夜眠れない中学生・高校生|原因の切り分けと学校生活の立て直し方【2026】

布団に入っても寝つけない。気づけば空が白んでいる。そして朝、体が起き上がらない。夜眠れない中学生・高校生のご相談は、たいていこの順番で進みます。

先に結論を書きます。「眠れない」は1つの原因では説明できません。思春期に起きる体内時計のずれ、スマートフォンの使い方、不安、起立性調節障害、気分の落ち込み、発達特性——背景はいくつもあり、効く手当ては背景ごとに違います。だから最初にやることは、眠り方を変えることではなく、自分(あるいはお子さん)の眠れなさがどれに近いかを切り分けることです。

この記事は、厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」、日本小児心身医学会が一般向けに公開している疾患の解説、こども家庭庁「青少年のインターネット利用環境実態調査」、e-Govの学校教育法施行規則、文部科学省の通信制高等学校実態調査を、2026年9月30日に実際に開いて確認した内容で書いています。診断や治療をこの記事で決めることはできません。受診を考える目安も、公的な資料に書かれている範囲だけを書きました。寝つくための具体的な手順は中高生 入眠法の記事にまとめてあるので、この記事は背景の切り分けと、学校生活の立て直しに絞ります。

朝の学校に間に合わせるのが難しい場合や、体のリズムを立て直しながら高校生活を続けたい場合は、オンラインという選択肢もあります。NIJIN高等学院(ニジ高)は「オンラインで最高の青春を」を掲げる通信制高校サポート校で、全国の仲間とオンラインでつながり、企業や地域と関わるプロジェクトや、生徒が自分たちで企画する行事に挑戦できます。カメラやマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、授業のアーカイブ視聴にも対応しているので、体調に波がある時期でも学びを止めずにすみます。全国にNIJINアカデミー(ニジ高はその高等部)のリアルの教室があり、リアルでの通学もご検討いただけます。ニジ高は高校ではないため、卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングには参加が必要です。どんな学校なのかは、校長・星野達郎のYouTubeでも見られます。

目次

結論:夜眠れない中学生・高校生の、切り分けの早見

  • 中学・高校生に必要な睡眠時間の目安は8〜10時間(小学生は9〜12時間)です。厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」のこども版に、そのまま書かれています。
  • 思春期に夜型になるのは、体の仕組みの側にも理由があります。同じガイドに、思春期が始まる頃から睡眠・覚醒リズムが後退し、眠りに関わるホルモン(メラトニン)の分泌開始時刻が遅れる、と書かれています。意志の弱さの話ではありません。
  • 朝起きられない状態が続くときは、起立性調節障害という体の病気の可能性を考えます。日本小児心身医学会は、軽症を含めた有病率を中学生の約10%、不登校の約3〜4割に併存すると説明しています。
  • スマートフォンは「時間を減らす」より「置き場所を変える」ほうが先です。睡眠ガイドは、デジタル機器を寝室に持ち込まず電源を切って別の部屋に置くことを勧めています。
  • 受診を考える目安は、公的資料では「ガイドに書かれたことを実践しても症状が続くとき」。慢性不眠症の国際的な基準は、週3回以上・3か月以上という頻度と期間で区切られています。
  • 高校の出席日数に、国が決めた統一の基準はありません。単位が認められる条件は学校の規程で決まります。疾病による療養の場合には、学校教育法施行規則に特例の定めがあります。
  • 登校の時間帯そのものを変える方法として、通信制高校やサポート校(NIJIN高等学院など)があります。ただしニジ高は高校ではなく、卒業資格は提携する通信制高校で取ります。
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まず、中学・高校生に必要な睡眠時間の目安を知るところから始めます

眠れない夜が続くと、「自分は何時間眠れば足りるのか」という基準そのものが分からなくなります。基準がないまま「昨日は5時間しか眠れなかった」と数えても、不安が増えるだけです。そこで、公的な目安から確認します。

厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」のこども版は、推奨事項の1行目にこう書いています。小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保する。これは米国睡眠医学会が、睡眠に関する疫学調査と生理研究をもとに、各成長時期の心身の回復・成長に必要な時間を見積もったものを、日本のガイドが採り入れた数字です。

