今の全日制高校から通信制高校に移ることを考え始めたとき、いちばん気になるのは「いつまでに動けば、同級生と同じ3月に卒業できるのか」ではないでしょうか。高3の夏や秋になって「もう間に合わないのでは」と焦りながら調べている方もいると思います。
先に答えをお伝えすると、決め手は学年そのものより「前の学校で修得した単位」と「転入先が受け入れてくれる月」です。前の学校にいた期間と修得した単位は転入先で数えてもらえるので、高1・高2なら3月卒業の見通しは立てやすく、高3は受け入れ月と残りの単位によって答えが分かれます。
この記事は、学校教育法・同施行規則・単位制高等学校教育規程の条文(e-Gov)、文部科学省の資料、北海道有朋高校と埼玉県立大宮中央高校の募集案内、東京都教育委員会の転学募集資料、私立の広域通信制2校の公式サイトを実際に開いて確認した内容でまとめています。学校によって違い、一般化できない部分は、そう書いています。
結論:全日制から通信制へ移るタイムリミットの早見
- 通信制でも卒業には「在籍3年以上」「74単位以上」「特別活動30単位時間以上」が必要です。転入では、前の全日制で修得した単位と在籍した期間に応じて、残りの期間が決まります。
- 高1・高2で移るなら在籍期間は足りるので、焦点は残りの単位を卒業までに積めるかです。学年末で単位が確定してから4月に移ると、単位の照合がいちばん単純になります。
- 公立の通信制は転入できる月が決まっています。2026年度は、北海道有朋高校が5月15日付と6月15日付、大宮中央高校の単位制による通信制の課程が10月入学、都立3校が第二学期(9月)の転学募集でした。
- 私立の広域通信制は毎月受け入れる学校が多い一方、高3には最終月があります。N高等学校は3年次の最終転入学受け入れ月を12月、ID学園高校は12月1日付を同級生と同時に卒業する場合の最終としています(どちらも単位による)。
- 高3で3月に卒業できるかは、残りの単位を年度内に取り切れるかで決まります。通信制はレポートを年度末にまとめて出すことが認められていないため、移るのが遅いほど取れる単位は減ります。
- 先に退学すると「転入」ではなく「編入」になり、受け入れ月が少ないうえ、退学から入学までの月は在籍期間に数えられません。退学届の前に転入先の見通しを立てるのが基本の順番です。
- 「全日制と通信制の併用」は、2つの高校に同時に籍を置くことではありません。制度としてあるのは、在籍校の校長が認めた場合に他校で修得した単位を加える「併修」です。
「高3だからもう遅い」とは限らない。決め手は学年より単位と受け入れ月です
「全日制から通信制」と検索する人の状況は、だいたい次のどれかです。
- 高1の途中から学校に行きづらくなり、このまま2年生に上がれるか不安になっている
- 高2になって欠席が増え、進級か転校かを決めなければいけない時期が近づいている
- 高3の夏以降に「このままでは卒業できないかもしれない」と気づき、今からでも間に合う方法を探している
どの場合も、よく聞くのは「高3の途中からでは遅い」「年度の途中では転入できない」という話です。けれど実際には、同じ高3の秋でも、修得済みの単位が多く残りが少ない人は間に合う可能性があり、単位が大きく足りない人は高2でも3月卒業が難しいことがあります。学年だけで判断すると、動けるはずの時期を逃したり、反対に無理な転入を急いだりしてしまいます。
そこでこの記事では、次の3つを順番に確かめます。
- 通信制の卒業条件と、前の学校の分がどう数えられるか
- 公立・私立の通信制が、実際に何月付で転入を受け入れているか
- 高3の年度途中に移った場合、残りの単位を年度内に取り切れるか
保護者の方にお伝えしたいのは、この3つは本人の気持ちが固まる前でも調べられる、ということです。転校するかどうかを決めるのは後でかまいません。「いつまでなら、どの選択肢が残っているか」を先に知っておくだけで、話し合いがずっと落ち着いたものになります。

卒業の条件は3つ。前の学校の在籍期間と単位は、転入先で数えてもらえます
通信制に移っても、卒業のハードルが下がるわけではありません。まず条件そのものを条文で確認します。
