通信制高校に入ったけれど、続けられそうにない。リポートが溜まったまま止まっている。スクーリングに行けない日が続いている。そういう状態で、次に気になるのがお金のことだと思います。
サポート校の位置づけ(高校ではないこと、費用が二重になる理由)は、通信制サポート校とは何かを国の調査で整理した記事で詳しく説明しています。
「今やめたら、払ったお金はどうなるのか」「就学支援金は止まるのか」「また別の学校に入り直すとき、もう一度全部払うのか」。この3つが、たいていの方の頭にあります。
この記事では、通信制高校を途中でやめたときにお金がどう動くのかを、返ってこないお金/止まるお金/持ち越せるものの3つに分けて整理します。制度の根拠は文部科学省の資料と学校教育法施行規則で確認しました。2026年9月20日時点の内容です。
先に書いておきます。やめることを勧める記事でも、止める記事でもありません。判断の材料を揃えるための記事です。
結論:途中でやめたときのお金の早見
- 入学金は戻りません。これは通信制に限らず、ほぼすべての学校で同じ扱いです。
- すでに納めた授業料・受講料は、原則として還付されません。公立でも、既納の授業料は還付しないと条例や学則で定めているのが一般的です。
- 就学支援金は、在籍しなくなった月から止まります。期間は、支援金を受け取った月ではなく在学した月の分だけ減る仕組みで、残りの期間と単位数は次の学校に持ち越せます。
- 修得した単位は消えません。文部科学省は、単位制高等学校の中途退学者について、前に在籍していた学校で修得した単位を編入学先の卒業に必要な単位に加えることができるとしています。
- だから、いちばん惜しいのは「単位が付く直前にやめること」です。あと少しで認定される科目があるなら、そこだけ終わらせてから動くほうが得になります。
- 退学の前に、休学という選択肢がある学校もあります。在籍が続くので、支援金や単位の扱いが変わります。

「やめる」には3つの形があります。まずここを分けてください
相談を受けていて、いちばんこんがらがるのがここです。同じ「やめる」でも、その後の扱いがまったく違います。
| 形 | 在籍 | その後 |
|---|---|---|
| 転学(転校) | 続く(移る) | 在籍したまま次の学校へ。書類が切れ目なくつながる |
| 休学 | 続く | 籍は残る。学校の定めに従って復学できる |
| 退学(中退) | 切れる | どこにも在籍しない状態に。入り直すときは編入学 |
お金の面でいちばん差が出るのは、転学と退学の違いです。転学なら、次の学校の手続きと並行して進められます。退学してしまうと、翌日から「編入学」の枠になり、受け入れの時期が限られる学校が多くなります。次の募集まで数か月空けば、そのあいだは高校生ではない期間になります。
すでに次の行き先を考えているなら、やめる前に相談を始めてください。順番が逆になるだけで、選べる道が減ります。転校の手順と費用は通信制高校 転校 費用の記事にまとめています。

返ってこないお金:入学金と、すでに納めた授業料
結論から書きます。入学金は返還されません。これは通信制高校でもサポート校でも、基本的に同じです。入学の資格を得るための対価という位置づけだからです。
すでに納めた授業料・受講料についても、還付しないと定めているのが一般的です。公立の通信制であれば、都道府県の条例や学則に「既納の授業料は還付しない」という趣旨の規定が置かれていることが多く、私立でも学則や募集要項に同じ趣旨の記載があります。
ただし、確かめる価値はあります。次の2つは学校によって扱いが分かれるところです。
- 年額を前払いしている場合の未経過分……月割や期割で返す学校もあれば、返さない学校もあります。
- 施設費・教材費などの実費……まだ使っていないもの(未配布の教材など)は返ってくることがあります。
聞き方はこうです。「退学した場合、すでに納めた費用のうち、返還の対象になるものはありますか」。学則のどこに書いてあるかまで聞いておくと、後で揉めません。
※2026年9月時点の一般的な取り扱いです。実際の扱いは各校の学則と募集要項によります。必ず在籍校でご確認ください。
止まるお金:就学支援金は在籍しなくなった月から
高等学校等就学支援金は、授業料を国が肩代わりする制度です。学校が代わりに受け取って授業料に充てる形なので、手元に現金が来ているわけではありません。
この支援金は、在籍している月について支給される仕組みです。したがって、退学すればその先は支給されません。「あとで返せと言われるのでは」と心配される方がいますが、在籍していた期間の分をさかのぼって返す話ではありません。
大事なのはここからです。就学支援金には支給される期間と単位数の上限があります。通信制では、修得する単位数にも上限が設けられています。そして、使わなかった分は残ります。
つまり、1年間在籍して途中でやめた場合、在学した1年分だけ期間が減り、残りは次の学校に持ち越せます。ゼロになるわけではありません。ただし、在籍していた月数は通算されるので、何度も転校や退学を繰り返すと残りが少なくなっていきます。ここは正直に書いておきます。
残りの数え方と、途中から入る場合の計算のしかたは、通信制高校 転校 費用の記事で例を挙げて説明しています。
持ち越せるもの:修得した単位は消えません
ここが、多くの方が知らないまま損をしているところです。
文部科学省の「高等学校入学資格Q&A」には、単位制高等学校の中途退学者の編入学について、前に在籍していた学校で修得した単位を、編入学先の全課程修了に必要な単位に加えることができると書かれています。通信制高校の多くは単位制です。
だから、1年間で20単位修得していたなら、その20単位は次の学校でも卒業に必要な74単位の一部として数えられる可能性があります。ゼロからやり直しではありません。
必要になるのは、前の学校が発行する単位修得証明書です。在学証明書ではありません。退学の手続きをするときに、あわせて発行を依頼してください。何年か経ってからでも請求できますが、そのときに探し回るより、退学の時点でもらっておくほうが確実です。
| 退学のときにもらう書類 | 何に使うか |
|---|---|
| 単位修得証明書 | 次の学校で単位を引き継ぐ |
| 在籍期間証明書(在学証明書) | 就学支援金の残り月数の確認 |
| 成績証明書 | 編入学の出願、進学時の資料 |