年齢 目安の睡眠時間 覚えておきたいこと
1〜2歳 11〜14時間 睡眠習慣が親の習慣に影響されやすい時期
3〜5歳 10〜13時間 4〜5歳以降は昼寝の必要性が下がる
小学生 9〜12時間 早起きを保ち、そこから逆算して寝る時間を決める
中学・高校生 8〜10時間 成人より長い時間が要る。夜ふかしが習慣になりやすい時期

出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」こども版(2026年9月30日確認)

ここで大事なのは、高校生までは成人よりも長い睡眠時間を必要とするとガイドがはっきり書いている点です。ガイド本文にも「一般的な認識よりも長い睡眠時間であることに驚くかもしれません」という一文があります。8時間眠れていないのに「自分は眠りすぎだ」と責めているなら、それは前提のほうがずれています。

もう1つ、ガイドは眠れる時間には上限があるとも書いています。身体が必要とする以上に布団の上で長く過ごすと、寝つくまでに時間がかかる、途中で目が覚める回数が増える、熟眠感が減るなど、かえって眠りの質が落ちることが分かっています。「早く布団に入って粘る」が効かないのには理由がある、ということです。

そして、厚生労働省の一般向け情報では、日本のこどもの睡眠時間は平均すると推奨時間を下回るか、下限付近だとも説明されています(出典:厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「こどもの睡眠」・2026年9月30日確認)。眠れていないのは、あなた一人の事情ではありません。

朝の台所で、高校生と母親が並んで朝ごはんを食べている様子
朝の光と朝食は、体内時計を整えるための土台になります。

思春期に夜型へずれるのは、意志の弱さではなく体の仕組みの話です

「早く寝なさい」と言われても眠れない。この現象には、ガイドがはっきり説明を与えています。

睡眠ガイド2023のこども版「夜ふかし・朝寝坊に対する注意」には、思春期が始まる頃から睡眠・覚醒リズムが後退し、睡眠の導入に関わるホルモン(メラトニン)の分泌開始時刻が遅れることで、夜寝る時刻が遅くなり、朝起きるのが難しくなる傾向がみられると書かれています。つまり、同じ時刻に布団に入っても、小学生のときより眠気が来にくくなっているのです。

そこに社会的な要因が重なります。ガイドは、部活動や勉強、友人とのつきあい、デジタル機器の使用で夜遅くまで活動することが増える一方、朝は学校に遅刻しないよう起きる必要があるため、睡眠不足になりやすく、睡眠負債が蓄積しやすいと説明しています。思春期以降、社会人になるまでの時期は、もっとも夜ふかし・睡眠不足・休日の朝寝坊が生じやすいという言い方です。

厄介なのは、休日の寝だめが逆に働くことです。ガイドは、学校のない休日に起床時刻を遅らせると午前中の時間帯に日光を浴びられず、睡眠・覚醒リズムがさらに後退しやすくなる、と指摘しています。平日に足りない分を土日に取り返す、という戦い方は、月曜の朝をいっそう重くします。

もう1つ、ガイドには「就寝時刻の先延ばし」というコラムがあります。特段の理由がないのに本来の就寝時刻をこえて夜ふかしをしている状態のことで、テレビを見続ける、ゲームが止められない、SNSで交流するといった余暇活動がその中身です。ここで書かれている注意は、先延ばしをやめることが余暇時間の減少をもたらす場合があり、適切な余暇活動が減るとストレスの増加や抑うつにつながる可能性があるという点です。ガイドは、就寝時刻付近の余暇時間を日中に十分補えるよう工夫するとよい、と勧めています。楽しみを全部取り上げる方向の対策は、公的な資料も推していません。

厚生労働省の健康づくりのための睡眠ガイド2023が、小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間の睡眠を参考にするよう推奨し、高校生までは成人より長い睡眠時間を必要とすると書いていることを示す図
出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」こども版(2026年9月30日確認)

眠れない背景は6つに分けて考えると、次の一歩が決まります

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。眠れない理由を1つに決めつけず、当てはまりそうなものを分けて見ていきます。当てはまるものが複数あってもかまいません。むしろ、重なっていることのほうが多いと言われています。

