不登校の高校進学、親はどう決める?|行けるかより合うかで選ぶ視点【2026】

「学校に行けていないのに、この先の高校進学なんて考えられない」——そう感じている保護者の方は多いと思います。不登校が続く中で高校進学の話をすること自体に、罪悪感や不安を覚えることもあるかもしれません。ですが、高校進学は「今どのくらい学校に行けているか」だけで決まるものではありません。本人が今どんな状態であっても、進路の選択肢がなくなるわけではありません。

先に結論を書くと、親が決める前に持ちたい視点は「行けるかどうか」ではなく「その環境が本人に合っているか」です。そして、進路を決めるのは本人で、親の役目は選択肢を先に並べておくことです。この記事では、不登校のお子さんの高校進学を考えるときに、決める前に親としてまず大切にしたい視点を、学び方・支え・本人の意思の3つの軸、出席日数の扱い、親の関わり方の場合分け、やり直しの仕組みの順に整理します。

この記事は、文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」、同省「令和7年度 通信制高等学校実態調査」、同省の通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」を2026年10月23日に実際に開いて確認した内容で書いています。不登校の理由や体調にかかわる判断は、この記事では踏み込まず、医療機関や相談窓口への相談をおすすめしています。

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目次

結論:不登校のお子さんの高校進学で、親が決める前に持ちたい視点の早見

  • 「行けるか」ではなく「合っているか」で選びます。全日制に無理に合わせて再び行き詰まるより、本人のペースに合う学び方のほうが卒業まで続きやすくなります。
  • 不登校は特別なことではありません。令和6年度の中学校の不登校生徒は216,266人、1,000人あたり67.9人(約15人に1人)です(文部科学省)。
  • 国の方針も「学校に戻ること」だけを目標にしていません。文部科学省の通知は、本人が進路を主体的に捉えて社会的に自立することを目指すよう求めています。
  • 通信制高校の入学者の57.0%は、中3のときに不登校だった生徒です。入試は面接が中心で、学力検査を課すのは323校中91校です。
  • 親の役目は「決める」より「並べる」です。情報収集は保護者が先に進め、本人の気持ちが動いたときに一緒に選べるようにしておきます。
  • 一度決めても、転入・編入でやり直せます。転入なら前の高校の単位と在籍期間を引き継げます。
  • オンライン中心のサポート校(NIJIN高等学院など)を併用して、家から少しずつ高校の卒業をめざす形もあります。
観点 よくある心配 大切にしたい視点
出席日数 内申点や出願条件を満たせるか 出席日数を問わない入試制度や学校もある。入試の形を分けて見る
学力・内申点 成績が振るわず進学先が限られるのでは 学力以外の面を見て選考する学校・制度もある。通信制の学力検査は323校中91校
本人の気持ち まだ学校の話をすると嫌がる 本人のペースを優先し、情報収集は親から始めてよい
失敗への不安 選び間違えたら後がない 転入・編入の仕組みがあり、やり直しはきく
オンラインで学ぶNIJIN高等学院の生徒

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不登校からの高校進学は、「学び方・支え・本人の意思」の3つの軸に分けると決めやすくなります

高校進学を考えるとき、つい「どの高校に入れるか」という偏差値や難易度の軸だけで考えてしまいがちです。しかし不登校の状態から進学先を選ぶときは、次の3つの軸を分けて整理すると考えやすくなります。ひとつ目は「学び方の軸」——毎日通学する全日制か、自分のペースで学べる通信制か、その中間の定時制かという通学スタイルの違いです。ふたつ目は「サポート体制の軸」——学習面だけでなく、生活面や心のケアまで含めてどれだけ手厚く支えてもらえるかです。みっつ目は「本人の意思の軸」——最終的にその学校で3年間を過ごすのは本人であり、親が決めた進路に本人が納得しているかどうかです。この3つを切り分けて考えると、「偏差値で選ぶ」という一元的な視点から抜け出しやすくなります。

