三者面談のプリントに、「志望校」の欄がある。でも、書けない。やりたいことも、将来の夢も、思いつかない。「中3なのに進路が決まらないなんて、自分だけなのでは」と、スマホで検索している人もいるかもしれません。
この記事は、そんな中学3年生と、保護者の方に向けて書きました。結論からお伝えすると、夢がないこと、進路が決まらないことは、めずらしいことではありません。そして夢がなくても、高校は選べます。
ここでは、国の調査の数字、ニジ高の校長・星野達郎が学校の外で出会った経験、そして夢の代わりに使える「3つの軸」を、順番にお話しします。
中3で進路が決まらない・将来の夢がないときは

- 国の調査では、「将来の夢や目標を持っている」と答えた中3は67.5%(令和7年度)。差し引くと、約3割の中3は「ある」と言い切れていません。あなたは少数派ではありません。
- 高校選びは、夢から始めなくて大丈夫です。「通い方」「学び方」「その先の選択肢」の3つの条件から選べます。
- 出願までの流れは、10〜11月に説明会、11〜12月に三者面談、12〜1月に絞り込みが目安です。日程は地域や学校で違うので、募集要項で確かめてください。
- 夢は、高校に入ってから見つかることも多いと言われています。見つかったときに動き直せる環境かどうかも、選ぶ条件になります。
- 全日制だけが道ではありません。通信制高校やサポート校も選択肢です。合うかどうかは、説明会や体験で確かめましょう。
全国どこからでも。カメラ・マイクはオフのままで参加できる、通信制サポート校。育てるのは学歴ではなく、確実にキャリアを積み上げられる個性。
1. 将来の夢がない中3は、少数派ではありません
「周りは夢を持っているのに、自分だけ何もない」。そう感じるのは自然なことですが、数字で見ると少し違います。
文部科学省の令和7年度の全国学力・学習状況調査で、「将来の夢や目標を持っていますか」という質問に、中学3年生の67.5%が肯定的に答えました(全国値)。小学6年生の83.1%と比べると、中学生は低くなっています。肯定的な回答でなかった割合を差し引くと、中3の約3割にあたります。(この「約3割」は、肯定的回答の残りを引いた計算上の数字で、「夢がない」と答えた割合そのものではありません。)
「将来の夢や目標を持っている」と
答えた中3は約3人に2人
出典:文部科学省「令和7年度全国学力・学習状況調査」(千葉県の公表資料掲載の全国値、2026年10月確認)
つまり、クラスに30人いれば、夢や目標を「ある」と言い切れない人が、数人いてもおかしくない、ということです。成長するにつれて、「何でもできる」という感覚が現実的になり、夢を言葉にしにくくなる時期でもあります。
2. 校長・星野達郎から、進路が決まらないあなたへ

校長プロフィール|星野達郎(タツロー校長)
教育に取り組む株式会社NIJINを創業し、NIJINアカデミー・ニジ高の校長を務めています。受賞歴に内閣総理大臣奨励賞など。世界の起業家10名に選ばれた経歴もあります。
星野校長は、ニジ高の先生紹介のページで、自分自身のことをこう書いています。「実は、学校という場所がずっと苦手でした。荒れた中学時代、大学では3週間の不登校。九九を覚えたのは小学6年生のとき」。
そんな自分を支えたのは、学校の外にいた「変な大人たち」だったそうです。学校の評価とは関係なく、自分の「好き」や「意志」で道を切り拓く人たちとの出会いが、「自分は、自分のままでいい」と教えてくれた、と書いています。
また同じページで、「問題児と呼ばれた子も、部屋に閉じこもっていた子も、劣っているわけではない。今の学校という『土壌』が、その子という『花』に合っていなかっただけ」とも語っています。
進路が決まらないのは、あなたに「やりたいこと」が足りないからではありません。今はまだ、自分に合う土壌に出会っていないだけかもしれません。だから、夢を無理にひねり出すのではなく、「自分はどんな土壌なら育ちやすいか」から考えてみてください。
3. 夢がなくても高校は選べる|「3つの軸」で考える
「何になりたいか」は、すぐに答えが出ません。そこで、夢の代わりに「どんな条件の場所なら、自分らしくいられるか」から選ぶ方法をおすすめします。軸は3つです。
① 通い方・環境
毎日、何時間かけて、どのくらいの人数のなかで過ごすのが楽か。通学の長さ、クラスの人数、通う日数(毎日・週に数日・自宅中心)は、実際に通い続けられるかを大きく左右します。「頑張れば通える」ではなく、「無理なく続く」を基準にしてください。
