自閉スペクトラム症(ASD)の高校生の特徴|男子・女子での見え方の違い、学校で困る場面と親ができること【2026】

「人の気持ちが読めないと言われる」「予定が変わるとパニックになる」「教室がうるさくて疲れ切って帰ってくる」。自閉スペクトラム症(ASD)の特性がある高校生の保護者の方から、こうした声をよく聞きます。中学までは何とかやれていたのに、高校に入ってから急にしんどさが目立ってきた、という相談も少なくありません。 先にお伝えしたいのは、ASDの特徴は「性格の問題」でも「育て方のせい」でもないということです。ASDは脳の働き方の違いによるもので、同じ診断名でも表れ方は一人ひとり大きく違います。そして高校は、人間関係が複雑になり、自分で管理することが増えるため、特性と環境のずれが表に出やすい時期です。 この記事では、ASDの高校生に見られやすい特徴を、学校生活の場面ごとに整理しました。男子と女子での見え方の違い、誤解されやすいポイント、家庭でできる工夫、学校に相談できる配慮まで、公的な資料をもとにまとめています。この記事は診断のためのものではありません。気になることがあれば、医療機関や発達障害者支援センターに相談してください。
目次

結論:ASDの高校生の特徴の早見

  • 中心にあるのは「対人・コミュニケーションの特性」と「こだわり・感覚の特性」の2つです。表れ方は人によって大きく違います。
  • 高校で目立ちやすいのは、グループ活動、暗黙のルール、予定の変更、音や人の多さです。中学より人間関係が複雑になり、負担が表に出やすくなります。
  • 男子と女子で見え方が違うことがあります。女子は周りに合わせようと無理をして、気づかれにくいことがあると指摘されています。
  • 「わがまま」「やる気がない」と誤解されやすい特徴があります。背景にある特性が分かると、声のかけ方や環境の整え方が変わります。
  • 家庭では「見通しを伝える」「言葉を具体的にする」「休める場所をつくる」が基本です。学校には、診断がなくても配慮を相談できます。
通信制高校でノートパソコンを使って学習に取り組む高校生
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ASD(自閉スペクトラム症)とは:2つの特性と、感覚の違い

自閉スペクトラム症(ASD)は、発達障害の一つです。アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-5)では、主に次の2つの特性がそろうことで診断されます。
特性 日常で見られやすい様子の例
対人関係・コミュニケーションの特性 相手の表情や言外の意味を読み取りにくい。会話のキャッチボールが一方通行になりやすい。冗談や皮肉を言葉どおりに受け取る
こだわり・興味の偏り(感覚の特性を含む) 決まった手順や予定へのこだわりが強い。好きなことに深く没頭する。音・光・におい・肌ざわりに敏感、または鈍感
ASDの2つの特性(対人・コミュニケーション/こだわり・感覚)と、学校生活で困りやすい5つの場面の図解
2つの特性は、グループワーク・友人関係・予定の変更・曖昧な指示・音や光や人の多さといった場面に表れます。
「スペクトラム」は「連続体」という意味です。特性の強さや組み合わせは人によって違い、はっきり分けられる境目があるわけではありません。以前は「アスペルガー症候群」「高機能自閉症」などと呼ばれていたものも、現在は自閉スペクトラム症としてまとめて扱われています。

※診断は医師が行います。この記事の内容で、お子さんがASDかどうかを判断することはできません。

高校生になると目立ちやすい特徴:学校生活の場面ごとに

同じ特性でも、中学と高校では求められることが変わります。高校で困りごとが出やすい場面を、次の表に整理しました。
場面 見られやすい様子 背景にある特性の例
グループワーク・話し合い 発言のタイミングが分からない。役割分担に入れない 会話の暗黙のルールを読み取りにくい
友人関係 雑談の輪に入れない。冗談を真に受けて傷つく 言外の意味や場の空気を推測しにくい
予定の変更 時間割や教室の急な変更で強く混乱する 見通しが崩れることへの不安が大きい
授業・課題 「適当にまとめて」など曖昧な指示で手が止まる ゴールや手順がはっきりしないと始めにくい
教室環境 ざわざわした教室で疲れ切る。体育館や行事が苦手 音・光・人の多さへの感覚の敏感さ
得意なこと 好きな分野の知識が深い。決まった作業を正確にこなす 興味への集中力、ルールを守る力
表の最後の行のように、ASDの特性は困りごとだけではありません。好きなことへの深い集中や、ルールを正確に守る力は、環境が合えば大きな強みになります。