いちばん惜しいのは、単位が付く直前にやめることです
通信制の単位は、リポートの提出、スクーリングの出席、試験の3つが揃って認定されます。年度の途中でやめると、どれか1つが欠けている科目は、そこまでの努力が単位にならないことになります。
たとえば、リポートを全部出してスクーリングにも出たけれど、試験だけ受けずにやめた場合。その科目は単位にならず、次の学校でもう一度同じことをやり直すことになります。もったいない、という言葉で片づけたくはありませんが、事実としてそうです。
だから、やめることを考え始めたときに最初に確かめてほしいのは、「あと何をすれば単位になる科目があるか」です。担任に聞けばすぐ分かります。あと試験1つ、という科目が3つあるなら、そこだけ終わらせてから動く価値は十分にあります。
体調や気持ちの状態によっては、それすら難しいこともあります。その場合は無理をしないでください。ただ、選択肢として知っているかどうかは違います。知らずに取りこぼすのと、知ったうえで見送るのとでは、あとの納得が変わります。
退学の前に、休学という選択肢があります
すぐに決めなくてよい方法もあります。多くの学校には休学の制度があり、籍を残したまま一定期間休むことができます。
休学であれば在籍は続くので、単位の扱いや証明書の発行で困ることがありません。学校によっては休学中の授業料を減額したり免除したりする定めを置いています。ここは学則を確認する価値があります。
一方で、休学にも注意点があります。休学できる期間には上限があるのが普通で、その期間を過ぎると退学の扱いになる学校があります。また、休学中の期間が就学支援金の支給期間に通算されるかどうかは、学校と自治体に確認が必要です。
高校を休学したときに起きることの全体像は、高校 休学の記事で学費・復学・進路に分けて整理しています。
やめたあとに入り直すときのお金
一度退学して、しばらく経ってから入り直す方も少なくありません。そのときに効いてくるお金の話が2つあります。
1つめは入学金をもう一度払うことです。前の学校に払った入学金は戻りませんし、新しい学校では改めてかかります。ここは避けられません。公立の通信制であれば入学料は数百円のことが多く、負担としては小さく収まります。
2つめは就学支援金の残りです。前の学校に在籍していた月数は通算されるので、残りの範囲でしか使えません。ここが足りなくなると、私立を選んだときの負担が一気に増えます。入り直す学校を決める前に、残りを数えてください。
なお、高校を中退してから時間が経っている場合、学び直し支援金という別の制度が使えることがあります。就学支援金の期間が切れてしまった人が、もう一度高校で学ぶための支援です。対象になるかどうかは条件がありますが、知らないまま諦める必要はありません。
データで見ると、やめることは珍しくありません
数字で確かめておきます。文部科学省の令和6年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、高等学校の中途退学者数は44,571人、中途退学率は1.4%でした(前年度は46,238人・1.5%)。
そして、やめた理由の内訳がこの調査でいちばん重要なところです。最も多かったのは進路変更で18,505人、全体の41.5%でした。4割を超えています。
| 項目 | 令和6年度 | 前年度 |
|---|---|---|
| 中途退学者数(高等学校全体) | 44,571人 | 46,238人 |
| 中途退学率 | 1.4% | 1.5% |
| 理由の1位「進路変更」 | 18,505人(41.5%) | 19,087人(41.3%) |
つまり、やめた人の4割は「うまくいかなかったから」ではなく「別の道に進むことにしたから」やめています。これは、書類に書く理由としても、面接で話す内容としても使える事実です。
ここを知っておくと、次の学校に出す書類を書くときに楽になります。退学の理由を後ろ向きに書く必要はありません。やめた理由をどう伝えるかは、高校 転校 理由の記事で書き方まで整理しています。

