「発達障害があるなら、高校ではなく特別支援学校のほうがいいのでは」「中学校の先生に、特別支援学校の対象にはならないと言われた」。お子さんの進路を考えるなかで、特別支援学校の高等部と高校の違いが分からず、立ち止まっている保護者の方は少なくありません。
先に結論を書きます。特別支援学校の対象は法律で5つの障害(視覚障害・聴覚障害・知的障害・肢体不自由・病弱)と決まっていて、「発達障害」という区分はありません。そのため、知的障害を伴わない発達障害だけでは、特別支援学校の対象になりにくいのが実際です。一方で、高校にも通級による指導や合理的配慮といった支援の仕組みがあります。そして、特別支援学校の高等部を卒業しても、大学や専門学校を受験する資格は得られます。
この記事は、学校教育法・同施行令・同施行規則(e-Gov)、文部科学省の「障害のある子供の教育支援の手引」と「特別支援教育資料(令和6年度)」、東京都と大阪府の入学者選考の要項を実際に開いて確かめた内容でまとめています。公式で確認できなかったことは、確認できなかったと書いています。
毎日の通学や、今の学校の環境が合わないと感じている場合は、オンラインという選択肢もあります。NIJIN高等学院(ニジ高)は「オンラインで最高の青春を」を掲げる通信制高校サポート校で、全国の仲間とオンラインでつながり、企業や地域と関わるプロジェクトや、生徒が自分たちで企画する行事に挑戦できます。カメラやマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、全国にNIJINアカデミー(ニジ高はその高等部)のリアルの教室があり、リアルでの通学もご検討いただけます。ニジ高は高校ではないため、卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングには参加が必要です。どんな学校なのかは、校長・星野達郎のYouTubeでも見られます。
結論:特別支援学校高等部と高校の違いの早見
- 特別支援学校の対象は、学校教育法第72条の5つ(視覚障害・聴覚障害・知的障害・肢体不自由・病弱)です。障害の程度は施行令第22条の3の表に書かれていて、発達障害という区分はありません。
- 知的障害を伴わない発達障害だけでは、対象になりにくいのが実際です。文部科学省の手引も「発達障害の子供は,それだけでは特別支援学校(病弱)の対象ではない」と書いています。ただし学びの場は、一人ひとりの状態や意見を総合的に見て決まります。
- 高等部には入学者の選考があります。東京都の職業学科と大阪府の高等支援学校の要項では、応募資格は知的障害があること(療育手帳の写しや医師の記録などで確認)でした。
- 高等部は「高等学校」ではありませんが、卒業すれば大学の入学資格があります(学校教育法第90条第1項。文部科学省の一覧に明記)。
- 2024年3月の高等部の卒業生は、進学1.8%・就職者等29.5%・社会福祉施設等62.1%。卒業生の88.3%が知的障害の区分です。
- 高校では通級による指導・合理的配慮・個別の教育支援計画が使えます。ただし通級を受けた高校段階の生徒は全国で2,371人(0.08%)で、使えるかは学校ごとに確かめる必要があります。
- 毎日の登校や教室の環境がつらい場合は、オンライン中心のサポート校(NIJIN高等学院など)を併用して、通信制高校の卒業をめざす方法もあります。
「特別支援学校には入れない」と言われたら、それは多くの場合「知的障害の有無」の話です
中学校の面談や教育相談で「特別支援学校の対象ではない」と言われると、行き先を断られたように感じるかもしれません。でも、これはお子さんの困りごとが軽いという意味でも、支援が要らないという意味でもありません。
特別支援学校は、法律で対象となる障害の種類が決まっている学校です。ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如・多動症)、LD(学習障害)といった発達障害は、その種類の中に名前がありません。知的障害を伴う場合は「知的障害」の区分で対象になりうる一方、知的障害を伴わない場合は、高校の側の支援の仕組みを使うことが主になるというのが、制度の組み立てです。
つまり、比べるべきなのは「特別支援学校か、支援のない高校か」ではありません。「特別支援学校高等部」と「支援の仕組みを使いながら通う高校(全日制・定時制・通信制)」です。この記事では、その2つの違いを、対象・入り方・卒業資格・卒業後の進路・受けられる支援の順に整理します。
