通信制高校からでも、声優を目指せます。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、声優になるために必須となる学歴や資格はないとされています。どの高校に通っているかではなく、専門学校や養成所で演技を学び、事務所の所属オーディションや作品ごとのオーディションに受かっていけるかが道を分けます。
一方で、声優は「この学校に入れば必ずなれる」という仕事ではありません。この記事では、job tag や国民生活センターなど公的な情報をもとに、声優になるまでの4つの道、仕事と働き方の現実、通信制高校の時間を練習に使う方法、「声優コース」の見極め方、そして高額な契約トラブルを避けるための注意点を整理しました。
結論:通信制高校から声優になれる?の早見
- 目指せます。声優に必須の学歴や資格はなく、通信制高校であることは不利になりません。
- 主な道は4つ。専門学校の声優コース、声優養成所、事務所が運営する養成所、オーディションへの直接応募です。
- 学校や養成所に入っても、デビューは約束されません。事務所に所属しても、すぐに仕事があるとは限らず、作品ごとにオーディションがあります。
- 通信制の時間は、練習に使えます。音読、発声、演技の経験、作品を見ること、読書は、今日から始められます。
- 「合格したので費用を払って」は要注意。その場で契約せず、家族や消費者ホットライン188に相談してください。
声優に資格はいらない|だから「通信制かどうか」は関係ない
job tag では、声優の仕事を、アニメやゲームのキャラクターの声、外国映画やドラマの吹き替え、ドキュメンタリーやニュースのナレーション、動画配信などの音声コンテンツと説明しています。アニメでは、台本や役柄を読み込み、スタッフと声の出し方を調整しながら、映像に合わせて収録します。イベントやラジオ、配信、ライブに出ることもあります。
そして、入職にあたって必須となる学歴や資格はないと書かれています。看護師や美容師のように国家試験を受ける仕事ではないので、高校の課程が全日制か通信制かで、声優になれるかどうかが決まることはありません。
ただし、高校卒業は無関係ではありません。声優の勉強ができる専門学校(専修学校の専門課程)に入るには、高校卒業が必要です。また、声優の仕事だけで生活が安定する人は多くないため、ほかの仕事や進学の選択肢を残しておく意味でも、高校を卒業しておくことは大切です。看護師や美容師など、資格が必要な仕事との違いは通信制高校から看護師、通信制高校から美容師の記事も参考にしてください。
声優になるまでの流れ|学ぶ→所属→作品オーディション
job tag の説明をもとに、一般的な流れを図にしました。

- 基礎をつくる。高校のあいだに、読む・話す・演じる経験を増やします。
- 演技を学ぶ。専門学校の声優コース、声優養成所、養成講座などで、演技・発声・滑舌を学ぶのが一般的です。
- 事務所に所属する。声優プロダクションや芸能事務所の所属オーディションを受けて、所属を目指します。
- 作品のオーディションで役をつかむ。job tag によると、仕事は作品ごとの制作側のオーディションで決まり、所属してもすぐに仕事が入るとは限りません。ベテランの声優もオーディションを受けています。
つまり、声優の道は「学校を卒業したら終わり」ではなく、オーディションを受け続ける仕事です。このことを知ったうえで進路を考えると、学校選びで何を大切にするべきかが見えてきます。
4つの道を比べる|専門学校・養成所・事務所付属・オーディション
| 道 | 特徴 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 専門学校の声優コース | 高校卒業後に入学する学校。授業の内容や時間は学校ごとに違う。条件を満たせば国の修学支援新制度を使える場合がある | 学費の総額、講師、事務所オーディションの機会、卒業後の進路の実績の示し方 |
| 声優養成所 | 学校教育法上の学校ではなく、入所の条件や期間、費用、レッスンの時間帯はそれぞれが決める | 入所の条件、レッスンの回数、進級の仕組み、費用の内訳 |
| 事務所が運営する養成所 | 事務所が運営する養成所。所属の審査の仕組みは、それぞれの募集要項で確認が必要 | 所属の審査の時期と方法、所属できなかった場合の扱い |
| オーディションに直接応募 | 事務所や作品の募集に、自分で応募する | 募集元が実在する事務所か、合格後に費用を求められないか |
※厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「声優」をもとに整理(2026年10月確認)。費用や期間は学校・養成所ごとに大きく違うため、この記事では金額を示していません。必ず各校の募集要項で確認してください。
どの道が正解ということはありません。高校卒業後に毎日通って集中したい人は専門学校、高校在学中や働きながら学びたい人は養成所、というように、生活や費用に合わせて選ばれています。国の「高等教育の修学支援新制度」(授業料の減免と給付型奨学金)は、国の確認を受けた大学・短大・高専・専門学校が対象なので、養成所は対象になりません。お金の面も含めて、家族と一緒に調べておきましょう。
声優の仕事と働き方の現実
声優を目指すなら、仕事のあこがれの部分だけでなく、働き方の現実も知っておくことが大切です。job tag には、次のように書かれています。
- 雇用契約ではないことが多い。事務所とはマネジメント契約や業務委託の形が多く、多くの声優は仕事ごとにギャラを受け取る個人事業主です。
- 収入は仕事の量で大きく変わる。決まった収入が保証されているわけではなく、安定した収入を得られる人は多くありません。ほかの仕事をしながら活動する人も多いとされています。
- 時間は不規則。収録は作品によって違い、放送やイベントは夜や週末に行われることも多くあります。
- 働く場所は都市部が中心。録音スタジオや制作会社が多い地域が中心です。
こう書くと不安になるかもしれませんが、これは「目指さないほうがいい」という意味ではありません。現実を知ったうえで、練習を続ける力と生活を支える別の柱の両方を準備しておく、という考え方が大切です。通信制高校で自分のペースで学ぶ経験は、この「自分で続ける力」を育てる場にもなります。
文化庁も、芸術や芸能の分野で働く人が安心して仕事ができるよう、2022年7月に「文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドライン」をまとめ、契約を書面にすることなどを進めています。将来、事務所と契約するときにも、内容を書面で確かめる習慣が役立ちます。
通信制高校の時間を「練習」に使う|毎日できる5つのこと
通信制高校は、毎日決まった時間に登校する必要がない分、自分で使える時間が多くあります。その時間を、声優に必要な基礎づくりに使うことができます。
- 音読する。小説、新聞、教科書を毎日声に出して読みます。録音して聞き返すと、早口になるところや聞き取りにくい音に気づけます。
- 声と体の使い方を整える。正しい姿勢、呼吸、口の開け方を意識して話す練習をします。無理に大きな声を出し続けると喉を痛めることがあるので、違和感があれば休み、続くときは耳鼻咽喉科で相談してください。
- 演じる経験を積む。声優の仕事の土台は演技です。地域の劇団や演劇のワークショップ、学校の行事など、人の前で演じる機会があれば参加してみましょう。
- 作品をたくさん見て、聞く。アニメ、洋画の吹き替え、ナレーション、ラジオドラマなどを、「なぜこの言い方なのか」を考えながら見ます。気づいたことをノートに書いておくと、表現の引き出しが増えます。
- 本を読み、言葉を増やす。台本を読み込む力は、読書で育ちます。登場人物の気持ちを想像しながら読むことは、役づくりの練習にもなります。
録音した声や演技を動画サイトやSNSに投稿する人もいますが、他人の作品のセリフや映像を使う場合は、著作権の問題が起こることがあります。また、本名や学校名、住んでいる地域がわかる情報は出さないようにしましょう。

「声優コースのある通信制高校・サポート校」の見極め方
通信制高校やサポート校の中には、声優コースや声優の授業を設けているところがあります。こうしたコースは、高校卒業を目指しながら声の勉強を始められる点が魅力です。ただし、高校の卒業資格と、声優としての訓練は別のものです。選ぶときは、次の点を確認してください。
| 確認すること | 質問の例 |
|---|---|
| 運営の形 | 声優の授業は高校が行うのか、サポート校や外部の養成所が行うのか |
| 講師 | 誰が教えるのか。講師の経歴は公開されているか |
| レッスンの量 | 週に何回、何時間か。通学が必要か、オンラインか |
