書字障害(ディスグラフィア)の高校生|板書・試験・レポートで頼める配慮【2026】

たとえば、こんな場面です(この記事でつくった仮の例です)。板書を写し終える前に黒板が消される。答えは頭の中にあるのに、記述式の解答欄が半分しか埋まらない。レポートを手書きで仕上げるだけで夜が終わる。字を書くことに人一倍の時間と力を使っているのに、「雑だ」「やる気がない」と見られてしまうことがあります。

先に結論を書くと、書くことの困難は、国の資料で学習障害の「書く」の困難として説明されていて、学校に頼める配慮の例も国の資料に載っています。タブレットやパソコンで書く、板書を撮影する、筆記の代わりに口頭で答える、試験時間を延ばす、といったものです。ただし、高校入試・大学入学共通テスト・通信制高校のレポートでは、使える方法が場面ごとに違います。

この記事は、文部科学省の手引・対応指針・入試の調査、大学入試センターの「令和9年度 受験上の配慮案内」、発達障害ナビポータルなどを実際に開いて確認した内容でできています。公式で確認できなかったことは、確認できなかったと書いています。読むことの困難はディスレクシア 高校の記事にまとめているので、この記事は「書くこと」に絞ります。診断や治療の判断は医師が行うものです。

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目次

結論:書字障害(ディスグラフィア)の高校生と学校生活の早見

  • 国の教育の資料では、学習障害(LD)の「書く」の困難として説明されています。文部科学省は書く能力を「文字を正確に書くこと。筋道立てて文章を作成すること」としています。
  • 「ディスグラフィア」という語は、この記事で確認した国内向けの公的資料には出てきませんでした。発達障害情報・支援センターが、イギリスなど海外で使われる呼び方として紹介しています。
  • 学校に頼める配慮の例は、国の資料に載っています。文部科学省の対応指針(私立学校など事業者向け)に「タブレット端末等のICT機器使用を許可」「筆記に代えて口頭試問」、高校の国語の解説に、手書きだけでなくICT機器で文章を書けるようにする例があります。
  • 公立高校の入試(令和7年度)では、学習障害で受検上の配慮を受けた生徒は687人。そのうちICT機器(PC・タブレット等)を使ったのは58人でした。
  • 大学入学共通テストは、発達障害の区分の主な配慮の例が5つで、マークを塗るのが難しい人向けの「チェック解答」があります。申請には医師の診断書と状況報告書が要ります。
  • 通信制高校のレポートは、「現代の国語」で見ると紙だけが206校、オンラインだけが83校、併用が34校(323校中)。入学前に確かめます。
  • 一人で続けるのが不安なときは、オンライン中心のサポート校(NIJIN高等学院など)を併せて使う方法もあります。ただし、卒業資格とレポートの形式は在籍する通信制高校のものです。
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「ディスグラフィア」は確認した国内向けの公的資料には出てこず、学習障害の「書く」の困難として説明されています

まず、公的な資料がどの言葉で説明しているかを、資料ごとに並べます。

資料 使われている言葉 書くことの説明
「学習障害児に対する指導について(報告)」(平成11年7月。当時の文部省の調査研究協力者会議) 学習障害 聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態
文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」 学習障害の「書く能力」 文字を正確に書くこと。筋道立てて文章を作成すること
発達障害ナビポータル「限局性学習症」(医療・保健の支援者向けのページ) 限局性学習症(SLD)。読字不全・書字障害・算数障害がある 書字表出や綴字などの学習的技能が、年齢相応に期待される程度より極端に劣っている状態
日本精神神経学会「DSM-5 病名・用語翻訳ガイドライン(初版)」 限局性学習症/限局性学習障害 病名の一覧に、書字だけを指す病名は載っていません
発達障害情報・支援センター「諸外国の『発達障害』の用語の使用と支援の概要」 書字障害(Dysgraphia:ディスグラフィア) イギリスなどで使われる個別の名称として紹介

出典:「学習障害児に対する指導について(報告)」(文部科学省のサイトに掲載)/同「障害のある子供の教育支援の手引」Ⅸ 学習障害/発達障害ナビポータル「限局性学習症」/日本精神神経学会のガイドライン/発達障害情報・支援センター(2026年10月確認)

