通信制高校の総合型選抜は9月からで間に合う?|4大学の出願期間で確認【2026】

通信制高校の3年生が、9月になってから総合型選抜(旧AO入試)を考え始めた。「もう遅いのでは」と不安になっている生徒さんや保護者の方は多いと思います。

先に結論を書くと、9月から動いても出願できる総合型選抜はあります。国の決まりでは、総合型選抜の出願は9月1日から始まり、合格発表は11月1日以降です。ただし、9月末の時点で、すでに出願を終えた大学もあります。間に合うかどうかは「どの大学のどの入試を選ぶか」と「在籍している通信制高校から書類をいつ出してもらえるか」で決まります。

この記事では、文部科学省の「令和9年度大学入学者選抜実施要項」、大学入試センターの共通テストの日程、学校基本調査、そして国立2校(群馬大学・東北大学)と私立2校(津田塾大学・明星大学)の令和9年度(2027年度入学)の募集要項を実際に開いて、日付と条件を確かめました。公式で確かめられなかったことは、確かめられなかったと書いています。

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目次

結論:通信制高校3年生が9月から総合型選抜に間に合うかの早見

  • 総合型選抜の出願は、国の決まりで2026年9月1日以降、合格発表は11月1日以降です(文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」)。9月は「始まったばかり」の時期です。
  • 9月末には、出願が終わった大学と、これからの大学が混ざっています。例:群馬大学 共同教育学部は9月4日、津田塾大学は9月16日に出願を終えました。明星大学Ⅰ期は10月2日まで、東北大学AO入試Ⅱ期は10月13日〜16日、明星大学Ⅱ期は10月27日〜11月11日です。
  • 共通テストを課す総合型選抜を受けるなら、共通テストの出願も要ります。令和9年度の共通テストの出願登録は10月2日(金)17時までです。
  • 評定の要件は大学によって大きく違います。群馬大学 共同教育学部・津田塾大学 国際関係学科は要件なし、明星大学は教育学科だけに基準あり(コースにより3.0以上・3.5以上など)、東北大学AO入試Ⅱ期は調査書の学習成績概評A(4.3以上)です。
  • 通信制高校生が最初に確かめたいのは、在籍校が「調査書」と「学校が書く書類」をいつまでに出せるかです。今回確かめた4校でも3校が郵送必着で、書類がそろわないと出願できません。
  • 今回確かめた入試の多くは専願(合格したら入学を確約)なので、第一志望かどうかを決めてから出願します。総合型選抜だけに絞らず、一般選抜や学校推薦型選抜も並べて考えると安心です。
  • 書類づくりや面接の練習を一人で進めにくいときは、オンライン中心のサポート校(NIJIN高等学院など)の講座を使う方法もあります。
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9月からでも間に合う入試はあります。ただし「もう出願が終わった大学」も同時にあります

「総合型選抜は高2から準備するもの」という話をよく聞きます。早く準備するほど選べる大学が増えるのは確かです。でも、9月から動き始めた人が受けられる入試がゼロになるわけではありません。

理由は、総合型選抜の日程が大学ごとにばらばらだからです。国は「出願は9月1日以降」「合格発表は11月1日以降」という枠だけを決めていて、その中で各大学が出願期間を決めます。9月の第1週で出願を締めくくる大学もあれば、10月・11月に出願を受け付ける大学もあります。

この記事を書いている2026年9月26日の時点で、今回確かめた4校は次のように分かれました。

  • 出願が終わった:群馬大学 共同教育学部(9月1日〜4日)、津田塾大学(9月1日〜16日)
  • いま出願を受け付けている:明星大学 総合型選抜Ⅰ期(9月11日〜10月2日)
  • これから出願が始まる:東北大学 AO入試Ⅱ期(10月13日〜16日)、明星大学 総合型選抜Ⅱ期(10月27日〜11月11日)

つまり、「9月からで間に合うか」は、志望校の出願期間が何月何日かで答えが変わるということです。最初にやることは、気になる大学の募集要項を開き、出願期間と「必着か消印有効か」を書き出すことです。

通信制高校の生徒さんには、もう1つ確かめることがあります。調査書などの書類を、在籍している通信制高校がいつまでに発行できるかです。出願期間に間に合っても、書類の発行に1〜2週間かかれば、実際に使える日数は短くなります。これは後の節で詳しく書きます。

