カレンダーを開いて、休んだ日に印をつけて、指で数える。「あと何日休めるんだろう」。この記事にたどり着いた人の多くが、たぶん今それをしています。
先に結論をお伝えします。高校の留年は「年間で何日休んだか」では決まりません。決めているのは日数ではなく、科目ごとの授業時数です。そして基準を超えても、その場で留年が確定するわけでもありません。
この記事は一般論で書いていません。公開されている高校の教務規程を実際に開いて条文を読み、文部科学省の通知にも当たったうえで、留年ラインが実際にどう計算されているか、残り時数を学校からどう聞き出すか、間に合わなかったときに何が残っているかを整理しました。急がなくて大丈夫です。
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結論:高校の欠席日数の早見
- 「何日休んだら留年」と定めた法律はありません。基準は各校の教務規程で決まります。
- 実際の規程では「欠課時数が標準の授業時数の3分の1以下であること」を履修の要件にしている例が確認できます。学校により4分の1・5分の1もあります。
- 判定は科目ごと。1単位=35単位時間で計算するため、週1コマの科目のほうが先に上限に達します。
- 3分の1を超えても即留年ではありません。規程には「生徒の状況を充分考慮したうえで校長が判断する」と書かれています。
- 2024年4月から、学校に行かずに単位を取る制度(学校教育法施行規則第88条の4)が始まっています。不登校・病気療養の生徒が対象で、合計36単位まで。出欠は校長判断で出席扱いにできます。
- 間に合わなくても道は4つ(留年・転入・編入・高卒認定)。通信制高校への転入なら学年を落とさずに卒業できる場合もあります。

「あと何日休めるか」を数えているあなたへ
欠席日数を数え始めた時点で、あなたはもう十分がんばっています。数えるという行為は、学校を諦めていない人にしか起きないからです。
ただ、数えることには落とし穴が2つあります。ひとつは、数えても正解が出ないこと。基準は学校ごとに違うので、ネットで見た「66日まで大丈夫」はあなたの学校では通用しません。もうひとつは、数えるほど休みにくくなること。残り日数が減っていく感覚は、体調に波がある人には相当な負担です。
だからこの記事では「あと何日か」を当てにいきません。正確な数字を学校から引き出す方法と、足りなかったときに実際に残っている道をお渡しします。
留年を決めているのは、年間の欠席日数ではありません
制度の骨格から確認します。高校を卒業するには74単位以上を修得し、3年以上在籍することが必要で、74単位という数字は学校教育法施行規則第96条に定められています。
単位は科目ごとに与えられます。そして「その科目の単位を認めるか」を判断するのは法律ではなく、各高校の校長と教務規程です。つまり——
- 国は「何日休んだら留年」を決めていない
- 学校が「授業時数の何割まで欠課を認めるか」を規程で決めている
- その基準を科目ごとに当てはめて、履修・修得を認めるかが決まる
- 必修科目を落とすと、全日制では原級留置(留年)になることが多い
ここが最も誤解される点です。「年間の欠席が30日だから安全」ではありません。週2コマしかない科目を、その曜日ばかり10回休んでいれば、その1科目だけが危険水域に入ります。
実際の教務規程を読むと、基準は「1単位あたり35時間の3分の1」でした
抽象論では自分に当てはめられないので、教務規程を公開している高校の条文を実際に読みました。広島県立祇園北高等学校の「教務規程(R7年度版)」には、こう書かれています。
- 履修の認定は「原則として、欠課時数が標準の授業時数の1/3以下であることを要件とする」
- 「標準の授業時数は、1単位時間を50分として、1単位あたり35単位時間とする」
- 進級は「各学年における履修及び修得単位数の計が31単位以上であること」
- 卒業は「履修及び修得単位数の総計が93単位以上であること」
ここで2つ、重要なことが分かります。
ひとつは計算の単位が「日」ではなく「1単位=35時間」であること。3単位の科目なら年間105時間、その3分の1は35時間です。
もうひとつは、卒業要件が法令の74単位ではなく93単位だったこと。学校は法令より高い基準を独自に置けます。だから「74単位でいいはず」と自分で判断してはいけません。必ず在籍校の数字を確認してください。
