通信制高校を選ぶ中学生は年々増え、進路の選択肢のひとつとして、検討する家庭が多くなりました。一方で、「どの学校がいいのか分からない」「そもそも、やりたいことがまだ見つかっていない」という声も、あわせて多く聞かれます。
この記事では、明確な目標がまだない人に向けて、通信制高校の選び方の考え方、比較のポイント、よくある勘違い、保護者の方ができることを整理します。「なんとなく」で選んで後悔しないために、判断の軸を一緒に作っていきましょう。
結論:「やりたいことがまだない」人の学校選び早見
- やりたいことがなくても大丈夫。通信制では、入学後に見つかる人も多いと考えられます。
- 選ぶ基準は「やりたいこと」より、「いろいろ体験できる環境があるか」。
- 学び方・サポート・仲間・進路・費用の5点を、同じ質問で比べる。
- 資料だけで決めず、説明会や個別相談で雰囲気を確かめる。
- 合わなければ、転入・編入で見直せる場合もあるため、完璧を求めすぎない。
なぜ「やりたいことがない」と学校選びで迷うのか
学校選びで迷う理由の多くは、「何を基準にすればいいのか分からない」ことにあります。やりたいことがはっきりしている人は、学びたい分野や目指す進路から学校を絞れますが、そうでない人は基準を持ちにくく、パンフレットを見比べても違いが分かりにくくなりがちです。
ただ、これは珍しいことではありません。中学生や高校生の段階で、将来の夢や目標がはっきりしている人のほうが少数派です。むしろ、迷っている状態は、自分に合う環境を慎重に探している証でもあります。
通信制高校で学ぶ生徒は
全国で30万人を超える規模に
出典:文部科学省「学校基本調査」ほか報道
目標がなくても大丈夫:まずは「体験できる環境」を選ぶ
やりたいことは、考えるだけで見つかるものではなく、体験の中で見えてくることがほとんどです。読書、創作、プログラミング、スポーツ、ボランティア、オンラインイベントへの参加など、いろいろ試してみる中で、「これは続けられそう」「これは苦手かも」という感覚が蓄積していきます。
通信制高校は、時間の自由度が高い分、こうした体験に使える時間を確保しやすい環境です。ただし、自由な時間を持て余してしまう人もいます。だからこそ、学校側が体験の機会や相談の場を用意しているかが、重要な選択基準になります。
体験できる環境かどうかの見分け方
- 課外活動・プロジェクト・クラブなど、学習以外の取り組みがあるか。
- 外部の人(社会人・大学生・企業など)と関われる機会があるか。
- 生徒の興味に合わせて、個別に相談できる先生がいるか。
- オンラインでも、他の生徒と交流できる場が設けられているか。
NIJIN高等学院では、オンラインを軸にしながらも、生徒同士が交流できるイベントやコミュニティ活動を大切にしています。「オンラインで青春」を掲げ、画面の向こうの仲間と何かに取り組む経験が、新しい気づきにつながることも少なくありません。
「やりたいこと」は、どうやって見つかるのか
「やりたいことを見つけなさい」と言われても、何から始めればいいのか分からない人は多いはずです。やりたいことは、頭の中で考え続けても見つかりにくく、実際に動いてみた結果として「あとから気づく」ことがほとんどです。そこで、見つけるためのヒントを3つ紹介します。
ヒント1:小さく試して、記録を残す
興味を持ったことがあれば、深く考える前に、まず小さく試してみましょう。1日だけプログラミングの入門動画を見る、1回だけボランティアに参加する、1冊だけ関連する本を読む。そして、やってみてどう感じたかを、一言でいいのでメモしておきます。数週間たつと、「楽しかったこと」と「疲れたこと」の傾向が見えてきます。
ヒント2:「好き」だけでなく「時間を忘れること」にも注目する
好きなことは、必ずしも明確な言葉にならないことがあります。そんなときは、「気づいたら時間がたっていたこと」を振り返ってみてください。ゲーム、絵、料理、動物の世話、誰かの話を聞くこと。何気ない行動の中に、将来の仕事や学びにつながる関心が隠れていることがあります。
ヒント3:いろいろな大人や仲間と話す
自分一人で考えていると、知っている職業や学びの範囲が限られてしまいます。学校の先生、年上の先輩、社会人、同じ悩みを持つ仲間など、立場の違う人と話すことで、「そんな仕事・学び方があるのか」という発見が生まれます。通信制高校の中でも、こうした出会いの機会がある学校を選ぶと、視野が広がりやすくなります。
