「部屋から、ずっと独り言が聞こえてくる」「授業中にぶつぶつ話していると、先生から言われた」。発達障害のある高校生や、その傾向があるお子さんの独り言が気になって、この記事を開いた方も多いと思います。叱ったほうがいいのか、放っておいていいのか、病院に行くべきなのか。答えが見つからないまま、心配だけが大きくなっていくこともあるはずです。
先に結論を書きます。公的な資料と照らして考えられる独り言の背景は、1つではありません。自閉スペクトラム症(ASD)の反響言語や反復的な会話、注意欠如多動症(ADHD)の話しすぎ、音声チック、緊張による声、そしてこころの不調のサインまで、候補がいくつもあります。見分けの手がかりとして大事なのは、「以前から続いているのか、最近になって増えたのか」と「本人や周りが困っているか」の2つです。
この記事は、2026年9月27日に厚生労働省、発達障害ナビポータル、国立特別支援教育総合研究所、国立精神・神経医療研究センター、文部科学省・内閣府の資料を実際に開いて確認した内容で書いています。診断をするための記事ではありません。公的な資料で確認できなかったことは、確認できなかったと書いています。
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結論:発達障害の高校生の独り言が多いときの早見
- 公的資料にある声や言葉の説明と照らすと、独り言の背景の候補は少なくとも5つあります。ASDの反響言語や反復的な会話、ADHDの多動性(過度に話す)、音声チック、緊張による声、こころの不調のサインです。ただし、公的資料が「独り言」とはっきり書いているのは、こころの不調のサインの説明などに限られます。
- ASDでは、聞いた言葉を時間がたってから繰り返す「遅延エコラリア」があると、厚生労働科学研究の手引きに書かれています。周りからは独り言に見えることがあります。
- 音声チックは、本人がそうするつもりで出している声ではありません。単語やフレーズが出ることもあり、不安・興奮・疲労で増えやすいとされています。叱って止めるものではありません。
- 以前はなかった独り言が急に増えたときは、こころの不調のサインのことがあります。厚生労働省は、教職員向けに「以前とは様子が異なるとき」に注意するよう呼びかけています。
- 「声が聞こえる」「悪口を言われた」と言う、にやにや笑うことが増えたなどが重なるときは、早めに専門機関へ相談します。統合失調症は多くが10代後半から20代にかけて発症するとされています。
- 学校には、声が出てしまう場面の配慮を相談できます。文部科学省の対応指針には、発声で落ち着かないときに個室などを用意する例が載っています。障害者手帳がなくても対象になりえます。
- 人前で声を出すことが負担なら、マイクをオフにしてチャットで参加できるオンラインのサポート校(NIJIN高等学院など)で学ぶ方法もあります。
独り言そのものより、「誰が困っているか」と「以前と比べて変わったか」を見ます
独り言が気になるとき、多くの保護者はまず「やめさせたほうがいいのか」を考えます。けれども、止めるかどうかを決める前に確かめておきたいことが2つあります。
1つ目は、誰が困っているかです。家の中で好きなことをつぶやいているだけで、本人も家族も困っていないなら、急いで何かを変える必要はないかもしれません。一方で、授業中に声が出て注意され続けている、電車でじろじろ見られて外に出るのが怖くなっている、というように本人が困っているなら、環境の工夫や学校への相談を考える段階です。
2つ目は、以前と比べて変わったかです。厚生労働省の子どものメンタルヘルスのサイトは、教職員向けに「とくに、以前とは様子が異なるときには要注意です」と書き、授業中に現れやすい心の不調のサインの説明の中で、独り言を言うなど授業よりもほかのことに気をとられている様子を挙げています(厚生労働省「学校だから気づける『いつもと違う』サイン」、2026年9月27日確認)。
反対に、ASDの特性は発達の早い時期から見られるものとされています(診断の条件の1つ)。子どものころから続いている独り言と、高校生になってから急に始まった独り言は、同じ「独り言」でも考え方が違うということです。このあと、公的な資料で確認できる背景を1つずつ見ていきます。
