特別支援学級(支援級)の中学生の進路|高校に行ける?内申点の注意と特別支援学校との違い

「支援級にいると、高校には行けないのでは」。特別支援学級に通うお子さんの進路を考え始めた保護者の方から、よく聞く心配です。

先にお伝えします。特別支援学級の中学生も、高校に進学できます。全国では、中学校の特別支援学級を卒業した生徒の約6割(59.5%)が高校等に進んでいます(文部科学省・令和6年3月卒業者)。ただ、支援級の種類や中学校での学び方によって、高校入試で気をつけることが変わります。その違いを知らないまま中3を迎えると、選べたはずの道に気づかないことがあります。

この記事では、支援級の生徒がどこへ進んでいるかの実際の数字、内申点(評定)の注意、特別支援学校高等部との違い、入試の配慮の申請の仕方、中3の1年間にやることを順に整理します。数字と制度は、文部科学省「特別支援教育資料(令和6年度)」、東京都教育委員会の進路状況調査、神奈川県・大阪府の入試の資料、e-Gov 法令検索の条文を2026年10月23日に開いて確かめたものです。発達障害のあるお子さんの高校進学全般は、発達障害 高校進学の記事にまとめています。

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目次

結論:特別支援学級の中学生の進路|早見

  • 高校に行けるか:行けます。全国では、中学校の支援級を卒業した生徒の約6割(59.5%)が高校等に進んでいます。東京都(公立)では、進学した生徒の約4割(41.2%)が高校(全日制・定時制・通信制)に進んでいます。
  • いちばん多い進学先:全国では高校等、東京都では特別支援学校高等部(進学者の58.8%)です。地域によって割合が大きく違います。
  • 内申点の注意:知的障害の教科で学んでいる場合、評価が文章で書かれ、高校入試の調査書に数字の評定がつかないことがあります。
  • 特別支援学校高等部との違い:高等部を卒業しても「高校卒業」にはなりませんが、大学の入学資格は得られます。入学できるのは、法令で決められた障害のある生徒です。
  • 入試の配慮:別室・時間の延長・ふりがななどの配慮は、中学校を通して事前に申請します。東京都の令和9年度入試では、提出期限が2026年12月18日です。
  • 相談の窓口:まずは中学校の担任と特別支援教育コーディネーターです。中2の終わりから中3の1学期に相談を始めると、選べる道が多く残ります。
  • オンライン中心の通信制高校サポート校(NIJIN高等学院など)を併用して、通信制高校の卒業をめざす形もあります。
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「支援級だから」と選択肢を狭めてしまうとき、起きていること

支援級に通っていると、周りの進路の話が自分の子には当てはまらないように感じることがあります。情報が少ないまま、「特別支援学校しかない」「高校は無理だ」と決めてしまう方も少なくありません。

でも、進路は支援級に在籍していることだけでは決まりません。大切なのは、お子さんがどんな教科の内容で学んでいるか、どんな環境なら毎日を続けられるかです。そこが分かれば、選択肢は思っているより広がります。

中学校の支援級に通う生徒は、10年でおよそ2倍の11万人を超えています

文部科学省「特別支援教育資料(令和6年度)」によると、2024年5月1日時点で、全国の中学校の特別支援学級に在籍する生徒は112,146人でした(国・公・私立の合計。義務教育学校は別に数えています)。10年前の2014年度(平成26年度)は58,082人だったので、およそ1.9倍です。

年度(5月1日時点) 中学校の支援級の在籍者 中学校の支援級の学級数
2014年度(平成26年度) 58,082人 16,482学級
2019年度(令和元年度) 77,112人 19,717学級
2022年度(令和4年度) 99,812人 22,670学級
2024年度(令和6年度) 112,146人 24,190学級

特別支援学級には、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、弱視、難聴、言語障害、自閉症・情緒障害の7つの種類があります。中学校で多いのは、自閉症・情緒障害の学級と知的障害の学級です。

学級の種類(中学校) 在籍者(2024年度) 割合
自閉症・情緒障害 57,486人 51.3%
知的障害 51,518人 45.9%
病弱・身体虚弱 1,203人 1.1%
肢体不自由・難聴・言語障害・弱視 1,939人 1.7%

