通信制高校から先生になれる?|教員免許の取り方と採用試験の倍率・早期化、在学中の準備まで【2026】

通信制高校からでも、学校の先生になれます。通信制高校を卒業すれば全日制と同じ「高等学校卒業」で、教職課程のある大学・短大を受験する資格も同じです。先生になるには、①大学・短大で教員免許状を取る、②教員採用選考試験に合格する、という2段階を順番に進みます。

「不登校だったけれど、先生になりたい」「通信制だと教育学部に入りにくいのでは」と迷っている人もいるかもしれません。この記事では、文部科学省の教員免許制度の案内と、最新の「公立学校教員採用選考試験の実施状況」をもとに、免許の種類、小学校・中学校・高校・特別支援学校の違い、採用試験の倍率と早期化、そして通信制高校にいるうちにできる準備を整理しました。

目次

結論:通信制高校から先生になれる?の早見

  • なれます。通信制高校の卒業資格は全日制と同じで、大学・短大の受験資格も、教員免許状の取り方も変わりません。
  • 道すじは「免許状」→「採用試験」の2段階。教職課程のある大学(一種免許状)や短大(二種免許状)で単位を取り、卒業すると免許状が受けられます。
  • 高校の先生は4年制大学が必要。高等学校の免許状には二種がなく、一種(学士)か専修(修士)だけです。
  • 採用試験の倍率は下がっています。令和7年度採用の公立学校の競争率は全体で2.9倍(前年度3.2倍)、小学校は2.0倍でした。
  • 在学中の準備は、進学に必要な単位と評定、人に教える・子どもと関わる経験、自分の経験を言葉にすることです。
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通信制高校からでも先生になれる理由

通信制高校は、学校教育法にもとづく高等学校の「通信制の課程」です。卒業すれば全日制・定時制と同じ高等学校卒業となり、大学・短大に入学する資格を得られます。教員免許状を受けるための条件は、教育職員免許法で「学位」と「大学で修得した単位」によって決められていて、出身高校の課程は条件に入っていません。

つまり、スタートラインは全日制の高校生と同じです。違いが出るとすれば、大学入試の選び方と準備の仕方です。通信制高校からの大学受験の進め方は、通信制高校から大学受験はできる?でくわしくまとめています。

先生になるまでの流れ|免許状と採用試験の2段階

学校の先生(教諭)になるには、まず教員免許状が必要です。文部科学省は、幼稚園・小学校・中学校・高等学校の教員は原則として学校の種類ごとの免許状が必要で、中学校・高校はさらに教科ごとの免許状が必要だと案内しています(相当免許状主義)。

通信制高校から先生になるまでの5ステップ。高校を卒業する、教職課程のある大学・短大に進む、教育実習などを終えて単位をそろえる、都道府県教育委員会から教員免許状を受ける、教員採用選考試験に合格する
免許状を取ることと、採用試験に合格することは別のステップです。

免許状は、大学を卒業すると自動でもらえるものではなく、都道府県の教育委員会に申請して授与されます。多くの大学では、卒業の時期にまとめて申請する手続きを案内しています。

免許状を持っていても、それだけで先生として働けるわけではありません。公立学校で働くには、都道府県・政令指定都市の教育委員会が行う教員採用選考試験に合格する必要があります。私立学校は、学校法人ごとに採用を行います。公立学校の先生は地方公務員なので、公務員としての働き方も知っておくと安心です(通信制高校から公務員になるには)。

教員免許状の種類|一種・二種・専修の違い

普通免許状は、取るときの学位(基礎資格)によって3つに分かれています。どれを持っていても、教えられる範囲に違いはありません。

種類必要な学位(基礎資格)主な取り方
専修免許状修士大学院で教職の単位を取る
一種免許状学士4年制大学の教職課程で単位を取る
二種免許状短期大学士短期大学の教職課程で単位を取る

※文部科学省「教員免許制度の概要」、茨城県教育委員会「教員免許事務の手引」(2026年10月確認)。高等学校の免許状は専修と一種のみで、二種はありません。

二種免許状で働く先生には、一種免許状を取るよう努める義務があります。短大から先生になった場合も、働きながら単位を足して一種に上げる道があります。

なお、以前あった教員免許更新制は令和4年7月1日の法改正で廃止されました。いまは、一度取った普通免許状を10年ごとに更新する必要はありません。

小学校・中学校・高校・特別支援学校で何が違う?