  • 教育の資料は「学習障害」、医療の資料は「限局性学習症」と書いています。発達障害ナビポータルの「学習障害(LD)」のページも、国内で用いられている診断基準は一通りではない、と説明しています。
  • 「ディスグラフィア」は、この記事で開いた国内向けの公的資料(文部科学省の報告・手引・対応指針、大学入試センターの配慮案内など)には出てきませんでした。そのためこの記事では「書くことの困難」と書き、原因や特徴を資料の範囲を超えて言い切ることはしません。診断書にどの名前が書かれるかは、医師の判断です。
  • 読むことの困難と重なることがあります。発達障害ナビポータルは、通常、読字が困難である場合は書字にも困難を伴うため、発達性読み書き障害とも言われる、と説明しています。

「書く」には字の形・漢字・文章の組み立てがあり、止まる場所は人によって違います

文部科学省の説明では、書く能力は「文字を正確に書くこと」と「筋道立てて文章を作成すること」の両方を含みます。手がかりになるのが、同省が令和4年に行った調査です。学級担任等が中学生・高校生の「書く」について答えた設問は6つあり、中身は次の3つに分けられます。

この記事での整理 設問の内容(要約)
字の形 字の形や大きさが整わず、まっすぐに書けない
漢字 文章を書くときに漢字をあまり使わない/漢字の細かい部分を書き間違える
文章の組み立て 文法的な誤りが目立つ/量が限られ、決まったパターンの文章になる/思いつくままに書き、筋道の通った文章にならない

3つの分け方はこの記事での整理で、公的な分類ではありません。設問は担任等が学級での様子を答えるためのもので、診断の基準でもありません。当てはまる項目があることと、学習障害であることは別です。

この調査で、高校の通常の学級で「読む」又は「書く」に著しい困難を示すとされた生徒は、推定0.6%(95%信頼区間0.4%〜1.0%)でした。対象は公立の全日制・定時制の1〜3年次で、学級担任等の回答にもとづく推定値です。医師の診断による数ではなく、「書く」だけを取り出した割合はこの資料には示されていません。

板書については、国立特別支援教育総合研究所の「特別支援教育リーフ Vol.19」が、書き写す活動を、黒板や手本を見る、写すものの形を覚える、ノートを見て書く場所を見つける、文字の形の構成や書き順の記憶を再生する、の4つの流れに分けています。必要な力には、眼球のコントロール、注意の持続、作業記憶、目と手の協応などが挙げられています。同じリーフは、こうした子どもが怠けていると誤解されることがあると書き、単に書くことを急がせたり、反復練習ばかりをさせたりしないよう呼びかけています(通常の学級の担任に向けた資料で、高校に絞ったものではありません)。

同じリーフは、背景となる要因は一人一人違うとも書いています。どこで止まるかを分けて、学校に伝えます。

出典:文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について」(令和4年12月)/国立特別支援教育総合研究所「特別支援教育リーフ」Vol.19(令和6年9月)(2026年10月確認)

明るい学習室で、高校生の1人がタブレットでホワイトボードを撮り、先生がその横に立っている
書くことのどこで止まるかを分けて、学校に伝えます

高校で困りやすいのは、板書・記述式の試験・レポート・小論文・願書の5場面です

場面ごとに、公的な資料に載っている手立ての例を並べました。

場面 起きやすいこと 資料にある手立ての例 載っている資料
板書 写し終える前に授業が進む タブレット等で板書を撮影する、板書と同じ内容のプリントを用意する、写す部分を色分けする、パソコンで入力する 教育支援の手引、特別支援教育リーフ Vol.19
記述式の試験 分かっていても時間内に書き切れない タブレット端末等のICT機器の使用、筆記に代えて口頭試問、試験時間の延長 対応指針 別紙1、発達障害ナビポータル
レポート・課題 一定量の文字を書くのに時間がかかる 手書きだけではなくICT機器を使って文章を書けるようにする 高等学校学習指導要領解説 国語編
小論文・作文 何から書くか決まらず、筋道が通らない どのようなポイントで作文するかを示す、読み手や目的を明確にして書く 教育支援の手引(通級による指導の例)
願書・提出書類 手書きの欄を埋めるのに時間がかかる 事務手続の際に、職員や教員等が必要書類の代筆を行う 対応指針 別紙1

