通信制高校でコミュニケーション能力は身につく?|大学・社会で評価される力【2026】

「通信制高校に行ったら、人と話す機会が減って、コミュニケーション能力が落ちてしまうのでは」。お子さんの進路を考えるとき、こうした不安を抱く保護者の方は少なくありません。いまでも人づきあいが苦手なのに、家で過ごす時間が増えたら、大学や社会に出たときに困るのではないか。その心配は、お子さんの将来を真剣に考えているからこそ生まれるものです。

先に結論を書きます。通信制高校でコミュニケーション能力が身につくかどうかは、「通信制かどうか」よりも、「人と関わる場がどう設計されているか」で決まります。そしてコミュニケーション能力は、たくさん話す力だけではありません。相手の話を聞く力、文章やチャットで伝える力、チームの中で役割を持つ力も、企業や大学がきちんと見ている力です。

この記事では、経済産業省・経団連・文部科学省の資料を実際に開いて確かめた内容をもとに、大学と社会で評価される力の中身と、それが育つ通信制高校の見分け方を整理しました。

今の学校に毎日通うのが難しい場合や、人との関わり方を自分のペースで取り戻したい場合は、オンラインという選択肢もあります。NIJIN高等学院(ニジ高)は「オンラインで最高の青春を」を掲げる通信制高校サポート校で、全国の仲間とオンラインでつながり、企業や地域と関わるプロジェクトや、生徒が自分たちで企画する行事に挑戦できます。カメラやマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、全国にNIJINアカデミー(ニジ高はその高等部)のリアルの教室があり、リアルでの通学もご検討いただけます。ニジ高は高校ではないため、卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングには参加が必要です。どんな学校なのかは、校長・星野達郎のYouTubeでも見られます。

目次

結論:通信制高校でコミュニケーション能力は身につくかの早見

  • 身につくかどうかは、学校の種類より「関わる場の設計」で決まります。映像を見てレポートを出すだけの学び方なら人と話す機会は少なく、少人数のクラスやプロジェクトがあれば関わりは自然に増えます。
  • コミュニケーション能力は「話す量」ではありません。経済産業省の社会人基礎力は、チームで働く力として発信力・傾聴力・柔軟性・情況把握力・規律性・ストレスコントロール力の6つを挙げています。聞く力も、文章で伝える力も立派な力です。
  • 企業は「人と仕事を進める力」を見ています。経団連の2018年度調査では、選考で特に重視した点の1位が「コミュニケーション能力」(82.4%)でした。2022年公表の調査では、期待する資質の上位が「主体性」(84.0%)と「チームワーク・リーダーシップ・協調性」(76.9%)です。
  • 大学入試でも、人と関わった経験は評価の材料になります。総合型選抜では、面接(集団討論やプレゼンテーションを含む)による評価と、本人が書く活動報告書などの活用が実施要項で求められています。
  • 通信制高校でも、人と関わる学びは制度に組み込まれています。特別活動(ホームルーム活動を含む)は卒業までに30単位時間以上、総合的な探究の時間は全員が履修します。
  • 苦手なお子さんほど「段階を踏める場」を選ぶのが近道です。見学だけ、チャットで一言、少人数で話す、と少しずつ進められるかを確かめます。
  • ニジ高は1クラス8人の担任制で、チャットだけの参加から始められるサポート校です。高校ではないため、卒業資格は提携する通信制高校で取ります。
オンラインで学ぶNIJIN高等学院の生徒

NIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制サポート校です。全国どこからでも。カメラ・マイクはオフのままで大丈夫です。

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「通信制だとコミュ力が落ちる」かどうかは、通信制かどうかより「関わる場の設計」で決まります

通信制高校の学びの中心は、レポート(添削指導)、スクーリング(面接指導)、試験の3つです。レポートを家で進め、年に何日かのスクーリングに出るだけの学び方を選べば、たしかに人と話す機会は全日制より少なくなります。

一方で、通信制高校の中身は学校とコースによって大きく違います。文部科学省の令和7年度 通信制高等学校実態調査によると、通信制課程を置く高校は323校あり、在籍生徒は306,711人(2025年3月31日時点)です。週5日通うコースから、年に数日の集中スクーリングのコースまであり、オンラインでホームルームやプロジェクトを持つ学校もあります。同じ「通信制高校」でも、人と関わる時間は学校ごとにまったく違うのです。