発達障害のある子の進学先を5種類ぜんぶ見渡したい場合や、高校入試での配慮の申請方法は、発達障害 高校進学の記事にまとめています。この記事は「特別支援学校高等部か、高校か」を決めることに絞ります。

特別支援学校の対象は法律で5つ。「発達障害」という区分はありません
学校教育法第72条は、特別支援学校を、視覚障害者・聴覚障害者・知的障害者・肢体不自由者・病弱者(身体虚弱者を含む)に対して、幼稚園から高等学校に準ずる教育を行うとともに、障害による学習上または生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授ける学校と定めています。高等部は、同法第76条で特別支援学校に置くことができるとされている部です。
第75条は、この5つの障害の程度を政令で定めるとしていて、それが学校教育法施行令第22条の3の表です。要旨を並べます。
| 区分 | 施行令第22条の3に書かれた障害の程度(要旨) |
|---|---|
| 視覚障害者 | 両眼の視力がおおむね0.3未満などで、拡大鏡などを使っても通常の文字や図形を見て認識することが不可能または著しく困難な程度 |
| 聴覚障害者 | 両耳の聴力レベルがおおむね60デシベル以上で、補聴器などを使っても通常の話し声を理解することが不可能または著しく困難な程度 |
| 知的障害者 | 1. 知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通が困難で、日常生活を営むのに頻繁に援助を必要とする程度/2. 知的発達の遅滞が1ほどではないが、社会生活への適応が著しく困難なもの |
| 肢体不自由者 | 補装具を使っても歩行や筆記など日常生活の基本的な動作が不可能または困難な程度など |
| 病弱者 | 慢性の疾患などの状態が続き、継続して医療または生活規制を必要とする程度など |
出典:学校教育法 第72条・第75条・第76条/学校教育法施行令 第22条の3(e-Gov、2026年9月確認)
知的障害の欄は、2つとも「知的発達の遅滞」があることが前提です。ASD・ADHD・LDといった名前は、表のどこにも出てきません。
もう1つ大事なのは、この表が「当てはまったら特別支援学校に行く」という決まりではないことです。文部科学省の「障害のある子供の教育支援の手引」(2021年6月)は、2013年9月の施行令の改正によって、第22条の3は原則として特別支援学校に就学するという「就学基準」としての機能は持たなくなり、「特別支援学校に入学可能な障害の程度」を示すものとして機能している、と説明しています。表に当てはまっても、地域の学校で学ぶ道があるということです。
知的障害を伴わない発達障害だけでは、対象になりにくい。ただし最後は一人ひとりの状態で決まります
では、ASDやADHDのある子は、特別支援学校と関係がないのでしょうか。文部科学省の資料の書き方を、言葉どおりに見てみます。
- 通知(2013年10月・25文科初第756号):小中学校の「自閉症・情緒障害特別支援学級」の対象を「自閉症又はそれに類するもので,他人との意思疎通及び対人関係の形成が困難である程度のもの」とし、通級による指導(自閉症)の対象を、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度のもの、としています。学習障害と注意欠陥多動性障害は、通級による指導の対象として挙げられています。
- 手引 第3編(病弱):「発達障害の子供は,それだけでは特別支援学校(病弱)の対象ではない」。そのうえで、成長とともにうつ病や適応障害などの症状がはっきりし、特別支援学校(病弱)で学ぶことが必要になる子もいて、最近は小学部の高学年や中学部、高等部に転校してくることも多い、と書いています。
- 手引 第3編(自閉症):特別支援学校(知的障害)にも「自閉症を伴う知的障害の子供が多数在籍している」と書いています。
出典:文部科学省「障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について(通知)」/「障害のある子供の教育支援の手引」第1・2編/同 第3編(2026年9月確認)
まとめると、発達障害のある子は、知的障害を伴うときは「知的障害」の区分で、うつ病などの精神疾患で継続した医療が必要なときは「病弱」の区分で、特別支援学校の対象になりうるということです。発達障害だけのときは、小中学校では特別支援学級・通級・通常の学級、高校では通常の学級での配慮と通級が、制度の上での主な学びの場になります。
