高校を転校しようと思ったとき、多くの人が最初に詰まるのが理由です。書類にも書く欄があり、面接でも聞かれます。「本当のことを書いていいのか」「前の学校の悪口になってしまわないか」と手が止まる人は少なくありません。
この記事では、まず国の調査を使って実際にいちばん多い理由は何なのかを確かめます。そのうえで、書類と面接で理由をどう書けばいいかを、順番のかたちでお渡しします。理由は、あなたを試すために聞かれているのではありません。
結論:高校の転校理由の早見
- 高校をやめた人の主な理由でいちばん多いのは進路変更で41.5%。2番目が学校生活・学業不適応で35.0%でした(令和6年度・文部科学省)。
- 国は転校(転学)した人の理由を事由別に公表していません。いちばん近い公的な数字が、上の中退の統計です。
- 理由は2回登場します。1回目は学校から学校へ送る書類、2回目は転学先の面接です。
- 書類で理由を送るのはあなたではなく、いまの学校の校長です(学校教育法施行規則第92条)。
- 書き方の順番は事実・いま・これからの3つ。長く書く必要はありません。
- 前の学校を責める書き方にしない。ただし嘘も書かない。事実を短く書いて、これからに重心を置きます。
- 言葉にならないときは、体調や生活リズムという言い方で構いません。細かく説明する義務はありません。

「理由」は2回聞かれます。学校から学校へ、書類で渡るからです
最初に手続きの形を知っておくと、理由を書く気持ちがずいぶん軽くなります。
高校の転学は、学校教育法施行規則第92条で手順が決まっています。第1項は、他の高等学校に転学を志望する生徒がいるときは、校長がその事由を具し、在学証明書その他必要な書類を転学先の校長に送付しなければならないと定めています。そして転学先の校長は、教育上支障がない場合には転学を許可することができる、と続きます。
ここで大事なのは2つです。1つは、理由を送るのはあなたではなく、いまの学校の校長だということ。あなたが書くのは、その材料になる願い出の文章です。もう1つは、受け入れるかどうかを決めるのは転学先の校長であり、判断の基準は「教育上支障がないか」だということです。理由の良し悪しを採点する仕組みではありません。
2回目は、転学先の面接です。ここで聞かれる理由は、書類の確認というよりこれから続けられそうかを見るための質問です。だから、過去の説明を長くするより、これからの話を用意しておくほうが噛み合います。

いちばん多い理由は「進路変更」。国の調査で確かめました
「自分だけが変な理由で転校しようとしているのでは」と思う人がいます。そこで、公的な数字を見ておきます。
文部科学省の「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、高校の中途退学者は44,571人、中途退学率は1.4%でした。その主な理由の内訳は次のとおりです。
| 主な理由 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 進路変更 | 18,505人 | 41.5% |
| 学校生活・学業不適応 | 15,618人 | 35.0% |
| 学業不振 | 2,814人 | 6.3% |
| その他 | 2,474人 | 5.6% |
| 病気・けが・死亡 | 1,799人 | 4.0% |
| 問題行動等 | 1,506人 | 3.4% |
| 家庭の事情 | 1,306人 | 2.9% |
| 経済的理由 | 549人 | 1.2% |
出典:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」(2026年9月19日確認)。中途退学者1人につき主たる理由を1つ選んだ集計です。
正直に書いておくと、この数字は転校の統計ではありません。中途退学者には、他の高校へ転学した人は含まれていません。国は転校の理由を事由別に集計して公表していないので、いちばん近い公的な数字としてこれを見ています。
そのうえで言えることがあります。進路変更と学校生活・学業不適応の2つで、全体の76.5%を占めているということです。8割近くが、事件や問題行動ではなく、合わなかったから場所を変えたという理由です。あなたの理由も、たぶんこの中に入ります。
よくある5つのきっかけ
相談の現場で実際によく聞く形にすると、きっかけはおおよそ次の5つに分かれます。どれか1つではなく、2つ3つが重なっていることのほうが多いです。
- 人間関係がつらくなった。クラスや部活で居場所がなくなった。特定の相手を避けるために学校ごと避けるようになった。
- 体調や心の不調が続いた。朝起きられない。教室に入ると具合が悪くなる。理由を自分でも説明できない。
- 授業のペースに追いつけなくなった。一度分からなくなってから戻れない。課題がたまって出せなくなった。
- 出席日数が足りなくなってきた。休んだ分を取り返せる見通しが立たず、進級が危うくなった。
- やりたいことが変わった。専門的に学びたいことができた。働きながら学びたい。学校にいる時間を別のことに使いたい。
5番目だけは前向きに見えて、ほかは後ろ向きに見えるかもしれません。でも書類の上では、どれも進路変更または学校生活・学業不適応という同じ枠に入ります。順位も優劣もありません。
出席日数が心配な場合は、転校を決める前に上限を確認しておくと判断が早くなります。高校 出席日数の記事に、学則の基準と数え方をまとめています。

