ひとり親家庭で、お子さんが通信制高校を考えている。あるいは今の高校から移ろうとしている。そのとき最初に浮かぶのは、お金が続くのかという不安だと思います。
この記事では、通信制高校に進むときに使えるお金を返さないものから順に並べました。金額と窓口と申請の時期は、こども家庭庁・文部科学省・内閣府の公式資料で確認した値だけを書いています。最初にひとつ、いちばん誤解されやすいところをはっきりさせます。児童扶養手当は、高校生になっても止まりません。通信制を選んでも減りません。
結論:ひとり親家庭で通信制高校に進むときのお金の早見
- 児童扶養手当は18歳になった日以後の最初の3月31日まで。高校の種類(全日制・定時制・通信制)は支給の要件ではありません。
- 令和8年4月からの月額は、児童1人で全部支給48,050円、一部支給は48,040円から11,340円。2人目以降は1人につき11,350円が加算されます。
- 支給は年6回(1月・3月・5月・7月・9月・11月)。毎月振り込まれるわけではないので、家計の山と谷に注意してください。
- 授業料には高等学校等就学支援金。東京都立の通信制は授業料が1単位336円(年30単位で10,080円)。県によって違います。
- 授業料以外(教科書・教材・通学費など)には高校生等奨学給付金。住民税非課税世帯などが対象で、都道府県が窓口です。
- 足りない分は、無利子の母子父子寡婦福祉資金から先に確かめます。就学支度資金は国公立で160,000円、私立で420,000円が限度です。
- サポート校の費用には就学支援金が使えません。ここが家計に効きます。

児童扶養手当は、高校生になっても止まりません
いちばん多い誤解から書きます。児童扶養手当は中学卒業で終わりではありません。こども家庭庁の資料には、支給対象者が「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童(障害児の場合は20歳未満)を監護する母等」と書かれています。
つまり、高校3年生の年度末までは対象です。高校に入るタイミングで手続きが必要になるわけでもありません。ただし毎年8月に現況届の提出があり、これを出さないと支給が止まります。ここだけは忘れないでください。
受給している世帯は全国で777,962世帯(令和7年3月時点。母738,913・父35,915・養育者3,134)です。決して少数の制度ではありません。

令和8年4月からの金額と、振り込まれる月
金額は毎年見直されます。令和8年4月からの月額は次のとおりです。
| 区分 | 全部支給 | 一部支給 |
|---|---|---|
| 児童1人 | 48,050円 | 48,040円〜11,340円 |
| 2人目以降(1人につき加算) | 11,350円 | 11,340円〜5,680円 |
| 所得制限(収入ベース・2人世帯) | 190万円 | 385万円 |
出典:こども家庭庁「児童扶養手当」(令和8年度予算資料・2026年9月19日確認)。金額は令和8年4月からの見込額です。
支給される月は1月・3月・5月・7月・9月・11月の年6回で、それぞれ2か月分がまとめて振り込まれます。毎月入るお金ではありません。高校の費用は入学時と学期の始めにまとまって出ていくので、支給月と支払い月がずれると苦しくなります。カレンダーに両方を書き出しておくと、どの月に手当以外の備えが要るかが見えます。
通信制を選んでも、手当が減ることはありません
「通信制に行かせたら手当が減るのではないか」という相談を受けることがあります。減りません。児童扶養手当の支給要件は、父母が婚姻を解消した児童を監護していることなど家庭の状況と、児童の年齢、そして所得で決まります。学校の種類や課程は要件に入っていません。
ただし、注意したい点が1つあります。お子さんがアルバイトを増やした場合です。児童扶養手当の所得は受給資格者(親)の前年所得で判定されるので、お子さんのアルバイト代が直接手当を減らすことは基本的にありません。ただし、扶養の判定や、世帯として受けている他の制度(就学支援金の判定、住民税非課税かどうか)には影響することがあります。働く時間を大きく増やす前に、市区町村の窓口で一度確認してください。