② 学び方・ペース
決まった時間割で、みんなと同じ速さで進むのが合うのか。それとも、自分のペースで進めるほうが合うのか。授業の形式、レポートやテストの形、困ったときのサポートの有無を見ていきます。
③ その先の選択肢
卒業したときに「高校卒業」の資格が得られるか。大学・専門学校・就職に進むとき、不利にならないか。そして、入ってから合わなかったときに、転学など別の道が選べるか。夢がまだないからこそ、「あとから変えられるか」は大事な条件です。
夢がなくても、
3つの軸で選べます
| 軸 | 自分への問い | 見るところの例 |
|---|---|---|
| ① 通い方・環境 | 毎日通える?人が多い場所は大丈夫? | 通学時間、クラスの人数、通う日数(毎日・週数日・在宅中心) |
| ② 学び方・ペース | 決まった時間割が合う?自分で進めたい? | 授業の形式、レポートやテストの形、サポートの有無 |
| ③ その先の選択肢 | 卒業後に何を残したい? | 卒業資格、大学・専門学校・就職への道、途中で変えられるか |
※ニジ高編集部の整理です。
この3つを紙に書き出し、「◎・○・△」で自分の希望を整理すると、志望校の候補が自然と絞れます。学校選びのより細かい考え方は、偏差値だけで高校を決めない|中学生と保護者が持っておきたい5つの判断軸も参考にしてください。
4. 進路が決まらない理由別|今日の動き方

「決まらない」と言っても、理由は人によって違います。当てはまるものを探してみてください。
A. 興味があるものが、そもそも思いつかない
ゼロから探そうとすると、苦しくなります。「やりたくないこと」「苦手なこと」から書き出す方法もあります。たとえば「朝が早いのはつらい」「大勢の前は苦手」など。避けたい条件がわかると、自然と選べる学校が絞られます。
B. やりたいことが複数あって、選べない
一つに決める必要はありません。「入学後に変えやすい高校か」「いろいろ試せる環境か」を条件にすると、選択肢を残したまま進めます。
C. 親と考えが合わず、話すのがしんどい
志望校の話から入ると、ぶつかりやすくなります。まず「これは嫌だ」という条件を、お互いに出し合ってみてください。第三者(先生、スクールカウンセラー、塾の先生など)に同席してもらう方法もあります。
D. 今の学校に行きづらく、進路を考える余裕がない
まず、休むこと自体を責めないでください。進路は、気持ちが落ち着いてからでも決められます。不登校気味の中3の進路については、【日本最大級オルタナティブスクールが解説】中3で不登校・勉強していない場合の進路・将来の考え方で整理しています。
5. 出願までのスケジュールと、今日からできる5つの行動
決めきれなくても、
今からなら間に合います
出願や入試の日程は、都道府県や学校で異なります。目安として見て、必ず各校の募集要項で確かめてください。
今日からできる小さな行動を、5つ挙げます。全部やる必要はありません。1つだけで十分です。
- 「やりたくないこと」を5つ書く:夢の代わりに、避けたい条件を言葉にします。
- 学校説明会・体験に1校だけ行く:行ってみると、「ここは違う」も立派な収穫になります。
- 卒業生の話を聞く:学校案内の動画や、卒業生の体験談を見るのもおすすめです。
- 保護者と「条件の3つ」を共有する:通い方・学び方・その先、の3つを一緒に紙に書きます。
- 先生に「迷っている」と正直に伝える:決まっていなくても、相談はできます。
説明会で確かめたい7つの質問|候補を2〜3校に絞るチェックリスト
学校説明会や体験は、「雰囲気が良かった」だけで終わると、比べにくくなります。次の7つを聞いてメモしておくと、あとで3つの軸にそって比べられます。
- 1日の過ごし方と、通う頻度はどのくらいか(通い方)
- クラスの人数と、先生との距離感はどうか(環境)
- 授業やテストは、どんな形で行われるか(学び方)
- 困ったときに、誰がどう支えてくれるか(サポート)
- 卒業資格は何で、卒業後の進路にはどんな実績があるか(その先)
- 入学後に合わなかったとき、転学や変更はできるか(あとから変える)
- 入学にかかる費用と、毎年の費用はいくらか(お金)
数字や仕組みは、学校ごとに違います。パンフレットの内容だけでなく、直接聞いて確かめるのが確実です。
保護者の方の声かけ|こんな言い方なら話しやすい
