「学校には行けていないけれど、家でオンライン授業なら受けられる」。そんな中学生は少なくありません。そのとき保護者の方が気になるのは、「家でオンラインで勉強した分は、学校の出席や成績に入るのか」「このまま高校受験に間に合うのか」ということではないでしょうか。
この記事は、不登校の中学生と、その保護者の方に向けて書いています。結論から言うと、自宅でのオンライン学習は、条件を満たせば「出席扱い」になり、2024年からは成績に反映できることも法令ではっきり決まりました。ただし、自動でそうなるわけではなく、在籍する中学校との相談が必要です。
オンライン授業を受験の準備につなげるための制度の中身、学校への相談のしかた、受験までの進め方を、文部科学省の通知と調査をもとに整理しました。出席日数が入試でどう使われるかは、中学の出席日数は高校入試に響く?で都道府県ごとに詳しく書いています。
結論:不登校の中学生とオンライン授業・受験の早見
- 自宅でのオンライン学習は、要件を満たせば指導要録上「出席扱い」にできます。判断するのは在籍する中学校の校長です。
- 出席扱いになった中学生は、令和6年度に8,433人。前年度の6,682人から約1.3倍に増えています(小学生を合わせると13,261人)。
- 2024年8月から、欠席中の学習の成果を成績に反映できることが法令で明確になりました。出席扱いとは別の仕組みで、こちらも学校との連携が条件です。
- どちらも「保護者と学校の連携」と「学校が学習の様子を把握すること」が前提。まずは担任や学校に、何をどう伝えるかを決めておきます。
- 高校入試で出欠を重く見るかどうかは、都道府県で違います。調査書に出欠を求めない都道府県もあり、欠席が多い人向けの選抜もあります。
- 受験に向けては「毎日少しずつ」「5教科の基礎」「面接・作文の準備」の3つ。オンラインでも十分に進められます。
自宅でのオンライン学習は、条件を満たせば「出席扱い」になります
文部科学省は、2019年(令和元年)の通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」で、不登校の児童生徒が自宅でICT(パソコンやタブレット、オンライン教材など)を使って学習した場合に、一定の要件を満たせば、校長の判断で指導要録上「出席扱い」にできると示しています。
主な要件は、次のとおりです。
| 要件 | どういうことか |
|---|---|
| 保護者と学校の連携 | 保護者と学校の間に、十分な連携・協力関係があること |
| ICTや郵送などを使った学習 | オンライン教材やオンライン授業、郵送などで提供される学習活動であること |
| 訪問などによる対面指導 | 学校の先生などによる訪問や面談が、適切に行われていること |
| 計画的な学習 | 本人の理解の程度をふまえた、計画的な学習プログラムであること |
| 校長による把握 | 校長が、対面指導や学習活動の状況を十分に把握していること |
※出典=文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)の考え方を要約。詳しい要件は通知の本文と、在籍する学校・教育委員会の案内で確認してください。
大事なのは、オンライン授業を受けているだけでは自動的に出席扱いにはならないということです。在籍する中学校の校長が、上の要件に照らして判断します。学校や自治体によって、学習記録の出し方や面談の頻度などの運用も違います。
実際に出席扱いになっている中学生は、年々増えています。
| 自宅でのICT等の学習を出席扱いとした児童生徒数 | 令和5年度 | 令和6年度 |
|---|---|---|
| 中学校 | 6,682人 | 8,433人 |
| 小学校 | 3,785人 | 4,828人 |
| 合計 | 10,467人 | 13,261人 |
※出典=文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」(2025年10月29日公表)。同じ調査で、不登校の中学生は216,266人でした。

不登校の中学生全体から見ると、出席扱いになっているのはまだ一部です。けれども、「オンラインで学んでいる」ことを学校に伝え、一緒に記録を残していけば、出席扱いにつながる可能性があるということは、ぜひ知っておいてください。
なお、出席扱いの対象は自宅での学習だけではありません。教育支援センターや、フリースクールなどの民間施設で相談・指導を受けた場合も、要件を満たせば出席扱いにできるとされています。家ではオンライン、週に1回は外の施設へ、というように組み合わせている中学生もいます。
2024年から、家で学んだ成果を「成績」に反映できるようになりました
出席扱いとは別に、もうひとつ大きな変化があります。文部科学省は2024年(令和6年)8月29日に学校教育法施行規則などを改正し、不登校の児童生徒が欠席中に行った学習の成果を、一定の要件のもとで成績評価に反映できることを法令ではっきりさせました。
| 成績に反映するための要件 | 内容 |
|---|---|
| 学習の計画・内容が適切か | 在籍する学校の教育課程に照らして、学習の計画・内容が適切と認められること |
| 学校と保護者の連携 | 学校と保護者の間に十分な連携協力体制があり、学校が保護者を通じて学習の状況を定期的・継続的に把握していること |
| 学校による本人の状況の把握 | 訪問による対面指導や、ICTを使ったオンラインでの相談・指導などで、学校が本人の学習の状況を定期的・継続的に把握していること |
※出典=文部科学省「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)」(令和6年8月29日)。対象は小学校・中学校・義務教育学校などの不登校児童生徒です。
通知では、出席扱いの取り扱いは引き続き令和元年の通知に基づくとされています。つまり、「出席扱い」と「成績への反映」は別の仕組みです。どちらか一方だけが認められることもあります。
また、すべての教科で評定をつけなくても、指導要録の所見の欄に学習の状況を文章で書くことができるとされています。家で学んだことを、どういう形で記録に残してもらえるかも、学校と相談しておきたいポイントです。