ただし手引は、学びの場は障害の状態だけでなく、教育的ニーズ、学校や地域の状況、本人・保護者や専門家の意見などを総合的に勘案して個別に判断するもので、子供の障害の状態などを医療機関の診断や療育手帳などの有無だけで判断するのは適切とは言えない、とも書いています。「診断名がこれだから、この学校」と機械的に決まるわけではありません。
小中学部は「就学相談」、高等部は「入学の選考」で決まります
小学部・中学部への就学は、学校教育法施行令第5条などにもとづき、市区町村の教育委員会が総合的に判断して決めます(就学相談)。一方、高等部は義務教育ではないため、高校と同じように入学者の選考があります。調査書などを資料にした選抜にもとづいて校長が入学を許可するという学校教育法施行規則第90条は、同規則第135条第5項で特別支援学校の高等部にも準用されています。事前の入学相談の有無や選考の方法は、都道府県ごとに違います。
知的障害の有無や程度がはっきりしないときは、主治医や児童相談所などの専門機関に相談してください。学校選びのために、診断や検査を急ぐ必要はありません。

高等部は「高等学校」ではない。それでも卒業すれば大学・専門学校を受験できます
「特別支援学校 高等部 卒業資格」と調べる方がいちばん気にしているのは、ここだと思います。
まず学校の種類として、特別支援学校の高等部は高等学校ではありません。学校教育法では、高等学校は第50条、特別支援学校は第72条と、別の条文で定められた別の学校です。卒業したときの学歴は「特別支援学校高等部卒業」になります。
ただし、大学に入学する資格はあります。学校教育法第90条第1項は、大学に入学できる者を、高等学校や中等教育学校を卒業した者、通常の課程による12年の学校教育を修了した者などと定めています。文部科学省の「大学入学資格について」のページは、大学入学資格がある者の2番目に「特別支援学校の高等部又は高等専門学校の3年次を修了した者(法第90条第1項)」を挙げています。専門学校(専修学校の専門課程)も、学校教育法施行規則第183条で、第90条第1項の12年の学校教育を修了した者を入学資格に含めています。
| 項目 | 特別支援学校高等部 | 高校(全日制・定時制・通信制) |
|---|---|---|
| 根拠の条文 | 学校教育法 第72条・第76条 | 学校教育法 第50条 |
| 対象 | 5つの障害(視覚・聴覚・知的・肢体不自由・病弱) | 中学校を卒業した人など(第57条) |
| 入り方 | 入学者の選考(施行規則第90条を準用)。事前の入学相談や個別説明がある都道府県も | 入学者の選抜(施行規則第90条) |
| 教育課程 | 各教科などに「自立活動」が加わる。知的障害の生徒は、職業・家政・流通・サービスなどを含む別の教科の組み立て(施行規則第128条) | 高等学校学習指導要領にもとづく各教科・科目 |
| 卒業したときの学歴 | 特別支援学校高等部卒業 | 高等学校卒業 |
| 大学・専門学校の受験 | できる(法第90条第1項・施行規則第183条) | できる(法第90条第1項) |
| 高等学校等就学支援金 | 対象(就学支援金法第2条の「高等学校等」に含まれる) | 対象(同) |
出典:学校教育法 第50条・第57条・第72条・第76条・第90条/学校教育法施行規則 第90条・第128条・第135条・第183条/高等学校等就学支援金の支給に関する法律 第2条(e-Gov)/文部科学省「大学入学資格について」(2026年9月確認)
気をつけたいのは就職の場面です。求人の「高卒以上」という条件に、特別支援学校高等部の卒業がどう扱われるかを国がまとめた資料は、今回は確認できませんでした。高等部から一般企業への就職をめざす場合は、学校の進路指導の先生に、これまでの卒業生の就職先を聞いてみてください。
また、大学への進学を考えるなら、入学資格があることと、入試に向けた学習ができることは別の話です。知的障害の生徒向けの教育課程は教科の組み立てが違うため、志望校の入試科目に合う学習ができるかを、学校に確かめておくと安心です。
※2026年9月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。
卒業後の進路は大きく違います。高等部の卒業生の62.1%は社会福祉施設等、進学は1.8%です