軸①:学び方——全日制・通信制・定時制の違い

全日制高校は、決まった時間割に沿って毎日登校するスタイルです。学校行事やクラス単位での活動が中心で、規則正しい生活リズムを作りやすい一方、毎日決まった時間に登校すること自体が負担になる場合もあります。通信制高校は、添削指導(レポート)・面接指導(スクーリング)・試験を通じて単位を修得するスタイルで、登校頻度を自分で調整しやすいのが特徴です。卒業の条件は全日制と同じ「高校卒業」で、3年以上の在籍・74単位以上の修得・特別活動30単位時間以上が必要です。本校のある都道府県以外からも入学できる「広域通信制」の学校も多く、地域による選択肢の差は以前より小さくなっています。定時制高校は、夜間や昼夜間など決まった時間帯に通学するスタイルで、全日制よりゆるやかなペースで学べます。どれが優れているというものではなく、本人の生活リズムや体調、学びたい内容によって向き不向きが変わります。

「通信制=家で一人」というイメージがあるかもしれませんが、実際には通う日数を選べる学校が多くあります。文部科学省の実態調査では、通信制高校の生徒300,406人のうち、週5日通うコースが12.5%、まとめて登校する集中スクーリング型が28.9%、月1〜2回や自由登校などが33.2%でした。

通い方のコース 生徒数 割合
週5日通う 37,505人 12.5%
週1日通う 36,929人 12.3%
集中スクーリング型(まとめて登校) 86,961人 28.9%
その他(月1〜2回・自由登校など) 99,722人 33.2%

出典:文部科学省「令和7年度 通信制高等学校実態調査」(2025年5月1日時点。コース別の生徒数の合計300,406人には正規の教育課程以外のコースも含む。週2〜4日のコースは省略。2026年10月23日確認)

軸②:サポート体制——学習面と生活面の両方を見る

サポート体制というと学習面のフォローばかりに目が行きがちですが、不登校を経験した生徒にとっては、生活リズムや対人関係への配慮も同じくらい重要です。文部科学省の令和6年度調査で、中学校が不登校の生徒について把握していた事実を見ると、「学校生活に対してやる気が出ない等の相談」が30.1%、「不安・抑うつの相談」が24.4%、「生活リズムの不調に関する相談」が24.3%で、「学業の不振」の15.7%より多くなっています(複数回答)。つまり、勉強の遅れを埋める支援だけでは足りず、気持ちと生活リズムを支える体制が要ります。学校によっては、スクールカウンセラーや専門スタッフが常駐していたり、少人数制のクラスで個別に声をかけてもらえる体制を整えていたりします。見学の際は「学習面で遅れてもフォローしてもらえるか」だけでなく、「体調の波があるときにどう対応してもらえるか」も合わせて確認しておくと安心です。

軸③:本人の意思——親が決めた進路への納得感

進路選びにおいて、保護者が情報収集や下調べを主導することは自然なことです。ただし、最終的にその学校に3年間通うのは本人です。「親が良いと思った学校」ではなく「本人が納得できる学校」であることが、入学後に続けられるかどうかを大きく左右します。本人がまだ意思表示できる状態でない場合は、無理に決断を急がせず、情報だけを蓄積しておき、本人の気持ちが動いたタイミングで一緒に選んでいくという進め方も有効です。不登校の中学生が進める進路の全体像(通信制・サポート校・定時制・公立の不登校枠など)は、不登校 高校進学の記事にまとめています。この記事は、そのうち「親が決める前に持つ視点と関わり方」に絞ります。

夜の食卓で学校案内のパンフレットを並べ、進路を相談する父親と母親(Japanese)
決める前に、夫婦で「行けるか」より「合うか」という見方をそろえておくと迷いが減ります

親自身の気持ちの整理も、進路を決める前の大切な準備です

不登校のお子さんの進路を考えるとき、保護者自身も大きな不安やプレッシャーを抱えています。「私の育て方が悪かったのではないか」「周りの子はみんな普通に高校に進学しているのに」——そうした気持ちが、知らず知らずのうちに焦りとなって、お子さんへの接し方に表れてしまうこともあります。まずは保護者自身が、今の状況を「特別なことではない」と捉え直すことが大切です。

数字で確かめておきます。文部科学省の調査では、令和6年度の小・中学校の不登校児童生徒は353,970人(前年度346,482人)で、12年連続で増えて過去最多です。中学校だけで216,266人、生徒1,000人あたり67.9人ですから、35人の学級なら2人以上が不登校という計算になります。不登校の定義は「年度に30日以上欠席した長期欠席者のうち、心理的・情緒的・身体的・社会的な要因で登校しない、またはしたくてもできない状態の人(病気や経済的な理由を除く)」です。また、不登校の児童生徒のうち61.7%は学校内外の専門機関(教育支援センター・病院・スクールカウンセラーなど)で相談や指導を受けており、担任からの継続的な相談まで含めると95.8%です。相談しながら進路を考えている家庭が大半だということです。

