発達障害の高校生、夏休みに生活リズムが崩れたら親ができる5つのこと
夏休みに入って数週間、お子さんの生活リズムが大きく崩れてしまった。昼まで寝ていて、夜遅くまで起きている。食事の時間もバラバラで、何から手をつければよいのか分からない。発達障害のある高校生のご家庭では、このような悩みがよく聞かれます。叱っても改善せず、親子の衝突が増えてしまうことで、さらに疲れてしまう方もいるかもしれません。この記事では、発達障害の高校生が、夏休みに生活リズムを崩したとき、親ができることを、5つにまとめました。特性の現れ方には個人差があるため、お子さんに合う部分を、取り入れてみてください。
生活リズムが崩れたとき
親ができる5つのこと
1. 責めずに、状況を把握する
生活リズムが崩れているとき、つい「いつまで寝てるの」「早く起きなさい」と、声をかけたくなる気持ちは自然です。しかし、発達障害の特性がある場合、本人も、なんとかしたいと思っているのに、うまく調整できないということが少なくありません。まずは責めずに、「最近どう?」「何が一番つらい?」と、本人の話を聞いてみましょう。夜になると目が冴えてしまう、朝は体が重くて動けない、やることがなくて夜更かししてしまうなど、本人なりの理由が見えてくることがあります。睡眠時間、食事の状況、体調の変化なども、さりげなく観察してください。
2. 整える「軸」を一つに絞る
生活リズムのすべてを一度に整えようとすると、負担が大きく、続きません。まず、起床時間、食事の時間、就寝時間のうち、本人が取り組みやすいものを一つ選び、そこから始めましょう。多くの場合、起床時間を整えると、夜に自然と眠くなり、他の部分も整いやすくなります。起床時間は、一気に変えず、15〜30分ずつ早めていくのが、無理のない方法です。変えるのが難しい日があっても、責めず、翌日からまた再開すれば大丈夫です。
3. 仕組みで支える
声かけだけに頼ると、親子ともに疲れてしまいます。タイマー、アラーム、カレンダー、チェックリストなど、見える・聞こえる仕組みを取り入れて、本人が自分で動きやすい環境を整えましょう。たとえば、起床時間に鳴るアラームを、ベッドから離れた場所に置く、朝のやることを紙に書いて壁に貼る、就寝1時間前にスマホ充電器のある場所に移す、などです。仕組みは、本人と相談しながら決めると、続けやすくなります。
4. 家族で協力体制をつくる
生活リズムの調整は、家族全体で取り組むと、より効果的です。保護者の間で対応方針をそろえる、夜は家全体の照明や音を静かにする、朝は家族で一緒に朝食をとるなど、お子さんが整えやすい環境を、家族で支えましょう。きょうだいがいる場合は、きょうだいにも状況を伝え、協力をお願いしておくと、家庭の雰囲気も穏やかになります。
5. 必要なら、専門機関に相談する
睡眠の乱れが数週間以上続く、日中の活動に大きな支障が出ている、気分の落ち込みやイライラが強いなどの場合は、睡眠や心の不調が背景にある可能性もあります。通院している場合は主治医に、そうでなければ、かかりつけ医や、地域の相談窓口に相談してみましょう。早めに相談することで、状況の改善につながりやすくなります。
夏休みに生活リズムが崩れる、背景を理解する
なぜ、発達障害のある高校生は、夏休みに生活リズムが崩れやすいのでしょうか。背景を理解しておくと、責める気持ちが和らぎ、適切な対応を考えやすくなります。
学校という「枠組み」がなくなる
学校のある期間は、登校時間、授業、休み時間、部活動など、外から決められた枠組みが、生活リズムを支えています。夏休みでその枠組みがなくなると、自分で時間を組み立てる必要が生じ、特性によっては、大きな負担となります。見通しが立ちにくい状況では、不安から夜更かしに向かう場合もあります。
感覚の特性と睡眠の関係
音、光、においなどに敏感な特性があると、夜の静かな時間のほうが落ち着いて過ごせるため、昼夜逆転になりやすい場合があります。また、寝つきが悪い、眠りが浅いなど、睡眠そのものに困りごとを抱えていることもあります。
切り替えの難しさ
興味のある活動に没頭すると、やめどきが分からず、気づけば明け方になっていた、ということもあります。切り替えの難しさは、特性のひとつであり、本人の意志だけで改善するのは難しい場合があります。
疲れや不安の回復期間
学期中に頑張りすぎて、夏休みに入ってから、一気に疲れが出る場合もあります。この場合は、休むこと自体が、必要な回復の時間です。生活リズムの乱れを、すぐに「問題」と捉えず、数日から1〜2週間は、様子を見ることも大切です。