もうひとつ知っておきたいのは、通信制高校に来る生徒の多くが、人との関わりにしんどさを抱えた経験を持っていることです。同じ調査では、2025年度の入学者77,998人のうち、中学3年生のときに不登校だった生徒が44,461人(57.0%)でした。教室の人間関係で疲れ切ってしまったお子さんにとって、毎日大勢の同級生と同じ教室で過ごす環境は、コミュニケーションを学ぶ場になるどころか、関わることそのものを怖くしてしまうことがあります。

ですから、問いの立て方を少し変えてみてください。「通信制高校でコミュ力は落ちるか」ではなく、「この学校には、お子さんが無理なく人と関われる場が、どんな形であるか」です。友達づくりや社会性がどう育つかの実際は、通信制高校 社会性の記事で詳しく書いています。この記事では、大学と社会で評価される力の中身と、その力が育つ環境の見分け方に絞ってお伝えします。

コミュニケーション能力は「話す量」ではありません。聞く・書く・チームで役割を持つも立派な力です

「コミュニケーション能力」と聞くと、初対面の人とすぐ打ち解けられる、人前で堂々と話せる、といった姿を思い浮かべる方が多いかもしれません。けれど、社会で求められている力はもっと幅の広いものです。

経済産業省は2006年に社会人基礎力を提唱し、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」と位置づけました。社会人基礎力は「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力と、12の能力要素でできています。平成29年度の研究会では、これをもとに「人生100年時代の社会人基礎力」として、自分を振り返りながら力を発揮することの大切さも加えられました。

このうち、人と関わる力に近いのが「チームで働く力」です。中身は、発信力・傾聴力・柔軟性・情況把握力・規律性・ストレスコントロール力の6つです。話す力(発信力)は6つのうちの1つにすぎません。相手の話をきちんと聞く力、自分と違う意見を受け止める力、周りの状況を見て自分の役割を考える力、約束や決まりを守る力、ストレスとうまくつきあう力も、同じように「人と働く力」として並んでいます。

チームで働く力の要素 具体的な姿 口数が少なくても育てやすい場面
発信力 自分の考えを分かりやすく伝える チャットや文章で意見を書く、発表資料を作る
傾聴力 相手の話を丁寧に聞き、意見を引き出す 話し合いで聞き役・記録役を担う
柔軟性 意見や立場の違いを理解する ほかの人の案を読み、良いところを見つける
情況把握力 自分と周りの人や物事との関係を理解する プロジェクトで誰が何をしているかを整理する
規律性 社会のルールや人との約束を守る 期日を決めてレポートを出す、連絡を返す
ストレスコントロール力 ストレスの発生源に対応する 疲れたら休む、困ったら担任に相談する

出典:経済産業省「社会人基礎力」(能力要素の名前は経済産業省の資料どおり。具体的な姿・場面の列は編集部が整理したもの)

この表を見ると、人づきあいが苦手なお子さんにも、すでに持っている力があることに気づくはずです。話すのは苦手でも、人の話はよく聞いている。口では言えなくても、文章にすると考えがまとまっている。約束を守ることはきちんとできる。こうした力は、コミュニケーション能力が「無い」のではなく、形が違うだけです。

高校の授業も、話す力だけを求めているわけではありません。高等学校学習指導要領(平成30年告示)の国語の必履修科目「現代の国語」は、内容を「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」に分けています。聞くことと書くことは、話すことと並ぶ柱なのです。チャットで自分の考えを書いて伝えることも、れっきとしたコミュニケーションです。

明るい共有スペースの大きな木のテーブルで、高校生3人が付せんを使ってプロジェクトを進め、1人が説明し2人が聞いている。後ろで大人のスタッフが見守っている
話す人・聞いてまとめる人。役割を持って一緒に進める経験が、コミュニケーション能力を育てます。

