うつ病で学校に行けない高校生へ|休むことへの罪悪感をなくす方法

「学校に行けない」「でも休むのが怖い」——うつ病の診断を受けた高校生と、そのご家族から、いちばん多く届くのがこの声です。体が動かないのに、休むことに罪悪感がある。その苦しさは、本人の弱さから来ているのではありません。

診断が出て学校を離れる場合の手続きは、高校 休学の制度を条文と学則で確認した記事にまとめています。

長期休み明けに何が起きているのかは、9月1日問題として統計と国の通知でまとめています。

この記事では、高校を休んだときに実際に何が起きるのか(単位・出席・進級の仕組み)を制度から確認し、そのうえで「休むことへの罪悪感」をどう扱えばいいかを整理します。進路が閉じないことを、先に知っておいてください。

※この記事は医療情報ではありません。診断・治療については必ず主治医にご相談ください。公的な相談窓口は記事の後半にまとめています。

保護者の方が最初にすることの順番は、高校生 うつ病 親もあわせてご覧ください。

まだ学校に行けているけれど辛い、という段階なら、休む前に頼める配慮を整理したうつ病 学校もあわせてご覧ください。

回復にどのくらいかかるのか、治療の考え方は、公的資料をもとに別の記事でまとめています。高校生 鬱もあわせてご覧ください。

目次

結論:うつ病で学校に行けないときの早見

  • 休んでも、高校卒業の道はなくなりません。単位は「出席日数」ではなく「履修と修得の認定」で決まり、認定の仕方は学校ごとの規程に幅があります。
  • まず主治医に「学校をどうするか」を相談してください。診断書があると、学校側が配慮・特例を検討する根拠になります。
  • 「3分の1」は法律の数字ではありません。多くの高校が内規で使っている目安で、基準も運用も学校によって違います。自分の高校の規程を確認するのが先です。
  • 休むことへの罪悪感は、回復を遅らせます。うつ状態のときの「休めない」という感覚自体が、症状の一部であることがあります。
  • 進路の選択肢は4つ(今の高校を続ける/転学・編入する/通信制高校に移る/高卒認定を受ける)。どれも途中から選び直せます。
  • 決めるのは回復してからで構いません。いま必要なのは、選択肢が残っていると知っておくことだけです。
朝の光が差し込むリビング。テーブルに温かい飲み物とたたんだブランケットが置かれている

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「休めない」と感じているとき、あなたの中で起きていること

うつ状態のときに多くの人が口にするのが、「休んでいる自分が許せない」という言葉です。熱を出して寝込んでいるときに罪悪感を持つ人はほとんどいないのに、心の不調で休むときだけ、自分を責めてしまう。

これは性格の問題ではありません。うつ病では、自分を過度に低く評価したり、必要以上に責任を感じたりする考え方の変化が起きることが知られています。厚生労働省の情報サイト「こころの耳」でも、うつ病の症状として、気分の落ち込みだけでなく、自責感や意欲の低下が挙げられています。

つまり、「休むのが怖い」という感覚そのものが、いま治療が必要な状態から出ている可能性があります。その感覚を根拠に「だからもう少し頑張ろう」と判断すると、判断の土台そのものが揺れていることになります。

もうひとつ、罪悪感を強くしている要因があります。うつ病は外から見えないことです。骨折していれば誰の目にも分かりますが、心の不調は見えません。だから本人も「本当に休むほどなのか」と自分を疑い続けることになります。周囲の「気の持ちよう」「甘え」といった言葉は、その疑いを増幅させます。

ここで思い出してほしいのは、受診して診断がついているなら、それは医師が「治療が必要な状態だ」と判断したということだという事実です。休む理由は、本人の気持ちの強さではなく、医学的な判断のほうにあります。自分の感覚で休む資格を測らなくて構いません。

ここで大事なのは、気持ちを変えようとしないことです。罪悪感は「持たないようにしよう」と思って消えるものではありません。かわりに、事実を確認してください。休んだとき実際に何が起きるのかを知ると、罪悪感の中身のうち「知らないことへの不安」の部分だけは減らせます。次の章から、その事実を見ていきます。

高校を休むと何が起きるのか|単位と進級の仕組み

まず制度から確認します。高校の単位は、「履修(授業を受けたこと)」と「修得(内容が身についたと認められること)」の2つで判断されます。学校教育法施行規則第96条は、校長が生徒の平素の成績を評価して単位の修得を認定する、という趣旨を定めています。

