「高校生は忙しいし、読書する時間なんてない」「本は苦手」。そう感じている人は少なくないでしょう。一方で、読書は表現力や思考力を育てる手段の一つとして、多くの場面で紹介されています。
この記事では、高校生に読書がすすめられる理由、無理なく続けるための読み方、本が苦手な人向けの工夫を整理します。読書の効果には個人差があり、成績や進路を保証するものではありませんが、日々の学びや気持ちの整理に役立つ視点として、お読みください。
読書が育てるとされる
3つの力
| 力 | 期待される内容 |
|---|---|
| 表現力 | 語彙が増え、気持ちや考えを言葉にしやすくなる |
| 思考力 | 文章の流れを追い、筋道を立てて考える練習になる |
| 想像力・共感力 | 他の人の立場や状況に触れる機会になる |
※効果には個人差があります
高校生こそ読書をしたほうがよいと言われる理由
高校生の時期は、勉強内容が難しくなり、将来や人間関係について考える機会も増えます。そうした時期に読書が役立つと言われる理由を整理します。
- 語彙や表現の引き出しが増え、自分の気持ちや考えを言葉にしやすくなる
- 長い文章を読み、要点をつかむ練習になり、学習や受験にも役立つ場合がある
- 他の人の考え方や、自分と違う立場に触れることで、視野が広がる
- 一人の時間に、自分の気持ちを整理するきっかけになることがある
- 進路や将来を考えるヒントを、本から得られることがある
もちろん、読書だけが表現力や思考力を育てるわけではありません。ただ、時間や場所を選ばず、自分のペースで取り組める手段として、読書は取り入れやすい方法の一つです。
読書で育つとされる力を、もう少し詳しく
表現力:言葉の引き出しが増える
読書をすると、自分では思いつかない言葉の使い方や、気持ちの表し方に出会えます。「もやもやする」「ざわざわする」といった曖昧な感情を、より具体的な言葉で表せるようになると、自分の気持ちを整理しやすくなったり、人に伝えやすくなったりする場合があります。作文や小論文、面接など、言葉で表現する場面でも役立つことがあります。
思考力:筋道を立てて考える練習になる
本を読むときは、文章の流れを追い、登場人物や筆者の考えを整理しながら進めます。この過程は、物事の因果関係や、主張と根拠の関係を考える練習になると言われています。特に、説明文や新書などは、論理の展開を学ぶ機会になります。
想像力・共感力:他の人の視点に触れる
小説やエッセイ、ノンフィクションを通じて、自分とは違う立場の人の気持ちや状況に触れることができます。身近な人間関係でも、相手の立場を想像する助けになる場合があります。
集中力・持続力:一つのことに向き合う経験
一冊を読み切る経験は、集中力や持続力を養う機会にもなります。短い時間でも、スマホを置いて本に向き合う時間は、気持ちを落ち着ける時間にもなり得ます。
読書は
小さく始めて広げる
※続け方の一例です
何を読めばよい?選び方のヒント
「何を読めばいいかわからない」という声は多く聞かれます。選び方に正解はありませんが、次のような視点が参考になります。
- 好きなこと・興味のあるテーマの本(スポーツ、音楽、動物、歴史、科学など)
- 今の悩みや気持ちに近いテーマの本(人間関係、将来、学び方など)
- 短編集やエッセイなど、短く区切って読めるもの
- 映画やドラマ、アニメの原作や、関連する本
- 学校の図書室や公共図書館のおすすめコーナー
- 気に入った作家や、シリーズの続き
最初から「難しい本」「名作」を選ぶ必要はありません。「読みたい」と思えるものを選ぶことが、続けるための一番のコツだと言われています。
ジャンル別の、ざっくりとした特徴
- 小説:登場人物の気持ちに触れ、想像力や共感力を育てやすい
- エッセイ:筆者の考え方や日常の切り取り方に触れられ、気軽に読める
- ノンフィクション・新書:知識や、物事の見方を広げやすい
- 詩・短歌・俳句:短い言葉で、気持ちや情景を表す練習になる
- マンガ・漫画形式の入門書:本が苦手でも、テーマに入りやすい
ジャンルを問わず、「面白い」「もう少し読みたい」と感じることが続ける鍵になります。

本が苦手な人、続かない人のための工夫
「読書をしたほうがいい」と言われても、苦手意識があると、気が重くなるものです。そんなときは、読書のハードルを下げる工夫をいくつか試してみてください。
- 最初から最後まで読もうとせず、目次を見て気になる章だけ読む
- 1日1ページ、または5分だけと決めて読む
- 電子書籍や音声(オーディオブック)で、耳から聞く
- マンガ形式の入門書や、図解の多い本から始める
- 読みかけの本が何冊あってもよいと考える
