通信制高校からでも、美容師になれます。美容師になるには、高校を卒業したあと美容学校(都道府県知事が指定した美容師養成施設)を卒業し、美容師国家試験に合格する必要があります。通信制高校の卒業は全日制と同じ「高等学校卒業」なので、この道のりは全日制の高校から目指す人とまったく同じです。
この記事では、厚生労働省や、国家試験を実施する公益財団法人 理容師美容師試験研修センターの公式情報をもとに、通信制高校から美容師になるまでの流れ、美容学校の3つの課程(昼間・夜間・通信)、国家試験の内容と最新の合格率、そして通信制高校にいるうちにできる準備を整理しました。
結論:通信制高校から美容師になれる?の早見
- なれます。美容学校の入所資格は原則「高校卒業」で、通信制高校の卒業でも条件は同じです。
- 美容師になる道は1つだけ。美容師養成施設を卒業し、美容師国家試験に合格して、免許を登録します。独学や実務経験だけでは受験できません。
- 美容学校の修業期間は、昼間課程・夜間課程が2年以上、通信課程が3年以上です。
- 国家試験の合格率は、回によって大きく違います。第53回は87.0%、最新の第54回は64.9%でした。
- 在学中にできる準備は、卒業に必要な単位を確実に取ること、美容学校の見学、手先を使う練習、人と話すことへの慣れです。
通信制高校からでも美容師になれる理由
通信制高校は、学校教育法にもとづく高等学校の「通信制の課程」です。卒業すれば全日制・定時制と同じ高等学校卒業になり、大学・短大・専門学校を受ける資格も同じように得られます。
美容師の資格は、美容師法という法律で決められています。美容師法では、美容師国家試験を受けられるのは、大学に入学できる人(高校卒業者など)で、都道府県知事が指定した美容師養成施設で必要な知識と技能を修得した人とされています。ここに「全日制でなければならない」という条件はありません。
つまり、美容師になれるかどうかを決めるのは、出身高校の課程ではなく、美容学校を卒業できるかと国家試験に合格できるかの2つです。通信制高校から看護師や保育士を目指す道については、通信制高校から看護師、通信制高校から保育士の記事でまとめています。
美容師になるまでの流れ|美容学校→国家試験→免許登録
美容師になるまでの流れは、全国どこでも同じです。厚生労働省の案内では、次の順番で進みます。

- 美容師養成施設(美容学校)に入る。入所資格は原則として高校卒業者です。
- 美容学校を卒業する。昼間課程・夜間課程は2年以上、通信課程は3年以上学びます。
- 美容師国家試験に合格する。筆記試験と実技試験があり、公益財団法人 理容師美容師試験研修センターが実施しています。
- 免許を申請し、美容師名簿に登録する。登録の手続きも同じセンターが行っています。
大切なのは、美容学校を卒業しないと国家試験そのものを受けられないことです。美容室でアシスタントとして長く働いても、それだけでは受験資格になりません。美容師を目指すなら、どの課程の美容学校に進むかを決めることが最初の一歩になります。
美容学校の3つの課程|昼間・夜間・通信の違い
美容師養成施設には、昼間課程・夜間課程・通信課程の3つがあります。どれを卒業しても、受けられる国家試験は同じです。
| 昼間課程 | 夜間課程 | 通信課程 | |
|---|---|---|---|
| 修業期間 | 2年以上 | 2年以上 | 3年以上 |
| 学び方 | 平日の朝から夕方まで通学 | 夕方から夜に通学 | 自宅で教材とレポート、決まった時期に面接授業(スクーリング) |
| 授業の量 | 合計2,010時間以上(昼間・夜間とも) | 合計2,010時間以上(昼間・夜間とも) | 3年間で報告課題36通(中卒者は45通)と面接授業 |
| 向いている人 | 高校卒業後、美容の勉強に集中したい人 | 昼間に働きながら学びたい人 | 美容室などで働きながら、時間をかけて学びたい人 |
※厚生労働省「理容師・美容師免許の取得まで」「理容師制度・美容師制度に関する参考資料集」、公益社団法人 日本理容美容教育センター「理容師・美容師になるまで」(2026年10月確認)。授業の時間割や学費は学校ごとに違います。
昼間課程は、毎日朝から夕方まで、カットやパーマ、ヘアカラーなどの実習と、衛生や皮膚の学科をたっぷり学ぶ形です。2年で国家試験までたどり着けるので、いちばん選ばれている学び方です。
通信課程は、日本理容美容教育センターの教材が3年間にわたって配本され、自宅で学んで報告課題(レポート)を提出し、夏休みや春休みなどに美容学校で面接授業を受ける形が多いとされています。通信制高校で「レポート+スクーリング」に慣れている人には、なじみやすい形かもしれません。ただし、通信課程は昼間課程か夜間課程を置いている美容学校だけが設けられる仕組みなので、通信課程がある学校は限られます。
高校在学中に、美容学校の通信課程で学べる?