背景 出やすいサイン 次の一歩
生活リズムの後退 寝つくのが毎日少しずつ遅くなる。休日は昼まで眠る 朝の光と朝食の時刻から立て直す
寝る前のデジタル機器 布団の中で使い、気づくと1〜2時間たっている 置き場所を寝室の外に移す
不安・考え事 横になると学校や人間関係のことが頭を回り続ける スクールカウンセラーや公的な相談窓口へ
起立性調節障害 朝の起床困難に加え、立ちくらみ・頭痛・動悸。午後に軽くなる 小児科・かかりつけ医に相談する
気分の落ち込みが続く 食欲が落ちる、好きだったことに興味がわかない状態が続く 主治医・かかりつけ医、公的な相談窓口へ
発達特性が関わる場合 時間の見積もりや切り替えが難しく、就寝の準備に入れない 環境と手順のほうを変える工夫を試す

日本小児心身医学会の解説にも、この「重なり」を裏づける記述があります。概日リズム睡眠・覚醒障害の解説には、実行できない背景として傷つき体験などにより実行に至るだけの心のエネルギーが溜まっていないフェーズなのではないか、時間感覚の乏しさや優先順位づけ・取捨選択の困難さなど、認知・発達特性などの課題があるのではないかと、背景因子に目を向ける必要が書かれています。同じ解説は、保護者が就寝直前のスマートフォン・ゲーム機器の使用過多を問題視する一方で、塾や習い事による睡眠への悪影響には目をつぶる傾向があるとも指摘しています。

出典:日本小児心身医学会「概日リズム睡眠・覚醒障害」(2026年9月30日確認)

この6つのどれに近いかで、やることが変わります。生活リズムの後退なら光と食事の時刻、デジタル機器なら置き場所、体の症状を伴うなら受診。順番を間違えると、効かない努力を長く続けることになります。

スマートフォンは、使う時間より置き場所を変えるほうが実行しやすいです

こども家庭庁「令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査(速報)」によると、インターネットを利用していると答えた青少年の平日1日あたりの平均利用時間は約5時間27分で、前年度より約25分増えました。学校種別では高校生が約6時間44分、中学生が約5時間24分、小学生(10歳以上)が約3時間54分です。

出典:こども家庭庁「青少年のインターネット利用環境実態調査」(令和7年度速報。2026年9月30日確認)

この時間を半分にする、という目標は、ほとんどの家庭で実行できません。睡眠ガイド2023が勧めているのは、もっと具体的で小さな行動です。

ガイドが勧めていること そう書かれている理由
デジタル機器は寝室に持ち込まず、電源を切って別の部屋に置く 寝室の画面と睡眠時間・休養感の関係を調べた研究を、ガイドが根拠に挙げているため
寝そべりながら使うのを避ける 視聴距離が近くブルーライトを浴びやすく、寝つきや睡眠の質の悪化につながる
スクリーンタイムは1日2時間以下を目安にする 長時間の座位行動は肥満の増加や睡眠時間の減少と関連するため
家庭での電子機器使用のルールづくり 就寝時刻の先延ばしの予防に有効な場合があるため

出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」こども版(2026年9月30日確認)

ここで注意したいのは、ルールを親だけで決めて言い渡す形にすると、続かないどころか関係が悪くなることです。ガイドのコラムは、睡眠スケジュールの目標を決め、実践できるかを日々モニタリングする工夫と、家庭での電子機器使用に関するルールづくりの2つを並べて挙げています。決めるところから一緒にやるほうが、結果として長く続きます。

昼下がりの居間で、低いテーブルに向かってノートに書く高校生と、ソファで本を読むきょうだい
日中に誰かが同じ部屋にいるだけで、生活のリズムは戻りやすくなります。

光・朝食・運動・入浴は、公的資料で確認できた範囲だけを試します

睡眠にまつわる情報は、根拠のはっきりしないものが大量に流れています。ここでは、睡眠ガイド2023のこども版に実際に書かれている行動だけを表にします。

いつ すること ガイドの記述
朝 登校時や学校で日光を十分に浴びる 週末休日も普段と同じ時間に起床して日光を浴びる
朝 朝食を欠かさない 朝食を摂らない習慣は、睡眠・覚醒リズムの後退を促すと報告されている
日中 1日60分以上からだを動かす 適度な運動は良い眠りにつながる。運動はどの時間でも睡眠の質を改善する
夜 就寝前1時間以内の激しい運動は控える かえって睡眠の質を低下させる可能性がある

