「10月に入ってから、朝なかなか起きられない」
「夏休み明けは頑張れていたのに、ここにきてまた休みがちになった」
季節の変わり目になると、決まって子どもの体調が崩れる。そんな様子に、心配や焦りを感じている保護者の方は少なくありません。
秋は、朝晩と日中の寒暖差が大きくなり、日が短くなり、学校では文化祭や体育祭、定期テストが続く時期です。体にも心にも負担が重なりやすく、もともとエネルギーが少ない状態の子ほど、その影響を受けやすいと考えられます。
先にお伝えしたいのは、この時期の不調は「怠け」や「気持ちの問題」だけでは説明できないことが多い、ということです。そして、休みながら少しずつ整えていく方法はあります。
この記事では、不登校や登校しぶりのある高校生の保護者の方に向けて、季節の変わり目に体調を崩しやすい理由、家庭でできる工夫、受診の目安と相談先を、公的機関の情報をもとに整理しました。
体調がとてもつらそう、気持ちの落ち込みが強い、「消えたい」といった言葉が出るというときは、この記事を読み進めるより先に、医療機関や相談窓口につないでください。文部科学省の「24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)」は、子ども本人だけでなく保護者からの相談も受け付けています。
この記事の結論(早見)
- 寒暖差や気圧、日照時間の変化は自律神経や体内時計に負担をかけやすく、秋は体調を崩しやすい時期
- 「朝起きられない」「午前中だけ調子が悪い」が続くなら、起立性調節障害の可能性も視野に入れて医療機関に相談を
- 家庭では「起きる時刻をそろえる」「朝の光」「水分」「日中に横になりすぎない」が土台になる
- 無理に登校させるより、休み方と戻り方を本人と一緒に決めておくほうが、長い目で見て回復につながりやすい
- 気分の落ち込みや睡眠の乱れが2週間以上続く、食事がとれない、といったときは早めに専門家へ
全国どこからでも。カメラ・マイクはオフのままで大丈夫です。

季節の変わり目に高校生が体調を崩しやすい3つの理由
秋の不調には、いくつかの要因が重なっていることが多いです。
①寒暖差や気圧の変化で、自律神経に負担がかかる
体温や血圧、心拍などは、自律神経が自動で調整しています。朝晩の冷え込みと日中の暖かさの差が大きい時期や、台風・前線の通過で気圧が変わりやすい時期は、この調整に負担がかかりやすいとされています。
思春期に多い「起立性調節障害(OD)」について、鳥取県教育委員会が県医師会の監修で作成した資料では、春や秋など季節の変わり目に症状が悪化しやすいこと、天候(気圧)の変化も影響することが紹介されています。
なお、「寒暖差疲労」「気象病」といった言葉もよく見かけますが、医学的な診断名として確立したものではありません。言葉にとらわれすぎず、「この時期は体が疲れやすい」と受け止めておくくらいがちょうどよいと思います。
②日が短くなり、体内時計と気分が揺らぎやすくなる
秋から冬にかけては、日照時間が短くなっていきます。朝の光は体内時計を整える手がかりになるため、朝が暗いと起きにくくなったり、夜に眠くなる時間が後ろにずれたりしやすくなります。
また、日照時間の短縮が関わっているといわれる「季節性のうつ病(冬季うつ病)」も知られています(厚生労働省「こころの耳」)。毎年秋冬になると、寝すぎる、気力が出ないといった様子が目立つ場合は、季節との関係も医師に伝えてみてください。
③2学期は行事とテストが重なり、心の疲れもたまりやすい
9月の連休明けから、文化祭・体育祭、中間・期末テスト、三者面談と、2学期は予定が詰まりがちです。不登校や登校しぶりのある子にとっては、「行事に出られなかった」「テストが近い」といった出来事そのものが負担になることもあります。
心理的なストレスは自律神経にも影響し、体の症状を強めることがあるとされています。体と心の不調は、どちらか一方ではなく「絡み合っているもの」と考えておくと、対応を考えやすくなります。

| 変化 | 体・心への影響の例 | 家庭でできること |
|---|---|---|
| 朝晩の寒暖差 | だるさ、頭痛、朝の起きにくさ | 重ね着で調整する、寝室の温度を整える |
| 気圧の変化(台風・前線) | 頭痛、気分の落ち込み | 天気予報を見て予定に余白をつくる |
| 日照時間の短縮 | 起きにくい、夜型化、気力の低下 | 起きたらカーテンを開ける、日中に外の光を浴びる |