なお、やりたいことが見つからないまま卒業する人もいます。それでも問題ありません。卒業後に専門学校や大学、仕事を通じて見つかる人も多くいます。大切なのは、「見つからない自分」を責めず、機会をつくり続けることです。
通信制高校の仕組み:選ぶ前に知っておきたい基本
学校を比べる前に、通信制高校の基本的な仕組みを押さえておくと、説明会での質問の質が上がります。通信制高校は、学校教育法に基づく高等学校の一種で、卒業すれば全日制と同じ「高等学校卒業」の資格が得られます。卒業には、一般に3年以上の在籍、74単位以上の修得、特別活動への参加が必要とされています。
学習の基本は、レポートの提出、スクーリング(面接指導)、単位認定試験の3つです。これに加えて、多くの学校で、オンライン授業や個別指導、サポート校との連携など、独自の仕組みが用意されています。学習の進め方や頻度は学校によって大きく異なるため、「自分の生活リズムで続けられるか」を軸に確認しましょう。
また、通信制高校には「単独校」「サポート校と連携している学校」など、いくつかの形があります。サポート校は、通信制高校の卒業を支える民間の教育施設で、学習支援や生活面のサポート、課外活動を提供します。どこまでが高校の提供するもので、どこからがサポート校の提供するものなのか、費用も含めて整理して確認しておくと安心です。
通信制高校を比べる5つの軸
学校選びで確認したい
5つの軸
| 軸 | 確認したいこと |
|---|---|
| 学び方 | 通学・オンライン・ミックス。体調や生活リズムに合うか |
| サポート | 担任・相談役の人数、連絡の頻度、遅れた時の支援 |
| 仲間 | 交流の機会、距離感を調整できるか |
| 進路 | 進学・就職・起業などの支援内容と実績 |
| 費用 | 総額、就学支援金の対象、追加費用の有無 |
※学校ごとに内容は異なります。資料請求や説明会で、同じ質問をして比較してください。
① 学び方:自分の生活リズムに合うか
週に何日通うのか、オンラインのみで完結できるのか、スクーリングは何日あるのかを確認します。朝が苦手、人混みが苦手、体調に波があるといった事情があるなら、オンライン中心や通学日数を調整できる学校のほうが続けやすくなります。反対に、家に一人でいると生活が崩れやすい人は、通学型のほうが合う場合もあります。
② サポート:つまずいた時に誰が気づくか
自由度が高い分、遅れや悩みに気づいてくれる人がいるかどうかが継続のカギです。担任や相談役の人数、面談の頻度、課題が滞った時の連絡方法を確認しましょう。「相談してください」という受け身ではなく、先に声をかけてくれる体制があるかどうかが目安になります。
③ 仲間:距離感を選べるか
友達づくりを重視する人もいれば、一人で落ち着いて学びたい人もいます。クラス活動、イベント、オンライン交流の頻度と、参加の自由度を確認しましょう。関わりの量よりも、自分で距離感を調整できるかどうかが大切です。
④ 進路:やりたいことが見つかった後に支えてくれるか
やりたいことがまだない人にとって、入学後に見つかったやりたいことを、進路へつなげてくれる体制は重要です。進路面談の頻度、大学・専門学校・就職の各支援、卒業生の進路などを確認しておきましょう。
⑤ 費用:総額と支援制度を確認する
公立の通信制は費用を抑えやすい一方、私立は授業料やサポート費用がかかる場合があります。高等学校等就学支援金は、世帯の状況などの条件により受けられることがあり、私立通信制では令和8年度から支給上限額が月額28,100円(年額337,200円)とされています。自治体の上乗せ制度もあるため、実際の負担額は各校と自治体の窓口で確認してください。
よくある勘違い:学校選びで思い込みやすいこと
勘違い①「やりたいことがないと入れない/入る意味がない」
通信制高校は、目標が決まっていない人も受け入れています。むしろ、時間の自由度を生かして、体験を通じて目標を探せる環境ともいえます。
勘違い②「有名な学校なら安心」
知名度や広告の量は、お子さんとの相性を示すものではありません。学び方やサポート体制が自分に合うかどうかを、具体的に確かめることが大切です。
勘違い③「一度入ったら変えられない」
