「留年したら、高校にはあと何年いられるのか」「何回まで留年できるのか」。進級が危ないと言われたとき、多くの人が最初に調べるのがこの数字です。けれど、この問いに国として一つの答えはありません。決めているのは、それぞれの学校の規程です。
この記事は、学校教育法施行規則の条文、文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(令和6年度)、就学支援金のQ&A、そして実際に公開されている県の管理規則と高校の規程・学則を、2026年9月21日に開いて確かめたものです。公立高校の規則を7つ開いても在学年限の条文が見つからなかったことも含めて、確かめられたことだけを書きます。
読み終わるころには、「自分の学校の何を見れば答えが出るのか」と「留年が見えてきたときに取れる道」がわかるはずです。いま、焦って何かを決める必要はありません。
結論:高校の留年は何年まで?の早見
- 国の法令に「留年は何回まで」「在学は何年まで」という全国共通の上限はありません。学校教育法施行規則は、校長が平素の成績を評価して進級や卒業を認める、と定めているだけです。
- 回数や年数は学校ごとの規程や学則で決まります。「同一学年の原級留置は1回限り」とする県立高校や、「5年を超えて在学できない」とする私立高校の例を確認しました。
- 令和6年度に留年した高校生は全国で8,741人(在籍者の0.3%)。全日制の普通科では0.1%です。
- 進級や卒業の判定は学年末の3月に行われるのが一般的です。判定の前に補充授業や追認の機会を設けている学校もあります。
- 留年すると、その学年で取った単位を取り消して再履修とする学校があります。学年制の学校では、1科目の不足が学年全体のやり直しにつながることがあります。
- 国の就学支援金は全日制なら原則36月まで。留年して在学が3年を超えると、支給の対象外になる可能性があります。
- 留年が見えてきたら、そのまま残る・転校する・高卒認定を使うの3つの道があります。通信制への転校なら、修得した単位を持って移れます。

「あと何年いられるのか」と数えているあなたへ
留年の話が出るとき、たいていその前に長い時間があります。朝起きられない日が増えた、教室に入れなくなった、出席日数が足りなくなってきた。担任から「このままだと進級が難しい」と言われた日の夜に、スマホで「高校 留年 何年まで」と打ち込んでいる。そういう人がこの記事を読んでいると思います。
先に一つだけ伝えたいのは、留年は「終わり」ではない、ということです。制度の上でも、留年のあとに取れる道はいくつも用意されています。そして、その道を選ぶために必要な情報は、実はそれほど多くありません。自分の学校の規程のどこを見ればいいか、何を先生に聞けばいいか。それがわかれば、次の一歩は落ち着いて決められます。
保護者の方へ。子どもが留年の不安を口にしたとき、まず必要なのは叱ることでも励ますことでもなく、一緒に事実を確かめることです。この記事を、その材料として使ってください。

留年した人は全国で8,741人。全日制の普通科なら0.1%です
文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」には、高校の原級留置者数(いわゆる留年した人の数)が課程・学科別に載っています。原級留置者は「令和7年3月末現在で進級又は卒業が認められなかった者」と定義されています。
| 課程・学科 | 令和6年度 | 令和5年度 |
|---|---|---|
| 全日制・普通科 | 3,108人(0.1%) | 3,618人(0.2%) |
| 全日制・専門学科 | 1,196人(0.2%) | 1,489人(0.3%) |
| 全日制・総合学科 | 401人(0.3%) | 419人(0.3%) |
| 定時制 | 1,096人(1.5%) | 1,031人(1.5%) |
| 通信制 | 2,940人(1.0%) | 2,433人(0.9%) |
| 合計 | 8,741人(0.3%) | 8,990人(0.3%) |
学年別に見ると、令和6年度は1年生が2,643人、2年生が1,776人、3年生が452人でした。1年生がいちばん多いのは、高校の学び方や生活に慣れる前につまずく人が多いからだと考えられます。
全日制の普通科では1,000人に1人の割合です。少ないからこそ、周りに経験者がいなくて相談しにくい。情報がないまま不安だけが大きくなる、という状況になりやすいのだと思います。