| 行事・テスト | 緊張、疲れ、自分を責める気持ち | 参加の仕方を選べることを伝える |
| 連休・長期休み明け | 生活リズムの乱れ | 休み中も起きる時刻を大きく崩さない |
※上の表は、公的機関の資料をもとにした一般的な整理です。症状の出方には個人差があります。
「朝起きられない」が続くなら、起立性調節障害も視野に
季節の変わり目の不調の中でも、特に知っておいてほしいのが起立性調節障害(OD)です。自律神経の働きがうまくいかず、立ち上がったときに体や脳への血流を保ちにくくなることで、立ちくらみ、朝起きられない、だるさ、頭痛などが起きる病気です。
前述の鳥取県教育委員会の資料によると、軽症例を含めると中学生の約10%程度が発症し、女子は男子の1.5〜2倍程度多いとされています。決して珍しいものではありません。
特徴的なのは、症状が午前中に強く、午後から夜にかけて軽くなる傾向があることです。そのため「夜は元気なのに、朝だけ起きられない」「怠けているのでは」と誤解されやすく、叱られることで本人が傷つき、親子関係が悪化してしまうことも少なくないと指摘されています。
こんな様子が続いていたら
同資料のチェック項目から、一部を抜粋します。
- 立ちくらみやめまいを感じることがある
- 立っていると気分が悪くなる
- 朝の寝起きが悪く、午前中は調子が悪い
- 体がだるい、疲れやすい
- 頭痛、腹痛、食欲がない
同資料では、11項目のうち3つ以上当てはまる場合はODの可能性があるとし、症状が改善しなければ、かかりつけの医療機関の受診を検討するよう勧めています。判断は医師に委ね、家庭では「いつ・どんな症状が出たか」をメモしておくことから始めるのがおすすめです。受診のときにそのまま見せられるので、説明の負担も減ります。
ODの症状や学校選びについては、起立性調節障害の高校生へ|症状の特徴と学校選びのポイントで詳しくまとめています。

家庭でできる7つのこと
特別なことよりも、毎日の小さな土台づくりが効いてきます。全部を一度にやる必要はありません。できそうなものを1つ選んで始めてみてください。
1. 起きる時刻を「だいたい」そろえる
寝る時刻よりも、起きる時刻をそろえるほうが体内時計は整いやすいといわれます。学校を休む日も、起きる時刻だけは大きくずらさないことを目標にしてみましょう。ただし、ODなどで本当に起きられない時期は、無理に起こすより「起きやすい時間帯を一緒に探す」ことも大切だとされています。
2. 朝の光を取り入れる
起きたらカーテンを開ける、ベランダや玄関先に少し出てみる。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、朝は太陽の光を浴びることが勧められています。起き上がれない朝は、寝たままカーテンを開けるだけでも構いません。
3. 睡眠時間の目安を知っておく
同ガイドでは、中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保するよう示しています。「夜更かしが悪い」と責めるよりも、「必要な睡眠時間がとれているか」を一緒に確かめる、という姿勢のほうが話し合いやすくなります。夜のスマホは、寝室に持ち込まない、使う時間を決めるなど、本人と相談してルールを作りましょう。
4. 水分をしっかりとる
ODのセルフケアとして、規則正しい生活とあわせて水分をしっかりとることが挙げられています。秋冬はのどの渇きを感じにくく、水分が不足しがちです。「朝起きたらまずコップ1杯」を習慣にしてみましょう。塩分などの具体的な調整は、体質や持病によって変わるため医師に確認してください。
5. 日中は「横になりっぱなし」を避ける
だるいと一日中横になっていたくなりますが、長時間横になっていることや運動不足は、ODの症状を悪化させることが知られています。体調が比較的よい午後に、15分ほどの散歩や家の中でのストレッチなど、無理のない範囲で体を動かしてみてください。
6. 予定に「余白」をつくる
季節の変わり目や天気が崩れる日は、予定を詰めすぎないことが大切です。週間天気予報を見て「この日は崩れそうだから、午前中の予定は入れないでおこう」と先回りして調整するのも一つの方法です。
7. 体調が悪い日の過ごし方を、元気な日に決めておく