| 条件 | 中身 | 根拠 | 前の学校の分 |
|---|---|---|---|
| 在籍期間 | 3年以上 | 学校教育法 第56条(通信制の修業年限は3年以上) | 在学した期間に応じて数える(休学期間は含めない学校がある) |
| 単位 | 74単位以上 | 学校教育法施行規則 第96条 | 修得済みの単位を加えられる(施行規則 第92条第2項・単位制高等学校教育規程 第7条) |
| 特別活動 | 卒業までに30単位時間以上 | 高等学校学習指導要領 総則(通信制の課程の特例) | 転入生に必要な時間は転入先で確認 |
転学の扱いについて、施行規則第92条第2項は「全日制の課程、定時制の課程及び通信制の課程相互の間の転学又は転籍については、修得した単位に応じて、相当学年に転入することができる」と定めています。全日制から通信制へ移る場合も、この規定が働きます。
通信制高校の多くが採っている単位制の課程については、さらに具体的です。単位制高等学校教育規程の第5条は、転学を「修得した単位及び在学した期間に応じて、相当の期間を在学すべき期間として」許可できるとしています。つまり、前の学校で過ごした期間と取った単位の両方を見て、「あとどれだけ在学すればよいか」が決まる仕組みです。
学校の公式情報でも同じ考え方が確認できます。
- N高等学校のよくある質問は、卒業の要件に「在籍年数が3年以上」「合計修得単位数が74単位以上」などを挙げたうえで、転入学・編入学の人は前籍校の在籍期間・修得単位が加味される場合があり、休学期間は在籍期間に含まれないとしています。
- 北海道有朋高校のQ&Aは、前の高校で修得した単位を引き継げるので卒業までの年数は一人ひとり違い、単位が多ければ1年間での卒業も可能としています。ただし「前籍校の在籍が2年以上必要」と書かれています。
ここから分かるのは、高1・高2で移る人にとって、在籍期間の条件はほぼ問題にならないということです。全日制にいた期間を数えたうえで、3年目の3月に在籍3年を満たせます。問題になりやすいのは単位のほうで、これは次の早見表で学年ごとに見ていきます。
転学の手続きの順番や、条文ごとの読み方は通信制高校 転入の記事で詳しく整理しています。この記事は「いつまでに」に絞ります。
出典:学校教育法/学校教育法施行規則/単位制高等学校教育規程(e-Gov、2026年9月確認)/文部科学省「通信制高校に関する関係法令等(抜粋)」/N高等学校 よくある質問/北海道有朋高校 通信制Q&A
※2026年9月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。
学年別の早見表。高3は「夏前」と「12月」が分かれ目になりやすい
ここまでの条件と、この記事で確認した学校の受け入れ月を重ねると、学年・時期ごとの見通しは次のようになります。「◯月までなら誰でも間に合う」という一律の線は、公式資料からは引けません。表は、判断の順番をつかむための目安として見てください。
| 移る時期 | 3月卒業の見通し | 先に確かめること |
|---|---|---|
| 高1の途中 | 在籍期間は通算できるので立てやすい。修得単位はまだ少なく、都立の一橋・砂川では修得13単位以下が第1学年相当 | 今の学年の履修中の科目を転入先がどう扱うか |
| 高1の学年末(3月) | 1年分の単位が確定してから4月に移れるので、照合が単純 | 公立の4月転入の出願時期(大宮中央は3月) |
| 高2の途中 | 残り1年半ほどで必要な単位を積めるかで決まる | 転入先の年間の履修上限と、受け入れ月 |
| 高2の学年末(3月) | 残りの単位を高3の1年間で取り切れるかで決まる | 修得済みの単位数(74から引いた残り) |
| 高3の4〜6月 | 公立も選択肢に残る時期(有朋は6月15日付が最後) | 公立は住所の条件と出願期間 |
| 高3の7〜10月 | 公立は学期の区切りの募集に限られる(都立は9月、大宮中央の単位制課程は10月)。私立が中心になる | その月から入って3月までに取れる単位数 |
