9月1日が怖い。その気持ちを、まず認めていい
夏休みが終わりに近づくと、胸がぎゅっとなる。9月1日のことを考えるだけで、息苦しくなる。そんな気持ちを抱えている高校生は、決して少なくないと言われています。「みんな普通に行っているのに、自分だけが怖いなんておかしい」と思う必要はありません。この記事は、9月1日が怖いと感じている高校生と、そのご家族に向けて、「頑張れ」の前に知っておいてほしいことを整理したものです。
9月1日が怖い理由は、人によってさまざまです。友達との関係がうまくいかなかった、授業についていけない、先生が苦手、通学や集団生活がしんどい、特にはっきりした理由はないけれど行きたくない。理由を説明できないこともありますが、それでも大丈夫です。説明できなくても、「怖い」という気持ちは本物です。
長い休みの間は、学校のしんどさから離れて、心と体が休息モードに入ります。そのため、休み明けに学校へ戻ることが、以前より重く感じられやすくなります。生活リズムが乱れている、夏休みの宿題が終わっていない、といった要因が重なることもあります。
そして、9月1日は、学校に関する自殺や不登校が増えやすい日だと言われることがあります。この日を前に、多くの子どもたちが追い詰められた気持ちを抱えています。だからこそ、「怖い」と感じているあなたの気持ちは、とても自然で、大切にされるべきものです。
まず伝えたいのは、「怖いと感じること自体は、悪いことでも、弱いことでもない」ということです。そして、「行く」「行かない」の二択だけではなく、いろいろな道があるということです。
なお、つらさがとても強いとき、「消えてしまいたい」と感じるときは、一人で抱えず、身近な大人や、公的な相談窓口に今すぐ相談してください。話すことで、気持ちが少し軽くなることがあります。
「怖い」の背景は
3つの重なりかもしれない
| 背景 | よくある状態 | 気づきやすいサイン |
|---|---|---|
| 学校そのものの負担 | 人間関係・授業・校風などのしんどさ | 学校の話題を避ける・制服を見るとつらい |
| 休み明けの切り替え | 生活リズムの乱れ・活動モードへの戻りにくさ | 夜に眠れない・朝に体が動かない |
| 気持ちの疲れ | 頑張り続けた疲れが、休みで表に出る | 理由なく涙が出る・意欲が出ない |
ここでの整理は一般的な目安であり、診断ではありません。
「頑張れ」が、つらく聞こえるとき
9月1日が近づくと、周りの大人から「頑張って」「大丈夫だよ」と声をかけられることがあります。励ましの気持ちから出た言葉でも、すでに限界近くまで頑張ってきた人には、「まだ足りない」と言われているように聞こえることがあります。
「頑張れ」がつらく聞こえるのは、あなたの受け止め方が悪いのではなく、状況によってはごく自然なことだと言われています。必要なのは、「もっと頑張ること」ではなく、「今の気持ちを受け止めてもらうこと」や、「頑張らなくても済む道があると知ること」かもしれません。
周りの大人も、悪気があって言っているわけではなく、どう声をかけていいのか分からず、励ますことしか思いつかない場合が多くあります。もし可能なら、「頑張れって言われるとしんどい」「ただ聞いてほしい」と、伝えてみてください。言葉にすることで、相手の関わり方が変わることがあります。
伝えるのが難しいときは、手紙やメッセージで伝える方法もあります。直接言いにくいことも、書くことなら伝えやすい場合があります。信頼できる人や、学校のスクールカウンセラーなどに、気持ちを共有するのも一つの方法です。
また、自分自身に対しても、「頑張れ」と追い込みすぎないでください。「今日は怖くて当然」「不安なのは頑張ってきた証拠」と、自分の気持ちに寄り添う言葉をかけてあげてください。
学校に行く以外にも、「別の道」はある
9月1日を前に、「行くか、行かないか」の二択で苦しんでいる人は多いと思います。でも実際には、その間や周りに、さまざまな道があります。「別の道がある」と知っておくだけで、気持ちが少し楽になることがあります。ここでは、代表的な道を整理します。どれが正解ということはなく、あなたに合う道は、あなたが決めてよいものです。
一つ目は、「休養しながら考える」道です。数日から数週間、学校を休み、体と心を休ませます。この間に、生活リズムを整えたり、気持ちを整理したりして、これからを考える時間にします。休むことは、後退ではなく、回復のための大切な時間と言われています。
