「うちの子は勉強が苦手で、ほめるところが見つからない」。通信制高校を考えている保護者の方から、そんな悩みを聞くことがあります。テストの点数が思うように伸びない、課題が進まない、やる気が見えない。そうした様子を見ていると、つい「どうして」「もっと頑張って」と言いたくなる気持ちも、自然なものです。
ただ、勉強が苦手だと感じている子ほど、これまでに「できなかった経験」や「注意された経験」を多く積み重ねていることがあります。そのため、ほめられても素直に受け取れなかったり、「どうせ自分は」と思いがちになったりする場合も少なくありません。この記事では、勉強が苦手なお子さんへの「ほめ方」の考え方、具体的な声かけの例、ほめるときの注意点、そして通信制高校という学び方との関係を整理します。ご家庭ごとに状況は違いますので、取り入れやすいところから、試してみてください。
結論:勉強が苦手な子への褒め方は、どう考えればよい?
- 結果(点数)だけでなく、「取り組んだこと」「工夫したこと」「続けたこと」といった、過程を具体的にほめると伝わりやすくなります。
- 「すごいね」「えらいね」だけでなく、「何がよかったか」を一言添えると、本人が自分の良さに気づきやすくなります。
- 他の子やきょうだいとの比較ではなく、「以前の本人」との比較でほめると、安心して受け取りやすくなります。
- ほめることが難しい日は、「ありがとう」「助かったよ」といった感謝の言葉でも、気持ちは十分に伝わります。
勉強が苦手な子は、なぜ「ほめられても響かない」ことがあるのか
勉強が苦手だと感じているお子さんの中には、「自分は勉強ができない」という思いを、長い間抱えている人がいます。テストの結果が返ってくるたび、授業についていけないと感じるたび、その思いが少しずつ強くなっていくことがあります。そうした状態では、「よくやったね」という言葉を受け取っても、「本当にそう思っているのかな」「慰めているだけでは」と感じてしまうことがあります。
また、これまでに、「やればできるのに」「どうしてやらないの」といった言葉をかけられてきた経験がある場合、ほめ言葉の裏に、「次はもっと頑張れ」という期待を感じ取って、プレッシャーに思うこともあります。ほめられても、うれしさより、「ハードルが上がってしまった」という気持ちが先に立つことがあるのです。
さらに、思春期の子どもは、親からの言葉を、率直に受け取りにくい時期でもあります。ほめられると照れくさく感じたり、「子ども扱いされている」と感じて、反発したりすることもあります。ほめ言葉が響かないからといって、「ほめても意味がない」と諦める必要はありません。伝え方や、タイミングを少し工夫することで、届き方が変わることがあります。

ほめ方の基本的な考え方
「結果」より「過程」に目を向ける
テストの点数や、課題の完成度など、結果だけに注目すると、苦手な子は「ほめられる機会」が少なくなってしまいます。そこで、「机に向かった」「教材を開いた」「わからないところに印をつけた」「質問しようとした」など、取り組みの過程に目を向けてみてください。結果が出ていなくても、そこには必ず、本人なりの努力があります。
具体的に伝える
「えらいね」「すごいね」といった抽象的な言葉は、うれしい反面、何がよかったのかが伝わりにくいことがあります。「今日は、最初の10分で教材を開けたね」「間違えた問題に、自分で印をつけていたね」など、具体的な行動を言葉にして伝えると、本人も「あ、そこを見てくれていたんだ」と、実感しやすくなります。
「以前の本人」と比べる
他の子や、きょうだいとの比較は、たとえ励ますつもりでも、プレッシャーや劣等感につながる場合があります。ほめるときは、「前より、取りかかるのが早くなったね」「先月よりも、わからない問題を質問できているね」など、本人の変化に目を向けてみてください。小さな変化でも、「見てもらえている」という安心感につながります。
気持ちや姿勢にも目を向ける
点数や出来栄えだけでなく、「あきらめずに取り組んだ」「困ったときに、助けを求められた」「疲れていたのに、少しだけやってみた」といった、気持ちや姿勢にも、ほめるポイントがあります。こうした内面の動きを言葉にして伝えることは、勉強が苦手な子の自己肯定感を支える、大切な関わりです。
ほめるときは、過程に注目すると
伝わりやすくなります
※効果には個人差があります。
場面別:声かけの例
ここでは、よくある場面ごとに、声かけの例を挙げます。そのまま使う必要はありません。お子さんの性格や、親子の関係に合わせて、ご自身の言葉にアレンジしてみてください。