| 高3の11〜12月 | 私立の最終月にあたる時期(N高は3年次12月、ID学園は12月1日付)。残りの単位が少ない人に限られる | 引き継げる単位で3月卒業が可能かの事前相談 |
| 高3の1月以降 | 今回確認した学校では、3月卒業に向けた受け入れは見当たらなかった | 3月以外の卒業時期や、年度をまたぐ計画 |
数字で考えると、74単位を3年で割ると1年あたり約25単位です。高2の学年末までに修得した単位が多い人ほど、高3で必要な残りは少なくなります。反対に、欠席が増えて今年度の単位が認められそうにない場合は、学年が進んでいても残りの単位が多くなります。欠席の数え方と、単位が認められる基準は高校 出席日数の記事で先に確認しておくと、自分の位置がつかみやすくなります。
もう1つ、年度の途中で移るときに気になるのが、今の学年でまだ評価が出ていない科目の扱いです。東京都教育委員会の転学募集では、出願の前に志願先の都立高校で単位の照合を行い、「転学前に修得済みの単位と自校の教育課程等を照合し、転学後に卒業に必要な単位の履修及び修得が可能かどうか確認する」としています。途中まで学んだ分を転入先がどこまで考慮するかは学校によって違い、一般的な扱いを示した公的資料は今回見つけられませんでした。転入先に聞くときは「修得済みの単位」と「今年度に履修中の科目」を分けて伝えると、答えがはっきりします。

公立の通信制は、転入できる月が年に1〜2回。3つの公式資料で確かめました
公立の通信制高校は費用が抑えられる(大宮中央高校は1年間2〜3万円程度と案内)一方、転入を受け付ける時期が決まっています。2026年度の公式資料で確認できた例をまとめます。
| 学校 | 転入の時期 | 出願と選考 | 気をつける点 |
|---|---|---|---|
| 北海道有朋高校(通信制) | 5月15日付・6月15日付 | 出願は3月18日〜4月3日/4月24日〜5月14日。書類のみで選考 | 最初に在籍校の管理職から電話で「転学照会」が必要 |
| 埼玉県立大宮中央高校(通信制の課程) | 4月 | 転入生の出願は3月17日・23日・24日。書類選考と面接 | 埼玉県内に居住・勤務していること(予定を含む) |
| 同(単位制による通信制の課程) | 10月入学 | 出願は9月1日・2日、試験は9月9日(英数国の学力試験と小論文) | 9月末に高校に在学していることが転入学の条件 |
| 都立 一橋・新宿山吹・砂川(通信制) | 第二学期の転学募集 | 受付は8月18日〜22日の間で学校ごと。国語・数学・英語の学力検査 | 出願前に志願先で単位を照合。都内に住所か勤務先があること |
それぞれの資料から、時期に関わる点を補足します。
北海道有朋高校:受け入れは5月と6月の2回だけ
有朋高校の転入学の案内には、「今年度より本校では5月、6月の転入学を受け入れています」とあり、2026年度の受付はすでに終了と表示されていました。つまり、高2の秋に「転校したい」と思っても、有朋高校に移れるのは翌年度の5月15日付が最短ということになります。
同じQ&Aでは、1年間に修得できる単位について、1年次は20単位、2年次以降は学習状況によって違うものの「1年間の上限は25単位」としています。中学卒業から入学した場合の卒業までの年数は「標準的には4年(最短で3年)」です。前の学校の単位がある転入生は事情が違いますが、公立の通信制は、年間に取れる単位に上限を設けていることがあると覚えておいてください。
大宮中央高校:4月入学の課程と10月入学の課程がある
大宮中央高校には、4月に入学する「通信制の課程」と、9月に試験を行い10月に入学する「単位制による通信制の課程」があります。後者の募集要項では、転入学の資格を「令和8年9月末現在、高等学校に在学している者」、編入学を「現在は高等学校に在学していないが、高等学校での修得単位を有する者」と分けています。高3の秋に公立を考えるなら、こうした学期の区切りの募集が現実的な選択肢になります。
都立の通信制3校:第1学年相当か、第2学年相当以上か