窓辺の机で志望理由を手書きで下書きする高校生
総合型選抜の出願期間は大学ごとに違います。まず志望校の募集要項で日付を確かめましょう

国の決まりでは、総合型選抜の出願は9月1日以降・合格発表は11月1日以降です

大学入試の日程の大枠は、文部科学省が毎年出す「大学入学者選抜実施要項」で決まっています。令和9年度(2027年4月入学)の実施要項は、2026年5月27日付けで通知されました。入試の種類ごとの日程は次のとおりです。

入試の種類 出願(願書の受付) 合格発表
総合型選抜 2026年9月1日以降 2026年11月1日以降
学校推薦型選抜 2026年11月1日以降 2026年12月1日以降(一般選抜の試験日の10日前まで)
大学入学共通テスト 2026年9月15日〜10月2日(個人でWeb出願) 本試験は2027年1月16日・17日
一般選抜(各大学の個別試験) 試験日に応じて各大学が決める 試験は2027年2月1日〜3月25日、発表は3月31日まで

出典:文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」第4/大学入試センター「大学入学共通テスト出願サイト(Web出願)について」

実施要項は、総合型選抜を次のような入試だと定めています。

  • 一般選抜とは違う観点で、詳しい書類審査と、時間をかけた丁寧な面接などを組み合わせて、能力・適性や学ぶ意欲、目的意識を総合的に評価する入試
  • 自分の意志で出願できる公募制なので、本人が書く資料(活動報告書、大学入学希望理由書、学修計画書など)を評価に使う
  • 志望する分野への意欲や適性について、面接(プレゼンテーション・口頭試問・オンラインを含む)で評価する
  • 調査書などの書類だけでなく、教科・科目のテスト、共通テスト、小論文・面接・プレゼンテーションなど、資格・検定試験の成績のうち、少なくとも1つを使う(どれを使うかは募集要項に書かれる)

一方、学校推薦型選抜は「出身高等学校長の推薦」に基づき、調査書を主な資料とする入試で、実施要項には「入学志願者自らの意志のみで出願できるものではない」と書かれています。つまり、総合型選抜は在籍校の推薦がなくても自分で出願できるのに対し、学校推薦型選抜は在籍校の推薦が前提です。通信制高校の生徒さんにとって、この違いは大事です。

※2026年9月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。

4校の募集要項で見ると、9月末には「終わった」「受付中」「これから」に分かれます

国立2校・私立2校の令和9年度(2027年度入学)の総合型選抜について、募集要項に書かれた日程を並べました。どれも2026年9月に大学の公式サイトで確かめたものです。

大学・入試 出願期間 試験と合格発表 9月26日時点
群馬大学 共同教育学部 総合型選抜(国立) 2026年9月1日〜4日(郵送必着) 方式Ⅰ:9月25日に選抜、11月2日発表/方式Ⅱ(共通テストを課す・技術専攻):11月21日と共通テスト、2027年2月10日発表 出願は終了
津田塾大学 総合型選抜(私立) 2026年9月1日〜16日(必着) 第1次(書類)結果10月3日、第2次10月31日、発表11月6日(情報科学科・総合政策学科は11月11日) 出願は終了
明星大学 総合型選抜Ⅰ期(私立) 2026年9月11日〜10月2日(書類は消印有効) 試験10月17日または18日、発表11月1日 受付中
東北大学 AO入試Ⅱ期(国立) 2026年10月13日〜16日正午(郵送必着) 第1次11月7日、第2次11月28日、発表12月4日 これから(ネット出願の事前登録は10月6日から予定)
明星大学 総合型選抜Ⅱ期(私立) 2026年10月27日〜11月11日 試験11月22日、発表12月5日 これから

出典:群馬大学「2027年度 総合型選抜 学生募集要項<共同教育学部>」/津田塾大学「学部 総合型選抜(2027年度)」/明星大学「総合型選抜(総合評価型・学びの探究型)」と2027年度 学生募集要項/東北大学「令和9年度 AO入試(総合型選抜)Ⅱ期 学生募集要項」(いずれも2026年9月確認)

表から分かることを、3つにまとめます。

1. 国立大学でも「9月の第1週で出願が終わる」入試がある

群馬大学 共同教育学部の総合型選抜は、インターネットでの入力と検定料の支払いが8月24日から9月3日12時まで、書類の郵送が9月1日から4日まで(必着)でした。9月から考え始めた人には、すでに出願できない入試です。国立だから遅い、私立だから早い、という決まりはありません。

