発達障害の高校生に友達ができない理由は?|ASD・ADHDの特性と居場所【2026】

「クラスに話せる人がいない」「休み時間がいちばんつらい」「グループを作ってと言われると固まってしまう」。発達障害(発達特性)のある高校生と、その保護者から、よく聞く悩みです。この記事は、本人と保護者の両方が読むことを考えて書いています。

先に結論を書きます。友達ができにくいのは、努力不足でも、親の育て方のせいでもありません。特性と今の環境の組み合わせで起きていることがあります。国の発達障害ナビポータルも、自閉スペクトラム症(ASD)について「子育ての結果によるものではありません」と書いています。そして、高校の中には通級による指導・合理的配慮・スクールカウンセラーという支えがあり、学校の外にもつながれる場があります。友達がいないこと自体を「問題」と決めつける必要もありません。

この記事は、発達障害ナビポータル(厚生労働省・文部科学省などが提供)、文部科学省の調査、e-Govの法令、こども家庭庁の指針、内閣府と警察庁の統計を実際に開いて確認した内容でできています。公式で確認できなかったことは、確認できなかったと書いています。診断や治療の判断は、主治医や専門機関にご相談ください。

今の高校の人間関係に疲れてしまった場合や、もっと自分らしくいられる場所を探している場合は、オンラインという選択肢もあります。NIJIN高等学院(ニジ高)は「オンラインで最高の青春を」を掲げる通信制高校サポート校で、全国の仲間とオンラインでつながり、企業や地域と関わるプロジェクトや、生徒が自分たちで企画する行事に挑戦できます。カメラやマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、全国にNIJINアカデミー(ニジ高はその高等部)のリアルの教室があり、リアルでの通学もご検討いただけます。ニジ高は高校ではないため、卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングには参加が必要です。どんな学校なのかは、校長・星野達郎のYouTubeでも見られます。

目次

結論:発達障害の高校生に友達ができないときの早見

  • 原因は本人の性格や親の育て方ではありません。ASDは「社会的コミュニケーション及び対人的相互反応」に持続的な困難がある特性で、国のポータルは子育ての結果ではないと明記しています。
  • ASDは暗黙のルールや会話の往復、ADHDは悪気のないすれ違いでつまずきやすいという違いがあります。ASDの人の60〜90%には、音や光などの感覚の問題があるとされ、騒がしい教室そのものが疲れの原因になることもあります。
  • 16〜19歳の約3割(31.4%)が、孤独を感じることが「ある」と答えています(内閣府・令和6年調査)。友達がいないと感じているのは、あなただけではありません。
  • 高校にも「通級による指導」があります。令和5年度は全国で2,371人が受け、年7単位まで卒業に必要な単位に数えられます。
  • 合理的配慮は「申し出」から始まります。公立高校は障害者差別解消法第7条、私立高校も2024年4月から第8条で、提供が義務になりました。
  • 学校の外にも、放課後等デイサービス、発達障害者支援センター、親の会・当事者団体、趣味やオンラインの場があります。こども家庭庁の指針は、居場所かどうかは本人が決めることとしています。
  • 環境を変えたい場合は、オンライン中心のサポート校(NIJIN高等学院など)で、少人数から人と関わり直す方法もあります。
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友達ができないのは、努力不足でも親の育て方のせいでもありません

まず、本人にも保護者にも伝えたいことがあります。「友達がいない」のは、誰かのせいで起きていることではありません。

厚生労働省・文部科学省などが提供する発達障害ナビポータルの「自閉スペクトラム症」のページ(2024年5月2日更新)は、ASDの原因を「遺伝と環境の相互作用」とし、複数の要因が関係しているとしたうえで、子育ての結果によるものではないと書いています。ADHD(注意欠如多動症)のページでも、同じ診断でも特性の強さやパターンには違いがあり、毎日を過ごす環境によって困難の現れ方も異なるとされています。