5つの場面の分け方と「起きやすいこと」の列はこの記事での整理で、公的な分類ではありません。手立てはどれも例で、どれが合うかは人によって違います。教育支援の手引とリーフは小中学生を含む子ども全体を対象にした資料、国語編の解説は高校向けの資料です。

書く負担が重なって休む日が増えているときは、単位も気になると思います。欠課の数え方は学校ごとの内規で決まるので、考え方は高校 欠席日数の記事で確かめてください。

学校に頼める配慮は、ICT機器での筆記・板書の撮影・口頭試問など。国の資料に例があります

配慮を頼む根拠は、障害者差別解消法です。本人から意思の表明があり、負担が過重でないとき、学校は必要かつ合理的な配慮をしなければなりません。公立学校(行政機関等)は第7条第2項、私立学校(事業者)は第8条第2項で、私立は2024年4月から義務になりました。

私立学校などの事業者に向けては、文部科学省が対応指針(令和6年4月1日施行)を出しています。公立学校は、自治体の対応要領(同法第10条。定めるよう努めるとされています)によります。対応指針とその別紙1には、書くことに関わる次の記載があります。

  • 合理的配慮の例:読み・書き等に困難のある児童生徒等のために、授業や試験において読みやすい字体による資料を作成したり、タブレット端末等のICT機器使用を許可したり、筆記に代えて口頭試問で行ったりすること。
  • 提供義務違反に当たると考えられる例:入学試験や検定試験等で、筆記が困難なためデジタル機器の使用を求める申出があった場合に、「デジタル機器の使用を認めた前例がない」という理由で、必要な調整を行うことなく一律に対応を断ること。
  • 不当な差別的取扱いの例:試験等で合理的配慮の提供を受けたことを理由に、その結果を学習評価の対象から除外したり、評価において差を付けたりすること。
  • 法の対象となる人は個別に判断され、障害者手帳の所持者に限られない。

対応指針は、これらはあくまで例示で、個別の事案ごとに判断することが必要だとも書いています。

高校の授業については、高等学校学習指導要領(平成30年告示)の解説 国語編に、一定量の文字を書くことが困難な場合に、手書きだけではなくICT機器を使って文章を書けるようにする、という配慮の例があります。一方で同じ箇所に、学習内容の変更や学習活動の代替を安易に行うことがないよう留意する、とも書かれています。書く学習を無くすのではなく、書く手段を変える相談が出発点になる、というのがこの記事での読み取りです。

伝えるときは「場面・量・代わりの手段」の3つを具体的に

  1. 場面:板書か、定期試験の記述か、レポートか。
  2. 量:授業でどこまで写せるか、同じ課題に何時間かかるか。
  3. 代わりの手段:撮影、キーボード入力など、試してみたい方法。

対応指針によると、相談を最初に受けるのは主に学級担任や特別支援教育コーディネーターで、合意した配慮の内容は個別の教育支援計画に明記することが重要とされています。

高校の通級による指導は、実施校がまだ一部です

高校の「通級による指導」は平成30年度に始まりました。教育支援の手引は、通級での指導として、授業や試験のときの代替手段の使い方を身につけることを挙げています。文部科学省の令和6年度調査では、通級による指導を受けている公立高校の生徒は2,864人、その生徒が在籍する学校は473校(公立高校の13.6%)でした。国公私立の合計は2,930人です。受けられるかどうかは、在籍校か教育委員会に確かめてください。

出典:障害者差別解消法 第7条第2項・第8条第2項・第10条(e-Gov)/内閣府のリーフレット/文部科学省所管事業分野における対応指針/高等学校学習指導要領解説 国語編(第3章)/文部科学省「令和6年度 通級による指導実施状況調査結果」(2026年10月確認)

