通信制高校からでも、保育士になれます。通信制高校を卒業すれば学歴は全日制と同じ「高等学校卒業」で、保育士を育てる大学・短大・専門学校を受験する資格も同じです。保育士の資格を取る道は大きく2つ、①指定保育士養成施設を卒業するか、②保育士試験に合格するかです。
ただし、知っておきたい落とし穴もあります。高校を卒業してすぐには、保育士試験は受けられません。この記事では、全国保育士養成協議会や都道府県の公式の案内、こども家庭庁の資料をもとに、通信制高校から保育士になるまでの道と、在学中にできる準備を整理しました。
結論:通信制高校から保育士になれる?の早見
- なれます。通信制高校の卒業資格は全日制と同じで、保育士養成校の受験資格も同じです。
- いちばん一般的なのは「養成校ルート」。指定保育士養成施設(大学4年・短大2年・専門学校2年以上)を卒業すると、試験なしで資格が取れます。
- 「試験ルート」は、高卒だけでは受験できません。平成3年3月31日以前の卒業者などを除き、児童福祉施設等で2年以上かつ2,880時間以上の実務経験が必要です。
- 保育士は求人が多い仕事です。令和7年7月の有効求人倍率は保育士2.77倍で、全職種平均1.18倍の2倍以上でした。
- 在学中にできる準備は、進学に必要な単位と評定、子どもと関わる経験、朝からの生活リズムづくりです。
通信制高校からでも保育士になれる理由
通信制高校は、学校教育法にもとづく高等学校の「通信制の課程」です。卒業すれば全日制・定時制と同じ高等学校卒業で、大学・短大・専門学校の受験資格も同じように得られます。保育士の資格そのものも、出身高校の課程で条件が変わることはありません。
実際、通信制高校の卒業生のうち22.9%が専門学校へ進学しています(学校基本調査をもとにした当サイトの集計)。保育の専門学校もその進学先の1つです。専門学校への進み方は通信制高校から専門学校へ進学できる?で詳しくまとめています。
保育士になる2つの道|養成校ルートと試験ルート
保育士は児童福祉法に定められた国家資格で、資格を取ったあと都道府県に登録して保育士証の交付を受けることで、「保育士」と名乗って働けます。資格の取り方は次の2つです。

| A 養成校ルート | B 試験ルート | |
|---|---|---|
| やること | 指定保育士養成施設を卒業する | 保育士試験(筆記+実技)に合格する |
| かかる年数(高卒から) | 短大・専門学校で2年、大学で4年 | 実務2年以上+試験 |
| 試験 | なし(卒業と同時に資格) | 年2回(前期・後期)。筆記は各科目6割以上で合格 |
| 向いている人 | 高校卒業後、すぐ保育を学びたい人 | 先に保育の現場で働きながら資格を目指したい人 |
養成校ルート|大学・短大・専門学校で学ぶ
厚生労働大臣(現在はこども家庭庁)の指定を受けた指定保育士養成施設を卒業すると、保育士試験を受けずに資格が取れます。大学・短期大学・専門学校のなかで、「保育士資格が取れる」と案内している学科がこれにあたります。
| 学校 | 修業年限 | 特徴 |
|---|---|---|
| 4年制大学 | 4年 | 幼稚園教諭一種免許も同時に目指せる学科が多い。学費と年数は大きい |
| 短期大学 | 2年(3年制もあり) | 2年で資格が取れる。幼稚園教諭二種免許と合わせて取る学科が多い |
| 専門学校 | 2年以上 | 実技や現場に近い学びが多い。夜間部などの学び方がある学校も |
どの学校でも、保育所などでの保育実習がカリキュラムに入っています。実習は朝から子どもと過ごす毎日になるので、在学中の体力と生活リズムづくりが、そのまま準備になります。
入試は、一般選抜のほかに学校推薦型・総合型選抜を行う学校が多くあります。推薦や総合型では、高校の評定平均や欠席日数、志望理由を見られることがあるので、通信制高校のうちから「レポートを期限どおりに出す」「スクーリングに参加する」を積み重ねておくことが大切です。

試験ルート|高卒だけでは受験できないので注意