体調が悪いその日に話し合うのは、本人にも保護者にも負担です。調子がよいときに、「しんどい日は何時に起きる?」「どこまでできたらOKにする?」「学校への連絡は誰がする?」を決めておくと、当日のやりとりが穏やかになります。

保護者が気をつけたい声かけ
| 避けたい声かけ | 代わりに |
|---|---|
| 「夜は元気なのに、なんで朝は起きられないの?」 | 「今朝はどこがつらい?」 |
| 「気合いが足りない」「みんな頑張ってる」 | 「午後はどうしたい?できそうなことを一緒に考えよう」 |
| 「休んでいいよ」(だけで終わる) | 「休む日は、何時に起きて何をする?」 |
鳥取県教育委員会の資料でも、急な体調の変化に戸惑っている子どもには、叱咤激励よりもまずつらい気持ちに寄り添い、一緒にできることを探すことが勧められています。
高校生のあなたへ
季節の変わり目に体調が崩れるのは、あなたの意志が弱いからではありません。「今日はカーテンを開けられた」「午後に少し散歩できた」と、できたことを小さく数えていけば十分です。
しんどさをうまく言葉にできないときは、「朝」「頭痛」「だるい」など、単語だけでも家族に伝えてみてください。家族に言いにくいときは、保健室の先生やスクールカウンセラー、24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)に話してもかまいません。
気をつけたい情報
SNSやネット広告では、「自律神経を整える○○」「ODが治る」とうたう商品や施術をよく見かけます。鳥取県教育委員会の資料によると、専門医の団体である日本小児心身医学会は、整体や整骨、サプリメントなどの効果について「明確なエビデンスに基づくものではない」としています。費用をかける前に、まずは医師に相談しましょう。
ニジ高(NIJIN高等学院)は通信制高校のサポート校で、医療機関ではありません。体調の診断や治療はできませんが、オンライン中心の学び方で通学の負担を減らし、体調に波があっても学びを続けられるよう、担任が一緒にペースを考えます。スタッフの9割以上が教員免許を持ち、特別支援学校での勤務経験があるスタッフも在籍しています。
受診・相談の目安と窓口
| 様子 | 相談先の例 |
|---|---|
| 朝起きられない、立ちくらみ、午前中の不調が続く | かかりつけの小児科・内科 |
| 気分の落ち込み、眠れない・寝すぎる、楽しめない状態が2週間以上続く | 心療内科・精神科(児童思春期外来など) |
| 食事がとれない、体重が急に減った | まずはかかりつけ医へ |
| 「消えたい」「死にたい」といった言葉が出る | すぐに相談窓口・医療機関へ |
| 欠席や学校での配慮について相談したい | 担任、養護教諭、スクールカウンセラー |
※名古屋市精神保健福祉センターの資料(国立精神・神経医療研究センターの情報を参考に作成)では、憂うつな気分や意欲の低下などが2週間以上続く場合、うつ病のサインの可能性があるとしています。ただし、これは診断ではありません。気になる様子があれば、期間にかかわらず相談して大丈夫です。
相談窓口
| 窓口 | 連絡先・特徴 |
|---|---|
| 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省) | 0120-0-78310/24時間・無料。子ども本人も保護者も相談できます |
| チャイルドライン | 0120-99-7777/毎日16時〜21時(18歳まで、年末年始を除く) |
| いのちの電話(日本いのちの電話連盟) | 0120-783-556/毎日16時〜21時、毎月10日は8時〜翌8時 |
学校に相談できること
体調の波が大きい時期は、学校と情報を共有しておくと、本人も保護者も気持ちが楽になります。たとえば、次のようなことを相談できます。
- 午前中の不調が強いときの、遅れての登校や短時間の登校
- 保健室や相談室などの別室登校
- 課題やレポートの提出期限
- 行事への参加の仕方(一部だけ参加、見学など)
- 医師の診断がある場合の配慮(体調面での配慮を文書で共有するなど)
鳥取県教育委員会の資料でも、体調が悪いのに無理やり登校させるのは逆効果としたうえで、短時間の登校や別室登校など段階的な支援が必要になる場合があるとしています。欠席が増えて単位や進級が心配な場合は、早めに担任に確認しておきましょう。欠席日数の考え方は、高校の欠席日数は何日まで?で整理しています。

