なら勉強量が少なくて済む。実施要項は、総合型選抜でも「言語能力及び数理的思考力を含め大学教育を受けるために必要な知識・技能、思考力・判断力・表現力等も適切に評価するため、調査書等の出願書類だけではなく、第6の1から4に掲げる評価方法のうち少なくともいずれか一つを活用し、その旨を募集要項に記述する」よう求めています(原文では「活用し」の前に強い語が付いています)。第6の1から4とは、教科・科目に係る個別テスト、大学入学共通テストの利用、小論文・面接・実技検査等、資格・検定試験等です。学力を見ない入試ではありません。
誤解4:どの大学も要件は似たようなもの。1つの大学の中でも学部で分かれます。一般論では判断できません。志望校が2つ3つに絞れた時点で、募集要項を開くところから始めてください。
通信制から大学へ進む全体像や、進学率の数字は通信制高校 大学進学の記事にまとめています。学校の進学実績の読み方は通信制高校 大学進学実績が参考になります。
選択肢の1つとしてのニジ高(正直な注意点)
NIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制高校サポート校です。担任制で、カメラ・マイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められます。生活リズムに波があっても学べる設計で、中学内容の学び直しや授業のアーカイブ視聴に対応しています。途中入学(転入・編入)ができ、出願費用は無料です。不登校の生徒を650名以上サポートしてきた実績があります(グループ全体)。
大学受験との関係では、小論文・面接・自己PRの講座に力を入れて取り組んでいます。企業や地域と関わる社会共創プロジェクトもあり、志望理由書に書ける経験を高校生のうちに積むことができます。メタバースの校舎で担任や同級生と集まる時間もあります。
正直にお伝えしておくべき注意点が4つあります。
- ニジ高は高校そのものではありません。高卒資格は提携する通信制高校で取ります。
- 学院の中でのスクーリングはありません。提携する通信制高校のスクーリングへの参加が必要です(地元の会場で受けられる場合もあります)。宿泊型の日程にスタッフが付き添うことはせず、日程の調整と準備の支援を行います。
- 単位・評定・調査書は、在籍する通信制高校のものになります。学校推薦型選抜の推薦を出すのもその高校です。
- 費用は在籍する通信制高校の分とニジ高の分の両方がかかり、ニジ高の分に就学支援金は使えません。金額は学費のご案内をご覧ください。
なお、ニジ高は提携校以外の通信制高校に在籍しながらでも使えます。今の高校を変えずに、学習と受験準備の支援だけを足すという使い方もあります。総合型選抜の合格実績については、まだお伝えできる数字がありません。講座とプロジェクトの取り組みがあるところまでが、いま正直に書けることです。
国公立をめざすか迷ったときの進め方(3ステップ)
最後に、明日から動ける順番にします。決めるのは3年後ではなく、次の1週間で調べることだけです。
ステップ1:志望の候補を2つか3つ書き出し、募集要項を開く。大学名でなくても「国立の理系」「地元の公立大の文系」くらいで構いません。そのうえで、令和9年度の学生募集要項のPDFを開き、一般選抜で要る共通テストの教科・科目、個別試験の科目、総合型・学校推薦型があるならその出願要件(評定・指定科目・推薦人数)を書き写します。ここが一次情報です。
ステップ2:在籍校(または検討中の高校)の時間割と照らす。ステップ1で出てきた科目が、その学校で履修できるかを進路指導の担当者に確認します。数学Ⅲ、物理、化学、情報Ⅰ。開講されていない場合にどうするか(学校外の講座、独学、学校設定科目など)まで聞いておきます。あわせて「学校推薦型選抜の推薦は出してもらえるのか」も確かめます。
ステップ3:日程を1枚のカレンダーにする。総合型選抜の出願が2026年9月1日以降、共通テストの出願が9月15日から10月2日、学校推薦型選抜の出願が11月1日以降、一般選抜の出願が2027年1月25日から2月3日。ここにスクーリングの日程とリポートの提出期日を重ねます。重なる時期が見えれば、前倒しでできることが決まります。
この3つが終わってから、塾に行くかどうかを考えても遅くありません。順番を逆にすると、必要のない科目にお金と時間を使ってしまいます。


国公立をめざしながら、通える形を探している段階のご相談も受け付けています
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よくある質問
A. 出願できます。令和9年度の受験案内では、出願できる者の1番目が「高等学校(特別支援学校の高等部を含む。)又は中等教育学校を令和9年3月に卒業見込みの者」で、通信制課程を除く記載はありません。出願にあたって出願資格を証明する書類の提出も不要とされています。なお試験場は、通信制課程の卒業見込みの場合、学校の所在地ではなく登録した現住所の試験地区内で指定されます。
A. 受けられます。共通テストの出願資格には、高等学校卒業程度認定試験に合格した者、合格見込みの者、令和8年度第2回の試験に出願している者が挙げられています(令和9年3月31日までに18歳に達する場合)。大学側の出願資格も、学校教育法第90条と同法施行規則第150条・第154条に基づく入学資格を持つ者と定められています。高認と通信制のどちらを選ぶかは高卒認定 通信制高校 違いの記事を参考にしてください。
A. 一般選抜では、合否は主に学力検査と共通テストの成績で決まり、調査書はそれらと組み合わせて使われます。評定に下限が付くのは主に学校推薦型選抜で、しかも大学・学部によって扱いが違います。名古屋大学の令和9年度の募集要項では、文学部が学習成績概評A段階、農学部がB以上、法学部は数値の要件なしでした。お茶の水女子大学の総合型選抜は「A段階以上であることが望ましい」という書き方です。
A. 学校基本調査では、進学先の国公立と私立の内訳が公表されていないため、通信制から国公立大学に進んだ人数は確認できませんでした。分かるのは進学全体の数字です。令和6年度間に通信制課程を卒業した91,809人のうち、大学等進学者は26,301人(28.6%)、そのうち大学(学部)への進学は20,445人(22.3%)でした。令和7年3月の全日制・定時制等の卒業者955,335人では、大学(学部)への進学が58.3%です(文部科学省 令和7年度学校基本統計 確定値)。
A. 制度のうえでは、令和9年3月に卒業見込みであれば共通テストにも一般選抜にも出願できます。難しいのは日程の重なりのほうです。総合型選抜の出願が9月1日以降、共通テストの出願が9月15日から10月2日と、転入の手続きや単位の引き継ぎと同じ時期に集中します。時期ごとの注意点は通信制 転校 大学受験の記事にまとめました。
科目の数は変えられませんが、始める順番は選べます
6教科8科目という数字は、正直に言えば重いです。けれど、その重さは通信制だから重いのではなく、国立大学をめざす全員にとって同じ重さです。差がつくのは、配点の大きいところから積めたかどうかと、いつ情報を手に入れたか。それだけです。
学校に行けなかった時期があることは、受験の場面では調査書の欠席の欄に現れるかもしれません。けれど文部科学省は、本人に帰責されない理由による欠席で不利益を被ることがないよう大学に配慮を求めていますし、一般選抜の合否は当日の得点で決まります。過去ではなく、これから積む単位と点数のほうに時間を使ってください。
いま決めなくていいことは、いま決めなくて大丈夫です。まずは志望の候補を2つ3つ書き出して、募集要項を1つ開いてみるところから。そこに書いてある科目の名前が、次の1年の地図になります。

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