なお、声の大きさの調整が難しいことが気になっている場合は、発達障害 大きな声の記事で、背景と場面ごとの工夫を整理しています。この記事は「独り言」に絞って書きます。

公的資料から考えられる背景の候補は5つ。独り言だけで理由は決められません
公的な資料を探すと、声や言葉に関わる説明が、発達障害の特性の説明、チックの説明、こころの病気のサインの説明の中に、それぞれ別の形で出てきます。「独り言」という言葉そのものが出てくるのは一部で、ほかは声や言葉の特徴として書かれたものです。表にまとめました。
| 背景の候補 | 公的資料での説明 | 独り言としての見え方 |
|---|---|---|
| ASD(自閉スペクトラム症) | 相手と同じ言葉を繰り返す反響言語(エコラリア)、時間がたってから繰り返す遅延エコラリア、反復的な会話、独特の言い回し | 前に聞いた言葉やセリフ、好きな話題を一人で繰り返しているように見える |
| ADHD(注意欠如多動症) | 多動性として、過度に手足を動かしたり話したりする | 思いついたことが次々に声になり、話し続けているように見える |
| 音声チック・トゥレット症 | 本人がそうするつもりがないのに出る発声。咳払いや「ア」などの声のほか、単語やフレーズが出ることもある | 同じ言葉や短い声が、場面に関係なく出る |
| 緊張 | 他人との接触や多人数の中にいる緊張のため、不随意の発声がある場合がある(文部科学省の対応指針の配慮例) | 人が多い場所や、慣れない場面で声が出やすい |
| こころの不調(統合失調症を含む) | 周囲から見ると独り言を言っている、ぶつぶつと独り言を言っている、などがサインとして挙げられている | 以前はなかった独り言が増え、ほかの変化も重なる |
出典:国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育推進センター「自閉症」/同「注意欠如多動性障害(ADHD)」/発達障害ナビポータル「トゥレット症を含むチック症」/文部科学省「文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」/国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト「統合失調症」(いずれも2026年9月27日確認)
表を見ると分かるとおり、独り言という1つの行動から、背景を1つに決めることはできません。国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報・支援センターも、障害ごとの特徴は少しずつ重なり合っていることが多く、年齢や環境で目立つ症状が変わるため、診断はとても難しいと説明しています(発達障害情報・支援センター「発達障害とは」)。
また、今回確認した公的な資料の中には、「発達障害のある高校生の独り言は、考えを整理するためのものが多い」といった、独り言の理由を一般化して説明するものは見つかりませんでした。家庭で見ていて「考えごとを声に出しているようだ」と感じることはあるかもしれませんが、それを理由として言い切れる資料は確認できていません。
ASDでは、聞いた言葉をあとで繰り返す「遅延エコラリア」が独り言に見えることがあります
ASDの特性として公的資料にはっきり書かれているのが、言葉の使い方の特徴です。国立特別支援教育総合研究所は、自閉症の特徴の1つ「言葉の発達の遅れ」の説明で、相手と同じ言葉を繰り返して言う反響言語(エコラリア)や、流暢ではあっても独特の言い回しや、自分の好きなことだけを一方的に質問し続けることがあると書いています。
国立精神・神経センター精神保健研究所がまとめた厚生労働科学研究の手引き(研究代表者:神尾陽子)は、もう少し詳しく説明しています。エコラリアは相手の話したことをオウム返しする現象で、すぐに繰り返す即時のエコラリアのほかに、かなり時間がたってからみられる遅延のエコラリアがある、という内容です。同じ手引きには、幼児期に医師が聞き取る所見の例として「話しているが独り言なのか相手にいっているのかわからない」という様子も挙げられています(「ライフステージに応じた自閉症スペクトラム者に対する支援のための手引き」、2026年9月27日確認)。