通信制高校には転入・編入の仕組みがあり、学校を見直せる場合もあります。ただし単位の引き継ぎや時期に制約があるため、気になる場合は早めに相談することをおすすめします。
迷った時の進め方:説明会・個別相談の活用
パンフレットやウェブサイトだけでは、学校の雰囲気や先生の人柄は伝わりません。説明会や個別相談に参加して、実際に話してみることで、「ここなら自分のペースで頑張れそう」という感覚がつかめることがあります。
学校選びの
進め方の目安
焦って決めず、気になる点は納得いくまで確認しましょう。
入学後に「合わなかった」と感じたときの考え方
どれだけ慎重に選んでも、入学してみて「思っていたのと違った」と感じることはあります。そのとき大切なのは、「選択を間違えた」と自分を責めすぎないことです。まず、何が合わなかったのかを具体的に分けて考えてみましょう。学び方なのか、サポートなのか、人間関係なのか、費用なのか。原因によっては、担任や相談役の先生に相談するだけで解消する場合があります。
相談しても改善が難しい場合は、コースの変更や、他の学校への転入・編入を検討する選択肢もあります。通信制高校には、前の学校で修得した単位を引き継げる仕組みがありますが、引き継げる範囲や時期には制約があります。早めに学校へ相談し、必要な手続きと期限を確認しておくと安心です。
また、環境が合わないと感じる時期は、体調や気持ちが不安定になっていることもあります。つらさが続く場合は、一人で抱え込まず、家族、学校の先生、スクールカウンセラーなどに話してみてください。24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)のような相談窓口もあります。
説明会・個別相談で聞いておきたい質問リスト
せっかく説明会に参加しても、聞きたいことを聞きそびれてしまう人は少なくありません。次の質問をメモして持参すると、学校ごとの違いが見えやすくなります。
- 入学後の1週間の過ごし方を、具体的に教えてください。
- 課題が遅れたとき、誰がどのように連絡をくれますか。
- オンラインのみで卒業することは可能ですか。通学日数は変えられますか。
- 進路相談は、いつから、どのくらいの頻度でありますか。
- 卒業生には、どのような進路の人が多いですか。
- 費用の総額(授業料・施設費・サポート費・教材費など)はいくらですか。
- 合わなかった場合の相談先や、転校の考え方を教えてください。
- 学校行事やイベントは、どのくらいありますか。参加は任意ですか。
質問への答え方も、学校を知る手がかりになります。具体的に答えてくれるか、お子さん本人の話をきちんと聴いてくれるか、メリットだけでなく注意点も伝えてくれるか。こうした姿勢が、入学後のサポートにも表れやすいと考えられます。
可能であれば、お子さん本人が先生と直接話す時間をつくりましょう。保護者の方が質問し、お子さんは隣で聞いているだけだと、本人の気持ちが見えにくくなります。本人の言葉で「ここなら通えそう」と言えるかどうかが、継続の大きな要因になります。
タイプ別:こんな人にはこんな学校が合いやすい
ここまでの5つの軸を踏まえて、お子さんのタイプ別に、合いやすい学校の傾向を整理します。あくまで目安であり、実際の相性は学校ごとの違いを見て判断してください。
朝起きるのが苦手、体調に波がある人
オンライン中心で、登校日数や授業時間を柔軟に調整できる学校が合いやすい傾向があります。調子の悪い日に無理せず休める、動画授業を見返せる、といった仕組みがあるかを確認しましょう。
人と関わるのが苦手だが、孤立はしたくない人
少人数のグループ、オンラインでの小さな交流、距離感を調整できる参加ルールがある学校が候補になります。「必ず参加」ではなく「参加したいときに参加できる」仕組みがあるかが目安です。
何かに熱中したい、でも何にすればいいか分からない人
プロジェクト型の学びや課外活動、外部との交流機会が豊富な学校が向いている可能性があります。いろいろ試せる環境の中で、自分の関心を探していけます。
大学進学を視野に入れている人
受験科目の学習支援、模試の機会、総合型選抜の対策、進路相談の頻度を重視して選びましょう。通信制は自己管理が求められるため、外から支えてくれる仕組みの有無が大切です。
選んだあとに大切にしたい3つの習慣
学校が決まったら、そこがスタートです。入学後に安定して続けるために、次の3つの習慣を意識してみてください。