「先生になりたい」と思ったら、次に考えたいのはどの学校の先生かです。学校の種類によって、取る免許状も、進む大学・学部も変わります。

学校教えること必要な免許状主な進学先
小学校国語・算数など全教科と道徳など(学級担任が中心)小学校教諭(一種・二種)教育学部、初等教育系の学科、一部の短大
中学校自分の教科(国語・数学・英語など)中学校教諭(教科ごと/一種・二種)教育学部、文学部・理学部などの教職課程
高等学校自分の教科(地理歴史・公民・情報など)高等学校教諭(教科ごと/一種・専修)4年制大学の教職課程
特別支援学校障害のある子どもの学び(小学部〜高等部)特別支援学校教諭+その学部に対応する免許状教育学部の特別支援教育の課程など

特別支援学校の先生は、特別支援学校の免許状に加えて、小学部なら小学校、中学部なら中学校というように、対応する学校の免許状も必要です。教育学部では、小学校と特別支援学校の免許状をあわせて取れるコースを置いているところもあります。

中学校・高校の先生は、教育学部でなくても、文学部・理学部・経済学部などの教職課程で免許状を取れます。「英語が好き」「歴史が好き」など、教えたい教科から学部を選ぶのも1つの考え方です。保健室の先生(養護教諭)や、幼稚園の先生を目指す道もあります。幼稚園教諭と保育士の違いは通信制高校から保育士になれる?で紹介しています。

どこで免許を取る?|大学・短大・通信制大学・認定試験

教員免許状は、文部科学大臣の認定を受けた教職課程で必要な単位を取ることで受けられます。どの大学・学科で、どの免許状が取れるかは学校ごとに違うので、受験前に必ず確認してください。

学び方取れる免許状の例特徴と注意点
4年制大学(通学)小・中・高・特別支援の一種いちばん一般的な道。教育実習や大学の教職支援を受けやすい
短期大学小・中・幼稚園の二種(学科による)2年で免許が取れる。高校の免許は取れない
大学の通信教育課程中・高の一種など(大学・学科による)自分のペースで学べる。教育実習先を自分で探す大学もある
教員資格認定試験小学校・幼稚園・高校(情報)など大学の教職課程を経ずに、文部科学省の試験に合格して免許状を得る道

通信制大学で免許を取る道も、通信制高校で自分のペースで学んできた人には選びやすい方法です。ただし、通信教育課程でも、学校で行う教育実習や、教室で受けるスクーリングは必要です。たとえば法政大学通信教育部の教職課程の案内では、教育実習は4年次に行い、実習校は学生が自分で探すこと、中学校の免許状には介護等体験(特別支援学校2日・社会福祉施設等5日)が必要なことが示されています。

小学校・中学校の免許状を取るには、この介護等体験が法律で求められています。大学のサポートの手厚さ、実習先の探し方、スクーリングの日程と場所は、出願前に資料や説明会で確かめておきましょう。

教員資格認定試験は、受験資格や実施する校種が年度ごとに案内されます。受けたい人は、文部科学省の「教員資格認定試験」のページで最新の実施要項を確認してください。

教員採用試験の倍率と最新の動き(早期化)

令和7年度採用の公立学校教員採用選考試験の競争率を示す横棒グラフ。全体2.9倍、小学校2.0倍、中学校3.6倍、高等学校3.8倍、特別支援学校2.0倍
令和7年度採用の競争率。小学校と特別支援学校は2.0倍でした。

文部科学省の「令和7年度(令和6年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況」によると、受験者数は109,123人、採用者数は37,375人で、競争率は全体で2.9倍でした(前年度3.2倍)。受験者が減り、採用者が増えたことで、倍率は下がっています。

校種受験者数採用者数競争率(前年度)
小学校34,434人17,078人2.0倍(2.2倍)
中学校36,621人10,168人3.6倍(4.0倍)
高等学校19,705人5,152人3.8倍(4.4倍)
特別支援学校7,252人3,650人2.0倍(2.2倍)
養護教諭9,499人1,164人8.2倍(8.2倍)
全体109,123人37,375人2.9倍(3.2倍)