二つ目は、「今の学校で、通い方を工夫する」道です。保健室登校、別室登校、時間割の調整、遅刻や早退の許可、課題の調整など、学校によって対応できる内容があります。担任の先生や保健室の先生、スクールカウンセラーに相談すると、利用できる仕組みが見つかることがあります。
三つ目は、「環境を変える」道です。転校や編入、通信制高校への転入などがあります。通信制高校は、通い方や時間の使い方の自由度が高く、人間関係の距離感を選びやすい学校もあると言われています。年度の途中や、9月・10月の転入に対応している学校もあります。
四つ目は、「高卒認定試験を目指す」道です。高校を卒業しなくても、この試験に合格することで、大学や専門学校の受験資格を得ることができます。ただし、高校卒業資格とは異なるため、将来の希望に合わせて検討が必要です。
五つ目は、「学校以外の学びの場を使う」道です。教育支援センター、フリースクール、オンラインで学べるサービス、地域の学習支援など、学校以外にも居場所と学びの場があります。出席の扱いは各学校に確認が必要です。
9月1日の前に知ってほしい
5つの道
ほかにも、高卒認定試験や学校以外の学びの場という道があります。

通信制高校への転入という「別の道」:知っておきたいこと
「別の道」の一つとして、通信制高校への転入を検討する人が増えています。9月1日の前後は、転入や編入を考える人が多い時期の一つです。ここでは、検討するときに知っておきたいポイントを整理します。
通信制高校は、レポートの提出、スクーリング(面接指導)、単位認定試験で単位を修得し、卒業を目指す仕組みです。毎日通学する必要がなく、週に数日通うコース、オンライン中心のコース、通学型のコースなど、学校によって通い方が選べます。体調や気持ちに波がある人にも、調整しやすい仕組みがある学校があると言われています。
転入の時期や手続きは学校ごとに異なりますが、年に複数回、あるいは随時、転入を受け入れている学校があります。9月や10月の入学・転入に対応する学校もあります。気になる学校があれば、資料請求や個別相談で、転入できる時期や必要書類を確認してください。
今の高校で修得した単位は、一定の条件のもと、引き継げる仕組みがあります。引き継げる単位数や、残りの必要単位数、在籍期間の扱いは学校によって異なるため、成績証明書や単位修得証明書を用意して、個別に確認しましょう。
通信制高校でも、高校卒業資格を得ることができ、大学進学、専門学校、就職など、さまざまな進路があります。進路の支援内容は学校ごとに異なるため、希望に合うサポートがあるかを、見学や相談で確かめてください。
通信制高校に移ることは、「逃げ」ではなく、自分に合った学び方を選び直す前向きな選択として捉えることもできます。大切なのは、あなたが納得して選ぶことです。

保護者の方へ:9月1日の前後に、できること
お子さんが9月1日を前に不安な様子を見せたとき、保護者の方は、焦りや心配を感じるかもしれません。「何とか行かせなければ」「ここで休むと癖になる」と思う気持ちも自然ですが、強く促すことが逆効果になる場合があります。
まずは、お子さんの気持ちを受け止める姿勢が大切です。「怖いんだね」「話してくれてありがとう」と、気持ちを言葉にして受け止めます。理由を問い詰めたり、解決策を急いで示したりする必要はありません。お子さんが話したいときに話せる雰囲気を保つことが、安心につながります。
次に、生活面の安心を整えます。睡眠、食事、生活リズムを無理のない範囲で保てるようにし、家庭が安心できる場所であることを大切にします。登校については、「行かなければならない」という圧力をかけず、「行けそうなら行く」「無理なら休む」と、選択肢を持たせてあげると、気持ちが楽になることがあります。
そして、学校や専門家との連携です。担任の先生やスクールカウンセラーに、お子さんの状況を共有し、利用できる配慮を確認します。必要に応じて、医療機関や教育相談機関に相談することも検討してください。環境を変える選択肢についても、お子さんのペースで、少しずつ情報を集めておくと、いざというときに慌てずに済みます。