授業料は就学支援金で。東京都立の通信制は1単位336円です
ここからは学校にかかるお金です。まず授業料には高等学校等就学支援金が使えます。
公立の通信制課程の授業料は都道府県の条例で決まり、東京都立は1単位336円(年30単位で10,080円)です。県によって違います。国の就学支援金は公立の通信制で1単位336円が上限です。支援金の対象になれば、授業料の自己負担は実質的に無くなります。
私立の通信制は学校ごとに単価が違い、支援金の上限も課程や学校によって変わります。募集要項に書かれた1単位あたりの金額と、支援金でいくら補われるかを、必ず学校に確認してください。「実質無償」と書かれていても、それが何単位までの話なのかは学校ごとに違います。制度の全体像は通信制高校の学費にまとめています。
申請は在籍する学校を通して行います。入学時と、毎年7月ごろの継続の手続きがあります。出し忘れるとその年の分が受けられないので、学校からの配布物は必ず期限を確認してください。
授業料以外には奨学給付金。ここを取りこぼす人が多い
就学支援金は授業料にしか使えません。教科書代、教材費、通学費、修学旅行の積立といった費用は別です。ここに当たるのが高校生等奨学給付金です。
都道府県が実施していて、対象はおおむね住民税所得割額が非課税の世帯です。金額は課程と設置者によって違い、たとえば静岡県では通信制課程で年額50,500円と公表されています。額も申請の締め切りも都道府県ごとに違うので、お住まいの県の名前と「高校生等奨学給付金」で検索して、今年度の案内を見てください。
この制度は、申請しなければ届きません。学校から案内が来るのを待っているうちに締め切りが過ぎるという取りこぼしが実際に起きます。入学が決まったら、担任か事務室に「うちの世帯は奨学給付金の対象になりますか」と自分から聞いてください。制度の中身は高校生等奨学給付金の記事にまとめています。

足りない分は、無利子から先に確かめます
ここまでが返さなくてよいお金です。それでも足りないときに、はじめて借りる話になります。順番を間違えないでください。ひとり親家庭には、一般のローンより先に確かめるべき無利子の制度があります。
母子父子寡婦福祉資金です。都道府県・市・福祉事務所設置町村が窓口で、教育関係の資金は無利子です。高校に関係するのは次の2つです。
| 資金 | 使いみち | 限度額(高等学校) |
|---|---|---|
| 就学支度資金 | 入学時にまとめて必要なお金 | 国公立160,000円/私立420,000円 |
| 修学資金 | 在学中に毎月必要なお金 | 月額(私立・自宅外通学で52,500円) |
出典:内閣府男女共同参画局「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」(2026年9月19日確認)。いずれも無利子で、据置期間は卒業後6か月、償還期間は20年以内です。
修学資金の月額は、公立か私立か、自宅から通うか自宅外かで段階が分かれます。実際の運用は自治体ごとに違うので、限度額は必ず窓口で確認してください。横浜市のように、高校の修学資金を公立18,000円・私立30,000円、就学支度資金を150,000円と案内している自治体もあります。
このほか、市町村民税非課税程度の世帯であれば、社会福祉協議会の教育支援資金(生活福祉資金)も無利子で使えます。高校は月35,000円まで、入学時は500,000円までが目安です。借りる話は通信制高校に教育ローンは使える?の記事で、公庫のローンとの順番まで整理しています。

