お子さんが学校に行けなくなったとき、保護者の方の心にも、大きな波が立ちます。「どうしたらいいのだろう」「自分の育て方が悪かったのでは」「このままで将来は大丈夫なのか」。そんな思いが頭を巡り、夜も眠れなくなったり、仕事や家事が手につかなくなったりすることもあるでしょう。
この記事では、不登校の子を持つ親が抱えやすい気持ちを整理し、しんどいとき、疲れたときの向き合い方、お子さんへの関わり方、頼れる場所、将来への考え方をまとめます。読んでいる今も、あなたはきっと、十分に頑張っています。まずは、肩の力を少し抜いて読み進めてください。
結論:不登校の子を持つ親が、しんどいときの早見
- 不安・焦り・自責・疲れ・孤独感は、多くの親が抱える自然な気持ちです。
- 親自身が休み、頼り、気持ちを整理することが、お子さんを支える土台になります。
- お子さんへの声かけは、問い詰めるより、安心できる環境を示すことが基本です。
- 学校・相談窓口・同じ立場の親など、頼れる場所を複数持ちましょう。
- 将来の道は一つではありません。焦らず、情報を集めながら進めて大丈夫です。
不登校の児童生徒は
過去最多の水準が続いています
出典:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」
不登校の子を持つ親が抱えやすい気持ち
お子さんが不登校になると、保護者の方はさまざまな気持ちを経験します。気持ちは日によっても変わり、一つではありません。ここでは、よく聞かれる気持ちを整理します。どれも、あなたが弱いからではなく、お子さんを大切に思っているからこそ生まれる自然な反応です。
不安:このままどうなるのか
学校に行けない状態が続くと、「勉強は遅れないか」「進学はできるのか」「将来は大丈夫か」という不安が膨らみます。先が見えないことが、不安をさらに大きくします。情報を集めると、少し落ち着くことがあります。
焦り:早く元に戻さなければ
周りの子が学校に通っている姿を見ると、「早く戻さなければ」と焦る気持ちが強くなります。ただ、焦りが強いほど、お子さんにその緊張が伝わり、かえって回復が遅れる場合があります。
自責:自分のせいではないか
「あのとき、こうしていれば」「育て方が悪かったのでは」と、自分を責めてしまう方は多くいます。不登校は、本人の特性、環境、人間関係、体調など、さまざまな要因が重なって起こるとされ、特定の誰かのせいではありません。
疲れ:心も体も限界に近い
お子さんの様子を気にかけ続けること、学校とのやり取り、家事や仕事との両立。気づかないうちに、心身が疲弊していきます。「疲れた」と感じるのは、それだけ頑張ってきた証拠です。
孤独感:誰にも分かってもらえない
周囲に打ち明けにくく、「うちだけが大変」と感じてしまうことがあります。しかし、同じような悩みを抱える家庭は、決して少なくありません。同じ立場の人とつながることで、孤独感が和らぐことがあります。
怒りやいらだち:つい強く言ってしまう
「どうして行かないの」と、つい強い言葉が出てしまうこともあるでしょう。そのあとに自己嫌悪に陥る方も多くいます。完璧な親はいません。気づいた時点で、「さっきは言い過ぎたね」と伝え直せば十分です。
しんどいとき、疲れたときの向き合い方
親の気持ちと
向き合い方の目安
| 気持ち | 起こりやすい考え | 向き合い方 |
|---|---|---|
| 不安 | 将来はどうなるのか | 情報を集め、選択肢を知る |
| 焦り | 早く戻さなければ | 期限より本人の回復を優先する |
| 自責 | 自分のせいでは | 要因は一つではないと知る |
| 疲れ | もう限界かもしれない | 休む時間と頼る先をつくる |
※気持ちが強いときは、専門の相談窓口に相談してください。
まず、自分が休むことを許可する
お子さんのために頑張り続けている保護者の方ほど、自分の休息を後回しにしがちです。しかし、親が疲れ切ってしまうと、お子さんにもその空気が伝わります。短い時間でも、一人でコーヒーを飲む、散歩をする、好きな音楽を聴くなど、気持ちが緩む時間を意識して持ってください。「休むのは、お子さんを支えるための準備」と考えてみましょう。
気持ちを書き出して、整理する
頭の中でぐるぐる回っている不安や焦りは、紙に書き出すと、少し整理されることがあります。「何が不安なのか」「今、できることは何か」「今は考えなくてよいことは何か」。この3つに分けて書くだけでも、気持ちが軽くなる場合があります。
話せる相手を持つ