※出典=文部科学省「特別支援教育資料(令和6年度)」(2026年1月公表。もとは学校基本調査)。割合は在籍者数からこの記事で計算しました。

どちらの学級に在籍しているかで、次に説明する「評定(内申点)がつくかどうか」が変わることがあります。まずは、お子さんの学級の種類と、どの教科の内容で学んでいるかを確かめておくと、この先の話が分かりやすくなります。

自宅の食卓で、母親と中学生の息子が学校の資料を見ながら進路について話している様子
まずは学級の種類と、どの教科の内容で学んでいるかを家族で確かめておくと、この先の話が分かりやすくなります。

支援級の生徒はどこへ進んでいるか|全国では約6割が高校等、東京都では約4割が高校へ

全国の数字から見ていきます。文部科学省「特別支援教育資料(令和6年度)」によると、2024年3月に中学校の特別支援学級を卒業した生徒は32,185人でした。このうち30,155人(93.7%)が進学しています。

進学先(全国・2024年3月卒業) 人数 卒業者に占める割合
高校等(高等学校・高等専門学校など) 19,151人 59.5%
特別支援学校高等部 11,004人 34.2%
進学者の合計 30,155人 93.7%

※出典=文部科学省「特別支援教育資料(令和6年度)」「特別支援学校中学部及び中学校特別支援学級卒業者の状況」(国・公・私立計。中学校には義務教育学校後期課程を含む)。高校等の割合はこの記事で計算しました。

次に東京都です。東京都教育委員会の調査では、2025年3月に都内の公立中学校・義務教育学校の特別支援学級を卒業した生徒は1,768人で、このうち1,701人(96.2%)が進学しました。進学先の内訳は次のとおりです。

進学先(東京都・2025年3月卒業) 人数 進学者に占める割合
特別支援学校高等部 1,001人 58.8%
高等学校 通信制課程 392人 23.0%
高等学校 全日制課程(高専を含む) 181人 10.6%
高等学校 定時制課程 127人 7.5%

※出典=東京都教育委員会「令和7年度 公立学校統計調査報告書 公立学校卒業者(令和6年度)の進路状況調査編」(令和7年5月1日現在)の「中学校及び義務教育学校特別支援学級卒業者の進路状況」。

4年前の令和3年度の調査では、次のとおりでした。

進学先 人数 進学者に占める割合
特別支援学校高等部 953人 69.4%
高等学校 通信制課程 215人 15.7%
高等学校 全日制課程(高専を含む) 119人 8.7%
高等学校 定時制課程 86人 6.3%

※出典=東京都教育委員会「中学校及び義務教育学校特別支援学級卒業者の進路状況」(令和3年度。卒業者1,425人のうち進学者1,373人・96.4%)。他の道府県では割合が違います。

東京都では、高校へ進んだ生徒は令和3年度の420人(進学者の30.6%)から、令和6年度は700人(41.2%)に増えました。高校へ進んだ生徒のうち、半分を超える392人(56.0%)は通信制課程です。毎日の登校や集団での授業が負担になりやすい生徒にとって、通信制は現実的な選択肢になっています。

全国と東京都では、卒業の年度も、数えている学校の範囲(全国は国・公・私立、東京都は公立)も違うので、そのまま比べることはできません。それでも、「支援級の生徒の進学先は特別支援学校だけ」ではなく、地域によっては高校等へ進む生徒のほうが多いことは、数字からはっきり分かります。

2024年3月に中学校の特別支援学級を卒業した32,185人のうち、19,151人(59.5%)が高校等へ、11,004人(34.2%)が特別支援学校高等部へ進み、進学者は合わせて93.7%であることを示す図
出典:文部科学省「特別支援教育資料(令和6年度)」中学校特別支援学級卒業者の状況(2026年10月23日確認)

高校入試で気をつけたいのは「内申点(評定)」|支援級の種類で扱いが変わる

特別支援学級には、知的障害、自閉症・情緒障害などの種類があります。同じ支援級でも、どの教科の内容で学んでいるかによって、成績のつけ方が変わります。

中学校での学び方 成績のつけ方 高校入試への影響
中学校と同じ教科の内容で学ぶ 通常の学級と同じように、数字の評定がつくことが多い 通常の学級の生徒と同じように受験できる
知的障害の特別支援学校の教科の内容で学ぶ(特別の教育課程) 特別支援学校に準じて、文章で評価されることがある 調査書に数字の評定がつかず、内申点を使う一般入試では不利になることがある