4つのお金は、窓口が全部違います
ここまでの整理です。同じ「高校のお金」でも、申請先と時期がそれぞれ違います。ここを1枚にしておくと、動きやすくなります。
| お金 | 窓口 | 時期 |
|---|---|---|
| 児童扶養手当 | 市区町村 | 年6回の支給。毎年8月に現況届 |
| 就学支援金(授業料) | 在籍する学校 | 入学時と毎年7月ごろ |
| 奨学給付金(授業料以外) | 都道府県(学校経由が多い) | 年1回。締め切りは県ごとに違う |
| 母子父子寡婦福祉資金 | 福祉事務所・市の窓口 | 入学前の相談が基本。審査に時間がかかる |
いちばん見落とされるのが就学支度資金の相談時期です。入学時に必要なお金なので、合格してから相談すると間に合わないことがあります。自治体によっては合格前の事前審査を受け付けています。志望校が固まった段階で、一度窓口に電話しておくと安心です。
サポート校を足すと、支援金の外側の費用が増えます
通信制高校を調べていると、サポート校という言葉が出てきます。高校ではなく、通信制高校に在籍しながらレポートや生活面の支援を受けるための民間の施設です。
家計の観点から、正直に書きます。サポート校の費用には国の就学支援金が使えません。支援金は在籍している高校の授業料に対して支給されるものだからです。そのため、通信制高校の学費とサポート校の費用が二重にかかります。この二段構造はサポート校 学費の記事で、実際の募集要項から確認しました。
それでもサポート校を選ぶ家庭があるのは、通信制高校だけでは足りない部分(生活リズム、レポートの進め方、進路相談、人とのつながり)を埋められるからです。費用の二重負担に見合う中身があるかどうかを、体験や説明会で確かめてから決めてください。判断の軸は1つで十分です。お子さんが止まったとき、誰がどれくらいで気づいてくれるか。
学校のお金以外にも、使える制度があります
高校の費用に直接ひもづくものではありませんが、家計全体で見ると効く制度があります。担当課が違うので、まとめて挙げておきます。
- ひとり親家庭等医療費助成:通院・入院の自己負担を軽くする制度です。市区町村が実施していて、所得の基準と助成の範囲は自治体ごとに違います。お子さんの通院が続いている家庭では負担がかなり変わります。
- JRの通勤定期乗車券の割引:児童扶養手当を受けている世帯には、通勤定期乗車券が3割引になる制度があります。手続きは市区町村の窓口で、証明書の交付を受けてから購入します。スクーリングの通学に定期を使う場合は、対象になるか窓口で確認してください。
- 高等職業訓練促進給付金:保護者自身が看護師や保育士などの資格を取るために修業する期間の生活費を支援する制度です。世帯収入そのものを増やす方向の支援になります。
いずれも市区町村の窓口が入口です。児童扶養手当の現況届を出しに行くとき、同じ窓口で「ほかに使える制度はありますか」と一度聞いておくと、まとめて教えてもらえることがあります。制度は年度で変わるので、そのときの案内で確認してください。
取りこぼしが起きるのは、だいたいこの3つです
相談を受けていて、もったいないと感じるのは次の3つです。どれも「知らなかった」だけで、条件は満たしていたというものです。
- 奨学給付金を申請していない。就学支援金の書類は学校から必ず配られますが、奨学給付金は自分から名乗り出る形の自治体があります。授業料が無償になったから終わり、と思ってしまうのがいちばん多い取りこぼしです。
- 就学支度資金の相談が合格後になっている。審査に時間がかかるため、入学の支払いに間に合わないことがあります。志望校が固まった段階で窓口に一度連絡しておいてください。
- 現況届を出し忘れている。毎年8月です。出さないと手当が止まります。届かないときは市区町村に問い合わせてください。
高校に入ると、家計はこう変わります
最後に、現実的な見通しの立て方です。中学までと比べて変わるのは、主に次の3つです。
- 入学時にまとまって出ていく。入学料、教科書・学習書、制服や教材。公立の通信制なら入学料は数百円ですが、教科書代は2万円前後かかります。
- 通学費が読みにくい。通信制はスクーリングの回数で交通費が変わります。年に何回通うのかを先に確認して、往復運賃を掛けてください。ここは学費より大きくなることがあります。
- 手当は変わらないが、支出のタイミングが変わる。児童扶養手当は年6回。支払いの山が支給月とずれるかどうかを見ておきます。
逆に言えば、毎月の固定費として増えるものは意外と少ないのが通信制です。授業料が支援金で埋まれば、残るのは教科書代と交通費が中心になります。「高校に行かせられないかもしれない」と感じているなら、まずこの3つだけを数えてみてください。数字にすると、想像していたより小さいことがあります。
迷ったときの進め方(3ステップ)
- 返さないお金から確かめる。児童扶養手当(市区町村)、就学支援金(学校)、奨学給付金(都道府県)の3つ。ここで埋まる分だけ、借りる額が減ります。
- 入学前に福祉の窓口へ相談する。母子父子寡婦福祉資金の就学支度資金は、入学時に間に合わせるために早めの相談が要ります。合格前の事前審査を受け付けている自治体もあります。
- 通学費を先に計算する。スクーリングが年に何回あるか、どこで受けるかを学校に聞き、往復運賃を掛けます。学費より大きくなることがあります。