企業が見ているのは「話がうまい人」より「人と仕事を進められる人」です

では、社会に出るとき、企業は実際に何を見ているのでしょうか。よく引用されるのが、経団連の企業アンケートです。

経団連の2018年度 新卒採用に関するアンケート調査結果(2018年11月22日公表、経団連の会員企業597社が回答、2019年4月入社対象)では、選考にあたって特に重視した点(20項目から5つを選択)の1位が「コミュニケーション能力」で82.4%、2位が「主体性」で64.3%でした。コミュニケーション能力は16年連続の1位です。

ただし、この数字は「話がうまい学生ほど採用される」という意味ではありません。同じ調査の上位には、3位「チャレンジ精神」(48.9%)、4位「協調性」(47.0%)、5位「誠実性」(43.4%)が並びます。人と協力して、誠実に、自分から動けるかどうか。企業が見ているのは、そういう総合的な「人と働く力」です。

その後の調査では、聞き方が変わっています。経団連が2022年1月に公表した採用と大学改革への期待に関するアンケート結果(2021年8〜10月に調査、381社が回答)では、大卒者に特に期待する「資質」と「能力」を分けて、それぞれ3つまで選ぶ形でした。

区分 上位の項目 回答の割合
特に期待する資質 主体性 84.0%
特に期待する資質 チームワーク・リーダーシップ・協調性 76.9%
特に期待する資質 実行力 48.1%
特に期待する能力 課題設定・解決能力 80.1%
特に期待する能力 論理的思考力 72.1%
特に期待する能力 創造力 42.6%
特に期待する能力 傾聴力 35.9%
特に期待する能力 発信力 35.1%

出典:経団連「採用と大学改革への期待に関するアンケート結果」(2022年1月18日)。資質・能力それぞれ3つまで選択、回答企業376社の割合

ここで注目したいのは、「傾聴力」(35.9%)と「発信力」(35.1%)がほぼ同じ割合で並んでいることです。企業は、話す力と同じくらい、聞く力を求めています。そして、それ以上に多くの企業が挙げているのが、主体性やチームで課題を解決する力です。「人と協力して、何かをやり遂げた経験」こそが、社会に出るときの強みになるということです。

経団連の2018年度調査で、企業が選考で特に重視した点の1位がコミュニケーション能力82.4%で16年連続1位、2位が主体性64.3%、3位がチャレンジ精神48.9%だったことを示す図
出典:日本経済団体連合会「2018年度 新卒採用に関するアンケート調査結果」をもとに作成

大学入試でも「人と関わった経験」は評価されます。総合型選抜では面接と本人の書類が柱です

大学進学を考えているご家庭にとっては、入試で何が見られるかも気になるところです。文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項(2026年5月27日通知)は、入学者選抜で「学力の三要素」をそれぞれ適切に把握するとしています。その3つ目が、「主体性を持ち、多様な人々と協働しつつ学習する態度」です。人と協力して学ぶ姿勢は、大学入試でも評価の対象として明記されています。

特に関係が深いのが総合型選抜です。実施要項は総合型選抜を、詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせ、入学志願者の能力・適性や学習に対する意欲、目的意識等を総合的に評価・判定する入試方法と定めています。そのうえで、次のことを求めています。

  • 活動報告書・大学入学希望理由書・学修計画書など、志願者本人が書く資料を評価に活用すること
  • 志望する学問分野への意欲や適性に関する面接による評価を行うこと。面接には、ディベート、集団討論、プレゼンテーション、口頭試問なども含まれ、オンラインでの実施も含まれます
  • 面接にあたっては、入学志願者の障害等の特性に配慮すること

活動報告書には、「総合的な探究の時間」で取り組んだ課題研究や、生徒会活動・部活動・ボランティア活動など、学校の内外で意欲的に取り組んだ活動を書くことが想定されています。実施要項は、スポーツ・文化活動やボランティア活動などの多様な経験を適切に評価することが望ましい、とも書いています。

高校が作る調査書にも、人と関わった記録が残ります。実施要項の「調査書記入上の注意事項」では、「総合的な探究の時間の記録」の欄に、どんな学習活動をして、どんな力が身についたかを書くこと、「特別活動の記録」の欄に、各活動・学校行事ごとに、十分に満足できる活動の状況であれば○印を付けることが定められています。大学には、調査書の学習成績の状況だけでなく、ほかの記載事項も有効に活用するよう求めています。