ほめるときに気をつけたいこと
ほめすぎない、無理にほめない
ほめるポイントが見つからないのに、無理にほめようとすると、本人は「わざとらしい」と感じることがあります。ほめることがむずかしい日は、「今日もお疲れさま」「ありがとう」といった、ねぎらいや感謝の言葉でも、十分に気持ちは伝わります。
「ほめて、そのあとに注意」をしない
「よく頑張ったね。でも、ここはもっと…」と、ほめた直後に注意や助言をつけ足すと、せっかくのほめ言葉が打ち消されてしまうことがあります。助言したいことがあるときは、ほめ言葉とは別のタイミングで、落ち着いて伝えるほうが、受け取りやすくなります。
人前でほめることに配慮する
思春期のお子さんの中には、人前でほめられることを、恥ずかしく感じる人もいます。親戚や友人の前でほめると、かえって反発されることもあります。二人きりのときに、さりげなく伝えるほうが、素直に受け取れる場合もあります。
ほめ言葉を「コントロールの道具」にしない
「ほめて、やる気を出させよう」という意図が強すぎると、本人はそれを敏感に感じ取ります。ほめることは、行動を操作するためではなく、「あなたのことを見ているよ」というメッセージを伝えるためのものです。そうした気持ちで言葉をかけると、自然な温かさが伝わりやすくなります。
ほめること以外にできる、支え方
ほめることは大切ですが、それだけが支えではありません。お子さんが勉強に取り組みやすくなるための環境づくりも、保護者の方にできる大切なサポートです。
たとえば、勉強する場所や時間を一緒に決める、必要な文房具や教材を一緒にそろえる、わからないところを質問できる人(先生、サポートスタッフ、家庭教師、オンライン学習など)を探す、といったことです。「親が教える」ことにこだわらず、「頼れる場所を一緒に見つける」という姿勢も、お子さんの安心感につながります。
また、勉強以外の場面でも、お子さんの良さに目を向けてみてください。家の手伝いをしてくれた、ペットの世話をしている、好きなことに夢中になっている、友人を大切にしている。そうした場面での「ありがとう」「いいね」の積み重ねが、「自分は認められている」という感覚を育てていきます。
通信制高校という学び方と、ほめ方の関係
通信制高校は、自分のペースで学習を進められる学び方です。レポートや、スクーリング、試験といった仕組みの中で、「小さな目標を少しずつクリアしていく」場面が多くあります。そのため、「1通のレポートを提出できた」「今月の予定を終えられた」といった、小さな達成を、ほめるポイントとして見つけやすい環境でもあります。
一方で、自分で計画を立てて進める必要があるため、保護者の方が「ちゃんとやっているのかな」と、不安に感じることもあるかもしれません。そんなとき、「やったの?」と確認するよりも、「今週はどんな予定?」「進み具合はどう?」と、対話の形で聞いてみると、お子さんも答えやすくなります。進み具合をほめるだけでなく、「困っていることはない?」と、サポートの意思を示すことも大切です。
通信制高校やサポート校の中には、先生やスタッフが、小さな達成を一緒に喜んでくれる環境を大切にしているところもあります。学校を選ぶ際は、学習内容や学費だけでなく、「生徒の頑張りを、どんなふうに認めてくれるか」「相談しやすい雰囲気があるか」といった点も、見学や説明会で確かめてみてください。
同じ場面でも、言葉の選び方で
受け取り方が変わります
| 場面 | 伝わりにくい例 | 伝わりやすい例 |
|---|---|---|
| 机に向かった | やっと始めたの? | 今日は机に向かえたね。それだけで大きな一歩だよ |
| 点数が低かった | なんでこんな点なの? | 難しかったね。どこが一番むずかしかった? |
| 課題が途中で止まった | 最後までやりなさい | ここまで進められたんだね。今日はここまでにしようか |
| 質問ができた | 今ごろ聞くの? | 自分から聞けたんだね。ちゃんと向き合っている証拠だよ |
| 間違いを直した | 最初から正しくできればいいのに | 間違いに気づいて、直せたのがすごいよ |
※一例です。お子さんの様子に合わせて調整してください。
保護者の方ご自身のこと
お子さんをほめようとするとき、保護者の方ご自身が、疲れていたり、焦りを感じていたりすることもあるでしょう。「ほめなければ」と思いすぎると、それ自体が負担になってしまいます。完璧を目指さず、「今日は声をかけられた」「一言でも伝えられた」と、保護者の方ご自身も、自分をねぎらってあげてください。
