パンフレットはきれいで、説明会の先生も熱心。けれども「この学校、できてからまだ数年だよね」と気づいたとたん、急に不安になる。実績の少ない学校を選んで、うちの子は大丈夫だろうか。
この記事は、通信制高校やサポート校を探していて、開校して間もない学校が候補に入っている保護者の方と、本人に向けて書いています。
先にお伝えすると、「歴史が浅い=危ない」とは限りません。通信制高校はこの10年で100校近く増えていて、新しい学校が候補に入るのは珍しいことではないからです。大切なのは創立年ではなく、確かめるべき点を、確かめられる方法で確かめることです。法律で公開が決まっている情報の見方と、説明会で聞きたい質問をまとめました。
結論:歴史の浅い学校を見極める早見リスト
- 新しい学校が多いのは自然なことです。通信制高校は2014年度の231校から、2025年度は332校に増えました(文部科学省「学校基本調査」ほか)。
- 最初に「高校」か「サポート校」かを確かめる。卒業資格を出すのは高校です。サポート校なら、提携先の高校がどこかを確認します。
- 通信制高校には、情報を公表する決まりがあります。入学・退学・卒業の状況、授業料、連携する施設の名前と場所などです。
- 見るのは「制度・運営・現場」の3つの層。創立年は、そのうちの1つの材料にすぎません。
- 説明会では、数字で答えられる質問をする。答え方そのものが、体制を知る手がかりになります。
- 最後は本人の「合う・合わない」。体験や面談に、本人が参加できる機会をつくりましょう。
なぜ「歴史の浅い学校」が候補に入るのか
通信制高校で学ぶ生徒は、この10年で大きく増えました。2025年度の生徒数は30万5,221人で過去最多、高校生の約10人に1人にあたります。それに合わせて、学校の数も増えています。
| 年度 | 通信制高校の数 | うち公立 | うち私立 |
|---|---|---|---|
| 2014年度 | 231校 | 77校 | 154校 |
| 2024年度 | 303校 | 79校 | 224校 |
| 2025年度 | 332校 | 82校 | 250校 |
※出典=文部科学省「学校基本調査」。2014・2024年度はリクルート進学総研「マーケットリポート2024 高校の通信制課程 その現状と卒業生の進路変化」の集計、2025年度は令和7年度調査(5月1日現在)。2026年10月確認。

増えた学校のほとんどは私立で、2025年度の1年間だけでも29校増えています。つまり、今の通信制高校の中には、開校から10年たっていない学校がたくさんあるということです。サポート校も含めれば、なおさらです。
新しい学校の中には、最初からオンラインでの学び方や、不登校を経験した生徒への支え方を前提に設計されているところもあります。一方で、学校が増えたぶん、質の見極めが保護者と本人に任される場面も増えました。だからこそ、見る場所を知っておくことが大切です。
最初に確かめたい:「高校」か「サポート校」か
「通信制の学校」とひとくちに言っても、法律上の立場が違う2種類があります。ここを取り違えると、確かめるべき相手も変わってしまいます。
| 通信制高校 | 通信制サポート校 | |
|---|---|---|
| 法律上の立場 | 学校教育法の「高校」 | 法律上の学校ではない(民間の教育機関) |
| 卒業資格 | その高校が出す | 提携する通信制高校が出す |
| 設置の認可 | 私立は所在地の都道府県知事など | 認可の制度はない |
| 確かめる先 | 都道府県の私立学校担当や、学校の公表情報 | 提携先の高校と、運営する会社の情報 |
通信制高校には、学校のある都道府県の生徒を受け入れる「狭域通信制」と、複数の都道府県から生徒を受け入れる「広域通信制」があります。どちらも高校として認可を受けています。株式会社が運営する学校もあり、その場合は構造改革特区の制度で自治体の認可を受けています。
サポート校には認可の制度がないため、「どの高校と提携しているか」「運営しているのはどんな会社か」を見て判断することになります。用語の違いは通信制高校の用語、何から覚える?でも整理しています。