出典:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」令和6年度(2025年10月29日公表)・同「調査結果の概要(不登校抜粋版)」(2026年10月23日確認)

もう1つ、親の肩の力を抜く材料があります。文部科学省の通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」(元文科初第698号・2019年10月25日)は、不登校の支援を「『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要がある」としています。「毎日通えるようにしてから高校を選ぶ」ではなく、「本人が自分の進路を自分で選べるようにする」のが国の方針です。保護者が思い詰めすぎず、一人で抱え込まずに、学校のスクールカウンセラーや外部の相談窓口、そして通信制高校の個別相談会なども活用しながら、情報とサポートを増やしていくことをおすすめします。出典:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(2026年10月23日確認)

令和6年度の中学校の不登校生徒は216,266人で生徒1,000人あたり67.9人、小・中学校合計では353,970人で12年連続で増えていることを示す図
出典:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2026年10月23日確認)

「学校に行けるか」より、「その環境が本人に合っているか」で選ぶほうが続きます

不登校の状態が続いていると、保護者はどうしても「この子は高校で毎日通えるのだろうか」という不安が先に立ちます。しかし、進学先を選ぶ際にまず大切にしたいのは「行けるかどうか」ではなく「その環境が本人に合っているかどうか」という視点です。全日制高校に無理に合わせようとして再び行き詰まるよりも、本人の特性やペースに合った学び方を選ぶほうが、結果的に卒業まで安定して続けられることが多くあります。

視点 陥りやすい考え方 大切にしたい考え方
通学スタイル 毎日通えないと「まともな高校生活」とは言えない 自分に合った通い方・学び方を選ぶことが継続につながる
進学先の選び方 偏差値の高い学校ほど良い 本人の特性・ペースに合っているかどうかが最優先
失敗への不安 もし合わなかったら後がない 転入・編入という選択肢もあり、やり直しはきく

「合っているか」を軽く見ると何が起きるかも、数字で見ておきます。令和6年度の高校の不登校生徒は67,782人で、そのうち15.6%(10,566人)は年度内に中途退学に至っています。高校の中途退学者は全体で44,571人(在籍者の1.4%)、理由は「進路変更」が41.5%、「学校生活・学業不適応」が35.0%、「学業不振」が6.3%でした。学力の問題よりも、「その学校の生活に合わなかった」ことで辞める人のほうがずっと多いのです。一方で、通信制高校の2025年度の入学者77,998人のうち、中学3年生のときに不登校だった生徒は44,461人(57.0%)です。不登校を経て通信制を選ぶのは、いまや少数派ではなく多数派です。

出典:文部科学省 令和6年度 問題行動・不登校等調査(高等学校の不登校・中途退学)/文部科学省「令和7年度 通信制高等学校実態調査」(いずれも2026年10月23日確認)

「行けるかどうか」を基準にすると、選択肢はどんどん狭まっていきます。一方で「合っているかどうか」を基準にすると、通信制高校やサポート校など、これまで視野に入っていなかった選択肢が見えてくることがあります。

出席日数と内申点の心配は、「どの入試で何を見るか」を分けると小さくなります

保護者の心配でもっとも多いのが「出席日数が足りなくて受けられる高校が無いのでは」というものです。ここは、入試の形ごとに「何を見るか」が違うと知っておくと、心配の大きさがはっきりします。公立高校の一般入試では、中学校が作る調査書(内申書)に出欠の記録を書くかどうか、それを選抜に使うかどうかが都道府県によって違います。欠席が多い生徒向けに「自己申告書」を出せる仕組みや、不登校の生徒を対象にした特別な選抜枠を設けている自治体もあります。都道府県ごとの扱いと配慮の種類は、高校受験 出席日数の記事で一次資料をもとに整理しています。