- 毎日同じ時間に、短くてもいいので学習や活動の時間を確保する。生活リズムを崩さないことが、自由度の高い環境では特に重要です。
- 週に一度、今週できたことと、困っていることを先生や家族に話す。小さな不安を早めに共有すると、大きな遅れを防げます。
- 月に一度、「やってみて面白かったこと」を振り返る。やりたいことの手がかりが、少しずつ蓄積されていきます。
この習慣は、大げさなものではなく、小さく続けられるものばかりです。完璧を目指さず、できなかった日があっても、翌日からまた再開すれば問題ありません。続けるうちに、自分の得意・不得意や、本当に好きなことが、少しずつ輪郭を持ってきます。
学校選びに「絶対の正解」はありません。だからこそ、比べて、確かめて、本人が納得して決めたというプロセスそのものが、入学後の安心感につながります。もし途中で迷いが生じても、それは選び直す力を身につけている途中だと捉えてみてください。
また、周囲の意見に左右されすぎないことも大切です。友人や親戚から「通信制は大変では」と言われることがあっても、実際に通っているお子さんや、学校の先生の話を聞いて、自分たちの目で確かめた情報を基準にしましょう。情報を集め、比較し、本人と話し合う。この3つを丁寧に行えば、納得のいく選択に近づけます。
保護者の方へ:「うちの子は目標がなくて大丈夫?」と感じたとき
お子さんに「やりたいことがない」と言われると、保護者の方は不安になるかもしれません。しかし、それは多くの10代が抱える自然な状態です。まずは「ないこと」を責めず、「どんなことなら続けられそう?」「どんな時に楽しいと感じる?」と、小さな興味に目を向ける声かけから始めてみてください。
学校選びは、お子さんが主役です。親が先回りして決めすぎると、入学後に「自分で選んでいない」という気持ちが残りやすくなります。複数の学校を一緒に見て、お子さん自身が「ここがいい」と言える状態を目指しましょう。
NIJIN高等学院では、オンラインでの学校説明会・個別相談を随時行っています。目標が決まっていなくても大丈夫です。お子さんと一緒に、あるいは保護者の方だけでも参加できますので、まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問
はい、問題ありません。やりたいことは入学後の経験を通じて見つかる人も多く、最初から明確である必要はありません。ただし、体験や相談の機会が用意されている学校を選ぶと、見つけやすくなります。
学び方(通学・オンライン)、サポート体制、仲間との関わり、進路支援、費用の5点を同じ質問で比べるのが目安です。資料請求や説明会で、同じ質問をすると違いが見えやすくなります。
筆記用具と、聞きたいことを書いたメモがあれば十分です。成績表などの提出を求められる場合は、事前案内に記載されています。
転入・編入の仕組みがあり、変更できる場合があります。ただし単位の引き継ぎや時期の制約があるため、気になる場合は早めに各校へ確認してください。
公立か私立か、サポート校を併用するかで大きく異なります。私立通信制では、令和8年度から就学支援金の支給上限額が月額28,100円(年額337,200円)とされています。実際の負担は各校と自治体で確認してください。
一般に、3年以上の在籍、74単位以上の修得、特別活動への参加が必要とされています。詳細は各校の学則で確認してください。
まとめ
- やりたいことがなくても、通信制高校は選べます。大切なのは、見つけやすい環境かどうかです。
- 比較は「学び方・サポート・仲間・進路・費用」の5点を、同じ質問で確認するのが目安です。
- 迷ったら、資料だけで決めず、説明会や個別相談で実際の雰囲気を確かめてみてください。
「やりたいことがない」は、まだ出会っていないだけかもしれません。焦らず、いろいろ触れてみるところから始めましょう。
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執筆者:ニジ高編集部 2026年10月8日更新
参考文献
- 文部科学省「学校基本調査」(令和7年度)
- 文部科学省「高等学校等就学支援金制度」
- 文部科学省「高等学校通信教育について」
- 学校教育法施行規則(通信制課程の卒業要件に関する規定)



