夏休み引きこもりの中学生に、親ができる5つのこと
夏休みに入ってから、お子さんが部屋にこもりがちになり、ほとんど外に出なくなった。そんな状況に、不安を感じている保護者の方も多いのではないでしょうか。「このまま2学期が始まっても登校できないのでは」「外に出てほしいけれど、どう声をかければいいのか分からない」といった悩みは、決して珍しいものではありません。この記事では、夏休みに引きこもりがちな中学生に対して、親ができることを、無理のない順序で整理しました。お子さんの状態や性格は一人ひとり異なるため、あくまで目安として、取り入れられる部分を参考にしてください。
引きこもりがちな夏休み
親ができる5つのこと
1. 安心できる家庭をつくる
お子さんが外に出られない状態のとき、最も大切なのは、家庭が安心できる場所であることです。「いつまで家にいるの」「みんな外で遊んでいるのに」といった、責める言葉は、お子さんの罪悪感を強め、さらに閉じこもる原因になることがあります。部屋から出てこなくても、食事の声かけや、挨拶など、日常の関わりを変わらず続けましょう。反応がなくても、気にかけていることは、きちんと伝わっています。
2. 引きこもりの背景を理解する
夏休みに引きこもる背景には、さまざまな理由があります。学期中の疲れを回復させている、友達関係のトラブルを引きずっている、2学期への不安が強い、勉強への焦りがある、体調や気分の落ち込みがあるなど、理由は人それぞれで、ひとつとは限りません。保護者の方が理由を決めつけず、「何か理由があるのかもしれない」という姿勢で見守ることが大切です。理由を聞き出そうとして問い詰めると、かえって口を閉ざしてしまうため、話したくなったときに受け止められる準備をしておきましょう。
3. 小さな外出から始める
外に出ることへのハードルは、お子さんにとって、想像以上に高い場合があります。いきなり学校や人混みを目指すのではなく、負担の少ない外出から始めましょう。たとえば、夜に家族と散歩する、車で出かけて降りずに帰ってくる、近所のコンビニに行く、ベランダや庭に出るなど、ごく小さなことで構いません。本人が「これならできそう」と思える一歩を、一緒に探してみてください。断られても、責めずに、また別の機会に声をかけます。
4. 外との接点を増やす
少しずつ気持ちに余裕が出てきたら、家庭以外の安心できる接点を、探してみましょう。オンラインのコミュニティ、フリースクール、教育支援センター、地域の居場所など、少人数で、本人のペースを尊重してくれる場があります。見学は保護者だけが先に行く、オンラインで様子を見るなど、負担の少ない方法から始めましょう。本人が興味を持ったときに、すぐ動けるよう、情報だけ集めておくのも、ひとつの方法です。
5. 親自身も相談先を持つ
お子さんの状態が続くと、保護者の方も、不安や焦りで疲れてしまいます。学校の先生、スクールカウンセラー、自治体の相談窓口、親の会など、話を聞いてもらえる場所を持つことが大切です。保護者の方の気持ちが安定すると、お子さんへの関わり方にも、余裕が生まれます。ひとりで抱え込まず、頼れるところには、早めに頼ってください。
引きこもりがちな夏休みで、起こりやすい状況と考え方
夏休みの引きこもりには、いくつかのパターンがあります。お子さんの状況がどれに近いかを考えながら、関わり方のヒントを探してみてください。ただし、一人ひとり状況は異なるため、あくまで目安として捉えてください。
疲れを回復させている場合
学期中に頑張りすぎて、エネルギーが尽きている場合、夏休みに入って一気に疲れが出ることがあります。この場合は、休息そのものが必要な時期であり、無理に外へ出す必要はありません。十分に休んだあと、自然と動きたくなる気持ちが出てくることもあります。睡眠や食事がとれているか、体調に大きな変化がないかを見守りながら、待つ姿勢も大切です。
友達関係や学校での出来事を引きずっている場合
学期中の友達とのトラブルや、いじめ、先生との関係などが原因で、人と会うことが怖くなっている場合があります。この場合は、外出よりも、まず安心を取り戻すことが優先です。お子さんが話したくなったとき、否定せずに聞くことを心がけ、必要に応じて、学校やカウンセラーと連携してください。
2学期への不安が強い場合
夏休みが終わるのが怖い、また同じ環境に戻るのがつらい、という気持ちから、外に出る気力がなくなることもあります。「2学期のことは、今は考えなくていいよ」と一度伝えて、プレッシャーを和らげることも、ひとつの方法です。そのうえで、登校以外の選択肢も視野に入れて、情報を集めておくと、気持ちの余裕が生まれます。