通信制高校の入試は、公立の一般入試とは見るところが違います。文部科学省の実態調査によると、通信制高校323校の入学者選抜の方法(複数回答)は、面接が296校、調査書などの書類が230校、作文・小論文が154校で、学力検査を課すのは91校でした。つまり、多くの学校は「これまでの点数」より「これからどう学びたいか」を面接と作文で聞いています。

入試の形 主に見るもの 出席日数の影響
公立高校の一般入試 学力検査と調査書(評定) 都道府県で違う。調査書の出欠の記録の扱いは中学校に確認する
公立の不登校向けの枠・自己申告書 面接・作文・自己申告書など 欠席が多い事情を本人の言葉で伝えられる
通信制高校(323校の調査) 面接296校・書類230校・作文154校 学力検査は91校。面接が中心
サポート校 面談が中心(学校ごとに違う) 卒業資格は提携する通信制高校の入試で決まる

出典:文部科学省「令和7年度 通信制高等学校実態調査」(2026年10月23日確認)。※2026年10月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。

居間のソファでタブレットを一緒に見る中学3年生の息子と母親(Japanese)
本人が動けるときは、学校のサイトや動画を一緒に見るところから始められます

中学3年生の1年間は、本人のペースを守りながら親が先に情報を集める進め方が合います

中学3年生になると、進路の話が一気に現実味を帯びてきます。不登校の状態でも、次のようなおおまかな流れを知っておくと、見通しを持ちやすくなります。

時期 やっておきたいこと
春(4〜6月) 情報収集を開始。全日制・通信制・定時制など選択肢を幅広く知る
夏(7〜8月) 気になる学校の説明会・オープンキャンパスに参加してみる(保護者だけの参加でもよい)
秋(9〜11月) 候補を絞り込み、個別相談で詳しい話を聞く。公立の入試は調査書の扱いを中学校に確認
冬(12〜2月) 出願準備。学校によって出願条件やスケジュールが異なるため要確認
春(3月) 入学準備。新しい環境への心の準備期間としても大切

大切なのは、この流れを「守らなければいけないスケジュール」として本人に押し付けないことです。情報収集だけは保護者が先に進めておき、本人の気持ちが動いたタイミングで一緒に見学に行く、というように、本人のペースに合わせて柔軟に進めることをおすすめします。通信制高校やサポート校は、出願・入学のタイミングが比較的柔軟な学校も多く、4月入学にこだわらず、本人の状態が整ってから動き出すという通信制高校 選び方もできます。中学1・2年生のうちから情報収集を始めておくと、3年生になってから慌てることが少なくなります。早すぎるということはありません。気になる学校のホームページを眺めておくだけでも、いざというときの選択肢の引き出しが増えます。

進路について調べ始めると、「今の中学を辞めなければいけないのでは」と誤解してしまう保護者もいますが、そのようなことはありません。高校進学の情報収集や学校見学は、今の中学校に在籍したまま進めることができます。むしろ、複数の選択肢を比較検討する段階では、特定の学校に決め打ちせず、幅広く情報を集めておくことが大切です。中学校の担任や進路指導の先生にも、通信制高校やサポート校を含めた進路を検討していることを伝えておくと、内申点の扱いや出願手続きについて相談に乗ってもらいやすくなります。お金の見通しも同じ時期に立てておくと安心です。私立の通信制高校の授業料には国の就学支援金(2026年度は1単位13,668円が上限・所得制限なし)が使えますが、サポート校の費用には使えません。計算のしかたは通信制高校 学費の記事にまとめています。

学校見学・説明会では、パンフレットに無い「波があるときの対応」を確かめます

実際に学校を見学する際は、パンフレットには書かれていない、リアルな運営の様子を確認することが大切です。以下のチェックリストを参考にしてください。

確認項目 チェックポイント
欠席・遅刻への対応 体調に波がある場合の欠席や、遅刻したときの対応がどれだけ柔軟か
相談できる先生の存在 担任以外にも相談できるスクールカウンセラーや専門スタッフがいるか
生徒の雰囲気 実際に在校生と話す機会があれば、学校の空気感を確かめる
入学後のフォロー 入学してから慣れるまでの間、どんなサポートがあるか
スクーリングの形 通信制なら、年に何日・どこで・宿泊があるか。サポート校なら提携校のスクーリングを誰が支えるか
転入・編入の柔軟性 合わないと感じた場合、どのような選択肢が残されているか