2. 東北大学のように、10月に出願する入試もある

東北大学のAO入試Ⅱ期は共通テストを課さない入試で、出願は10月13日から16日の正午まで(郵送必着)です。9月末から動き始めても、日程の上では間に合う入試の例です。ただし、次の節で書くように、評定の要件が高い入試でもあります。東北大学には共通テストを課すAO入試Ⅲ期もあり、募集要項は11月下旬に公表予定とされています。

3. 同じ大学に「Ⅰ期」と「Ⅱ期」があることも多い

明星大学はⅠ期(9月11日〜10月2日)とⅡ期(10月27日〜11月11日)の2回に分けています。Ⅰ期は専願制、Ⅱ期は多くの学科で併願制(他大学との併願ができ、合格しても入学を辞退できる)です。「9月は準備に使い、Ⅱ期で出す」という組み立て方ができる大学もあります。なお明星大学のⅠ期「学びの探究型」は、学科によって出願の前にプレゼミナールなどのイベントへの参加が必要とされているので、Ⅰ期に出す場合はその条件も募集要項で確かめてください。

総合型選抜で「間に合う」かどうかは、こうした日程を志望校ごとに1枚の紙に書き出してみると、はっきりします。

2026年9月26日時点で、群馬大学共同教育学部と津田塾大学の総合型選抜は出願が終わり、明星大学Ⅰ期は10月2日まで受付中、東北大学AO入試Ⅱ期は10月13日から、明星大学Ⅱ期は10月27日から出願できることを示す図
出典:群馬大学・津田塾大学・明星大学・東北大学の令和9年度総合型選抜 募集要項(2026年9月確認)

共通テストを課す総合型選抜なら、共通テストの出願(10月2日まで)も必要です

総合型選抜は「面接と書類だけの入試」と思われがちですが、実施要項では総合型選抜でも共通テストを使ってよいとされています。実際に、群馬大学 共同教育学部の方式Ⅱ(技術専攻)や、東北大学のAO入試Ⅲ期は共通テストを課します。

令和9年度の共通テストの日程は、大学入試センターの公式ページで次のとおりです。

  • 出願内容の登録:2026年9月15日(火)10時〜10月2日(金)17時
  • 検定料の支払い:9月15日(火)10時〜10月2日(金)23時59分
  • 出願内容の確認・訂正:10月9日(金)10時〜10月16日(金)17時
  • 受験票の取得:12月4日(金)10時から
  • 本試験:2027年1月16日(土)・17日(日)

出典:大学入試センター「大学入学共通テスト出願サイト(Web出願)について」/令和9年度試験(2026年9月確認)

共通テストの出願は、令和8年度から在籍校を通さず、本人がWebで出願する形になっています(大学入試センター「出願手続きの電子化について【予告】」)。通信制高校の生徒さんは、学校から一斉に案内が来ないこともあるので、自分で日付を押さえておくと安心です。手順と試験場の決まり方は共通テスト出願 通信制の記事にまとめています。

ここで押さえたいのは、共通テストの出願期間は10月2日で終わることです。総合型選抜の出願が11月でも、共通テストを課す入試なら、共通テストの出願は10月2日までに済ませておく必要があります。「まだ志望校が決まらない」という段階でも、共通テストを使う可能性があるなら、出願だけはしておくという考え方もあります。一般選抜や共通テスト利用の入試に切り替えるときにも、この出願が生きます。

評定の要件は、大学によって「なし」から「概評A(4.3以上)」まで開きがあります

実施要項は、大学が「重要と判断する教科・科目を指定し、単位修得や一定水準以上の具体的な評定の獲得を出願要件等として求めることができる」としています。つまり、評定の要件を置くかどうか、何点にするかは大学が決めます。今回の4校では次のとおりでした。

大学・入試 評定の要件 ほかの主な条件
群馬大学 共同教育学部 なし 教員になろうとする強い意欲、合格したら入学を確約(数学専攻は数Ⅰ〜数Ⅲ・数A〜数Cの履修)
津田塾大学 国際関係学科 出願資格に記載なし 女子、第一志望で入学を確約、英語の能力を証明する書類
明星大学 教育学科以外はなし。教育学科はコースにより全体の評定平均値3.0以上・3.5以上など Ⅰ期は専願制、Ⅱ期は多くの学科で併願制
東北大学 AO入試Ⅱ期 調査書の学習成績概評がA段階(どの学部も) 合格したら入学を確約、学校長から高い評価を得ている者