保護者の方自身も、一人で抱え込まないようにしてください。配偶者、信頼できる人、相談窓口などに話すことで、気持ちが整理され、お子さんに穏やかに接しやすくなります。
怖さを少しでも和らげる、9月1日までの過ごし方
9月1日を前に、できるだけ気持ちを楽にするために取り入れられる過ごし方を整理します。すべてを実行する必要はなく、できそうなことから試してみてください。
一つ目は、生活リズムを少しずつ整えることです。夜更かしが続いている場合、いきなり戻そうとせず、起きる時間を毎日15分ずつ早める、朝にカーテンを開けて光を浴びるなど、無理のない範囲で調整します。ただし、うまく整わなくても、自分を責めないでください。
二つ目は、不安を紙に書き出すことです。何が怖いのか、どの場面が特につらいのかを、箇条書きで書いてみます。言葉にすると、漠然とした恐怖が、具体的な課題として見えてくることがあります。書き出した内容は、信頼できる人に見せたり、相談したりする材料にもなります。
三つ目は、学校に相談する選択肢を知っておくことです。始業式の日にいきなり全部に参加しなくてもいい、最初は午前だけ、保健室から始める、といった配慮を、事前に相談できる学校もあります。担任の先生やスクールカウンセラーに、今の気持ちを伝えるだけでも、気持ちが楽になることがあります。
四つ目は、「行けなくても大丈夫」という選択肢を、自分に許可してあげることです。「絶対に行かなきゃ」と思うほど、プレッシャーが強くなります。「行けそうなら行く、無理なら休む。その後で考える」と決めておくと、気持ちが少し軽くなる場合があります。
五つ目は、好きなことや安心できることに触れる時間を持つことです。音楽、散歩、ゲーム、動画、友達との会話、ペットとの時間など、気持ちが落ち着くものを意識して取り入れてください。罪悪感を持たずに、気持ちを休める時間として大切にしてください。
どうしてもつらいときは、一人で耐えず、家族や相談窓口に今の気持ちを伝えてください。24時間受け付けている相談窓口もあります。話すことで、気持ちが整理され、次の一歩が見えてくることがあります。

よくある不安と、考え方のヒント
9月1日を前に、高校生やご家族が抱えやすい不安と、その考え方のヒントを整理します。
一つ目は、「一度休んだら、もう戻れなくなるのでは」という不安です。休んだ後に戻る人もいれば、別の環境に移る人もいます。どちらの道も、あなたの選択として尊重されるべきものです。休むことで気持ちが整い、選択肢を冷静に考えられるようになる場合もあります。
二つ目は、「出席日数が足りなくなるのでは」という心配です。出席日数や単位の扱いは学校によって異なります。早めに学校へ相談し、現状と今後の見通しを確認することで、具体的な対応が見えてきます。通信制高校への転入という選択肢でも、前の学校の単位を引き継げる場合があります。
三つ目は、「親をがっかりさせてしまうのでは」という気持ちです。親に迷惑をかけたくない、期待に応えたい、という思いは大切ですが、その思いが自分を追い込んでしまうこともあります。親も、あなたの幸せを願っています。気持ちを正直に話すことで、お互いの理解が深まる場合があります。
四つ目は、「将来が不安」という思いです。今は先が見えなくても、別の道を選んだ先に、新しい可能性が開けることもあります。将来のことを今すぐ決める必要はなく、まずは今の自分を守ることを優先して構いません。
まとめ:「別の道がある」ことを、お守りにして
9月1日が怖いという気持ちは、自然なものであり、あなたが真剣に向き合っているからこそ生まれる感情です。「頑張れ」と自分を追い込む前に、「別の道がある」ことを知っておいてください。休む、工夫する、環境を変える。選べる道はいくつもあります。
どの道を選んでも、あとから見直すことができます。一人で抱え込まず、信頼できる人や相談窓口を頼りながら、あなたのペースで、次の一歩を選んでいきましょう。

「別の道」を選んだ人たちに共通すること
学校に行く以外の道を選んだ人たちには、いくつかの共通点が見られると言われています。一つは、「立ち止まって、自分の気持ちと向き合う時間」を持ったことです。無理に走り続けるのではなく、一度休んで、何がつらかったのか、何を大切にしたいのかを整理する時間が、その後の選択に活きています。