厚生労働省が公開している資料でも、DSM-5の診断の条件として、行動・興味・活動の限られた反復的な様式(反復的な身体の運動や会話、こだわり、感覚の過敏さや鈍感さなど)が挙げられ、症状の例として反響言語(オウム返し)や、格式張った字義どおりの言葉づかいが紹介されています(厚生労働省「自閉スペクトラム症に関する資料」。e-ヘルスネットからの引用として掲載)。
ここで1つ、正直に書いておきたい注意があります。上の説明の多くは、幼児期や子どもの時期の様子として書かれたものです。高校生になって、遅延エコラリアや反復的な会話がどのような独り言として表れるかを、年齢を区切って説明した公的な資料は今回確認できませんでした。「うちの子はASDだから、独り言はエコラリアだ」と決めつけず、本人に聞いてみる、主治医に様子を伝えるなど、その子自身の話から理解していくことが大切です。
発達障害ナビポータルは、ASDのある子どもについて、自分が興味を持った特定の物事には過度に熱中しやすく、知識も豊富になる傾向が顕著だと説明しています(発達障害ナビポータル「自閉スペクトラム症」)。好きな話題を一人でつぶやく様子が、この熱中と重なって見えることもあります。ASDのある高校生の特徴や学校選びはASD 高校生 特徴の記事でまとめています。
ADHDの話しすぎや音声チックは、本人の意思だけでは止めにくい声です
ADHD:多動性として「過度に話す」ことがある
国立特別支援教育総合研究所は、ADHDの多動性を「じっとしていることが苦手で、過度に手足を動かしたり、話したりすることから、落ち着いて活動や課題に取り組むことが困難であること」と説明しています。思いついたことがそのまま声になり、相手がいなくても話し続けているように見える場面は、この説明と重なります。
ただ、ADHDの説明にある「過度に話す」が、相手のいない独り言としてどのくらい表れるかを示した公的な資料は、今回見つかりませんでした。ここも、「ADHDだから独り言が多い」と言い切ることはできません。
音声チック:するつもりがないのに出る声
発達障害ナビポータルは、音声チックを「運動チックと同様の特徴のある発声」とし、咳払いや鼻鳴らしが一般的で、「ア」などの声を出すこともあり、時に単語やフレーズを発することがあると説明しています。つまり、音声チックは短い音だけとは限らず、言葉として聞こえることもあります。
同じページには、チックの特徴として次のことが書かれています。
- チックは、行おうとして行っているわけではありません。一時的・部分的には抑えられることがあり、完全に不随意とも言い切れない(半随意性)。
- 種類や頻度、強さは経過の中で変わります。不安、興奮、緊張後のリラックス、疲労などで多くなりがちで、平静や作業への集中で少なくなりがちです。
- 4〜6歳で発症しやすく、慢性化しても10〜12歳をピークに軽快に向かうことが多いとされています。ADHDや強迫症が代表的な併存症で、ASDなどの神経発達症もしばしば併存します。
出典:発達障害ナビポータル「トゥレット症を含むチック症」/国立特別支援教育総合研究所「トゥレット症候群」(2026年9月27日確認)
「抑えようと思えば少しは抑えられる」ことがあるぶん、周りからは「わざと」「だらしない」と誤解されやすい声です。不安や緊張で増えやすいとされているため、強く注意されること自体が負担になる場合もあります。この点は、家族や先生と共有しておきたいところです。学校生活での付き合い方はチック症 高校生の記事で書いています。

以前はなかった独り言が増えた、声が聞こえると言う。そのときは早めに相談します
ここまでの背景は、主に子どものころから見られる特性の話でした。一方で、高校生の年齢になってから新しく始まった独り言には、別の見方が必要です。
国立精神・神経医療研究センターのこころの情報サイトは、統合失調症について、周囲から見ると「独り言を言っている、実際はないのに悪口を言われたなどの被害を訴える、話がまとまらず支離滅裂になる、人と関わらず一人でいることが多い」などのサインとして表れると説明し、早く治療を始めるほど回復も早いといわれているので、周囲が様子に気づいたときは早めに専門機関に相談するように呼びかけています。厚生労働省も、統合失調症は多くが10代後半から20代にかけて発症し、本人に病気の認識が少ないこともあって、家族や周囲が先に気づくケースが多いと説明しています(厚生労働省「統合失調症」(こころもメンテしよう))。