中学校の特別支援学級では、特に必要がある場合、通常の教育課程の決まりにかかわらず「特別の教育課程」を組むことができます(学校教育法施行規則第138条)。そのうえで、文部科学省の通知の別紙では、特別支援学級に在籍する生徒の指導に関する記録は、必要がある場合、特別支援学校中学部の指導要録に準じて作ると示されています。そして、知的障害の特別支援学校中学部の各教科の学習の記録は、数字の評定ではなく、指導内容や実現状況を文章で端的に書くことになっています。

※出典=文部科学省「中学校及び特別支援学校中学部の指導要録に記載する事項等」(平成31年3月29日付け通知の別紙2)。評定の扱いは自治体や学校によって違います。

お子さんの場合がどちらなのかは、中学校の担任に「調査書に評定はつきますか」と聞けば分かります。数字の評定がつかない場合でも、内申点を使わない通信制高校や、作文と面接で選ぶ学校には出願できます。

評定がつかないときに考えられる入試の形

評定がつかない場合や、評定が低くなりそうな場合でも、出願先がなくなるわけではありません。入試で何を見るかは学校や都道府県で違うので、「内申点の比重が小さい入試」を探すのが近道です。

入試の形 主に見るもの 確かめた例
通信制高校の入試 面接・書類・作文が中心 全国323校のうち面接296校、学力検査は91校(文部科学省 令和7年度 通信制高等学校実態調査)
知的障害のある生徒向けの特別募集 面接 神奈川県「インクルーシブ教育実践推進校特別募集」(令和9年度は県立高校18校の全日制普通科)
特別支援学校高等部の入学者選考 都道府県の要項で決まる 出願できる障害の種類・程度が決まっている(下の節)
公立高校の一般入試 学力検査と調査書 評定がつかない場合の扱いは、中学校と志望校に確認する

神奈川県の特別募集は、県の実施要領で、志願できるのは知的障害のある人で、高校での学習や生活について理解し、入学の意欲のある人とされています。検査は面接で、令和9年度の志願情報の申請期間は2027年1月25日から29日です。こうした枠があるかどうかは都道府県によって違うので、お住まいの県の教育委員会の要項を確かめてください。

※出典=神奈川県教育委員会「令和9年度神奈川県公立高等学校の入学者の募集及び選抜実施要領」、文部科学省「令和7年度 通信制高等学校実態調査」

学校の相談室で、母親と中学生の娘が学校の職員と向かい合って進路の相談をしている様子
評定のつき方や入試の配慮は、中学校の担任や特別支援教育コーディネーターに早めに聞いておくと安心です。

特別支援学校高等部と高校の違い|卒業資格・入学できる人・卒業後

支援級の生徒の進学先として、特別支援学校高等部は大きな選択肢です。高校との違いを先に整理しておきます。

特別支援学校高等部 高校(全日制・定時制・通信制)
入学できる人 視覚障害・聴覚障害・知的障害・肢体不自由・病弱で、法令の程度に当てはまる人 中学校を卒業した人(入試あり)
卒業で得られるもの 高等部の卒業(「高校卒業」ではない) 高校卒業
大学の入学資格 ある ある
学び方 少人数で、生活や職業に役立つ内容が中心 教科の学習が中心
卒業後 就職の支援や実習が手厚い 進学・就職は学校や本人しだい

特別支援学校の対象になる障害の程度は、学校教育法施行令第22条の3の表で決められています。表にあるのは視覚障害者・聴覚障害者・知的障害者・肢体不自由者・病弱者の5つで、発達障害という区分はありません。そのため、知的障害を伴わない場合は、原則として対象になりません。たとえば千葉県は、県立特別支援学校の高等部に志願できるのは、県内に住み、原則として障害の程度が第22条の3に当てはまる人としています。細かな条件や必要な書類は、都道府県ごとに違います。