出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(2026年9月30日確認)

朝食と夜ふかしの関係は、悪循環として説明されています。夜ふかし・朝寝坊になると朝食の欠食が増え、それがさらに夜ふかし・朝寝坊を助長する、という順番です。そして夜ふかし・朝寝坊の習慣は慢性的な睡眠不足を伴うことが多い、とも書かれています。朝食を「食べさせる」ことが目的なのではなく、起きる時刻を固定する手がかりとして朝食が効く、という理解のほうが実際に近いと思います。

入浴については、睡眠ガイドのこども版に温度や時刻の具体的な指定は見当たりませんでした。ガイド全体では、良い睡眠には光・温度・音などの環境因子が重要だと整理されています。入浴の時刻や湯温の細かい数字は、この記事では書きません。寝つきの具体的な手順は中高生 入眠法の記事を見てください。

もう1つ、大事な考え方をガイドから引いておきます。ここに挙げた推奨事項は、個人差(健康状態、身体機能、生活環境等)を踏まえ、可能なものから取り組むことが必要だと書かれています。4つ全部を明日から始める必要はありません。

朝起きられない状態が続くときは、起立性調節障害の可能性を考えます

「夜眠れない」の相談で、いちばん見落とされやすいのがここです。日本小児心身医学会の解説を、そのまま確認します。

起立性調節障害(OD)は、立ち上がった時に頭痛、めまい、倦怠感などの症状が出る病気で、血圧や心拍数など循環器系の自律神経の調節に不調をきたすことが原因になる、と説明されています。思春期に発症しやすく、午前に症状が強いため、学校生活に支障をきたすことがあるとも書かれています。

数字も公開されています。ODの有病率は軽症例も含めて中学生の約10%、そして不登校の約3〜4割にODが併存するため、家族だけでなく学校の理解も大切になる、という記述です。

学会の解説にある項目 書かれている内容
主な症状 頭痛、立ちくらみ、めまい、朝の起床困難、怠さ、食欲低下、失神
症状の出方 午前に強く午後に軽減する傾向。立ったり座ったりすると強まり、横になると軽減。気圧変化の影響も受けやすい
睡眠との関係 夜に目がさえて寝られず、起床時刻が遅くなり、悪化すると昼夜逆転生活になることもある
疑うときの目安 立ちくらみ・失神・気分不良・朝の起床困難・頭痛・腹痛・動悸・午前中に調子が悪く午後に回復・食欲不振・車酔い・顔色が悪いなどのうち3つ以上、あるいは2つ以上でも症状が強いとき

出典:日本小児心身医学会「起立性調節障害」(2026年9月30日確認)

この表は、自分で診断をつけるためのものではありません。学会の解説にも、貧血・心疾患・てんかんなどの神経疾患・甲状腺などの内分泌疾患といった基礎疾患を除外したうえで、新起立試験という検査でサブタイプを判定する、という手順が書かれています。判断は医師の仕事です。相談先は、小児科やかかりつけ医になります。

ご家族に知っておいていただきたいのは、学会が治療の1つ目に「疾病教育」を挙げていることです。家族の多くがOD症状を精神的なもの、気持ちの問題と考えてしまい、子どもが怠けているからなどネガティブにとらえがちで、それが子どもにとって心理的ストレスとなり、自律神経を介してOD症状を悪化させてしまうと書かれています。「体の病気であると親子に丁寧に説明することで、親子とも不安を軽減できる」というのが学会の説明です。

回復の見通しについても記述があります。日常生活に支障のない軽症例では、適切な治療によって2〜3か月で改善し、学校を長期欠席する重症例では社会復帰に2〜3年以上を要する、とされています。体調の波と付き合いながら高校生活を続ける具体例は起立性調節障害 高校の記事にまとめています。生活リズムの整え方に絞った内容は起立性調節障害 生活リズムの記事にあります。

朝起きられない状態の背景には、中学生の約10%にみられる起立性調節障害、6割近くに起立性調節障害を合併する睡眠・覚醒相後退障害、週3回以上3か月以上続く慢性不眠症という別々の状態があることを示す図
出典:日本小児心身医学会の疾患解説、厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(2026年9月30日確認)

