高校生の精神科受診はいつ?|厚労省の目安「2週間」と予約・費用・伝え方【2026】

「うちの子、精神科に連れて行ったほうがいいのかな」。そう思いながら、「そこまでではないかも」「本人が嫌がったら」とためらっている保護者の方は多いと思います。高校生本人が、自分の不調を心配して調べていることもあるでしょう。

先に結論を書くと、受診を考える目安は「つらい状態がどのくらい続いているか」と「生活にどのくらい支障が出ているか」の2つです。厚生労働省の若者向けサイトは、気分の落ち込みなどの症状が2週間以上続いたら専門家への相談を勧めています。そして、「死にたい」「消えたい」という言葉や自分を傷つける行動があるときは、2週間を待たずに相談してかまいません。

この記事は、厚生労働省の「こころもメンテしよう」(若者向け・家族向け)、日本心療内科学会のQ&A、自立支援医療の案内、こども家庭庁のこども医療費助成の調査、総務省の行政評価、文部科学省の通知と相談窓口のページを実際に開いて確認した内容でできています。診断をするための記事ではありません。「受診するかどうか」と「どう受診するか」を決めるための整理です。うつ病の症状や学校の休み方そのものは、関連する記事へご案内します。

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目次

結論:高校生が精神科・心療内科を受診するタイミングの早見

  • 「精神科に行くほどじゃない」と迷っている段階で、相談してかまいません。受診すべきか分からないときは、保健所や精神保健福祉センターで「医療が必要かどうか」から相談できます(厚生労働省)。
  • 目安の1つは「2週間」。憂うつな気分・楽しめない・眠れない・食欲の変化などのうち5つ以上(気分の落ち込みか、楽しめないことのどちらかを含む)が2週間以上続いたら、専門家への相談が勧められています。
  • 「死にたい」「消えたい」という言葉、自分を傷つける行動、誰もいないのに声が聞こえるなどのサインは、待たずに相談します。命に関わる危険が差し迫っているときは119番です。
  • 高校生の入り口は「精神科(精神神経科)」か「心療内科」。心療内科はストレスで体に症状が出る病気が中心で、気分や不安が中心なら精神科が向いています。児童精神科は中学生までを対象にしている医療機関もあります。
  • 精神科は予約制が多く、初診まで待つことがあります。発達障害を診る専門的な医療機関を調べた国の調査(2017年)では、27機関の半数以上で初診まで3か月以上かかっていました。
  • 医療費は、こども医療費助成(自治体ごとに違う)と自立支援医療(原則1割負担)で軽くなることがあります。
  • 通うのが難しくなったときは、オンラインで学べるサポート校(NIJIN高等学院など)で、提携する通信制高校の卒業をめざす道もあります。
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「精神科に行くほどじゃない」と迷う段階で、相談してかまいません

受診をためらう理由で多いのは、「大げさにしたくない」「病名をつけられたら本人が傷つくかもしれない」という心配です。まずお伝えしたいのは、病院は「重い病気だと決まった人」だけが行く場所ではないということです。

厚生労働省の若者向けサイト「こころもメンテしよう」は、10代でもこころの病気は決して珍しいものではないとしたうえで、気になる症状が続くときや、病気のことが心配になったときに受診するための情報をまとめています。また、医療機関を受診すべきかどうか分からないときは、近くの公的な相談窓口を使うよう案内しています。

出典:厚生労働省「こころもメンテしよう」こころの相談の窓口について/同「こころを専門に診る病院について」(2026年9月確認)

もう1つ知っておきたいのは、最初から病名がはっきりしないことがあるのも、こころの病気の特徴だという点です(厚生労働省「受診にあたって」)。1回の受診で答えが出なくても、それは失敗ではありません。「いまの状態を専門家に一緒に見てもらう」くらいの気持ちで始めてよいのです。

そして、保護者の方にもう1つ。厚生労働省の家族向けページは、子どもの不調は誰のせいでもないとはっきり書いています。原因探しで自分や家族を責めると、子どもが「自分のせいで親が困っている」と感じてしまうこともある、という注意です。この点は高校生 うつ 親のせいの記事でも詳しく書いています。