東京都教育委員会の令和8年度第二学期転学・編入学募集では、通信制課程は3校で計206名(第1学年相当58名・第2学年相当以上148名)でした。区分は修得単位数で決まり、一橋高校と砂川高校は13単位以下が第1学年相当、14単位以上が第2学年相当以上、新宿山吹高校は18単位以下と19単位以上で分けています。応募資格には、スクーリングに出席できることも含まれます。
3つの例に共通するのは、公立は「受け入れ月」と「出願期間」が合わないと出願できないことです。大宮中央高校と都立の通信制では、その都県に住所か勤務先があることも条件でした。公立を第一候補にするなら、次の受け入れ月から逆算して、今の学校に相談する時期を決めるのが順番です。
出典:北海道有朋高校 転入学検討の方/埼玉県立大宮中央高校 通信制志願者の皆さん・単位制による通信制の課程/東京都教育委員会「令和8年度第二学期都立高等学校転学・編入学募集」(いずれも2026年9月確認)

私立の広域通信制は毎月受け入れが多い。それでも高3には「最終月」があります
私立の通信制高校、特に全国から生徒を受け入れる広域通信制は、公立より転入の時期に幅があります。ただし「いつでも入れる」と「いつ入っても3月に卒業できる」は別の話です。公式サイトで学年ごとの最終月を示している例を2つ挙げます。
| 学校 | 転入の受け入れ | 高3(3年次)の最終 | 確認した公式情報 |
|---|---|---|---|
| N高等学校(N高グループ) | ネットコースは随時。受け入れ日は毎月1日が基本 | 3年次の最終転入学受け入れ月は12月(1・2年次は1月) | 公式コラム(2025年3月10日更新) |
| ID学園高校 | 高3からの転入について公式ブログで案内 | 12月1日付の転入が、同級生と同じタイミングで卒業する場合の最終(引き継げる単位数による) | 公式ブログ(2026年5月10日) |
N高等学校のよくある質問では、Web出願と書類の提出は入学を希望する月の約1か月前が目安とされています。12月1日付を考えるなら、11月の初めには出願の準備に入っている必要がある計算です。また、同じ公式コラムでは編入学の入学月を4月・7月・10月・1月としており、在学中に移る転入より機会が少なくなっています。
ID学園高校のブログは、特に2学期以降に転入する場合、転入先の卒業条件として「何ヶ月以上在籍する必要がある」といった条件を示している学校もある、と注意を促しています。最終月に間に合っても、引き継げる単位や学校ごとの在籍条件によっては3月に卒業できないということです。どちらの学校も「単位による」「事前に相談を」と書いており、12月は誰にとっても間に合う期限ではありません。
ここで紹介したのは公式に数字を出していた2校で、他の私立校の最終月は学校ごとに異なります。N高等学校のコラムは2025年3月の更新なので、2026年度の運用は出願前に学校へ確認してください。
出典:N高等学校「通信制高校への編入・転入の単位と時期は?」/N高等学校 よくある質問/ID学園高校「通信制高校に高3から転入する場合に気をつけたい事」(2026年9月確認)

高3の転入で3月に卒業できるかは、「残りの単位を年度内に取り切れるか」で決まる
高3の年度途中に移る人が知っておきたいのは、通信制の単位が「在籍しているだけ」では認められないことです。通信制の単位は、レポート(添削指導)、スクーリング(面接指導)、試験を積み重ねて認定されます。高等学校学習指導要領は、1単位あたりの標準を次のように定めています。
| 科目 | 添削指導(1単位あたり) | 面接指導(1単位あたり) |
|---|---|---|
| 国語・地理歴史・公民・数学 | 3回 | 1単位時間 |
| 理科 | 3回 | 4単位時間 |
| 保健体育のうち「体育」 | 1回 | 5単位時間 |
| 芸術・外国語 | 3回 | 4単位時間 |
※1単位時間は50分として計算します(高等学校学習指導要領 第1章 総則「通信制の課程における教育課程の特例」)。