- 面白くなければ途中でやめて、別の本に変える
「読み切らなければ」という気持ちが、かえって本から遠ざけてしまうことがあります。読書は、義務ではなく、自分のペースで楽しむものと考えると、気持ちが楽になります。
読む環境を整える
読書が続かない理由の一つに、読む環境があります。スマホが手元にあると、つい見てしまうものです。読む間はスマホを別の部屋に置く、お気に入りの場所を決める、音楽を流すなど、自分が落ち着く環境をつくってみてください。
時間を決めて、習慣にする
「寝る前の5分」「通学中」「朝食のあと」など、決まったタイミングに読む習慣をつくると、続けやすくなります。習慣になるまでには時間がかかるため、まずは1〜2週間続けることを目標にしてみてください。
読んだ内容を、力に変える方法
読むだけで終わらせず、少しだけ「アウトプット」すると、内容が定着しやすいと言われています。
- 心に残った一文を、ノートやスマホに書き写す
- 読み終えた後に、「面白かった点」「疑問に思った点」を一言メモする
- 友達や家族に、感想を話してみる
- SNSや日記に、簡単な感想を書く
- 同じ作者や、同じテーマの別の本を読んでみる
アウトプットの量は、少なくて構いません。「一言書く」だけでも、自分の考えを言葉にする練習になります。
読書ノートの簡単な作り方
- 書名・作者・読んだ日
- 印象に残った一文(そのまま書き写す)
- その文を選んだ理由(一言で)
- 自分の今の気持ちや、考えたこと(一言で)
立派なノートを作る必要はありません。思いつくままに書き留めるだけでも、読書が自分の考えを整理する時間になります。
学校の勉強や進路との関わり
読書は、国語に限らず、さまざまな科目の学習や、進路選択に役立つ場合があると言われています。ただし、直接的に点数が上がる保証はなく、あくまで補助的な効果として捉えるのが現実的です。
- 長い文章を読むことに慣れ、問題文の読み取りが楽になる場合がある
- 小論文や志望理由書など、文章で自分の考えを表す際の助けになる
- 進路に関する本や、職業を紹介する本から、将来のヒントを得られる
- 面接で、自分の考えを言葉にするための材料になる場合がある

通信制高校の生活と読書:時間を味方にする
通信制高校では、全日制に比べて自分で使える時間が多い場合があります。その時間を、読書に使うことで、学びや気持ちの整理につなげている人もいます。自由な時間があることは、読書の習慣をつくりやすい環境ともいえます。
- 通学の時間を、読書の時間に使える場合がある
- 自分のペースで、1冊を時間をかけて読める
- 好きなテーマを深掘りして、探究的な学びにつなげやすい
- 読んだ本について、先生やスタッフ、仲間と話す機会がある学校もある
ただし、自由な時間があるからこそ、生活リズムが乱れやすい面もあります。読書を、生活リズムを整える習慣の一つとして取り入れる方法もあります。
オンライン中心の学びと読書
オンライン中心の学校では、画面を見る時間が長くなりがちです。目を休める意味でも、紙の本を読む時間を意識してつくると、気分転換になる場合があります。
読書を通じた探究学習
興味のあるテーマについて、本を読み、調べ、自分なりにまとめる。こうした探究的な学びは、進学や就職の際に、自分の考えを語る材料にもなりえます。総合型選抜などでは、活動や学びのプロセスを説明する場面もあるため、読書記録が役立つ場合があります。
保護者の方へ:読書を「すすめる」ときの工夫
お子さんに読書をすすめたいと思っても、「読みなさい」と言うと逆効果になることがあります。次のような関わり方を意識してみてください。
- 親自身が、楽しそうに本を読む姿を見せる
- 家の中に、本や雑誌、図鑑などを自然に置いておく
- お子さんが読んでいる本に、興味を持って話しかける
- 読んだ内容を、評価せずに聞く
- 図書館や書店に、一緒に出かけてみる
- 読まなくても責めず、読めたら認める
読書は、強制されるほど苦手意識が強まりやすいと言われています。「読んでほしい」という気持ちを、お子さんのペースに合わせて、そっと届ける姿勢が大切です。
本代や環境の工夫
本は高価と感じる場合は、図書館の利用や、電子書籍のサービス、古本なども選択肢です。無理のない範囲で、本に触れられる環境を整えてみてください。
読書が負担になるときは、休んでもよい
気持ちが落ち込んでいるときや、疲れているときは、本を読むこと自体が負担になる場合があります。そんなときは、無理に読まず、休むことを優先してください。読書は、あくまで日々を豊かにする手段であり、義務ではありません。
読書にまつわる、よくある思い込み
「難しい本を読まなければ意味がない」