一校だけでなく、複数の学校を見比べることも大切です。同じ「通信制高校」という括りでも、学校ごとにサポート体制や雰囲気は大きく異なります。本人が説明会に行きたがらないときは、保護者だけで参加して話を聞き、持ち帰った情報を「こんな学校があったよ」と置いておくだけでも十分です。オンラインの説明会や個別相談なら、本人が画面の端から聞くという参加のしかたもできます。

不登校の経験は、話せる範囲で伝えるほうが支援につながります

学校見学や個別相談の場で、「これまでの経緯をどこまで話せばいいのか」と迷う保護者も多くいます。結論から言うと、無理にすべてを話す必要はありません。ただし、体調の波や、これまでどんな場面でつらさを感じてきたかを、ある程度共有しておくと、学校側もより具体的なサポートを提案しやすくなります。「話したくないことは話さなくていい」という前提のもとで、話せる範囲から少しずつ伝えていくくらいの気持ちで臨むとよいでしょう。

また、多くの通信制高校やサポート校では、不登校を経験した生徒の受け入れ実績が豊富にあります。入学者の57.0%が中3で不登校だったという実態調査の数字が示すとおり、「特別な事情」として身構える必要はなく、むしろそうした背景を理解した上で対応してくれる学校のほうが、入学後も安心して相談しやすい関係を築きやすいといえます。伝えるときは、「朝が弱い」「人が多い場所が苦手」「オンラインなら話せる」のように、学校側が対応を考えられる形に言い換えると伝わりやすくなります。

通信制高校323校の入学者選抜で面接を行うのは296校、調査書などの書類は230校、作文・小論文は154校、学力検査は91校で、面接が中心であることを示す図
出典:文部科学省「令和7年度 通信制高等学校実態調査」入学者選抜の方法(2026年10月23日確認)

本人が嫌がる・家族で意見が割れるときは、「決める」より先に「並べる」ことから始めます

進路の話を切り出した途端に本人が部屋にこもってしまった、父親と母親で「全日制に行かせたい」「無理をさせたくない」と意見が割れた——どちらもよくあることです。こういうときに一番避けたいのは、親が先に結論を決めて本人を説得しにかかることです。親の役目は「決める」ではなく「並べる」だと決めてしまうと、関わり方が楽になります。本人の状態に合わせた進め方を場合分けすると、次のようになります。

本人の今の状態 親ができること 避けたいこと
進路の話を聞きたがらない 保護者だけで情報を集め、資料を見える場所に置いておく 「このままだと高校に行けない」と期限で迫る
興味はあるが動けない オンラインの説明会など、家から出ずにできる一歩を用意する 見学の予定を本人の了解なく入れる
自分で調べ始めた 比べる軸(学び方・支え・費用)を一緒に書き出す 本人の候補を「それは無理」と先に消す
家族で意見が割れる それぞれの不安を言葉にして並べ、確かめに行く 本人の前で親同士が言い合う

家族の意見が割れるときは、反対している側の不安が何なのかを分けて考えると前に進みます。「通信制は就職に不利ではないか」「友達ができないのではないか」といった不安は、確かめれば答えが出るものが多いからです。通信制高校に反対されたときの不安の正体と向き合い方は、通信制高校 反対 保護者の記事で整理しています。本人の気持ちが動くまで待つ時間は、むだではありません。文部科学省の調査でも、不登校の中学生の60.7%は年に90日以上休んでいます。数か月単位で状態が変わるのがふつうですから、春に話せなかったことが秋には話せることもあります。

「一度決めたら変えられない」わけではありません。転入・編入でやり直せます

進路選びで保護者が特に不安を感じるのは、「この選択が間違っていたらどうしよう」という点です。しかし高校選びは、人生で一度きりの後戻りできない決断ではありません。入学した学校が合わないと感じた場合、多くの学校で転校・転入・編入という仕組みが用意されています。在籍したまま別の高校に移るのが転入で、前の高校で修得した単位と在籍期間を引き継げます。退学してから入り直すと編入になり、学校によって引き継ぎの扱いが変わります。特に通信制高校は、単位の引き継ぎがしやすく、転入のタイミングも比較的柔軟な学校が多いため、「まずは入学してみて、合わなければ考え直す」という選び方をしても、大きな遠回りにはなりにくい仕組みになっています。この事実を知っておくだけで、進路選びに対する心理的なハードルはぐっと下がります。