国の法令は「校長が平素の成績で認める」としか決めていません
進級や卒業の法的な根拠は、学校教育法施行規則にあります。第57条1項は「各学年の課程の修了又は卒業を認めるに当たつては、児童の平素の成績を評価して、これを定めなければならない」と定めていて、第104条1項でこれが高等学校に準用されています。
つまり国が決めているのは「平素の成績を評価して、校長が認める」という枠組みだけです。何単位足りなければ留年か、何回まで留年できるか、在学は何年までか、は書かれていません。具体的な基準は、都道府県の管理規則や、各学校の規程・学則・内規に任されています。
たとえば栃木県の県立学校管理規則は第13条4項で、その学年で修得すべき単位の3分の2以上を修得しない生徒や、教育上進級を不適当と認める生徒を「原級に留めおくことができる」としています。沖縄県立高等学校管理規則も第38条で、校長は所定の単位を履修できなかった生徒を原級に留め置くことができる、と定めています。どちらも「できる」という書き方で、回数の上限までは書かれていません。
欠席が多くて単位が取れないケースについては、出席の基準も学校ごとに違います。基準の考え方は高校 出席日数の記事で、欠席の数え方は高校 欠席日数の記事で詳しく書いています。

「何回まで」は学校の規程次第。1回限りの学校もあります
では、実際の学校はどう決めているのか。公開されている規程を探して確かめたところ、次のような例がありました。
| 学校・規則 | 決めていること | メモ |
|---|---|---|
| 沖縄県立那覇国際高等学校の規程(第8条) | 同一学年の原級留置は1回限り | 第7条で、留年すると修得済みの科目も再履修 |
| 沖縄県立中部商業高等学校の内規(第7条) | 再び原級留置となり、次年度に進級できない者には退学を命じることができる | 第3項で、その年度に修得した単位はすべて取り消し |
| 関西中央高等学校(奈良県・私立)の学則(第5条) | 5年を超えて在学することはできない | 第26条で、在学年限を越えた者は除籍できる |
ここからわかるのは、同じ学年での留年を1回までとしている学校があり、2回目の留年が退学につながり得る学校もある、ということです。「何回まで」の答えは、学校によって「1回」にもなり得ます。
ただし、これはあくまで確認できた一部の例です。自分の学校がどう決めているかは、生徒手帳や学校の規程集に書かれていることが多いので、担任や教務の先生に「原級留置の回数に決まりはありますか」と聞くのがいちばん確実です。
「何年まで」も学校次第。公立の規則には見当たりませんでした
次に、在学できる最長の年数(在学年限)です。検索すると「全日制は6年まで」「定時制は8年まで」といった数字が出てくることがあります。そこで、公開されている公立高校の規則を実際に開いて確かめました。
茨城県県立高等学校学則、徳島県立学校規則、栃木県県立学校管理規則、沖縄県立高等学校管理規則、札幌市立・広島市立・福岡市立の高等学校学則の7つを開きましたが、在学年限を定めた条文はどれにもありませんでした。あったのは、修業年限(全日制は3年、など)と、休学できる期間の上限です。「全日制6年・定時制8年」という数字は、今回は条文での裏付けが取れなかったので、この記事では答えとして書きません。
一方、私立では学則に在学年限を書いている例がありました。先ほどの関西中央高等学校は「生徒は5年をこえて在学することはできない」と定めています。私立に通っている場合は、学則に在学年限が書かれていないかを確かめてください。
休学した期間が在学年数にどう数えられるかも、学校によって扱いが違います。休学の上限については高校 休学の記事で、3つの自治体の学則を比べています。
留年が決まるのは3月。その前に「追認」の機会があることも
進級や卒業の判定は、学年末に行われます。沖縄県立高等学校管理規則は第39条2項で「卒業又は修了を認定する時期は、3月とする」と定めています。多くの学校で、学年末の成績会議や進級判定会議で決まります。
ただ、判定会議で一度「単位不足」になっても、そこで終わりではない学校があります。那覇国際高校の規程には「学年末成績判定会議」と「追認判定会議」の2つがあり、1・2年生はその間の約2週間に補充授業を受ける仕組みになっています。欠課時数が基準を超えた科目でも、補習や課題で単位の認定を追加で受けられる学校はほかにもあります。