※2026年10月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。

書くことに困難のある高校生が学校に頼める配慮の例として、板書の撮影やプリントの用意、試験でのICT機器の使用や口頭試問と時間延長、レポートをICT機器で書くこと、提出書類の代筆の4つを並べた図
出典:文部科学省所管事業分野の対応指針 別紙1、高等学校学習指導要領解説 国語編、国立特別支援教育総合研究所 特別支援教育リーフVol.19、発達障害ナビポータル

公立高校の入試では、学習障害で配慮を受けた687人のうち58人がICT機器を使いました(令和7年度)

文部科学省の「令和7年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」によると、令和7年度の公立高校の入試で受検上の配慮を受けた障害のある生徒は全体で4,936人。そのうち学習障害(LD)は687人(申請は726人)でした。

実際に行った配慮(学習障害・主なもの) 人数
問題文等へのルビ振り 513人
別室の設定 308人
解答方法は変えず、試験時間の延長のみ 141人
ICT機器(PC・タブレット等)の使用 58人
チェック解答に変更 15人
代筆による解答に変更 3人

1人が複数の配慮を受けた場合は、それぞれに数えられています。医師等の診断の有無は問わないと注記されています。ICT機器の使い方として挙がっているのは「解答の入力に使用」「問題文の読み上げに使用」で、58人のうち何人が解答の入力に使ったかは示されていません。書くことの困難に絞った人数も、この調査にはありません。

具体的な様子は、文部科学省が令和4年12月にまとめた参考資料の事例で分かります(都道府県名は書かれていない、一例です)。学習障害のある生徒の例では、教育センターの相談員による読み書き検査で、目と手の協応運動が円滑にできないことと、漢字が正確に書けない状況が把握されました。中学校ではタブレット端末で板書を記録し、ワープロ機能でノートを作り、定期テストもタブレット端末で回答してきました。入試は中学校長から申請し、当日は別室でタブレット端末のワープロ機能を使って回答しています(漢字の書字問題と作図問題は紙)。中学校でふだん受けていた配慮が、入試の配慮の土台になっています。

決まりは都道府県ごとに違います。東京都(都立高校)の例では、学力検査・小論文(作文)・面接等について受検上の配慮を申請でき、発達障害の例として、別室受検、検査時間の延長、問題用紙・解答用紙へのルビ振り、ICT機器の使用、記号選択式での受検が挙がっています。申請は在学する中学校を通して行い、令和9年度入学者選抜では令和8年12月18日までの提出とされています。手続きの全体は高校受験 合理的配慮の記事を、学習障害全体の進路の考え方は学習障害 高校生の記事を見てください。

通信制高校の入試は形が違い、文部科学省の令和7年度通信制高等学校実態調査では、323校のうち面接を行う学校が296校、作文・小論文が154校、学力検査が91校でした(複数回答)。作文の有無は募集要項で確かめます。

出典:文部科学省「令和7年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」/同「高等学校入学者選抜における受検上の配慮に関する参考資料」(令和4年12月)/東京都教育委員会「障害のある受検者に対する配慮」(2026年10月確認)

共通テストはマークシート方式。発達障害の区分の主な配慮の例は5つで、パソコンでの解答入力は一覧にありません

大学入学共通テストは、解答用紙(マークシート)に答える試験です。大学入試センターの「令和9年度 受験上の配慮案内」で、書くことに関わる配慮を確かめました。

配慮 内容 案内での位置づけ
試験時間延長(マークシート解答) 解答方法は同じで、試験時間を1.3倍に延長する。別室で受ける 発達障害の区分の主な配慮の例
チェック解答 マークすることが困難な受験者が、チェック解答用紙の選択肢の数字等をチェックして答える。別室で受ける 発達障害の区分の主な配慮の例
代筆解答 体幹や上肢の機能障害等で筆記ができない、または困難で、チェック解答が不可能な人などが対象 主な配慮事項(区分別の例では肢体不自由に記載)
書字補助具の持参使用 大きさ・形状・用途などを申請書に書いて申請する その他の配慮事項
タブレット端末で問題を閲覧・下書きに使用 大学入試センターへの電話での事前相談が要る 事前相談が必要な配慮事項の例