保育士試験の受験資格は、学歴と実務経験で決まっています。全国保育士養成協議会の案内によると、高校卒業者が受験するには次のいずれかが必要です。
| 高校卒業者の受験資格 | 内容 |
|---|---|
| 平成3年3月31日以前に高校を卒業した人 | そのまま受験できる |
| 平成8年3月31日以前に高校の保育科を卒業した人 | そのまま受験できる |
| 上記以外の高校卒業者 | 児童福祉施設等で2年以上かつ2,880時間以上、児童の保護または援護に従事した人 |
※全国保育士養成協議会「保育士試験」、北海道・神奈川県の受験資格の案内(2026年10月確認)。実務経験として認められる施設の範囲(認可外保育施設、認定こども園、幼稚園、放課後児童クラブなど)は、都道府県の案内で確認してください。
つまり、いま通信制高校に通っている人が高校卒業後すぐに保育士試験を受けることはできません。試験ルートを選ぶなら、まず保育補助などとして児童福祉施設等で働き、実務経験を積んでから受験する流れになります。大学に2年以上在学して62単位以上を修得した人や、短大・2年以上の専門学校を卒業した人は、実務経験なしで受験できます。
試験は年2回(前期・後期)で、筆記試験に合格すると実技試験に進みます。実技は音楽・造形・言語の表現に関する技術から2分野を選ぶ形です。
試験ルートを選ぶ場合の流れは、おおむね次のとおりです。
- 保育補助などとして働く。保育所や認定こども園、放課後児童クラブなどで、資格がなくてもできる仕事から始めます。
- 実務経験を2年以上・2,880時間以上積む。勤務先に勤務証明を書いてもらう必要があるので、勤務日数と時間の記録を残しておきます。施設の種類によっては、都道府県知事の受験資格認定が必要になる場合があります。
- 保育士試験を受ける。筆記に合格したら実技へ進み、両方に合格したら資格取得です。
- 都道府県に登録する。登録して保育士証が届いてから、保育士として働けます。
働きながら現場を知り、自分に合うかを確かめてから資格を目指せるのが、このルートのよいところです。一方で、受験できるまでに最低2年かかるので、高校卒業から資格取得までの年数は養成校ルートと同じか、それより長くなります。
保育士の仕事はある?|有効求人倍率は全職種の2倍以上

こども家庭庁の資料(厚生労働省「一般職業紹介状況」)によると、令和7年7月の保育士の有効求人倍率は全国で2.77倍、全職種平均の1.18倍を大きく上回っています。東京都では4.28倍でした。資格を取れば、働く場所を見つけやすい職業だと言えます。
一方で、求人が多いのは人手が足りていないからでもあります。保育所だけでなく、認定こども園、児童養護施設、放課後児童クラブ、障害児の通所施設など、保育士が働く場所はさまざまです。実習やボランティアでいくつかの現場を見てから、自分に合う場所を選べると安心です。
保育士が働く主な場所と、そこでの役割を並べておきます。
| 働く場所 | 主な対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| 保育所(保育園) | 0歳から小学校入学前の子ども | 求人がいちばん多い。早番・遅番などのシフトがある |
| 認定こども園 | 0歳から小学校入学前の子ども | 幼稚園教諭免許もあると働き方が広がる |
| 児童養護施設 | 家庭で暮らせない子ども | 生活全体を支える。宿直がある施設も |
| 放課後児童クラブ | 小学生 | 放課後や長期休みの居場所づくり |
| 障害児の通所施設 | 障害のある子ども | 一人ひとりに合わせた支援を行う |
同じ保育士資格でも、相手の年齢や生活の支え方はかなり違います。「小さい子と遊ぶのが好き」「小学生の勉強や遊びに付き合いたい」「困っている子を支えたい」など、自分がどんな関わり方をしたいかを考えておくと、志望理由も書きやすくなります。
保育士・幼稚園教諭・保育教諭の違い
| 必要な資格 | 主な職場 | |
|---|---|---|