出典:各大学の令和9年度(2027年度)募集要項(上の節と同じ。2026年9月確認)

「学習成績概評」は調査書に書かれる5段階の評価で、実施要項の調査書の記入の決まりでは、全体の評定平均が5.0〜4.3がA、4.2〜3.5がB、3.4〜2.7がC、2.6〜1.9がD、1.8以下がEです。東北大学AO入試Ⅱ期は、4.3以上の人が対象ということになります。

「いつまでの評定」で見られるのかも確認する

明星大学の募集要項には、「卒業見込み(修了見込み)の者は、第3学年1学期までの評定平均値(2学期制を採用している高等学校を卒業見込みの者は、出願書類を提出する段階で確定している評定平均値)とする」と書かれています。通信制高校には前期・後期の2期制の学校もあるので、自分の学校では出願の時点でどこまでの成績が確定しているかを在籍校に聞いておくと、計算がずれません。

また、実施要項の調査書の記入の決まりでは、学年の区分を設けない通信制などの課程では「学年」を「年度」と読み替え、定時制・通信制で修業年限が3年を超える場合は、その期間全体の成績で概評を出すとされています。転入や編入をした人は、前の高校の成績がどう扱われるかも含めて、在籍校に確かめておきましょう。

相談室で先生と面接の練習をする高校生
調査書の発行や推薦の扱いは、在籍する通信制高校に早めに確かめておくと安心です

通信制高校生が最初に在籍校へ確かめたいのは「調査書」「卒業見込み」「学校が書く書類」の3つです

総合型選抜は自分の意志で出願できる入試ですが、出願書類の一部は在籍校にしか作れません。実施要項は、調査書を「在籍する高等学校が高等学校生徒指導要録に基づき作成」するものとしています。東北大学の募集要項にも、「調査書」「志願者評価書」は事前に在籍(出身)高校等に発行を依頼するよう書かれています。

通信制高校は、スクーリングの日が限られていたり、事務の窓口が本校にしかなかったりして、全日制より書類のやりとりに時間がかかることがあります。次の表の項目を、まとめて在籍校に聞いてみてください。

確かめること なぜ必要か 聞き方の例
調査書の発行にかかる日数と申し込み方法 郵送必着の入試では、発行が遅れると出願期間に間に合わない 「◯月◯日必着の大学に出したい。いつまでに申し込めば間に合いますか」
卒業見込みと言える状態か 出願資格の多くが「2027年3月卒業見込み」。単位の取り方しだいで変わる 「今のレポートとスクーリングの予定で、3月に卒業見込みになりますか」
学校が書く書類(志願者評価書・推薦書など)を書いてもらえるか 東北大学AO入試Ⅱ期のように、学校が作る書類を求める総合型選抜がある 「大学の所定様式の評価書を書いていただけますか。何日前までにお渡しすればよいですか」
出願時点で確定している評定と概評 評定の要件を満たすかを判断するため 「出願の時点で、評定平均と学習成績概評はどうなりますか」
学校推薦型選抜の推薦を出しているか 総合型選抜と並べて考えるため。推薦は学校長の判断 「公募制の学校推薦型選抜で、学校から推薦をもらうことはできますか」

通信制高校によって、進路指導の体制や書類の出し方はかなり違います。調査書の発行日数や、推薦を出すかどうかについて、全国共通の決まりや統計は確認できませんでした。だからこそ、在籍校に直接聞くのがいちばん確実です。

保護者の方が動けることもあります。電話で担任や進路担当の先生に日程を確認する、発行手数料や郵送の段取りを一緒に確かめる、といったことは、本人が書類づくりに集中する助けになります。

学校推薦型選抜のうち、大学と高校の間で枠が決まっているもの(いわゆる指定校推薦)は、在籍校ごとに枠が違います。詳しくは通信制高校 指定校推薦の記事で書いています。

活動報告書と志望理由書は、「特別な実績」より「自分で続けてきたこと」で書けます

「通信制だから部活も生徒会もしていない。書くことがない」という不安もよく聞きます。実施要項は、活動報告書に書く内容の例として次の2つを挙げています。

  • 「総合的な探究の時間」や理数探究などで取り組んだ課題研究
  • 学校の内外で意欲的に取り組んだ活動(生徒会、部活動、ボランティア、課題研究、その他生徒が自ら関わってきた諸活動、資格・検定、大会・コンクール、留学・海外経験など)

