「通信制高校に転校させたい。でも、いったいいくらかかるのか」。転校を考えはじめた保護者の方がまず調べるのは、新しい学校の学費だと思います。けれど、年度の途中で転校するときのお金は、新しい学校の学費表だけでは分かりません。
いまの学校にすでに払ったお金は戻るのか。国の就学支援金は転校先でも同じように出るのか。申請が1か月遅れたらどうなるのか。この記事では、高等学校等就学支援金の法律・施行令・施行規則の条文、文部科学省のQ&A、東京都・神奈川県・福岡県の公表資料、日本政策金融公庫の案内を実際に開いて確認した内容で、転校にかかるお金を5つに分けて整理します。
当校(NIJIN高等学院)の学費の金額はこの記事には書いていません。学費のご案内のページでご確認ください。
転校ではなく一度退学してから入り直す場合は、就学支援金の期間を使い切ったあとも支援が続く制度があります。学び直し支援金もあわせてご覧ください。
公立・私立の在宅中心・通学コースを3年間の総額で並べた実例は、通信制高校 学費 相場もあわせてご覧ください。
結論:通信制高校への転校費用の早見
- 転校のお金は「新しい学費」だけではありません。①前の学校に払った分 ②転入時の一時金 ③就学支援金の残り ④申請の空白月 ⑤奨学給付金の申請先、の5つで考えます。
- すでに払った授業料は、戻らないのが原則の学校が多いです。東京都立の条例は「既納の授業料等は、還付しない」と定めています。
- 就学支援金は「受け取った月数」ではなく「在学した月数」で減ります。通算36月(通信制の月は4分の3で数えるので実質48月)が上限です。
- 就学支援金は申請した月から支給され、さかのぼりません。転校先の学校で、改めて申請し直す必要があります。
- 2026年度から就学支援金の所得制限は撤廃。私立通信制の上限は年337,200円(1単位13,668円・年30単位まで)です。
- 公立の通信制に転入する場合の一時金は、東京都立で入学考査料950円・入学料500円、神奈川県立で0円と、数百円〜0円の水準です(2026年時点)。
「学費表を見たのに、思っていた金額と違う」が起きる理由
通信制高校の学費を調べると、「年間◯万円」「実質無償」といった数字が並びます。けれどそれは、4月に1年生として入学した場合を前提にした数字であることがほとんどです。
年度の途中で、しかも別の高校から移る場合は、次のようなことが重なります。
- いまの学校に、前期分や年額の授業料をすでに払っている
- 転校先では、入学金や施設費がもう一度かかることがある
- 前の学校に在籍していた月数だけ、就学支援金を受けられる残りの期間が減っている
- 転校の手続きと就学支援金の申請のタイミングがずれると、支援が出ない月ができる
どれも「学校が意地悪をしている」わけではなく、制度の仕組みです。仕組みを知っていれば、避けられる出費と、避けられない出費を分けられます。ここから1つずつ見ていきます。
転校そのものの手続きや、転入と編入の違い、単位の引き継ぎについては通信制高校 転入の記事で条文を引いて整理しています。この記事はお金の話に絞ります。

お金①:前の学校に払った授業料は、戻らないことが多い
まず、いまの学校にすでに納めたお金です。
東京都立学校の授業料等徴収条例は、第4条で「既納の授業料等は、還付しない」と定めています(東京都教育委員会が特別の理由があると認めた場合を除く)(東京都例規集)。私立高校でも、学費のページに「一旦納入された校納金は返金できません」と明記している学校があります(私立高校の学費ページの例)。
返還の扱いは、最終的には各学校の規程で決まります。「返還される学校もある」と一般化できる公的な資料は、今回は確認できませんでした。だからこそ、次の2つを先に確かめておくことをおすすめします。
- 授業料をいつ、どの単位で払っているか(年額一括か、前期・後期か、月額か)
- 次の納付日はいつか(転校の時期を納付日の前にできれば、二重払いの期間を短くできる)
在籍校の事務室に「転学した場合、納めた授業料や施設費はどうなりますか」と聞くのが確実です。聞くこと自体で、転校が決まってしまうわけではありません。
お金②:転入時の一時金は、公立なら数百円、私立は学校で大きく違う
転校先に払う最初のお金です。公立の通信制は、転入時の費用がとても小さく設定されています。
| 学校(公表資料) | 転入・入学の一時金 | 受講料 |
|---|---|---|
| 東京都立の通信制(一橋・新宿山吹など) | 入学考査料950円/入学料500円 | 1単位336円 |