| 保育士 | 保育士資格(児童福祉法) | 保育所、児童養護施設、放課後児童クラブなど |
| 幼稚園教諭 | 幼稚園教諭免許(教育職員免許法) | 幼稚園 |
| 保育教諭 | 保育士資格と幼稚園教諭免許の両方 | 幼保連携型認定こども園 |
大学や短大の多くは、保育士資格と幼稚園教諭免許を同時に目指せる学科を置いています。将来どちらでも働けるようにしたい人は、両方取れる学科を選ぶと選択肢が広がります。
学年別|通信制高校から保育士を目指すスケジュール
| 時期 | やること |
|---|---|
| 高1 | レポートとスクーリングのペースをつかむ。子どもと関わるボランティアを探してみる |
| 高2 | 保育士資格が取れる大学・短大・専門学校を調べ、オープンキャンパスに行く。評定と出席を意識する |
| 高3の春〜夏 | 志望校を決め、推薦・総合型の出願条件(評定・欠席・面接・小論文)を確認する |
| 高3の秋〜冬 | 推薦・総合型・一般選抜を受ける。卒業に必要な単位を取り切る |
| 卒業後 | 養成校で学び、保育実習へ。卒業と同時に資格を取り、都道府県に登録する |
通信制高校に途中から転入した人も、修得済みの単位と在籍期間を引き継げるので、同じスケジュールで進められることが多くあります。転入した時期によって高3の予定が詰まりやすいので、早めに担任と相談しておくと安心です。
学費とお金の準備
養成校の学費は、大学・短大・専門学校、国公立か私立かで大きく違います。オープンキャンパスでは、入学金と授業料だけでなく、実習費や教材費、ピアノの練習環境なども含めて聞いておくと、入学後に慌てずにすみます。
- 高等教育の修学支援新制度:世帯の収入などの要件を満たすと、対象の大学・短大・専門学校で授業料の減免と給付型奨学金を受けられます。
- 保育士修学資金貸付:都道府県などが、保育士養成施設に通う学生に修学資金を貸し付け、卒業後に一定期間保育士として働くと返済が免除される制度があります。金額や条件は地域ごとに違うので、住んでいる都道府県の案内を確認してください。
どちらも申し込みの時期が決まっているので、高3の春には調べ始めておくのがおすすめです。
通信制高校にいるうちにできる5つの準備
- 卒業と進学に必要な単位を、期限どおりに取る。推薦・総合型を考えるなら、評定平均と欠席の記録も意識します。指定校推薦の仕組みは通信制高校で指定校推薦はある?で解説しています。
- 子どもと関わる経験をつくる。地域の子ども向けイベントのボランティア、きょうだいや親せきの子の世話など、小さな経験でも志望理由に書けます。
- 朝から活動する生活リズムをつくる。養成校の実習も、保育の仕事も朝が早めです。通信制の自由な時間割のうちに、少しずつ慣らしておくと楽になります。
- ピアノや歌、絵本の読み聞かせに触れておく。養成校では音楽や表現の授業があり、保育士試験の実技も音楽・造形・言語から選びます。上手でなくても、触れた経験があるだけで入学後が楽になります。
- オープンキャンパスで、実習と学費を聞く。実習先と期間、学費と奨学金、資格の取得率を、複数の学校で比べます。

保護者の方へ:「通信制から保育士」を応援するときに
お子さんが「保育士になりたい」と言い出したとき、通信制高校に通っていることで進学に不利にならないかと心配される方は少なくありません。ここまで見てきたとおり、卒業資格は全日制と同じで、保育士資格の取り方も変わりません。
保護者にできる大きな支えは、オープンキャンパスに一緒に行くことと、学費や奨学金の情報を一緒に調べることです。養成校の説明会では、実習の時期や学費、卒業後の就職先を直接聞けます。本人が子どもと関わる経験を作りたいと言ったら、地域のボランティア情報を探すのを手伝うのもよいきっかけになります。
不登校などで通信制高校を選んだお子さんにとって、「子どもに関わる仕事がしたい」という気持ちは、自分の経験から生まれていることもあります。その気持ちを、進路の軸として大切に扱ってあげてください。
よくある誤解