不登校からの転校は、珍しい話ではありません
同じ調査には、高校の不登校についての数字もあります。高等学校における不登校の生徒数は67,782人で、前年度より988人減りました。そのうち中途退学に至った者が10,566人(15.6%)、原級留置(留年)になった者が2,963人(4.4%)です。
逆に読むと、不登校になった生徒の8割は、退学にも留年にもなっていないということです。多くは、休みながら在籍を続けるか、途中で場所を変えています。
学校が把握していた事情の上位も出ています。高校の不登校生徒について、いちばん多かったのは学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった(26.9%)、次が生活リズムの不調に関する相談があった(26.2%)、3番目が不安・抑うつの相談があった(16.0%)でした。いじめの被害の情報や相談があったのは0.9%です。
つまり、学校に行けなくなる理由の多くははっきりした事件ではなく、名前のつけにくい不調です。だから「理由をうまく説明できない」のはあなたの落ち度ではありません。統計のほうも、そうなっています。

転校の理由を書く順番は「事実・いま・これから」の3つです
では実際に書くときの形です。長い文章は要りません。次の3つを、この順番で短く書きます。
- 事実。何があったかを、評価の言葉を入れずに書きます。「2年生の6月から体調を崩し、9月以降は登校できない日が増えました」のように、出来事と時期だけを書きます。
- いま。現在どうなっていて、何が続けられて何が難しいかを書きます。「通院しながら家庭学習は続けています。朝の時間帯の登校が難しい状態です」。
- これから。新しい学校で何をしたいかを書きます。ここがいちばん見られます。「自分のペースで単位を取りながら高校を卒業し、◯◯の分野に進みたいと考えています」。
3つ合わせて、200字から300字で十分です。事実を短く、これからを厚く。この配分だけ守れば、形になります。
書き方は、言い換えるだけで印象が変わります
同じ事実でも、書き方で伝わり方が変わります。よくある3つのパターンを並べます。
| 状況 | 避けたい書き方 | おすすめの書き方 |
|---|---|---|
| 人間関係 | クラスの一部の生徒に嫌がらせを受け、先生も動いてくれなかったため | 人間関係の悩みが続き、登校が難しくなりました。落ち着いた環境で学び直したいと考えています |
| 体調 | 学校がストレスで体調を崩したため | 体調を崩し、通院しながらの生活になりました。無理なく続けられる学び方を選びたいと考えています |
| 学業 | 授業が速すぎてついていけなかったため | 自分の理解のペースと授業の進度が合わず、学び直しのできる環境を希望しています |
左の書き方が悪いわけではありません。事実として本当なら、それは本当です。ただ、書類は転学先の校長が読むもので、読む側は「うちで続けられそうか」を知りたがっています。前の学校の評価を書くほど、その答えからは遠ざかります。原因の説明より、これからの条件を書くほうが伝わります。
ひとつだけ注意があります。嘘は書かないでください。体調の配慮が必要なのに「特にありません」と書くと、入学後に必要な支援が受けられません。言いたくないことは書かなくていいですが、必要なことは書いてください。
転入と編入で、書く内容は少し変わります
言葉の整理をしておきます。転入は、いまの高校に在籍したまま次の高校へ移ることです。編入は、一度退学してから改めて入ることです。
転入の場合、理由はいまの学校の校長が書類に記して送ります。あなたが書くのは、その前段の願い出です。編入の場合は、すでに在籍がないので、自分で経緯を説明する比重が大きくなります。空白期間があれば、その間何をしていたかも聞かれます。
もう1つ、実務上とても大きい違いがあります。転入のほうが、修得した単位を引き継ぎやすいということです。学校教育法施行規則第92条第2項は、全日制・定時制・通信制の相互の転学や転籍について、修得した単位数に応じて相当学年に転入できると定めています。退学してしまうと、在籍期間の扱いで不利になることがあります。
やめる前に相談してください。順番が逆になると、取り返しにくくなります。違いは通信制高校 転入 後悔の記事でも整理しています。費用の違いは通信制高校に転校する費用にまとめました。