人との関わりの減少
友達や先生と会う機会が減り、日中の活動量が少なくなると、生活のメリハリがつきにくくなります。社会的な接点を、無理のない形で保つことも、リズムを整える助けになります。

家庭でできる、具体的な整え方
ここでは、家庭で取り入れやすい、具体的な工夫を紹介します。お子さんの特性や好みに合わせて、選んでください。
朝:光・音・香りで目覚めを助ける
起床時間になったら、カーテンを開けて光を入れる、好きな音楽をかける、朝食のにおいを漂わせるなど、感覚に優しく働きかける工夫が、目覚めを助けます。大きな声での呼びかけや、体を揺すって起こす方法は、不快感を与える場合があるため、避けたほうが安心です。
日中:活動の「しるし」をつくる
午前中に散歩に出る、午後に勉強の時間をとる、夕方に家事を手伝うなど、日中の活動に「しるし」をつけると、1日にメリハリが生まれます。カレンダーに色分けして書き込む、チェックリストを使うなど、視覚的に確認できる形にすると、さらに効果的です。
夜:リラックスの流れをつくる
就寝前の1〜2時間は、刺激の少ない活動に切り替えます。入浴、ストレッチ、読書、静かな音楽、温かい飲み物など、本人に合う方法を組み合わせて、毎日同じ流れをつくると、眠りに入りやすくなります。スマホやゲームは、就寝1時間前には終わらせるのが理想ですが、難しい場合は、段階的に減らしていきましょう。
食事:時間をそろえる
食事の時間がバラバラだと、体内時計も乱れやすくなります。朝食だけでも、毎日同じ時間にとるようにすると、リズムが整いやすいと言われています。食欲がないときは、飲み物やゼリーなど、軽いものでも構いません。
環境:寝室の整え方
寝室は、暗さ、静けさ、温度を整え、スマホやゲーム機を持ち込まないようにすると、眠りやすくなります。感覚が敏感な場合は、遮光カーテン、耳栓、肌ざわりの良い寝具など、本人が心地よいと感じるものを選びましょう。
生活リズムは
この順番で整える
| 順番 | 取り組む内容 |
|---|---|
| 1 | 起床時間を15〜30分ずつ調整 |
| 2 | 朝食と日光で目覚めを助ける |
| 3 | 日中の活動のしるしをつくる |
| 4 | 夜のリラックス習慣と就寝時間 |
| 5 | 全体を見直し、できた日を認める |
声かけの工夫:親子の衝突を減らすために
生活リズムの問題は、親子の衝突の原因になりやすいものです。伝え方を工夫することで、お互いのストレスを減らし、前向きに取り組みやすくなります。
指示ではなく「提案」にする
「早く寝なさい」という指示は、反発を招きやすいものです。「明日は少し早く起きてみる?そのために、今日は何時に寝るのがいいかな」と、本人に考えてもらう形の問いかけにすると、主体性が育ちます。決めた内容は、紙に書いておき、後で一緒に確認できるようにしましょう。
具体的で短い言葉で伝える
発達障害の特性がある場合、あいまいな表現や、長い説明は、理解しにくいことがあります。「そろそろ寝る準備をして」ではなく、「10時になったら、歯みがきをして、スマホを充電器に置く」というように、具体的な行動を、短く伝えましょう。
タイミングを選ぶ
本人が集中しているときや、気持ちが高ぶっているとき、疲れているときに話しかけても、受け止めにくいものです。落ち着いている時間帯に、短く、穏やかに話すことを心がけましょう。
できていることを先に伝える
改善してほしいことを伝える前に、できていることを先に言葉にすると、受け入れやすくなります。「昨日は朝食を食べられたね」「ゲームを終わらせる時間を守れたね」と、小さな成功を認めてから、次の課題を一つだけ伝えます。
感情的になりそうなときは、離れる
親自身がイライラして、感情的になりそうなときは、一度その場を離れて、落ち着いてから話しましょう。怒りにまかせた言葉は、お互いに傷つけ合う結果になりやすいものです。

夏休み後半〜新学期に向けた準備
新学期に向けて、無理なく生活リズムを戻していくための、具体的な進め方を紹介します。
新学期の2週間前から、少しずつ調整する
新学期の2週間前を目安に、起床時間を毎日15〜30分ずつ早めていきます。就寝時間も、同じペースで早めると、自然に整いやすくなります。急な調整は避け、週ごとの目標を決めて、確認しながら進めましょう。
登校時間のシミュレーション
新学期の登校時間に合わせて、起床、朝食、身支度、家を出る時間までを、実際に試してみると、本番での負担が軽くなります。通学路を歩いてみる、電車やバスの時間を確認するなど、具体的な練習も効果的です。
学校への事前連絡