「通信制高校に通いながら、同時に美容学校の勉強も進められないか」と考える人もいると思います。ここは誤解が多いところなので、公式に確認できることと、できないことを分けて書きます。
| 項目 | 公式に確認できること |
|---|---|
| 美容学校の入所資格 | 原則は高校卒業者。当分の間は中学校卒業者も入所できるとされている(厚生労働省) |
| 中卒者の入学 | 養成施設の入所試験に合格し、入学後に養成施設が行う講習を受けることを条件に、入学できる学校がある(日本理容美容教育センター) |
| 国家試験の受験 | 大学に入学できる人(高校卒業者など)で、養成施設の課程を修了した人が受けられる(美容師法) |
| 高校と美容学校の同時在籍 | 国や試験センターの統一ルールとしては確認できない。受け入れるかどうか、条件は学校ごとに違う |
このように、高校に在籍したまま美容学校の通信課程に入れるかどうかは、美容学校ごとに扱いが違います。在学中から学びたい場合は、志望する美容学校に「通信制高校に在籍中でも入学できるか」「その場合、課題の数や講習はどうなるか」「国家試験はいつ受けられるか」を直接確認してください。あわせて、いま通っている通信制高校の先生にも相談し、高校の卒業に必要な単位やスクーリングとの両立ができるかを確かめておくと安心です。
無理に2つを同時に進めるより、まず高校を確実に卒業し、そのあと昼間課程に2年通うほうが、結果的に早く国家試験までたどり着く人もいます。どちらが自分に合うかは、体力や生活リズム、家庭の事情によって変わります。
美容師国家試験の内容と合格率
美容師国家試験は、公益財団法人 理容師美容師試験研修センターが、1年度に2回実施しています。筆記試験と実技試験の両方に合格する必要があります。第54回の合格基準は次のとおりです。
| 試験 | 内容 | 合格基準(第54回) |
|---|---|---|
| 筆記試験 | 関係法規・制度及び運営管理、公衆衛生・環境衛生、感染症、衛生管理技術、人体の構造及び機能、皮膚科学、香粧品化学、文化論及び美容技術理論 | 55問中60%以上の正答率で、どの課目も無得点がないこと |
| 実技試験(衛生上の取扱) | 器具の消毒など、衛生的に作業できるか | 減点が20点以下 |
| 実技試験(第1課題) | カッティング | 減点が30点以下 |
| 実技試験(第2課題) | ワインディング(パーマのロッド巻き) | 減点が30点以下 |
筆記試験だけ、または実技試験だけに合格した人は、申請すれば次回の試験に限って、合格した方の試験が免除されます。

| 回 | 実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 第54回 | 令和8年度 | 4,660人 | 3,024人 | 64.9% |
| 第53回 | 令和7年度 | 19,850人 | 17,273人 | 87.0% |
| 第52回 | 令和7年度 | 4,569人 | 2,989人 | 65.4% |
| 第51回 | 令和6年度 | 19,776人 | 17,427人 | 88.1% |
| 第50回 | 令和6年度 | 4,763人 | 2,622人 | 55.0% |
※公益財団法人 理容師美容師試験研修センター「過去の試験実施状況」「第54回理容師国家試験及び美容師国家試験実施結果」(2026年10月確認)。次回の第55回の詳細は、令和8年10月30日に発表予定とされています。
表を見ると、受験者が約2万人の回は合格率が80%台後半、受験者が5,000人弱の回は50〜60%台になっています。どちらの回を受けるかで合格率の数字の見え方が変わるので、「合格率が高いから簡単」「低いから難しい」と一つの数字だけで判断しないことが大切です。美容学校では、国家試験に向けた授業や模擬試験を行っているところが多いので、見学のときに「卒業生の合格率」を聞いてみると、学校選びの参考になります。
美容師免許を取ったあとの働き方|美容所のルール
美容師の仕事は、法律で場所のルールが決まっています。働き始める前に知っておくと、進路のイメージがはっきりします。