家族、友人、職場の信頼できる人、学校のスクールカウンセラー、自治体の教育相談窓口、親の会など、話を聴いてもらえる場所を複数持ちましょう。話すことで気持ちが整理され、新しい視点が得られることもあります。身近な人に話しにくいときは、匿名で相談できる窓口を使うのも一つの方法です。
今日できることを、一つだけ決める
将来のことを全部考えようとすると、圧倒されてしまいます。今日できることを一つだけ決めて、それができたら十分、と考えてみてください。たとえば、「お子さんと一緒にご飯を食べる」「担任の先生に近況を連絡する」「自分が早く寝る」。小さなことで構いません。
お子さんとの関わり方:声かけのヒント
不登校のお子さんへの声かけで、迷う保護者の方は多くいます。決まった正解はありませんが、一般的に、次のような姿勢が安心につながりやすいと考えられます。
- 「どうして行けないの?」と問い詰めるより、「話したくなったら聞くよ」と伝える。
- 登校するかどうかより、体調や気持ちの状態に目を向ける。
- お子さんの好きなことや興味を否定せず、関心を示す。
- 「大丈夫」「応援しているよ」と、存在そのものを肯定する言葉を伝える。
- 話したくなさそうなときは、そっと見守る。
お子さんが話してくれたときは、まず最後まで聴き、意見やアドバイスは急がないことが大切です。「そう感じていたんだね」と受け止めるだけで、安心することがあります。
頼れる場所を知っておく
一人で抱え込まないための
相談の広げ方
どの段階から始めても構いません。
学校の中で頼れる人
担任の先生だけでなく、養護教諭、スクールカウンセラー、学年主任、スクールソーシャルワーカーなど、学校の中にも相談できる人がいます。担任との相性が合わないと感じたら、他の先生に相談してみる方法もあります。
学校の外で頼れる場所
自治体の教育相談センター、児童相談所、保健センター、フリースクール、通信制高校の個別相談、親の会など、学校の外にも頼れる場所があります。それぞれに特徴があるため、複数の場所に相談して、合うところを見つけてみてください。
気持ちが追い詰められたとき
「もう耐えられない」「消えてしまいたい」と感じるほど追い詰められているときは、一人で抱え込まず、すぐに相談してください。こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)や、24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)があります。体調に不安があるときは、医療機関の受診も検討してください。
よくある勘違い:不登校の子を持つ親について
勘違い①「親が強くならなければいけない」
強くあろうとして、感情を抑え込み続けると、心身がもたなくなります。弱音を吐いたり、頼ったりすることは、弱さではなく、長く支え続けるための知恵です。
勘違い②「早く学校に戻さないと、取り返しがつかない」
学校に戻る以外にも、休学、転学、通信制高校への転入など、学びを続ける道は複数あります。回復を優先して、本人の状態が整ってから次の環境を選んでも、選択肢は残されています。
勘違い③「親の育て方が原因だ」
不登校は、本人の特性、環境、人間関係、体調など、複数の要因が重なって起こるとされています。育て方だけが原因と決めつける必要はありません。
勘違い④「相談するのは、恥ずかしいこと」
多くの保護者の方が、同じ悩みを抱え、相談しながら歩んでいます。相談は、お子さんのためにも、ご自身のためにも、大切な一歩です。
夫婦・家族の間で気持ちがすれ違うとき
不登校への向き合い方は、家族の中でも違いが出やすいものです。「もう少し様子を見よう」という人と、「何か行動しなければ」という人、「本人の意思に任せよう」という人と、「親が引っ張らないと」という人。それぞれが、お子さんを思うからこその意見ですが、すれ違うと、家庭内の雰囲気が悪くなることがあります。
話し合うときは、結論を出そうとするより、お互いの不安や考えを出し合うことから始めてみてください。「何が一番心配か」「お子さんにどうなってほしいか」を、それぞれ言葉にすることで、共通の願いが見えてくることがあります。意見が違うときは、第三者(スクールカウンセラーや相談窓口)を交えて話し合うのも一つの方法です。
きょうだいへの配慮
きょうだいがいる場合、親の関心が不登校のお子さんに集中しがちです。きょうだいが寂しさや我慢を抱えていないか、気にかけてあげてください。年齢に応じて状況を伝え、「あなたのことも大切に思っている」と言葉や行動で示すことが大切です。一人ひとりの話を聴く時間を、意識的に持ちましょう。