「学校の外の活動」や「自分から関わってきた活動」も書ける、ということです。アルバイト、家の手伝い、趣味の制作、地域の活動、独学で続けてきた勉強なども、何を考えて、どう続けて、何が分かったかを言葉にできれば、材料になります。

大学の側でも、探究や制作を評価する入試があります。群馬大学 共同教育学部の理科専攻では、これまでの「探究活動」をもとにしたプレゼンテーションを行い、その探究活動には「総合的な探究の時間」や「理数探究」だけでなく、学校内外で行った課外活動も含まれると書かれています。明星大学のⅠ期「学びの探究型」は、高校生活での探究的な学びの活動を生かす入試と説明されています。

9月からの書類づくりは、この順番が進めやすい

  1. 活動の棚卸し:高1からの活動を、時期・内容・自分の役割・そこで考えたことの4つで書き出す(1週目)
  2. 志望理由とのつなぎ:書き出した中から、志望する学部の学びにつながる経験を1〜2つ選ぶ(1週目)
  3. 下書き:大学の様式の字数に合わせて書く。津田塾大学の国際関係学科は志望理由書が1,200字以内、というように字数は大学ごとに違う(2週目)
  4. 第三者に読んでもらう:担任・進路の先生、家族などに読んでもらい、伝わらない部分を直す(3週目)

面接と小論文は、書類と並行して準備します。実施要項では、総合型選抜の面接は「志望する学問分野に対する意欲や適性等」について行うものとされています。また、特に総合型選抜では、本人が書いた資料をプレゼンテーションなどで積極的に活用するよう求めています。書類に書いたことを自分の言葉で説明できるかを確かめる練習が、面接対策の中心になります。

令和9年度の実施要項で、総合型選抜は出願9月1日以降・発表11月1日以降で学校長の推薦を前提としない公募制で書類審査と面接を重ね、学校推薦型選抜は出願11月1日以降・発表12月1日以降で学校長の推薦に基づき調査書を主な資料とすることを比べた表
出典:文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」

9月末から出願までは「逆算」で組みます。書類は3週間、面接と小論文は並行です

10月後半〜11月に出願する入試を例に、9月末から動く場合の段取りを表にしました。出願期間が早い入試なら、この表を前に詰めて考えてください。

時期 生徒がやること 保護者ができること
9月末〜10月第1週 志望校の募集要項を読み、出願期間・必着か消印有効か・評定要件・専願か併願かを書き出す。共通テストを使う可能性があれば10月2日までに出願 検定料や郵送費など、出願にかかる費用の見通しを一緒に立てる
10月第1週 在籍校に調査書・学校が書く書類の発行を依頼。活動の棚卸しを始める 在籍校への連絡の日程を一緒に確かめる
10月第2〜3週 志望理由書・活動報告書の下書き。小論文は過去問題や出題の形式を確かめて週1〜2本書く 下書きを読み、分かりにくい所を伝える(書き直しは本人に任せる)
10月第4週〜出願 書類を仕上げ、ネット出願の登録・支払い・郵送。面接の練習を始める 郵送の日と方法(簡易書留・速達など)を一緒に確認する
出願後〜試験 書類の内容をもとにした面接練習、小論文の仕上げ 試験会場までの移動や宿泊の手配を手伝う

気をつけたいのは、ネット出願の登録や支払いの期限が、書類の郵送の期限より早い大学があることです。群馬大学では、書類の郵送は9月4日必着でしたが、インターネットでの入力と検定料の支払いは9月3日12時までとされていました。明星大学も、ネット出願の登録は締めの日の15時まで、検定料の支払いは同じ日の20時59分までです。募集要項の日程表は、郵送の日付だけでなく、すべての行を読みましょう。

よくある落とし穴は「専願の確約」「必着」「総合型選抜だけに絞ること」です

落とし穴1:専願の意味を知らずに出願する

今回確かめた4校のうち、群馬大学 共同教育学部、津田塾大学の学芸学部(国際関係学科など)、東北大学AO入試Ⅱ期、明星大学Ⅰ期は、合格したら入学することを確約する(専願)形でした。合格すると、ほかの大学を受け続けることは基本的にできなくなります。第一志望かどうかを家族で話し合ってから出願しましょう。一方で、明星大学Ⅱ期の多くの学科や、津田塾大学の情報科学科・総合政策学科のように、他大学との併願ができる総合型選抜もあります。同じ大学の中でも学科によって違うので、志望する学科の要項で確かめてください。