気分の落ち込みや体調不良がある場合
食欲がない、眠れない、以前楽しんでいたことに関心を持たなくなった、といった様子が続く場合は、心身の不調が隠れている可能性もあります。早めに、かかりつけ医や、地域の相談窓口に相談することを検討してください。専門家に相談することは、特別なことではありません。
ゲームやインターネットに没頭している場合
ゲームやインターネットが、現実のつらさから離れる手段になっていることもあります。使用時間だけに着目して取り上げると、安心できる場所を失い、状況が悪化することもあります。何に楽しさや安心を感じているのかに目を向け、使い方のルールは、本人と話し合って決めていきましょう。
外に出てもらうための、段階的なステップ
外に出ることを目指す場合、一足飛びではなく、小さなステップを積み重ねることが重要です。次のような段階を参考に、お子さんのペースに合わせて進めてみてください。
外出への
小さなステップ
| 段階 | 具体例 |
|---|---|
| 0. 部屋の外に出る | リビングで食事をとる、家族と同じ空間で過ごす |
| 1. 家の敷地に出る | ベランダ・庭・玄関先に出る |
| 2. 近所を歩く | 夜や早朝の散歩、人の少ない時間帯 |
| 3. 車や短時間の外出 | ドライブ、コンビニ、図書館など |
| 4. 居場所や人との接点 | 少人数の居場所、オンライン交流、見学 |
ステップを進めるときの注意点
どの段階でも、うまくいかない日があって当然です。昨日できたことが、今日はできなくなることもあります。後戻りしたように見えても、責めずに、「また今度ね」と受け止めてください。進むスピードよりも、安心して挑戦できる雰囲気をつくることが大切です。
「本人が選ぶ」場面を増やす
外出の行き先、時間帯、持ち物など、小さなことでも、本人が選べる場面をつくると、主体性を取り戻しやすくなります。「散歩に行く?行かない?」ではなく、「夜と朝、どっちがいい?」など、選択肢を示す聞き方も、ひとつの工夫です。
外出の目的をつくる
ただ外に出るだけでは、気が進まないお子さんも、好きなお店、本屋、ゲームショップ、ペットショップなど、興味のある目的地があれば、動きやすくなる場合があります。目的が明確だと、外出に意味を見出しやすくなります。
外出後のふりかえりは軽く
外出から帰ったあとは、感想を詳しく聞き出さず、「おつかれさま」「ありがとう」程度に、気持ちをねぎらうことを優先します。本人が話したいときに、話してくれるのを待ちましょう。

声かけの具体例と、避けたい言い方
引きこもりがちなお子さんへの声かけは、言葉選びが難しいものです。何気ない一言が、お子さんの心に響くこともあれば、傷つけてしまうこともあります。ここでは、声かけの例を紹介します。
安心を伝える声かけ
「いつでも話を聞くよ」「無理しなくていいよ」「ここにいていいんだよ」といった言葉は、お子さんに安心感を与えます。具体的な要求や質問をせず、ただ気持ちを伝えるだけの声かけを、心がけてみてください。返事がなくても、言葉は届いています。
日常のささやかな声かけ
「おはよう」「ごはんできたよ」「今日は暑いね」など、日常の何気ない声かけを続けることで、お子さんは「家族とつながっている」と感じられます。会話が成立しなくても、毎日続けることに意味があります。
避けたい言い方
「いつまでこうしているの」「みんなは頑張っているのに」「将来どうするの」といった言葉は、お子さんを追い詰めてしまう可能性があります。心配する気持ちはよく分かりますが、そのまま口にせず、一呼吸おいてから、言葉を選ぶようにしてください。
メッセージや手紙という方法
直接話すのが難しい場合は、メッセージアプリや、メモ、手紙で気持ちを伝える方法もあります。文字なら、お子さんが自分のペースで読み、返事をするかどうかも、自由に選べます。「ごはんは冷蔵庫に入れてあるよ」など、短い内容でも構いません。
「ありがとう」を伝える
お子さんが食事を取りに来た、洗濯物を出した、少し顔を見せてくれたなど、小さな行動に対して、「ありがとう」「助かったよ」と伝えることは、自己肯定感を支える大きな力になります。「できていること」に目を向ける習慣をつけてください。

兄弟姉妹・親戚・近所との関係で気をつけたいこと