入試の方式 主な資料(実施要項) 人と関わった経験が出るところ
総合型選抜 詳細な書類審査と丁寧な面接等。本人の書類の活用と面接が求められる 面接(集団討論・プレゼンテーション等)、活動報告書、調査書
学校推薦型選抜 高校長の推薦に基づき、調査書が主な資料。面接が求められる(例外あり) 面接、推薦書、調査書の特別活動や探究の記録
一般選抜 学力検査・小論文等が主な資料。調査書や面接等を組み合わせる 大学によっては面接や本人の書類

通信制高校から総合型選抜を考える場合の学校選びは、総合型選抜 通信制高校の記事で5つの見分け方にまとめています。

面接で問われるのは話のうまさより、「何に取り組み、そこから何を考えたか」という中身です。語れる経験があれば、言葉は準備と練習で整えていけます。高校3年間で、人と一緒に何かに取り組んだ経験を持てるかどうか。これが、大学入試の面でも大切なポイントです。

日の当たる窓辺の机で、ヘッドホンをした女子高校生がタブレットのチャットに文字を打ち、オンラインのホームルームに参加している。奥のソファでは母親が本を読んでいる
チャットで書いて伝えることも、立派なコミュニケーションです。

通信制高校でも、特別活動30単位時間と総合的な探究の時間は全員に必要です

「通信制高校は勉強だけで、行事やホームルームは無いのでは」と思われることがありますが、制度の上ではそうではありません。ここでは、人と関わる学びが制度にどう組み込まれているかを確かめておきます。

高等学校学習指導要領の総則は、通信制の課程の特例として、特別活動をホームルーム活動を含めて、各々の生徒の卒業までに30単位時間以上指導すると定めています(特別の事情がある場合は、ホームルーム活動と生徒会活動の内容の一部を行わないことができる、とも書かれています)。特別活動の目標には、多様な他者と協働する集団活動の意義を理解すること、集団や自分の生活、人間関係の課題を見いだし、話し合って合意形成を図ることなどが挙げられています。まさに人と関わる力を育てる時間です。

総合的な探究の時間も、通信制を含めて全ての生徒が履修します。標準単位数は3〜6単位で、特に必要がある場合は2単位とすることができます。探究の進め方は学校によって違い、グループで課題に取り組む学校もあれば、個人の研究が中心の学校もあります。

一方で、特別活動の時間は、メディアを利用した学習で一部を減らすこともできます。実態調査では、特別活動の時間数をメディアを利用した学習で「10分の6以内」で減免している学校が323校中122校(37.8%)、「10分の8以内」で減免している学校が24校(7.4%)でした。つまり、特別活動をどんな形で、どのくらい実際に集まって行うかは、学校によって違うということです。

人と関わる学び 通信制での決まり 学校によって違うところ
特別活動(ホームルーム・生徒会・行事) 卒業までに30単位時間以上 集まる形(対面・オンライン)と頻度、メディアでの減免
総合的な探究の時間 全員が履修。標準3〜6単位 グループで取り組むか、個人の研究が中心か
現代の国語 必履修。「話すこと・聞くこと」を含む スクーリングでの話し合いや発表の有無
学校外の活動 校長が教育上有益と認めれば、ボランティア活動などの学修を単位として認められる(学校教育法施行規則第98条) インターンシップやボランティアの機会があるか

※2026年9月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。

通信制高校でのインターンシップ(就業体験)が単位になる条件や探し方は、通信制高校 インターンシップの記事で詳しく整理しています。

通信制高校でも、特別活動を卒業までに30単位時間以上、総合的な探究の時間を全員が標準3〜6単位履修し、必履修の現代の国語で話すこと・聞くことを扱うことを示す図
出典:文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」をもとに作成

