通信制高校への転入を調べていると、「転入」と「編入」が入り混じって出てきます。似た言葉ですが、手続きも、単位の扱いも、動ける時期も違います。そして両者を分けるのは、たった一つの条件です。
休学と転入・編入のどちらを選ぶかは、高校 休学の条件を学則で確認した記事が判断材料になります。
この記事の結論
- 在籍中に移るのが「転入」、退学後に入り直すのが「編入」です。
- 引き継げるのは原則として修得済みの単位。履修途中の科目は学校間の確認が必要です。
- 退学届を出す前に、希望校の受け入れ時期と必要書類を確認してください。
この記事は、学校教育法施行規則の条文を実際に開いて、条番号つきで整理しました。あわせて、公立高校が実際にいつ選抜をしているのかも、学校の公式サイトで確認しています。一般論ではなく、条文と公表資料に何と書いてあるかだけを書きます。
いま学校を続けるかどうかで迷っている方も多いと思います。結論から言うと、急いで退学届を出さないでください。順番を間違えると、選べる道が減ります。
転校のお金の面は、通信制高校 転校 費用もあわせてご覧ください。
退学してから編入学する場合のお金の支えは、次の記事にまとめました。学び直し支援金もあわせてご覧ください。
学年ごとに、いつまでに移れば3月に卒業できるかの早見表は、全日制から通信制もあわせてご覧ください。
結論:通信制高校の転入の早見
- 転入と編入を分けるのは「いま高校に在籍しているか」だけです。在籍中なら転入(転学)、一度やめていれば編入学になります。
- 転学の手続きは、今の学校の校長が転学先の校長へ在学証明書などを送るところから始まります(学校教育法施行規則第92条第1項)。本人が先に退学すると、この経路が使えません。
- 全日制・定時制・通信制の間の転学は、修得した単位に応じて相当学年に転入できると定められています(同第92条第2項)。
- 卒業には74単位以上が必要です(同第96条第1項)。転入しても、この総量は変わりません。
- 引き継げるのは「修得済み」の単位だけ。学年途中で在籍していただけの科目は、原則そのままでは残りません。
- 公立には選抜日があります。広島の公立2校は2026年度の秋季転入学者選抜をどちらも9月11日に実施しました。私立やサポート校は随時受付のところが多いです。
- 就学支援金は在籍月数を引き継ぎます。高校に36か月(定時制・通信制は48か月)以上在籍していると支給されません。
いまの在籍状況で何ができるか、個別相談会で一緒に確認する →

転入と編入を分けるのは、いま在籍しているかどうかだけです
言葉の違いから片づけます。ここが曖昧なままだと、学校に問い合わせても話が噛み合いません。
| 転入(転学) | 編入学 | |
|---|---|---|
| いまの状態 | 高校に在籍している | すでに退学している |
| 根拠の条文 | 施行規則 第92条 | 施行規則 第91条 |
| 書類の流れ | 今の校長 → 転学先の校長 | 本人が転入先へ出願 |
| 受け入れ時期 | 年度途中も可の学校が多い | 4月・10月など区切りが多い |
条文を見ると、編入学の側はこう書かれています。「第一学年の途中又は第二学年以上に入学を許可される者は、相当年齢に達し、当該学年に在学する者と同等以上の学力があると認められた者とする」(第91条)。つまり編入は、あらためて「入学を許可される」立場になります。
一方の転学は、次の章のとおり、学校どうしで書類が動く仕組みです。在籍という資格を保ったまま、席を移すイメージに近い。この差が、あとで単位や時期の扱いに効いてきます。
用語をもう少し細かく比べたい場合は転入 編入 違いの記事も用意しています。

退学届を出す前に動く。手続きは今の学校の校長から始まります
この記事でいちばん伝えたいのがここです。条文をそのまま引きます。
「他の高等学校に転学を志望する生徒のあるときは、校長は、その事由を具し、生徒の在学証明書その他必要な書類を転学先の校長に送付しなければならない。転学先の校長は、教育上支障がない場合には、転学を許可することができる。」(学校教育法施行規則 第92条第1項)
読み解くと、転学の主語は「今の学校の校長」です。生徒が自分で在学証明書を持ち込むのではなく、学校から学校へ書類が送られます。したがって在籍していることが前提で、先に退学してしまうとこの経路そのものが成立しません。
そして退学については別の条文があります。「生徒が、休学又は退学をしようとするときは、校長の許可を受けなければならない」(同第94条)。つまり退学も勝手にはできず、必ず学校とのやりとりが発生します。その場で「わかりました」と退学届を出す前に、転学したい旨を伝えてください。
実務的な順番はこうなります。