出典:発達障害ナビポータル「自閉スペクトラム症」/同「注意欠如多動症」(いずれも2026年9月確認)

数字も見ておきます。文部科学省が令和4年に行った調査では、公立高校(全日制・定時制)の通常の学級で、担任などから「対人関係やこだわり等」の問題を著しく示すとされた生徒は0.5%、学習面か行動面で著しい困難を示すとされた生徒は2.2%でした。これは担任などの回答で、医師の診断による数字ではありません。割合で見れば少数なので、教室の中で「自分だけが浮いている」と感じやすいのは自然なことだと言えます。

一方で、孤独を感じている若い人は少なくありません。内閣府の「人々のつながりに関する基礎調査(令和6年)」では、16〜19歳(306人)のうち、孤独感が「しばしばある・常にある」3.3%、「時々ある」13.4%、「たまにある」14.7%で、合わせて31.4%でした。

出典:文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(令和4年)」/内閣府「人々のつながりに関する基礎調査(令和6年)」(2026年9月確認)

そしてもう1つ。友達がいないこと自体は、直すべき問題ではありません。一人の時間で気力を取り戻す人もいれば、大人数より1人か2人と深く付き合うほうが楽な人もいます。問題になるのは、本人が「つらい」「寂しい」と感じているときや、からかい・いじめなど安全が脅かされているときです。この2つは、あとで場合分けして考えます。

発達特性とは関係なく、友達がいない高校生の悩み全般については友達がいない高校生の記事にまとめています。この記事は、発達特性がある場合に絞って書きます。

中庭のベンチでスケッチブックを見せ合う高校生2人
共通の好きなものがあると、言葉が少なくてもつながれることがあります。

ASDの高校生は「暗黙のルール」と「会話の往復」でつまずきやすく、興味の話では深くつながれることもあります

ASD(自閉スペクトラム症)は、国のポータルの説明では、人生の早い時期から社会的コミュニケーションと対人的なやりとりに持続的な困難があり、行動・興味・活動が狭い範囲でくり返されやすい、神経発達症の1つです。基本的には生涯にわたって特性がみられる一方で、社会的なスキルを身につけることで困難が軽くなることもある、とされています。

同じページは、年齢ごとの様子として、幼いころから会話が一方的になりやすいこと、学童期には班活動など集団の行動に苦痛を感じることがあることを挙げています。そして思春期については、より高度で多様な対人スキルが求められることからつらさを感じたり、いじめなどの被害に遭っても家族・先生・友達にうまく相談できなかったりすることがあると書いています。高校で友達づくりが急に難しく感じるのは、このためかもしれません。

たとえば、次のような場面です(仮の例です)。

  • みんなが「察して」動いているルールが分からず、知らないうちに距離を置かれる
  • 冗談や遠回しな言い方を、言葉どおりに受け取ってしまう
  • 好きな話題になると話しすぎてしまい、相手の反応に気づくのが遅れる
  • 休み時間の教室のざわざわに疲れて、一人で静かな場所に行くことを選ぶ

最後の「疲れ」については、国立障害者リハビリテーションセンター研究所の和田真氏が、発達障害ナビポータルでASDの人の60〜90%が音や光などの感覚の問題を持っていることが知られていると書いています。駅の雑踏のように様々な音が耳に入って集中できない、人の話し声を聞き取りにくい、といった困りごとです。休み時間に一人でいるのは「人が嫌い」だからではなく、回復のための行動であることもあります。

その一方で、同じページは幼いころの様子として、自分が興味を持った物事に熱中しやすく、知識も豊富になる傾向を挙げています。雑談は苦手でも、同じものが好きな相手とは、驚くほど長く話せることがあります。友達づくりの入口は、クラスより「好きなもの」の側にあるかもしれません。

出典:発達障害ナビポータル「自閉スペクトラム症」/同「発達障害者の感覚の問題」(2022年4月19日)(2026年9月確認)