男子と女子で、見え方が違うことがあります

ASDは男子のほうが多く診断される傾向があることが知られています。一方で、女子は特性が目立ちにくく、気づかれるのが遅れやすいことも、専門家の間で指摘されています。
男子で見られやすい様子の例 女子で見られやすい様子の例
人間関係 一人で過ごすことが多い。興味のある話を一方的に話す 周りの子のふるまいをまねて合わせる。表面上はうまくいっているように見える
興味 電車・ゲーム・歴史など、特定分野への強い没頭 アイドル・動物・物語など、周りと近い分野への没頭で目立ちにくい
困りごとの出方 トラブルやパニックとして外に出やすい 家で疲れ切る、体調不良、不登校など内側に出やすい

※あくまで傾向の例で、性別で特性が決まるわけではありません。男子でも周りに合わせて無理をしている子、女子でも外にトラブルが出やすい子がいます。

特に、「学校では問題がないと言われるのに、家ではぐったりしている」という場合は、周りに合わせるために大きなエネルギーを使っている可能性があります。学校での様子だけで判断せず、家での疲れ方にも目を向けてください。
テーブルを囲んで楽しそうに話し合う高校生たち

「わがまま」「やる気がない」と誤解されやすい特徴

ASDの特性は外から見えにくいため、本人の性格や態度の問題だと受け取られることがあります。よくある誤解と、その背景を整理します。
  • 「空気が読めない」「失礼」:悪気があるわけではなく、相手の気持ちや場のルールを推測しにくいことが背景にあります。言葉にして伝えれば理解できることも多くあります。
  • 「わがまま」「融通がきかない」:予定やルールへのこだわりは、見通しを保つことで不安を抑えている面があります。急な変更は、本人にとって大きな負担です。
  • 「やる気がない」「サボっている」:曖昧な指示で何をすればよいか分からない、感覚的な疲れで動けない、ということがあります。
  • 「大げさ」:音や光、服の素材などへの感覚の敏感さは、ほかの人には想像しにくい強さで感じられることがあります。
誤解が重なると、本人は「自分はだめだ」と感じやすくなります。行動を叱る前に、「何が分からなかったのか」「何がつらかったのか」を一緒に確かめることが、次の一歩につながります。

数字で見る:高校での支援はまだ十分に届いていません

文部科学省が2022年に行った調査では、公立高校の通常の学級で「対人関係やこだわり等」の問題を著しく示すとされた生徒は、推定0.5%でした。ただしこれは学級担任などの回答による数字で、医師の診断による割合ではありません。 また、高校でも2018年度から「通級による指導」(通常の授業を受けながら、一部の時間に特性に応じた指導を受ける仕組み)ができるようになりました。2022年度に高校で通級による指導を受けた生徒は全国で2,055人で、そのうち障害種別が自閉症の生徒は879人と、最も多くなっています。
項目 数字
公立高校で「対人関係やこだわり等」の問題を著しく示すとされた生徒(推定) 0.5%
高校で通級による指導を受けた生徒(2022年度) 2,055人
そのうち、障害種別が自閉症の生徒 879人

※出典:文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果」(令和4年)、文部科学省「令和4年度 通級による指導実施状況調査結果」

高校の生徒数から考えると、支援を受けられている生徒はまだ一部です。高校では、困っていても学校の側から支援が始まるとは限らないため、家庭から相談することが大切になります。

見逃したくないサイン:疲れや不安が重なっていないか

ASDの特性がある高校生は、周りに合わせるための緊張や感覚的な疲れが積み重なり、不安や気分の落ち込み、不登校などにつながることがあると言われています。次のような様子が続くときは、早めに相談を考えてください。
  • 朝起きられない、頭痛や腹痛などの体調不良が続く
  • 好きだったことにも興味を示さなくなった
  • 家で強いイライラや落ち込みが続く
  • 眠れない、食べられない状態が2週間以上続いている
こうした様子は、特性そのものではなく、環境とのずれによる「しんどさのサイン」であることがあります。かかりつけ医や児童精神科、スクールカウンセラーに相談してください。命の危険を感じるときは、ためらわず119番へ連絡してください。