文部科学省の「特別支援教育資料(令和6年度)」から、2024年3月に特別支援学校の高等部(本科)を卒業した20,641人の進路を、障害の区分ごとに並べます。
| 区分 | 卒業者 | 進学者の割合 | 就職者等の割合 |
|---|---|---|---|
| 視覚障害 | 219人 | 37.0% | 13.7% |
| 聴覚障害 | 375人 | 43.7% | 31.5% |
| 知的障害 | 18,217人 | 0.5% | 32.0% |
| 肢体不自由 | 1,537人 | 2.1% | 4.0% |
| 病弱・身体虚弱 | 293人 | 4.1% | 16.7% |
| 計 | 20,641人 | 1.8% | 29.5% |
出典:文部科学省「特別支援教育資料(令和6年度)」第一部 データ編(学校基本調査。2024年3月卒業者。2026年9月確認)。進学者は大学・短大などと、特別支援学校高等部・高等学校の専攻科の合計。
表にない残りの多くは、社会福祉施設等の入所・通所者です(全体で62.1%。知的障害61.0%・肢体不自由88.4%)。
この表の読み方のポイントは2つです。
- 卒業者の88.3%(18,217人)が知的障害の区分です。全体の進学1.8%という数字は、在籍している生徒の多くが知的障害の生徒であることを映しています。視覚障害・聴覚障害では、4割前後が進学しています。
- 高等部は、障害による困難を克服し自立を図ることを目的に含む学校です。卒業後の進路は、就職と社会福祉施設等の利用が中心で、一般の大学進学を前提にした学校ではありません。
在籍者の数も見ておきます。2024年5月1日現在、特別支援学校の高等部の生徒は66,665人で、高校段階の生徒全体(高等学校と特別支援学校高等部などの合計)の2.23%でした(同資料)。
知的障害を伴わない発達障害のある子が、大学や専門学校への進学、一般の就職を考えているなら、高校の卒業と支援の組み合わせを先に検討するのが自然です。反対に、生活や働く力を少人数で身につけたいという目標なら、高等部の教育課程が合うこともあります。

企業で働くことをめざす職業学科もあります。ただし東京・大阪の例では、応募資格は知的障害です
「高等特別支援学校」「高等支援学校」などと呼ばれる、職業教育に力を入れた高等部の学校や学科があります。名前も仕組みも都道府県によって違うため、ここでは要項を確認できた2つの例を挙げます。
東京都の例:就業技術科(5校)と職能開発科(7校)
東京都教育委員会の「令和9年度入学者 東京都立知的障害特別支援学校高等部就業技術科及び職能開発科入学者選考について」では、両学科の対象を「将来、企業への就労を目指す者」、1学級10名としています。応募資格の1つめは「知的障害がある者」で、出願には「知的障害の程度が証明できるもの(愛の手帳(療育手帳)の写し又は医師診察記録)」が要ります。
- 出願の前に、志願する学校で個別説明を受ける(令和9年度入学者は2026年11月2日まで)
- 選考は調査書・適性検査・面接。適性検査などは2026年11月14日の予定
- 就業技術科を置く学校は5校、職能開発科を置く学校は7校
出典:東京都教育委員会「令和9年度入学者東京都立知的障害特別支援学校高等部就業技術科及び職能開発科入学者選考及び概要説明について」(選考の流れ・概要説明のPDF。2026年9月確認)
大阪府の例:知的障がい高等支援学校の職業学科
大阪府の令和8年度(2026年春入学)の実施要項では、応募資格に「療育手帳を所持している者又は児童相談所等の公的機関により知的障がいを有すると判定を受けた者」と「自主的な通学が可能である者」が並びます。選抜の資料は調査書・推薦書・面接・適性検査で、適性検査は読み・書き・指示理解・作業などの基礎的な分野です。要項は中学校に対し、職業に関する専門学科であることや、通学バスと学校給食がないことなどを志願者に伝えるよう求めています。
出典:大阪府「令和8年度大阪府立知的障がい高等支援学校職業学科入学者選抜実施要項」(2026年9月確認)
どちらも、知的障害があり、企業で働くことをめざす生徒のための学科です。知的障害を伴わない発達障害だけでは、応募資格に当てはまりにくい設計になっています。お住まいの都道府県の要項は、都道府県教育委員会のホームページで確かめられます。ここで挙げたのは2都府の例で、ほかの道府県も同じとは限りません。