発達障害の区分の主な配慮の例は、上の2つに、拡大文字問題冊子の配付、注意事項等の文書による伝達、別室の設定を加えた5つです。案内は、例以外の配慮事項も、障害等の種類や程度にかかわらず申請できるとしています。

パソコンやタブレットで解答を入力する方法は、「主な配慮事項」「その他の配慮事項」の一覧には載っていませんでした。代筆解答の説明には、解答手段としてパソコン等の機器を持参して使いたい場合は事前相談が必要、とあります。一覧にない配慮を希望するときも、大学入試センターへの事前相談が必要とされています。

  • 必須の書類は、受験上の配慮申請書、医師の診断書、状況報告書の3点です。状況報告書には、高校での配慮の実施状況を書きます(卒業見込みの人は学校の担当者が記入)。
  • 読み書きの困難さにより試験時間延長を希望する場合、それを示す検査結果等があれば診断書と併せて出します。
  • 令和9年度(2027年1月16日・17日実施)の申請期間は、第1期が2026年7月1日〜8月28日、第2期が8月31日〜10月2日でした。次の年度は公式の発表で確かめます。

記述式の問題や小論文がある大学の個別試験は、大学ごとに決まります。文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項(第13の2(2))は、障害のある入学志願者への配慮の例として「ICT機器の活用」「拡大解答用紙の作成」「試験時間の延長」などを挙げ、大学が事前相談の体制を整えることなどが望ましいとしています。志望校の募集要項を確かめてください。通信制高校からの出願の流れは共通テスト出願 通信制の記事で整理しています。

出典:大学入試センター「令和9年度 受験上の配慮案内」/文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(令和8年5月27日付け)(2026年10月確認)

リビングのソファで、高校生の息子がノートパソコンで文字を打ち、父親がマグカップを手に隣で見守っている
通信制高校のレポートは、紙で出す学校もオンラインで出す学校もあります

通信制高校のレポートは「現代の国語」で紙が206校、オンラインが83校。形式も記述の量も学校で違います

学び方そのものを変える方法の1つが通信制高校です。通信制は、添削指導(レポート)・面接指導(スクーリング)・試験の3つで単位を取るので、レポートを書いて出すことが学習の中心になります。文部科学省の令和7年度通信制高等学校実態調査に、「現代の国語」の添削課題の回答方法が載っています(自校制作・市販教材・その併用の各区分を合計した数です)。

  • 紙媒体で回答:206校
  • オンラインで回答:83校
  • 紙媒体とオンラインを併用:34校

合計は323校です。添削課題1回あたりの記述式の設問数(平均)も、1〜4問が87校、5〜9問が87校ある一方で、25問以上が41校と開きがありました。紙かオンラインかだけでなく、文章で答える量も学校によって違います。

次の3つは2026年10月に開いた公式ページの記載で、違いを見るための例です。優劣を付けるものではありません。

  • N高等学校(N高グループ):公式サイトに、必修授業のレポートはオンライン入力形式で提出できるため郵送する必要がない、とあります。
  • NHK学園高等学校:公式サイトのよくあるご質問に、レポートには選択肢から選ぶ問題や語で答える問題のほか記述問題もあり、どのコースも学園のネット学習システムを通じて提出する、とあります。
  • 千葉県立千葉大宮高等学校(通信制):千葉県のページに、普段は郵送によるレポートの添削指導を受ける、とあります。手書きかどうかまでは、このページには書かれていませんでした。

レポートがオンラインの学校でも、スクーリングと試験は別にあります。試験の解答方法は、上の公式ページでは確認できませんでした。入学前に、次の4つを学校に聞いておきます。

  1. レポートは紙か、オンラインか。紙の場合、パソコンで作って印刷したものを出せるか
  2. 記述式の設問はどのくらいあるか。キーボード入力や音声入力を使ってよいか
  3. 単位認定の試験は手書きか。時間の延長やICT機器の使用を相談できるか
  4. スクーリングで板書を写す場面はあるか。撮影や資料の配付を頼めるか