ノートを一緒に見ながら話す母親と高校生の息子
受診の前に、困っていることを親子でメモにしておくと、診察で伝えやすくなります。

精神科・心療内科・児童精神科は、診る中心が違います。高校生の入り口は「精神科」か「心療内科」です

こころを診る医療機関には、精神科・精神神経科・心療内科・メンタルヘルス科など、いろいろな看板があります。厚生労働省と日本心療内科学会の説明をもとに整理すると、次のようになります。

科の名前 主に診るもの 高校生が受けるときのポイント
精神科・精神神経科 こころの病気全般(気分の落ち込み、不安、眠れない、幻聴など)。名前は違っても実質的にやっていることは同じ 気分や不安、睡眠の問題が中心なら、ここが基本の入り口
心療内科 ストレスなど心理的な要因で体に症状が出る「心身症」が中心 頭痛・腹痛など体の症状が中心なら向いている。ただし一部の病気しか診ないところもある
児童精神科・児童思春期外来 子ども・思春期のこころの問題、発達障害など 対象年齢が医療機関ごとに違う。中学3年生までとしている例もある
小児科 子どもの病気全般。一部は発達障害や子どもの心身症も専門にしている 厚生労働省は「中学生以下」ならまず相談してもよいとしている

出典:厚生労働省「こころを専門に診る病院の種別」/日本心療内科学会「心療内科Q&A」(2026年9月確認)

日本心療内科学会のQ&Aでは、体の症状を主に訴えている場合は心療内科、不安や抑うつなどの精神症状が主な場合は精神科が適しているとしています。あわせて、精神科と心療内科の両方を掲げている医療機関もあると書かれています。

高校生で気をつけたいのは年齢です。「子どもだから児童精神科」と考えがちですが、たとえば日本医科大学付属病院の児童思春期外来は、対象をおおむね5歳から15歳(中学3年生)としていて、初診は完全予約制・他の医療機関からの紹介状が必要です(同院の案内、2026年9月確認)。これは1つの病院の例で、高校生まで診る児童精神科もあります。予約の電話で「高校◯年生ですが診てもらえますか」と最初に聞くのが近道です。

看板だけで分からないときは、厚生労働省も電話でどんな病気を診ているか問い合わせることを勧めています。受診先を探す方法としては、次の3つが公的な案内に載っています。

  • かかりつけの医師(小児科・内科など)に紹介してもらう
  • スクールカウンセラーや学校医に聞く(地域の精神科医を把握していることがある)
  • 保健所や精神保健福祉センターの相談窓口で紹介してもらう

子どものこころを専門に診る医師を探す手がかりとしては、子どものこころ専門医機構が「子どものこころ専門医」の都道府県別一覧を公開しています。専門医は、子どもの精神疾患、神経発達症(発達障害)、心身症、不登校などに対応する医師と説明されています。ただし、一覧に載っている医師がいる医療機関でも、年齢や予約の条件はそれぞれなので、電話で確かめてください。

受診を考える目安は「2週間」と「生活への支障」。命に関わるサインは待たずに相談します

「どのくらいになったら受診?」の答えとして、厚生労働省の若者向けページは次の9つを挙げ、5つ以上(1か2を含む)が2週間以上続いていたら、専門家に相談することを勧めています。

  1. 悲しく憂うつな気分が一日中続く
  2. 好きだったことに興味がわかない、何をしても楽しくない
  3. 食欲が減る、あるいは増す
  4. 眠れない、あるいは寝すぎる
  5. イライラする、怒りっぽくなる
  6. 疲れやすく、何もやる気になれない
  7. 自分に価値がないように思える
  8. 集中力がなくなる、物事が決められない
  9. 死にたい、消えてしまいたいと思う

出典:厚生労働省「こころもメンテしよう」うつ病(2026年9月確認。表現は要約しています)