- 「通信制高校からは保育の学校に入りにくい」:卒業資格は全日制と同じです。推薦などで見られるのは課程の種類ではなく、評定や出席、志望理由です。
- 「高校を出たら、すぐ保育士試験を受ければいい」:平成3年4月以降に高校を卒業した人は、実務経験がないと受験できません。
- 「保育士は資格がないと保育の現場で働けない」:保育補助など、資格がなくてもできる仕事があります。試験ルートは、こうした経験を受験資格にする道です。
- 「保育士はピアノが弾けないとなれない」:保育士試験の実技は3分野から2つを選ぶ形で、音楽を選ばない道もあります。ただ、養成校では音楽の授業があるので、触れておくと安心です。
保育士を目指す進路を、ひとりで決めなくていい
私たちNIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制サポート校です。担任がつき、レポートや進路の相談を一緒に進められます。全国の仲間と取り組むプロジェクトや行事もあり、カメラとマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められます。
正直な注意点も書いておきます。ニジ高そのものは高校ではありません。卒業資格は提携する通信制高校で取り、提携校のスクーリングへの参加が必要です。保育士の資格はニジ高では取れず、卒業後に養成校へ進むか、実務経験を積んで試験を受ける必要があります。費用は提携校の分とニジ高の分がかかり、ニジ高の分には就学支援金は使えません。金額は学費のご案内で公開しています。


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個別相談では、いまの在籍状況や単位をうかがいながら、養成校に進むまでの見通しと、在学中にできる準備を事実ベースでお伝えします。保護者の方だけの参加もできます。
よくある質問
なれます。通信制高校を卒業すれば全日制と同じ「高等学校卒業」で、保育士を育てる大学・短大・専門学校の受験資格も同じです。指定保育士養成施設を卒業するか、保育士試験に合格すれば資格が取れます。
受けられません。平成3年3月31日以前に高校を卒業した人などを除き、高校卒業者は児童福祉施設等で2年以上かつ2,880時間以上の実務経験が必要です。高校卒業後すぐ資格を目指すなら、養成校ルートが一般的です。
高校卒業後、2年制の短大や専門学校(指定保育士養成施設)に進めば、卒業と同時に資格が取れます。資格を取ったら都道府県に登録し、保育士証の交付を受けます。
課程の種類で不利になるとは限りません。推薦や総合型選抜では、評定平均や欠席日数、志望理由などが見られることがあります。条件は学校ごとに違うので、募集要項で確認してください。
多い職業です。こども家庭庁の資料では、令和7年7月の保育士の有効求人倍率は全国で2.77倍で、全職種平均の1.18倍を大きく上回っていました。東京都では4.28倍でした。
「子どもに関わる仕事がしたい」は、どの高校からでも目指せる
保育士への道は、通信制高校かどうかでは決まりません。決めるのは、卒業してからどの道を選ぶかと、在学中にどれだけ準備できるかです。まずは養成校ルートか試験ルートかを考え、気になる学校のオープンキャンパスに行ってみてください。
通信制高校の時間の使い方は自分で決められます。その自由な時間を、ボランティアや学校見学、苦手な科目の学び直しなど、保育の道につながることに少しずつ使っていけば、卒業するころには「なぜ保育士になりたいのか」を自分の言葉で話せるようになっているはずです。焦らず、一歩ずつで大丈夫です。
進路のことを誰かと一緒に考えたくなったときのために、相談の入口を置いておきます。

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参考:全国保育士養成協議会「保育士試験」/北海道・神奈川県「保育士試験の受験資格」/こども家庭庁「保育士の有効求人倍率」資料(厚生労働省「一般職業紹介状況」、令和7年7月)/児童福祉法(いずれも2026年10月確認)