| 神奈川県立の通信制(横浜修悠館など) | 入学検定料0円/入学料0円 | 1単位350円(平日登校の履修は700円) |
| 福岡県立 博多青松高校(通信制) | 入学料470円 | 1単位300円 |
出典:東京都教育委員会 第二学期の転学・編入学募集(2026年6月30日発表)/神奈川県「県立高校の授業料・諸会費について」(2025年9月5日更新)/福岡県教育委員会「県立高校等の授業料について」(2026年5月8日更新)
ただし公立の通信制は、転入を受け付ける時期が学期の区切りなどに限られていることが多く、募集期間を過ぎると次の機会まで待つことになります。待っている間も、いまの学校の授業料はかかり続けます。
私立の通信制高校は、入学金・施設設備費・教育関連諸費などの一時金や固定費が学校ごとに大きく違います。たとえば、ある私立通信制高校グループは入学金50,000円(初年度のみ)・施設設備費20,000円・教育関連諸費60,000円と公開しており、別のグループは入学金10,000円・施設設備費60,000円などと公開しています(各校の公式サイト・2026年9月確認)。転入の場合も入学金がかかるのかは、必ず学校に確認してください。
全国の公立通信制の費用は通信制高校で一番安いのは公立で、私立の学費の内訳は通信制高校 学費で詳しく比べています。
※2026年9月時点で確認した情報です。最新は各公式ページでご確認ください。

お金③:就学支援金は「在学した月数」で減る。通信制は実質48月
ここが、転校のお金でいちばん誤解が多いところです。
高等学校等就学支援金の支給に関する法律の第3条は、高校などに在学した期間が通算して36月を超える人には支給しないと定めています。そして施行令第1条で、定時制・通信制に在学した月は「一月の四分の三に相当する月数」として数えます。そのため、最初から通信制に在学する場合は、実質48月まで受けられます(高等学校等就学支援金の支給に関する法律/同施行令・e-Gov)。
注意したいのは、数えるのが「支援金を受け取った月数」ではなく「在学していた月数」だということです。申請していなかった月も、在学していれば数に入ります。
| ケース | 残りの受給期間の考え方 |
|---|---|
| 最初から通信制に在学 | 実質48月(36月÷4分の3) |
| 全日制に20月在学してから通信制へ | 文部科学省Q&Aの例では、通信制で受けられるのは残り22月 |
| 全日制に在学中、申請していなかった月がある | 申請していなくても、在学していた月は通算に含まれる |
出典:文部科学省「高等学校等就学支援金制度に関するQ&A」(Q13・Q15)
通信制高校は3年を超えて在籍して卒業する生徒も少なくありません。前の学校に長く在籍していた場合、卒業までの途中で支援金の期間が終わる可能性があります。その後の授業料は全額自己負担になるので、転校先を決める前に「卒業まで何か月かかりそうか」と「支援金の残り月数」を並べてみてください。
単位制の学校は「1単位あたり」と「単位数」の上限でも計算される
2026年度(令和8年度)から、就学支援金の所得制限は撤廃されました。私立の通信制課程の上限は、定額制で月28,100円(年337,200円)。単位ごとに授業料を払う学校では、施行規則第7条により次の枠で計算されます(高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則・e-Gov)。
| 項目 | 上限 |
|---|---|
| 私立の通信制(単位制) | 1単位13,668円まで(学校の単価が安ければその額まで) |
| 公立の通信制 | 1単位336円まで |
| 年度内の単位数 | 30単位を超える分は計算に入らない |
| 通算の単位数 | 74単位を超える分は計算に入らない(前の支給対象校で履修した単位も含む) |
インターネット上には「1単位12,030円」という金額も残っていますが、これは改正前の額です。2026年度の上限は13,668円です。
なお、サポート校の費用は就学支援金の対象外です。通信制高校とサポート校を併用する場合は、支援金が消すのは高校側の授業料だけで、サポート校の費用はそのまま残ります(サポート校 学費の記事で、実在校の募集要項を引いて説明しています)。

お金④:申請は転校先で「やり直し」。支援が出ない月を作らない
就学支援金は、転校すると受給資格がいったん途切れます。東京都生活文化局の案内には、「転校先の学校で、改めて受給資格認定申請」を行うよう書かれています(東京都生活文化局 高等学校等就学支援金(私立高等学校等)・2026年6月1日更新)。