これは「うつ病と診断する基準」ではなく、相談を始める目安です。同じページには、思春期のうつは始めのうち体の不調や行動の問題として現れることが多いこと、朝の調子がいちばん悪く、午後から夕方にかけて良くなることがよくあることも書かれています。朝起きられずに学校を休み、午後は元気そうに見えるので「サボっている」と誤解されやすい、という注意です。

家族のほうが気づきやすいサインもあります。厚生労働省の家族向けページが挙げているのは、朝起きられない、睡眠のリズムがくずれる、食欲がない(食べすぎる)、急にやせる・太る、特に朝の頭痛や腹痛、学校に行きたがらない、家族と話さなくなる、部屋にこもりがちになる、イライラして怒りっぽくなる、といった変化です。

ここまでをまとめると、受診の急ぎ具合はおおよそ次の3段階で考えられます。

状態 考え方 動き方の例
「死にたい」「消えたい」と話す、自分を傷つけた跡がある、誰もいないのに声が聞こえる、何日も眠れない 2週間を待たない 早めに相談窓口か医療機関へ連絡。命の危険が差し迫っていれば119番
上の9項目のうち5つ以上が2週間以上続く/これまでできていたことができなくなっている 受診を検討する段階 精神科・心療内科に予約の電話。迷えば保健所・精神保健福祉センターへ
ショックな出来事のあとの落ち込みが数日で少しずつ戻ってきている 休養と見守り 話を聞き、様子をメモしておく。長引いたら上の段階へ

出典:厚生労働省「気分が落ち込む」/同「周りに誰もいないのに声が聞こえる」/同「家族だからこそ気づきやすいSOSサイン」/同「精神科での治療とは」(2026年9月確認)。表の区分は、これらのページをもとにこの記事で整理したものです。

強い不安や緊張で普段の生活に支障が出ている、急に心臓がドキドキして息苦しくなる発作がある、といった場合も、厚生労働省は早めに家族に相談し、こころの専門家に相談するよう書いています。「2週間」はうつの症状の目安で、どの症状でも2週間待つという意味ではありません。

朝起きられない、立ちくらみがするといった体の症状が中心の場合は、起立性調節障害のように体の病気が関わっていることもあります。そうした場合の考え方は起立性調節障害 高校生の記事にまとめています。

高校生の精神科受診の目安を3段階で示した図。死にたい・自傷・幻聴などは待たずに相談、うつの9項目のうち5つ以上が2週間以上続けば受診を検討、数日で戻る落ち込みは休養と見守り
出典:厚生労働省「こころもメンテしよう」(2026年9月確認)。区分はこの記事で整理したものです

予約から初診までは電話で確かめることが多く、待ちが数か月になることもあります

精神科は、厚生労働省の案内でも予約制になっている医療機関が多いとされています。事前に電話で確かめてから受診する、が基本です。流れは次のとおりです。

  1. 受診先の候補を2〜3か所挙げる。かかりつけ医の紹介、スクールカウンセラー、保健所・精神保健福祉センターの紹介などから。
  2. 電話で次のことを確かめる。高校生を診てもらえるか、初診の予約がいつ取れるか、紹介状が必要か、保護者の同伴が必要か、診療の曜日と時間帯。
  3. 予約が先になるときは、ほかの候補にも問い合わせる。待つ間は、相談窓口やスクールカウンセラーとつながっておく。
  4. 受診の日までに、困っていることをメモにまとめる(次の章)。

待ち時間については、発達障害の専門的な医療機関に限った国の調査があります。総務省が2017年1月にまとめた行政評価では、調べた27の医療機関のうち、初診まで3か月以上半年未満が12機関、半年以上が2機関(最長は約10か月)でした。1か月未満は4機関、1か月以上3か月未満は6機関です。中学校の先生が受診を勧めたのに、予約から受診までに数か月かかって受診につながらなかった例も報告されています。

出典:総務省「発達障害者支援に関する行政評価・監視 結果に基づく勧告」(2017年1月、2026年9月確認)