第22条の3の表では、知的障害者の程度を、「知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通が困難で日常生活を営むのに頻繁に援助を必要とする程度」のものと、それに達しないもののうち「社会生活への適応が著しく困難なもの」の2つで示しています。どちらに当たるかを家庭で判断するのは難しいので、中学校や教育委員会の相談の場で確かめてください。

「特別支援学校に行くと大学に行けない」という心配もよく聞きます。文部科学省は、特別支援学校の高等部を卒業した人に、大学の入学資格があると示しています。ただ、高等部の学びは教科よりも生活や職業が中心なので、大学進学を考えるなら、受験の準備をどうするかを入学前に確かめてください。

※出典=文部科学省「大学入学資格について」、千葉県教育委員会「県立特別支援学校高等部入学者選考」

特別支援学校高等部は学校教育法施行令第22条の3の程度の障害がある人が入学でき卒業しても高校卒業にはならないこと、高校は中学校卒業者が入試を経て入学し高校卒業になること、どちらも大学の入学資格があり、発達障害だけでは高等部の対象の区分にないことを比べた表
出典:e-Gov 法令検索「学校教育法施行令」第22条の3、文部科学省「大学入学資格について」(2026年10月23日確認)

特別支援学校高等部を卒業した人の進路(全国)

高等部を選ぶかどうかを考えるときは、卒業したあとの道も知っておくと判断しやすくなります。全国の数字は次のとおりです。

2024年3月の高等部(本科)卒業者 全体(20,641人) うち知的障害(18,217人)
就職者等 6,090人(29.5%) 5,831人(32.0%)
社会福祉施設等への入所・通所 12,809人(62.1%) 11,120人(61.0%)
大学等・専攻科への進学 375人(1.8%) 86人(0.5%)

※出典=文部科学省「特別支援教育資料(令和6年度)」「特別支援学校高等部(本科)卒業者の状況」(国・公・私立計)

高等部は、就職や福祉の場へのつなぎを手厚く支える学校です。一方で、大学等や専攻科へ進む人は合わせて全体の1.8%で、教科の学習を続けて進学したい場合は、高校のほうが道を描きやすいことがあります。どちらが良いではなく、卒業後にどんな暮らしをめざすかで選ぶと、お子さんに合う学校が見えてきます。

高校にも支援の仕組みがある|入試の配慮・通級・合理的配慮

高校を選んだ場合も、支援がなくなるわけではありません。使える仕組みは3つあります。

仕組み 中身 窓口
高校入試の配慮 別室での受験、試験時間の延長、問題用紙へのルビ、ICT機器の使用など(東京都の例) 中学校を通して、東京都では12月中旬ごろまでに申請
高校の通級による指導 2018年度から始まった、障害に応じた特別の指導。年間7単位まで卒業の単位に入る 入学後の高校
合理的配慮 困りごとに応じて、学校が負担になりすぎない範囲で対応する。公立も私立も法律で義務(私立を含む事業者は2024年4月から) 入学後の高校(本人・保護者からの申し出)

※出典=東京都教育委員会「障害のある受検者に対する配慮」、文部科学省「学校教育法施行規則の一部を改正する省令等の公布について(通知)」(高校の通級による指導)、内閣府「改正障害者差別解消法が施行されました」

入試の配慮は、中学校で今受けている配慮が土台になります。中学校で配慮を受けていない場合は、中3の早い時期に、担任と特別支援教育コーディネーターに相談しておくと安心です。

高校の通級による指導は、2016年12月9日の文部科学省の通知(28文科初第1038号)で制度が示され、2018年4月1日から始まりました。対象は、言語障害・自閉症・情緒障害・弱視・難聴・学習障害・注意欠陥多動性障害などのある生徒で、通級の単位は「年間7単位を超えない範囲」で卒業に必要な単位に加えることができます。ただし、2024年度に通級による指導を受けた公立高校の生徒は2,864人、実施した公立高校は473校で、公立高校の13.6%です(文部科学省「令和6年度 通級による指導実施状況調査結果」)。どの高校でも受けられるわけではないので、志望校に実施しているかを聞いてください。

合理的配慮は、障害者差別解消法で定められています。公立学校などの行政機関等は第7条、私立学校などの事業者は第8条で、障害のある人から社会的障壁を取り除いてほしいという意思の表明があり、その負担が過重でないときは、必要で合理的な配慮をしなければならないとされています。事業者の義務は、2024年4月1日に施行された改正法からです。