特性ごとに、友達関係でつまずきやすい場面と、本人が試せる工夫を並べます。工夫は一例で、合う・合わないには個人差があります。

特性 友達関係で起きやすいこと(例) 試せる工夫の例
ASD:暗黙のルールが分かりにくい 空気を読めないと言われる。なぜ距離を置かれたか分からない 信頼できる1人に「今の、何がまずかった?」と後で聞く
ASD:会話が一方的になりやすい 好きな話を長く話し、相手が疲れてしまう 話したら1回質問を返す、と自分でルールを決める
感覚の過敏さ 騒がしい教室で疲れ切り、人と話す余力が残らない 静かな場所で休む時間を先に確保する(合理的配慮の対象にもなる)
ADHD:思いつくとすぐ行動する 話をさえぎる、約束を忘れるなどで誤解される 予定はすぐスマホに入れる。言いすぎたら短く謝る
ADHD:失敗や叱責に傷つきやすい 失敗が続き「どうせ嫌われる」と人を避ける できたことを記録する。責めない大人を1人見つける

暗黙のルールについては暗黙のルールがわからないの記事も参考になります。

ADHDの高校生は、悪気のないすれ違いが重なって自信をなくし、人から離れてしまうことがあります

ADHD(注意欠如多動症)は、国のポータルの説明では、発達の水準に比べて注意を持続させることが難しい、順序立てて行動することが苦手、落ち着きがない、待つことが苦手、行動の抑制が難しい、といった特性が12歳以前から続き、学校・家庭・職場などで困難が生じている状態です。学童期には3〜7%にみられるとされています。

友達関係について、同じページはADHDの子どもたちは学校や家庭での失敗が多く、友達とのトラブルも多いので、つらい思いをしがちで、同時に失敗や叱責に傷つきやすいと書いています。さらに、日常生活での不適応感や自尊心が傷つけられることで、精神的な不調をきたす場合があることにも触れています。

つまり、ADHDの高校生が友達から離れていくとき、その理由は「人付き合いが下手だから」だけではありません。約束を忘れた、話をさえぎった、といった悪気のないすれ違いが重なり、「どうせまた失敗する」と自分から人を避けるようになることがあるのです。

一方で、ADHDの子どもは興味のあることに強い集中力を示すこともある、とも書かれています。部活や趣味、好きな分野のプロジェクトなど、「やること」がはっきりした場のほうが人と関わりやすい人もいます。

なお、ASDとADHDは重なることがあり、国のポータルもASDに注意欠如多動症などの他の神経発達症を伴う人がいると書いています。診断名で線を引くより、本人がどんな場面でつまずき、どんな場面なら楽かを見るほうが、次の一歩につながります。診断がはっきりしない場合は発達障害グレーゾーン 高校生の記事もご覧ください。

困っているのが「友達がいないこと」なのか「今の環境がしんどいこと」なのかで、次の一歩が変わります

「友達ができない」という悩みの中には、いくつかの違う状態が混ざっています。今どれに近いかを見てから動くと、本人を追い詰めずにすみます。

今の状態 考えられること 最初の一歩
一人でいても本人は平気。困っていない 本人にとっては問題になっていない 見守る。周りが「友達を作りなさい」と言うのを減らす
誰かと話したいのに、きっかけがない 本人の力より、場との相性の問題かもしれない 好きなものでつながれる場を探す(後の節)
からかい・無視・いじめがある 本人の特性の問題ではなく、安全の問題 担任・スクールカウンセラーに相談。24時間子供SOSダイヤルも使える
教室の音や人の多さで疲れ切る 感覚の問題が関わっている可能性 別室での休憩など合理的配慮を学校に申し出る
眠れない・食べられない・学校に行けない日が増えた 気持ちや体の不調が重なっている可能性 医師への相談を検討する。欠席の日数も確かめておく