そのうえで、文部科学省の「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」は、年度末や試験前にまとめて添削課題を提出させる運用は行わないこと、学期の途中に転入学を受け入れる際は前籍校での学習状況を十分に確認したうえで適切な教育を行うことを求めています。
これを高3の転入に当てはめると、次のことが言えます。
- レポートとスクーリングは年間の計画に沿って進むので、移るのが遅いほど、その年度に取れる単位は少なくなる。
- 転入先が年間の上限を設けている場合、残りの単位がそれを超えると3月卒業は難しい(例:有朋高校は2年次以降の上限を25単位としている)。
- 理科・芸術・外国語・体育はスクーリングの時間が多く、日程に出られるかも条件になる。
高3の転入を考える人が、転入先に聞くべきことを整理しておきます。
- 今の修得単位で、何月付に入れば今年度の3月に卒業できる見込みか
- 残りの単位のうち、今年度に登録できる科目と、スクーリングの日程
- 休学した期間がある場合、在籍期間はどう数えるか
- 3月に間に合わない場合、次に卒業できる時期はいつか
4つ目について、制度上は3月以外の卒業もありえます。施行規則第104条第3項は、校長が特別の必要があり教育上支障がないときは学期の区分に従って卒業を認めることができるとし、単位制高等学校教育規程第3条も、学期の区分に従って入学・卒業させることができるとしています。ただし、実際に9月などの卒業を行っているかは学校ごとなので、候補の学校に直接確かめてください。
高3で移るときのメリットと注意点は、通信制高校 転入 高3の記事でも取り上げています。
出典:文部科学省「通信制高校に関する関係法令等(抜粋)」(高等学校学習指導要領 総則・高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドラインを収録)/学校教育法施行規則(2026年9月確認)
退学してから探すと「編入」になる。空白の月は在籍期間に数えられません
「先に今の学校をやめて、落ち着いてから通信制を探したい」と考える方は少なくありません。気持ちは自然なことですが、時期の面では不利になりやすい点を先にお伝えします。
| 項目 | 転入(転学) | 編入 |
|---|---|---|
| 今の状態 | 高校に在学中(N高等学校は休学中も転入生として扱う) | 高校を退学していて、修得した単位がある |
| 手続きの起点 | 在籍校から転入先へ(転学照会・在学証明書など) | 本人が転入先に出願する |
| 受け入れ月の例 | N高等学校は毎月1日が基本/有朋高校は5月・6月 | N高等学校は4・7・10・1月/有朋高校は4月(出願は2月) |
| 在籍期間 | 途切れずにつながる | 退学から入学までの月は在学していないので数えない |
施行規則第94条は、生徒が退学しようとするときは校長の許可を受けなければならないと定めています。退学の話が出たときに、その場で退学届を書く前に「転学を考えている」と伝えれば、転入のルートを残せます。
空白の期間ができると、在籍3年の計算にその月が入らないため、同級生と同じ3月に卒業するのが難しくなります。例えば有朋高校では、編入学は4月入学で出願は2月でした。夏に退学してから探し始めると、次の4月まで在籍しない月が続くことになります。転入と編入の違いをさらに細かく比べたい場合は、転入 編入 違いの記事をご覧ください。
就学支援金も「在学した月数」で通算されます
お金の面でも、前の学校の期間は数えられます。国の高等学校等就学支援金は在学期間が通算36月までで、通信制に在学した月は4分の3で数えるため、通信制だけなら実質48月です。文部科学省のQ&Aは、全日制から通信制に移った場合の計算を「48月-(全日制の在学月数)×4/3(端数切捨て)」と示しており、全日制に20か月在学していた場合、通信制で受けられる期間は22か月です。
2026年度から、私立通信制の就学支援金は所得制限なしで年337,200円が上限(1単位13,668円)、公立通信制は1単位336円です。同級生と同じ時期に卒業する計画なら期間が足りなくなることは考えにくい一方、卒業が延びると残りの月数が効いてきます。転校の時期とお金の関係は通信制高校 転校 費用の記事で詳しく計算しています。