この数字は2017年の、しかも発達障害を専門に診る医療機関の調査です。いまの精神科・心療内科全体の待ち時間を示す全国の公的な統計は、今回は確認できませんでした。ただ、「すぐに予約が取れないことがある」前提で、早めに電話をかけ始めるのが安心です。

もう1つ、お金の面で知っておきたい制度があります。特定機能病院や一般病床200床以上の地域医療支援病院などに紹介状なしで受診すると、通常の自己負担とは別に「特別の料金」がかかります。2022年10月の見直しで医科の初診は7,000円以上になり、2026年度の診療報酬改定でもこの額は変わっていません(対象にならない場合もあります)。大きな病院を考えているときは、先に地域のクリニックやかかりつけ医で紹介状をもらう流れが基本になります。

出典:厚生労働省「紹介状を持たずに特定の病院を受診する場合等の『特別の料金』の見直しについて」/同「令和8年度診療報酬改定 外来医療の機能分化・強化等」(2026年9月確認)

初診の日は、メモと保険の書類を持って、できれば保護者も一緒に行きます

こころの状態は、診察室で急に言葉にしようとしても難しいものです。厚生労働省は、どんな点で困っているのか、何がつらいのかを、あらかじめ整理しておくことを勧めています。こころの症状だけでなく、体の症状、睡眠や食欲も大切な情報です。

持って行くものと、メモに書いておくことの例です。

準備するもの 中身 ひとこと
マイナ保険証 または 資格確認書 従来の健康保険証は2025年12月1日で有効期限が終わっている 受診する本人の分を用意する
こども医療費助成の受給者証など お住まいの自治体が出しているもの 高校生が対象かは自治体ごとに違う
紹介状・お薬手帳 紹介を受けた場合、飲んでいる薬がある場合 ほかの科の薬も伝える
困りごとのメモ いつから・何が・どのくらいの頻度で。睡眠・食欲・登校の様子。きっかけに思い当たること 本人と保護者で別々に書いてもよい

出典:厚生労働省「受診にあたって」/厚生労働省「医療機関・薬局では、マイナ保険証か資格確認書をご提示ください」(2026年9月確認)。有効期限が切れた保険証を持参した場合の一時的な扱いも、2026年7月31日で終わっています。

メモを書くときのコツは、「◯月ごろから朝7時に起きられない日が週3日」のように、時期と回数で書くことです。「最近ずっと元気がない」より、医師が状態をつかみやすくなります。登校の状況(遅刻・早退・欠席の日数)も書いておくと、あとで学校と相談するときにも役立ちます。

保護者が同席するかどうかは、本人の気持ちと医療機関の方針しだいです。本人が「親の前では話しにくい」と感じることもあるので、最初に一緒に説明し、途中で本人だけの時間をもらえるか相談するという形もあります。未成年だけで受診できるかどうかは医療機関によって扱いが違う可能性があるため、予約の電話で確かめてください。

薬が処方されることもありますが、厚生労働省は、精神科の薬はすぐに効果が現れないこともあり、治療の効果が出るまでに時間がかかることもあるので、焦らずじっくり続けることが大切だとしています。薬を飲むか、いつやめるかは、自己判断ではなく主治医と相談して決めます。

クリニックの待合室で話す父親と高校生の娘
待合室は、思っていたより静かで落ち着いた場所であることも多いです。

本人が嫌がるときは、「あなたが変」ではなく「つらさを軽くするため」と伝えます

子どもが病院に行きたがらないのは自然なことです。まして、こころの病院となると、なおさら敷居が高く感じられます。厚生労働省の家族向けページ「子どもを病院につれていくときのコツ」は、無理強いせず、子どもの気持ちを受け止めながら受診を促すことを勧め、伝え方を3つにまとめています。

  1. いきなり受診を勧めず、まず本人のつらさに共感する。「眠れないのね、つらいね」のように。
  2. そのうえで、病院に行くほうが楽になるのでは、と提案する。「お医者さんに相談したら、休まる方法を教えてくれるかもしれないね」のように。
  3. 本人と症状を分けて話す。「あなたは病気だ」と言われると抵抗を感じるので、「あなたを苦しめている眠れなさを軽くするために、病院で相談してみない?」のように伝える。