※文部科学省「令和7年度(令和6年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況等について」(令和7年12月25日公表、令和8年10月1日訂正)のポイント資料より。中学校・高校は教科によって倍率が大きく違います。

倍率が下がっているとはいえ、試験は筆記・面接・模擬授業・論作文・実技など、自治体ごとに内容が違います。志望する自治体の過去の実施要項を早めに見ておくと、大学での準備がしやすくなります。

採用試験の「早期化」と大学3年生での受験

ここ数年で大きく変わったのが、試験の時期です。文部科学省は、教員を目指す学生が民間企業などの就職活動と両立しやすいよう、第一次選考の時期を早めるよう教育委員会に求めてきました。令和6年度実施の試験では6月16日、令和7年度実施の試験では5月11日を目安(標準日)として示し、できるだけ前倒しするよう呼びかけています。最新の実施状況の資料でも、6月以前に第一次選考を行う自治体が増える傾向にあるとされています。

また、筆記試験の一部を大学3年生のうちに受けられるしくみを取り入れる自治体も出てきました。さらに、複数の自治体が第一次選考の問題を共同で作る取り組みも、令和9年度実施の試験から始まる予定です。制度は毎年動いているので、大学に入ったら志望する自治体の発表をこまめに確認しましょう。

通信制高校にいるうちにできる準備

  1. 卒業と進学に必要な単位を、期限どおりに取る。学校推薦型・総合型選抜では、評定平均や欠席の記録、志望理由が見られることがあります。指定校推薦のしくみは通信制高校で指定校推薦はある?で解説しています。
  2. 取りたい免許状から大学を選ぶ。「小学校なら教育学部や初等教育系」「高校なら4年制大学」「通信制大学なら実習先の探し方」など、免許状の種類と教職課程の有無を募集要項で確認します。
  3. 人に教える経験、子どもと関わる経験をつくる。地域の学習支援や子ども向けイベントのボランティア、きょうだいの勉強を見ることなど、小さな経験でも志望理由に書けます。
  4. 苦手な科目の学び直しをしておく。小学校の先生は全教科を教えます。中学・高校の先生を目指す人も、教えたい教科の基礎を固めておくと、大学の学びや採用試験の筆記につながります。
  5. オープンキャンパスで教職支援を聞く。教員採用試験の合格者数、試験対策講座、教育実習のサポートを、いくつかの大学で比べてみましょう。
明るい公共図書館の学習席で、プリントとノートパソコンを広げて勉強する人たち
取りたい免許状と教職課程の有無を、募集要項で確かめておきましょう。

通信制高校は時間の使い方を自分で決めやすいので、平日の昼間にボランティアや大学見学の予定を入れやすいのも特長です。いきなり全部をやろうとせず、まずは1つ、気になることから始めてみてください。

不登校の経験は、先生になるうえでどう生きる?

文部科学省の調査では、令和6年度の不登校の児童生徒は小・中学校で353,970人、高校で67,782人でした。学校に行けない時期を過ごした子どもは、どの教室にもいる可能性があります。

学校に行けなかった経験は、「学校に行きづらい子どもの気持ちを想像できる」という視点になることがあります。「あのとき、こんな言葉がほしかった」「こんな居場所があればよかった」と感じたことは、教育について考えるきっかけになりますし、大学の面接や志望理由で、自分の言葉として話せる材料にもなります。

ただし、経験があれば良い先生になれる、というわけではありません。大切なのは、自分の経験を大学で学ぶ教育学や心理学の知識と結びつけ、「自分とは違う子ども」の気持ちにも目を向けられるようになることです。経験を無理に話す必要もありません。話したいと思えたときに、話せる範囲で使えば十分です。

夜、机のライトの下でノートに自分の気持ちを書いている高校生の女子
「なぜ先生になりたいのか」を少しずつ言葉にしておくと、志望理由につながります。

保護者の方へ

お子さんが「先生になりたい」と言ったとき、通信制高校に通っていることで不利にならないかと心配される方は少なくありません。ここまで見てきたとおり、卒業資格は全日制と同じで、教員免許状の取り方も変わりません。

保護者にできる支えは、大学の説明会に一緒に行くことと、学費や奨学金、通信制大学の費用などを一緒に調べることです。不登校の時期を経て「先生になりたい」と言えるようになったこと自体が、大きな一歩です。その気持ちを、進路の軸として大切に扱ってあげてください。