- 美容の仕事は、原則として「美容所」で行います。美容室は、保健所に届け出て確認を受けた「美容所」です。病気などで美容所に来られない人、結婚式の直前の人、福祉施設の入所者などへの出張は例外として認められています。
- 美容所を開くときは、事前に保健所へ届け出ます。香川県の案内では、営業を始める2週間前までに開設届を出し、構造や設備の確認を受けることとされています。
- 2人以上の美容師が働く美容所には、管理美容師を置きます。管理美容師になるには講習を修了する必要があります。
厚生労働省によると、令和6年3月末の美容所数は27万4,070施設、そこで働く美容師は57万9,768人で、どちらも前年より増えています。美容室のほか、ブライダルのヘアメイク、撮影スタジオ、福祉施設への訪問美容など、免許を生かせる場所はさまざまです。将来自分のお店を持ちたい人も、まずは美容所で経験を積むのが一般的な流れです。
学年別|通信制高校から美容師を目指すスケジュール
高校卒業後に昼間課程へ進む場合の、おおまかな流れです。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 高1 | レポートとスクーリングのペースをつかむ。髪型やメイク、ファッションなど、好きな分野を書き出してみる |
| 高2 | 美容学校を調べ、オープンキャンパスや体験授業に行く。昼間・夜間・通信のどれが合うか考える |
| 高3の春〜夏 | 志望校を決め、AO(総合型)・推薦・一般の入試の条件と、学費・奨学金を確認する |
| 高3の秋〜冬 | 出願・受験。並行して、卒業に必要な単位を取り切る |
| 卒業後 | 美容学校で2年(通信は3年)学び、国家試験へ。合格したら免許を登録して働き始める |
美容学校の入試では、面接や作文を行う学校があります。面接では、出席やレポートへの取り組み、「なぜ美容師になりたいのか」を聞かれることがあるので、通信制高校での毎日の積み重ねがそのまま準備になります。

学費とお金の準備
美容学校の学費は、学校や課程によって大きく違います。昼間課程は授業時間が多いぶん、授業料のほかにハサミやウィッグなどの道具代、教材費がかかります。通信課程は、働きながら学べる一方で、卒業まで3年以上かかります。オープンキャンパスでは、入学金・授業料だけでなく、道具代、国家試験対策の費用、通信課程なら面接授業のための交通費まで含めて聞いておくと安心です。
- 高等教育の修学支援新制度:世帯の収入などの要件を満たすと、国の確認を受けた大学・短大・専門学校で、授業料の減免と給付型奨学金を受けられます。志望する美容学校が対象校かどうかを確認してください。
- 日本学生支援機構の奨学金:貸与型の奨学金もあります。高校在学中に予約申し込みができる時期があるので、高3の春には調べ始めるのがおすすめです。
通信制高校にいるうちにできる5つの準備
- 卒業に必要な単位を、期限どおりに取る。美容学校の入所資格は原則「高校卒業」です。卒業が遅れると、入学も国家試験も後ろにずれます。
- 美容学校を見学し、課程と合格率を比べる。昼間・夜間・通信のどれがあるか、卒業生の国家試験の合格率、道具代を、2〜3校で比べます。
- 手先を使う練習をしておく。国家試験の実技はカッティングとワインディングです。家族の髪を結ぶ、細かい手作業をするなど、手を動かすことに慣れておくと入学後が楽になります。
- 人と話すことに少しずつ慣れる。美容師は、お客さんの希望を聞き取る仕事です。アルバイトや校外の活動で、人と話す機会をつくるのもよい準備です。働き方は通信制高校とバイトの両立も参考にしてください。
- 朝から動く生活リズムをつくる。昼間課程は毎日朝から夕方まで、美容室の仕事も立ち仕事です。通信制の自由な時間のうちに、少しずつ体を慣らしておきましょう。

保護者の方へ:「通信制から美容師」を応援するときに
お子さんが「美容師になりたい」と言ったとき、通信制高校に通っていることで不利にならないか、心配される方もいると思います。ここまで見てきたとおり、美容学校の入所資格も、国家試験の受験資格も、高校の課程では変わりません。
保護者にできる大きな支えは、美容学校の見学に一緒に行くことと、学費や道具代、奨学金を一緒に調べることです。通信課程で働きながら学ぶか、昼間課程に2年通うかは、家庭の事情にも関わるので、早めに話し合っておくと安心です。