いじめの相談先として、文部科学省の子供のSOSの相談窓口のページには、24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310・通話無料)が載っています。ASDのところで書いたとおり、思春期のASDの人は被害に遭っても相談できないことがあると国のポータルも書いています。困ったら話していい場所があることを、先に伝えておくことが大切です。

学校に行けない日が続いているときは、進級に関わる高校 欠席日数の考え方も確かめておくと、落ち着いて選べます。気分の落ち込みや眠れない状態が続くときに、どのタイミングで受診を考えるかは高校生 精神科の記事で整理しています。

令和5年度に高校で通級による指導を受けた生徒は全国で2,371人で、自閉症963人、ADHD681人、情緒障害391人、LD259人などであり、修得単位は年7単位まで卒業単位に数えられることを示す図
出典:文部科学省「令和5年度 通級による指導実施状況調査」、同「通級による指導の手引(改訂第3版)」

高校にも「通級による指導」があり、年7単位まで卒業に必要な単位に数えられます

「通級による指導」は、通常の学級に在籍して大半の授業をみんなと受けながら、一部の時間だけ、障害に応じた特別の指導を受ける仕組みです。小中学校では平成5年度から、高校では平成30年度(2018年度)から制度化されました。

根拠は学校教育法施行規則第140条で、対象として「自閉症者」「情緒障害者」「学習障害者」「注意欠陥多動性障害者」などが挙げられています。第141条では、他の学校で受けた授業を、在籍校で受けた特別の教育課程の授業とみなせることも定められています(他校通級)。

単位の扱いについて、文部科学省の手引は、高校の通級による指導の修得単位は年間7単位を超えない範囲で、卒業に必要な単位数に加えることができるとしています。「通級に行くと卒業が遅れるのでは」と心配する必要は、制度上は小さいと言えます。

実際にどれくらいの高校生が受けているかを、文部科学省の調査で見ます。

項目 数字 調査
通級を受けた高校生(国公私立計) 2,371人(公立2,327・私立44) 令和5年度
うち自閉症/ADHD 963人/681人 令和5年度
うち情緒障害/学習障害(LD) 391人/259人 令和5年度
通級の生徒がいる公立高校 423校(公立高校3,490校中) 令和5年度
通級が必要と判断された高校生のうち、行わなかった生徒 2,915人中860人(うち650人は本人や保護者が希望しなかった) 令和4年度

出典:文部科学省「令和5年度 通級による指導実施状況調査」(令和7年7月)/同「令和4年度 通級による指導実施状況調査結果」/同「障害に応じた通級による指導の手引 解説とQ&A(改訂第3版)」抜粋/学校教育法施行規則 第140条・第141条(2026年9月確認。2026年9月時点で確認できた最新の公表は令和5年度分でした)

令和4年度の調査では、通信制の課程でも118人が通級による指導を受けていました。全日制だけの制度ではありません。

気になるのは、必要と判断されても行わなかった理由の多くが「本人や保護者が希望しなかった」だったことです。人と違う時間に教室を出ることを、周りにどう見られるか心配するのは自然なことです。ただ、令和4年の担任調査では、学習面か行動面で著しい困難を示すとされた高校生のうち、通級を受けていたのは推定5.6%、個別の教育支援計画が作られていたのは推定10.5%にとどまっていました。支えは、待っているだけでは届きにくいのが今の実情です。通級で何をするか、時間割のどこに入るかは学校ごとに違うので、まずは担任か、次の節で書く特別支援教育コーディネーターに「どんな形なら受けられるか」を聞いてみてください。

合理的配慮は「申し出」から始まります。2024年4月からは私立高校も提供が義務です

障害者差別解消法は、障害者を「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者」で、障害と社会的障壁によって日常生活や社会生活に相当な制限を受けている人と定めています(第2条)。発達障害は、はっきり対象に含まれています。

