学校に通えない日が続くと、「このまま高校に行けないのでは」「みんなと同じ高校には進めないのでは」と、不安が大きくなります。中学生の皆さんも、保護者の方も、同じような気持ちを抱えていることが多いのではないでしょうか。
結論から言えば、不登校でも高校に進学することはできます。この記事では、不登校の中学生が進学しやすい高校の種類、選ぶときの軸、出席や内申の考え方、受験・入学までの流れ、よくある勘違い、保護者の方ができることを、公的な情報をもとに整理します。
結論:不登校でも高校進学はできる。選び方の早見
- 不登校でも高校進学は可能で、全日制・定時制・通信制など複数の道があります。
- 選ぶ軸は「通う負担・サポート・仲間・学び直し・費用」の5点が目安です。
- 出席や内申の扱いは学校ごとに違うため、募集要項と説明会で確認しましょう。
- 学び直しを前提に、基礎から学べる高校を選ぶことも可能です。
- 入学後に合わなければ、休学・転学・通信制への転入も選択肢になります。
不登校の児童生徒は
過去最多の水準が続いています
出典:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」
不登校だと、進学で何が心配されるのか
不登校の中学生が高校進学で心配することは、主に3つあります。1つ目は、出席日数や内申点です。公立高校の一般入試では、調査書(内申書)が選考に使われるため、欠席が多いと不利になるのでは、と不安になります。2つ目は、学力の遅れです。授業を受けられていない期間が長いと、高校の授業についていけるか心配になります。3つ目は、入学後の不安です。進学しても、また通えなくなるのではないか、という心配です。
これらはどれも自然な不安ですが、それぞれに対応する選択肢や仕組みがあります。一つずつ整理していきましょう。
不登校の中学生が進学しやすい、高校の主な種類
高校の種類ごとの
特徴と確認したい点
| 種類 | 特徴 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 全日制 | 毎日通学。大学進学の道筋が明確 | 出席・内申の扱い、入学後の支援 |
| 定時制 | 夜間・昼間など。少人数が多い | 通学時間帯と卒業までの年数 |
| 通信制 | 自分のペースで学ぶ | 自己管理とサポート体制 |
| サポート校併用 | 通信制の学習・生活面を民間が補う | 費用と提供される支援の範囲 |
※学校ごとに内容は異なります。必ず募集要項と説明会で確認してください。
通信制高校:出席状況に左右されにくい
通信制高校は、毎日の登校を前提としないため、中学での出席状況が選考に大きく影響しない学校が多いとされています。レポート、スクーリング、試験を通じて単位を修得し、卒業には一般に3年以上の在籍、74単位以上の修得、特別活動への参加が求められます。登校頻度やオンラインの割合は学校ごとに大きく異なるため、本人の状態に合う形を選べます。
全日制・定時制:選考方法を確認して挑戦する
全日制や定時制でも、不登校の経験がある生徒を受け入れている学校は多くあります。公立高校の一般入試では、調査書の評定や出席状況が選考に使われる場合がありますが、扱いは都道府県や学校によって異なります。面接や作文を重視する選考方式や、欠席の事情を考慮する仕組みを設けている学校もあります。志望校の募集要項を確認し、必要に応じて中学校の先生や、高校の入試担当に相談しましょう。
高校を選ぶ5つの軸
軸1:通う負担が、無理のない範囲か
通学時間、登校日数、始業時間、教室の人数。こうした条件は、体調や気持ちに直結します。毎日通うことが負担なら、登校日数を調整できる学校や、オンライン中心の学校を検討します。反対に、規則正しい生活が安定につながる人は、全日制や定時制も候補になります。
軸2:つまずいたとき、支えてくれる人がいるか
再び調子を崩したときに、担任やスクールカウンセラー、相談役の先生が気づいて支えてくれるか、別室や個別対応の仕組みがあるかを確認しましょう。
軸3:同じような経験を持つ仲間がいるか
不登校を経験した生徒が多く在籍している学校では、気持ちを分かり合える仲間に出会いやすい傾向があります。ただし、人との距離感は人それぞれなので、関わりの量を選べるかも確認してください。
軸4:学び直しができるか
学習の遅れが気になる場合は、中学の内容から学び直せる仕組みや、個別指導のある学校を選ぶと安心です。入学後に基礎を固められるかどうかは、継続しやすさに関わります。
軸5:費用が、家計に無理のない範囲か