冬休み明けに向けて、今からできること
秋の不調は、冬休み明けの「また行けなくなるかも」という不安にもつながりやすいものです。12月の冬至のころに向けて日はさらに短くなるため、今のうちに準備しておくと安心です。
- この秋の体調の波をメモしておき、どんな日に崩れやすいかを把握する
- 冬休み中も、起きる時刻を大きく崩しすぎない
- 休み明けの最初の1週間は、予定を軽めにしておく
- 3学期は欠席日数や単位が気になる時期なので、冬休み前に担任と状況を確認しておく
- 今の学校が体調に合わないと感じたら、転校や通信制高校も含めて、情報だけでも集めておく
個人差が大きいですが、春や秋など気温差が大きく天候が変わりやすい時期に、体調を崩しやすいといわれています。起立性調節障害についても、春や秋の季節の変わり目に症状が悪化しやすいことが知られています。毎年同じ時期に崩れる場合は、時期と症状をメモしておくと、医師や学校に相談するときに役立ちます。
季節の変わり目の不調には、自律神経や体内時計の乱れなど体の要因が関わっていることが多く、甘えと決めつけることはできません。起立性調節障害のように、怠けと誤解されやすい病気もあります。休むかどうかだけでなく、「休む日をどう過ごすか」を一緒に考えることが大切です。
朝起きられない、立ちくらみがするなど体の症状が中心であれば、まずはかかりつけの小児科や内科に相談するのが一般的です。気分の落ち込みや眠りの乱れが続く場合は、心療内科や精神科(児童思春期外来など)も選択肢になります。迷ったときは、かかりつけ医や学校の養護教諭に相談してみてください。
起立性調節障害の場合、朝は血圧が上がりにくく、大きな声で起こしても良い結果にはならないとされています。家族で起こし方を相談しながら、体調が比較的よくなる午後の過ごし方を考えるほうが現実的です。ODかどうか分からない段階でも、まずは様子を記録し、医師に相談しましょう。
崩れやすい時期が分かっているなら、それ自体が大きな手がかりです。その時期は予定を軽めにする、学校に前もって状況を伝えておく、体調が悪い日の過ごし方を決めておく、といった準備ができます。「ぶり返した」と落ち込むより、「今年はこう備えた」と少しずつ積み重ねていく考え方がおすすめです。
鳥取県教育委員会の資料では、午前中に起きられない状態が続く場合、開始時刻や登校頻度を体調に合わせやすい定時制や通信制のほうが継続しやすいといわれていると紹介されています。ただし、登校日数やスクーリングの形は学校によって大きく異なります。説明会などで、体調が悪い日の対応を具体的に確認してみてください。
まとめ
季節の変わり目、特に秋は、寒暖差や気圧の変化、日照時間の短縮、行事やテストが重なり、高校生が体調を崩しやすい時期です。それは本人の意志の弱さではなく、体と心に負担が重なった結果であることが多いと考えられます。
家庭では、起きる時刻をそろえる、朝の光を取り入れる、水分をとる、日中に少し体を動かす、といった小さな土台づくりから始めてみてください。そして、朝起きられない状態や気分の落ち込みが続くときは、ひとりで抱え込まずに医療機関や相談窓口を頼りましょう。
休みながら整えることは、遠回りのようでいて、次の一歩につながる大切な時間です。
相談窓口(再掲)
- 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省):0120-0-78310(24時間・無料)
- チャイルドライン:0120-99-7777(毎日16時〜21時、18歳まで)
- いのちの電話:0120-783-556(毎日16時〜21時、毎月10日は8時〜翌8時)
参考文献
- 鳥取県教育委員会 いじめ・不登校総合対策センター(監修:鳥取県医師会)「子どものココロとカラダの健康を支える~起立性調節障害(OD)の理解~」令和6年4月
- 一般社団法人 日本小児心身医学会 ホームページ
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
- 厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」用語解説「季節性うつ病」
- 名古屋市精神保健福祉センター「ここらぼ疾患ガイド④ うつ病(抑うつ症)」
- 文部科学省「子供のSOSの相談窓口」
- 厚生労働省「電話相談窓口」
執筆者:ニジ高編集部 2026年10月6日更新