ここで重要なのは、法令が「年間◯日欠席したら留年」と決めているわけではないという点です。何日までなら履修と認めるかは、各高校が内規(教務規程)で定めています。よく聞く「3分の1」は、その内規で採用されていることが多い目安に過ぎません。

よくある誤解 実際
法律で欠席日数の上限が決まっている 法令に日数の定めはない。各校の教務規程による
3分の1を超えたら必ず留年 科目ごとの授業時数で数える学校が多い。全科目が一律に不可になるとは限らない
診断書を出しても扱いは同じ 診断書をもとに補習・課題・別室受験などで救済する規程を持つ学校がある
一度休むと取り返せない 年度途中の転入・編入で単位を引き継げる場合がある

※2026年9月時点の一般的な運用です。必ず在籍校の教務規程(生徒手帳や学校のサイトに掲載されていることがあります)で確認してください。

欠席日数の数え方そのものについては高校は欠席何日まで大丈夫?出席日数と単位・進級の仕組みでさらに詳しく整理しています。

診断書は「休むための書類」ではなく「配慮を相談するための書類」

主治医に相談すると、状況によって診断書を書いてもらえることがあります。この診断書の役割を誤解している人が多いので、整理しておきます。

診断書があれば欠席が自動的に取り消される、というものではありません。高校では、病気による欠席を「出席停止」として扱う制度は、学校保健安全法で定められた感染症などが中心です。うつ病はそこには当てはまりません。

では何のために出すのか。学校が配慮を検討する根拠になるからです。具体的には、次のような相談ができるようになります。

  • 別室登校・保健室登校を出席として扱えないか
  • 定期考査を別日・別室で受けられないか
  • 課題やレポートで授業の一部を補えないか
  • 体育など、体調によって参加が難しい科目の代替措置がないか
  • 進級が難しい場合、原級留置と転学のどちらが本人にとって負担が少ないか

相談先は担任だけでなく、養護教諭(保健室の先生)とスクールカウンセラーを含めるのが現実的です。担任が制度に詳しいとは限らないためです。

母親と高校生が並んでダイニングテーブルに座り、書類を一緒に見ている

学校への連絡は、保護者が代わって構いません

実務でいちばん詰まるのが、ここです。本人が電話をかけられない。毎朝の欠席連絡がつらい。担任から「本人と話したい」と言われる。この段階で消耗して、受診が後回しになる家庭を何度も見てきました。

欠席連絡は保護者が代わって構いませんし、毎日電話でなければいけない決まりもありません。多くの学校で、次のような形に切り替える相談ができます。

  • 毎朝の電話をやめ、一定期間まとめて欠席の連絡を入れる(「主治医の指示で当面お休みします」と伝える)
  • 連絡手段を電話から連絡アプリ・メール・連絡帳に変える
  • 窓口を担任1人ではなく、養護教諭やスクールカウンセラーを含めた形にする
  • 本人への直接連絡(電話・家庭訪問・友人を介した連絡)を、当面控えてもらうよう依頼する

最後の項目は、遠慮せずに伝えてよい部分です。善意の声かけであっても、うつ状態のときには「行けない自分」を突きつけられる刺激になることがあります。「回復したら本人から連絡します」と伝えておけば、学校側も対応しやすくなります。

あわせて、いつ誰に何を伝えたかを1枚に記録しておくことをおすすめします。担任が代わったとき、進級の判断が必要になったとき、転入を検討するときに、この記録がそのまま説明材料になります。

休んでいる間、何をすればいいのか(何もしない期間が要ります)

ここは正直に書きます。休み始めてすぐの時期に、勉強や進路の検討を進めようとしないでください。回復の初期に必要なのは、活動を減らすことです。

保護者の方に向けても書いておきます。休んでいる本人が一日中眠っていたり、スマホばかり見ていたりすると、心配になると思います。ただ、この時期の「何もしていないように見える状態」は、多くの場合、回復に必要な過程です。ここで登校刺激や勉強の催促を強めると、かえって回復が遅れることがあります。

