「通信制高校から、指定校推薦で大学に行けるの?」。大学進学を考えはじめた通信制の高校生や、これから通信制を選ぼうとしている家庭から、よく聞かれる質問です。全日制の高校では当たり前に聞く指定校推薦ですが、通信制高校ではどうなっているのか、情報が少なくて不安になる方も多いと思います。
この記事は、通信制高校で学んでいる人・これから学ぶ人と、その保護者の方に向けて書いています。先に結論を書くと、通信制高校でも指定校推薦の枠を持っている学校はあります。ただし、枠があるかどうか、どの大学か、何人かは学校ごとに違い、推薦を出すのは「在籍する通信制高校」です。
指定校推薦の仕組み、通信制高校で使うときの条件、評定平均の考え方、校内選考までのスケジュール、学校選びで確かめたいことを、文部科学省の大学入学者選抜実施要項と入試の実施状況をもとに整理しました。
結論:通信制高校の指定校推薦の早見
- 指定校推薦は、大学が特定の高校に推薦の枠を出す入試です。国の区分では「学校推薦型選抜」の一つで、合格したら必ず入学すること(専願)が前提です。
- 通信制高校でも、指定校推薦の枠を持っている学校があります。ただし、枠の有無・大学・人数は学校ごと、年度ごとに違います。
- 推薦を出すのは「在籍する通信制高校」です。サポート校や学習センターではありません。評定や調査書を作るのも在籍校です。
- カギは評定平均と、日ごろの学習の記録。レポートの提出やスクーリングへの参加が、評定と校内選考に響きます。
- 学校推薦型選抜で大学に入る人は全体の34.1%、私立大学では38.8%。推薦は大学入試の大きな入口のひとつです。
- 令和9年度入試の出願は2026年11月1日以降、合格発表は12月1日以降。校内選考はそれより前に行われます。
指定校推薦とは?学校推薦型選抜の一つです
大学入試は、国の実施要項で大きく「一般選抜」「学校推薦型選抜」「総合型選抜」の3つに分けられています。指定校推薦は、このうち学校推薦型選抜に入ります。
| 入試の種類 | しくみ | 特徴 |
|---|---|---|
| 指定校推薦(学校推薦型選抜・非公募型) | 大学が指定した高校にだけ推薦の枠を出す。高校の校長が推薦する | 合格したら入学を確約する専願。校内選考で推薦される人が決まる |
| 公募推薦(学校推薦型選抜・公募型) | 大学が決めた条件を満たせば、どの高校からでも出願できる。高校の校長の推薦が必要 | 評定平均の条件や小論文・面接などが課されることが多い |
| 総合型選抜 | 志望理由書・面接・小論文・活動の記録などで、学ぶ意欲と適性を見る | 高校の推薦は原則不要。出願が早い |
| 一般選抜 | 共通テストや大学の個別試験の得点で決まる | 評定の影響を受けにくい |
※出典=文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(2026年5月27日通知)ほか。学校推薦型選抜は「出身高等学校長の推薦に基づき、調査書を主な資料としつつ」評価する方法と定められています。
実施要項では、学校推薦型選抜について、調査書だけでなく、小論文や面接、プレゼンテーション、共通テストなど、少なくとも1つの評価方法を組み合わせることが求められています。ただし、合格したら入学を確約する非公募型(いわゆる指定校推薦)は、大学の実情に応じて面接の要否を判断できるとされています。
学校推薦型選抜で大学に入る人は、決して少なくありません。
| 令和7年度の大学入学者 | 国公立大学 | 私立大学 | 全体 |
|---|---|---|---|
| 学校推薦型選抜 | 22,438人(16.5%) | 198,977人(38.8%) | 221,415人(34.1%) |
| 総合型選抜 | ― | ― | 126,766人(19.5%) |
※出典=文部科学省「令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」。当サイトの記事「大学進学に強い通信制高校の特徴は?」で確認した数値を含みます。

通信制高校でも、指定校推薦は使えるのか