そのうえで、本人から社会的障壁を取り除いてほしいという意思の表明があり、負担が重すぎないときは、必要かつ合理的な配慮をしなければならないとしています。公立高校など行政機関等は第7条第2項、私立高校を運営する学校法人など事業者は第8条第2項です。事業者の合理的配慮は、改正法の施行で2024年(令和6年)4月1日から義務になりました。文部科学省の対応指針も、事業者に学校法人が含まれると明記しています。

配慮の中身は、本人・保護者と学校の対話(建設的対話)で決めます。文部科学省の対応指針には、学校などでの配慮の例が載っています。友達関係や集団生活に関係しそうなものを抜き出しました(主なもの)。

困りごと 対応指針に載っている配慮の例
比喩や遠回しな言い方が分かりにくい 比喩や暗喩、二重否定表現などを使わずに説明する
他人との接触や多人数の中にいる緊張から、意図しない発声などが出る 本人に説明のうえ、施設の状況に応じて別室を用意する
人前での発表が難しい 代わりにレポートを課す。自分の発表を録画したものを使う
人との関係づくりが難しい、気持ちを伝えるのに時間がかかる 活動の時間を十分にとる。特性に応じて個別に対応する
入学試験・検定試験 希望や状況をふまえ、別室での受験や試験時間の延長を認める

相談の入口は、担任か特別支援教育コーディネーターです。対応指針は、各学校の校長が特別支援教育コーディネーターを指名し、校内委員会を置くこと、担任らとの対話で合意が難しい場合は校内委員会につなぐことを求めています。学校教育法第81条により、私立を含むすべての高校で特別支援教育を行うことになっています。

もう1つの支えがスクールカウンセラーです。学校教育法施行規則第65条の3は「スクールカウンセラーは、小学校における児童の心理に関する支援に従事する」と定め、第104条でこの規定が高校にも準用されています。福祉面の支援をするスクールソーシャルワーカーも、第65条の4に定めがあります。友達のことを担任に言いにくいときの相談先になります。

また、発達障害者支援法第8条は、国と地方公共団体が、高校に在学する発達障害のある生徒について、個別の教育支援計画・個別の指導計画の作成の推進や、いじめ防止の対策の推進などを行うと定めています。

出典:障害者差別解消法 第2条・第7条・第8条/内閣府「改正障害者差別解消法が施行されました」/文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針/学校教育法 第81条/学校教育法施行規則 第65条の3・第65条の4・第104条/発達障害者支援法 第8条(2026年9月確認)

申し出の進め方は合理的配慮 申請の記事にまとめています。

※2026年9月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。

学校の外にも居場所はつくれます。国の指針は「居場所かどうかは本人が決めること」としています

こども家庭庁の「こどもの居場所づくりに関する指針」(令和5年12月22日閣議決定)は、こども・若者が過ごす場所、時間、人との関係性のすべてが居場所になり得るとし、物理的な場だけでなく、遊びや体験活動、オンライン空間といった多様な形があると書いています。そのうえで、ある場所を居場所と感じるかどうかは、こども・若者本人が決めることだとしています。

さらに、オンラインの居場所は、特別なニーズを持つこども・若者などにとって、初めの一歩としてつながりやすいとも書かれています。学校で友達がいなくても、学校の外に「ここなら楽」と思える場が1つあれば、それは立派なつながりです。

出典:こども家庭庁「こども・若者の居場所づくり」/こどもの居場所づくりに関する指針(2026年9月確認)

高校生が使える主な場を、根拠とあわせて並べます。

場 対象・根拠 どんな場か 最初の窓口
放課後等デイサービス 学校(幼稚園・大学を除く)に通う障害のある児童。児童福祉法第6条の2の2 授業の後や休日に通い、生活能力の向上や社会との交流の促進の支援を受ける 市区町村の障害福祉の窓口(利用には支給の決定が必要)
発達障害者支援センター 本人と家族。発達障害者支援法第14条 専門的な相談、発達支援、就労の支援、地域の機関との調整 都道府県・政令指定都市のセンター(令和3年4月時点で全国97か所)
親の会・当事者団体 団体ごとに違う 同じ特性をもつ人や家族と話せる、勉強会や交流会 日本自閉症協会、全国LD親の会、えじそんくらぶなど
児童館 18歳未満の児童。児童福祉法第4条・第40条 健全な遊びを通して健康を増進し、情操をゆたかにする施設 住んでいる地域の児童館