- 転入したい学校を決めて、受け入れの可否と時期を確認する
- 今の学校に「転学したい」と伝える(退学ではなく転学と言う)
- 今の学校から転学先へ書類が送られる
- 転学先で受け入れが決まってから、在籍が切り替わる
順番を逆にすると、転入ではなく編入のルートになります。それ自体が悪いわけではありませんが、選択肢は確実に減ります。

修得した単位は引き継げる。ただし「修得済み」だけです
単位の扱いも条文に書かれています。
「全日制の課程、定時制の課程及び通信制の課程相互の間の転学又は転籍については、修得した単位に応じて、相当学年に転入することができる。」(同第92条第2項)
全日制から通信制へ移る場合も、この規定が働きます。ポイントは「修得した単位に応じて」という一句です。裏を返すと、修得できていないものは応じてもらえません。
| 状態 | 引き継ぎ |
|---|---|
| 前の学年までに修得を認定された単位 | 引き継げる |
| 今の学年で履修中・評価が出ていない科目 | 原則そのままでは残らない |
| 欠時数の超過などで未修得になった科目 | 引き継げない |
これが「学年の途中で移るとき、その年度分が空になりやすい」理由です。学校によっては前籍校と調整して一部を認める運用もありますが、制度として保証されているのは修得済みの分だけだと考えてください。
なお、他校で取った単位を加える仕組みも別に用意されています。「校長は、教育上有益と認めるときは、生徒が…他の高等学校…において一部の科目…の単位を修得したときは、当該修得した単位数を…加えることができる」(同第97条第1項)。ただし主語は校長で、「できる」という書き方です。当然の権利ではありません。
出席や欠課の状況が単位に響いているなら、先に高校 欠席日数の記事で自分の位置を確かめておくと、話が早くなります。

卒業に必要なのは74単位。転入しても総量は変わりません
もう一つ、動かせない数字があります。
「校長は、生徒の高等学校の全課程の修了を認めるに当たつては、高等学校学習指導要領の定めるところにより、七十四単位以上を修得した者について行わなければならない。」(同第96条第1項)
74単位は全日制でも通信制でも同じです。通信制に移れば卒業が軽くなる、ということはありません。変わるのは学び方と時間の使い方であって、必要な単位の量ではないという点は、正直にお伝えしておきます。
ここから逆算すると、転入の判断はシンプルになります。いま何単位を修得済みか。残り何単位を、いつまでに積む必要があるか。この2つが分かれば、間に合うかどうかは計算できます。前の学校で修得した単位が多いほど、転入後の負担は軽くなります。
学年別の具体的な組み方は通信制高校 転入 高2と通信制高校 転入 高3に分けて書いています。
「いま何単位あるか」から一緒に数えられます
手元の成績通知表を見ながら、卒業までに何が必要かを整理します。退学するかどうかを決める前の段階でかまいません。
- 全国どこからでもオンライン。担任がつきます
- カメラ・マイクはオフ、チャットだけの参加から始められます
- 転入・編入は随時受付。出願費用は無料です
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公立には選抜日がある。私立とサポート校は随時が多い
「通信制はいつでも入れる」と説明されることがありますが、公立については正確ではありません。実際に学校の公式サイトで確認しました。
広島県立東高等学校は、2026年度の秋季転入学者選抜・秋季編入学者選抜について、出願期間を9月1日(火)から4日(金)正午、選抜を9月11日(金)、合格発表を9月16日(水)と公表していました。広島市立広島みらい創生高等学校も、秋季転入学者選抜・秋季編入学者選抜の実施日を9月11日(金)とし、要項は8月5日から学校の事務室で配付すると案内しています。
| 学校の種類 | 受け入れの時期 | 確認すること |
|---|---|---|
| 公立 | 春季・秋季など決まった選抜日 | 次の出願期間はいつか |
| 私立の通信制 | 随時受付の学校が多い | いつの単位まで数えられるか |
| サポート校 | 随時受付が多い | 提携通信制高校の受け入れ時期 |
※両校の公式サイト(2026年9月確認)。日程は年度ごとに変わります。必ず最新の要項をご確認ください。
つまり、公立を狙うなら「次の選抜日」が実質の締め切りになります。そこを逃すと数か月動けません。広島の場合の詳しい状況は広島 通信制高校にまとめました。他の都道府県でも、公立に選抜日がある構造は同じです。

就学支援金は在籍月数を引き継ぐ。高3の転入でいちばん効きます