※出典=e-Gov 法令検索「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」第7条・第8条、文部科学省「通級による指導実施状況調査結果」

入試の配慮の申請は、都道府県ごとに窓口と時期が決まっています

入試の配慮は、どの都道府県でも中学校を通して申請するのが基本です。ただ、申請の時期や書類の名前、配慮の例の書き方は都道府県ごとに違います。3つの都府県の公式の資料で確かめた内容を並べます(2026年10月23日確認)。

都府県 申請の仕方 配慮の例(公式の記載)
東京都(都立高校) 在学する中学校を通して、所定の申請書を志願先の都立高校へ事前に提出。令和9年度入試は2026年12月18日までの提出 別室受検、検査時間の延長、ふりがなを振った問題用紙・解答用紙、ICT機器の使用、記号選択式での受検など
神奈川県(県立・市立高校) 受検方法等申請書(第6号様式)に中学校長の職印を受け、志願先の高校長に提出 検査の程度を変えない範囲で、検査方法・検査時間・検査会場について取扱いを決める
大阪府(府立高校など) 在籍している中学校に相談し、中学校を通じて手続きする 学力検査時間の延長、代筆解答、問題用紙等の変更(点字や拡大等)、別室、座席の変更、個人面接など

※出典=東京都教育委員会「障害のある受検者に対する配慮」、神奈川県教育委員会「令和9年度神奈川県公立高等学校の入学者の募集及び選抜実施要領」、大阪府教育庁「障がいのある生徒に対する配慮」

東京都のページでは、実際の配慮の内容は、中学校で今受けている配慮を参考にして、受検者ごとに決めるとされています。中学校の授業や定期テストで使っている配慮(別室、ルビ、時間の延長など)があれば、それを記録しておくと申請の土台になります。私立高校や通信制高校の入試の配慮は、学校ごとに受け付けているので、出願前に志望校へ直接聞いてください。

都道府県ごとの申請の時期や様式は、高校受験 合理的配慮の記事でも整理しています。

進路の選び方|「支援級かどうか」より「どこでつまずくか」で考える

学校を選ぶときは、支援級に在籍しているかどうかより、お子さんが毎日のどこで困っているかを手がかりにすると、合う環境が見えやすくなります。

困りやすいこと 合いやすい環境の例
大人数の教室や音・光 少人数のクラス、オンラインで学べる学校
読み書き ICT機器が使える、課題の出し方を相談できる学校
朝起きる・毎日通う 登校日を選べる通信制高校やサポート校、昼間・夜間の定時制
予定の変更や見通しのなさ 時間割や1日の流れが決まっている学校
人間関係 少人数、またはオンラインで関わりの量を選べる学校
職業に向けた力をつけたい 特別支援学校高等部、高等専修学校

どの学校にも向き不向きがあります。表は目安として使い、見学や体験で実際に確かめてください。ASDやADHDの特性ごとの見方は、ASD 通信制高校、ADHD 通信制高校の記事も参考になります。

通信制高校を選ぶなら、「通い方」と「レポートを続ける支え」を確かめます

東京都では、支援級から高校へ進んだ生徒の半分を超える人が通信制課程を選んでいます。通信制高校は、レポート(添削指導)・スクーリング(面接指導)・試験の3つで単位を取り、3年以上の在籍、74単位以上の修得、特別活動30単位時間以上で卒業できます。

同じ通信制高校でも、通い方は学校やコースでかなり違います。文部科学省の令和7年度の調査では、通学の頻度別のコースの生徒数は次のとおりでした。

通い方(コース) 生徒数 割合
週5日 37,505人 12.5%
週1〜4日 76,218人 25.4%
集中スクーリング型 86,961人 28.9%
その他(月1〜2回・自由登校など) 99,722人 33.2%

※出典=文部科学省「令和7年度 通信制高等学校実態調査」(合計300,406人。正規の教育課程以外のコースを含む。週1〜4日は4つのコースの合計をこの記事で足しました)