目安として、次の順番で考えると整理しやすくなります。

時期 本人 家族ができること
休み始め 治療に専念する。予定を入れない 受診に付き添う。学校への連絡を代わる
少し動ける 生活リズムが戻り始める。短時間の外出 学校の教務規程を確認しておく
先を考えられる 進路の選択肢を一緒に見る 転入・編入の時期と費用を調べておく

この段階を飛ばさないこと自体が、結果的にいちばん早い道になります。

自宅の机でノートパソコンを開きオンライン授業を受ける高校生。背景に家族の気配

進路の選択肢は4つ|どれも途中から選び直せます

回復が進んで、先を考えられるようになったときのために、選択肢を並べておきます。いま決める必要はありません。

選択肢 向いている状況 注意点
今の高校を続ける 配慮を受けながら通えそう。友人関係が支えになっている 欠課が規程を超えると原級留置の可能性がある
全日制の他校へ転学 環境が原因で、変われば通えそう 受け入れ枠が少なく、時期が限られる
通信制高校へ転入・編入 毎日の登校が体調的に難しい 自分で学習を進める設計。サポート体制は学校差が大きい
高卒認定(高認) 高校に戻らず大学受験などに進みたい 高卒資格ではなく「大学入学資格」。合格後の進路設計が要る

4つのうち、いちばん誤解が多いのが高卒認定試験(高認)です。高認に合格すると大学・短大・専門学校の受験資格が得られますが、これは「高校卒業」そのものではありません。最終学歴は高校中退のままになります。就職で高卒以上を条件にする求人に応募できるかは、企業の扱いによって分かれます。大学進学を明確に決めている場合には有力な選択肢ですが、進路がまだ定まっていない段階では、高校卒業資格が残る道と比べてから決めるほうが安全です。

通信制高校は、もともと毎日通うことを前提にしていない学校です。単位はレポート・スクーリング(面接指導)・試験で認定されるため、日々の出席日数で進級が決まりません。体調に波がある時期には、この仕組み自体が助けになることがあります。

転入の時期や単位の引き継ぎについては不登校から高校進学はどうする?選択肢と通信制高校という答えもあわせて読んでみてください。

別室登校・保健室登校は「戻る前の段階」として使えます

教室に入れなくても、学校の中には入れる。そういう時期があります。多くの高校では、保健室や相談室で過ごす形を出席として扱う運用があり、これは回復の途中段階としてよく使われます。

ただし、扱いは学校によってかなり違います。確認しておきたいのは次の3点です。

  • 出席として認められるか(欠席・遅刻・早退のどれになるか)
  • 科目の授業時数に算入されるか(在校しただけでは科目の欠課が埋まらない学校もあります)
  • 滞在できる時間帯と、対応する先生(毎日同じ人が対応できるとは限りません)

本人にとっては、「教室に戻る」より「学校に行く」のほうが段差が小さくなります。一気に元通りを目指さず、段差を細かく刻むことが、結果的に定着しやすい進み方です。うまくいかない日があっても、それは失敗ではありません。

よくある誤解|「一度休んだら戻れない」は本当か

相談でよく出る誤解を3つ挙げます。

誤解1「休んだ分は取り返せない」——学年の途中でも、転入・編入でそれまでに修得した単位を引き継げる場合があります。ゼロからやり直しになるとは限りません。

誤解2「通信制に行くと進学できない」——通信制高校を卒業すれば高校卒業資格が得られ、大学受験の資格も同じです。ただし、受験対策を自分で組み立てる必要がある学校もあるので、その支援があるかは必ず確認してください。

誤解3「親が甘やかしたから」——うつ病は、育て方だけで説明できるものではありません。自分や家族を責める必要はありません。

NIJIN高等学院(ニジ高)という選択肢と、正直な注意点

選択肢の1つとして、私たちNIJIN高等学院(ニジ高)のことも書いておきます。オンライン中心の通信制サポート校で、全国どこからでも参加できます。担任がつき、カメラもマイクもオフのまま、チャットだけの参加から始めても構いません。これまでに650名以上の不登校の生徒を支えてきました。転入・編入は随時受け付けていて、出願費用は無料です。

正直な注意点も書きます。学院内でのスクーリングはありません。高卒資格のためには提携する通信制高校のスクーリングに参加する必要があり、私たちはその準備と当日を支える立場です。また、私たちは医療機関ではありません。治療は主治医のもとで続けてください。学費は学費のご案内で公開しています。