コミュニケーション能力が育つ学校は、5つのポイントで見分けられます

制度で決まっているのは最低限の枠です。その枠の中でどれだけ人と関われるかは、学校の設計しだいです。説明会やパンフレットで確かめたい5つのポイントを並べます。

見るところ 育ちやすい学校のサイン 説明会で聞く質問
1. クラスの人数 顔と名前が覚えられる少人数のクラスがある 1クラスは何人ですか。担任はいますか
2. 参加の段階 見学だけ・チャットだけの参加から始められる カメラやマイクをオフにしても参加できますか
3. 双方向の時間 決まった時間に先生や同級生とやりとりする場がある 1週間に、人とつながる時間は何回ありますか
4. プロジェクト・行事 生徒が役割を持って企画や運営にかかわれる 行事やプロジェクトは誰が企画しますか
5. 学校の外とのつながり 企業や地域の人と一緒に取り組む機会がある インターンシップや企業との共同プロジェクトはありますか

この5つのうち、特に大事なのは2つ目の「参加の段階」です。人と関わる場がたくさんあっても、最初から顔を出して発言することが求められると、苦手なお子さんには入り口の段差が高すぎます。見ているだけの日があってもいい。チャットで一言だけ書く日があってもいい。そうした段階を踏める学校では、お子さんが自分のペースで関わりを広げていけます。

3つ目の「双方向の時間」も見落とされがちです。映像授業がどれだけ充実していても、それは一方向の学びです。実態調査の「現代の国語」の集計では、面接指導の一部に代えて行うメディア学習の種類として、インターネットによる同時双方向の指導を挙げた学校は323校中27校で、映像授業などの一方向の配信を挙げた学校のほうが多くなっていました(1校で複数を選べる集計)。少なくとも現代の国語では、メディアを使った学習は一方向の配信が中心の学校が多いからこそ、授業の外に人とつながる時間があるかを具体的に聞くことが大切です。

5つ目の学校の外とつながる機会も大切です。企業や地域の人と一緒に何かをする経験は、同年代との会話とは違う種類のコミュニケーションを育てます。参加は希望制か、準備を誰が手伝ってくれるかも聞いてみてください。

人づきあいが苦手な子・発達特性のある子は、「段階」と「休める場所」がある環境で力を伸ばしやすくなります

人と関わることに強い不安があるお子さんや、ASD(自閉スペクトラム症)などの発達特性があるお子さんの場合、「コミュニケーション能力を伸ばす」ことを急ぐと、かえって自信をなくしてしまうことがあります。大切なのは、本人を無理に変えることではなく、関わりやすい環境を選ぶことです。

いまの状態 最初の一歩として合いやすい形 学校で確かめること
人と話すのがまだ怖い チャットで参加する、見学だけする 顔出しや発言なしで参加できるか
大人数だと疲れる 少人数のクラスや小さなグループ 1クラスの人数、グループ活動の人数
急な予定変更が苦手 予定が前もって分かる活動 行事やスクーリングの予定をいつ知らせてくれるか
話すより書くほうが得意 文章・資料づくり・記録役で参加 発表以外の関わり方を認めてもらえるか
好きなことなら話せる 趣味や関心でつながるサークル・プロジェクト 生徒が自分でサークルや企画を立ち上げられるか

大学入試の面でも、実施要項は、障害のある入学志願者に対して必要な合理的配慮を行い、障害のない学生と比べて不利にならないよう配慮することを大学に求めています。試験時間の延長や特定試験場の設定などが例に挙げられています。進路を考えるとき、配慮を相談できる道があることも知っておいてください。ASDのあるお子さんの学校選び(スクーリングの形の確かめ方など)は、ASD 通信制高校の記事で詳しく書いています。

人間関係そのものに疲れているお子さんと通信制高校の相性は、人間関係 苦手 通信制高校の記事で、距離の取り方という視点から書いています。診断や服薬など、医療の判断が関わることは、主治医や専門機関にご相談ください。

よくある誤解は3つ。「全日制ならコミュ力がつく」「オンラインは人と関わらない」「話せないと総合型選抜は無理」

1つ目は「全日制に行けば、自然にコミュニケーション能力がつく」という誤解です。人と接する時間が長いことと、関わる力が育つことは同じではありません。大切なのは時間の長さより、安心して関われる経験の積み重ねです。