また、保護者の方が、周りの目や、世間の基準を気にして、お子さんと自分を責めてしまうこともあります。「周りの子はもっとできているのに」と感じる日もあるかもしれません。ただ、お子さんの成長のスピードや、歩み方は、人それぞれです。他の家庭と比べるより、「うちの子の今」を見つめてあげられると、少し気持ちが楽になることがあります。
悩みが大きいときは、一人で抱え込まず、学校の先生、スクールカウンセラー、自治体の相談窓口、同じ悩みを持つ保護者同士の集まりなど、話せる場所を持っておくことも、大切です。
ほめ方にまつわる、よくある誤解
「ほめれば、勉強するようになる」
ほめることで、やる気が出る場合もありますが、必ずしもそうとは限りません。ほめることは、行動を変えるための手段というより、本人の安心感や自己肯定感を支えるためのもの、と捉えたほうが、気持ちが楽になります。
「ほめすぎると、甘えてしまう」
具体的で、本人の行動に根ざしたほめ方は、「甘やかし」とは別のものです。ほめられる経験を通じて、「自分にもできることがある」と感じられることは、挑戦する力を支えます。
「ほめるところがない子もいる」
どんなに小さなことでも、見つけようとすれば、ほめるポイントは見つかります。「朝、起きてきた」「ごはんを食べた」「一言でも話してくれた」など、日常の中にも、たくさんのヒントがあります。ただ、無理に探しすぎず、「感謝」や「ねぎらい」から始めてみるのもよいでしょう。


日常の中で見つけやすい「ほめるポイント」
勉強の場面でほめることがむずかしいと感じるときは、日常生活の中にも目を向けてみてください。ほめるポイントは、思っているより身近なところに、たくさんあります。たとえば、朝、自分で起きてきた日、ごはんの準備を手伝ってくれた日、家族に「ありがとう」と言えた日、疲れた様子の家族を気づかってくれた日などです。
また、好きなことに夢中になっている姿も、見逃せないポイントです。ゲームや動画、イラスト、音楽、スポーツなど、好きなことに没頭する力は、集中力や探究心の表れでもあります。「そんなことばかりして」と思ってしまうこともあるかもしれませんが、「そこまで夢中になれるのはすごいね」と、関心を示してみると、親子の会話のきっかけにもなります。
さらに、「やめずに続けていること」も、立派な力です。たとえ短い時間でも、毎日続けていることがあれば、それは本人の努力の積み重ねです。「毎日続けているね」と、継続そのものを言葉にして伝えることは、本人の自信につながります。

「ほめる」と「認める」のちがい
ほめることと、認めることは、似ているようで、少し違います。「ほめる」は、よい結果や行動に対する評価ですが、「認める」は、結果にかかわらず、その人の存在や気持ちを受け止めることです。勉強が苦手で、自信をなくしているお子さんには、「認める」関わりが、特に大切になる場合があります。
たとえば、「今日は疲れているんだね」「悩んでいるんだね」と、気持ちをそのまま受け止める言葉は、評価を含まない「認める」言葉です。こうした言葉を受け取ることで、「ありのままの自分でいていい」という安心感が育ち、その安心感が、次の一歩を踏み出すためのエネルギーになることがあります。
ほめることがむずかしいと感じるときは、「認める」言葉から始めてみるのもおすすめです。「見ているよ」「そばにいるよ」「いつでも話してね」。そんなメッセージが、お子さんの心の支えになることもあります。
学習面で、小さな成功体験を積み重ねるには
勉強が苦手なお子さんにとって、「できた」という成功体験を積み重ねることは、自信を取り戻すための大切なステップです。ただし、いきなり大きな目標を立てると、かえって挫折しやすくなります。ごく小さな目標から始めて、少しずつ階段を上るイメージで進めてみてください。
たとえば、「今日は教材を開く」「1問だけ解く」「5分だけ取り組む」といった、確実に達成できる目標を設定します。達成できたら、その事実を、本人と一緒に確認しましょう。「できたね」と短く伝えるだけでも十分です。小さな「できた」の積み重ねが、「自分にもできる」という感覚を育てます。
また、「前よりできるようになったこと」を、本人と一緒に振り返る機会を持つのもおすすめです。カレンダーやノートに、できたことを記録しておくと、あとから見返したときに、成長を実感できます。記録は、保護者の方が書くのではなく、本人が自分で書くようにすると、より自分のこととして受け止めやすくなります。