受診を考える目安は、公的な資料にはっきり書かれています

「どこからが相談すべき状態なのか」が分からず、何か月も様子を見てしまう。これがいちばん多い遠回りです。目安は2つの資料に書かれています。

1つ目は、睡眠ガイド2023の「睡眠障害について」です。ポイントとして、本ガイドを実践しても睡眠に関連する症状が続く場合、睡眠障害が潜んでいる可能性がある。睡眠障害が疑われる場合は、速やかに医療機関を受診すると書かれています。本文には、ガイドに書かれた事項を実践しても十分な時間眠れない、睡眠で休養感が得られない、日中の眠気が強いなどの症状が続き、それらが日中の生活に影響を及ぼしている場合は速やかに医師に相談しましょう、という言い方が出てきます。

2つ目は、日本小児心身医学会が紹介している睡眠障害国際分類(ICSD-3)の慢性不眠症の基準です。入眠困難・睡眠維持困難・早朝覚醒などの症状と、それによる日中の症状(疲労、注意力や集中力の低下、学業成績の低下、気分がすぐれない、日中の眠気など)があり、眠る機会や環境が適切であるにもかかわらず、少なくとも週に3回、少なくとも3か月間認められることが要件として並んでいます。

状態 公的資料での位置づけ 相談先の例
整え方を試しても症状が続く 睡眠障害が潜んでいる可能性(睡眠ガイド2023) かかりつけ医・小児科
週3回以上・3か月以上続く 慢性不眠症の基準に並ぶ頻度と期間(ICSD-3) かかりつけ医・小児科
朝起きられず立ちくらみや動悸を伴う 起立性調節障害を疑う目安(日本小児心身医学会) 小児科・かかりつけ医
極端な遅寝遅起きが固定している 睡眠・覚醒相後退障害の説明に当たる(睡眠ガイド2023) 小児科・かかりつけ医

この週3回・3か月というのは、慢性不眠症という診断名の基準に並ぶ数字で、3か月たつまで相談してはいけない、という意味ではありません。睡眠ガイドは、症状が日中の生活に影響している場合は速やかに医師に相談するよう勧めています。

出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」/日本小児心身医学会「不眠症・過眠症」(2026年9月30日確認)

睡眠ガイドには、見落としやすい関係も書かれています。睡眠・覚醒相後退障害の6割近くに起立性調節障害を合併すると報告されており、この状態になると二次的に学業の遅れや友人関係の障害が進行しやすいため、できるだけ早く医師に相談することが重要という記述です。夜ふかしが固定してしまった状態は、体の不調とセットで起きていることがある、ということです。

気持ちのほうがつらいときの窓口も書いておきます。文部科学省の24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)は、夜間・休日を含めて24時間、子供や保護者などが相談できる窓口で、通話料は無料と案内されています。厚生労働省のまもろうよ こころには、電話とSNSの相談窓口が一覧になっています。学校の中では、スクールカウンセラーや養護教諭も相談先になります。

朝の連絡は「理由の説明」より「今日どうするか」を先に伝えると続きます

起きられない朝に、いちばん体力を使うのが学校への連絡です。保護者が代わりに連絡することが多いと思いますが、そのときに毎回「なぜ起きられないのか」を説明しようとすると、電話そのものが重くなり、やがて連絡自体をしなくなります。

伝える内容は、実務的には3つに絞れます。

  1. 今日の扱い:欠席か、遅刻か、午後から行くか。決まっていなければ「午前の様子で決めます」でかまいません。
  2. 体の症状があるか:頭痛・立ちくらみ・動悸など、体の症状が出ているかどうかは、受診や配慮の判断材料になります。
  3. 受診の予定:医療機関にかかる予定があるかどうか。診断がついている場合は、学校に共有するかを本人と決めてから伝えます。

日本小児心身医学会は、起立性調節障害の治療の1つとして学校との連携を挙げ、学校関係者にODの理解を深めてもらい、受け入れ態勢を整えることを示しています。不眠症・過眠症の解説にも、場合によっては学校連携(日中の眠気に対しての酌量)などを積極的に取り組むことも有効という記述があります。つまり、学校に伝えることには意味があります。

文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日・元文科初第698号)には、支援は「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく社会的自立を目指す必要があること、児童生徒によっては不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがあること、が書かれています。毎朝の連絡の目的は、登校の可否を報告することではなく、学校とつながり続けることだと考えると、負担がだいぶ軽くなります。