もちろん、独り言があるから統合失調症だ、ということではありません。公的な資料で、相談を考えるきっかけとして挙げられている様子を表にしました。
| 気づいた様子 | 挙げている資料 | 考えたいこと |
|---|---|---|
| 以前はなかった独り言が増えた。授業よりほかのことに気をとられている | 厚生労働省(教職員向けのサイン) | 眠れているか、成績や友人関係にも変化がないか |
| ぶつぶつと独り言を言っている。にやにや笑うことが多い | 国立精神・神経医療研究センター(幻覚や妄想のサイン) | ほかのサインが重なっていないか |
| 命令する声が聞こえると言う。悪口を言われたと訴えるが、現実には何も起きていない | 国立精神・神経医療研究センター(幻覚や妄想のサイン) | 早めに専門機関へ相談する |
| 監視や盗聴を受けていると言う。いつも不安そうで緊張している | 国立精神・神経医療研究センター(幻覚や妄想のサイン) | 早めに専門機関へ相談する |
出典:厚生労働省「学校だから気づける『いつもと違う』サイン」/国立精神・神経医療研究センター「統合失調症」(2026年9月27日確認)
表の下の2行のような様子があるときは、様子見を続けるより、早めに相談するほうが安心です。厚生労働省のサイトは、家族が病状に批判的な言葉をかけたり、逆に心配しすぎたりすると回復が遅れる場合があるとして、できるだけ平静を保ち、本人のつらさを受け止めることが大切だとも書いています。「おかしなことを言わないで」と否定するより、「最近、眠れてる?」「何か気になることがある?」と、本人の困りごとを聞くところから始めてみてください。
なお、発達障害ナビポータルは、ASDのある人の中には、うつ病や不安症などの精神疾患を伴う人もいると説明しています(発達障害ナビポータル「自閉スペクトラム症」)。気になる変化があるときは、発達障害 合理的配慮の記事にある学校との相談の進め方と合わせて、医療の相談も並行して考えます。
相談先は「特性の相談」と「こころの変化の相談」で分かれます
独り言が気になったとき、どこに相談すればいいのか。公的な資料で確認できた相談先を、目的ごとに並べました。
| 相談したいこと | 主な相談先 | 公的資料での説明 |
|---|---|---|
| 子どものころからの特性、学校や家での関わり方 | 発達障害者支援センター | 発達障害児(者)とその家族からのさまざまな相談に応じ、指導と助言を行う専門的機関。都道府県・指定都市が自ら、または指定した法人が運営 |
| チックの声で生活に大きな支障がある | かかりつけの小児科、小児神経科、児童精神科 | 子どもであれば、まずかかりつけの小児科医、さらに小児神経科医や児童精神科医に相談する(発達障害ナビポータル) |
| 以前と様子が変わった、声が聞こえると言う | 保健所・保健センター、精神保健福祉センター、こころを専門に診る医療機関 | 厚生労働省が困ったときの相談先として紹介している |
| 学校での配慮や、授業・テストの受け方 | 学級担任、特別支援教育コーディネーター | 特別支援教育コーディネーターは、保護者からの相談窓口などの役割を担う(文部科学省通知) |
出典:発達障害情報・支援センター「発達障害者支援センターとは」・「発達障害者支援センター・一覧」/発達障害ナビポータル「トゥレット症を含むチック症」/厚生労働省「困ったときの相談先」/文部科学省「特別支援教育の推進について(通知)」(平成19年4月1日)(2026年9月27日確認)
発達障害者支援センターの事業内容には地域ごとの違いがあります。まずは一覧からお住まいの地域のセンターを探し、「高校生の独り言について相談したい」と電話で聞いてみると、受け付けているかどうかがはっきりします。すでに通院している場合は、独り言がいつ・どこで・どのくらい出るかをメモして、主治医に見せると、様子が伝わりやすくなります。診断や薬の判断は、主治医や専門機関にゆだねてください。

授業・テスト・電車・家・オンラインで、困りごとと工夫は変わります
同じ独り言でも、どこで出るかによって、本人の困り方も工夫の仕方も変わります。ここでの工夫は、公的資料の配慮例や一般的な環境調整の考え方をもとにした例で、どの子にも合うとは限りません。本人と話しながら選んでください。