出典:児童福祉法 第4条・第6条の2の2・第40条/発達障害者支援法 第14条/発達障害ナビポータル「発達障害者支援センターとその取り組み」(2026年9月確認)

親の会・当事者団体は、公式サイトで次のことを確かめました。日本自閉症協会は一般社団法人で、各地の自閉症協会が加盟団体として活動しています。全国LD親の会はNPO法人で、LDなど発達障害のある子どもをもつ保護者の会の全国組織です。えじそんくらぶはADHDの当事者と家族を支援するNPO法人で、全国の会で茶話会や学習会を開いています。どの会が高校生本人向けの集まりを持っているかは団体によって違うため、参加の前に問い合わせてください。

趣味のサークル、地域のボランティア、オンラインのゲームや創作のコミュニティも、居場所になり得ます。1回行ってみて合わなければ、やめていいと最初に決めておくと、足を運ぶハードルが下がります。見学だけ、見るだけ、から始められる場を選ぶのも1つの方法です。

オンラインでつながるなら、「会う前」と「送る前」に線を引いておくと安心です

文字のやりとりなら自分のペースで返事ができ、声や表情を読む負担も少ない。そう感じて、オンラインのほうが人と関わりやすいという人もいます。こども家庭庁の指針も、SNSやオンラインゲームの空間が居場所になったことにふれ、リスクから守りつつ、その有用性の理解を深める必要があるとしています。

ただ、リスクも数字で知っておいてください。警察庁によると、令和7年にSNS(オンラインゲームを含む)を通じて面識のない相手と知り合い、児童買春や青少年保護育成条例違反などの犯罪の被害にあった18歳未満の子どもは1,566人で、前年の1,486人から増えました。

出典:警察庁「令和7年における少年非行及び子供の性被害の状況について」(令和8年2月26日)(2026年9月確認)

次のような線を、本人と家族で先に決めておくと安心です。

  • 本名・学校名・住所・顔の写った写真は出さない
  • 画像を求められても送らない。断りにくいときは「親に止められている」と言ってよい
  • オンラインで知り合った人と会う話が出たら、会う前に家族に話す
  • お金やプレゼントの話が出たら、いったんやりとりをやめる
  • 嫌なことがあったら、怒られる心配をせずに話せる大人を1人決めておく

最後の1つがいちばん大切です。「話したら禁止される」と思うと、子どもは困ったことを隠します。保護者は、ルールを守らせることより、困ったときに話してもらえる関係を先に作っておくことを意識してください。

自宅からオンライン授業に参加する高校生と、後ろで本を読む母親
学校の外にも、人とつながれる場所はあります。

親ができるのは「友達を作らせる」ことより、家を安心して話せる場所にしておくことです

ここからは保護者向けです。わが子が一人でいる姿を見るのはつらいものです。ただ、親が焦って友達づくりを急かすと、本人は「今の自分ではだめなんだ」と受け取ってしまうことがあります。

国のポータルは、ADHDの子どもについて、感情的な叱り方をせず、好ましい行動を見つけながら褒め方を工夫することが大切だとし、そのための関わり方を学ぶ方法としてペアレント・トレーニングを紹介しています。ASDについては、思春期に被害を相談できないことがあるため、周りの大人が早く異変に気づけるよう注意深く見ることが必要だと書いています。