毎日決まった場所へ通うほうが落ち着くお子さんには週5日のコース、登校の負担を小さくしたいお子さんには登校日の少ないコースが合うことがあります。ただし登校日が少ないほど、レポートを自分で進める力が要ります。そこを支えるのが、いわゆるサポート校や学習センターで、文部科学省の調査では「学習等支援施設」として全国で2,317施設(学校ごとに数えた延べ数)が届け出られています。

サポート校そのものは高校ではないので、卒業資格は在籍する通信制高校で取ります。費用は通信制高校とサポート校の両方にかかり、国の就学支援金はサポート校の費用には使えません。通信制高校の選び方の全体は、通信制高校 選び方のページにまとめています。

学校見学・個別相談で聞きたい5つのこと

  1. 支援級に在籍していた生徒は、今どのくらいいますか
  2. 入学後に受けられる配慮(別室、課題の調整、ICT機器)は何ですか
  3. 担任や相談できる先生はつきますか。困ったときは誰に言えばいいですか
  4. 中学校の支援の記録(個別の指導計画など)を、どう引き継ぎますか
  5. 卒業後の進路(進学・就職)は、どんな支援がありますか

パンフレットでは分からないことも、この5つを直接聞くと学校ごとの違いがはっきりします。本人が同席できなくても、保護者だけで相談して構いません。見学のときに確かめる項目をもっと細かく知りたい場合は、ASD ADHD 高校選びの20項目のチェックリストも使えます。

中3の1年間、いつ何をするか

時期 やること
中2の3学期〜中3の1学期 担任・特別支援教育コーディネーターに相談。調査書に評定がつくかを確認。情報を集め始める
夏休み 学校見学・体験。特別支援学校の見学会や教育相談もこの時期に多い
9〜11月 2〜3校に絞る。特別支援学校を考える場合は、出願の条件と手続きを確認
12月 高校入試の配慮の申請(中学校を通して。東京都の令和9年度入試は12月18日まで)。出願書類の準備
1〜3月 出願・選考。通信制高校には3月以降も出願を受け付ける学校がある

※日程は都道府県や学校によって違います。特別支援学校高等部の入学者選考は、高校入試とは別の日程で行われるので、お住まいの都道府県の要項で確かめてください。

中学校の進路相談では、聞きたいことを相手ごとに分けておくと話が早く進みます。担任や特別支援教育コーディネーターには「調査書の評定」と「入試の配慮の申請」を、志望校には「入学後の配慮・通級・相談体制」を、特別支援学校には「出願の条件と選考の日程」を聞く、という分け方です。体調や特性に関わる医療の判断は、主治医に相談してください。

本人が進路の話を嫌がるときは、保護者が先に動いて構いません

進路の話をすると、お子さんが黙ってしまったり、怒ってしまったりすることがあります。見通しの立たない話は、それだけで負担になりやすいからです。

この段階では、本人を説得しなくて大丈夫です。保護者だけで説明会に行き、選択肢を知っている状態をつくっておく。本人が興味を持ったときに、写真や動画を見せながら具体的に話す。そのほうが、本人も考えやすくなります。

話すときは、「どの学校に行くか」より「どんな1日なら過ごしやすいか」から始めると、本人も答えやすくなります。朝は何時なら起きられそうか、何人くらいの教室なら落ち着けるか、家で過ごす日があったほうがよいか。そうした答えが、さきほどの「どこでつまずくか」の表を埋める材料になります。

NIJIN高等学院(ニジ高)という選択肢と、正直な注意点

私たちNIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制高校サポート校です。NIJINアカデミー(ニジ高はその高等部)のグループ全体で、不登校の生徒を650名以上サポートしてきました。カメラやマイクをオフにして、チャットだけで参加するところから始められます。ニジ高は、発達特性や障害を、本人を変えるのではなく学びの構造や環境を変えることで支援するというアプローチを取っています。授業のアーカイブ視聴や中学内容の学び直しにも対応し、生活リズムに波があっても学べる設計です。小中学生の時期の居場所としては、オルタナティブスクールのNIJINアカデミーもあります。