学校の種類やコースによって、費用は大きく異なります。高等学校等就学支援金は、世帯の状況などの条件により受けられることがあり、私立通信制では令和8年度から支給上限額が月額28,100円(年額337,200円)とされています。自治体の上乗せ制度もあるため、実際の負担額は各校と自治体の窓口で確認してください。
出席日数と内申点の考え方
不登校の中学生が最も気にするのが、出席日数と内申点です。まず知っておきたいのは、学校外の施設(フリースクールや教育支援センター)やオンライン学習を利用している場合、一定の条件のもとで、学校の出席として扱われることがあるという点です。扱いは学校長の判断によるため、利用している場合は、中学校の先生に相談してみましょう。
内申点は、教科の成績や授業態度などをもとにつけられます。欠席が多い場合、評定がつきにくいことがありますが、高校によっては、内申点をほとんど使わない選考方式を採用しています。たとえば、面接や作文、学力検査を中心に選考する学校、あるいは通信制のように出席状況を問わない学校です。志望校の選考方法を、早めに確認しておきましょう。
進学までの流れと時期の目安
中学生のうちから進める
高校選びの流れ
※入試日程は学校により異なります。必ず最新の募集要項をご確認ください。
不登校の状態にある場合、本人の気持ちに余裕がないことも多いため、無理にスケジュールどおりに進める必要はありません。通信制高校などは、年間を通じて入学や転入を受け付けている学校もあります。「今年の春に間に合わなかった」と焦る必要はなく、本人の状態が整ったタイミングで動いても、選択肢はあります。
学力の遅れが心配なとき:学び直しの考え方
授業を十分に受けられなかった期間があると、学力の遅れが気になります。しかし、遅れは取り戻せないものではありません。多くの高校、特に通信制高校では、基礎から学び直せるカリキュラムや、個別指導の仕組みを用意しています。学び直しを前提に学校を選ぶことで、焦りを減らせます。
学び直しの進め方
- まず、どの教科・単元でつまずいているかを、簡単なテストや確認で把握する。
- 中学1〜2年の内容に立ち返り、基礎から少しずつ積み上げる。
- 1日10〜20分でも、毎日続けることを優先する。
- 分からないところは、早めに先生や家族に質問する。
学び直しの過程で、少しずつ分かる喜びを取り戻していく生徒は少なくありません。無理に高い目標を立てず、小さな「できた」を重ねていくことが、学習意欲の回復につながります。
よくある勘違い:不登校と高校進学について
勘違い①「不登校だと、高校には行けない」
不登校の経験があっても、高校に進学している人は数多くいます。全日制・定時制・通信制など複数の道があり、本人に合う環境を選ぶことは十分可能です。
勘違い②「出席日数が足りないと、受験できない」
受験の可否は、学校ごとの出願資格によって決まります。出席日数に条件を設けていない学校も多くあります。志望校の募集要項で確認しましょう。
勘違い③「通信制しか選べない」
通信制は有力な選択肢ですが、唯一ではありません。全日制や定時制でも、不登校経験者を受け入れ、支援している学校があります。本人の希望と状態に合わせて、幅広く検討してください。
勘違い④「進学したら、元どおり通えなければならない」
進学後も、無理をせず、自分のペースで学べる環境を選ぶことが大切です。合わなければ、休学や転学、通信制への転入も選択肢になります。
中学生本人へ:今、感じていることを大切に
ここまで読んでくれた中学生の皆さんへ。不登校になった自分を、責めないでください。学校に行けない理由は、一つではないことが多く、はっきり言葉にできないこともあります。それでも、あなたが感じているつらさや疲れは、本物です。
高校選びは、「どこならやっていけそうか」を考えることから始めて大丈夫です。学力や内申よりも、あなたが安心して過ごせる環境かどうかのほうが、これからの3年間にとって大切です。分からないことや不安なことは、一人で抱えずに、家族や先生、相談窓口に話してみてください。24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)は、夜間や休日も相談を受け付けています。
高校卒業後の進路:不登校の経験は足かせになるのか
不登校の経験があると、「大学や就職で不利になるのでは」という不安を持つ方も多いでしょう。高校を卒業(または同等の資格を満たす)すれば、大学・専門学校・就職のいずれも選べます。不登校経験者が進学や就職を実現している例は、決して少なくありません。