難しい本や名作を読むことだけが読書ではありません。自分が楽しめる本、興味を持てる本を読むことのほうが、結果として長く続き、読む力も育ちやすいと言われています。読みやすい本から少しずつ幅を広げていく方法でも十分です。
「最初から最後まで読み切らなければならない」
途中でやめても、気になった部分だけ読んでも構いません。読み始めたけれど合わなかった本を手放すことは、悪いことではありません。自分に合う本を探す過程も、読書の一部です。
「読書家はみんな、たくさん読んでいる」
読む量は人それぞれです。1か月に1冊でも、半年に1冊でも、自分のペースで続けることが大切です。冊数を競うものではありません。
「読書をすれば成績が上がる」
読書が学習に役立つ場合はありますが、直接成績が上がると断言できるものではありません。結果を期待しすぎず、「世界が少し広がる体験」として楽しむ姿勢が、続けるコツです。

気持ちが落ち込んだときの本との付き合い方
悩みや不安を抱えているとき、本が支えになることもあります。同じような経験をした人のエッセイや体験記、物語、心を落ち着かせる詩などが、気持ちを整理する助けになる場合があります。
- 気持ちが重いときは、軽い読み物や、短い詩・エッセイから
- 同じ悩みを抱えた人の言葉に触れることで、安心できることがある
- 読んでいて苦しくなる本は、無理に読まず、いったん閉じる
- 気持ちが整理できないときは、人に話したり、専門の相談先を頼ったりすることも大切
本はあくまで、気持ちを支える手段の一つです。つらさが続くときは、本だけで解決しようとせず、学校の先生、スクールカウンセラー、家族、医療機関などにも相談してください。

読書の習慣を、日常に取り入れる具体例
- 朝の10分:通学前に、1ページだけ読む
- 昼休み:スマホを置いて、短い文章を読む
- 夜の10分:寝る前に、照明を落として1〜2ページ読む
- 休日:図書館や書店に出かけ、気になる本を手に取る
- 月に1回:読んだ本を振り返り、一言感想を書く
- 友達と:おすすめの本を交換し合う
小さな習慣を積み重ねるうちに、読書が日常の一部になり、「読むのが当たり前」と感じるようになる人もいます。ただし、人によって習慣になるまでの期間は異なります。
まとめ:読書は、自分の世界を広げる小さな習慣
高校生にとって、読書は、表現力や思考力、想像力を育てる手段の一つとして期待されています。ただし、効果には個人差があり、成績や進路を保証するものではありません。
大切なのは、自分に合う本を、自分のペースで読むことです。短く、好きなテーマから、無理なく始めてみてください。苦手な場合は、マンガ形式の本や音声など、さまざまな方法もあります。
本記事は、一般的な情報の提供を目的としています。気持ちのつらさが続く場合は、専門の窓口や医療機関にご相談ください。
読書の目的を、自分で決めてみる
「なんのために読むのか」を、ゆるく決めておくと、本選びも読み方も決めやすくなります。目的は、立派なものでなくて構いません。
- 気分転換したい:軽いエッセイ、短編小説、写真集
- 自分の気持ちを整理したい:同じ悩みに触れた体験記、詩、心理の入門書
- 知識を増やしたい:新書、図鑑、ノンフィクション
- 文章を書く力をつけたい:好きな作家のエッセイ、コラム、新聞のコラム
- 進路のヒントがほしい:職業紹介の本、人物の伝記、インタビュー集
- ただ楽しみたい:好きなジャンルの小説、マンガ
目的が決まると、読んだ後の振り返りもしやすくなります。「今日の本は、気分転換になったな」と思えるだけでも、読書の意味は十分にあります。
目的が変わってもいい
読み始めた当初の目的と、読み終えた後に感じたことが違っても構いません。「思っていたのと違うけれど、これはこれで面白かった」と感じることも、読書の面白さです。
読書とスマホの付き合い方
現代の高校生にとって、スマホは生活の一部です。読書とスマホは対立するものではなく、うまく組み合わせることもできます。
- 電子書籍アプリで、スマホで読書をする
- 気になった本を、SNSで探したり、友達に聞いたりする
- 読んだ感想を、SNSやメモアプリに書き留める
- 読書の時間だけ、通知を切る・別の部屋に置く
スマホを完全にやめる必要はありません。「読書の間だけ離れる」「読んだ後に感想を共有する」といった、ほどよい距離感を探してみてください。
「読む」から「書く」「話す」へ広げる
読書で得た言葉や考えを、自分の言葉で書いたり話したりすると、表現力がさらに育ちやすいと言われています。大げさなことをする必要はなく、日常の中で少しずつ試せる方法があります。
- 読んだ本の感想を、一言で友達に話す