なお別の高校の教務規定では「欠課時数が授業時数の5分の1を超える科目は単位を認定しない」としている例もあります。基準は3分の1とは限りません。

先に落ちるのは、週3コマの数学ではなく週1コマの保健です
実際に計算してみます。基準を3分の1、1単位=35時間として、ある高校2年生のケースです。
| 科目 | 単位数/年間時数 | 欠課の上限 | 現在の欠課 |
|---|---|---|---|
| 数学II | 3単位/105時間 | 35時間まで | 18時間(余裕あり) |
| 保健 | 1単位/35時間 | 11時間まで | 12時間(超過) |
この生徒の「全体の欠席日数」は多くありません。それでも週1コマの保健だけが先に上限を超えます。分母が小さいからです。
危ないのはたいてい、保健・家庭科・芸術・情報など週1コマの科目です。しかも同じ曜日を休み続けていると、その曜日にしかない科目が集中して落ちます。「あと何日休めるか」ではなく、「どの曜日の、どの科目が、あと何時間か」で考えてください。時間割を開いて、自分が休みやすい曜日に何が入っているかを見るのが最初の一歩です。

「3分の1を超えたら即アウト」ではない。規程にそう書いてあります
ここが、数えている人にいちばん伝えたいところです。先ほどの教務規程には、続けてこう書かれています。
「欠課時数が標準の授業時数の1/3を超える場合、当該生徒の状況を充分考慮したうえで、校長が履修の認定について判断する。」
つまり基準超過は「自動的な不認定」ではなく、「校長が個別に判断する」入口だということです。同じ規程では、履修の認定も単位修得の認定も年度末に行うと定められています。年度の途中で確定するものではありません。
もちろん、これは1校の規程です。あなたの学校が同じとは限りません。だからこそ、「超えたらどうなるか」を学校に直接聞く価値があります。多くの人は、聞かないまま自分で終わりにしてしまいます。
2024年4月から、学校に行かずに単位を取る道が制度化されています
これはあまり知られていませんが、知っておくと選択肢が変わります。
文部科学省は令和6年2月13日付「高等学校等における多様な学習ニーズに対応した柔軟で質の高い学びの実現について(通知)」(5文科初第2030号・初等中等教育局長 矢野和彦)を出し、学校教育法施行規則第88条の4を令和6年4月1日から施行しました。内容はこうです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度 | 全日制・定時制の高校でも、通信の方法による教育で単位を修得できる |
| 対象 | 不登校生徒/病気療養中等の生徒/その他特別の事情を有する生徒 |
| 上限 | 合計36単位まで |
| 出欠の扱い | 校長の判断により出席扱いとすることができる |
あわせて第88条の3(メディアを利用して行う授業=遠隔授業)にも、不登校生徒・病気療養中等の生徒を対象とする「学習機会保障型」があり、こちらも36単位まで修得できます。
これは「制度としては存在する」段階の話で、すべての高校が運用しているわけではありません。それでも、担任や教務に「第88条の4の通信教育での単位認定は、うちの学校で使えますか」と聞くことはできます。聞かれた学校が検討を始めることもあります。
※出典=文部科学省「高等学校等における多様な学習ニーズに対応した柔軟で質の高い学びの実現について(通知)」(5文科初第2030号、令和6年2月13日)。2026年9月時点の情報です。運用は学校により異なります。

インフルエンザで休んだ日は、欠席になっていないかもしれません
「学校に行かなかった日」がすべて欠席になるわけではありません。先ほどの教務規程では、次のように分けられていました。
- 欠席…病気やその他の事故等。欠課時数に加算されます。
- 出席停止…学校保健安全法第19条による感染症(インフルエンザ等)、および停学処分の期間。「出席しなければならない日数」から差し引かれます。
- 特別欠席(忌引)…父母は7日以内、兄弟姉妹・祖父母・曾祖父母は3日以内、伯叔父母は1日以内。
- 特別欠席(その他)…進学・就職の受験、裁判員としての出頭、選挙権の行使、災害による交通遮断、児童相談所等での一時保護、転学試験など。校長の承認を得て欠席扱いにしないと定められています。