出典:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(2026年9月30日確認)

高校の出席日数に、国が決めた統一の基準はありません

「何日休んだら留年なのか」という問いに、全国共通の答えはありません。高等学校に準用される学校教育法施行規則第57条第1項(第104条第1項による準用)は、各学年の課程の修了を認めるにあたって平素の成績を評価してこれを定める、と述べているだけで、出席日数の数字は書かれていません。何時間の欠課までなら単位を認めるかは、学校ごとの規程で決まります。多くの学校が授業時数の3分の2以上の出席を目安にしていますが、これは法令の数字ではありません。自分の学校の規程を見に行くのが、いちばん確実です。

一方で、法令にはっきり書かれている救いもあります。学校教育法施行規則第96条は、卒業に必要な74単位のうち、メディアを利用して行う授業(第88条の3)で修得する単位数について36単位という上限を定めていますが、第4項で、疾病による療養のためまたは障害のため、病院その他の適当な場所で医療の提供その他の支援を受ける必要がある生徒であって、相当の期間高等学校を欠席すると認められるものについては、この上限の規定によらないことができるとしています。

さらに第88条の4は、学校生活への適応が困難であるため相当の期間欠席し引き続き欠席すると認められる生徒や、疾病による療養のため相当の期間欠席すると認められる生徒などを対象として、教育上有益と認めるときは、授業に代えて通信教育を行うことができると定めています。

条文 定めている内容 読み方
施行規則 第96条第1項 卒業は74単位以上の修得で認める 単位が卒業の物差し。出席日数そのものではない
施行規則 第96条第2項・第3項 第88条の3のメディア授業で修得する単位数などに36単位の上限 自宅などでの履修には上限がある
施行規則 第96条第4項 疾病による療養・障害の場合は前2項によらないことができる 体調が理由の場合の特例
施行規則 第88条の4 授業に代えて通信教育を行うことができる 学校生活への適応が難しい場合も対象に含む

出典:e-Gov 学校教育法施行規則(2026年9月30日確認)

ここで注意したいのは、これらは「学校が行うことができる」と書かれた規定で、生徒の側が請求すれば当然に認められるものではないことです。実際に使えるかどうかは学校の判断になります。だからこそ、体の症状があるなら受診して記録を残し、学校と早めに話すことに意味があります。欠席の数え方と単位の関係は高校 出席日数の記事で詳しく整理しています。

通信制高校は、学ぶ時間帯と登校の回数を選べる仕組みです

体のリズムがどうしても朝に合わないとき、直せないものを直そうとするより、時間割のほうを変えるという手があります。その仕組みが通信制高校です。

通信制高校は、添削指導(レポート)・面接指導(スクーリング)・試験の3つで単位を修得します。卒業の条件は3年以上の在籍、74単位以上の修得、特別活動30単位時間以上で、これは全日制と同じ「高等学校卒業」になります。制度の全体像は通信制高校とはの記事にまとめています。

登校の回数には、実際に幅があります。文部科学省「令和7年度 通信制高等学校実態調査」(2026年8月31日公表・調査時点は2025年5月1日)で、通学頻度別コースの生徒数は合計300,406人。そのうち集中スクーリング型が86,961人(28.9%)、月1〜2回・自由登校などの「その他」が99,722人(33.2%)で、週5日通うコースは37,505人(12.5%)でした。

通学の頻度 生徒数 全体に占める割合
週5日 37,505人 12.5%
週1日 36,929人 12.3%
集中スクーリング型 86,961人 28.9%
その他(月1〜2回・自由登校など) 99,722人 33.2%

同じ調査には、添削課題は出しているがスクーリングに1日も来ていない生徒が8,097人(2.6%)いること、その理由として最も多く挙がったのが「心身に関すること」(161校が回答)であることも載っています。体調で登校が難しい生徒は、通信制の中でも珍しい存在ではない、ということです。

出典:文部科学省「令和7年度 通信制高等学校実態調査」(2026年9月30日確認)

いま全日制に在籍している場合、転学の道も法令に書かれています。学校教育法施行規則第92条第2項は、全日制の課程・定時制の課程・通信制の課程の相互の間の転学または転籍について、修得した単位に応じて相当学年に転入することができると定めています。第104条第3項は、校長は特別の必要があり教育上支障がないときは、学年の途中でも学期の区分に従って入学を許可できる、としています。年度の途中でも動ける、ということです。