高校で受けられる支援は3つ。ただし、どれも「申し出」や「相談」から始まります
知的障害を伴わない発達障害のある生徒の多くは、高校に進みます。高校で使える仕組みを、根拠の条文と一緒に並べます。
| 支援 | 中身と根拠 | 高校での現状 | 最初の一歩 |
|---|---|---|---|
| 通級による指導 | 障害に応じた特別の指導を、教育課程に加えるか、その一部に替えて行う(施行規則第140条。自閉症・学習障害・注意欠陥多動性障害などが対象)。年間7単位まで卒業に必要な単位に加えられる | 2018年度から。受けた高校段階の生徒は2,371人(2024年3月31日現在・0.08%) | 志望校や都道府県教育委員会に、実施しているかを聞く |
| 合理的配慮 | 本人や保護者から意思の表明があったとき、負担が過重でない範囲で社会的障壁を取り除く(障害者差別解消法第7条・第8条) | 公立は2016年4月から、私立も2024年4月1日から提供が義務 | 困りごとと、してほしい配慮を具体的に伝える |
| 個別の教育支援計画 | 医療・福祉などの関係機関と連携して、長期的な支援を計画する | 通級を受ける生徒は作成が義務(施行規則第141条の2)。ほかの障害のある生徒は作成に努める(高等学校学習指導要領) | 中学校で作った計画を、高校に引き継いでもらう |
出典:学校教育法施行規則 第134条の2・第140条・第141条の2/障害者差別解消法 第7条・第8条(e-Gov)/文部科学省「障害に応じた通級による指導の手引」抜粋/高等学校学習指導要領 第1章 総則/内閣府「障害者差別解消法」/特別支援教育資料(令和6年度)(2026年9月確認)
高校段階で通級を受けた2,371人の内訳は、自閉症963人、注意欠陥多動性障害681人、情緒障害391人、学習障害259人などで、発達障害の区分が多くを占めます。この数字には通信制高校も含まれます。
高校には、法律の上では特別支援学級を置くこともできます(学校教育法第81条第2項)。ただ、特別支援教育資料(令和6年度)の在籍者数の表では、高校段階の特別支援学級の欄は「-」で、在籍者は計上されていません。小中学校で特別支援学級にいた生徒も、高校では通常の学級に在籍し、通級や配慮を組み合わせる形になるのが一般的です。
合理的配慮は、法律の言葉でも「意思の表明があった場合」に提供するものです。待っていても始まらないことがあるので、入学前の面談などで、困りごとを具体的に伝えておきましょう。学校での人間関係のつまずきと、通級・合理的配慮の使い方は、発達障害 高校生 友達できないの記事でも書いています。

中学の特別支援学級を卒業した人の約6割は高校等へ。全日制・定時制・通信制の違いは「通い方」です
特別支援教育資料(令和6年度)によると、2024年3月に中学校の特別支援学級を卒業した32,185人のうち、19,151人(59.5%)が高校等(高等学校・中等教育学校後期課程・高等専門学校)へ、11,004人(34.2%)が特別支援学校の高等部へ進みました。障害の種類を分けていない合計ですが、特別支援学級から高校に進む道が少数派ではないことが分かります。
高校といっても、全日制・定時制・通信制で通い方が大きく違います。どの課程でも、卒業すれば高等学校卒業です。
| 課程 | 修業年限(学校教育法第56条) | 通い方 | 負担が軽くなりやすい困りごとの例 |
|---|---|---|---|
| 全日制 | 3年 | 平日の昼間に毎日通う | 集団の中で過ごせて、通級や配慮で学習の困りごとを補える場合 |
| 定時制 | 3年以上 | 1日の授業時間が短い。昼間・夜間など時間帯を選べる学校もある | 長時間の授業や、朝早い登校が負担な場合 |
| 通信制 | 3年以上 | レポート(添削指導)・スクーリング(面接指導)・試験で単位を修得。卒業には74単位以上 | 教室の人数や音・光などの刺激、対人関係の負担が大きい場合 |
※右の列は制度の仕組みから見た一般的な目安です。実際の登校日数やクラスの人数は学校ごとに違います。
全日制に入ったあとで通信制に移る場合、在籍したまま移る「転入」なら、それまでの単位と在籍期間を引き継げます(高校 転入)。欠席が続いたときの進級の目安は高校 出席日数、3つの課程の違いの詳細は定時制 通信制 全日制 違いの記事にまとめています。
進路は「知的障害の有無」「卒業後にしたいこと」「毎日通えるか」の3つの軸で比べます
| 今の状況 | 検討しやすい進路 | 確かめること |