- 遅刻・早退…学校により「◯回で1回の欠課」と換算されます。
過去の欠席が正しく分類されているかを確認するだけで、残り時数が変わることがあります。特に、受験で休んだ日・一時保護中の期間・感染症で休んだ日が欠席として処理されていないか、一度確かめてみてください。
「ネットで見た66日」は、あなたの学校の数字ではありません
相談でよく見る勘違いを4つ挙げます。どれも「安心しすぎる」か「絶望しすぎる」かのどちらかにつながります。
- 「66日まで大丈夫」…年間登校日数200日×3分の1という概算です。実際の判定は科目ごとの時数で行われるので、日数に換算した時点で意味を失います。
- 「全体の欠席が基準内なら安全」…判定は科目ごと。週1コマの科目が先に落ちます。
- 「遅刻は欠席じゃないから大丈夫」…多くの学校で一定回数が欠課に換算されます。
- 「基準を超えたら即留年」…規程には「校長が判断する」と書かれています。追認考査や補習で回復できる場合もあります。
この4つを確認するだけで、状況の見え方はかなり変わります。多くの人は、実際よりも悪い前提で自分を追い込んでいます。
不安を数字に変える、担任への3つの質問
不安を減らす最短ルートは、正確な数字を持つことです。言いにくければ保護者から連絡してもらっても構いませんし、次の3つをメッセージで送るだけでも十分です。
- 「今の時点で、科目ごとの欠課時数はいくつですか」——全体の日数ではなく科目別で聞きます。
- 「履修認定の基準は何分の1ですか。遅刻・早退はどう換算されますか」——規程の数字を直接確認します。
- 「基準を超えそうな場合、補習や追認考査での救済はありますか。申込期限はいつですか」——期限まで必ず聞きます。
この3つで、「あと何日か」という漠然とした不安が具体的な数字と締切に変わります。想像より余裕があるか、今すぐ動くべきかが、そこではっきりします。

「あと何日か」を、ひとりで数えなくて大丈夫です
個別相談会では、いまの在籍期間と修得単位で「いつ卒業できるのか」を一緒に確認できます。今の学校を続ける前提の相談でも構いません。
間に合わなくても、道は4つ残っています
単位が足りなかったとしても、高校卒業も、その先の進学も閉じません。
| 選択肢 | 卒業時期 | 向いている人 |
|---|---|---|
| そのまま残る(留年) | 1年遅れる | 今の学校の環境を続けたい |
| 通信制高校へ転入 | 同学年のまま卒業できる場合がある | 学年を落としたくない・通学が負担 |
| 退学して編入 | 修得済み単位により変動 | 一度離れて立て直したい |
| 高卒認定試験(高認) | 高校卒業ではないが大学受験資格を得る | 大学進学だけが目的 |
見落とされやすいのが転入です。在籍したまま移るため、修得済みの単位と在籍期間を引き継げます。タイミングが合えば学年を落とさずに卒業できます。詳しくは通信制高校への転校は高2からできる? と 高校留年後の進路は3つをご覧ください。体調そのものを立て直したいなら高校を休学したらどうなるかも選択肢です。
高卒認定についても補足します。年2回(例年8月と11月)実施され、科目ごとの合格が積み上がるため一度に全科目に合格する必要はなく、高校で修得済みの単位に応じた免除もあります。ただし高認の合格は「高校卒業」ではありません。最終学歴は高校中退のままで、高卒を条件とする求人には応募できないことがあります。大学進学が明確な目的なら有力ですが、そうでなければ通信制高校で卒業資格を取るほうが選択肢は広く残ります。
「出席日数」という物差しがない学校もある
ここまで読んでお気づきかもしれませんが、欠席日数の悩みは「毎日決まった時間に、決まった場所へ行く」ことを前提にした制度から生まれています。
通信制高校には、その前提がありません。単位はレポート・スクーリング(面接指導)・試験で認定され、日々の出席日数で留年が決まる仕組みではないからです。
| 要素 | 内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| レポート | 科目ごとの添削課題を提出する | 自分のペースで進められる |
| スクーリング | 定められた回数の面接指導を受ける | 回数は科目により異なる |