夏休みは、家族や親戚、近所の人との接点が増える時期でもあります。お子さんが傷つかないよう、周囲との関わり方を整えておきましょう。
きょうだいの気持ちにも目を向ける
引きこもりがちなお子さんのことで、保護者の関心が集中すると、きょうだいが寂しさを感じたり、我慢をしたりすることがあります。きょうだいにも、話を聞く時間をつくり、「あなたのことも大切に思っているよ」と伝えることが大切です。
親戚の集まりへの対応
お盆などの親戚の集まりでは、「学校は?」「どうして出てこないの?」といった言葉をかけられ、お子さんが傷つくことがあります。事前に、状況を伝えて配慮をお願いする、本人が不安な場合は参加しない選択を認めるなど、お子さんの気持ちを守る工夫をしましょう。
近所の目が気になるとき
近所の人から声をかけられると、保護者も、お子さんも負担を感じる場合があります。無理に説明する必要はなく、「元気にしています」といった簡単な返事で十分です。周囲の視線を気にしすぎず、ご家庭のペースを守ってください。
相談先と、頼れる支援の探し方
引きこもりがちな状態が続く場合、家庭だけで解決しようとせず、外部の支援を活用することも大切です。相談することは、特別なことではなく、お子さんを守るための前向きな行動です。
学校・スクールカウンセラー
夏休み中でも、学校に連絡すれば、担任やスクールカウンセラーと相談できる場合があります。まずは、学校に状況を共有し、2学期以降の対応について話し合っておくと安心です。
自治体の相談窓口
多くの自治体には、教育相談窓口、青少年相談、子ども・若者支援の窓口などが設けられています。無料で相談でき、状況に合わせた支援機関を紹介してもらえる場合もあります。お住まいの自治体の情報を、確認してみてください。
教育支援センター・フリースクールなど
学校以外の居場所として、教育支援センター(適応指導教室)やフリースクールがあります。見学や体験を受け付けているところも多く、お子さんの興味や状態に合わせて、選択肢を広げることができます。
医療機関
心身の不調が目立つ場合や、長期にわたって状態が続く場合は、児童精神科や心療内科など、医療機関への相談も選択肢です。まず、かかりつけ医や、地域の保健センターに相談してみるのもよいでしょう。

夏休み明けと、その先の進路を見据えて
夏休みの終わりが近づくと、お子さんにも保護者の方にも、緊張が高まります。ここでは、休み明けに向けて、できる準備と、考え方をまとめます。
登校だけをゴールにしない
2学期が始まったら、登校させなければいけない、と考えると、親子ともにプレッシャーが強まります。登校できるかどうかだけでなく、「今日は起きられた」「少し話せた」など、小さな変化を大切に捉えてください。登校以外にも、学びを続ける方法があることを、知っておくだけでも、気持ちが楽になります。
学校と連絡をとっておく
休み明けの対応について、担任や学年の先生と、事前に話しておくと安心です。登校できない日の連絡方法、課題の受け取り方、別室登校の可否、保護者との面談など、無理のない形を相談しておきましょう。
学び方の選択肢を知っておく
通信制高校、サポート校、フリースクール、オンライン学習など、学び方には複数の選択肢があります。中学生の段階では、高校進学を見据えて、情報を集めておくことが、将来の選択肢を広げることにつながります。説明会に保護者だけで参加する、オンラインで資料を取り寄せるなど、負担の少ない方法で、少しずつ知っていきましょう。
長い目で見る
引きこもりがちな状態は、数週間で変わることもあれば、長くかかることもあります。変化のペースは、人それぞれです。今の状況だけで将来を悲観せず、時間をかけて回復していく可能性を信じて、寄り添い続けてください。
夏休みに引きこもりがちな中学生にとって、一番の支えは、家庭の安心感です。焦らず、小さな変化を見逃さず、親子で歩んでいってください。

引きこもりがちなお子さんの「強み」に目を向ける
部屋で過ごす時間が長いお子さんには、じっくり考える力、一つのことに没頭する力、細やかに感じ取る力など、見えにくい強みがあることも少なくありません。問題点ばかりに目を向けるのではなく、お子さんの良い面を見つけて、言葉にして伝えてみてください。
好きなことから見えてくるもの
ゲーム、絵、音楽、動画、読書、工作など、お子さんが好んで取り組んでいることには、その子らしい関心や、得意の芽が隠れています。「何がおもしろいの?」と興味を持って尋ねてみると、思いがけず、話してくれることがあります。好きなことを通じた会話は、親子の関係を温める大切な時間になります。