落とし穴2:「必着」と「消印有効」を取り違える

群馬大学・津田塾大学・東北大学は必着、明星大学は締めの日の当日消印有効でした。必着の場合、最終日に郵便局へ出しても間に合いません。在籍校から調査書を受け取る日から逆算して、郵送の日を決めておきましょう。

落とし穴3:総合型選抜だけに絞ってしまう

総合型選抜には、募集人員が少ない入試もあります。たとえば群馬大学 共同教育学部の総合型選抜は専攻ごとに2〜5名、津田塾大学は英語英文学科(英語4技能型)10名、国際関係学科30名などです。不合格だったときに次の手がないと、秋以降が苦しくなります。学校推薦型選抜(出願は11月1日以降)や、共通テスト・一般選抜(試験は1月〜3月)も並べて、受験の計画を組むと安心です。どちらを軸にするかは、通信制高校から大学へ 総合型・学校推薦型と一般選抜の記事で決め方を書いています。

通信制高校から大学へ進む人は、1年で2万6千人以上います

「通信制から大学に行ける人は少ないのでは」と心配する声もあります。文部科学省の学校基本調査(令和7年度)では、通信制高校を令和6年度間に卒業した91,809人のうち、大学等に進学した人は26,301人(28.6%)でした。大学・短大の通信教育部を除いても22,319人(24.3%)です。全日制・定時制(令和7年3月卒業)の62.6%より低いものの、通信制からの進学は決して珍しい道ではありません。受験資格そのものは全日制と同じです。詳しくは通信制高校から大学進学の記事にまとめています。

出典:文部科学省「学校基本調査」令和7年度 高等学校(通信制)卒業後の状況調査 表297/同 高等学校(全日制・定時制)表283(e-Stat、2026年9月確認)。割合はこの記事で計算しました。

なお、通信制高校の卒業生が総合型選抜・学校推薦型選抜・一般選抜のどれで進学したかを分けた国の統計は、今回は見つかりませんでした。

選択肢の1つとしてのニジ高(正直な注意点)

ここまで、総合型選抜の日程と、通信制高校の生徒さんが確かめることを書いてきました。書類づくりや面接の練習を、一人で、あるいは家族だけで進めるのが難しいと感じたときの選択肢として、NIJIN高等学院(ニジ高)を紹介させてください。

ニジ高はオンライン中心の通信制高校サポート校です。全国どこからでも通え、担任制で、カメラやマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められます。総合型選抜に向けては、小論文・面接・自己PRの講座に力を入れて取り組んでいます。企業や地域と関わる社会共創プロジェクトもあり、公式サイトでは「履歴書で光る実績」が総合型選抜や就職での強みになる、という考え方を紹介しています。活動報告書に書く「自分で関わってきた活動」を、在学中に作っていける環境です。

また、ニジ高は提携する通信制高校の生徒だけでなく、ほかの通信制高校に在籍したまま、ニジ高を併用することもできます。

ただし、正直にお伝えしておくことがあります。

  • ニジ高そのものは高校ではありません。高校卒業の資格は、提携する通信制高校(または在籍している通信制高校)で取ります。
  • 調査書・評定・卒業見込みは、在籍する通信制高校のものです。大学に出す調査書を作るのは在籍校で、ニジ高ではありません。
  • ニジ高の中でのスクーリングはありません。在籍する通信制高校のスクーリングには参加が必要です。日程の調整や準備はニジ高が支援します。
  • 費用は、通信制高校の分とニジ高の分の両方がかかります。ニジ高の分には就学支援金は使えません。金額は学費のご案内に載せています。
  • 高3の秋から入る場合、ニジ高の講座を使える期間は出願までの数週間になります。その時期からでも何ができるかは、状況によって違うので、個別にご相談ください。

通信制高校の中で、総合型選抜を見据えた学校の選び方は総合型選抜に強い通信制高校の記事で書いています。

迷ったときの進め方(3ステップ)