※2026年9月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。

よくある誤解と、気をつけたい落とし穴

眠れない時期に、かえって状況を悪くしやすいものを並べます。

よくある考え方 公的資料から見た注意点
早く布団に入って粘れば眠れる 必要以上に布団の上で過ごすと、寝つきに時間がかかり、中途覚醒が増え、熟眠感が減ると睡眠ガイドに書かれている
休日に寝だめすれば取り返せる 起床時刻を遅らせると午前中に日光を浴びられず、睡眠・覚醒リズムがさらに後退しやすい
スマートフォンを取り上げれば解決する 余暇時間が減ることがストレスの増加や抑うつにつながる可能性がある、とガイドのコラムが注意している
午後は元気だから怠けている 午前に強く午後に軽減するのは、起立性調節障害の症状の出方そのもの

もう1つ、体調に波がある時期に進路を決めようとすると、判断が「いま動けるかどうか」に引っ張られます。いちばん体調が悪い日を基準に学校を選ぶと選択肢が狭くなり、いちばん元気な日を基準に選ぶと入学後につらくなります。1〜2週間、起きた時刻と体調を記録してから決めると、ふだんの自分に合う形が見えやすくなります。日本小児心身医学会も、睡眠日誌を子ども自身がつけて治療者と協働的に取り組むことに触れています。

朝が起きられない状態が学校に行きにくさへつながっている場合は、高校生 不登校 原因の記事も合わせて読んでみてください。

選択肢の1つとしてのニジ高(正直な注意点も書きます)

NIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制高校サポート校です。生活リズムに波があっても学べる設計で、授業のアーカイブ視聴に対応しているため、朝の時間に間に合わなかった日も、体が動く時間帯に学び直せます。カメラ・マイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、担任制で、毎週8人のクラス会議があります。毎週火曜12:30の全校ホームルームは、YouTubeのLIVE配信を見るだけの参加もできます。希望する生徒には、スタッフが1対1で伴走します。

発達特性や障害については、ニジ高は本人を変えるのではなく、学びの構造や環境を変えることで支援するという考え方を取っています。一律の基準に当てはめるのではなく、いまできることの少し先に課題を置き、学び方の仕組みのほうを変えることで、その子の得意が生きるようにする、という進め方です。中学範囲の学び直しにも対応しています。診断や服薬など医療にかかわる判断は、主治医や専門機関にご相談ください。ニジ高がするのは、その方針に合わせて学び方と時間の使い方を整えることです。

正直な注意点も書いておきます。

  • ニジ高は高校ではありません。卒業資格は提携する通信制高校、または在籍中の通信制高校で取ります。
  • 提携する通信制高校のスクーリングには参加が必要です。日程の調整と準備の支援はしますが、スクーリングにニジ高のスタッフは付き添いません。
  • 費用は在籍する高校の分とニジ高の分の両方がかかり、ニジ高の分に就学支援金は使えません。金額は学費のご案内をご覧ください。
  • オンライン中心なので、毎日通う場所がほしい方には合わない場合があります。

ニジ高は転入・編入による途中入学ができ、出願費用は無料です。

N高等学校・ルネサンス高等学校・クラーク記念国際高等学校など、いま在籍している通信制高校をそのままにして、ニジ高を併用する形もあります。その場合、卒業資格・スクーリング・単位・評定(調査書)は在籍する高校のものになります。小中学生のご家庭は、姉妹事業のNIJINアカデミー(オルタナティブスクール)もご覧ください。

迷ったときの進め方(3ステップ)

やることが多く見えるときは、この順番に絞ってください。

  1. 1〜2週間、起きた時刻・寝た時刻・日中の体調を記録します。スマートフォンのメモでかまいません。立ちくらみ・頭痛・動悸があった日には印をつけます。記録があると、受診したときの説明が短くてすみます。
  2. 体の症状があれば、小児科やかかりつけ医に相談します。症状がなく、生活リズムの後退が主な場合は、朝の光と朝食の時刻を固定するところから始め、デジタル機器の置き場所を寝室の外に移します。気持ちのつらさが強いときは、スクールカウンセラーや公的な相談窓口へ。
  3. 記録が1〜2週間分たまったら、学校の形も選択肢に入れます。いまの学校の欠課の数え方を担任に確認したうえで、通信制高校やサポート校の説明を聞いてみてください。体のことと進路のことは、同時に考えてかまいません。