大学入試では、一般選抜は学力試験の得点が中心になる大学が多く、調査書の比重が小さい場合もあります。総合型選抜や学校推薦型選抜では、活動実績や志望理由、評定などが評価されます。不登校の期間に何を考え、どう立ち直ったかを自分の言葉で語れる人を評価する大学もあります。令和7年度の通信制の現役大学進学率は約22%と報告されており、全日制・定時制(約59%)より低い水準ですが、進学を前提としない生徒を含む数字であることに注意が必要です。
就職の場面でも、無理に過去を隠さず、そこから何を学んだかを誠実に伝えることで、評価される場合があります。大切なのは、高校の3年間を、自分らしく過ごし、次の一歩につなげられる環境で過ごすことです。
進学後に気をつけたいこと:再び疲れたときの備え
進学が決まって安心したあと、数か月して疲れが出ることがあります。環境の変化、新しい人間関係、学習のペースなど、気づかないうちにエネルギーを消耗しているためです。再び学校に行きづらくなったとき、慌てないよう、あらかじめ次のことを知っておくと安心です。
- 休むことは、失敗ではなく、回復のための選択であること。
- 休学・転学・通信制への転入など、選択肢があること。
- 相談できる先生や窓口を、入学時に確認しておくこと。
- 出席や単位の扱いを、早めに学校へ確認すること。
こうした「もしものときの備え」を知っていることで、進学への不安も少し軽くなります。入学前の説明会で、「調子を崩したときの支援」について質問しておくと、学校の姿勢も見えてきます。
学校選びで「やってよかった」と言われやすいこと
不登校を経験して高校に進学した人たちの声には、いくつか共通した点があります。1つ目は、「複数の学校を見比べた」こと。1校だけで決めず、説明会や個別相談で雰囲気を比べることで、納得して決められたという声が多く聞かれます。2つ目は、「本人の気持ちを最優先にした」こと。親や先生の意見も大切ですが、最終的に本人が「ここなら」と思えた学校を選んだ人は、入学後も続けやすい傾向があります。
3つ目は、「入学後の相談先を確認した」こと。調子を崩したときに誰に相談できるかを知っているだけで、安心感が大きく違います。4つ目は、「完璧を求めなかった」こと。最初から全部うまくいくことを期待せず、「合わなければ見直せる」と考えていた人は、気持ちに余裕を持って新生活をスタートできています。
これらは、特別なことではなく、誰にでも取り入れられる考え方です。焦らず、一つずつ、できることから始めてみてください。
フリースクール・サポート校という選択肢も知っておく
高校進学を考えるとき、全日制・定時制・通信制のほかに、フリースクールやサポート校という選択肢もあります。フリースクールは、学校に通いづらい子どもが過ごせる民間の居場所で、学習や体験活動、交流を行います。サポート校は、通信制高校の卒業を支える民間の教育施設で、学習支援や生活面のサポート、課外活動を提供します。
これらは高校そのものではなく、通信制高校と併用する形が一般的です。費用や提供される支援は施設によって大きく異なるため、内容と費用を確認し、複数を比べて検討しましょう。また、フリースクールなどに通う日数が、中学校の出席として扱われる場合もあります。扱いは学校長の判断によるため、利用している場合は、中学校に相談してみてください。
NIJIN高等学院は、オンラインで通える通信制サポート校です。全国どこからでも、海外からも参加でき、「オンラインで青春」をコンセプトに、仲間とのつながりや、自分のペースでの学びを大切にしています。不登校を経験した生徒も多く学んでいます。
「間に合わないかも」と感じたときの考え方
中学3年生の秋以降になって、「もう間に合わないのでは」と焦る方もいます。しかし、高校進学の道は、一般入試だけではありません。通信制高校のように、年間を通じて入学や転入を受け付けている学校もあれば、春に間に合わなかった場合に、秋入学や翌年度の入学を選べる学校もあります。
また、一度、高校進学を見送って、本人の心身を整える時間をとり、その後に通信制高校や高等学校卒業程度認定試験などを通じて、学びを再開する人もいます。「今すぐに結論を出さなければ」という思い込みを外すことで、気持ちに余裕が生まれ、結果的に本人に合う道を選びやすくなります。大切なのは、時期よりも、本人が安心して次の一歩を踏み出せる状態になることです。
迷ったときは、早めに中学校の先生や、気になる学校の個別相談で、具体的に受付可能な時期を確認してみてください。確認するだけでも、状況が整理され、気持ちが落ち着くことがあります。