出典:厚生労働省「子どもを病院につれていくときのコツ」/同「家族で子どもと向きあうポイント」(2026年9月確認。例文は要約しています)

話を聞くときは、片手間に聞かない、親の意見を押しつけない、「つらい」「不安」などの気持ちの言葉は「つらいのね」と伝え返す、言葉にしにくければ紙に書いてもらう、といった点も同じページに挙げられています。本人が納得したうえで受診を勧める、というのが家族向けページの考え方です。

言いがちな言葉 本人に伝わりやすい言い方の例
「おかしいから病院に行きなさい」 「眠れなくてつらそうだから、眠れる方法を一緒に聞きに行かない?」
「精神科なんて行くほどじゃないでしょ」 「重いかどうかを決めるためじゃなくて、楽になる方法を相談しに行くところだよ」
「学校に行けるようにしてもらおう」 「学校のことは後で考えよう。まず体と気持ちを休める方法を聞こう」
「何が原因なの?」 「原因は分からなくていいよ。いまつらいことを先生に一緒に伝えよう」

表の言い方は、厚生労働省のページの考え方をもとにこの記事で作った例です。お子さんに合う言葉に置きかえてください。

本人がどうしても行きたがらないときは、保護者だけで先に相談する方法もあります。厚生労働省の家族向けページも、子どもの様子が気になるけれど受診すべきか分からないときは、保健所や精神保健福祉センターなどの公的な相談窓口を使うよう案内しています。医療が必要かどうかや、近隣の医療機関の紹介についても相談できます(後の章「病院の前にも、公的な相談窓口があります」で紹介します)。高校生本人が「親に言えない」と悩んでいる場合の考え方は、うつ病 親に言えない 高校生の記事にまとめています。

話を聞いた内容によっては、先生やスクールカウンセラーに伝える必要が出てきます。そのときは、「このことは先生に伝えて相談したほうがいいから」と説明してから伝えること、本人が隠したいことはできるだけ秘密にするけれど、健康や安全に関わることは秘密にできないこともあると伝えておくことが勧められています。

医療費は原則3割。こども医療費助成と自立支援医療で軽くなることがあります

高校生の医療費の窓口負担は、健康保険では原則3割です(6歳未満の義務教育就学前は2割、70歳未満は3割。厚生労働省「医療費の自己負担」)。ここから、自治体の助成や国の制度で負担が軽くなることがあります。

こども医療費助成:高校生まで対象の市区町村が9割を超える。ただし中身はばらばら

こども家庭庁の調査(令和7年4月1日時点)では、全国1,741の市区町村すべてがこどもの医療費に何らかの助成をしています。通院の助成が何歳までかを見ると、次のとおりです。

通院の助成の対象 市区町村の数
18歳年度末(高校生年代)まで 1,576
20歳・22歳年度末まで 10(20歳4・22歳6)
15歳年度末(中学生)まで 145
12歳年度末まで・就学前まで 10(12歳1・就学前9)
(参考)所得制限あり/一部自己負担あり 49/422

出典:こども家庭庁 令和7年度「こどもに係る医療費の助成についての調査」別紙1(2026年9月確認)

つまり、高校生年代の通院まで助成している市区町村は1,586(約9割)ですが、145の市区町村では中学生までです。また、所得制限や、窓口での一部自己負担がある自治体もあります。お住まいの市区町村のページで、高校生が対象か、所得制限や自己負担があるかを確かめてください。受給者証の申請が必要な自治体もあります。