答えは、「在籍する通信制高校が枠を持っていれば使える」です。通信制高校も学校教育法上の高校なので、卒業すれば大学の受験資格は全日制と同じです。指定校推薦の枠は、大学がそれぞれの高校に出すものなので、通信制高校にも枠を持つ学校があります。
一方で、次のような点は、全日制とは事情が違うことがあります。
| 確かめたいこと | 通信制高校で気をつけたい理由 |
|---|---|
| 枠があるか・どの大学か | 学校ごと・年度ごとに違う。公表していない学校もある |
| どのキャンパスの生徒が対象か | キャンパスやコースによって、推薦の対象や校内選考の方法が違うことがある |
| 評定のつけ方 | レポート・スクーリング・試験で評価が決まる。学校によって評定の出し方が違う |
| 転入生の扱い | 前の高校の成績を評定平均にどう含めるかは学校ごとに違う |
| サポート校との関係 | 推薦を出すのは在籍する通信制高校。サポート校には推薦の枠はない |
とくに大事なのが、最後の点です。サポート校に通っている場合でも、評定・調査書・推薦を出すのは在籍する通信制高校です。同じサポート校でも、提携している在籍校が違えば、指定校推薦の枠も違います。説明会では「サポート校の進学実績」と「在籍校の指定校推薦の枠」を分けて聞いてください。
通信制高校の卒業生のうち、大学などへ進学した人は28.6%でした(文部科学省「学校基本調査」、2024年度の卒業生)。進学のしかたは一般選抜・総合型選抜・学校推薦型選抜とさまざまで、指定校推薦はその入口のひとつです。

指定校推薦の決め手は「評定平均」と「日ごろの記録」
指定校推薦では、大学が「評定平均◯以上」といった条件を出すことが多く、校内選考でも評定平均が大きな判断材料になります。
評定平均の考え方
評定平均は、高校の各科目の成績(5段階の評定)を平均した数字です。多くの場合、高1から高3の1学期(前期)までの成績が対象になります。つまり、高3の夏までの成績がほぼすべてです。「高3になってから頑張ろう」では、評定平均を大きく上げるのは難しくなります。
大学が求める評定平均の条件は、大学・学部や年度によって違い、公表されていないことも多いものです。在籍校の先生は、過去に推薦した生徒の評定の目安を知っていることがあります。「この大学の枠には、どのくらいの評定が必要でしたか」と早めに聞いておくと、目標が立てやすくなります。評定は、1科目の点数が少し上がるだけでも平均が動くので、苦手科目を放置しないことも大切です。
通信制高校で評定に響くこと
通信制高校の成績は、主にレポート(添削指導)、スクーリング(面接指導)、試験の3つで決まります。学校によって配分は違いますが、次のことが評定にも校内選考にも響きやすくなります。
| 日ごろのこと | 指定校推薦への影響 |
|---|---|
| レポートを期限までに出す | 提出の遅れや再提出が多いと、評定や校内選考で不利になりやすい |
| スクーリングに出席する | 出席は単位の条件。欠けると単位そのものが取れない |
| 単位認定試験の点数 | 評定に直接つながる |
| 学校での活動・態度 | 推薦書や校内選考で見られることがある |
通信制高校は自分のペースで学べる反面、「提出を後回しにしない」ことが、そのまま評定につながる仕組みです。指定校推薦を考えるなら、高1の最初から「期限までに出す」を習慣にしておくことが、いちばんの近道になります。

指定校推薦のスケジュール:高3の夏までが勝負
令和9年度(2027年4月入学)の入試では、国の実施要項で学校推薦型選抜の日程が次のように決められています。
| 時期 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 高1〜高2 | レポート・スクーリング・試験で評定を積み上げる | 評定平均の大部分がここで決まる |
| 高3の春〜夏 | 指定校推薦の枠の一覧を学校で確認し、希望を出す | 枠の一覧が出る時期は学校ごとに違う |
| 高3の夏〜秋 | 校内選考。推薦される人が決まる | 志望理由や面接を求める学校もある |
| 2026年11月1日以降 | 大学へ出願 | 実施要項で出願受付は11月1日以降と決まっている |