2つ目は「オンラインの学校は、人と関わらない」という誤解です。オンラインのホームルームやグループワーク、企画会議がある学校もあり、オンラインでのやりとりは社会に出てからも日常的に使う形です。オンラインかどうかではなく、双方向の時間があるかどうかで見てください。

3つ目は「話すのが苦手だと、総合型選抜は無理」という誤解です。先に見たとおり、本人が書く書類も評価に使われ、面接で問われるのは取り組んできた中身です。話すのが得意でないお子さんも、経験と準備で挑戦できます。

保護者の方が陥りやすい落とし穴も1つ書いておきます。それは、「コミュ力をつけさせなければ」と焦って、本人の準備ができる前に人の多い場へ押し出してしまうことです。人と関わる力は、安心できる場所で、小さな成功を重ねるなかで育ちます。まず休める場所があって、そこから少しずつ外へ。その順番を大切にしてください。

選択肢の1つとしてのニジ高(正直な注意点)

ここまで、学校を特定せずに見分け方をお伝えしてきました。そのうえで、私たちNIJIN高等学院(ニジ高)がどんな学校かも、判断の材料のひとつとして書いておきます。

ニジ高は、オンライン中心の通信制高校サポート校です。全国どこからでも、海外からも学べます。公式サイトでは、「通信制に足りなかった『対人感性・コミュニケーション』をプラス」することを特色に掲げています。担任制で、1クラス8人の少人数クラスです。また、「平均3日で友達ができる」ことを紹介しています。最初はカメラやマイクをオフにして、チャットだけで参加するところから始められます。メタバースの校舎で担任や同級生と集まるクラス会議の時間もあります。

人と関わる場も、授業の外にたくさん用意しています。生徒会やサークル、学園祭、企業コラボがあり、生徒が行事を企画・運営する側に回ることもあります。公式サイトでは、参加する側から企画・運営する側に回り、スポーツ大会を立ち上げようとしている生徒が「種目も、集める人も、場所も、自分たちで決める」と紹介されています。企業や地域と関わる社会共創プロジェクトがあり、希望者向けのプロジェクトとして、企業インターンとして出社することもできます。「オンラインで最高の青春を」「孤独を、青春に」という言葉のとおり、画面越しでも仲間と本気でつながれる学校をめざしています。校長の方針として、社会に一番近い学校をめざしています。

大学進学に向けては、総合型選抜に向けた小論文・面接・自己PRの講座に力を入れて取り組んでいます。プロジェクトやインターンの経験を、面接や本人が書く書類で語れる形にしていくことを大切にしています。

発達特性のあるお子さんについて、ニジ高は、本人を変えるのではなく、学びの構造や環境を変えることで支援するという新しいアプローチを取っています。診断や服薬など医療の判断は、主治医や専門機関にご相談ください。

正直にお伝えしておきたい注意点もあります。

  • ニジ高は高校ではありません。卒業資格は、提携する通信制高校で取ります。単位や評定、大学入試に使う調査書も、在籍する通信制高校のものです。
  • 提携する通信制高校のスクーリングへの参加が必要です。ニジ高の中でのスクーリングはありません。地元の会場で受けられる場合もあります。泊まりのあるスクーリングにニジ高のスタッフは付き添いませんが、日程の調整と準備の支援をします。スクーリングの形や日程は、個別相談会で詳しくご案内しています。
  • 費用は、提携する通信制高校の分とニジ高の分の両方がかかります。就学支援金は高校の授業料に充てられるもので、ニジ高の分には使えません。ニジ高の費用は学費のご案内をご覧ください。
  • 提携校以外の通信制高校に在籍したままでも、ニジ高を併用できます。N高等学校・ルネサンス高等学校・クラーク記念国際高等学校など、ほかの通信制高校の生徒も、在籍校はそのままでニジ高に通えます。その場合、卒業資格・スクーリング・評定は在籍する通信制高校のものになります。

迷ったときの進め方(3ステップ)

ステップ1:お子さんの「関われる形」を一緒に書き出します。「話すのと書くのはどちらが楽か」「何人くらいまでなら疲れないか」を、お子さんと話してみてください。社会人基礎力の6つの要素を見ながら、「これはできているね」と、いまある力を確かめるのもおすすめです。