生活リズムの乱れが大きく、登校に不安がある場合は、新学期が始まる前に、学校に連絡しておくと安心です。担任や特別支援コーディネーターに、夏休み中の様子と、配慮してほしいことを伝えておきましょう。
新学期の最初の週は、無理のない目標を
新学期の最初の数日は、緊張や疲れが出やすい時期です。「毎日遅刻せずに登校する」といった高い目標ではなく、「初日に登校する」「3日間通う」など、達成しやすい目標を設定しましょう。
環境が合わないと感じたら
生活リズムの乱れの背景に、学校の環境が合わないという問題が隠れている場合もあります。登校がつらい日が続く、朝になると体調を崩すなど、強い負担が見られる場合は、学校との相談を重ねながら、通信制高校など、学び方を柔軟に選べる環境も、選択肢のひとつとして考えてみてください。
親自身が気をつけたいこと
お子さんの生活リズムを支える保護者の方自身の心身の健康も、とても大切です。
完璧を求めない
毎日きちんと整えることは、誰にとっても難しいことです。うまくいかない日があっても、「また明日」と考える余裕を持ちましょう。親が完璧を求めすぎると、お子さんにもプレッシャーが伝わります。
他の家庭と比べない
SNSや周囲の話で、他の家庭の様子を聞くと、焦りを感じることがあります。しかし、お子さんの特性や家庭の状況は、それぞれ異なります。ご家庭に合ったペースを大切にしてください。
支援を求める
学校、医療機関、発達障害者支援センター、親の会など、相談できる場所があります。一人で抱え込まず、必要なときには、支援を求めましょう。

特性別:生活リズムの崩れ方と対応のヒント
発達障害といっても、特性によって、生活リズムの崩れ方や、有効な対応は異なります。ここでは、傾向別に、考え方のヒントを紹介します。診断名にこだわらず、お子さんの実際の様子を基準に、参考にしてください。
注意が続きにくい・忘れやすい特性が見られる場合
予定や時間を管理することが難しく、気づけば時間が過ぎていることがあります。アラームやタイマー、チェックリストなど、外部の仕組みを活用するのが効果的です。やるべきことを小さく分け、一つずつ達成する形にすると、取りかかりやすくなります。
こだわりや見通しの不安が強い特性が見られる場合
予定が不明確だと不安が強まり、夜に気持ちが落ち着かず、眠れなくなることがあります。1日の流れを、あらかじめ視覚的に示しておくと、安心して過ごしやすくなります。いつも同じ流れで過ごすことで、安定しやすい傾向があります。ただし、急な変更には、事前の予告があると安心です。
感覚が敏感な特性が見られる場合
音、光、においなどの刺激で、眠りが浅くなったり、朝に疲れが残ったりすることがあります。寝室の環境(遮光、静けさ、寝具の肌ざわりなど)を整えることで、睡眠の質が改善する場合があります。日中の刺激が強すぎると疲れが溜まるため、静かに過ごす時間を確保することも大切です。
気持ちの波が大きい・疲れやすい特性が見られる場合
気分の浮き沈みや、疲れやすさによって、生活リズムが乱れることがあります。無理をさせすぎず、休息を優先する日をつくりましょう。調子の良い日と悪い日の波があることを前提に、柔軟に計画を立てると、本人も保護者も、気持ちが楽になります。
複数の特性が重なる場合
複数の特性が重なっているお子さんには、一つの方法がすべてに当てはまらないことが多くあります。いろいろな方法を試して、何が合うのかを、本人と一緒に探していく姿勢が大切です。うまくいった方法を記録して、次に活かしましょう。

学校・医療・相談機関との連携
家庭だけで抱え込まず、周囲の支援を上手に活用することも、生活リズムの調整には欠かせません。
学校との連携
学校の担任や、特別支援コーディネーター、スクールカウンセラーと情報を共有しておくと、新学期以降の配慮につながります。夏休み中の様子、困りごと、有効だった工夫などを伝えておくことで、学校でも一貫した対応をとりやすくなります。
医療機関との連携
通院している場合は、生活リズムの変化や、睡眠の問題、服薬時間のずれなどを、主治医に伝えましょう。必要に応じて、睡眠の専門外来を紹介してもらえる場合もあります。自己判断で、服薬を変更したり中止したりしないよう、必ず主治医に相談してください。
地域の支援機関
発達障害者支援センター、教育相談窓口、児童相談所、若者サポートステーションなど、地域にはさまざまな相談先があります。夏休み中でも開いている窓口があるため、お住まいの自治体の情報を確認してみてください。
同じ立場の保護者とのつながり