| 2026年12月1日以降 | 合格発表 | 一般選抜の試験の10日前までに発表 |
※出典=文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」。校内選考の時期は学校ごとに違うので、在籍校で確かめてください。

指定校推薦で合格すると、原則としてその大学に入学することになります。「とりあえず出してみる」はできない入試です。辞退すると、次の年からその高校の枠がなくなるなど、後輩に影響が出ることもあります。行きたい大学・学部かどうかを、校内選考の前にしっかり考えておきましょう。
転入した場合の指定校推薦
全日制などから通信制高校に転入した場合、指定校推薦を使えるかどうかは、在籍校のルール次第です。
- 前の高校の成績が評定平均に含まれるか。転入前の成績をそのまま使う学校もあれば、扱いを別にする学校もあります。
- 在籍期間の条件があるか。「入学時から在籍していること」を校内選考の条件にしている学校もあります。
- 転入の時期。高3で転入すると、校内選考に間に合わない、評定が足りないということも起こります。
転入を考えている段階で指定校推薦も視野に入れているなら、転入先の候補校に「転入生も指定校推薦の対象になりますか」と直接聞いておくのが確実です。
学校選びで聞いておきたい5つの質問
指定校推薦を考えて通信制高校を選ぶなら、説明会で次の5つを聞いてみてください。
| 質問 | わかること |
|---|---|
| 指定校推薦の枠はありますか。どんな大学・学部ですか | 枠の有無と、自分の志望に合うか |
| 昨年度、指定校推薦で進学した人は何人いましたか | 枠が実際に使われているか |
| 校内選考はいつ、どんな基準で行いますか | 評定平均の目安と、準備の時期 |
| 評定はどのように決まりますか | レポート・スクーリング・試験の比重 |
| 転入生やサポート校の生徒も対象になりますか | 自分が推薦の対象になるか |
あわせて、指定校推薦の枠の一覧を見られる時期も聞いておくと安心です。入学してから一覧を見て「行きたい大学がなかった」ということもあります。枠は毎年変わるので、「昨年度はどんな大学がありましたか」と、過去の例として聞くのが現実的です。
「指定校推薦の大学がたくさんある」という案内だけで決めず、実際に何人が使ったかまで聞くのがポイントです。枠があっても、評定の条件が高く、ほとんど使われていないこともあります。
指定校推薦だけに絞らない進め方
指定校推薦は魅力的な入口ですが、枠は限られていて、校内選考で選ばれないこともあります。指定校推薦を第一に考えつつ、ほかの入試も準備しておくのが、選択肢を狭めない進め方です。
| 組み合わせ | 考え方 |
|---|---|
| 指定校推薦+公募推薦 | 評定を活かせる入試をもう一つ用意する |
| 指定校推薦+総合型選抜 | 志望理由書や面接の準備は共通する部分が多い。ただし総合型の出願は9月1日以降と早い |
| 指定校推薦+一般選抜 | 推薦で決まらなかったときに備えて、学力の準備も続ける |
総合型選抜と学校推薦型選抜・一般選抜のどれを軸にするかの考え方は、通信制高校から大学へ|総合型・学校推薦型と一般選抜、どちらを選ぶかの決め方でも整理しています。
保護者ができること
指定校推薦は、高1からの積み重ねで決まる入試です。だからこそ、保護者の関わり方が効いてきます。ただし、成績を細かく管理しようとすると、本人の負担が大きくなります。
| 保護者ができること | ポイント |
|---|---|
| 学校の情報を一緒に集める | 指定校推薦の一覧がいつ出るか、校内選考の基準は何かを、本人と一緒に確かめる |
| 提出の「見える化」を手伝う | レポートの締め切りをカレンダーに書き出すなど、本人が自分で管理しやすい形をつくる |
| 志望を急がせない | 指定校推薦は専願。枠があるからという理由だけで決めないよう、行きたい理由を一緒に考える |
| ほかの道も残しておく | 校内選考で選ばれなかったときの選択肢を、先に話しておくと気持ちが楽になる |