| 場面 | 起きやすい困りごと | 工夫の例 |
|---|---|---|
| 授業中 | 声が出て注意される。周りの目が気になって授業に集中できない | 座席の位置を相談する。声が出そうなときに一時的に離れてよい場所を決めておく |
| 定期テスト・入試 | 静かな教室で声が出ることへの不安が強い | 別室での受験を学校に相談する(配慮の申し出は本人か家族から) |
| 電車・人の多い場所 | 緊張で声が出やすく、見られることで外出が怖くなる | 混雑する時間を避ける。音や人の多さがつらいなら、イヤーマフなどのセルフケアも検討する |
| 家 | 家族が気になって何度も注意してしまい、関係がぎくしゃくする | 家では基本的に見守る。困るのはどの場面かを家族で話し合う |
| オンライン授業 | マイクが入っていると声が相手に聞こえてしまう | マイクをオフにし、発言はチャットでする。話すときだけマイクを入れる |
電車や教室の工夫で触れた「音や人の多さのつらさ」について、国立障害者リハビリテーションセンター研究所は、ASDのある人の60〜90%が感覚の問題を持つことが知られているとし、聴覚の過敏さへのセルフケアとして、イヤーマフや耳栓、ノイズキャンセル機能付きのヘッドホンを紹介しています(発達障害ナビポータル「発達障害のある人のつらい感覚の問題とそのセルフケア」、2023年10月19日掲載、2026年9月27日確認)。ただし、感覚の問題が独り言の原因になると説明した公的資料は確認できませんでした。緊張やつらさを減らす工夫の1つとして考えてください。
家で独り言に気づいたときは、やめさせる前に本人の話を聞く
家庭でできることとして大切なのは、落ち着いているときに、本人と一緒に「困っている場面」を決めることです。独り言が出ているその場で「うるさい」「やめなさい」と言っても、チックや緊張による声は本人の意思だけでは止めにくく、チックは不安や緊張で増えやすいとされています。
- 本人は独り言に気づいているか。気づいていて困っているか、気づいていないか。
- 困るのは、学校か、電車か、家か。全部の場面で止める必要があるのか。
- 声が出そうなとき、本人はどうしたいか(その場を離れる、イヤホンをする、メモに書く、など)。
発達障害情報・支援センターは、「その人」がどんなことができて何が苦手なのか、どんな魅力があるのかに目を向けることの大切さを説いています。独り言を「なくすべきもの」と決める前に、本人にとってどんな意味があるのかを聞いてみると、家族の見え方も変わってくるかもしれません。

学校には、声が出てしまう場面の「個室・別室」を相談できます(文部科学省の対応指針に例)
授業中やテスト中の独り言が本人の負担になっているなら、学校に配慮を相談できます。根拠になるのが、障害者差別解消法です。
- 障害者差別解消法は2016年4月1日に施行され、改正法が2024年4月1日に施行されて、事業者にも合理的配慮の提供が義務化されました(内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進」)。
- 文部科学省の対応指針は、ここでいう事業者に学校法人も含まれると書いています。私立高校や私立の通信制高校も対象です。
- 対象となる障害者は、いわゆる障害者手帳の所持者に限られないとされています。発達障害は、法律上「精神障害」に含まれます。
- 配慮を求める意思の表明は、本人が難しい場合、家族などが本人を補佐して行うものも含むとされています。
そして、この対応指針には、独り言や声に関係する配慮の例が、はっきり2つ載っています。
- 学校や社会教育施設などで、障害のある子どもが必要以上の発声やこだわりのある行動をするなど落ち着かない状況にある場合に、保護者から子どもの特性やコミュニケーションの方法などを聞き取ったうえで、落ち着くことができるよう、個室などを提供すること。
- 他人との接触や、多人数の中にいることによる緊張のため不随意の発声などがある場合、緊張を和らげるため、本人に説明のうえ、施設の状況に応じて別室を用意すること。
出典:文部科学省「文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」(令和6年1月17日、同年4月1日施行。策定についてのページ)(2026年9月27日確認)