自立支援医療(精神通院医療):通院が続くなら、原則1割に

精神疾患で通院による治療を続ける必要がある場合は、自立支援医療(精神通院医療)という国の制度が使えることがあります。厚生労働省の案内の要点は次のとおりです。

  • 対象:統合失調症、うつ病・躁うつ病などの気分障害、PTSDなどのストレス関連障害やパニック障害などの不安障害、知的障害・心理的発達の障害、てんかんなどで、通院による治療を続ける必要がある人
  • 負担:公的医療保険で3割のところが1割に。さらに、世帯の所得に応じて1か月の負担に上限がある
  • 範囲:外来、外来での投薬、デイ・ケア、訪問看護など。入院の費用、保険が使えない治療(病院・診療所以外でのカウンセリングなど)は対象外
  • 手続き:お住まいの市町村の窓口に申請。申請書、医師の診断書、所得が分かる書類、保険の資格が分かるものなど(自治体で違う)。18歳未満は保護者の収入が分かる書類が必要な場合がある
  • 医療機関:都道府県・指定都市が指定した「指定自立支援医療機関」だけ。いま通っている病院が指定されているか確認が必要
  • 有効期間:1年以内。続けるなら更新の申請が必要

出典:厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)について」/同「自立支援医療(精神通院医療)の概要」(2026年9月確認)

こども医療費助成と自立支援医療は、どちらが先に使われるか、両方を合わせるとどうなるかが自治体によって違う可能性があります。通院が長くなりそうだと分かった時点で、主治医の病院の窓口(精神保健福祉士など)か市町村の担当課に聞くのが確実です。

※2026年9月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。

自立支援医療(精神通院医療)を使うと、精神疾患の通院医療費の窓口負担が3割から1割に軽くなり、所得に応じた月の上限もあることを示す図
出典:厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)について」(2026年9月確認)

診断書は「欠席を消す紙」ではなく、学校と配慮を相談するための材料です

受診すると、「学校に診断書を出したほうがいいのか」という疑問が出てきます。ここで知っておきたいのは、欠席をどう扱うか(出席停止や公欠などになるか)は、それぞれの学校の規程で決まるということです。診断書を出したからといって、欠席が出席に変わるとは限りません。欠席の数え方や進級のラインは高校 欠席日数と高校 出席日数の記事で、学則の実例とあわせて整理しています。

そのうえで、診断書(や医師の意見書)が役に立つ場面は主に次の4つです。

使う場面 何に使うか 確認先
学校に配慮を相談する 別室での受験、課題の提出時期、登校時間などの配慮を話し合う材料に。2024年4月から、私立の学校を含む事業者にも合理的配慮の提供が法律上の義務になった 担任・養護教諭・特別支援教育の担当
病気療養中の遠隔授業・通信教育 2024年4月から、全日制・定時制の高校でも、病気療養中の生徒に通信教育を行えるようになった。病気療養中の生徒への遠隔授業と通信教育は、単位数の制限なく行えるとされている。対象かどうかは医師の診断書などを基に学校側が判断する 在籍する高校(学校によって実施の有無が違う)
休学・転学の手続き 医師の書類が要るかどうか、要るならどんな内容かを先に確かめる 在籍する高校の学則・担任
自立支援医療の申請 指定自立支援医療機関の医師の診断書が必要(省略できる場合もある) 市町村の担当課

出典:内閣府「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されました」/文部科学省「高等学校等における多様な学習ニーズに対応した柔軟で質の高い学びの実現について(通知)」(5文科初第2030号・令和6年2月13日)(2026年9月確認)

診断書を出す前に、「何のために、誰に出すのか」を担任と確かめておくと、書いてもらう内容を医師に伝えやすくなります。診断書の料金は医療機関ごとに決まっているので、窓口で先に確認しておきましょう。また、診断名を学校のどの先生まで共有するかは、本人の気持ちを聞いて決めてよいことです。

学校に配慮を頼むときの具体的な伝え方はうつ病 学校が辛い 高校生、休んでいる間の単位や進路の考え方はうつ病 学校に行けない 高校生の記事で詳しく書いています。この記事は「受診するかどうか」と「受診の手順」に絞っています。

病院の前にも、公的な相談窓口があります。24時間つながる電話もあります

「受診すべきか分からない」「予約が先で、それまでが心配」というときに使える公的な窓口です。厚生労働省によると、保健所・精神保健福祉センターなどの相談は無料で、秘密も守られます。