お子さんが答えにくい質問を、答えやすい形に言いかえる例を挙げます。
- 「将来どうするの?」→「どんな場所だと、ちょっと楽そう?」
- 「やりたいことはないの?」→「ここだけは嫌、というところはある?」
- 「早く決めないと間に合わないよ」→「今日は1校だけ、一緒に見てみようか」
お子さんの答えがすぐに出なくても、焦らなくて大丈夫です。「聞いてもらえた」という経験の積み重ねが、進路を話しやすい関係につながります。
進路が決まらない時期に、避けたい3つのこと
焦っているときほど、つい取ってしまう行動があります。次の3つは、できれば避けてください。
- 周りと比べて自分を責める:友だちの志望校や夢を聞くたびに落ち込むなら、少し距離を置いても大丈夫です。比べても、あなたの条件は見つかりません。
- 「どこでもいい」と投げやりに決める:選ぶ余裕がないときでも、「通い方」だけは確かめてください。通い続けられない学校を選ぶと、入学後の負担が大きくなります。
- 期限ぎりぎりまで一人で抱える:出願の直前に慌てて決めると、見学も比較もできません。説明会の時期のうちに、一度は先生や家族に「迷っている」と伝えてください。
校長の星野は、ニジ高の先生紹介のなかで、悩んでいる人にこう呼びかけています。「環境を変えれば、人は変わります。自分を責めるのは、もう終わりにしましょう。すべての人に、幸せになる力があります」。進路が決まらない今は、自分を責める時間ではなく、自分に合う環境を探す時間にしてみてください。
夢が見つかるのは、いつ?|「先に決める」より「動いてから見つかる」
夢や目標は、考え込んでいるうちに突然ひらめくものというより、人に会ったり、何かを試したりするなかで、少しずつ輪郭が見えてくることが多いと言われています。
だからこそ、進路の時期には「正解を一つ選ぶ」よりも、「動きやすい環境を選ぶ」ことが大切です。学校説明会に1校行ってみる、気になる職業の人の話を読んでみる、体験授業を受けてみる。そうした小さな行動が、あとから振り返ったときに、夢の入り口になっていることがあります。
ニジ高でも、プロジェクト学習や企業との出会いを通して、自分の「好き」や「得意」を見つけていく学びを大切にしています。夢が先になくても、問題ありません。
6. 保護者の方へ|「夢はあるの?」の前に
進路の話になると、つい「将来どうするの?」「やりたいことはないの?」と聞きたくなります。けれど、答えがないお子さんにとって、この質問は責められているように聞こえることがあります。
おすすめは、「どんな学校なら通えそう?」と、条件から聞くことです。夢は、すぐ言葉にならなくて大丈夫です。
進路が決まらないお子さんの親の視点については、不登校のお子さんの高校進学、決める前に親が大切にしたい視点も参考にしてください。
高校にはどんな種類がある?|選ぶ前に知っておきたい基本
「全日制しか知らなかった」という人は多いです。進路が決まらないときは、まず選択肢の広さを知るだけで、気持ちが少し楽になります。代表的な種類を、特徴だけ簡単に整理します。
| 種類 | 通い方の特徴(一般的な例) | 向いている人の例 |
|---|---|---|
| 全日制 | 平日の日中に毎日通い、3年間で卒業する | 決まった時間割で、友だちと同じペースで進めたい人 |
| 定時制 | 夜間や、時間帯を選んで通う学校がある | 昼間に別の予定がある人、少人数が合う人 |
| 通信制 | レポート・スクーリング・試験で単位を取る。通う頻度は学校で幅がある | 自分のペースで学びたい人、毎日の登校に不安がある人 |
| 高等専修学校など | 専門的な分野を学ぶコースが中心の学校がある | 興味のある分野が少しでも見えている人 |
※学校や地域によって内容は異なります。詳しくは、各校の募集要項や説明会で確かめてください。
面接や面談で「将来の夢は?」と聞かれたときの答え方
夢がない人にとって、いちばんつらいのが、この質問かもしれません。けれど、無理に立派な夢を作る必要はありません。次のような答え方でも、十分に伝わります。
- 今、気になっていること:「まだ将来の夢は決まっていませんが、今は〇〇に興味があります」
- 高校で試したいこと:「高校でいろいろ挑戦して、やりたいことを見つけたいです」
- 大切にしたい条件:「自分のペースで続けられる環境で学びたいです」
先生が見ているのは、立派な夢というより、「自分のことを自分の言葉で話せるか」です。正直に話すことは、むしろ好印象につながる場合があります。