入学後の状況 取りうる選択肢
学校の雰囲気が合わない 他の通信制高校・サポート校への転校を検討
通学スタイルが合わない(全日制→通信制など) 在籍したまま転入先を探し、単位を引き継いで転入
体調が回復し、より活発に通いたくなった 通学日数を増やせるコースへの変更を相談
進路の方向性が変わった 編入学により、目標に合わせた学校へ移る

大切なのは「完璧な選択をすること」ではなく、「今の情報の中でいちばん良いと思える選択をし、合わなければ調整する」という姿勢を持つことです。これは本人にとっても、保護者にとっても、進路選びのプレッシャーを大きく軽くしてくれる考え方です。ただし、転入にも「転入前に確かめなかったこと」から来る後悔はあります。自己管理・サポート体制・友人関係・単位とお金の4つの見落としは、通信制高校 転入 後悔の記事にまとめています。最初の高校選びでも、この4つを先に確かめておけば同じ見落としを防げます。

相談先は1つに絞らず、制度に詳しい窓口と学校生活に詳しい窓口を並行して使います

進路について誰に相談すればいいか迷ったときは、複数の窓口を並行して使ってみることをおすすめします。中学校のスクールカウンセラーや進路指導の先生は、内申点や出願制度など制度面に詳しい存在です。一方で、通信制高校やサポート校の個別相談会では、実際の学校生活のイメージや、不登校を経験した生徒がどのように学校生活を送っているかといった、より具体的な話を聞くことができます。どちらか一方に絞る必要はなく、両方から情報を集めることで、より立体的に進路を検討できるようになります。

自治体には教育支援センター(適応指導教室)や、不登校の子どもを持つ保護者向けの相談窓口があります。文部科学省の「24時間子供SOSダイヤル」(0120-0-78310)は、子どもだけでなく保護者も相談でき、夜間・休日を含めて24時間つながり、かけた所在地の教育委員会の相談機関に接続されます。通話料は無料です。出典:文部科学省「24時間子供SOSダイヤル」・同「周知のためのポスターについて」(通話料無料の記載)(2026年10月23日確認)。体調や気持ちの面で心配が大きいときは、進路の前に医療機関やスクールカウンセラーに相談してください。小・中学生の段階から学校以外の学びの場を探す場合は、オンラインのオルタナティブスクールNIJINアカデミーのような選択肢もあります。「うちの子だけの特別な問題」と抱え込まず、利用できる窓口はできる限り活用してください。大切なのは完璧な情報を集めることではなく、選択肢を知っておくことです。

選択肢の1つとしてのニジ高(正直な注意点)

NIJIN高等学院(ニジ高)は、株式会社NIJINが運営するオンライン中心の通信制高校サポート校で、NIJINアカデミー(小中学生のオルタナティブスクール)の高等部でもあります。NIJINアカデミー全体で53キャンパス、累計入学者は約1,000名、在籍は500名超で、不登校の生徒をグループ全体で650名以上サポートしてきました。担任制で、カメラ・マイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められます。生活リズムに波があっても学べるように、授業のアーカイブ視聴や中学内容の学び直しに対応し、希望する生徒にはスタッフが1対1で伴走する支援もあります。生徒会・サークル・学園祭・企業や地域と関わるプロジェクトがあり、「孤独を、青春に」を掲げて、全国の仲間とオンラインでつながる学校生活を作っています。

正直な注意点も書いておきます。ニジ高は高校ではないため、卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングへの参加が必要です(地元の会場で受けられる場合もあります)。ニジ高の中でのスクーリングはなく、ニジ高が行うのは日程の調整と準備の支援です。費用は提携する通信制高校の分とニジ高の分の両方がかかり、ニジ高の分には就学支援金は使えません。金額は学費のご案内をご覧ください。オンライン中心なので、毎日通う場所がほしい人には合わない場合があります。転入・編入もでき、出願費用は無料です。合うかどうかは、体験説明会・個別相談(オンライン・無料)で、保護者の方だけでも確かめられます。

迷ったときの進め方(3ステップ)