| オーディションの機会 | 事務所の所属オーディションを受ける機会はあるか。合格の条件や、受けられる人数は |
| 費用の内訳 | 高校の学費と、コースの費用はそれぞれいくらか。高等学校等就学支援金の対象は高校の授業料で、コース費は対象外のことがある |
| 高校の卒業 | レポートとスクーリングをこなしながらレッスンを受けられるか。コースをやめたいとき、高校の在籍はどうなるか |
「デビュー保証」「必ず所属できる」など、結果を約束する言い方には注意してください。job tag にあるとおり、声優の仕事は作品ごとのオーディションで決まるため、学校が結果を約束することはできません。体験レッスンに参加し、説明会では上の質問をそのまましてみると、はっきり答えてくれるかどうかで、学校の姿勢が見えてきます。
高額な契約・オーディション商法に注意
夢を持つ若い人をねらった契約トラブルもあります。国民生活センターは2023年12月、「タレント・モデル契約のトラブル」について注意を呼びかけました。オーディションや面接のあとに「合格」と告げられ、その場で契約をせかされ、登録料やレッスン料、月々の費用などを求められる、といった相談が紹介されています。東京都の相談事例でも、オーディションサイトから応募して「合格」の連絡を受け、事務所でレッスン料などの契約を結んだ大学生が、解約時に高い違約金を求められたケースが紹介されています。

- その場で契約しない。国民生活センターは、すぐに契約せず、活動の内容やサポート、費用の内訳を確認するよう呼びかけています。
- 18歳未満の契約は、原則として取り消せます。埼玉県の案内では、18歳未満の人が親などの法定代理人の同意なしに結んだ契約は、原則として取り消すことができ、支払ったお金も返してもらえるとされています。ただし、親が同意していた場合や、年齢をいつわった場合などは取り消せません。取り消すときは、支払いを止めるだけでなく、書面で通知します。
- 迷ったら188へ。消費者ホットライン「188(いやや!)」に電話すると、近くの消費生活センターにつながります。
本当に力のある事務所や学校ほど、契約の内容を落ち着いて説明し、家族と相談する時間をくれるはずです。「今日決めないと枠がなくなる」とせかされたら、いったん立ち止まりましょう。
学年別|通信制高校から声優を目指すスケジュール
| 時期 | やること |
|---|---|
| 高1 | レポートとスクーリングのペースをつかむ。毎日の音読と、作品を見てメモする習慣をつくる |
| 高2 | 専門学校や養成所の説明会、体験レッスンに行く。演劇のワークショップなど、演じる場に参加してみる |
| 高3の春〜夏 | 進む道を決め、学費・奨学金・入所条件を家族と確認する。専門学校はAO(総合型)・推薦などの入試の条件を調べる |
| 高3の秋〜冬 | 出願・受験。並行して、卒業に必要な単位を取り切る |
| 卒業後 | 専門学校や養成所で学び、所属オーディションへ。生活を支える仕事や学びも並行して考える |
専門学校や養成所の入試・入所審査では、面接などがある場合があります。内容は各校の募集要項で確認してください。通信制高校での毎日の練習や、自分で計画して続けてきたことは、そのまま話せる材料になります。

保護者の方へ:「声優になりたい」と言われたら
お子さんから「声優になりたい」と言われて、収入や将来を心配される方は多いと思います。ここまで見てきたとおり、声優は資格のいらない仕事で、通信制高校であることは不利になりません。一方で、デビューや収入が約束されない仕事であることも事実です。
保護者にできる大きな支えは、夢を否定せずに、現実の情報を一緒に調べることです。説明会や体験レッスンに一緒に行き、費用の内訳と契約の条件を確認してください。18歳未満のお子さんの契約には、親の同意が関わります。「合格した」「今日契約しないと」という連絡があったときに、まず家族に相談できる関係をつくっておくことが、いちばんの安全対策になります。
あわせて、高校卒業までの単位の見通しを一緒に確認しておくと、声優の道を続けながらも、ほかの進路を選び直せる余地が残ります。
よくある誤解
- 「通信制高校からは声優になれない」:声優に必須の学歴や資格はありません。
- 「声優の専門学校や養成所に入れば、デビューできる」:卒業や修了でデビューが決まるわけではなく、所属や作品のオーディションがあります。
- 「事務所に所属すれば仕事がもらえる」:job tag によると、所属しても、すぐに仕事があるとは限りません。