見るべきは創立年ではなく、「制度・運営・現場」の3層
歴史の浅さそのものより、次の3つの層で確かめられるかどうかが大切です。創立年は、「運営」の層を考える材料のひとつにすぎません。

| 層 | 確かめること | どこで確かめるか |
|---|---|---|
| 制度 | 高校としての認可、提携先の高校、卒業に必要な単位とスクーリング | 学校の公表情報、都道府県のサイト、募集要項 |
| 運営 | 運営する法人・会社、教職員の体制、学費の総額 | 会社概要、学費のページ、個別相談 |
| 現場 | 在校生・卒業生の声、質問への答え方、本人との相性 | 説明会、体験授業、見学 |
法律で公開が決まっている情報を見る
新しい学校は口コミが少なく、判断材料が足りないと感じやすいものです。そんなときに役立つのが、通信制高校に義務づけられている情報の公表です。
国の決まり(高等学校通信教育規程)では、通信制高校は教育活動の状況を公表することになっています。主な項目は次のとおりです。
| 公表される主な項目 | 見るときのポイント |
|---|---|
| 入学・退学・卒業などの状況 | 新しい学校でも、在籍者数や卒業者数の実際がわかる |
| 教職員の組織 | 先生の人数と、生徒の数とのバランス |
| 連携する施設の名称と位置 | サポート校や学習センターが、提携先として載っているか |
| 授業料などの費用 | 入学後にかかるお金まで含めて書かれているか |
| 通信教育の実施計画・学習支援 | レポート・スクーリング・試験の進め方 |
※出典=文部科学省「高等学校通信教育規程」第14条(情報の公表)、第4条の2。あわせて文部科学省「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」(2016年策定、2023年一部改訂)も参考になります。
学校のサイトで「情報公開」「教育活動等の状況」といったページを探してみてください。サポート校を検討している場合は、提携先の高校の公表情報に、そのサポート校の名前が載っているかも確かめておくと安心です。本校と連携して教育を行う施設は「通信教育連携協力施設」と呼ばれ、名称と所在地が公表の対象になっています。
また、同じ決まりの中で、一度に面接指導(スクーリング)を受ける生徒は40人以下とされています。スクーリングの人数や場所も、説明会で聞いてみるとよいでしょう。

運営する法人・会社の情報で見るポイント
「運営」の層では、学校を運営している法人や会社の情報を見ます。新しい学校でも、運営元がどんな組織かがわかれば、判断の材料はぐっと増えます。
| 見るところ | 確かめたいこと |
|---|---|
| 会社概要・法人概要 | 名称、所在地、代表者、設立年が書かれているか |
| ほかの事業 | 教育分野での経験や、関わっている学校・事業があるか |
| 先生・スタッフの紹介 | 誰が担任や相談を担当するのかが見えるか |
| 学費のページ | 金額が公開され、何に使われるお金かが書かれているか |
ここで大切なのは、情報が「あるかどうか」です。すべてが立派である必要はありません。聞けばきちんと答えてくれる、書いてあることと説明が食い違わない。そうした一貫性が、運営の誠実さを知る手がかりになります。
説明会・個別相談で聞きたい7つの質問
パンフレットに載らないことこそ、説明会で確かめたいところです。とくに歴史の浅い学校では、具体的な数字や事例で答えてもらえるかがひとつの目安になります。
| 質問 | 答えで見るポイント |
|---|---|
| 提携している通信制高校(本校)はどこですか | 高校名と、その高校の公表情報の場所まで教えてもらえるか |
| 今の在籍者数と、これまでの卒業者数は | 開校して間もない場合は、その理由も含めて率直に話してくれるか |
| 担任1人が受け持つ生徒は何人ですか | 人数と、連絡の頻度・方法が具体的か |
| 学費の総額は、3年間でいくらですか | 教材費・行事費・スクーリングの交通費まで含めて答えられるか |
| スクーリングはどこで、年に何日ですか | 場所・日数・宿泊の有無がはっきりしているか |