よくある誤解

  • 「通信制高校からは教育学部に入れない」:受験資格は全日制と同じです。推薦などで見られるのは課程の種類ではなく、評定や出席、志望理由です。
  • 「教員免許は教育学部でしか取れない」:中学・高校の免許状は、文学部・理学部などの教職課程でも取れます。
  • 「短大を出れば高校の先生になれる」:高校の免許状には二種がないため、4年制大学(学士)が必要です。
  • 「免許を取れば先生になれる」:公立学校で働くには、教員採用選考試験に合格する必要があります。
  • 「不登校だった人は先生になれない」:免許状や採用試験の条件に、高校時代の出席は定められていません。

先生を目指す進路を、ひとりで決めなくていい

私たちNIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制サポート校です。担任がつき、レポートや進路の相談を一緒に進められます。全国の仲間と取り組むプロジェクトや行事もあり、カメラとマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められます。

正直な注意点も書いておきます。ニジ高そのものは高校ではありません。卒業資格は提携する通信制高校で取り、提携校のスクーリングへの参加が必要です。教員免許状はニジ高では取れず、卒業後に教職課程のある大学・短大へ進む必要があります。費用は提携校の分とニジ高の分がかかり、ニジ高の分には就学支援金は使えません。金額は学費のご案内で公開しています。

高校生が先生と向かい合って面接の練習をし、同級生が見守っている様子
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相談室で職員から説明を受ける保護者と高校生

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よくある質問

Q. 通信制高校から学校の先生になれますか?

なれます。通信制高校を卒業すれば全日制と同じ「高等学校卒業」で、教職課程のある大学・短大を受験できます。大学・短大で教員免許状を取り、教員採用選考試験に合格すると、先生として働けます。

Q. 高校の先生になるには、短大でもいいですか?

高校の先生を目指すなら4年制大学が必要です。高等学校の免許状には二種がなく、一種(学士)か専修(修士)だけです。短大では、学科によって小学校・中学校・幼稚園の二種免許状を取れます。

Q. 通信制大学でも教員免許は取れますか?

取れる大学があります。通信教育課程でも、教育実習やスクーリングが必要です。実習校を自分で探す大学もあるので、取れる免許状の種類とあわせて、出願前に確認してください。

Q. 教員採用試験の倍率はどれくらいですか?

文部科学省によると、令和7年度採用(令和6年度実施)の公立学校の競争率は全体で2.9倍(前年度3.2倍)でした。小学校2.0倍、中学校3.6倍、高等学校3.8倍、特別支援学校2.0倍です。

Q. 不登校だった人でも先生になれますか?

なれます。教員免許状は大学での学位と単位で、採用試験は免許状などで受験資格が決まり、高校時代の出席は条件として定められていません。不登校の経験は、学校に行きづらい子どもの気持ちを想像する視点になることもあります。

「先生になりたい」は、どの高校からでも目指せる

先生への道は、通信制高校かどうかでは決まりません。決めるのは、卒業後にどの免許状を目指してどの大学に進むかと、在学中にどれだけ準備できるかです。まずはどの学校の先生になりたいかを考え、気になる大学の教職課程を調べてみてください。

通信制高校の自由な時間を、学び直しやボランティア、大学見学に少しずつ使っていけば、卒業するころには「なぜ先生になりたいのか」を自分の言葉で話せるようになっているはずです。焦らず、一歩ずつで大丈夫です。

進路のことを誰かと一緒に考えたくなったときのために、相談の入口を置いておきます。

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まだ何も決めていない段階でも大丈夫です。

あわせて読みたい

参考文献・出典

  • 文部科学省「教員免許制度の概要」
  • 文部科学省「令和7年度(令和6年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況等について」(令和7年12月25日公表、令和8年10月1日訂正)
  • 文部科学省「教師の採用選考試験の早期化・複数回実施等について」(令和6年4月)
  • 文部科学省「教員資格認定試験」
  • 文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」
  • 茨城県教育委員会「教員免許事務の手引」/法政大学通信教育部「教職課程の案内」
  • 教員採用選考に係る第一次選考の共同実施に関する自治体協議会「令和10年度教員採用選考に係る第一次選考の共同実施における出題方針について」(いずれも2026年10月確認)
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