| 単位認定試験 | 年に数回のテストを受ける | レポートの内容から出題されることが多い |
つまり「毎日行けたか」ではなく「必要な学習を終えたか」で判断されるということです。休んだ日を数える必要がなくなるのは、制度そのものが違うからです。
ただし「何もしなくても卒業できる」という意味ではありません。レポートを自分で進める力が必要で、そこでつまずく人も少なくありません。サポート校が存在するのは、まさにその部分を一緒にやるためです。
私たちNIJIN高等学院(ニジ高)は、通信制高校と連携して学びを支える通信制サポート校です。オンラインが中心で、全国どこからでも、海外からも参加できます。担任がつき、カメラもマイクもオフのまま、チャットだけの参加から始めても構いません。これまでに650名以上の不登校の生徒を支えてきました。
正直な注意点も書いておきます。学院内でのスクーリングはありません。高卒資格のためには提携する通信制高校のスクーリングに参加する必要があり、私たちはその準備と当日を支える立場です。毎日通う学校と同じ体験になるわけでもありません。それでも「行けない日がある自分」を責めずに済む場所として選ばれています。学費は学費のご案内で公開しています。
運営は株式会社NIJINです。小中学生の場合は、同じグループが運営するNIJINアカデミー(不登校の小中学生のためのオンラインオルタナティブスクール。1,000名以上が在籍)という選択肢もあります。中学卒業後にニジ高へ進む生徒もいます。
よくある質問
Q. 年間30日休んだら不登校になり、留年しますか?
いいえ。「年間30日以上の欠席」は文部科学省の調査で不登校を数えるための統計上の定義であり、留年の基準ではありません。30日休んでも、科目ごとの欠課が基準内で単位が足りていれば進級します。
Q. 欠席日数は調査書(内申)や大学進学に影響しますか?
大学入試では調査書に欠席日数が記載されますが、一般選抜で欠席日数だけを理由に不合格になることは基本的にありません。総合型選抜・学校推薦型選抜では出願条件に欠席日数を設けている大学もあるため、志望校の募集要項で確認してください。
Q. 保健室登校や別室登校は出席になりますか?
学校の判断によります。出席として扱う学校は多いものの、「その科目の授業を受けたこと」にはならない場合があり、単位認定は別に判断されることがあります。担任に「出席と単位のどちらの扱いになるか」を分けて確認してください。
Q. 学校に相談しづらいのですが、誰に聞けばいいですか?
担任に言いにくければ、養護教諭(保健室の先生)、スクールカウンセラー、教務主任、学年主任のいずれでも構いません。「単位が心配なので、科目ごとの欠課時数を教えてほしい」という事務的な聞き方にすると、気持ちの話をせずに済むぶん切り出しやすくなります。保護者から連絡してもらう形でも問題ありません。
Q. 転入すると、これまでの単位はどうなりますか?
すでに修得済みの単位は引き継げます。ただし「修得済み」とは単位認定が完了した科目のことで、年度途中の在籍期間の扱いは学校により異なります。転入先に「今の在籍期間と修得単位で、いつ卒業できますか」と具体的に聞くのが確実です。
Q. 子どもが休みがちです。親としてまず何をすべきですか?
数字の確認(担任への3つの質問)と、体調・気持ちの確認を分けてください。同時にやると、子どもには「責められている」と伝わりやすくなります。不登校の子を持つ親の気持ちも参考にしてください。

出席日数で進級が決まらない学び方も、選択肢のひとつです。
全国どこからでもカメラ・マイクはオフでOK転入・編入は随時受付
通信制高校サポート校 NIJIN高等学院(ニジ高)/出願費用は無料です。無理に勧めることはありません。
数えるのをやめても、進路は閉じない
欠席日数を数えるのは、自分の未来をなんとか守ろうとしている行為です。それ自体は間違っていません。ただ、数えるだけでは答えが出ないことも、ここまで読んでいただけたなら伝わったはずです。
やることは2つだけです。学校に正確な数字を聞くこと。そして、足りなかったときの道を先に知っておくこと。この2つが揃えば、明日の朝、布団から出られなかったとしても、それが人生を決める1日にはなりません。
今の高校を続けるにしても、別の場所に移るにしても、決めるのは今日でなくて大丈夫です。話を聞いてみたくなったときのために、入口だけ置いておきます。