| 体調が悪い時期は、どう支えてもらえますか | 学習の遅れや単位への影響まで説明があるか |
| 合わなかった場合、転校や退学の手続きは | お金や単位の扱いを、隠さず説明してくれるか |
最後の質問は聞きにくいかもしれませんが、大事な質問です。やめるときに返るお金と返らないお金については、通信制高校をやめたら学費は返る?で整理しています。

説明会に行く前の準備と、比べるためのメモ
説明会では、話を聞いているうちに質問を忘れてしまいがちです。次の準備をしておくと、限られた時間を有効に使えます。
- 聞きたい質問を、優先順位をつけて書き出す。7つすべてを聞けなくても、上位3つは必ず聞きます。
- 学校の公表情報と学費のページを、先に読んでおく。読んでわからなかったところを質問にします。
- 本人の今の状態を、短くまとめておく。登校の状況や、得意・苦手なことを伝えると、具体的な答えが返ってきやすくなります。
- 学校ごとに同じ形のメモを残す。「提携先」「学費の総額」「担任の人数」「スクーリング」「本人の感想」の欄をつくっておくと、あとで比べやすくなります。
説明会のあとは、その日のうちにメモを見直しましょう。印象が新しいうちに、「よかった点」と「気になった点」を1つずつ書き足しておくと、複数校を比べるときに役立ちます。
「こんな学校は要注意」というサイン
- 卒業者数や進路について聞いても、数字がまったく出てこない
- 学費の総額を聞くと「詳しくは入学後に」とはぐらかされる
- 運営する会社の所在地や代表者が、公式サイトに見当たらない
- 提携先の高校の名前を、はっきり教えてもらえない
- 「今決めないと枠がなくなる」と、強く決断を急かされる
いくつも当てはまる場合は、いったん持ち帰り、ほかの学校とも比べてみてください。反対に、開校して間もないことを隠さず、わからないことは「確認してお返事します」と言える学校は、誠実に向き合ってくれる可能性が高いといえます。気になったことは、その場で決めずに「家族で相談してからお返事します」と伝えて大丈夫です。急かさずに待ってくれるかどうかも、学校を知る材料になります。
本人の「合う・合わない」を確かめる
制度も運営も問題がなくても、本人に合わなければ通い続けるのは難しくなります。とくに不登校を経験した子どもにとっては、「ここなら大丈夫かも」と感じられるかどうかが何より大切です。
- 体験授業や面談に、本人が参加する。オンラインの学校なら、自宅から気軽に試せます。
- 終わったあと、感想を急いで聞かない。「どうだった?」より、「疲れた?」くらいの声かけで十分です。
- 保護者と本人の印象が違っても、否定しない。違う理由を一緒に言葉にすると、学校選びの軸が見えてきます。
歴史の長い学校・浅い学校、それぞれの特徴
どちらが良い・悪いではなく、それぞれに向き・不向きがあります。
| 歴史の長い学校 | 歴史の浅い学校 | |
|---|---|---|
| 強み | 卒業生や進路の実績が多く、口コミも集まっている | オンラインや今の生徒の悩みを前提に設計されていることがある |
| 気をつけたい点 | しくみが昔のまま、1人の先生が多くの生徒を受け持つこともある | 卒業実績が少なく、運営の安定性を自分で確かめる必要がある |
| 向いている人 | 実績の数字を重視したい人 | 学び方や雰囲気が本人に合うことを重視したい人 |
よくある誤解
誤解1:「歴史が長い学校なら、必ず安心」
歴史は判断材料のひとつですが、それだけで今の体制はわかりません。長く続く学校でも、担任1人あたりの生徒数が多いこともあります。
誤解2:「口コミが少ない=評判が悪い」
新しい学校は在校生・卒業生の数自体が少ないため、口コミが少ないのは自然なことです。件数より、担任の対応やサポートの中身が具体的に書かれているかを見て読みましょう。
誤解3:「新しい学校は卒業資格が心配」
通信制高校として認可を受けていれば、卒業資格は全日制と同じ高校卒業資格です。サポート校の場合は、提携先の高校を卒業する形になります。心配なのは創立年ではなく、提携先と単位のしくみを確かめないまま決めてしまうことです。