祖父母や親戚との関わり
祖父母や親戚から、悪気なく心ない言葉をかけられて、傷つくことがあるかもしれません。状況と家族の方針を簡潔に伝え、「そっと見守ってほしい」とお願いしておくと、余計なプレッシャーを減らせます。理解を得るのが難しいときは、無理に説明し続けず、距離を置くことも選択肢です。
日々の暮らしの中でできる、小さな工夫
不登校の期間が続くと、家庭の生活リズムも崩れがちになります。完璧に整える必要はありませんが、無理のない範囲で、次のような小さな工夫を取り入れると、親子ともに少し楽になることがあります。
- 朝は、家族の誰かが声をかけ、一緒に食事をとる時間をつくる。ただし、起きられない日は無理をさせない。
- 1日のうちに、短時間でも一緒に過ごせる穏やかな時間(散歩、食事、好きな番組など)を持つ。
- お子さんの「やりたいこと」を、小さなことでも認め、見守る。
- 保護者の方自身も、決まった時間に休む、運動するなど、自分を整える習慣を持つ。
- 家事や役割を、お子さんの負担にならない範囲で、一緒に分担してみる。
生活リズムは、回復のバロメーターでもあります。大切なのは、「できていないこと」ではなく、「できたこと」に目を向けることです。小さな変化を見つけたら、「今日はご飯を一緒に食べられたね」と、さりげなく言葉にして伝えてみてください。
スマートフォンやゲームとの付き合い方
不登校の時期は、スマートフォンやゲームに多くの時間を使う子も少なくありません。頭ごなしに取り上げると、関係が悪化することもあります。まず、何に楽しさや安心を感じているのかに関心を持ち、一緒に話し合ってルールを決めるほうが、受け入れられやすい傾向があります。気になる場合は、専門家や相談窓口に相談してみましょう。
将来への不安と、道の広がり
「このままでは、進学も就職もできないのでは」。そんな将来への不安は、不登校の親にとって最も大きな悩みの一つです。しかし、不登校の経験があっても、高校進学や大学進学、就職など、さまざまな道が用意されています。
高校については、全日制、定時制、通信制など複数の進路があります。通信制高校は、自分のペースで学べる仕組みで、不登校を経験した生徒も多く学んでいます。令和7年度の通信制の現役大学進学率は約22%と報告されており、全日制・定時制(約59%)との差はありますが、進学を前提としない生徒を含む数字であり、環境を変えて学び直し、進学を実現する人もいます。
今は先が見えなくても、お子さんが回復し、「やってみたい」と思えたときに、動き出せる選択肢があります。それまでの間、情報を集めておくだけでも、気持ちは少し楽になります。焦らず、お子さんのペースを大切にしてください。
学校との関わり方:先生とのやり取りで疲れないために
不登校の期間中は、学校とのやり取りが保護者の方の負担になることがあります。連絡のたびに緊張する、先生の言葉に傷つく、何を伝えればいいか分からない。そんなときは、連絡の方法やタイミングを、先生と相談して決めておくと負担が減ります。たとえば、毎日ではなく週に1回、メールや連絡帳で近況を共有する、といった形です。
先生に伝えるときは、「今の様子」「困っていること」「希望」の3点を簡潔にまとめると、話が進みやすくなります。学校からのプリントや連絡事項は、すべてに対応しようとせず、必要なものだけを選んで対応して構いません。お子さんが学校の話題を負担に感じる場合は、保護者の方が間に入って、情報を取捨選択してあげてください。
先生との関係がうまくいかないと感じたときは、学年主任や管理職、スクールカウンセラー、教育委員会の相談窓口に相談する方法もあります。一人の先生の対応がすべてではありません。学校以外の相談先も併用しながら、無理のない形で関わっていきましょう。
保護者の方へ:あなたに伝えたいこと
ここまで読んでくださった保護者の方へ。お子さんのことで悩み、迷い、それでも毎日を乗り越えてこられたこと自体が、すでに大きな支えになっています。お子さんは、言葉にはしなくても、「見捨てられていない」「味方がいる」と感じているはずです。
しんどいときは、しんどいと言って大丈夫です。涙が出るときは、泣いて構いません。完璧な親である必要はなく、「今日も何とか一日を終えられた」だけで、十分です。気持ちが落ち着かない日があっても、それは回復の過程の一部です。
お子さんの未来を信じることと、今の苦しさを認めることは、両立できます。「大丈夫」と無理に思い込まなくても、「今は大変だけれど、一歩ずつ進んでいる」と考えてみてください。