ここで大事なのは、判定の前に動くことです。3月の会議で決まってしまってからでは、選べる道が少なくなります。冬休みの前後に、担任に「今の時点で、単位が危ない科目はどれですか。補充や追認の仕組みはありますか」と聞いておくと、打てる手が増えます。
留年すると、取った単位はどうなるのか
留年でいちばん重いのは、実はこの点かもしれません。那覇国際高校の規程は第7条で、留年すると修得済みの科目も再履修になると定めています。中部商業高校の内規も、原級留置になった場合、その年度に修得した単位を「すべて取り消し」としています。
つまり、学年制の学校では、1科目だけ単位が足りなくても、その学年の全科目をもう一度履修し直すことになる場合があります。数学だけ足りなかったのに、国語も英語も体育も1年やり直す、ということです。
一方で、沖縄県の管理規則は、単位制の課程には原級留置の規定を適用しないとしています。単位制の学校は、学年ではなく単位の積み上げで卒業を判定するので、学年ごとの「留年」という考え方が基本的にありません。通信制高校の多くはこの単位制です。通信制で留年がどう扱われるかは、通信制高校 留年の記事で説明しています。
お金の面:就学支援金は全日制なら原則36月まで
留年を考えるとき、学費も無視できません。文部科学省の就学支援金のQ&Aでは、支給期間について「高等学校の標準的な修業年限とされている36月まで原則支給されます。定時制・通信制の課程については原則48月まで支給されます」と説明しています。対象にならない人として「3年(定時制・通信制は4年)を超えて在学している生徒」も挙げられています。
全日制で1回留年すると、卒業までの在学は4年になります。4年目は36月を超えるので、就学支援金の対象外になる可能性があります。神奈川県のように、在学期間が36月を超えた人には授業料を負担してもらう、と案内している自治体もあります。留年の可能性が出てきたら、授業料がどうなるかを学校の事務室に確認してください。
いったん高校をやめて入り直す場合には、就学支援金が切れた後に使える「学び直し支援金」という制度があります。詳しくは学び直し支援金の記事にまとめています。
※2026年9月時点の情報です。制度の最新は文部科学省・各自治体・各学校でご確認ください。
よくある誤解:「欠席日数だけで決まる」「留年は何年でもできる」
- 欠席日数だけで留年が決まる……多くの学校で見られるのは、日数ではなく科目ごとの欠課時数と成績です。欠席が少なくても、成績や修得単位が足りなければ留年はあり得ます。逆に、欠席が多くても補充や追認で進級できる場合もあります。
- 留年は何年でもできる……国の上限はありませんが、学校の規程で「1回限り」とされていることがあります。2回目の留年で退学を命じられ得る規程もあります。
- 留年したら大学に行けない……留年しても卒業すれば高校卒業です。大学の受験資格にも影響はありません。
- 留年するなら、やめるしかない……転校や高卒認定など、学び続ける道はいくつもあります。

留年が見えてきたら、選べる道は3つあります
留年が避けられそうにないとき、取れる道は大きく分けて3つです。
| 道 | よいところ | 気をつけること |
|---|---|---|
| 今の学校に残って留年する | 環境が変わらない。部活や友人関係を続けられる | 学年のやり直しで単位が取り消されることがある。卒業が1年遅れる。就学支援金の期間 |
| 通信制などへ転校する | 修得した単位を持って移れる。学年ではなく単位で卒業を目指せる | 自宅学習が中心になる。転入の受け入れ時期を確かめる必要がある |
| 高卒認定試験を使う | 大学などの受験資格が得られる | 学歴は高校卒業にならない。18歳未満の合格は18歳になった翌日から有効 |
それぞれのメリットとデメリットは高校留年後の進路の記事で詳しく比べています。転校する場合は、在籍したまま移ることが大切です。いったん退学すると転入学ではなく編入学になり、入れる時期が変わることがあります。この違いは通信制高校 転入の記事で整理しています。高卒認定との比べ方は高卒認定 通信制高校 どっちの記事をご覧ください。
学年に縛られない学び方として、通信制サポート校があります