親の会や、オンラインのコミュニティなどで、同じ立場の保護者と話すと、工夫や情報を共有でき、気持ちが楽になります。経験談の中には、実践的なヒントが含まれていることも多くあります。
相談するときの伝え方
相談する際は、いつ頃から、どのような状態が続いているのか、睡眠や食事の状況、日中の活動の様子、これまで試した工夫などを、簡単にメモにまとめておくと、スムーズに伝わります。
うまくいかないときの考え方と、続けるコツ
生活リズムの調整は、思い通りに進まないことも多くあります。そんなときの考え方を整理しておくと、気持ちが折れにくくなります。
「後戻り」は、よくあること
数日うまくいっても、疲れや予定の変化で、また乱れてしまうことがあります。後戻りは失敗ではなく、調整の途中で起こる自然なことです。責めずに、「また今日から」と再開することが、長続きの秘訣です。
小さな成功を積み重ねる
「今日は朝食を決まった時間に食べられた」「寝る前にスマホを置けた」など、小さな成功を、カレンダーに記録して、見える化しましょう。積み重ねることで、自信と習慣がついていきます。
目標は低めに設定する
最初から高い目標を設定すると、達成できずに挫折しやすくなります。まずは、無理なく続けられる低めの目標から始め、慣れてきたら、少しずつ高くしていきましょう。
家族みんなで、ねぎらう
生活リズムを整える取り組みは、本人だけでなく、家族にとっても負担です。お互いに「ありがとう」「お疲れさま」と声をかけ合うことで、前向きな気持ちを保ちやすくなります。
発達障害の高校生の夏休みの生活リズムは、特性と環境が重なって崩れやすいものです。叱るのではなく、仕組みと協力で整えていく姿勢を大切にしながら、親子で少しずつ、前に進んでいきましょう。
記録を味方にする
睡眠時間、起床時間、気分、食事などを、簡単にメモしておくと、後から振り返ったときに、乱れのパターンや、うまくいった条件が見えてきます。専門機関に相談する際にも、状況を正確に伝える助けになります。

ニジ高(NIJIN高等学院)ができること
NIJIN高等学院は、オンラインを中心に、一人ひとりのペースに合わせて学べる通信制サポート校です。「何から始めればよいか分からない」「まずは話を聞いてみたい」という段階でも、お気軽にご相談ください。個別相談や、資料請求から、まずは情報を集めることもできます。
よくある質問
叱る前に、本人の状態や困りごとを聞き、無理のない範囲で、起床や食事などの軸を一つずつ整えることから始めてみてください。
就寝時間より、まず起床時間を少しずつ整える方法があります。急な変更は避け、15〜30分ずつ調整してください。
体内時計のずれや、睡眠の質、気持ちの不調が関係している場合があります。怠けと決めつけず、背景を探ってみてください。
睡眠の乱れが長期間続く、日中の活動に大きな支障がある、気分の落ち込みが強いなどの場合は、早めの相談を検討してください。
段階的に整えれば、間に合う場合があります。完全に戻すことより、少しずつ近づけることを目標にしてください。
まとめ
- 生活リズムの乱れは、発達障害の特性に夏休みの環境が重なって起こりやすい
- 叱らず、本人の困りごとを聞き、起床・食事・就寝の軸から整える
- 外部の仕組みと、家族の協力で、負担を減らす
- 長引く場合や不調が強い場合は、早めに専門機関へ相談する
生活リズムの乱れは、本人の努力不足ではなく、特性と環境が重なって起こりやすいものです。親子で協力し、少しずつ整えていきましょう。
あわせて読みたい
- 不登校の高校生が「外出をしたがらない」ときの親の関わり方|無理に連れ出さず、一歩ずつ広げる工夫
- 不登校の高校生が「基本的な家事スキル」を身につける意義|自立につながる小さな一歩の始め方
- 不登校の子を持つ親の気持ち|しんどいとき・疲れたときの向き合い方
- 高校生の不登校、乗り越えるための前向きな選択肢とは
- 通信制高校のコース選びで失敗しない選び方|通学・オンライン・ミックスの比べ方
執筆者:ニジ高編集部 2026年10月21日更新
参考文献
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について」(本人のペースを尊重する支援の考え方)
- お住まいの自治体の教育支援センター・教育委員会・保健センターの相談窓口
- 厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」(0570-064-556)・「24時間子供SOSダイヤル」(0120-0-78310)