NIJIN高等学院では、不登校を経験したお子さんと保護者の方向けに、オンラインでの学校説明会・個別相談を随時行っています。「まだ決めていない」「話を聞いてほしい」という段階でも、保護者の方だけでも参加できますので、お気軽にご相談ください。
親の気持ちが少し軽くなる、考え方のヒント
- 「今は回復の時期」と捉える:何もしていないように見えても、心身が整う大切な時間です。
- 「比べない」を意識する:他の子ではなく、昨日のお子さんと比べてみる。
- 「選択肢は複数ある」と覚えておく:学校に戻る道だけが正解ではありません。
- 「完璧を目指さない」:50点の日があっても、大丈夫と考える。
- 「助けを求めるのは、強さ」と考える:頼れる人は、多いほうが安心です。
どのヒントも、すぐに実践できなくて構いません。気持ちが少し動いたときに、ふと思い出してみてください。
これからの進路について:環境を変えるという選択肢
お子さんの回復が進み、「何か始めてみたい」という気持ちが出てきたら、環境を変えるという選択肢も検討できます。通信制高校のように、自分のペースで学べる環境では、不登校を経験した生徒が、再び学ぶ意欲を取り戻していく例が数多くあります。
環境を変えることは、逃げではなく、「自分に合う場所を選び直す」ことです。合わない環境で無理を続けるより、合う環境で力を発揮するほうが、本人の自己肯定感も回復しやすいと考えられます。ただし、タイミングは本人の状態によって異なります。「今すぐ決めなければ」と焦らず、情報を集めながら、ふさわしい時期を待ってください。
進路や環境について、第三者に話を聴いてもらいたいときは、学校の先生、スクールカウンセラー、自治体の教育相談窓口、通信制高校やフリースクールの個別相談などを活用してみてください。話をするだけで、頭の中が整理されることがあります。
よくある質問
不登校は、さまざまな要因が重なって起こるとされ、特定の誰かのせいではありません。自分を責める気持ちが強いときは、一人で抱えず、信頼できる人や相談窓口に話してみてください。
まず、休むことを自分に許可してください。短時間でも一人になる時間を持ち、家族や友人、相談窓口に頼ることが大切です。つらさが続く場合は、医療機関や専門の相談窓口に相談しましょう。
原因を問い詰めるより、「話したくなったら聞くよ」「今は休んでいいよ」と、安心できる環境を示す声かけが基本だと考えられます。
感情的にならず、事実と希望を整理して伝えると話が進めやすくなります。担任以外にも、養護教諭やスクールカウンセラー、学年主任など、相談できる相手を探してみましょう。
きょうだいが我慢を重ねないよう、それぞれの気持ちを聴く時間を意識的に持つことが大切です。状況を年齢に応じて伝え、一人ひとりを大切にしていることを示しましょう。
不登校の経験があっても、高校進学や大学進学、就職など、さまざまな道があります。環境を変えて学び直す選択肢もあるため、焦らず情報を集めてみてください。
まとめ
- 不登校の子を持つ親は、不安・焦り・疲れ・自責など、さまざまな気持ちを抱えます。それは自然な反応です。
- 親自身が休み、頼り、気持ちを整理することが、お子さんを支える土台になります。
- 一人で抱え込まず、学校・相談窓口・同じ立場の親とつながることが大切です。
しんどいときは、しんどいと言って大丈夫です。あなたが休めることが、お子さんの安心にもつながります。
あわせて読みたい
- 不登校の子どもの高校進学、親が考えておきたいこと【2026】
- 高校生の不登校、乗り越えるための前向きな選択肢とは【2026】
- 不登校でも高校進学はできる?中学生の進学しやすい高校の選び方【2026】
- 高校で孤立してしまったあなたへ|環境を変えるという選択肢と、転入までの現実的な流れ【2026】
- 人間関係が苦手なら通信制高校という選択|距離感を自分で決められる学び方【2026】
- 中学の先生に通信制高校をすすめられたら?よくある理由と今の通信制高校のリアル【2026】
執筆者:ニジ高編集部 2026年10月8日更新
参考文献
- 文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」
- こども家庭庁・文部科学省「24時間子供SOSダイヤル」
- 厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について」