場面 避けたい声かけ 代わりにできること
学校から帰ってきたとき 「今日は誰と話したの?」と毎日聞く 「おかえり」だけにして、本人が話したいときに聞く
一人で過ごしていると聞いたとき 「もっと自分から話しかけなさい」 「一人の時間で休めているならそれでいいよ」と伝える
友達とトラブルがあったとき 「あなたが空気を読まないから」 何が起きたかを順番に聞き、責めずに一緒に整理する
好きなことに没頭しているとき 「そんなことばかりして」 好きなことを話題にする。同じ趣味の場を一緒に探す
学校に行きたくないと言われたとき 「友達がいないくらいで休むな」 理由をすぐに聞き出そうとせず、まず休ませてから話す

保護者自身の支えも大切です。発達障害者支援センターは、法律上、本人だけでなく家族の相談にも応じる機関です(発達障害者支援法第14条)。親の会で、同じ経験をした保護者と話すだけで、気持ちが軽くなることもあります。

居場所の考え方に立ち返ると、どこを居場所にするかは本人が決めることで、親が決めることではありません。親にできるのは、選べる場を一緒に探すことと、家を「失敗しても帰ってこられる場所」にしておくことです。

発達特性のある高校生の親ができることとして、感情的に叱らず褒め方を工夫する、思春期の異変に早く気づく、居場所は本人が決めることを尊重する、親自身も発達障害者支援センターなどの相談先を持つ、の4つを示す図
出典:発達障害ナビポータル、こども家庭庁「こどもの居場所づくりに関する指針」、発達障害者支援法

選択肢の1つとしてのニジ高(正直な注意点)

今の学校の人間関係に疲れ切っている場合、環境そのものを変えるという選択肢もあります。

NIJIN高等学院(ニジ高)は、株式会社NIJINが運営するオンライン中心の通信制高校サポート校です。ニジ高は、発達特性や障害を、本人を変えるのではなく、学びの構造や環境を変えることで支援するという新しいアプローチを取っています。公式サイトでは1クラス8人の少人数クラスと案内しており、担任制です。カメラ・マイクをオフにして、チャットだけで参加するところから始められます。メタバースの校舎で担任や同級生と集まる時間もあり、生徒会・サークル・学園祭など、同じ関心を持つ仲間とつながる場もあります。生活リズムに波があっても学べる設計で、授業のアーカイブ視聴や中学内容の学び直しにも対応しています。不登校の生徒を650名以上サポートしてきました(グループ全体)。ニジ高は、小中学生のオルタナティブスクールNIJINアカデミーの高等部でもあります。

ただし、はじめに正直にお伝えしておくことがあります。

  • ニジ高そのものは高校ではありません。高校卒業の資格は、提携する通信制高校に在籍して取ります。
  • ニジ高の中でのスクーリングはありませんが、提携する通信制高校のスクーリングへの参加が必要です。スクーリングにニジ高のスタッフは付き添いません。ニジ高がするのは日程の調整と準備の支援です。人の多い場や初めての場所が苦手な場合は、事前にどう準備するかを個別相談でご確認ください。
  • 通級による指導は高校の制度なので、受けられるかどうかは在籍する通信制高校によります。スクーリングや試験など単位に関わる配慮も、在籍する高校と相談して決めます。
  • 診断や服薬など医療の判断は、主治医・専門機関へご相談ください。
  • 費用は、提携する通信制高校の分とニジ高の分の両方がかかり、ニジ高の分には就学支援金は使えません。金額は学費のご案内に載せています。

今の高校から移る場合の手続きや時期は高校 転入の記事に、学校の比べ方は通信制高校 選び方のページにまとめています。通信制高校での友達づくりの実際は通信制高校 友達、ASDの人に通信制が合うかはASD 通信制高校の記事をご覧ください。

迷ったときの進め方(3ステップ)