正直な注意点も書いておきます。

  • ニジ高は高校ではありません。卒業資格は提携する通信制高校で取ります。
  • 学院内にスクーリングはなく、提携校のスクーリングに参加する必要があります。日程の調整や準備は支援しますが、スクーリングの会場にニジ高のスタッフは付き添いません。
  • 費用は提携校とニジ高の両方にかかり、ニジ高の分には就学支援金を使えません。金額は学費のご案内でご確認ください。
  • 特別支援学校のような、生活や職業の訓練を中心にした学びではありません。
  • オンライン中心なので、毎日通う場所を求めるお子さんには合わない場合があります。

合うかどうかは、話を聞いてから決めて構いません。オンライン・無料の体験説明会・個別相談は、保護者の方だけでも参加できます。無理に勧めることはありません。

迷ったときの進め方(3ステップ)

  1. 中学校の担任に「調査書に評定はつきますか」「入試の配慮は受けられますか」と聞く
  2. 特別支援学校と高校(通信制を含む)を、それぞれ1〜2校ずつ見学する
  3. お子さんがつまずきやすい場面と、見学した学校の環境を照らし合わせて決める
居間でイヤホンをつけてノートパソコンのオンラインの説明を聞く男子生徒と、そばで本を読む母親
通信制高校やサポート校の説明会には、オンラインで保護者と一緒に参加できるものもあります。
オンラインで学ぶニジ高の生徒

支援級からの進路も、保護者の方だけで相談できます

ニジ高はオンライン中心の通信制高校サポート校です。カメラ・マイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められます。ただし学院は高校ではなく、卒業資格は提携する通信制高校で取り、そのスクーリングへの参加が必要です。体験説明会・個別相談はオンライン・無料で、保護者の方だけでも参加できます。

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よくある質問

Q. 特別支援学級の中学生でも、高校に行けますか?

A. 行けます。全国では、中学校の支援級を卒業した生徒の59.5%が高校等に進んでいます(2024年3月卒業者)。東京都(公立)では、進学した生徒の41.2%が全日制・定時制・通信制の高校に進んでいます(2025年3月卒業者)。

Q. 支援級だと内申点はつきませんか?

A. 学び方によります。中学校と同じ教科の内容で学ぶ場合は、数字の評定がつくことが多いです。知的障害の教科の内容で学ぶ場合は、文章で評価され、調査書に評定がつかないことがあります。中学校に確認してください。

Q. 知的障害がなくても、特別支援学校高等部に入れますか?

A. 原則として対象外です。特別支援学校の対象になる障害の程度は学校教育法施行令第22条の3に定められていて、発達障害という区分はありません。

Q. 特別支援学校高等部を卒業すると、大学に行けますか?

A. 大学の入学資格はあります。ただし「高校卒業」にはならず、学びの中心も生活や職業なので、進学を考えるなら受験の準備を入学前に確かめてください。

Q. 高校入試で配慮を受けるには、どうすればいいですか?

A. 中学校を通して、志望校に事前に申請します。東京都の令和9年度入試では、提出期限は2026年12月18日です。中学校で今受けている配慮が土台になります。

Q. 高校に入ってからも支援は受けられますか?

A. 受けられます。高校の通級による指導(年間7単位まで卒業の単位に入る)や、合理的配慮があります。合理的配慮は、2024年4月から私立の学校にも義務になりました。ただし通級を実施している公立高校は13.6%(2024年度)なので、志望校に確かめてください。

Q. 通信制高校は支援級の生徒に向いていますか?

A. 登校日を選べる、自分のペースで進められる点が合う生徒は多いです。一方で、レポートを自分で進める力が必要です。サポート校などの支えがあるかどうかも確かめてください。

Q. 支援級から全日制の高校に進むこともできますか?

A. できます。東京都では2025年3月に支援級を卒業した生徒のうち181人(進学者の10.6%)が全日制課程(高専を含む)に進んでいます。評定のつき方と入試の配慮を中学校で確かめ、志望校に入学後の配慮も聞いておくと安心です。

支援級にいることは、進路を狭める理由ではありません

支援級で過ごした時間は、お子さんが自分に合う学び方を知るための時間でもあります。どこでつまずき、どんな支えがあれば続けられるかが分かっていれば、それは学校を選ぶときの大きな手がかりになります。

次にやることは1つです。中学校の担任に、「調査書に評定はつきますか」と聞いてみてください。そこから、選べる道がはっきりしてきます。

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