|---|---|---|
| 知的障害があり、生活や働く力を少人数で身につけたい | 特別支援学校高等部 | 都道府県の入学相談の時期、必要な書類(療育手帳など) |
| 知的障害があり、企業で働くことをめざしている | 高等部の職業学科(東京の就業技術科・大阪の高等支援学校など) | 応募資格、選考の内容、個別説明の時期 |
| 知的障害はなく、大学・専門学校や一般の就職を考えている | 高校(全日制・定時制・通信制)と、通級・合理的配慮の組み合わせ | 通級の実施、配慮の相談窓口、中学校からの引き継ぎ |
| 知的障害はなく、毎日の登校や集団がつらい | 通信制高校(必要に応じてサポート校を併用) | スクーリングの形と日数、配慮の相談先、費用 |
| うつ病などの精神疾患があり、継続した医療が必要 | 主治医と相談のうえ、病弱の特別支援学校も選択肢に | 主治医の意見、都道府県教育委員会への相談 |
※表は制度から見た一般的な目安で、どの進路が合うかは一人ひとり違います。
通信制高校の選び方の全体像は通信制高校 選び方、費用の目安は通信制高校 学費で整理しています。発達特性のある生徒が通信制高校を選ぶときの確かめ方は通信制高校 発達障害、学校に行けない時期が続いてからの転校は発達障害 不登校 通信制高校 転校の記事で詳しく書いています。
よくある誤解は3つ。「表で決まる」「高等部は大学に行けない」「高校では支援がない」
誤解1:施行令の表に当てはまるかどうかで、行く学校が決まる
2013年9月の施行令の改正からは、障害の状態に加えて、教育的ニーズや本人・保護者の意見などを総合的に見て学びの場を決める仕組みです。高等部はさらに、都道府県ごとの入学者の選考があります。表は「特別支援学校に入学可能な障害の程度」を示すもので、それだけで行き先が決まるものではありません。
誤解2:特別支援学校の高等部を出ても、大学には行けない
入学資格はあります(学校教育法第90条第1項)。2024年3月の卒業生でも、聴覚障害の区分では43.7%、視覚障害の区分では37.0%が進学しています。全体の進学率が1.8%なのは、卒業生の88.3%が知的障害の区分で、その進路の中心が就職と社会福祉施設等の利用だからです。
誤解3:高校に進んだら、支援は受けられない
高校にも通級による指導・合理的配慮・個別の教育支援計画の仕組みがあります。ただし、通級を受けている高校段階の生徒は0.08%と少なく、実施しているかは学校ごとに確かめる必要があります。「支援がある高校」を探すというより、志望校で何ができるかを入学前に聞いておくという考え方が現実的です。
選択肢の1つとしてのニジ高(正直な注意点)
知的障害を伴わない発達障害があり、「高校卒業の学歴はほしい。でも毎日の通学や教室の環境がつらい」という場合は、通信制高校とサポート校を組み合わせる方法もあります。
NIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制高校サポート校です。全国どこからでも自宅から参加でき、カメラやマイクをオフにして、チャットだけで参加するところから始められます。生活リズムに波があっても学べる設計で、中学内容の学び直しや授業のアーカイブ視聴にも対応しています。ニジ高は、発達特性や障害を、本人を変えるのではなく学びの構造や環境を変えることで支援するという新しいアプローチを取っています。転入・編入もでき、出願費用は無料です。不登校の生徒を650名以上サポートしてきました(グループ全体)。小中学生の学びの場としては姉妹事業のNIJINアカデミーがあり、ニジ高はその高等部でもあります。
ただし、はじめに正直にお伝えしておくことがあります。
- ニジ高そのものは高校ではありません。高校卒業の資格は、提携する通信制高校に在籍して取ります。
- 学院内でのスクーリングはありませんが、提携する通信制高校のスクーリングには参加が必要です。ニジ高が行うのは日程の調整と準備の支援で、スクーリングの場にニジ高のスタッフは付き添いません。
- 通級による指導や、スクーリング・試験での配慮は、在籍する通信制高校に相談して決めるものです。どこまで対応できるかは、個別相談会で具体的に確かめてください。
- 知的障害があり、生活や働く力を少人数で身につけたい場合は、特別支援学校の高等部のほうが合うこともあります。
- 診断や服薬の判断は、主治医や専門機関にご相談ください。