  1. 本人の「今」を3つの軸で書き出す。朝起きられるか、家から出られるか、人とオンラインなら話せるか——学び方・支え・本人の意思の軸ごとに、できていることとつらいことを親がメモします。本人に聞けるなら聞き、聞けないなら観察で十分です。
  2. 制度の窓口と学校の窓口に1つずつ連絡する。中学校の先生(調査書・出席日数の扱い)と、気になる通信制高校かサポート校の個別相談(学校生活の実際)の2本を並行して進めます。保護者だけの参加でかまいません。
  3. 候補を2〜3校に絞り、本人に「並べて」見せる。比べる軸を同じにして、通い方・支え・費用・合わなかったときの道を表にし、「どれにする?」ではなく「どれが気になる?」と聞きます。決めるのは本人の気持ちが動いてからで間に合います。

3つとも、本人がまだ動けない段階でも保護者だけで進められます。話を整理しながら考えたい場合は、体験説明会・個別相談で状況を聞かせてください。

自宅の机でノートを取りながら、オンラインの個別相談に参加する母親と中学生の娘(Japanese)
オンラインの相談なら、本人は横で聞くだけの参加でも大丈夫です
オンラインで学ぶニジ高の生徒

本人がまだ動けなくても、保護者の方だけで相談を始められます

ニジ高はオンライン中心の通信制高校サポート校です。カメラ・マイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、転入・編入もできます。ただし学院は高校ではなく、卒業資格は提携する通信制高校で取り、そのスクーリングへの参加が必要です。合うかどうかは、オンライン・無料の個別相談で、保護者の方だけでも確かめられます。

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よくある質問

Q. 出席日数が少ないと、高校に進学できませんか?

A. 中学の出席日数だけで受験先が決まるわけではありません。調査書の出欠の扱いは都道府県で違い、自己申告書や不登校の生徒向けの枠がある自治体もあります。通信制高校の入試は面接が中心で、学力検査を課すのは323校中91校です(文部科学省 令和7年度実態調査)。

Q. 本人がまだ進路の話をしたがりません。どうすればいいですか?

A. 無理に話をさせる必要はありません。まずは保護者だけで情報収集を進め、資料を見える場所に置いておくのも一つの方法です。説明会や個別相談は保護者だけで参加できる学校が多くあります。

Q. 中学3年生の途中からでも間に合いますか?

A. 学校によって出願時期は異なりますが、通信制高校やサポート校には比較的遅い時期からでも相談・出願ができる学校があります。気になる学校の募集要項で、出願の時期と回数を確かめてください。

Q. 高校でも不登校になったらどうしようと不安です。

A. 入学前に、合わなかった場合の選択肢を確認しておくと安心材料になります。転入なら前の高校の単位と在籍期間を引き継げます。令和6年度の高校の不登校生徒は67,782人で、通信制高校への転入で学び直す人も多くいます。

Q. 全日制と通信制、どちらを優先して検討すべきですか?

A. 両方の情報を並べて比較し、本人の状態や希望に照らして考えることをおすすめします。「行けるか」ではなく「合っているか」が基準です。高校の中途退学の理由は「学校生活・学業不適応」が35.0%で、「学業不振」の6.3%より多くなっています(文部科学省 令和6年度調査)。

Q. きょうだいや親戚に、不登校のことをどう説明すればいいですか?

A. すべての人に詳しい事情を説明する必要はありません。「本人に合った学び方を選んでいる」という一言で十分な場面も多くあります。無理に理解を求めようとせず、必要な範囲で必要な相手にだけ伝えるという考え方で問題ありません。

まとめ:「行けるか」ではなく「合うか」で選べば、不登校からの高校進学の道は開いています

不登校の状態から高校進学を考えるとき、「学校に行けるかどうか」だけを基準にすると、選択肢はどんどん狭まってしまいます。学び方・サポート体制・本人の意思という3つの軸で整理し、「合っているかどうか」を基準に情報を集めることが、納得できる進路選びの第一歩です。中学3年生の1年間は、本人のペースに合わせながら、保護者が情報収集を先回りして進めておくことで、いざというときに慌てずに動けます。

また、高校選びは一度決めたら後戻りできないものではありません。転入・編入という仕組みがあることを知っておくだけで、「失敗できない」というプレッシャーから少し自由になれます。中学校で休んだ日々は、高校の入口を閉じません。親が先に選択肢を並べておけば、本人が動き出したその日から、一緒に選び始められます。

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