比べるときの進め方
- 候補を3〜5校に絞る。通学の形やオンラインの有無など、譲れない条件を先に決めます。コースの違いは通信制高校のコース選びが参考になります。
- 公表情報と学費のページを見る。この段階で、確かめたいことをメモしておきます。
- 個別相談で、7つの質問をする。各校に同じ質問をすると、比べやすくなります。
- 本人が体験授業や面談に参加する。雰囲気が合うかどうかは、本人にしかわかりません。
- 入学・転入の時期と締め切りを確かめる。転入には受け入れの時期が決まっていることがあります。
保護者自身の不安との向き合い方
「失敗したらどうしよう」という不安は、子どもを大切に思っているからこそ生まれるものです。ただ、完璧な学校はありません。大切なのは、選んだあとに困ったとき、相談できる先があるかどうかです。
ひとりで抱え込まず、今の在籍校の先生、教育委員会の相談窓口、複数の学校の個別相談など、相談先を組み合わせると、情報の偏りが減ります。もし入学後に合わないとわかっても、転校という道は残されています。「一度決めたら終わり」ではないと知っておくだけでも、気持ちは少し楽になるはずです。
ニジ高という選択肢と、正直な注意点
私たちNIJIN高等学院(ニジ高)は、通信制高校と連携して学びを支える通信制サポート校です。「オンラインで青春」を合言葉に、全国どこからでも、海外からでも自宅から参加できます。不登校の小中学生のためのオンラインオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」の高等部です。
この記事で紹介した7つの質問には、ニジ高も個別相談でお答えします。提携先の通信制高校、担任の体制、3年間の費用、スクーリングの場所と日数など、気になることは遠慮なく聞いてください。
正直な注意点も書いておきます。ニジ高そのものは高校ではありません。卒業資格は提携する通信制高校に在籍して取り、学院内でのスクーリングはないため、提携校のスクーリングへの参加が必要です。費用は提携校の分とニジ高の分がかかり、ニジ高の分には就学支援金は使えません。金額は学費のご案内で公開しています。


気になることは、個別相談で全部聞いてください
提携先の高校、担任の体制、3年間の費用、スクーリングの場所まで、ニジ高の担当者が具体的にお答えします。保護者の方だけの参加もできます。
よくある質問
創立年だけで判断する必要はありません。高校としての認可、提携先、学費の総額、担任の体制などを確かめ、納得できれば選択肢になります。通信制高校は2014年度の231校から2025年度は332校に増えており、新しい学校が候補に入るのは自然なことです。
通信制高校は、高等学校通信教育規程により、入学・退学・卒業の状況、教職員の組織、授業料、連携する施設の名称と位置などを公表することになっています。学校のサイトの「情報公開」などのページを探してみてください。
サポート校は法律上の学校ではないため、提携している通信制高校がどこかと、運営する会社の情報を確かめます。提携先の高校の公表情報に、そのサポート校の名前が載っているかも確認すると安心です。
新しい学校は在校生・卒業生が少ないため、口コミが少ないのは自然なことです。件数よりも内容の具体性を見て、説明会や体験授業で自分たちの目で確かめることをおすすめします。
提携先の高校、在籍者数と卒業者数、担任1人あたりの生徒数、3年間の学費の総額、スクーリングの場所と日数、体調が悪い時期の支え方、合わなかった場合の手続きの7つがおすすめです。
創立年より、「確かめられるかどうか」
新しい学校を選ぶことに不安を感じるのは、子どものことを真剣に考えているからこそです。その不安は、見るべき場所を知ることで小さくできます。
やることはシンプルです。高校かサポート校かを確かめる。公表情報と学費を見る。説明会で同じ質問をして比べる。そして、本人が体験してみる。そのうえで納得できれば、歴史の浅さは、選ばない理由にはなりません。
比べる候補のひとつとして、入口だけ置いておきます。

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