ここで、NIJIN高等学院(ニジ高)のことを少しだけ書かせてください。ニジ高は、提携する通信制高校と連携して高校卒業を目指す、オンライン中心の通信制サポート校です。途中からの入学(転入・編入)ができ、今の学校で取った単位を活かして卒業を目指せます。担任制で、カメラやマイクをオフにしたまま、チャットだけで参加するところから始められます。
運営は株式会社NIJINです。小中学生の場合は、同じグループが運営するNIJINアカデミー(不登校の小中学生のためのオンラインオルタナティブスクール。1,000名以上が在籍)という選択肢もあります。中学卒業後にニジ高へ進む生徒もいます。
留年の不安を抱えている人の多くは、体調や生活リズムに波がある時期を過ごしています。ニジ高は、その波があっても学べるように、アーカイブ視聴や中学内容の学び直しにも対応しています。
正直に書いておくと、ニジ高の学院内でのスクーリングはありません。高校卒業に必要なスクーリングは、提携する通信制高校で受ける必要があります。その準備や日程の相談には乗りますが、登校が完全にゼロになるわけではない点は知っておいてください。
迷ったときの進め方(3ステップ)
- 規程を確かめる……生徒手帳や学校の規程で、原級留置の回数と在学年限の決まりを探します。見つからなければ、担任に「留年は何回までですか。在学できるのは何年までですか」と聞いてください。
- 判定の前に、危ない科目と追認の仕組みを聞く……3月の判定より前に、単位が危ない科目と、補充・追認の機会があるかを確かめます。
- 残る・移る・高認の3つを同じ紙に並べる……修得済みの単位、卒業までの年数、かかるお金を書き出して、家族で比べます。今決めなくても、並べておくだけで判定の後に慌てずに済みます。
この記事で参照した資料(2026年9月21日確認)
- e-Gov法令検索「学校教育法施行規則」
- 文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」令和6年度 高等学校中途退学等(e-Stat)
- 栃木県「県立学校管理規則」
- 沖縄県立那覇国際高等学校「履修、単位の認定、進級及び卒業認定に関する規程」(PDF)
- 沖縄県立中部商業高等学校 教務内規・沖縄県立高等学校管理規則(PDF)
- 関西中央高等学校 学則(PDF)
- 文部科学省「高等学校等就学支援金制度に関するQ&A」

残る・移る・高認、どれが合うか一緒に並べます
個別相談会では、今取れている単位と体調を聞いたうえで、今の学校に残る場合と転校する場合の卒業までの道のりを一緒に比べます。今の学校に残るという結論になっても構いません。
個別相談会を見てみる →よくある質問
A. 国の法令に全国共通の上限はありません。在学年限は学校の学則などで決まります。公立高校の規則7つを確かめたところ在学年限の条文は見つかりませんでしたが、私立では「5年を超えて在学できない」と定めた学則がありました。自分の学校の学則を確認してください。
A. これも学校の規程次第です。「同一学年の原級留置は1回限り」と定めている県立高校や、2回目の留年で退学を命じることができるとする内規の例がありました。担任や教務の先生に確認するのが確実です。
A. 学年末の3月に、成績会議や進級判定会議で決まるのが一般的です。その後に補充授業や追認判定の機会を設けている学校もあるので、判定の前に担任に聞いておいてください。
A. 学年制の学校では、取り消して全科目を再履修とする規程の例があります。単位制の学校では、学年ごとの留年という考え方が基本的になく、修得した単位はそのまま積み上がります。
A. 就学支援金は全日制で原則36月まで、定時制・通信制で原則48月までです。全日制で1回留年して4年目に入ると、支給の対象外になる可能性があります。学校の事務室や自治体に確認してください。
留年は、道の終わりではありません
「何年まで」「何回まで」を調べている時点で、あなたはもう、次のことを考え始めています。それは焦りではなく、自分の道を自分で確かめようとする力です。
国の決まりに上限はなく、答えは学校の規程の中にあります。まず規程を確かめる。判定の前に先生と話す。そして、残る・移る・高認の3つを並べてみる。どれを選んでも、学び続ける道は閉じていません。今日決める必要はありません。確かめることから、一つずつ始めてみてください。
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