よくある勘違い|「夢がない=やる気がない」ではありません

勘違い① 夢がないのは、努力が足りないから
夢や目標が持てるかどうかは、出会った人や経験の量にも左右されます。努力の量とは、あまり関係がありません。校長の星野が「学校の外の大人たち」と出会って変わったように、環境が変わると見え方が変わることもあります。
勘違い② 高校を決めたら、将来まで決まってしまう
高校の3年間で興味が変わる人は、たくさんいます。転学や進路変更の仕組みは学校によって違いますが、「一度決めたら終わり」ではありません。入学前に「合わなかったときの選択肢」を聞いておくと安心です。
勘違い③ 親や先生が納得する学校でないと、だめ
周りの意見は大切ですが、通うのはあなた自身です。保護者や先生と話すときは、「なぜその学校がよいのか」を、3つの軸で説明できるようにしておくと、話が前に進みやすくなります。
7. 全日制だけじゃない|通信制高校・サポート校という選択肢
「自分のペースで学びたい」「毎日通うのは不安」という場合、通信制高校も選択肢になります。都道府県の公表では、公立中学校等の卒業者のうち、高校の通信制に進む割合は、神奈川県で約7.6%(令和7年度)、東京都で約7%(速報値)でした。決してめずらしい道ではありません。
通信制高校は、レポート・スクーリング・試験で単位を取る仕組みです。サポート校は、通信制高校に在籍しながら、学習や生活の面を支える場で、卒業資格は提携先の通信制高校から出ます。仕組みについては、通信制高校とは?|全日制との違い・卒業の3条件・学費を法令で整理【2026】で整理しています。
ニジ高(NIJIN高等学院)は、通信制高校のサポート校です。「夢がない」「進路が決まらない」という段階でも、体験説明会に来てもらえます。校長や先生と話しながら、今の気持ちを整理する場として使ってください。
よくある質問
A. 遅いとは言い切れません。この時期は、学校説明会や三者面談を使って絞っていく時期です。夢が決まっていなくても、「通い方・学び方・卒業後の選択肢」という3つの条件が整理できれば、志望校は決められます。出願日程は地域や学校で違うので、募集要項で確かめてください。
A. 夢がないこと自体で不利になる決まりはありません。入試で見られるのは、学力検査や調査書、面接などの学校ごとの方法です。面接で「将来の夢」を聞かれることはありますが、「まだ見つかっていないが、今はこんなことに興味がある」と正直に話しても大丈夫です。
A. 最初から志望校を決める話にしないほうが、話しやすくなります。「通うのがつらそうな条件」を先に出し合ってみてください。学校の先生やスクールカウンセラーなど、第三者に同席してもらう方法もあります。
A. なります。都道府県の公表では、公立中学校等の卒業者のうち、高校の通信制に進む割合は、神奈川県で約7.6%(令和7年度)、東京都で約7%(速報値)でした。通信制は、自分のペースで学べる一方、自己管理が必要になります。説明会や体験で確かめてから決めると安心です。
A. 夢が先に見つからなくても、進路は決められます。高校の3年間で興味が見つかることは多いと言われています。大切なのは、見つかったときに動き直せる環境かどうかです。転学や進路変更がしやすいか、学校に確認しておきましょう。
まとめ
- 将来の夢がない中3は、少数派ではありません。国の調査でも、肯定的な回答は67.5%でした。
- 高校は、夢からではなく、通い方・学び方・その先の選択肢の3つの条件から選べます。
- 出願までは、説明会・三者面談・絞り込みの順に、小さく動けば間に合います。
- 全日制だけでなく、通信制高校・サポート校も選択肢のひとつです。
進路が決まらないのは、あなたがダメだからではありません。環境が変われば、見えるものも変わります。まず1つ、小さな行動から始めてみてください。
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執筆者:ニジ高編集部 2026年10月8日更新
参考文献
- 文部科学省「令和7年度全国学力・学習状況調査」(児童生徒質問調査。全国値は千葉県教育委員会の公表資料に掲載の数値を確認)
- 東京都教育委員会「令和8年3月 公立中学校等卒業者の進路状況(速報値)」
- 神奈川県「令和7年度 公立中学校等卒業者の進路の状況」
- NIJIN高等学院「先生紹介」ページ