使えるお金と、通える形を、同じ紙の上で一緒に並べます
個別相談会では、いま受けている支援と、スクーリングにかかる交通費までを一度に見ます。お金の話から始めていただいて構いません。無理に勧めることはありません。
個別相談会を見てみる →よくある質問
A. 続きます。支給対象は18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童で、障害がある場合は20歳未満までです。高校の種類や課程は要件ではありません。ただし毎年8月の現況届を出さないと支給が止まります。
A. 減りません。児童扶養手当は家庭の状況・児童の年齢・所得で決まり、学校の課程は要件に入っていません。就学支援金と奨学給付金にも通信制の区分があり、対象になります。
A. 借りる前に順番を確かめてください。母子父子寡婦福祉資金の就学支度資金は無利子で、高等学校は国公立160,000円・私立420,000円が限度です。市町村民税非課税程度の世帯なら、社会福祉協議会の教育支援資金も無利子で使えます(入学時500,000円まで)。それでも足りないときに、はじめて教育ローンの検討になります。
A. 使えます。ただし就学支援金は在学した月数で通算されるため、転校の時期によっては受けられる月数が減ることがあります。転校にかかるお金は通信制高校に転校する費用にまとめました。
A. 児童扶養手当の所得判定は受給資格者(親)の前年所得で行われるため、お子さんのアルバイト代が直接手当を減らすことは基本的にありません。ただし扶養の判定や、世帯が非課税かどうかに影響することがあります。働く時間を大きく増やす前に、市区町村の窓口に確認してください。
お金の心配は、順番に確かめれば小さくできます
ひとり親家庭で高校の費用を考えるとき、いちばん苦しいのは金額そのものより全体が見えないことだと思います。窓口が4つに分かれていて、どこに何を聞けばいいのか分からない。それで動けなくなります。
順番は簡単です。返さないお金から、上から順に確かめる。児童扶養手当、就学支援金、奨学給付金。そのうえで足りない分を、無利子のところから借りる。この順番さえ守れば、負担はかなり小さくなります。
通い方の候補には、家から受ける形も入れて構いません。私たちNIJIN高等学院(ニジ高)は、オンラインを中心にしたサポート校です。担任がつき、カメラもマイクもオフのまま、チャットだけの参加から始めても構いません。これまでに650名以上の不登校の生徒を支えてきました。転入・編入は随時受け付けていて、出願費用は無料です。正直な注意点も書きます。学院内でのスクーリングはありません。高卒資格のためには提携する通信制高校のスクーリングに参加する必要があり、その交通費は別に見ておいてください。学費は学費のご案内で公開しています。
運営は株式会社NIJINです。小中学生の場合は、同じグループが運営するNIJINアカデミー(不登校の小中学生のためのオンラインオルタナティブスクール。1,000名以上が在籍)という選択肢もあります。中学卒業後にニジ高へ進む生徒もいます。
もうひとつ、付け加えておきたいことがあります。お子さんに家計の全部を背負わせないでください。通信制を選ぶ理由が「学費が安いから」だけになると、本人は申し訳なさを抱えたまま3年を過ごすことになります。実際には、通信制は学費が安いから選ぶ学校ではなく、通い方を自分で決められるから選ぶ学校です。体調に波があっても、働きながらでも、単位は積み上げられます。お金の話を先に片づけておくのは、その話を落ち着いてするためです。
今すぐ全部を決めなくて大丈夫です。まずは1つの窓口に電話するところから始めてください。

お金の順番が決まれば、進路の話は落ち着いてできます。
全国どこからでもカメラ・マイクはオフでOK転入・編入は随時受付
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