理由が言葉にならないときは、そのままでいい
ここまで書き方の話をしてきましたが、そもそも理由がはっきりしないという人がいます。特別な事件があったわけでもなく、ただ行けなくなった。そういう場合、書類の前で固まってしまいます。
そのときは、体調や生活リズムという言い方で構いません。先ほどの調査でも、学校が把握していた事情の上位は「やる気が出ない等の相談」「生活リズムの不調」でした。名前のつかない不調は、統計に出るほど普通のことです。
それでも書けないときは、保護者や担任に、話しながら書いてもらってください。1人で文章にしなくていい。むしろ、人に話してから書いたほうが短くまとまります。
もうひとつ、よくある詰まり方があります。理由を1つに絞ろうとして書けなくなるというものです。実際には、人間関係と体調と学業の3つが同時に絡んでいることのほうが普通です。書類の欄が小さいと、どれか1つを選ばなければいけない気がしてきますが、そんな決まりはありません。いくつか重なっていますと書いて、いま最も大きいものを1つ添えれば十分です。読む側も、原因を1つに特定しようとしているわけではありません。
選択肢の1つとしての通信制・サポート校(正直な注意点)
転校先として通信制高校を考える人は多いです。単位はレポート・スクーリング・試験で認定されるので、日々の出席日数で進級が決まりません。体調に波がある人にとっては、ここが最大の違いです。
正直な注意点も書きます。通信制は、自分で進める部分が大きい学び方です。誰も催促しない環境だと、レポートが止まったまま時間だけが過ぎることがあります。そのため、通信制高校に在籍しながら支援を受けるサポート校を併用する人もいますが、こちらは費用が二重になり、サポート校の分には国の就学支援金が使えません。この二段構造はサポート校 学費で確認しています。
私たちNIJIN高等学院(ニジ高)も、その選択肢の一つです。オンラインが中心で、全国どこからでも参加できます。担任がつき、カメラもマイクもオフのまま、チャットだけの参加から始めても構いません。これまでに650名以上の不登校の生徒を支えてきました。転入・編入は随時受け付けていて、出願費用は無料です。正直な注意点も書きます。学院内でのスクーリングはありません。高卒資格のためには提携する通信制高校のスクーリングに参加する必要があり、私たちはその準備と当日を支える立場です。学費は学費のご案内で公開しています。
運営は株式会社NIJINです。小中学生の場合は、同じグループが運営するNIJINアカデミー(不登校の小中学生のためのオンラインオルタナティブスクール。500名超が在籍)という選択肢もあります。中学卒業後にニジ高へ進む生徒もいます。
選ぶときは、止まったときに誰が気づいてくれるかを必ず聞いてください。仕組みの説明より、その一点のほうが続くかどうかを分けます。
理由より先に、時期と単位を確かめてください
理由の書き方でつまずいている間に、もっと大きな条件が過ぎていくことがあります。それが受け入れの時期と単位の引き継ぎです。
公立高校の転入学は、多くの都道府県で欠員がある場合に限り実施され、学期の区切り(多くは学期末や年度末)に合わせて選考が行われます。募集する学校名と教科は、各都道府県の教育委員会が期ごとに公表します。つまり行きたい学校に空きがあるかどうかは、時期によって変わります。一方、私立の通信制やサポート校には、転入を随時受け付けているところがあります。時期の自由度は、公立と私立でかなり違います。
単位のほうは、もっと切実です。高校の単位は科目ごとに、1年を修了した時点で認定されるのが基本です。そのため、年度の途中でやめると、その年に受けていた科目の単位は残らないことがあります。ここで、転入と編入の差が出ます。在籍したまま転入すれば、在籍期間が途切れません。退学してから編入すると、空白期間の扱いや、卒業までに必要な在籍年数の数え方で不利になることがあります。
だから順番は、理由を完璧に書くことより先に、次の2つを聞くことです。いつ入れますか。いま持っている単位を何単位引き継げますか。この2つの答えが、選べる学校を決めます。理由の文章は、そのあとで整えれば間に合います。
迷ったときの進め方(3ステップ)
- やめる前に相談する。転入と編入では単位の引き継ぎが変わります。いまの学校に在籍したまま動くほうが、選択肢は広くなります。
- 理由を3行で書いてみる。事実・いま・これから。完成させなくていいので、いったん書き出します。書けない部分は空けたままで構いません。
- 受け入れ側に条件を聞く。いつ入れるか、単位を何単位引き継げるか、スクーリングは年に何日か。この3つを聞けば、現実的な候補が2〜3校に絞れます。