レポートの中身のイメージは通信制高校 レポートの記事に、学校の比べ方は通信制高校 選び方に、今の高校から移る条件と手順は高校 転入の記事にまとめています。

国の高等学校等就学支援金は通信制高校の授業料が対象で、サポート校の費用は対象外です。費用の全体像は通信制高校 学費の記事をご覧ください。

出典:文部科学省「令和7年度 通信制高等学校実態調査」/N高等学校 公式サイト/NHK学園高等学校 よくあるご質問/千葉県「県立高等学校の通信制の課程」(2026年10月確認)

通信制高校323校のうち、現代の国語の添削課題を紙媒体で回答する学校が206校、オンラインが83校、紙とオンラインの併用が34校であることを示す図
出典:文部科学省「令和7年度 通信制高等学校実態調査」

発達性協調運動障害との違いは「どの力の困難か」。重なることもあり、見分けるのは医師です

  • 学習障害の「書く」:平成11年の協力者会議の報告は、運動・動作の能力の欠如は学習障害に重なって現れることはあるが、それのみでは学習障害とは認定し難い、と整理しています。
  • 協調運動症(発達性協調運動障害):国立精神・神経医療研究センターの「こころの情報サイト」は、発達障害の1つとして、限局性学習症とは別に協調運動症を挙げています。
  • 重なることもあります。同じ報告は、発達性協調運動障害と学習障害は重複して出現することがあり得る、と書いています。

発達障害ナビポータルは、限局性学習症の評価では、自閉スペクトラム症や注意欠如多動症などほかの神経発達症が併せてあるかを見ることも大切だとしています。どれに当たるかを見分けるのは医師の役割です。

体育や実習も含めた不器用さについては発達性協調運動障害の記事に、診断がはっきりしない段階の動き方は発達障害 グレーゾーン 高校生の記事にまとめています。

出典:国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト「発達障害(神経発達症)」(2026年10月確認)

検査と相談の入口は、学校・教育センター・発達障害者支援センター・医療機関の4つです

入口を表にしました(4つに分けたのはこの記事での整理です)。話しやすいところからで構いません。

相談先 相談できること 確かめておきたいこと
在籍校(学級担任、特別支援教育コーディネーター) 授業・試験・課題での配慮、通級による指導の有無、書面への記録 困っている場面を具体的に伝えるところから始めます
教育センターなどの教育相談 読み書きの検査を行った例があります(国の参考資料の事例) 検査の有無と対象の年齢を、お住まいの自治体に確かめます
発達障害者支援センター 発達障害に関する相談の窓口 事業の内容は地域で違うので、地域を担当するセンターに問い合わせます
医療機関 診断、共通テストなどに出す診断書 受診先に迷うときは、かかりつけ医などに相談します

発達障害ナビポータル(医療・保健の支援者向けのページ)によると、限局性学習症の診断・評価では知的能力の評価が必須とされ、そのうえで、標準化された読み書きの検査などを使って、年齢や受けてきた教育から見て妥当な力かどうかが評価されます。どの検査を行うかは、医師や検査を行う機関が決めます。

高校生がどの診療科にかかればよいかを横断的に示した公的な資料は、この記事では確認できませんでした。地域の窓口は、発達障害情報・支援センターの「発達障害者支援センター・一覧」から探せます。

学校への相談そのものは、検査の結果を待たずに始められます。

選択肢の1つとしてのニジ高(正直な注意点)

NIJIN高等学院(ニジ高)は、株式会社NIJINが運営するオンライン中心の通信制高校サポート校です。全国どこからでも参加でき、担任がつきます。カメラ・マイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、授業のアーカイブ視聴や中学内容の学び直しにも対応しています。途中からの入学(転入・編入)もでき、出願費用は無料です。

ニジ高は、発達特性や障害を、本人を変えるのではなく学びの構造や環境を変えることで支援するという考え方を取っています。希望する生徒には、スタッフが1対1で伴走する支援もあります。診断や服薬など医療の判断は、主治医や専門機関に相談する形になります。