もう一つは、「相談できる人」とつながったことです。家族、先生、カウンセラー、同じ経験をした人など、気持ちを話せる相手がいたことが、前に進む力になった例が多く語られます。一人で抱え込まず、誰かに話すことの大切さがうかがえます。
そして、「小さな一歩」を積み重ねたことです。いきなり大きな決断をするのではなく、資料を見てみる、見学に行ってみる、少しだけ外に出てみるなど、小さな行動を一つずつ重ねていくうちに、気持ちが変化していったという声もあります。
「別の道」を選ぶことは、決して楽な選択ではありません。けれど、自分に合った環境を見つけた人が、安心して学び、自分らしさを取り戻していく姿は、少なくありません。あなたにも、あなたに合う道が、きっとあります。
今は先が見えなくても、焦らなくて大丈夫です。9月1日を、ただ耐える日ではなく、「これからを考えるための一日」と捉え直してみてください。
こんなときは、専門の相談先へ
ご家庭だけで抱え込むと、保護者の方もお子さんも、気持ちが追い詰められてしまうことがあります。次のような様子が数週間以上続くときは、早めに専門機関へ相談することも、大切な選択肢です。
- 食事がほとんど取れない、または眠れない状態が続いている。
- 強い落ち込み・不安・イライラが続き、日常生活に大きな支障が出ている。
- 「消えてしまいたい」など、命や安全に関わる言葉がある。
全国どこからでも。カメラ・マイクはオフのままで大丈夫です。
相談先としては、お住まいの自治体の教育支援センター、教育委員会、保健センター、学校のスクールカウンセラー、児童精神科・小児科・心療内科などがあります。お子さんの気持ちが心配なときは、24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)といった公的な窓口も利用できます。相談することは「大ごとにすること」ではありません。話を聞いてもらうだけでも、気持ちが軽くなることがあります。

ニジ高(NIJIN高等学院)ができること
NIJIN高等学院は、オンラインを中心に、一人ひとりのペースに合わせて学べる通信制サポート校です。「何から始めればよいか分からない」「まずは話を聞いてみたい」という段階でも、お気軽にご相談ください。個別相談や、資料請求から、まずは情報を集めることもできます。
よくある質問
おかしいことではありません。長い休みのあとに、学校へ戻ることへの不安や緊張が高まるのは、多くの高校生が経験すると言われています。怖いと感じる気持ちは、自然な反応です。
すでに精一杯頑張っているときに、さらに頑張れと言われると、自分を責められているように感じることがあるためです。励ましが負担になる場合もあると言われています。
休養しながら考える、学校内の別室や保健室を使う、転校や編入、通信制高校へ移る、高卒認定試験を目指すなど、いくつかの道があります。状況に合う道は人それぞれです。
一概には言えません。通信制高校などを通じて高校卒業資格を得ることもでき、進学や就職の道は残っています。進路支援の内容は学校ごとに違うため、確認が大切です。
登校を急かすより、気持ちを受け止める関わり方が役立つと言われています。生活リズムや食事など、安心できる土台を整え、必要に応じて学校や専門家に相談してください。
まとめ
- 9月1日が怖いのは自然な反応で、多くの高校生が同じ気持ちを経験すると言われています
- 「頑張れ」が負担になるときは、励ましより「受け止めてもらうこと」が支えになります
- 学校に行く以外にも、休養・別室・転校・通信制高校など、複数の道があります
- 焦らず、情報を集めて、自分に合う道を選んでよいという考え方があります
9月1日が怖いという気持ちは、あなたが真剣に向き合っている証でもあります。頑張り続けるだけが道ではありません。別の道があることを知っておくだけでも、気持ちは少し楽になります。
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執筆者:ニジ高編集部 2026年10月8日更新
参考文献
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について」
- 厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」(こころの健康に関する情報)
- お住まいの自治体の教育支援センター・教育相談窓口