窓口 番号・探し方 こんなときに
24時間子供SOSダイヤル(文部科学省) 0120-0-78310(なやみいおう)。夜間・休日を含め24時間。原則として、かけた場所の教育委員会の相談機関につながる 子ども本人も保護者も。学校に行くことや友だち関係の不安も
こころの健康相談統一ダイヤル(厚生労働省) 0570-064-556(ナビダイヤル。通話料がかかり、050で始まるIP電話からはつながらない)。かけた場所の都道府県・政令指定都市の公的な電話相談につながる。曜日・時間は都道府県ごとに違う こころの不調全般。受診すべきか迷うとき
精神保健福祉センター 都道府県・指定都市に設置。厚生労働省の全国一覧から探せる 医療が必要かどうかの相談、近隣の医療機関の紹介、思春期・青年期の相談
保健所・保健センター 保健所所管区域案内や市区町村役場で 不眠・うつなどの相談、不登校など思春期の問題の相談。医師などに相談できることも

出典:文部科学省「24時間子供SOSダイヤル」について/厚生労働省「まもろうよ こころ」電話相談/厚生労働省「こころの相談窓口」(家族向け)/同「身近にある地域の相談窓口」(2026年9月確認)

このほか、学校のスクールカウンセラーや養護教諭も、最初の相談相手になります。いじめや不登校など学校に関係した悩みは、都道府県や市区町村の教育センターでも相談できると厚生労働省は案内しています。電話が苦手な高校生には、厚生労働省の「まもろうよ こころ」に、SNSやチャットで相談できる窓口もまとめられています。

命に関わる危険が差し迫っているとき、ひとりにしておけないと感じるときは、ためらわずに119番に連絡してください。

選択肢の1つとしての通信制高校・サポート校(正直な注意点)

治療を始めてからも、「朝は動けない」「人の多い教室がつらい」「通院の日に授業を休むのが気になる」という悩みが続くことがあります。回復のペースは人によって違い、いまの学校に通いながら整えていける人もいれば、学び方を変えたほうが楽になる人もいます。

NIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制高校サポート校です。全国どこからでも自宅から参加でき、カメラやマイクをオフにして、チャットだけで参加するところから始められます。生活リズムに波があっても学べる設計で、授業のアーカイブ視聴や中学内容の学び直しにも対応しています。途中からの入学(転入・編入)もでき、出願費用は無料です。不登校の生徒を650名以上サポートしてきました(グループ全体)。

ただし、はじめに正直にお伝えしておくことがあります。

  • ニジ高そのものは高校ではありません。高校卒業の資格は、提携する通信制高校に在籍して取ります。
  • 学院内でのスクーリングはありませんが、提携する通信制高校のスクーリングには参加が必要です。スクーリングの形や日程は、個別相談会で詳しくご案内しています。
  • 体調や通院のペース、薬のことは主治医の判断を優先してください。学び方を変えるかどうかも、主治医と相談しながら決めるのが安心です。
  • 費用は、在籍する通信制高校の分とニジ高の分の両方がかかり、ニジ高の分には就学支援金は使えません。金額は学費のご案内に載せています。通信制高校の費用の考え方は通信制高校 学費の記事にまとめています。

いまの高校から移る場合の手順は高校 転入、学校の比べ方は通信制高校 選び方のページで整理しています。小中学生のきょうだいがいて不登校の悩みがある場合は、姉妹校のNIJINアカデミーという選択肢もあります。

迷ったときの進め方(3ステップ)