サポート校を併用している場合は、二重に確認が要ります
通信制高校とサポート校を併用している方は、やめるときの手続きが2つになります。そして、お金の扱いも別です。
- 通信制高校の側……学校教育法上の学校なので、退学・転学・休学の制度が学則で定められています。単位や証明書の話はこちらです。
- サポート校の側……学校教育法上の学校ではないため、契約の解除という形になります。返金の条件は、入会時に交わした契約書や規約に書かれています。
サポート校の費用には就学支援金が使えません。支援金は高等学校の授業料に対する制度だからです。したがって、サポート校に払った分は支援金で埋められていませんし、やめても支援金の枠には影響しません。二段構造の仕組みはサポート校 学費の記事で説明しています。
気をつけたいのは、サポート校だけをやめて、通信制高校には在籍を続けるという選択肢があることです。サポートの費用が負担になっているだけなら、高校そのものをやめる必要はないかもしれません。ここは分けて考えてください。
やめると決めたあと、1か月のあいだに起きること
手続きの流れも書いておきます。学校によって細部は違いますが、おおよそ次の順です。
- 担任に相談する……多くの学校で、まず面談があります。ここで休学や転学の選択肢を提示されることもあります。
- 退学届を出す……保護者の署名が必要です。未成年の場合は原則として保護者の同意が前提になります。
- 書類を受け取る……単位修得証明書、在籍期間の証明、成績証明書。ここを忘れると、あとで取り寄せる手間がかかります。
- 費用の精算……未納分があれば納めます。前払い分の扱いはこのときに確認されます。
- 学籍が切れる……この日から、就学支援金の対象外になります。
気持ちが限界に近いときに、この5つを自分で進めるのはかなりの負担です。可能であれば、保護者か、スクールカウンセラーか、誰か1人に同席してもらってください。1人でやらなくてよい手続きです。
そして、3番の書類の受け取りだけは省略しないでください。あとで一番効いてきます。

迷っているときに、先に確かめる4つ
- あと何をすれば単位になる科目があるか……担任に聞く。いちばん先にこれです。
- 転学でいけるのか、退学になるのか……次の行き先が決まっていれば転学で進められることがあります。
- 休学の制度があるか、期間の上限は何年か……決めきれないときの逃げ道になります。
- 就学支援金の残り月数……在籍校に聞けば分かります。次の学校選びの前提になります。
この4つが分かれば、判断に必要な材料はほぼ揃います。そして、どれも電話1本で確かめられるものです。
選択肢の1つとしてのサポート校について
私たちNIJIN高等学院(ニジ高)は、株式会社NIJINが運営する通信制高校のサポート校です。学院そのものは高校ではなく、提携する通信制高校と連携して高卒資格を目指す形をとっています。途中入学(転入・編入)に対応していて、出願の費用はかかりません。オンライン中心で、生活リズムに波があっても続けやすい設計にしています。正直に書いておくと、学院内でのスクーリングはありません。提携する通信制高校のスクーリングには参加が必要で、その支援を行っています。学費は学費のご案内で公開しています。
運営は株式会社NIJINです。小中学生の場合は、同じグループが運営するNIJINアカデミー(不登校の小中学生のためのオンラインオルタナティブスクール。1,000名以上が在籍)という選択肢もあります。中学卒業後にニジ高へ進む生徒もいます。

やめる前に、残っているものを一緒に数えます
個別相談会では、修得済みの単位と就学支援金の残りを一緒に整理して、転学で進められるのか、編入学になるのかを確かめます。続けるという結論になっても構いません。
個別相談会を見てみる →よくある質問
A. 入学金は返りません。すでに納めた授業料・受講料も、還付しないと定めているのが一般的です。ただし年額を前払いしている場合の未経過分や、まだ受け取っていない教材の実費は、学校によって扱いが分かれます。在籍校の学則をご確認ください。
A. 在籍していた期間の分をさかのぼって返す仕組みではありません。在籍しなくなった月から支給が止まります。使わなかった期間と単位数は残り、次の学校で使えます。
A. 修得が完了した単位は残ります。文部科学省も、単位制高等学校の中途退学者について、前に在籍していた学校の修得単位を編入学先の卒業必要単位に加えられるとしています。単位修得証明書を必ず受け取ってください。
A. 空白期間があっても入り直せます。高校の入学資格に年齢の上限はありません。ただし編入学は受け入れ時期が限られることが多いので、次の募集時期は早めに調べておいてください。
A. 気持ちからではなく、数字から話すと伝わりやすいことがあります。「今やめたら単位がいくつ残るか」「支援金の残りがどれだけあるか」を先に調べて、紙に書いて見せる。相談の入口としては、これがいちばん穏やかです。
やめる/続けるの前に、数えるだけの時間を
ここまで、返ってこないお金、止まるお金、持ち越せるものの3つに分けて書いてきました。整理すると、失われるのは入学金と既納の授業料だけで、積み上げた単位と、使わなかった支援金の枠は残るということになります。
これは、思っているよりずっと軽い損失かもしれません。少なくとも、全部が無駄になるわけではない。そのことだけは、知っておいてください。
今日決めなくて大丈夫です。まずは担任に、あと何をすれば単位になる科目があるかを聞いてみてください。そこから先の話は、それが分かってからで間に合います。
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