学校への相談は、この順番で進めるとスムーズです
出席扱いや成績への反映は、学校との相談から始まります。いきなり「出席扱いにしてください」と頼むより、次の順番で進めると話がまとまりやすくなります。
| ステップ | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1. 担任に伝える | 家でオンラインで学んでいること、どんな教材・授業かを伝える | まずは「知ってもらう」ことが目的。資料があれば渡す |
| 2. 学習の記録を残す | 学習した日・時間・内容を、本人か保護者が記録する | オンライン教材の学習履歴の画面なども使える |
| 3. 面談の機会をつくる | 先生との面談や、オンラインでの面談の方法を相談する | 要件にある「学校による把握」に必要 |
| 4. 出席扱い・成績の相談 | 校長に判断してもらえるよう、担任を通じて相談する | 学校や教育委員会の決まりを確認する |
| 5. 定期的に共有する | 学期ごとなど、決まったタイミングで記録を渡す | 続けることで、評価の材料が増える |
学校によっては、スクールカウンセラーや教育支援センターの先生が相談にのってくれることもあります。保護者だけで抱え込まず、「一緒に考えてほしい」という姿勢で相談すると、学校も動きやすくなります。本人が先生と話すのが難しい時期は、保護者が窓口になっても構いません。

高校受験では、出席日数はどう見られるのか
「欠席が多いと高校に行けない」と心配する方は多いと思います。けれども、中学の出欠が入試でどう使われるかは、都道府県によって大きく違います。
| 確認したいこと | わかっていること |
|---|---|
| 調査書に出欠を書くか | 文部科学省の調査(令和7年度入試)では、調査書に出欠の記録を求めていないのは全校で10都道府県。東京都・神奈川県・埼玉県(令和9年度)の調査書には出欠の欄がない |
| 欠席が多い人向けの仕組み | 自己申告書(東京都など)や、調査書を使わない特別な選抜(埼玉県の不登校特別選抜など)がある |
| 国の考え方 | 文部科学省は2026年6月の通知で、欠席日数のみをもって出願を制限するなどの不利益な扱いをしないよう求めている |
| 通信制高校の入試 | 書類と面接・作文が中心の学校が多い |
※出典=文部科学省「高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査」ほか。当サイトの記事「中学の出席日数は高校入試に響く?」で確認した内容です(2026年9月確認)。
住んでいる都道府県の入試で、出欠や調査書がどう扱われるかは、教育委員会の実施要綱で確かめてください。詳しい仕組みと、都道府県ごとの違いは中学の出席日数は高校入試に響く?で整理しています。
ここで覚えておきたいのは、出席扱いや成績への反映は「入試のためだけ」のものではないということです。家での学びが学校に認められることは、本人の「ちゃんと進んでいる」という実感にもつながります。
オンライン授業を、受験の準備につなげる3つのコツ
1. 「毎日少しずつ」を先に決める
不登校の時期は、生活リズムが崩れやすくなります。長い時間を目標にするより、「毎日同じ時間に15分だけ」のように、続けられる量を先に決めるのがおすすめです。オンライン授業のある日を、生活の軸にするのもよい方法です。
2. まずは5教科の「基礎」に絞る
受験を意識すると、あれもこれもと焦ってしまいます。まずは国語・数学・英語を中心に、中1・中2の内容で抜けているところを見つけて埋めることから始めてください。オンライン教材は、学年をさかのぼって学び直せるのが強みです。
3. 面接・作文の準備も早めに
通信制高校や、欠席が多い人向けの選抜では、面接や作文が中心になることが多くあります。「どうして高校に行きたいのか」「高校で何をしたいのか」を、少しずつ言葉にしておくと、本番で落ち着いて話せます。オンラインで人と話す経験も、面接の練習になります。