出典:文部科学省 高等学校等就学支援金制度に関するQ&A/北海道有朋高校 編入学検討の方(2026年9月確認)
「全日制と通信制の併用」は二重在籍ではない。制度としてあるのは「併修」です
「通信制高校 全日制併用」と検索する方もいます。今の全日制に籍を置いたまま、通信制高校にも入って単位を取れないか、という発想です。結論から言うと、転学は籍を移す手続きであり、2つの高校に同時に在籍する形にはなりません。
施行規則第92条は、転学を志望する生徒について、今の学校の校長が在学証明書などを転学先の校長に送り、転学先の校長が許可する流れを定めています。大宮中央高校の募集要項には、期日までに入学手続きを終えないと入学辞退となり、「学籍は現在在籍している高校に戻る」と書かれています。籍は常にどちらか一方にある、という前提で手続きが組まれていることが分かります。
一方で、全日制に在籍したまま他の学校の科目を学ぶ仕組みは、条文にあります。
- 施行規則第97条第1項:校長が教育上有益と認めるとき、生徒が他の高校で一部の科目の単位を修得したら、その単位数を卒業に必要な単位数に加えることができる。
- 施行規則第96条第3項第3号:全日制の生徒が同じ学校の通信制課程や他の高校の通信制課程で修得した単位は、他の一部の単位と合わせて36単位を超えない範囲で数える。
- 施行規則第97条第3項:同じ高校にある全日制・定時制・通信制の課程の間の併修にも、同じ考え方を当てはめる。
つまり、「併用」に近いことが制度として認められているのは、在籍校の校長が定めるところにより、他の課程や他校の科目を併修する場合です。実際にこの仕組みを使えるかは、在籍校と相手の学校の対応次第で、公開情報からは実施状況を確認できませんでした。関心がある場合は、まず今の学校の先生に聞いてみてください。
なお、高校に同時に2つ在籍することを明文で禁じた条文は、今回確認した範囲では見つけられませんでした。ここで書いたのは、転学と入学の手続きが「籍は1つ」という前提で動いている、という事実までです。
もう1つよくある「併用」は、通信制高校とサポート校の組み合わせです。サポート校は高校ではないため、通信制高校に在籍しながら学習の支援を受ける形になり、二重在籍にはあたりません。
選択肢の1つとしての通信制高校・サポート校(正直な注意点)
全日制から移る先として通信制高校が選ばれやすいのは、ここまで見てきたとおり、前の学校の単位と在籍期間を引き継げて、年度の途中にも受け入れの機会があるからです。一方で、74単位という卒業の条件は変わらず、レポートとスクーリングを自分のペースで積み重ねる力も求められます。
NIJIN高等学院(ニジ高)は、通信制高校サポート校です。オンライン中心で全国どこからでも参加でき、カメラやマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められます。途中からの入学(転入・編入)もでき、出願費用は無料です。不登校の生徒を650名以上サポートしてきました。
運営は株式会社NIJINです。小中学生の場合は、同じグループが運営するNIJINアカデミー(不登校の小中学生のためのオンラインオルタナティブスクール。1,000名以上が在籍)という選択肢もあります。中学卒業後にニジ高へ進む生徒もいます。
ただし、時期の話で正直にお伝えしておくことがあります。
- ニジ高そのものは高校ではありません。高校卒業の資格は、提携する通信制高校に在籍して取ります。そのため、何月付で転入できるか、前の学校の単位がどう認められるかは、提携する通信制高校の決まりによって決まります。
- 学院内でのスクーリングはありませんが、提携校のスクーリングには参加が必要です。その支援は行います。
- 高3の年度途中に移る場合は、ここまで書いてきたとおり、残りの単位によっては3月卒業が難しいことがあります。入学をお勧めする前に、単位の状況から一緒に確認します。
手続きや費用についてよく寄せられる質問はよくある質問のページにまとめています。
迷ったときの進め方(3ステップ)