  1. 「友達がいない」の中身を分ける。本人が困っているのか、周りが心配しているだけなのか。いじめや体調の不調はないか。上の場合分けの表で、今いちばん近い行を1つ選んでみてください。
  2. 学校の中の支えを1つ使ってみる。担任、特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラーのどれか1人に、「友達関係でつらいことがある。通級や配慮で何ができるか知りたい」と伝えます。紙に困りごとを3つ書いて渡すだけでも十分です。
  3. 学校の外の場を1つ見に行く。親の会、発達障害者支援センター、趣味の場、オンラインの学校など、どれか1つを見学・問い合わせしてみます。合わなければ次を探せばいいので、1つ目で決めなくて大丈夫です。

環境を変えることも含めて話を整理したい場合は、ニジ高の体験説明会・個別相談でも状況を聞かせてください。まだ何も決まっていない段階でもかまいません。

模型づくりのサークルで一緒に作業する高校生たち
趣味の集まりは、会話が苦手でも参加しやすい場所の一つです。
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友達づくりを急がなくていい場所で、学び直す形もあります

ニジ高はオンライン中心の通信制高校サポート校で、カメラ・マイクをオフにしてチャットから参加できます。ただし学院は高校ではなく、卒業資格は提携する通信制高校で取り、そのスクーリングへの参加が必要です。人との関わり方の不安も含めて、個別にご相談ください。

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よくある質問

Q. 発達障害があると、高校で友達ができないのは仕方ないのでしょうか?

A. 仕方ないわけではありません。つまずきやすい場面はありますが、国のポータルもASDについて、社会的スキルを身につけることで困難が軽くなることもあるとしています。また、友達ができるかどうかは、本人の力だけでなく、場との相性にも左右されます。好きなことでつながれる場や、少人数の場では関わりやすくなる人もいます。

Q. ASDの高校生で友達がいないのは、自閉スペクトラム症だからですか?

A. 特性が関わっていることはありますが、それだけが理由とは限りません。ASDは社会的コミュニケーションや対人的相互反応に持続的な困難がある特性で、思春期にはより高度な対人スキルが求められるためつらさを感じることがある、と国のポータルは書いています。感覚の問題で教室にいるだけで疲れてしまう場合もあります。環境や配慮で変わる部分も多いので、学校に相談してみてください。

Q. 通級による指導を受けると、周りにばれませんか?

A. 通級は授業時間の一部に行うため、時間割によっては周りが気づくこともあります。受ける時間や場所(自校・他校・巡回)は学校ごとに違うので、気になる点は事前に担任や特別支援教育コーディネーターに相談できます。令和4年度の調査では、通級が必要と判断されたのに行わなかった生徒の多くが「本人や保護者が希望しなかった」ためでした。不安があること自体は珍しくありません。

Q. 診断がなくても合理的配慮は受けられますか?

A. 障害者差別解消法の対象は、障害と社会的障壁によって生活に相当な制限を受けている人で、法律の条文は診断書の提出を条件にしていません。ただ、学校がどんな根拠資料を求めるかは学校や配慮の内容によって違い、一律の基準は今回確認できませんでした。まずは困りごとを学校に伝え、建設的対話の中で必要なものを確かめてください。

Q. 親が友達づくりを手伝ってもいいですか?

A. 選べる場を一緒に探すことは大きな助けになります。一方で、どこを居場所と感じるかは本人が決めることだと、こども家庭庁の指針も書いています。場を用意したら、行くかどうかは本人に任せ、合わなかったときに責めないことが大切です。

友達の数より、「ここなら息ができる」と思える場所を1つずつ

友達がいないと、自分だけが取り残されたように感じるかもしれません。でも、それはあなたに価値がないからではなく、今いる場所とあなたの特性がかみ合っていないだけ、ということがたくさんあります。

学校の中には、まだ使っていない支えがあるかもしれません。学校の外にも、あなたと同じものが好きな人や、同じ悩みを通ってきた人がいます。今日決めなくて大丈夫です。まずは1人、話せる大人を見つけるところから始めてみてください。

保護者の方も、一人で抱え込まないでください。本人に合う場所を探すことは、家族だけで背負わなくていい仕事です。相談できる窓口は、この記事の中にいくつもあります。

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