家庭でできる工夫:「見通し」「具体的な言葉」「休める場所」

ASDのある子どもへの支援では、活動の流れを分かりやすくする「構造化」が有効とされています(発達障害ナビポータル)。家庭でも、次のような工夫から始められます。
窓辺の席で本を読む制服姿の高校生の後ろ姿
自分のペースで落ち着いて過ごせる場所があることも、学校生活の支えになります。
  • 予定は前もって、できれば文字で伝える:週の予定や行事をカレンダーやメモで見える化します。変更があるときは、分かった時点で早めに伝えます。
  • 言葉は具体的にする:「ちゃんとして」ではなく「8時に家を出られるように、7時半に着替えを終えよう」のように、何を・いつまでに、を言葉にします。
  • 休める時間と場所を確保する:帰宅後すぐに話しかけず、一人で過ごせる時間をつくります。疲れ方は外から分かりにくいので、本人に聞いて決めます。
  • 感覚の負担を減らす道具を一緒に選ぶ:イヤーマフやノイズキャンセリングイヤホン、帽子やサングラスなど、本人が楽になるものを試してみます。
  • 好きなことを大切にする:没頭できる時間は、回復の時間でもあります。将来の進路の手がかりになることもあります。
一度に全部やる必要はありません。お子さんがいちばん困っている場面に近いものを、1つ選んで試してみてください。
明るい学習スペースの大きな机で、高校生たちが付せんを並べながらプロジェクトの話し合いをしている様子

学校に相談できる配慮:診断がなくても話し合えます

2024年4月から、障害者差別解消法の改正により、私立学校を含めて合理的配慮の提供が義務になりました。障害者手帳を持っている人に限られず、困りごとを伝えて話し合うことができます。
保護者と生徒が先生と一緒に資料を見ながら相談している様子
「どの場面で、何に困っているか」を具体的に伝えると、相談が進みやすくなります。
困りごと 相談できる配慮の例
予定の変更で混乱する 時間割や教室の変更を、前日までに文字で知らせてもらう
曖昧な指示で止まる 課題の手順やゴールを、書面で示してもらう
グループワークがつらい 役割を先に決めてもらう、個人での取り組みに代えられないか相談する
教室の音や人の多さで疲れる イヤーマフの使用、座席の配慮、休める別室の利用
行事への参加が負担 参加の仕方や時間を調整する、見学や事前の下見をする
学校に配慮を相談する4ステップ(困る場面を書き出す・担任やコーディネーターに伝える・配慮の内容を話し合う・学期ごとに見直す)の図解
配慮の相談は、困る場面を書き出すところから始められます。

※配慮は、学校の体制の範囲で話し合って決まります。認められるかどうかや内容は学校によって異なります。

相談するときは、「ASDです」と伝えるより、「どの場面で、何に困っていて、何があれば楽になるか」を具体的に伝えるほうが、話が進みやすくなります。最初の相談先は、担任や特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラーです。

ASDの特性に合う高校選びは、「3年間通い続けられるか」で考えます

これから高校を選ぶ場合や、今の学校が合わずに転校を考えている場合は、偏差値より「この学校で3年間通い続けられるか」を先に確かめることが大切です。見学では、予定変更の伝え方、休める場所の有無、提出物が遅れたときの対応などを具体的に聞いてみてください。 見学や個別相談でそのまま使える質問は、ASD・ADHDの中学生の高校選び|見学で確かめるチェックリスト20項目にまとめています。通信制高校を考えている場合は、宿泊を伴うスクーリングの有無なども含めてASDの子に通信制高校は合う?で整理しています。

不登校と発達特性の関係を、環境の視点からタツロー校長が解説している動画です。

気をつけたい情報:「ネットの診断」と「治る・治す」という言葉

  • インターネットのチェックリストだけで判断しない:当てはまる項目があっても、それだけでASDかどうかは分かりません。診断は医師が、生育歴や現在の様子を総合して行います。
  • 「ASDが治る」とうたう情報に注意する:ASDは脳の働き方の特性で、「治す」ものではなく、環境を整えて生きやすくしていくものと考えられています。根拠のはっきりしない民間療法やサプリメントの有効性は確立していません。
  • 「育て方が原因」という説は誤り:ASDは親の育て方によって起こるものではありません。保護者の方が自分を責める必要はありません。
レポート用紙に手書きで書き込む高校生の手元
少人数制 8人クラス
特性に合う通い方を、一緒に整理しませんか

体験説明会では、お子さんの困りごとをうかがいながら、オンライン中心の学び方が合いそうかを正直にお話しします。転校や進学を決めていない段階でも、保護者の方だけでもかまいません。

選択肢の1つとしてのニジ高(正直な注意点)

NIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制高校サポート校です。ASDの特性があるお子さんにとって、次のような点が合う場合があります。
  • 人数と担任:1クラス8人の少人数制で、担任がつきます。スタッフの9割以上が教員免許を持ち、特別支援学校での勤務経験があるスタッフもいます。
  • 刺激の少ない参加の仕方:メタバース上のキャンパスを中心に、自宅から参加できます。カメラ・マイクをオフにして、チャットだけの参加から始められます。
  • 好きなことを学びに:「マイプロジェクト」で、好きなことや興味から学びをつくる時間があります。
一方で、正直にお伝えしておくことがあります。
  • ニジ高は高校ではありません。高校卒業資格は、提携する通信制高校に在籍して取ります。
  • 学院の中でのスクーリングはなく、提携する通信制高校のスクーリング(宿泊を含む場合があります)への参加が必要です。その準備と当日を支えます。
  • 費用は通信制高校の分とニジ高の分の両方がかかり、ニジ高の分に就学支援金は使えません。金額は学費のご案内で公開しています。
  • 私たちは医療機関でも療育機関でもありません。診断や治療については、主治医にご相談ください。
相談室で年齢の違う2人が、職員の説明を聞いている場面

相談できる窓口

相談先 こんなときに
担任・特別支援教育コーディネーター 学校での配慮や、授業・行事の参加の仕方を相談したい
スクールカウンセラー 本人の気持ちや、親子での関わり方を相談したい
発達障害者支援センター(各都道府県・指定都市) 診断の有無にかかわらず、特性について相談したい
かかりつけ医・児童精神科 診断を受けるか迷っている、体調や気分の変化が続いている
教育委員会・教育支援センター 不登校や、地域の高校の情報について相談したい

よくある質問

Q. 高校生になってからASDに気づくことはありますか?

A. あります。小中学校では目立たなかった特性が、人間関係が複雑になり、自分で管理することが増える高校で表に出てくることがあります。特に周りに合わせるのが上手な子は、気づかれるのが遅れやすいと言われています。

Q. 高校生から診断を受けることはできますか?

A. できます。児童精神科や、思春期を診る精神科・心療内科などで相談できます。予約が取りにくい医療機関も多いため、まず発達障害者支援センターやかかりつけ医に相談して、受診先の情報を得るのも一つの方法です。

Q. 診断を受けないと、学校で配慮してもらえませんか?

A. 診断がなくても、困りごとを伝えて相談することはできます。2024年4月からは私立学校を含めて合理的配慮の提供が義務になっています。ただし、入試などでは診断書を求められる場合があります。

Q. ASDの男子と女子で、特徴は違いますか?

A. 違いが見られることがあります。女子は周りに合わせようとして特性が目立ちにくく、家での疲れや体調不良として表れることがあると指摘されています。ただし性別で決まるものではなく、一人ひとりの様子を見ることが大切です。

Q. ASDの高校生は、友達をつくれませんか?

A. そんなことはありません。大人数の雑談は苦手でも、共通の趣味を持つ少人数の友人とは深い関係を築ける人も多くいます。友達の数より、安心して話せる相手が一人いるかが大切です。

Q. 本人にASDのことをどう伝えればいいですか?

A. 本人の年齢や気持ちによって適したタイミングは違います。「苦手なこと」だけでなく「得意なこと」もあわせて、「あなたに合うやり方を探すため」という形で伝えると受け入れやすいことがあります。主治医やスクールカウンセラーに相談しながら進めてください。

Q. 今の高校が合わない場合、どうすればいいですか?

A. まず担任やスクールカウンセラーに、配慮や通い方の調整ができないか相談してください。それでも難しい場合は、転校や通信制高校への転入という選択肢もあります。修得した単位を引き継げる場合も多くあります。

まとめ:特徴を知ることは、お子さんに合う環境を探す第一歩です

ASDの高校生の特徴は、「対人・コミュニケーション」と「こだわり・感覚」という2つの特性が、学校生活のさまざまな場面に表れたものです。表れ方は一人ひとり違い、男子と女子で見え方が違うこともあります。 大切なのは、特性を「直す」ことではなく、見通しを伝える、言葉を具体的にする、休める場所をつくるといった形で、環境の側を整えていくことです。家庭だけで抱え込まず、学校や相談機関と一緒に、お子さんが力を出せる場所を探していきましょう。
オンラインで、青春する。

人との関わりや環境のしんどさも、ひとりで抱え込まなくて大丈夫です。

全国どこからでも 1クラス8人の少人数制 転入・編入は随時受付

通信制高校サポート校 NIJIN高等学院(ニジ高)/出願費用は無料です。無理に勧めることはありません。

参考文献

  • American Psychiatric Association「DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル」
  • 文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(令和4年)について」
  • 文部科学省「令和4年度 通級による指導実施状況調査結果」
  • 国立特別支援教育総合研究所 発達障害ナビポータル「自閉症のある子どもの指導・支援」
  • 内閣府「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されます」
  • 厚生労働省「発達障害者支援施策について」

執筆者:ニジ高編集部 2026年8月20日公開/2026年10月10日更新

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