ステップ2:候補の学校に、同じ質問をします。この記事の5つのポイント(クラスの人数・参加の段階・双方向の時間・プロジェクトや行事・学校の外とつながる機会)を、候補の学校すべてに同じように聞いてください。大学進学を考えているなら、「総合型選抜の面接や書類の準備を、誰が、どのくらい見てくれますか」も加えます。答えが具体的かどうかで、その学校の姿勢が見えてきます。

ステップ3:お子さん本人に、体験や説明会に出てもらいます。人との関わりは、雰囲気が合うかどうかが大きく影響します。顔を出さずに参加できるかを事前に聞いておくと、お子さんも参加しやすくなります。

ニジ高の体験説明会・個別相談は、体験説明会・個別相談のページから予約できます。何を聞けばよいか分からない状態で参加していただいてもかまいません。

植物のある相談室の丸いテーブルで、両親と高校生の息子が並んで座り、職員の説明を聞いてうなずいている
人と関わる場がどのくらいあるかは、個別相談で具体的に聞いてみるのが確実です。
オンラインで学ぶニジ高の生徒

チャット参加から、人と関わる力を少しずつ育てる

ニジ高は「オンラインで最高の青春を」を掲げ、通信制に足りなかった「対人感性・コミュニケーション」をプラスするサポート校です。1クラス8人で、チャットだけの参加から始められます。高校ではないため、卒業資格は提携する通信制高校で取り、そのスクーリングも必要です。体験説明会で、クラスの様子を見てみませんか。

体験説明会の日程を見る → LINEで気軽に相談する

よくある質問

Q. 通信制高校に行くと、コミュニケーション能力は下がりますか。

A. 通信制高校だから下がる、ということはありません。映像授業とレポートだけの学び方なら人と話す機会は少なくなりますが、少人数のクラスやホームルーム、プロジェクト、行事がある学校なら、関わる機会は自然に増えます。学校の種類より、人と関わる場がどう設計されているかで確かめてください。

Q. 企業が求めるコミュニケーション能力とは、どんな力ですか。

A. 話がうまいことだけではありません。経済産業省の社会人基礎力は、チームで働く力として発信力・傾聴力・柔軟性・情況把握力・規律性・ストレスコントロール力の6つを挙げています。経団連が2022年に公表した調査でも、期待する能力として「傾聴力」(35.9%)と「発信力」(35.1%)がほぼ同じ割合で選ばれ、資質では「主体性」と「チームワーク・リーダーシップ・協調性」が上位でした。

Q. 通信制高校からでも総合型選抜は受けられますか。

A. 受けられます。総合型選抜では、本人が書く活動報告書などの書類と、面接(集団討論やプレゼンテーションを含む)による評価が行われます。高校で取り組んだ探究やプロジェクト、行事などの経験が評価の材料になります。調査書は在籍する通信制高校が作るので、評定の出し方も入学前に確かめておくと安心です。

Q. オンラインのやりとりでも、コミュニケーションの練習になりますか。

A. なります。チャットで考えを書いて伝えることや、オンラインの話し合いで意見を出すことは、社会に出てからも日常的に使うコミュニケーションの形です。高校の国語の「現代の国語」も、「話すこと・聞くこと」と並んで「書くこと」を柱にしています。最初は文章から、慣れてきたら声で、と段階を踏むことができます。

話すのが苦手でも大丈夫。人と関わる力は、安心できる場所で少しずつ育っていきます

「うちの子はコミュニケーションが苦手だから」と心配しているとき、保護者の方の目には、お子さんのできないところばかりが映りやすくなります。けれど、よく聞いている、丁寧に書ける、約束を守れる、好きなことなら夢中で話せる。そうした力は、社会や大学がきちんと評価している「人と関わる力」の一部です。

人と関わる力は、無理に押し出された場所ではなく、安心できる場所で、小さな成功を重ねるなかで育ちます。通信制高校は、その場所を選び直せる学校でもあります。この記事の見分け方を手がかりに、お子さんが「ここなら関われそう」と思える学校を、焦らず一緒に探してみてください。

オンラインで学ぶニジ高の生徒

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