- 「オーディションに合格したら、費用を払うのは当たり前」:合格のあとに高額な費用を求める契約トラブルが報告されています。その場で契約せず、相談してください。
- 「声がよければ声優になれる」:job tag にあるとおり、声優は台本を読み込み、役を演じる仕事です。演技の力が土台になります。
声優を目指す進路を、ひとりで決めなくていい
私たちNIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制サポート校です。担任がつき、レポートや進路の相談を一緒に進められます。全国の仲間と取り組むプロジェクトや行事もあり、カメラとマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められます。
正直な注意点も書いておきます。ニジ高そのものは高校ではありません。卒業資格は提携する通信制高校で取り、提携校のスクーリングへの参加が必要です。また、ニジ高は声優の専門学校や養成所ではないため、声優の専門的な訓練や事務所への所属を約束するものではありません。費用は提携校の分とニジ高の分がかかり、ニジ高の分には就学支援金は使えません。金額は学費のご案内で公開しています。


声優を目指す進路を、一緒に整理しませんか
個別相談では、いまの在籍状況や単位をうかがいながら、高校卒業までの見通しと、練習や学校見学に使える時間のつくり方を、事実ベースで一緒に考えます。保護者の方だけの参加もできます。
よくある質問
なれます。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、声優になるために必須となる学歴や資格はないとされています。通信制高校かどうかは関係なく、専門学校や養成所で学び、事務所の所属オーディションや作品ごとのオーディションに受かっていくことが一般的な道です。
必要ありません。声優には国家資格や免許はありません。その代わり、作品ごとのオーディションで役を勝ち取る仕事で、ベテランの声優もオーディションを受けています。
コースに入っただけでデビューが決まるわけではありません。高校の卒業と声優の訓練は別のものとして考え、講師、レッスンの量、所属オーディションの機会、費用の内訳、卒業に必要なスクーリングとの両立を確認して選んでください。
その場で契約しないでください。国民生活センターは、オーディションの合格を告げられた後に高額な費用を求められる契約トラブルについて注意を呼びかけています。家族に相談し、迷ったら消費者ホットライン188に電話してください。18歳未満が親の同意なく結んだ契約は、原則として取り消すことができます。
通信制高校は登校日が少ないので、時間をつくりやすいのは確かです。ただし、養成所の入所条件や費用、レッスンの時間はそれぞれ違います。高校の卒業に必要なレポートやスクーリングの予定と重ならないかを、先に確認しておきましょう。
「声優になりたい」は、どの高校からでも目指せる
声優への道は、通信制高校かどうかでは決まりません。決めるのは、演技を学び続けられるか、そしてオーディションに挑戦し続けられるかです。まずは気になる専門学校や養成所を2〜3か所選び、説明会や体験レッスンに参加してみてください。そのとき、費用と契約の条件を家族と一緒に確かめることを忘れないでください。
通信制高校の時間の使い方は、自分で決められます。その時間を、毎日の音読や作品を見ること、演じる経験づくりに少しずつ使っていけば、卒業するころには「どんな声優になりたいか」を自分の言葉で話せるようになっているはずです。焦らず、一歩ずつで大丈夫です。
進路のことを誰かと一緒に考えたくなったときのために、相談の入口を置いておきます。

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参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「声優」/独立行政法人国民生活センター「【20代要注意!】タレント・モデル契約のトラブル」(2023年12月12日)/東京都「若者からの最近の相談事例」/埼玉県「未成年者契約の取消し」/文化庁「文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドライン(検討のまとめ)」(2022年7月)(いずれも2026年10月確認)