- 今の学校で「修得済みの単位」と「在籍期間」を確かめる。成績通知表などで、学年ごとに修得した単位数を書き出します。休学した期間があれば、その月も書き添えます。74から引いた残りの単位が、この先の計画の出発点です。
- 転入先の候補2〜3校に「何月付で入れて、いつ卒業できる見込みか」を聞く。公立なら受け入れ月・出願期間・住所の条件、私立なら学年ごとの最終月と、途中から入った場合に今年度登録できる科目を確認します。修得済みの単位と履修中の科目を分けて伝えると、答えが具体的になります。
- 見通しが立ってから、今の学校に「退学」ではなく「転学」の相談をする。有朋高校や大宮中央高校のように在籍校からの転学照会や書類が必要な学校があり、証明書の発行にも日数がかかります。受け入れ月から1〜2か月さかのぼった時期に相談を始めると、慌てずに済みます。
1つ目は、転校するかどうかを決めていなくても進められます。数字が手元にあるだけで、学校との話も家族の話し合いも、ずっと具体的になります。


3月に卒業できるか、今の単位から一緒に数えませんか
ニジ高は通信制高校サポート校で、高校そのものではありません。卒業資格は提携する通信制高校で取るため、転入の時期や単位の認定は提携校の決まりによります。修得済みの単位と在籍期間を伺い、何月に移ればいつ卒業できそうかを一緒に整理します。
よくある質問
Q. 高3の12月に転入しても、3月に卒業できますか?
A. 12月を最終の受け入れ月としている私立の通信制はあります(N高等学校は3年次の最終転入学受け入れ月を12月、ID学園高校は12月1日付を同級生と同時に卒業する場合の最終としています)。ただし、どちらも引き継げる単位によるとしており、残りの単位が多いと3月には間に合いません。事前に修得単位を伝えて、卒業の見込みを確認してください。
Q. 高1の途中で移ると、1年やり直しになりますか?
A. 学年は年齢ではなく修得した単位で決まり、前の学校の在籍期間は数えられます。例えば都立の一橋高校・砂川高校は、修得13単位以下を第1学年相当としています。1年相当から始まっても、在籍期間を通算して3年目の3月に卒業できるかは、残りの単位を2年余りで積めるかによります。
Q. 公立の通信制高校に、年度の途中から入れますか?
A. 受け入れ月が決まっている学校が多いです。2026年度は、北海道有朋高校が5月15日付と6月15日付、大宮中央高校の単位制による通信制の課程が10月入学、都立の通信制3校が第二学期の転学募集でした。大宮中央高校と都立では、その都県に住所や勤務先があることも条件でした。
Q. 休学してから転入すると、在籍期間はどうなりますか?
A. N高等学校は、休学期間は在籍期間に含まれないとしています。休学中の月の扱いは学校によって違う可能性があるので、休学した月を書き出したうえで転入先に確認してください。
Q. 全日制に通いながら、通信制高校の授業も受けられますか?
A. 2つの高校に同時に在籍する形にはなりません。制度としてあるのは、在籍校の校長が認めた場合に、他の高校(通信制課程を含む)で修得した単位を卒業に必要な単位に加える「併修」です(施行規則第97条・第96条第3項)。使えるかどうかは在籍校に確認してください。
「間に合うかどうか」は、怖がる前に数えられます
「もう遅いかもしれない」という不安は、数字が見えていないときにいちばん大きくなります。けれど、卒業の条件は74単位・在籍3年・特別活動の3つで、前の学校の分は数えてもらえます。あとは、残りの単位と、転入先が受け入れてくれる月を並べるだけです。
高1・高2なら、選べる時期も学校もまだたくさんあります。高3でも、残りの単位によっては同級生と同じ3月を目指せます。仮に3月に届かなくても、高校卒業への道が閉じるわけではありません。
まずは、今の単位を書き出すところから。どの学校に移るか決まっていない段階の相談も受け付けています。
移るかどうかは、単位を数えてから決めて大丈夫です
全国どこからでもカメラ・マイクはオフでOK転入・編入は随時受付
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