運営は株式会社NIJINです。小中学生の場合は、同じグループが運営するNIJINアカデミー(不登校の小中学生のためのオンラインオルタナティブスクール)という選択肢もあります。

いま使える相談先(公的機関)

ひとりで抱えないために、公的な窓口をまとめます。

窓口 連絡先 内容
24時間子供SOSダイヤル(文部科学省) 0120-0-78310 24時間・無料。子ども本人も保護者も可
こころの健康相談統一ダイヤル(厚生労働省) 0570-064-556 各都道府県の相談窓口につながる
精神保健福祉センター 各都道府県・政令市 こころの健康に関する専門相談
スクールカウンセラー 在籍校 学校との調整を一緒に考えられる

※2026年9月時点の情報です。最新は各機関の公式サイトでご確認ください。

迷ったときの進め方(3ステップ)

ステップ1:主治医に「学校をどうするか」を聞く。「休んだほうがいいか」ではなく「どのくらいの期間、どの程度休むのが望ましいか」と聞くと、次の相談がしやすくなります。

ステップ2:在籍校の教務規程を確認する。科目ごとの欠課の上限、救済措置の有無、原級留置の判断時期。この3つが分かれば、いつまでに何を決めればいいかが見えます。

ステップ3:選択肢を並べるだけ並べて、決めない。転入の時期と費用を調べておくところまでで止めます。決定は体調が戻ってからで間に合います。

オンラインで学ぶニジ高の生徒

休んでいる間に減るものと、減らないものを分けられます

個別相談会では、いま修得している単位と科目ごとの欠課時数をもとに、休んでも残せるものを一緒に確認します。体調に波があっても続けられる通い方から考えます。

個別相談会を見てみる →

よくある質問

Q. 診断書を出したら、欠席は出席扱いになりますか?

A. 自動的にはなりません。ただし、学校が別室登校や課題での代替を検討する根拠になります。まず養護教諭とスクールカウンセラーに相談してください。

Q. 何日休んだら留年ですか?

A. 法令に一律の定めはなく、学校ごとの教務規程によります。科目ごとの授業時数で数える学校が多いため、一律に「◯日」と言えません。在籍校の規程を確認してください。

Q. 転入はいつでもできますか?

A. 通信制高校では随時受け付けている学校が多い一方、全日制は時期が限られます。単位の引き継ぎ可否も学校によって違うため、個別に確認が必要です。

Q. 本人が話したがりません。親だけで相談できますか?

A. できます。本人の同席を条件にしている学校や窓口は多くありません。保護者だけの相談から始めて構いません。

Q. 留年するくらいなら通信制に移ったほうがいいですか?

A. 一概には言えません。原級留置でも、同じ学校に友人が残っていて、もう一度やり直せるならそれが良い場合もあります。判断材料は「本人が来年も通える見通しがあるか」です。学校の判断時期を確認したうえで、その前に相談してください。

Q. きょうだいへの影響が心配です。

A. 家庭内で「腫れ物に触るような空気」が続くほうが、きょうだいには負担になりがちです。年齢に応じて「いま治療中で休んでいる」と事実を伝えておくほうが、結果的に落ち着くことが多いです。

Q. 勉強の遅れが不安です。

A. 回復の初期は、遅れを取り戻すより休むことが優先されます。学習は体調が戻ってからでも間に合う設計の学校があります。

オンラインで学ぶニジ高の生徒

オンラインで、青春する。

休んだ時間は、卒業までの道のりを閉じません。

全国どこからでもカメラ・マイクはオフでOK転入・編入は随時受付

通信制高校サポート校 NIJIN高等学院(ニジ高)/出願費用は無料です。無理に勧めることはありません。

休むことは、進路を閉じることではありません

「学校に行けない」と「将来がなくなる」は、まったく別のことです。制度を確認すると、休んだあとに残っている道は、思っているよりずっと多いことが分かります。

いま、進路を決める必要はありません。決めるのは回復してからで間に合います。それでも「この先どうなるのか」だけが気がかりで休めない、ということであれば、選択肢を並べるところまでは、先にやってしまってもいいかもしれません。

私たちの個別相談会は、転校を決めていない段階のご相談でも、保護者の方だけでも構いません。「いま在籍している高校を続ける場合、どこまで休めるのか」を一緒に整理するだけの使い方もできます。

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