- 費用は、提携校の分とニジ高の分の両方がかかり、ニジ高の分に就学支援金は使えません。金額は学費のご案内に載せています。
迷ったときの進め方(3ステップ)
- 知的障害の有無と、困りごとの場面を書き出す。療育手帳や検査の結果があるか。学習・対人関係・音や光などの感覚・生活リズムのどこで困っているか。知的障害の有無がはっきりしないときは、主治医や専門機関に相談します。
- 高等部の要項と、高校の支援を並べて調べる。お住まいの都道府県の高等部の入学相談・選考の時期(東京都の職業学科の例では、令和9年度入学者の個別説明は2026年11月2日まで)と、志望する高校の通級・配慮の窓口を、同じ時期に確かめます。片方だけ調べると、あとから比べられなくなります。
- 中学校の「個別の教育支援計画」を進学先に引き継いでもらう。どちらに進んでも、これまでの配慮の中身を次の学校に伝えることが、支援の出発点になります。
3つとも、進学先を決める前から始められます。通信制高校やサポート校も候補に入れて比べたい場合は、ニジ高のよくある質問もあわせてご覧ください。


高校卒業を、家から少しずつめざす形もあります
ニジ高はオンライン中心の通信制高校サポート校です。カメラやマイクをオフにして、チャットだけの参加から始められ、転入・編入もできます。ただし学院は高校ではなく、卒業資格は提携する通信制高校で取り、そのスクーリングへの参加が必要です。配慮の相談先も含めて、個別相談会でお確かめください。
よくある質問
Q. 知的障害のないASDやADHDでも、特別支援学校の高等部に入れますか?
A. 特別支援学校の対象は学校教育法第72条の5つの障害で、発達障害という区分はありません。東京都の職業学科や大阪府の高等支援学校の要項でも、応募資格は知的障害があることでした。ただし、うつ病などの精神疾患で継続した医療が必要な場合は、病弱の特別支援学校が対象になることがあります。最終的には、お住まいの都道府県の教育委員会や特別支援学校の入学相談で確かめてください。
Q. 特別支援学校の高等部を卒業したら「高卒」になりますか?
A. 特別支援学校は高等学校とは別の学校なので、学歴は「特別支援学校高等部卒業」です。ただし大学の入学資格は学校教育法第90条第1項で認められていて、専門学校の入学資格もあります。求人の「高卒以上」にあたるかどうかを国がまとめた資料は確認できなかったため、応募先に確かめてください。
Q. 療育手帳がないと、高等部には出願できませんか?
A. 東京都の就業技術科・職能開発科では、愛の手帳(療育手帳)の写しか医師の診察記録で知的障害の程度を示します。大阪府の高等支援学校では、療育手帳か、児童相談所などの公的機関による知的障がいの判定です。ほかの道府県や普通科の扱いは、それぞれの要項で確認が必要です。
Q. 高校で通級による指導は受けられますか?
A. 高校の通級による指導は2018年度から始まり、年間7単位まで卒業に必要な単位に加えられます。受けている高校段階の生徒は2,371人(2024年3月31日現在)と少なく、実施しているかは学校によって違います。志望校や都道府県の教育委員会に、入学前に聞いておくと安心です。
Q. 高校に入ってから、特別支援学校の高等部に移ることはできますか?
A. 高等部の対象は入学のときと同じ5つの障害です。文部科学省の手引は、発達障害のある子の中には、成長とともにうつ病などの症状がはっきりし、特別支援学校(病弱)で学ぶことが必要になる子もいて、高等部などに転校してくることも多いと書いています。手続きや受け入れの条件は都道府県ごとなので、在籍している高校と教育委員会に相談してください。
「入れるかどうか」より、「どこなら学び続けられるか」で考えてみてください
特別支援学校の対象ではないと言われても、それはお子さんに合う場所がないという意味ではありません。制度の上では、高校の側にも、通級や合理的配慮、支援計画の引き継ぎといった道具が用意されています。
特別支援学校の高等部か、高校か。どちらが正解というより、知的障害の有無、卒業後にしたいこと、毎日通えるかどうかで、合う場所が変わります。進学先が決まる前の段階でも、要項を1つ読み、中学校の先生に1つ質問するだけで、選べる道の形は見えてきます。
家から少しずつ学ぶ形も含めて考えたいときは、迷っている段階の相談からお受けしています。
特別支援学校か高校か、決める前の段階の相談からお受けしています
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