- 日記や、スマホのメモに、その日の気持ちを一行書く
- 好きなフレーズを、自分の言葉で言い換えてみる
- ブログやSNSで、短い感想を投稿してみる
- 学校の作文や小論文の練習で、読んだ本の表現を参考にする
書くことが苦手でも、箇条書きのメモや、キーワードを並べるだけでも構いません。形式にこだわらず、「自分の言葉で表す」ことを楽しんでみてください。
うまく言葉にできないときは
気持ちをうまく言葉にできないときは、「今日はなんだか疲れた」「うれしかった」といった、短い言葉でも十分です。言葉にする練習を重ねるうちに、少しずつ表現の幅が広がっていくことがあります。
誰かに読んでもらう
書いたものを、信頼できる人に見てもらうのも一つの方法です。感想をもらうことで、自分の表現が伝わる手応えを感じられる場合があります。ただし、人に見せたくないときは、自分のためだけに書き続けても構いません。
読書は、一人で楽しむものでもあり、人とつながるきっかけにもなります。自分に合ったスタイルで、無理なく続けてみてください。
読書は、短い時間でも、続けることで少しずつ自分の世界を広げてくれる習慣になります。うまく読めない日があっても、それは自然なことです。気が向いたときに、また本を開いてみてください。
また、学校の図書室や公共の図書館では、司書の方に「こんな気分のときに読める本はありますか」と相談してみる方法もあります。
本を選ぶのに迷ったら、書店の「平積み」や、図書室の新着コーナーなど、目に留まったものを手に取ってみてください。直感で選んだ一冊が、思いがけず心に残ることもあります。
読書の記録を残しておくと、あとで見返したときに、自分の興味や考えの変化に気づけることがあります。
読書の記録を残しておくと、あとで見返したときに、自分の興味や考えの変化に気づけることがあります。読んだ日付と書名だけでも構いません。続けるうちに、自分の好みや、気持ちの動きが見えてくる場合もあります。
また、本を通じて出会った言葉が、将来の進路や、人との関わり方を考えるときのヒントになることもあります。

ニジ高(NIJIN高等学院)ができること
NIJIN高等学院は、オンラインを中心に、一人ひとりのペースに合わせて学べる通信制サポート校です。「何から始めればよいか分からない」「まずは話を聞いてみたい」という段階でも、お気軽にご相談ください。個別相談や、資料請求から、まずは情報を集めることもできます。
よくある質問
語彙や表現の幅が広がる、文章を読み取る力や考えを整理する力につながる、他の人の視点に触れられるなどが挙げられています。ただし効果には個人差があり、読むことで必ず成績が上がるというわけではありません。
短い本や、興味のあるテーマの本、マンガや漫画形式の入門書から始める方法があります。最初から最後まで読む必要はなく、気になる部分だけ読んでも構いません。
1日5〜10分、通学時間や寝る前など、短い時間に区切る方法があります。電子書籍や、音声で聞く方法も選択肢です。
気になった一文をメモする、読後に感想を一言書く、家族や友達に話してみるなど、アウトプットすると定着しやすいと言われています。
読書以外にも、日記、会話、動画や音声など、さまざまな方法があります。自分に合う方法を選んで構いません。
まとめ
- 読書は、語彙・表現・思考の幅を広げる手段の一つ
- 無理なく続けるには、短く・好きなテーマから
- 読むだけでなく、書く・話すと定着しやすい
- 苦手でも、他の方法で表現力を育てることは可能
読書は、特別な勉強ではなく、自分の世界を少しずつ広げる習慣です。自分に合う本と、続けやすい方法を見つけてみてください。
あわせて読みたい
- 不登校の高校生が「外出をしたがらない」ときの親の関わり方|無理に連れ出さず、一歩ずつ広げる工夫
- 不登校の高校生が「基本的な家事スキル」を身につける意義|自立につながる小さな一歩の始め方
- 不登校の子を持つ親の気持ち|しんどいとき・疲れたときの向き合い方
- 高校生の不登校、乗り越えるための前向きな選択肢とは
- 通信制高校のコース選びで失敗しない選び方|通学・オンライン・ミックスの比べ方
執筆者:ニジ高編集部 2026年10月21日更新
参考文献
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について」(本人のペースを尊重する支援の考え方)
- お住まいの自治体の教育支援センター・教育委員会・保健センターの相談窓口
- 厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」(0570-064-556)・「24時間子供SOSダイヤル」(0120-0-78310)