お金の面で見落とされやすいのがここです。高等学校等就学支援金は2026年度(令和8年度)から所得制限が撤廃されましたが、所得以外の上限は残っています。
- 在籍期間の上限:高等学校等に36か月(定時制・通信制の場合は48か月)以上在籍している人には支給されません。
- 単位数の上限:年間30単位まで、通算74単位まで。
在籍月数は前の学校のぶんも数えられます。全日制に3年在籍したあとで通信制に移ると、36か月を使い切っている場合があります。留年を経験していると、同じことが1年早く起きます。
転入を考えているなら、いま何か月ぶん使ったのかを先に数えてください。そのうえで、通信制に移ると48か月枠に切り替わるのかどうかを、学校の事務室に確認するのが確実です。金額の全体像は通信制高校 学費で、公開資料をもとに整理しています。
※2026年9月時点の情報です。要件は年度や自治体で変わります。最新は文部科学省とお住まいの都道府県の公式ページでご確認ください。
学年は下がるのか。答えは「修得した単位による」
相談でいちばん多い不安がこれです。条文は「修得した単位に応じて、相当学年に転入することができる」としか書いていません。年齢では決まらず、単位で決まります。
実務的には次のように分かれます。
- 前の学年までの単位を修得できていれば、同じ学年に入れることが多い
- 今の学年の単位がほとんど残っていない場合、卒業までの期間が延びることがある
- 「学年」という区切り自体を持たない単位制の通信制高校もあり、その場合は学年ではなく修得単位数で管理される
したがって「1年遅れますか」という問いには、単位の一覧を見ないと誰も答えられません。問い合わせるときは、成績通知表や単位修得状況の分かる書類を手元に置いてから電話してください。それだけで回答の精度がまるで変わります。
学校に行けていないなら、転校しない道も条文に用意されています
転入の記事でこれを書くのは変かもしれませんが、移らずに済むなら、そのほうが負担は小さいので先にお伝えします。
施行規則第96条第2項は、卒業に必要な74単位のうちメディアを利用して行う授業(第88条の3)で修得できる単位数を36単位までとしています。注目したいのは、この36単位の枠が2種類に分けて書かれていることです。第2号はこう規定しています。
「高等学校が、学校生活への適応が困難であるため、相当の期間当該高等学校を欠席し引き続き欠席すると認められる生徒に、その学修の継続のため、当該授業を自宅その他特別な場所で履修させる場合に係るものに限る。」(同第96条第2項第2号)
つまり、学校に行けない状態が続いている生徒が、自宅でオンライン授業を受けて単位を取るための枠が、通常のオンライン授業の枠とは別に用意されているということです。これは全日制・定時制の話なので、いまの学校に在籍したまま使える可能性がある制度になります。
さらに、療養が必要な場合には別の定めがあります。「疾病による療養のため又は障害のため、病院その他の適当な場所で医療の提供その他の支援を受ける必要がある生徒であつて、相当の期間高等学校を欠席すると認められるものについて高等学校の全課程の修了を認める場合においては、前二項の規定によらないことができる。」(同第96条第4項)
ただし、いずれも実施するかどうかは学校の判断です。条文は「履修させる場合」「よらないことができる」という書き方で、学校に義務づけてはいません。制度としてある、という以上のことは書けません。実際に運用しているかは在籍校に直接聞くしかなく、公開情報だけでは学校ごとの対応は確認できませんでした。
それでも、「転校しか道がない」と思い込む前に一度聞いてみる価値はあります。聞いたうえで難しければ、そのときに転入を考えれば間に合います。
よくある誤解と、見落としやすい落とし穴
| よくある理解 | 実際 |
|---|---|
| とりあえず退学してから探せばいい | 退学すると転学の経路が使えず編入学になる |
| 通信制なら卒業が楽になる | 必要な単位は74単位で全日制と同じ |
| 通信制はいつでも入れる | 公立には選抜日がある。私立・サポート校は随時が多い |
| 今年度に履修中の科目も引き継げる | 引き継げるのは修得済みの単位 |
もう一つ、書類の落とし穴があります。転入の相談では「単位修得証明書」や「在学証明書」を求められることが多く、発行に日数がかかります。学校が長期休業に入る時期は特に遅れます。受け入れ側の締め切りから逆算して、書類の依頼を先に出してください。
転校そのものの難易度を知りたい場合は高校 転校 難しい、移ったあとの後悔を避けたい場合は通信制高校 転入 後悔もご覧ください。
サポート校を挟む場合は、手続きが二段になります
通信制高校を調べていると「サポート校」が出てきます。ここは構造から正直に書きます。