そして法律の第6条により、支給は申請が行われた月から始まります。文部科学省のQ&Aも「申し込みが行われた月からの開始」と説明しています。さかのぼって支給される仕組みは、やむを得ない理由がある場合の特例(15日以内)を除いてありません。
また、その月の1日に在学していない場合や、同じ月に前の学校の支援金を受けられる場合は、翌月からの支給になります。
| やること | タイミング | 忘れると |
|---|---|---|
| 転校先に就学支援金の申請方法を聞く | 転入の手続きと同時 | 書類の準備が遅れる |
| 転校先で受給資格認定を申請する | 転入した月のうち、できるだけ早く | 申請が翌月にずれた分、支援が出ない月ができる |
| 前の学校の支援金の扱いを確認する | 退学・転学の手続きのとき | 同じ月の二重受給・空白に気づけない |
「転校の手続きが落ち着いてから申請しよう」と後回しにすると、その間の月の授業料は家計から出ることになります。転入の書類と一緒に、支援金の申請書類ももらうのが安全です。
お金⑤:奨学給付金は「7月1日」を境に申請先が変わる
授業料以外の教育費(教材費など)を支援する高校生等奨学給付金は、7月1日時点で保護者が住んでいる都道府県に申請する制度です。2026年度からは、対象が年収約490万円未満の世帯まで広がりました。
| 世帯の区分(通信制) | 国公立 | 私立 |
|---|---|---|
| 非課税世帯 | 年50,500円 | 年52,100円 |
| 年収約270万〜380万円 | 年16,830円 | 年17,370円 |
| 年収約380万〜490万円 | 年12,630円 | 年13,030円 |
出典:文部科学省 リーフレット「高校生等奨学給付金」令和8年度版
転校した場合の申請先は、東京都の国公立の案内では次のように分かれています(東京都教育委員会 奨学のための給付金・2026年7月8日更新)。
- 7月1日以降に転学した場合:転学前の学校を通して申請する
- 6月30日以前に転学した場合:7月1日に在籍している転学先を通して申請する
私立高校間の転校で同じ扱いになるかは、今回の調査では確認できませんでした。各都道府県の窓口で確かめてください。9月以降の転校なら、その年度分は前の学校で手続きすると覚えておくと、申請漏れを防ぎやすくなります。

よくある誤解:「無償化だから転校してもお金はかからない」
誤解1「私立も実質無償になったから、0円で転校できる」
就学支援金が充てられるのは授業料だけです。入学金・施設設備費・教材費・通学コースの費用・サポート校の費用は残ります。また、私立通信制の上限は全日制より年12万円低い337,200円です。
誤解2「前の学校でもらっていなければ、支援金の期間は減らない」
数えるのは在学月数です。申請していなかった月も通算に入ります。
誤解3「申請は落ち着いてからでも、さかのぼって出る」
支給は申請した月からで、原則さかのぼりません。転入と同じ月に申請します。
誤解4「教育ローンはどの学校にも使える」
日本政策金融公庫の「国の教育ローン」は高校も対象で、子ども1人につき350万円まで(自宅外通学などは450万円)借りられます(固定金利 年4.05%・2026年7月時点、子ども1人の世帯は世帯年収790万円以内など)。ただし公庫は「学校教育法によらない学校については、対象とならない場合」があると案内しています。サポート校の費用に使えるかは、公庫に直接確認してください(日本政策金融公庫 国の教育ローン)。
転校のタイミング別に見る、お金のチェックポイント
| 転校の時期 | お金で気をつけること |
|---|---|
| 4〜6月 | 奨学給付金は転学先で申請(7月1日在籍校)。前の学校の前期授業料が戻るかを確認 |
| 7〜9月 | 奨学給付金は転学前の学校で申請。公立通信制は秋の転入募集の時期を確認 |
| 10〜12月 | 後期の納付日の前に動けるか。支援金の申請を転入月に済ませる |
| 1〜3月 | 4月からの新年度で移るか、年度内に移るかで、単位と支給月数の見通しを比べる |
いつまでに動けば卒業が遅れにくいかは、全日制から通信制高校への転校はいつまで間に合うかの記事で学年別に整理しています。
選択肢の1つとしてのサポート校(費用の正直な注意点)
NIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制高校サポート校です。提携する通信制高校と連携して高校卒業資格を目指します。途中からの転入・編入も受け付けていて、出願費用は無料です。
運営は株式会社NIJINです。小中学生の場合は、同じグループが運営するNIJINアカデミー(不登校の小中学生のためのオンラインオルタナティブスクール。1,000名以上が在籍)という選択肢もあります。中学卒業後にニジ高へ進む生徒もいます。
お金の面で、先にお伝えしておくべきことがあります。
- サポート校の費用は、国の就学支援金の対象外です。提携する通信制高校の授業料は支援金の対象になりますが、ニジ高の費用はそれとは別にかかります。
- 学院内でのスクーリングはありませんが、提携する通信制高校のスクーリングへの参加は必要です。会場までの交通費が別にかかる場合があります。
- 費用の詳細は学費のご案内で公開しています。個別相談会では、前の学校の在籍月数や修得単位をうかがったうえで、支援金の残り月数も含めて一緒に確認します。
オンラインなので、全国どこからでも通えます。カメラ・マイクをオフにしたチャットだけの参加から始められ、これまでに650名以上の不登校の生徒をサポートしてきました(グループ全体)。
迷ったときの進め方(3ステップ)
- いまの学校に「納付の予定」と「返還の扱い」を聞く。次の納付日がいつかが分かると、動く時期の目安になります。
- 在学月数と修得単位を書き出す。入学した月から数えて何か月在学しているか、何単位修得しているか。これで就学支援金の残り月数と、転校先で必要な単位数の見通しが立ちます。
- 候補の学校に、同じ質問を3つする。「転入でも入学金はかかりますか」「就学支援金の申請はいつ、どうやりますか」「卒業まで何か月かかりそうですか」。答えを表に並べれば、学費表だけでは見えなかった差が分かります。


在学月数と単位から、転校のお金の見通しを一緒に立てます
個別相談会では、いまの学校の在学月数と修得単位をうかがい、就学支援金の残り月数や卒業までの見通しを一緒に確認します。ニジ高はサポート校なので就学支援金の対象外であることも含めて、正直にご説明します。
よくある質問
Q. 高校を転校したら、就学支援金はもらえなくなりますか?
A. もらえなくなるわけではありません。ただし転校先で改めて受給資格認定の申請が必要で、支給は申請した月から始まります。また、在学した期間は通算で数えられるため、前の学校に在籍していた月数だけ残りの期間は減ります。
Q. 全日制から通信制に移ると、就学支援金の期間はどう計算されますか?
A. 在学期間が通算36月を超えると支給されません。通信制に在学した月は4分の3月として数えるため、通信制だけなら実質48月です。文部科学省のQ&Aでは、全日制に20月在学した後に通信制へ移った場合、残り22月という例が示されています。
Q. 途中で転校したら、前の学校に払った授業料は返ってきますか?
A. 学校の規程によります。東京都立学校の条例は「既納の授業料等は、還付しない」と定めており、私立でも返金しないと明記している学校があります。在籍校の事務室で、転学した場合の扱いを確認してください。
Q. 通信制高校に転入するとき、入学金はかかりますか?
A. 学校によります。東京都立の通信制は入学料500円、神奈川県立は0円です(2026年時点の公表資料)。私立は学校ごとに異なるため、転入の場合の扱いを必ず確認してください。
Q. サポート校の費用に就学支援金や教育ローンは使えますか?
A. 就学支援金はサポート校の費用には使えません。日本政策金融公庫の国の教育ローンは、学校教育法によらない学校は対象にならない場合があるため、公庫に直接ご確認ください。
お金の見通しが立てば、転校は「怖い決断」ではなくなります
転校を迷っているとき、保護者の方の頭の中では「子どもの気持ち」と「家計」が同時にぐるぐる回っていると思います。どちらも大切で、どちらかを後回しにする必要はありません。
お金の不安の多くは、「いくらかかるか分からない」ことから来ています。前の学校に払った分、転入の一時金、支援金の残り月数。この3つを書き出すだけで、見通しはかなり具体的になります。
数字がそろってから決めれば大丈夫です。在学月数や単位の数え方が分からないときは、書き出すところから一緒に確認します。
お金の見通しが立てば、転校は怖い決断ではなくなります。
全国どこからでもカメラ・マイクはオフでOK転入・編入は随時受付
通信制高校サポート校 NIJIN高等学院(ニジ高)/出願費用は無料です。無理に勧めることはありません。