中学の時期ごとに、やっておきたいこと
| 時期 | オンライン学習で意識したいこと | 学校・進路で進めたいこと |
|---|---|---|
| 中1〜中2 | 生活リズムと、学ぶ習慣づくりを優先 | 担任に家での学習を伝え、記録の残し方を相談する |
| 中3の春〜夏 | 5教科の基礎の抜けを埋める | 出席扱い・成績への反映の相談。高校の説明会の情報を集める |
| 中3の秋 | 志望校の入試の形に合わせた準備(面接・作文・学力検査) | 志望校を絞り、入試の要綱で出欠や調査書の扱いを確認 |
| 中3の冬 | 体調を整え、同じ時間に学ぶリズムを保つ | 出願の書類、自己申告書などの準備 |
どの時期から始めても、遅すぎることはありません。中3の途中からでも、オンラインで学んだことを学校に伝え、記録を残していくことはできます。焦って全部を一度にやろうとせず、今の時期にできることを1つずつ進めてください。
保護者が気をつけたいこと
オンライン授業は、不登校の中学生にとって大きな助けになります。ただ、保護者の関わり方によっては、それがプレッシャーになってしまうこともあります。
| 言いがちな言葉 | 言い換えの候補 |
|---|---|
| オンラインなら毎日できるでしょ | 今日はどのくらいできそう? |
| 出席扱いにしてもらわないと受験できないよ | 学校にも伝えて、一緒に考えてもらおうね |
| もっと勉強しないと間に合わないよ | 昨日より少し進んだね |
| このままずっと家にいるつもり? | 今の学び方で、できていることを大事にしよう |
通知でも、成績評価が不登校の期間を長引かせることにならないよう留意することが求められています。オンライン授業は「学校に戻らなくていい理由」でも「無理に戻るための手段」でもなく、本人が学びを続けるための道のひとつです。本人のペースを尊重しながら、学校とのつながりを細く長く保っていくことを大切にしてください。
もし、いま読んでいるのが本人なら
ここまで保護者向けに書いてきましたが、自分でこの記事を読んでいる人もいると思います。その人に向けて、短く書きます。
学校に行けていなくても、家で学んでいることには、ちゃんと意味があります。国のルールも、家での学びを認める方向に変わってきています。
- 今日できたことを、1行だけメモしておく。「数学を15分」でも十分です。それが学校に伝える記録になります。
- わからないところは、飛ばしてもいい。前の学年に戻って学び直すのも、立派な受験の準備です。
- 高校で何をしてみたいか、1つだけ考えてみる。それが面接で話すことの種になります。
中学のあとも、オンラインで学び続ける道
中学でオンライン授業が合っていた人は、高校でもオンラインを中心に学ぶ道があります。私たちNIJIN高等学院(ニジ高)は、通信制高校と連携して学びを支える通信制サポート校です。「オンラインで青春」を合言葉に、全国どこからでも、自宅から参加できます。
ニジ高は、不登校の小中学生のためのオンラインオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」の高等部です。中学生の時期はNIJINアカデミーで、高校生になったらニジ高で、というように、オンラインでの学びを中学から高校までつなげて続けることもできます。カメラやマイクをオフにして、チャットだけで参加するところから始められます。
正直な注意点も書いておきます。ニジ高そのものは高校ではありません。卒業資格は提携する通信制高校に在籍して取り、学院内でのスクーリングはないため、提携校のスクーリングへの参加が必要です。費用は提携校の分とニジ高の分がかかり、ニジ高の分には就学支援金は使えません。金額は学費のご案内で公開しています。また、中学校での出席扱いや成績への反映は、在籍する中学校の校長が判断するもので、どの学びの場でも必ず認められるわけではありません。


中学のあとの学び方を、一緒に考えませんか
個別相談会では、お子さんの今の学び方や体調をうかがいながら、高校受験の準備と、オンラインで学び続ける高校生活の形を一緒に整理します。保護者の方だけの参加もできます。
よくある質問
要件を満たせば、在籍する中学校の校長の判断で指導要録上「出席扱い」にできます。保護者と学校の連携、訪問などによる対面指導、計画的な学習などが主な要件です(文部科学省・令和元年通知)。オンライン授業を受けているだけで自動的に出席扱いになるわけではありません。
文部科学省の調査では、令和6年度に8,433人でした。前年度の6,682人から増えています。小学生を合わせると13,261人です。
2024年8月の法令改正で、不登校の児童生徒が欠席中に行った学習の成果を、一定の要件のもとで成績評価に反映できることが明確になりました。学習の計画が適切であること、学校と保護者の連携、学校が本人の学習の状況を定期的に把握していることが要件です。
都道府県によって違います。調査書に出欠の記録を求めていない都道府県もあり、欠席が多い人向けの自己申告書や特別な選抜もあります。住んでいる都道府県の入試の要綱で確かめてください。
まず担任に、家でどんなオンライン学習をしているかを伝え、学習の記録(日・時間・内容)を残すことから始めてください。そのうえで、先生との面談の方法や、出席扱い・成績への反映について相談すると進めやすくなります。
家での学びを、学校とつないで受験へ
不登校の中学生にとって、オンライン授業は「学びを止めない」ための大切な手段です。自宅でのオンライン学習は、要件を満たせば出席扱いにでき、2024年からは成績に反映できることも法令で明確になりました。
やることはシンプルです。家での学びを学校に伝えること。学習の記録を残すこと。そして、住んでいる都道府県の入試で出欠や調査書がどう扱われるかを確かめること。今日すべてを決めなくて大丈夫です。
中学のあとの学び方を考えたくなったときのために、入口だけ置いておきます。

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