転校の理由を、いっしょに3行にするところから始めます
個別相談会では、いま何が起きていて、何単位引き継げそうかを一緒に整理します。理由がまとまっていなくて構いません。話しながら書いたほうが、短くまとまることのほうが多いです。
個別相談会を見てみる →よくある質問
A. 嘘を書く必要はありませんが、すべてを詳しく書く義務もありません。書類は転学先の校長が「教育上支障がないか」を判断するためのものです。体調や配慮が必要なことは伝え、前の学校への評価は書かないのがおすすめです。
A. 配慮が必要な事情がある場合は、伝えたほうが入学後の支援につながります。ただし書類に詳細を書くかどうかは別で、面接や個別の相談の場で伝える方法もあります。どこまで書くかは、いまの学校の担任やスクールカウンセラーと相談して決めてください。
A. 学校教育法施行規則第92条では、転学先の校長は教育上支障がない場合に転学を許可することができる、と定められています。定員に空きがない場合や、修得単位の関係で受け入れが難しい場合に許可されないことはあります。理由の内容そのもので判断されるというより、受け入れの条件が合うかどうかです。
A. 学校によりますが、転校しようと思った理由、いまの生活の様子、入学後にやりたいことが中心です。過去の説明より、これからの話を用意しておくほうが噛み合います。答えに詰まったら「うまく言葉にできないのですが」と前置きして構いません。
A. 反対の中身が「やめてほしい」なのか「先が見えないのが怖い」なのかで、話し方が変わります。多くは後者です。卒業までの単位数、かかるお金、卒業後の進路の3つを具体的な数字で示すと、話が進みやすくなります。1人で説明せず、学校の説明会に一緒に行くのも方法です。
理由は、責められるためのものではありません
転校の理由を書く手が止まるのは、その紙が自分を評価するものに見えるからだと思います。でも実際には、受け入れ側が続けられる環境を用意するための情報です。だから、事実を短く、これからを厚く書けば十分です。
国の統計では、高校をやめた人の8割近くが進路変更か学校生活・学業不適応でした。場所が合わなかったから変える。それは、統計の上でもごく普通の理由です。今すぐ決めなくて大丈夫です。順番に確かめていけば、必ず形になります。

理由がうまく言葉にならなくても、次の場所は探せます。
全国どこからでもカメラ・マイクはオフでOK転入・編入は随時受付
通信制高校サポート校 NIJIN高等学院(ニジ高)/出願費用は無料です。無理に勧めることはありません。
あわせて読みたい