役割を持つ経験
家の中で、ちょっとした役割を任せることも、自己肯定感を育てる助けになります。食器を運ぶ、洗濯物をたたむ、ペットの世話をするなど、小さな役割で構いません。「助かったよ」と感謝を伝えることで、自分は役に立てるという感覚が育ちます。
将来を焦らず考える
進路や将来の話は、お子さんの気持ちが安定してから、少しずつ始めれば十分です。今は、休むことや、安心を取り戻すことを最優先に、長い目で成長を見守る姿勢を大切にしてください。
保護者が自分を守るための、日常の工夫
お子さんを支え続けるためには、保護者の方自身の心と体の健康も、同じくらい大切です。毎日の生活の中で、無理なく取り入れられる工夫を紹介します。
自分の時間を意識的につくる
短い時間でも、好きな飲み物をゆっくり飲む、散歩をする、好きな音楽を聴くなど、自分のための時間を意識的に確保しましょう。罪悪感を持つ必要はありません。自分が休むことは、お子さんを支える力を保つための、大切な準備です。
悩みを言葉にして外に出す
信頼できる友人、家族、相談窓口、同じ立場の保護者など、話を聞いてもらえる相手がいると、心の負担が軽くなります。話すことで、考えが整理され、新しい気づきが得られることもあります。
「うまくいかない日」を許す
毎日穏やかに接することは、誰にとっても難しいものです。イライラして声を荒げてしまった日があっても、自分を責めすぎず、「明日またやり直そう」と考えてください。修復できる関係は、必ずあります。
夫婦・パートナーで支え合う
お子さんへの対応は、ひとりで背負わず、家族で分担することが大切です。考え方に違いがあっても、お互いの気持ちを否定せず、話し合う時間を持ちましょう。対応の方針をそろえるだけで、お子さんの安心感も増します。
小さな変化を記録しておく
お子さんの様子で気づいたことを、日付とともにメモしておくと、後から振り返ったときに、小さな前進が見えて励みになります。起きた時間、食事、会話の様子、外に出られた日など、簡単な記録で十分です。専門家に相談する際にも、状況を正確に伝える助けになります。

ニジ高(NIJIN高等学院)ができること
NIJIN高等学院は、オンラインを中心に、一人ひとりのペースに合わせて学べる通信制サポート校です。「何から始めればよいか分からない」「まずは話を聞いてみたい」という段階でも、お気軽にご相談ください。個別相談や、資料請求から、まずは情報を集めることもできます。
よくある質問
無理に連れ出すと、反発や不安が強まることがあります。本人のペースを尊重し、負担の少ない小さな一歩から進めるほうが、結果的に続きやすいと言われています。
責める言葉や、急かす言葉は避け、「ごはんできたよ」など日常の声かけを続けます。返事がなくても、気にかけていることが伝わります。
状態が長く続く場合や、心身の不調が目立つ場合は、学校・自治体の窓口・医療機関などに相談してみてください。
ゲームが唯一の安心できる居場所になっている場合もあります。時間のルールは、本人と話し合って決めることが大切です。
自分を責めず、休む時間を確保し、相談先を持つことが大切です。親が安定していることが、子どもの安心につながります。
まとめ
- 夏休みの引きこもりは、休息と不安の両方が重なっている場合がある
- 無理に外へ出さず、安心できる家庭と小さな一歩を大切にする
- 夜の散歩、家族との外出など、負担の少ない外出から始める
- 親自身が相談先を持ち、抱え込まないことが大切
夏休みに引きこもりがちな中学生には、焦らず、安心できる時間を積み重ねることが何より大切です。小さな変化に目を向けながら、親子で歩んでいってください。
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執筆者:ニジ高編集部 2026年10月21日更新
参考文献
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について」(本人のペースを尊重する支援の考え方)
- お住まいの自治体の教育支援センター・教育委員会・保健センターの相談窓口
- 厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」(0570-064-556)・「24時間子供SOSダイヤル」(0120-0-78310)