通信制高校を選んだ背景に、不登校や体調の波がある家庭も多いと思います。評定のために無理をさせるのではなく、続けられるペースの中で積み上げていくことを大切にしてください。推薦は大学への入口のひとつであって、唯一の道ではありません。
もし、いま読んでいるのが本人なら
ここまで保護者向けの内容も含めて書いてきましたが、自分でこの記事を読んでいる高校生もいると思います。その人に向けて、短く書きます。
通信制高校にいることは、指定校推薦をあきらめる理由にはなりません。大事なのは、日々のレポートやスクーリングを一つずつ積み重ねることです。
- 今の評定を、一度確かめてみる。数字を知ることが、目標を立てる第一歩です。
- レポートは「期限の1週間前」を自分の締め切りにする。それだけで、評定は安定しやすくなります。
- 先生に「指定校推薦の一覧はいつ出ますか」と聞いてみる。早く知るほど、準備の時間が増えます。
ニジ高という選択肢と、正直な注意点
私たちNIJIN高等学院(ニジ高)は、通信制高校と連携して学びを支える通信制サポート校です。「オンラインで青春」を合言葉に、全国どこからでも自宅から参加できます。担任がつき、レポートの進み具合を一緒に確かめながら、評定の土台になる日々の学習を支えます。総合型選抜・学校推薦型選抜に向けた小論文・面接・自己PRの講座にも取り組んでいます。
ニジ高は、不登校の小中学生のためのオンラインオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」の高等部です。
正直な注意点も書いておきます。ニジ高はサポート校なので、指定校推薦の枠を持っているのはニジ高ではなく、提携する通信制高校です。評定・調査書・推薦書を出すのも在籍する通信制高校です。枠の有無や大学名は、年度によって変わるため、個別相談で最新の情報をお伝えします。また、学院内でのスクーリングはなく、提携校のスクーリングへの参加が必要です。費用は提携校の分とニジ高の分がかかり、ニジ高の分には就学支援金は使えません。金額は学費のご案内で公開しています。


推薦を含めた大学進学の道を、一緒に考えませんか
個別相談会では、今の成績や志望をうかがいながら、提携する通信制高校の推薦の仕組みと、総合型選抜・一般選抜も含めた進め方を一緒に整理します。保護者の方だけの参加もできます。
よくある質問
あります。通信制高校も学校教育法上の高校なので、大学から指定校推薦の枠を受けている学校があります。ただし、枠の有無・大学・人数は学校ごと、年度ごとに違います。説明会で直接確かめてください。
推薦を出すのは在籍する通信制高校です。サポート校に通っていても、在籍校が枠を持っていて、校内選考の条件を満たせば対象になりえます。サポート校自体には推薦の枠はありません。
多くの場合、高1から高3の1学期(前期)までの成績が対象です。評定平均の条件は大学や高校によって違うので、在籍校で確かめてください。
令和9年度(2027年4月入学)の入試では、国の実施要項で、学校推薦型選抜の出願は2026年11月1日以降、合格発表は12月1日以降と決められています。校内選考はそれより前に在籍校で行われます。
在籍校のルール次第です。前の高校の成績を評定平均に含めるか、在籍期間の条件があるかは学校ごとに違います。転入前に「転入生も対象になりますか」と確かめておくのが確実です。
指定校推薦は、「在籍校の枠」と「高1からの積み重ね」で決まる
通信制高校でも、指定校推薦で大学に進む道はあります。ただし、枠を持っているのは在籍する通信制高校で、その有無や大学は学校ごとに違います。そして、評定平均の対象はほぼ高3の夏まで。日々のレポートやスクーリングの積み重ねが、そのまま推薦の条件になります。
やることはシンプルです。在籍校(または候補校)の指定校推薦の枠と実績を確かめること。レポートを期限までに出す習慣をつけること。そして、ほかの入試も並行して考えておくこと。
推薦も含めた進路の相談をしたくなったときのために、入口だけ置いておきます。

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