そのうえで、先にお伝えしておきたい注意点があります。

  • ニジ高は高校ではありません。卒業資格は提携する通信制高校で取ります。単位を認定するのも、その高校です。
  • レポートの形式(紙かオンラインか)や試験での配慮は、在籍する通信制高校の決まりによります。ニジ高が決められることではありません。どのような形になるかは、個別相談会で聞けます。
  • 提携する通信制高校のスクーリングへの参加が必要です。学院の中でのスクーリングはありません。スクーリングの形や日程は、個別相談会で聞けます。
  • 費用は、提携校の分とニジ高の分の両方がかかります。ニジ高の分に就学支援金は使えません。金額は学費のご案内に載せています。
  • オンライン中心なので、毎日通う場所を求める人には合わない場合があります。

ほかの通信制高校に在籍したまま、ニジ高を併せて使う通い方もあります。その場合も、卒業資格・単位・レポートの形式は在籍校のものです。

迷ったときの進め方(3ステップ)

  1. 書くことで困る場面を、教科ごとに書き出す。板書か、記述式の試験か、レポートか、小論文か。「いつ・何を・どのくらいの時間で」を短く書きます。手書きがつらければ、スマートフォンのメモでも構いません。
  2. 担任か特別支援教育コーディネーターに伝え、頼みたい配慮を1つ決めて話し合う。板書の撮影、レポートのキーボード入力、試験時間の延長など、いちばん困っている場面から始めます。決まったことは書面に残してもらいます。受診や検査は、並行して検討してください。
  3. 今の学校で続ける場合と、学び方を変える場合を並べる。配慮を受けて続ける道、通信制高校へ転入する道、サポート校を併せて使う道。レポートの形式と試験の方法を、学校の説明で確かめてから比べます。

3つとも、診断が出ているかどうかにかかわらず進められます。通信制高校やサポート校の様子を聞いてみたいときは、体験説明会・個別相談のページから日程を見られます。

小さな相談室の丸いテーブルで、母親と高校生の娘が女性のカウンセラーと話している
困っている場面から相談を始め、決まったことは書面に残してもらいます
オンラインで学ぶニジ高の生徒

手書きの負担が大きいとき、学び方から選び直す方法もあります

ニジ高はオンライン中心の通信制高校サポート校です。カメラオフ・チャット参加から始められ、転入・編入もできます。ただし高校ではなく、卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングへの参加が必要です。レポートの形式も在籍する高校の決まりによります。詳しくは個別相談会で聞けます。

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よくある質問

Q. 書字障害とディスグラフィアは同じものですか?

A. 発達障害情報・支援センターは、イギリスなどで書字障害(Dysgraphia:ディスグラフィア)という名称が使われていると紹介しています。この記事で確認した国内向けの公的資料にはこの語は出てこず、教育では学習障害の「書く」の困難、医療では限局性学習症として説明されています。

Q. 診断書がないと、学校に配慮を頼めませんか?

A. 障害者差別解消法の合理的配慮は、本人からの意思の表明をきっかけに話し合う仕組みです。私立学校などに向けた文部科学省の対応指針は、対象を障害者手帳の所持者に限っていません。大学入学共通テストの受験上の配慮は、医師の診断書と状況報告書が必須です。

Q. 定期試験をパソコンで受けることはできますか?

A. 対応指針の別紙1には、読み・書き等に困難のある児童生徒等のために、授業や試験でタブレット端末等のICT機器使用を許可したり、筆記に代えて口頭試問で行ったりする例が載っています。認められるかどうかは、学校との話し合いで個別に決まります。

Q. 通信制高校なら、手書きをしなくて済みますか?

A. 学校によります。文部科学省の調査では、「現代の国語」の添削課題を紙媒体で回答する学校が323校中206校、オンラインが83校、併用が34校でした。レポートの形式、記述式の量、試験の方法を、入学前に学校へ確かめてください。

字を書くのに時間がかかることと、考える力は別のものです

写し終わらない板書、埋まらない解答欄、終わらないレポート。そのたびに「ちゃんとやって」と言われてきたとしても、それは手を抜いてきた証拠ではありません。公的な資料も、急がせたり反復練習ばかりにしたりしないよう呼びかけています。

書く手段を変えることは、学ぶことをあきらめることではありません。撮影する、打つ、話す。どの方法が合うかは、試しながら見つけていくものです。

今日できるのは、いちばん困っている場面を1つ書き出すことです。どの学校で、どの学び方で続けるかは、そのあとでゆっくり決めていけます。

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