ほめたあとの、ちょうどよい距離感
ほめ言葉をかけたあと、お子さんの反応が薄くても、気にしすぎる必要はありません。思春期のお子さんは、うれしくても、それを表に出さないことがよくあります。その場で反応がなくても、言葉は心のどこかに残っていることがあります。すぐに結果を求めず、気長に、続けてみてください。
また、ほめたあとに、「だから、次も頑張ってね」と、次の期待を重ねるのは、控えめにしておくと安心です。ほめ言葉を、「ただ受け取るだけのもの」として、そっと渡すことを意識してみてください。ほめられたことで、プレッシャーが増えてしまうと、次からほめ言葉を避けるようになる場合もあります。
お子さんが、自分から勉強の話をしてくれたときは、ほめるチャンスです。「話してくれてありがとう」と、話してくれたこと自体に感謝を伝えるだけで、「話しても大丈夫なんだ」という安心感が育ちます。アドバイスや評価は、必要なときに、求められたときに、少しずつ伝えていけば十分です。
ほめ方に迷ったときは、「自分が同じ状況だったら、どんな言葉がうれしいか」を想像してみてください。相手の気持ちに思いをはせながら、言葉を選ぶことが、何よりのほめ方のコツになります。
「今日のひとこと」を習慣にするという方法
ほめ方に悩むときは、毎日同じ時間に、短い「ひとこと」を伝える習慣をつくる方法もあります。たとえば、夕食のときや、寝る前に、「今日、いいなと思ったこと」を一つだけ伝えます。内容は、「ごはんを残さず食べていたね」「朝の挨拶が元気だったね」など、ささいなことで十分です。
毎日続けることで、ほめることへの構えが取れて、自然な会話の一部になっていきます。お子さんも、「見てもらえている」という安心感を、少しずつ積み重ねていくことができます。完璧に毎日できなくても大丈夫です。できた日の分だけ、お子さんの心に、小さな安心が残っていきます。

ニジ高(NIJIN高等学院)ができること
NIJIN高等学院は、オンラインを中心に、一人ひとりのペースに合わせて学べる通信制サポート校です。お子さんの学習のペースや、サポートの内容については、説明会や個別相談でお気軽にご相談ください。「何から始めればよいか分からない」「まずは話を聞いてみたい」という段階でも、お気軽にご相談ください。個別相談や、資料請求から、まずは情報を集めることもできます。
よくある質問
結果ではなく、過程(机に向かった、教材を開いたなど)に目を向けて、具体的に言葉にしてみてください。「何がよかったか」を一言添えると、伝わりやすくなります。
これまでの経験から、ほめ言葉を素直に受け取りにくくなっている場合があります。無理に続けず、「ありがとう」「助かったよ」など、感謝の言葉から始めてみるのもおすすめです。
比べてしまうのは自然なことですが、ほめるときは「以前の本人」との変化に注目すると、安心して受け取りやすくなります。それぞれの良さに目を向ける習慣も、大切です。
通信制高校では、自分のペースで学習を進められます。小さな目標を立てて、一つずつ達成していく進め方もあります。学校によっては、学習面のサポートも整っているため、見学や相談で確認してみてください。
無理にほめようとせず、ご自身を休ませてください。学校の先生や相談窓口、同じ悩みを持つ保護者の集まりなど、話せる場所を持つことも大切です。
まとめ
- 勉強が苦手な子へのほめ方は、結果より過程、具体的に、以前の本人との比較で、が基本になります。
- ほめ言葉が響かないときは、感謝やねぎらいの言葉から始めても、気持ちは十分に伝わります。
- ほめるだけでなく、環境を整えたり、頼れる場所を一緒に探したりすることも、大切な支え方です。
- 通信制高校は、小さな達成を積み重ねやすい学び方です。学校選びでは、サポートの雰囲気も確かめてみましょう。
ほめ方に、正解はひとつではありません。お子さんと、保護者の方、それぞれのペースで、できることから少しずつ試してみてください。
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執筆者:ニジ高編集部 2026年10月8日更新
参考文献
- 文部科学省「高等学校通信教育について」
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について」
- 厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」(こころの健康に関する情報)