対応指針は、配慮の内容は学校と本人・家族の建設的対話で決めていくものだとしています。本人が普段講じている対策を対話の中で共有することも、円滑な対応につながると書かれています。「家では、声が出そうなときにイヤホンをつけると落ち着く」といった具体的な情報は、学校にとっても配慮を考える手がかりになります。
また、高校では2018年4月から「通級による指導」が制度として始まり、大部分の授業を通常の学級で受けながら、一部の授業について障害に応じた特別の指導を特別な場で受けられるようになりました。対象には自閉症や注意欠陥多動性障害なども含まれ、その単位は年間7単位を超えない範囲で卒業に必要な単位に加えることができます(文部科学省「学校教育法施行規則の一部を改正する省令等の公布について(通知)」)。通級を置いているかは学校ごとに違うため、在籍校に確認してください。
※2026年9月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。
「注意すればやめられる」「独り言なら発達障害」「独り言なら病気」はどれも言い切れません
独り言をめぐっては、正反対の思い込みが混ざりがちです。公的資料と照らして、言い切れないものを3つ挙げます。
誤解1:「本人が気をつければ、やめられるはず」
音声チックは、本人がそうするつもりがないのに出る声で、不安や緊張、疲労で増えやすいとされています。文部科学省の対応指針も、緊張による不随意の発声を配慮の対象として挙げています。気をつけるだけでは止めにくい声があることを前提に、環境の側で工夫を考えるほうが現実的です。
誤解2:「独り言が多いのは、発達障害だから」
独り言の背景には、発達障害の特性のほかに、緊張やこころの不調も挙がっています。発達障害の診断がある子でも、高校生になって急に増えた独り言は、特性だけで説明せず、ほかの変化がないかを見る必要があります。
誤解3:「独り言が出るのは、心の病気のサイン」
反対に、子どものころから続いている独り言や、好きな話題のつぶやきまで、すぐに病気と結びつける必要はありません。国立精神・神経医療研究センターが挙げているのも、独り言だけではなく、被害を訴える、声が聞こえると言う、一人でいることが増えるなど、いくつかのサインの組み合わせです。
発達障害のある子の通信制高校選びで、支援の実際や学校に聞くことは通信制高校 発達障害の記事にまとめています。
選択肢の1つとしてのニジ高(正直な注意点)
「教室にいると、独り言が出ないように気を張り続けて、それだけで疲れてしまう」。そんな状態が続いているなら、学ぶ場所そのものを変えるという考え方もあります。
NIJIN高等学院(ニジ高)は、株式会社NIJINが運営するオンライン中心の通信制高校サポート校です。全国どこからでも、自宅から参加できます。担任がつき、カメラやマイクをオフにして、チャットだけで参加するところから始められます。マイクをオフにしていれば、声が出てしまっても授業の相手には聞こえません。生活リズムに波があっても学べるよう、授業のアーカイブ視聴や中学内容の学び直しにも対応しています。
ニジ高は、発達特性や障害を、本人を変えるのではなく、学びの構造や環境を変えることで支援するという新しいアプローチを取っています。そのうえで、正直にお伝えしておくことがあります。
- ニジ高は高校ではありません。高校卒業の資格は、提携する通信制高校に在籍して取ります。通信制高校とサポート校の関係は通信制サポート校とはの記事で説明しています。
- 学院の中でのスクーリングはありませんが、提携する通信制高校のスクーリングには参加が必要です。宿泊を伴うスクーリングに、ニジ高のスタッフは付き添いません。ニジ高が行うのは、日程の調整と準備の支援です。スクーリングの形や日程は、個別相談会で詳しくご案内しています。人前で声が出ることが心配な場合は、その点も相談の場で伝えてください。
- 独り言の背景の見立てや、診断・服薬など医療の判断は、主治医や専門機関へご相談ください。
- 費用は、通信制高校の分とニジ高の分がかかり、ニジ高の分に就学支援金は使えません。金額は学費のご案内でご確認ください。
途中からの転入・編入もでき、出願費用は無料です。生徒会やサークル、学園祭、企業と関わるプロジェクトなど、画面越しに仲間とつながる活動もあります。「声を気にせずに学べる場所から、もう一度始めたい」という人の、比べる候補の1つにしていただければうれしいです。