保護者の方へ:進学を考える時期の関わり方
お子さんが不登校の時期に高校進学を考えるのは、保護者の方にとっても大きな負担です。「間に合うのか」「どこなら行けるのか」と、焦る気持ちが強くなるのも自然です。そのうえで、お子さんへの関わり方として、次の3つを意識してみてください。
- 進路の話は、リラックスしているときに、情報として軽く伝える。正面から問い詰めない。
- お子さんの「やってみたいこと」「無理だと感じること」を、否定せずに聴く。
- 見学や説明会は、本人が行ける形で。まず保護者だけで参加するのも一案。
また、保護者の方自身が、一人で抱え込まないことも大切です。学校のスクールカウンセラー、自治体の教育相談窓口、フリースクールや通信制高校の個別相談、親の会など、頼れる場所を持ってください。つらさが強いときは、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)も利用できます。
NIJIN高等学院でも、不登校を経験したお子さんと保護者の方向けに、オンラインでの学校説明会・個別相談を随時行っています。「まだ決めていない」という段階でも、お気軽にご相談ください。
学校との連携:中学の先生に伝えておきたいこと
高校進学に向けて、中学校の担任や進路担当の先生との連携は欠かせません。不登校の状態でも、進路について相談できる窓口は用意されています。伝えておきたいのは、本人の現在の状態(登校できる日数、通える場所、体調の波など)、本人や家庭の希望、不安に思っている点の3つです。
先生によって、不登校の子どもの進路についての知識や経験は異なります。もし情報が得られないと感じたら、学年主任や進路指導の先生、スクールカウンセラー、自治体の教育相談窓口にも相談してみてください。調査書(内申書)の扱いや、出席として認められる学習の形(別室登校、フリースクール、オンライン学習など)についても、早めに確認しておくと安心です。
説明会・個別相談で聞いておきたいこと
- 不登校を経験した生徒は、どのくらい在籍していますか。
- 入学後の1週間の過ごし方を、具体的に教えてください。
- 調子が悪い日は、どのように過ごすことができますか。
- 学習が遅れたときの支援には、どのようなものがありますか。
- 卒業後の進路には、どのようなものがありますか。
- 費用の総額と、追加でかかる費用を教えてください。
答えを聞くときは、お子さん本人の反応も見ておきましょう。説明を聞いて表情が和らいだか、質問が出たか、「ここなら行けそう」と感じたか。本人の感覚は、学校選びの重要な手がかりになります。
よくある質問
進学できます。全日制・定時制・通信制など、複数の進路があります。学校ごとに選考方法が異なるため、募集要項や説明会で確認してください。
公立高校の一般入試では内申点が影響する場合があります。一方、通信制や面接・作文を重視する学校など、選考方法が異なる学校もあります。個別に確認することが大切です。
基礎から学び直せる仕組みのある高校もあります。入学後に学び直す前提で選ぶことも可能です。不安は説明会や個別相談で伝えてみてください。
学校によって選考方法が異なり、出席状況を問わない、または考慮して選考する学校もあります。具体的な扱いは各校の募集要項で確認してください。
休学、転学、通信制への転入などの選択肢があります。学校の規定を早めに確認し、本人に合う形を探してください。
世帯の状況などの条件により、高等学校等就学支援金が受けられる場合があります。私立通信制では、令和8年度から支給上限額が月額28,100円(年額337,200円)とされています。
まとめ
- 不登校でも高校進学はできます。全日制・定時制・通信制など、複数の道があります。
- 選ぶ軸は、通う負担・サポート・仲間・学び直し・費用の5点です。
- 出席の扱いは学校ごとに違うため、説明会や個別相談で具体的に確認しましょう。
不登校の経験は、進路の可能性を閉ざすものではありません。自分に合う高校を、焦らず探していきましょう。
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執筆者:ニジ高編集部 2026年10月8日更新
参考文献
- 文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」
- 文部科学省「高等学校通信教育について」
- 文部科学省「高等学校等就学支援金制度」
- 各都道府県教育委員会「公立高等学校入学者選抜実施要項」