  1. 2週間分の様子をメモする。睡眠・食欲・気分・登校の様子を、日付と回数で書きます。厚生労働省の9項目のうちいくつ当てはまるかも数えておきます。「死にたい」「消えたい」という言葉や自傷があれば、メモを待たずに相談窓口か医療機関へ。
  2. 相談先を1つ決めて電話する。かかりつけ医、スクールカウンセラー、保健所・精神保健福祉センター、こころの健康相談統一ダイヤルのどれでもかまいません。受診先の候補を2〜3か所教えてもらい、「高校生を診てもらえるか」「初診はいつか」「紹介状は要るか」を聞きます。
  3. お金と学校のことは、受診の予約を取ってから考える。市区町村のこども医療費助成を確かめ、通院が続きそうなら自立支援医療を主治医の病院に相談します。学校への診断書は、何のために出すかを担任と確かめてから頼みます。

3つとも、学校をどうするか決まっていなくても進められます。学び方を変えることも含めて話を整理したい場合は、体験説明会・個別相談で状況を聞かせてください。よく聞かれることはよくある質問のページにもまとめています。

自宅でオンライン授業を受ける高校生と、後ろで本を読む母親
体調に合わせて学び方を選べる道もあります。
オンラインで学ぶニジ高の生徒

治療と学び方、両方を焦らず整える形もあります

ニジ高はオンライン中心の通信制高校サポート校です。カメラオフ・チャット参加から始められ、生活リズムに波があっても学べる設計です。ただし学院は高校ではなく、卒業資格は提携する通信制高校で取り、そのスクーリングへの参加が必要です。通院のペースは主治医の判断を優先しながら、学び方を一緒に考えます。

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よくある質問

Q. 高校生は、精神科と心療内科のどちらを受診すればいいですか?

A. 日本心療内科学会のQ&Aでは、頭痛や腹痛など体の症状が主なら心療内科、不安や抑うつなど気持ちの症状が主なら精神科が適しているとしています。両方を掲げている医療機関もあります。迷ったら、予約の電話で症状を伝えて「こちらで診てもらえますか」と聞くのが確実です。

Q. 児童精神科は高校生でも受診できますか?

A. 医療機関によって違います。たとえば日本医科大学付属病院の児童思春期外来は、おおむね5歳から15歳(中学3年生)を対象とし、紹介状が必要です。高校生まで診る児童精神科もあるので、予約の前に年齢の条件を確かめてください。

Q. 何日くらい様子を見てから受診すればいいですか?

A. 厚生労働省の若者向けページは、憂うつな気分や楽しめないことを含む5つ以上の症状が2週間以上続いたら、専門家への相談を勧めています。ただし「死にたい」「消えたい」という言葉や自傷、誰もいないのに声が聞こえるといったサインがあるときは、2週間を待たずに相談してください。

Q. 精神科の医療費はいくらかかりますか?

A. 健康保険では高校生の窓口負担は原則3割ですが、市区町村のこども医療費助成で軽くなることがあります(高校生年代まで通院を助成している市区町村は1,741のうち1,586。所得制限や一部負担は自治体ごと)。通院が続く場合は、自立支援医療(精神通院医療)で原則1割になり、月の上限もあります。具体的な金額は医療機関や自治体によって違うため、窓口で確認してください。

Q. 診断書を出せば、休んだ日は欠席にならないのですか?

A. 欠席の扱いは、それぞれの学校の規程で決まります。診断書を出しても欠席が出席に変わるとは限りません。診断書は、配慮の相談や、病気療養中の遠隔授業や通信教育の対象かどうかを学校が判断する材料として役に立ちます。出す前に、何のために使うかを担任と確かめてください。

受診は「重い人が行く場所」ではなく、つらさを軽くする相談の1つです

精神科や心療内科に電話をかけるのは、とても勇気がいることです。「大げさかもしれない」とためらう気持ちも、「病名がついたらどうしよう」という怖さも、お子さんを大切に思っているからこそ出てくるものだと思います。

でも、受診は何かを決めつけるためのものではありません。いまのつらさを専門家と一緒に見て、少しでも楽になる方法を探すための相談です。最初から答えが出なくてもかまいませんし、合わないと感じたら相談先を変えてもかまいません。

今日できることは、様子をメモすることと、相談先を1つ調べておくことだけで十分です。学校のことは、体と気持ちが少し落ち着いてから一緒に考えれば間に合います。

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