迷ったときの進め方(3ステップ)
- 2週間ほど、独り言が出る場面をメモする。いつ・どこで・誰といるときに・どんな言葉が出るか。子どものころからあるか、最近増えたか。眠れているか、ほかに変わったことはないか。メモがあると、医療機関でも学校でも話が早く進みます。
- 「以前はなかった」「声が聞こえると言う」なら医療・保健の相談を先にする。保健所や精神保健福祉センター、通院中なら主治医へ。子どものころから続く特性の相談なら、発達障害者支援センターや学校の特別支援教育コーディネーターへ。
- 本人が困っている場面について、学校と配慮を話し合う。座席、一時的に離れてよい場所、テストの別室など。今の学校で続けるのがつらい場合は、オンラインで学べる通信制高校やサポート校も比べてみます。
どの段階でも、家族だけで抱え込む必要はありません。進路のことまで含めて話を整理したい場合は、体験説明会・個別相談で状況を聞かせてください。


声を気にせず、マイクオフで学べる形もあります
ニジ高はオンライン中心の通信制高校サポート校で、カメラ・マイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められます。体験説明会は日程を選ぶだけで申し込めます。ただし学院は高校ではなく、卒業資格は提携する通信制高校で取り、そのスクーリングへの参加が必要です。
よくある質問
Q. 高校生の独り言は、やめさせたほうがいいですか?
A. 本人も周りも困っていないなら、急いでやめさせる必要はないかもしれません。音声チックのように本人の意思だけでは止めにくい声もあり、チックは不安や緊張で増えやすいとされています。困っている場面があるなら、落ち着いているときに本人と話し、環境の工夫や学校への相談を考えます。
Q. 独り言が多いと、発達障害ですか?
A. 独り言だけで発達障害かどうかは分かりません。公的資料では、ASDの反響言語やADHDの多動性、音声チック、緊張、こころの不調など、いくつもの背景が挙がっています。気になる場合は、発達障害者支援センターや医療機関に相談してください。診断は医師が行います。
Q. 独り言は統合失調症のサインですか?
A. 独り言があるだけで統合失調症とは言えません。国立精神・神経医療研究センターは、ぶつぶつと独り言を言う、命令する声が聞こえると言う、悪口を言われたと訴えるが現実には何も起きていない、などをサインとして挙げています。以前と様子が変わり、こうしたサインが重なるときは、早めに専門機関へ相談してください。
Q. 障害者手帳がなくても、学校に配慮をお願いできますか?
A. 文部科学省の対応指針は、対象となる障害者は障害者手帳の所持者に限られないとしています。2024年4月1日からは、私立学校を運営する学校法人にも合理的配慮の提供が義務になっています。どんな配慮にするかは、学校と本人・家族の対話で決めていきます。
Q. オンラインの学校なら、独り言は気にならなくなりますか?
A. 自宅からマイクをオフにして参加できる学び方なら、授業中に声が相手に聞こえる心配は小さくなります。ただし、サポート校の場合も提携する通信制高校のスクーリングには参加が必要です。スクーリングの形や日程は学校ごとに違うため、入学前に確認しておくと安心です。
独り言を「止める」より「分かる」から始めると、次の一歩が見えてきます
独り言が気になると、どうしても「どうやったら止められるか」に目が向きます。けれども、同じ独り言でも、子どものころからの特性なのか、緊張なのか、こころの変化のサインなのかで、必要なことはまったく違います。
まずは、いつ・どこで出るのか、以前と比べて変わったのか、本人は困っているのかを、そっと見てみてください。それだけで、相談する相手も、学校にお願いすることも、ずっと具体的になります。
学ぶ場所や学び方を変えることで、声を気にしすぎずに過ごせる時間を増やすこともできます。どちらに進むか迷っている段階の相談も、受け付けています。
独り言のことも含めて、迷っている段階から話を聞いています
全国どこからでもカメラ・マイクはオフでOK転入・編入は随時受付
通信制高校サポート校 NIJIN高等学院(ニジ高)/出願費用は無料です。無理に勧めることはありません。