サポート校は高校そのものではありません。提携する通信制高校に在籍して高卒資格を取り、レポート・スクーリング・進路の支援をサポート校が担う二段構えです。したがって転入の手続きも二段になります。前章の第92条の書類は提携通信制高校との間で動き、サポート校の入学手続きはそれとは別に進みます。
私たちNIJIN高等学院(ニジ高・運営は株式会社NIJIN)も、この通信制高校サポート校です。オンライン中心で全国どこからでも通え、担任がつきます。カメラ・マイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められます。転入・編入は随時受付で、出願費用はかかりません。
注意点も書きます。学院内でのスクーリングはありません。提携する通信制高校のスクーリングには参加が必要で、ニジ高はその準備と同行を支援します。「一度も外に出ない」わけではないということは、入る前に知っておいてください。費用は学費のご案内に掲載しています。
運営は株式会社NIJINです。小中学生の場合は、同じグループが運営するNIJINアカデミー(不登校の小中学生のためのオンラインオルタナティブスクール。1,000名以上が在籍)という選択肢もあります。中学卒業後にニジ高へ進む生徒もいます。
迷ったときの進め方(3ステップ)
- 手元の単位を数える。成績通知表か単位修得状況の書類で、修得済みの単位数を確認します。ここが全ての起点です。
- 退学より先に、転入先の候補へ受け入れ時期を聞く。公立なら次の選抜日、私立・サポート校なら「今から動いた場合にいつ在籍が切り替わるか」。この段階では在籍したままで大丈夫です。
- 今の学校に「転学したい」と伝える。退学ではなく転学という言葉を使います。書類の発行を同時に依頼してください。
この順番なら、途中で気が変わっても元に戻れます。先に退学すると戻れません。差はそこだけですが、決定的です。
学校へ問い合わせる前に確認したい3項目
比較表だけでは、自分に合う学校かどうかまでは決まりません。次の3点を手元に置いて問い合わせると、回答を具体的に受け取れます。
- 現在の在籍状態と、修得済み単位数
- 転入・編入を受け付ける時期
- 卒業予定時期と就学支援金の残り期間
ニジ高では、まだ転校を決めていない段階でも状況を整理できます。学校生活の雰囲気を先に知りたい場合は「ニジ高を見てみる」、具体的な相談をしたい場合は「体験説明会に申し込む」から進んでください。
よくある質問
Q. 転入と編入はどちらが有利ですか。
A. 状況によりますが、在籍中なら転入のほうが選択肢が多くなります。転学は学校間で書類が動き(施行規則第92条第1項)、修得した単位に応じて相当学年に入れます(同第2項)。すでに退学している場合は編入学(同第91条)になります。
Q. 学年の途中でも移れますか。
A. 私立の通信制やサポート校は随時受付のところが多く、年度途中でも動けます。公立は選抜日が決まっていることが多く、たとえば広島の公立2校は2026年度の秋季転入学者選抜をどちらも9月11日に実施しました。
Q. いま履修中の科目は無駄になりますか。
A. 制度上引き継げるのは修得済みの単位です。履修の途中で評価が出ていない科目は、原則そのままでは残りません。学校によって調整の運用が違うので、転入先と前籍校の双方に確認してください。
Q. 卒業までの単位数は減りますか。
A. 減りません。全課程の修了には74単位以上が必要と定められています(施行規則第96条第1項)。全日制でも通信制でも同じ数字です。
Q. 学費の支援は転入しても受けられますか。
A. 就学支援金は2026年度から所得制限が撤廃されましたが、在籍月数の上限(36か月/定時制・通信制は48か月)が残ります。前の学校の在籍月数も数えられるため、転入前に学校の事務室で確認してください。
急がなくていい。ただし順番だけは間違えないでください
転入の話は、制度が複雑なのではなく順番の問題です。在籍を保ったまま次を決める。それだけで、条文が用意している経路をそのまま使えます。
今日できるのは、修得済みの単位を数えることと、気になっている学校に受け入れ時期を聞くこと。この2つは、まだ何も決めていない段階でやって構いません。退学届はそのあとです。
単位の読み方が分からないときや、いまの在籍状況で何ができるのか整理したいときは、うちで一緒に確認することもできます。
在籍したまま次を決めれば、選べる道は減りません。
まだ迷っている段階から、ご相談いただけます。
全国どこからでもカメラ・マイクはオフでOK転入・編入は随時受付
通信制高校サポート校 NIJIN高等学院(ニジ高)/出願費用は無料です。無理に勧めることはありません。