  1. 志望校の出願期間を、日付で書き出す。候補の大学の令和9年度の募集要項を開き、「ネット登録の期限」「支払いの期限」「書類の郵送期限(必着か消印有効か)」「専願か併願か」「評定の要件」「共通テストを課すか」の6つを1枚の表にします。これだけで、間に合う入試と間に合わない入試が分かれます。
  2. 在籍校に、書類の発行日数と卒業見込みを確かめる。調査書、学校が書く評価書・推薦書、出願時点の評定と概評を聞きます。共通テストを使う可能性があるなら、10月2日17時までの出願を済ませます。
  3. 総合型選抜と並べて、学校推薦型選抜と一般選抜の予定も立てる。総合型選抜の結果が出るのは11月以降です。その後に受けられる入試を先に並べておくと、落ち着いて書類づくりと面接の準備に向き合えます。

3つとも、志望校が1校に決まっていなくても進められます。書類や面接の準備をどう進めるか、話しながら整理したい場合は、体験説明会・個別相談で状況を聞かせてください。

夜の食卓で手書きの予定表を一緒に見る親子
出願までの日程を逆算して、家族で準備の順番を決めておきましょう
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ニジ高はオンライン中心の通信制高校サポート校で、小論文・面接・自己PRの講座に取り組んでいます。カメラオフ・チャット参加から始められます。ただし学院は高校ではなく、卒業資格・調査書は提携する(または在籍する)通信制高校のもので、そのスクーリングへの参加が必要です。今の状況から何ができるか、個別にご相談ください。

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よくある質問

Q. 通信制高校3年生の9月から総合型選抜を始めても、間に合いますか?

A. 出願期間が10月・11月の入試なら、日程の上では間に合います。総合型選抜の出願は国の決まりで9月1日以降で、たとえば東北大学AO入試Ⅱ期は10月13日〜16日、明星大学Ⅱ期は10月27日〜11月11日です。ただし、群馬大学 共同教育学部(9月4日まで)や津田塾大学(9月16日まで)のように、9月中に出願を終えた大学もあります。志望校の募集要項で出願期間を確かめてください。

Q. 通信制高校だと、総合型選抜で不利になりますか?

A. 今回確かめた4校の募集要項の出願資格は「高等学校を卒業した者または2027年3月卒業見込みの者」などで、全日制・通信制といった課程の条件は書かれていませんでした。通信制高校も高等学校です。評価は、書類・面接・小論文など大学が決めた方法で行われます。ただし、在籍校が調査書や評価書を期限までに出せるかは、事前に確かめておく必要があります。

Q. 評定平均が低くても受けられる総合型選抜はありますか?

A. あります。今回の4校では、群馬大学 共同教育学部と津田塾大学 国際関係学科は、出願資格に評定の要件がありませんでした。明星大学も教育学科以外は評定平均値の基準がありません。一方、東北大学AO入試Ⅱ期は学習成績概評A(4.3以上)が要件です。大学ごとに大きく違うので、募集要項の出願資格の欄で確かめてください。

Q. 総合型選抜でも、共通テストを受ける必要がありますか?

A. 入試によります。共通テストを課さない総合型選抜(例:東北大学AO入試Ⅱ期、群馬大学 共同教育学部の方式Ⅰ)と、課す総合型選抜(例:群馬大学 共同教育学部の方式Ⅱ、東北大学AO入試Ⅲ期)があります。課す入試を受けるなら、共通テストの出願(令和9年度は2026年10月2日17時まで)が別に必要です。

Q. 在籍校から推薦をもらえなくても、総合型選抜は受けられますか?

A. 総合型選抜は、実施要項で「自らの意志で出願できる公募制」とされていて、学校長の推薦が前提の学校推薦型選抜とは違います。ただし、東北大学AO入試Ⅱ期の「志願者評価書」のように、学校が作る書類を求める総合型選抜もあります。調査書も在籍校が作るものなので、出願を決めたら早めに在籍校へ相談してください。

9月からでも、道はまだ開いています

「もっと早く始めればよかった」と感じているかもしれません。でも、9月末の今も、出願を受け付けている入試や、これから出願が始まる入試はあります。そして総合型選抜のあとにも、学校推薦型選抜、共通テスト、一般選抜と、大学へ進む道は続いています。

今日できることは、志望校の募集要項を1つ開いて、日付を書き出すことです。それだけで、焦りは「やることの一覧」に変わります。

一人で抱え込まず、在籍校の先生や家族、相談できる大人に、書き出した一覧を見せてみてください。準備の進め方に迷ったときの相談も受け付けています。

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