「自分で絵本をつくってみたい。」
一人の生徒のそんな“やってみたい”から、新しいプロジェクトが始まりました。
集まったのは、絵を描くことが好きな子、オリジナルキャラクターをつくっている子、空想の世界を考えることが大好きな子。
年齢も、得意なことも、つくりたい世界も違います。
今回、その子どもたちと一緒に絵本づくりに挑戦してくださるのは、長年絵本づくりを教えている早川先生。
「絵本を完成させる」だけではない、自分自身を表現するプロジェクトがスタートしました。
「どんなお話にする?」から始めなくていい

初回のミーティングでは、それぞれが自己紹介をしながら、「どんな絵本をつくりたいか」を話しました。
「家族に読んでもらいたい」
「読んだ人がワクワクする絵本にしたい」
「自分でつくったキャラクターをもっと知ってもらいたい」
「人を楽しませられるものをつくりたい」
一人ひとり、すでに頭の中には違う世界が広がっています。
そんな子どもたちに、早川先生が伝えてくださったのは、意外な言葉でした。
「まず、長いお話を考えなくていい。」
絵本というと、
「ストーリーを考えなくちゃ」
「きれいな絵を描かなくちゃ」
と思ってしまいます。
でも大切なのは、その前にあるもの。
「自分は何を伝えたいんだろう?」
ということでした。
絵本は、自分を表現するもの

早川先生は、絵本づくりを「歌をつくる感覚」に近いと教えてくださいました。
うれしいときに、思わず鼻歌が出てしまう。
そんなふうに、自分の中からあふれてくる気持ちを、絵と言葉にしていく。
そして、こんな言葉も。
「絵本は、総合芸術なんだよ。」
絵が上手だから、いい絵本になるわけではありません。
大切なのは、
「私はこれを表現したい」
というものがあること。
自分にしか描けない線でもいい。
自分にしか思いつかない世界でもいい。
「こう描かなければいけない」という正解ではなく、自分の世界を紙の上に出していくことが、絵本づくりの始まりです。
「変わった発想」が、その子だけの作品になる
今回参加しているメンバーの中には、自由な空想を考えることが大好きな子もいます。
「空からプリンが降ってきたら?」
「滑り台がレインボーに光ったら?」
大人からすると、
「どうしてそんなこと思いつくの?」
と思ってしまうような発想です。
でも、その発想こそ、その子にしかないものかもしれません。
誰かと違うこと。
少し変わっていること。
頭の中に自分だけの世界があること。
それは、直すものではなく、作品を生み出す力になる。
絵本づくりを通して、「こんな自分もいたんだ」と自分自身を再発見していく時間にもなりそうです。
うれしかったことも、モヤモヤも「絵本の種」
次回までに取り組むことは、意外にも「絵を描くこと」ではありません。
まずは、これまでの自分を振り返ります。
うれしかったこと。
悲しかったこと。
一生懸命頑張ったこと。
なぜか忘れられない出来事。
モヤモヤしたこと。
そして、頭の中に浮かんでいる妄想。
そうしたものを、思いつくだけ書き出していきます。
早川先生は、
「そこに絵本の種がある」
と教えてくださいました。
嫌だったことやモヤモヤを表現すれば、自分の中にあった気持ちが少し外へ出ていく。
逆に、うれしかったことや「やった!」という経験を作品にすれば、その喜びを誰かと共有することができます。
絵本づくりは、作品をつくるだけではなく、自分自身を知る時間でもあるのかもしれません。
「好き」が、本物の学びにつながっていく
「絵を描くのが好き」
「物語を考えるのが好き」
「自分のキャラクターを広めたい」
最初は、一人ひとりの小さな「好き」から始まりました。
でも、
「絵本をつくってみたい」
と声に出したことで仲間が集まり、絵本づくりのプロと出会い、本格的な作品づくりが始まりました。
ニジ高が大切にしているのは、先生から与えられた課題をこなすことだけではありません。
自分の「好き」や「やってみたい」を起点に、仲間や社会とつながり、実際に形にしていくこと。
今回の絵本プロジェクトも、そんな学びの一つです。
これから、一人ひとりの中にある「絵本の種」が、どんな作品に育っていくのでしょうか。
完成した絵本はもちろん、
その過程で子どもたちがどんな自分に出会っていくのか。
これからの絵本づくりプロジェクトも、お届けしていきます。