通信制高校の選び方の全体像は、通信制高校 選び方のページにまとめています。

明るい相談室で、保護者と高校生がスタッフの説明を聞いている様子
眠れない状態が続くときは、進路の相談と合わせて医療にもつなげます。
オンラインで学ぶニジ高の生徒

朝が動かない時期でも、学び方のほうを変えて続ける形があります

ニジ高はオンライン中心の通信制高校サポート校です。カメラ・マイクはオフのままでよく、授業のアーカイブ視聴にも対応しているので、体調に波がある時期でも学びを止めずにすみます。個別相談会はオンラインで30分・無料、保護者の方だけでも参加できます。ただし学院は高校ではなく、卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングへの参加が必要です。

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よくある質問

Q. 何時間眠れば足りるのか分かりません。

A. 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」のこども版は、小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保することを推奨しています。ただし必要な睡眠時間には個人差があり、ガイドも個人差を踏まえて可能なものから取り組むことが必要だと書いています。時間数だけでなく、朝目覚めたときに休養がとれた感覚があるかも目安になります。

Q. 勉強時間を確保すると8時間眠れません。どうしたらいいですか。

A. 同じガイドのQ&Aに、この質問がそのまま載っています。回答は、良質な睡眠を適切な時間確保することで集中力が増し学習効率が向上すること、睡眠は学習した内容を強固にする役割も果たすことを挙げ、学力の向上と健康維持のためには勉強時間と睡眠時間のバランスをとることが大切だ、というものです。

Q. 起立性調節障害かどうか、家で判断できますか。

A. できません。日本小児心身医学会の解説では、症状から疑ったあと、貧血・心疾患・神経疾患・内分泌疾患などの基礎疾患を除外し、新起立試験を実施してサブタイプを判定する、という手順が示されています。判断は医師が行います。朝の起床困難に立ちくらみや動悸を伴うときは、小児科やかかりつけ医にご相談ください。

Q. 欠席が続いています。単位は取れなくなりますか。

A. 高校の出席日数に国の統一基準はなく、単位が認められる条件は学校の規程で決まります。まずは担任に、欠課の数え方と現在の時数を確認してください。学校教育法施行規則第96条第4項には、疾病による療養のためまたは障害のため相当の期間欠席すると認められる生徒について、自宅などでの履修の単位数の上限によらないことができるという定めがあります。ただしこれは学校が行うことができる規定なので、学校との相談が前提になります。

Q. 生活リズムが戻ってから転校を考えたほうがいいですか。

A. 順番は決まっていません。学校教育法施行規則第92条第2項は、全日制・定時制・通信制の相互の転学について、修得した単位に応じて相当学年に転入できると定めており、第104条第3項では学年の途中の入学も認められています。体調を整えることと、学校の形を調べることは、同時に進めてかまいません。判断に迷うときは、個別相談会で今の状況を話してみてください。

眠れない夜が続いても、進める道はいくつも残っています

眠れない時期は、時間の感覚が細くなります。夜は長く、朝は一瞬で、昨日と今日の区別がつかなくなる。そういうときに「意志が弱いからだ」と自分を責めるのは、体の仕組みからいってもおかしな話です。思春期に体内時計が後ろにずれることも、朝に症状が強く出る病気があることも、公的な資料に書かれている事実です。

やるべきことは、たくさんありません。1〜2週間の記録をつけること、体の症状があれば医師に相談すること、そして朝の光と朝食の時刻という2つの手がかりを戻すこと。この3つだけでも、切り分けは進みます。

そのうえで、学校の形が体に合っていないのなら、変えていい部分です。朝8時に教室にいることだけが、高校生活の条件ではありません。どの道を選ぶかを決める前の段階から、相談を受け付けています。

オンラインで学ぶニジ高の生徒

オンラインで、青春する。

受診の前後どちらでも、進路の相談から受け付けています

全国どこからでもカメラ・マイクはオフでOK転入・編入は随時受付

通信制高校サポート校 NIJIN高等学院(ニジ高)/出願費用は無料です。無理に勧めることはありません。


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