不登校などを経て通信制高校を選んだお子さんにとって、「人をきれいにしたい」「手に職をつけたい」という気持ちは、進路を考える大切な軸になります。結論を急がず、その気持ちを一緒に形にしていってください。
よくある誤解
- 「通信制高校からは美容学校に入りにくい」:入所資格は原則「高校卒業」で、通信制高校の卒業でも同じです。
- 「美容室で働けば、そのうち美容師になれる」:美容師養成施設を卒業しないと、国家試験は受けられません。
- 「美容学校の通信課程なら、勉強は家だけで終わる」:通信課程にも面接授業(スクーリング)があり、期間は3年以上です。
- 「国家試験の合格率は9割だから誰でも受かる」:最新の第54回は64.9%でした。回によって大きく違うので、計画的な準備が必要です。
美容師を目指す進路を、ひとりで決めなくていい
私たちNIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制サポート校です。担任がつき、レポートや進路の相談を一緒に進められます。全国の仲間と取り組むプロジェクトや行事もあり、カメラとマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められます。
正直な注意点も書いておきます。ニジ高そのものは高校ではありません。卒業資格は提携する通信制高校で取り、提携校のスクーリングへの参加が必要です。また、ニジ高は美容師養成施設ではないので、美容師の受験資格はニジ高では得られません。卒業後に美容学校へ進む必要があります。費用は提携校の分とニジ高の分がかかり、ニジ高の分には就学支援金は使えません。金額は学費のご案内で公開しています。


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個別相談では、いまの在籍状況や単位をうかがいながら、高校卒業と美容学校への進学までの見通し、在学中にできる準備を事実ベースでお伝えします。保護者の方だけの参加もできます。
よくある質問
なれます。通信制高校を卒業すれば全日制と同じ「高等学校卒業」で、美容学校(美容師養成施設)の入所資格も同じです。美容学校を卒業し、美容師国家試験に合格して免許を登録すれば、美容師として働けます。
昼間課程と夜間課程は2年以上、通信課程は3年以上です。どの課程を卒業しても、受けられる国家試験は同じです。
国や試験センターの統一ルールとしては確認できず、受け入れの有無や条件は美容学校ごとに違います。在学中から学びたい場合は、志望校に入学条件と国家試験を受けられる時期を直接確認してください。
理容師美容師試験研修センターによると、第53回は87.0%、最新の第54回は64.9%でした。受験者数の多い回と少ない回で合格率が大きく違います。
美容学校の夜間課程や通信課程を使えば、働きながら学べます。ただし、美容室で働くだけでは国家試験の受験資格にはならず、美容師養成施設の卒業が必要です。
「美容師になりたい」は、どの高校からでも目指せる
美容師への道は、通信制高校かどうかでは決まりません。決めるのは、高校を卒業したあとにどの課程の美容学校へ進むかと、国家試験に向けてどれだけ準備できるかです。まずは気になる美容学校を2〜3校選び、オープンキャンパスや体験授業に行ってみてください。
通信制高校の時間の使い方は、自分で決められます。その自由な時間を、学校見学や手先の練習、人と話す経験づくりに少しずつ使っていけば、卒業するころには「なぜ美容師になりたいのか」を自分の言葉で話せるようになっているはずです。焦らず、一歩ずつで大丈夫です。
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参考:厚生労働省「理容師・美容師免許の取得まで」「理容師制度・美容師制度に関する参考資料集」「生活衛生関係営業の美容業」(衛生行政報告例、令和6年3月末)/公益財団法人 理容師美容師試験研修センター「受験資格」「第54回の合格基準」「過去の試験実施状況」「第54回実施結果」/公益社団法人 日本理容美容教育センター「理容師・美容師になるまで」(通学・通信教育)/美容師法第4条/香川県「美容師法関係」(いずれも2026年10月確認)

